日本のほ乳類の種類は100種そのうち40種がコウモリって本当?


考察1(鹿児島の清水建司さんから)
まず以下の点を前提としてお考え下さいね。
1:種(しゅ)と亜種(あしゅ)の関係
  イヌは種名でチワワやセントバーナードは亜種名あるいは品種名です。
  イヌはいろんな形のものが存在しますが,実は1種なんです。

2:こういった数字が絶対正しいと思わないこと
  「種」は,誰かが「この生き物が○○という生き物だよ」と発表した
  段階で「種」として確立されますが,新発見の生物だけでなく,従来
  は同じひとつの種とされていたものを新しい手法で調べてみると,別
  の種であったとして二つの種に区分したり,逆に2種を1種に統合し
  たりするということが頻繁に行われています。
  こういった過程はいろいろなお話があるのですが,端折ります。
  つまり,数字は常に変化しています。さすがにほ乳類レベルになると,
  あまり大きな動きはありませんが,昆虫などでは茶飯事です。

3:家畜やペットは入れてない?
  日本に存在するというお話なら,入れて計算してもいいし,でもその
  場合には動物園や水族館にいる生き物も数に入れる必要がありますね。
  これこそ常に変動するので,正確な数は動物園水族館協会あたりに聞
  かなくてはいけませんね (^0^)
  ですから一般的には「野生」というのが前提でしょうね。ここで問題
  なのが,ヌートリアやマングースみたいな「野生化した」のをどう捉
  えるかが課題です。一般には国内に定着して,再生産(子供が産まれ
  ている)されているものは数に入れられているようです。

 さて60種ですね。私も普段あんまり考えたことがなかったので,ちょ
っと調べてみました。

日本のほ乳類(1994,東海大学出版会,以下「本」)の種名対比表によれば

「本」環境庁(1993) Corbet & Wilson &
Hill(1991)
Reeder(1993)
モグラ目
19種 
18種
18種
20種
コウモリ目
34種
39種
35種
35種
サル目 
2種
2種
2種
2種
ウサギ目
5種
5種
5種
5種
ネズミ目
27種
33種
26種
30種
ネコ目 
23種
23種
24種
24種
アザラシ目
9種
9種
9種
9種
ウシ目
5種
7種
5種
5種
合計
124種
136種
124種
130種

この表では亜種は含んでいません。
外来種も定着していれば計数しています(マングース,ヌートリア他)
ネコ目にはオオカミ,ノイヌ,ノネコを入れています
ウサギ目にはカイウサギ(アナウサギ)を入れています
家畜類(ウシ,ブタ他)や動物園でのみ見られるものは含みません
ジュゴンなどの海獣類は含んでいません

これからいえることは
 研究者によって種数の数え方はまちまちである
  これは主にある人が「亜種」としたものを他の人が「種」と
  とらえていることに起因しているようです。

 コウモリは過大評価でなく大きなグループである
  移動能力が大きいために適応放散したのでしょうね。

 日本のほ乳類が百数種とは
  こうというときはアザラシ目などの海獣類と外来種,ノイヌや
  ノネコなどを含んでいないのではないでしょうか。また,オオ
  カミのように,かつていた種も数えないのでしょう。

 和名の不統一もある
  ある種に対しては原則として学名がひとつ着きますが,
  それに対する和名はいくつかあてられていることもあります
  亜種の関係まで考えると,更にややこしくなってしまいます
  正確に数を数えるには学名をあわせて行く必要があります

従ってコウモリとガの指導などの際のうんちくとして語るなら
「日本にはおよそ130種程度のほ乳類が野生として存在し,
 そのうち30%程度がコウモリの仲間である。」
という程度が良さそうに思います。

種名をご自分で確認してみたい方は
東海大学出版会の「日本のほ乳類」という本にリストがでています。
この本は,良くまとまっていて,編者の方もしっかりとしている
ので間違いも少なそうです。

こぼればなし
 学名を確認していて気づいたこと
  モグラの学名     Mogera wogura(これは有名ですね)
  イタチの学名     Mustela itatsi
  ニホンリスの学名   Sciurus lis
  ホンドモモンガの学名 Pteromys momonga

考察2( 小池清一 さんより )
日本の哺乳類一覧表 (絶滅種は*〜*マーク)

(・注意・海洋性の哺乳類は、入っていません)
もぐら目(18)

・トガリネズミ科
・・アズミトガリネズミ
・・チビトガリネズミ
・・カラフトヒメトガリネズミ
・・シントウトガリネズミ
・・サドトガリネズミ
・・オオアシトガリネズミ
・・コジネズミ
・・オナガジネズミ
・・ジネズミ
・・オリイジネズミ
・・ジャコウネズミ
・・カワネズミ

・モグラ科
・・ヒメヒミズ
・・ヒミズ
・・ミズラモグラ
・・モグラ
・・コウベモグラ
・・サドモグラ


コウモリ目(39)

・オオコウモリ科
・・クビワオオコウモリ
・・*オキナワオオコウモリ*
・・オガサワラオオコウモリ

・キクガシラコウモリ科
・・コキクガシラコウモリ
・・オキナワコキクガシラコウモリ
・・ヤエヤマコキクガシラコウモリ
・・イリオモテキクガシラコウモリ
・・キクガシラコウモリ

・カグラコウモリ科
・・カグラコウモリ

・ヒナコウモリ科
・・シナノホオヒゲコウモリ
・・オゼホオヒゲコウモリ
・・エゾホオヒゲコウモリ
・・ヒメホオヒゲコウモリ
・・フジホオヒゲコウモリ
・・ウスリホオヒゲコウモリ
・・カグヤコウモリ
・・クロアカコウモリ
・・モモジロコウモリ
・・ドーベントンコウモリ
・・クロホオヒゲコウモリ
・・ノレンコウモリ
・・モリアブラコウモリ
・・*オガサワラアブラコウモリ*
・・アブラコウモリ
・・オオアブラコウモリ
・・コウライオオアブラコウモリ
・・コヤマコウモリ
・・ヤマコウモリ
・・クビワコウモリ
・・ヒメホリカワコウモリ
・・ヒナコウモリ
・・チチブコウモリ
・・ウサギコウモリ
・・リュウキュウユビナガコウモリ
・・ユビナガコウモリ
・・ニホンコテングコウモリ
・・クチバテングコウモリ
・・ニホンテングコウモリ

・オヒキコウモリ科
・・オヒキコウモリ


ネズミ目(33)

・リス科
・・ハイガシラリス
・・キタリス
・・ニホンリス
・・シマリス
・・ホンドモモンガ
・・タイリクモモンガ
・・ムササビ

・ヤマネ科
・・ヤマネ

・ネズミ科
・・ヒメヤチネズミ
・・タイリクヤチネズミ
・・シコタンヤチネズミ
・・リシリムクゲネズミ
・・ミヤマムクゲネズミ
・・ニイガタヤチネズミ
・・トウホクヤチネズミ
・・ワカヤマヤチネズミ
・・カゲネズミ
・・スミスネズミ
・・ハタネズミ
・・マスクラット
・・アカネズミ
・・ミヤケアカネズミ
・・ハントウアカネズミ
・・ヒメネズミ
・・セスジネズミ
・・カヤネズミ
・・ハツカネズミ
・・オキナワハツカネズミ
・・アマミトゲネズミ
・・クマネズミ
・・ドブネズミ
・・ケナガネズミ

・ヌートリア科
・・ヌートリア


ウサギ目(5)

・ナキウサギ科
・・ナキウサギ

・ウサギ科
・・アマミノクロウサギ
・・ユキウサギ
・・ノウサギ
・・カイウサギ


ネコ目(21)

・クマ科
・・ヒグマ
・・ツキノワグマ

・アライグマ科
・・アライグマ
・・カニクイアライグマ

・イヌ科
・・タヌキ
・・キツネ
・・*オオカミ*

・イタチ科
・・テン
・・クロテン
・・チョウセンイタチ
・・イタチ
・・イイズナ
・・オコジョ
・・ミンク
・・アナグマ
・・カワウソ
・・ラッコ

・ジャコウネコ科
・・ハクビシン
・・インドマングース

・ネコ科
・・ツシマヤマネコ
・・イリオモテヤマネコ


アザラシ目(9)

・アシカ科
・・*アシカ*
・・トド
・・オットセイ

・セイウチ科
・・セイウチ

・アザラシ科
・・ゴマフアザラシ
・・ゼニガタアザラシ
・・ワモンアザラシ
・・クラカケアザラシ
・・アゴヒゲアザラシ


ウシ目(7)

・イノシシ科
・・ニホンイノシシ
・・リュウキュウイノシシ

・シカ科
・・ニホンジカ
・・ツシマジカ
・・タイリクジカ

・ウシ科
・・カモシカ
・・ヤギ


サル目((2)

・オナガザル科
・・ニホンザル
・・タイワンザル

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

正確には134種類だったかな??そのうちこうもりは39種類。帰化種を
抜けば100の40っていうのもおおざっぱだけど、間違いではない数字だ
と思います。

こうして一覧にしてみれば、コウモリ、ネズミ、モグラ、の種類の多さと
それ以外の少なさが、良く分かると思います。

考察3(宮本
お二人の情報をあわせて考えると。100の40と言う数字は、40の方はほ乳類の総数を136と数える場合のコウモリの種の数39を基にしたもの。そして総数の100は種数を小さく押さえている124種からアザラシ目や絶滅種や帰化種などをとにかく引いた数の端数を切り捨てたものなのかな。どうも違う基準でできた数字を並べているように思えます。
それにしても、アザラシ目で9種もカウントしていながら、ジュゴンやイルカやクジラなどの海獣類はなぜカウントしていないのでしょうか。これにもそれなりのわけがあると思うのですが・・・・。
新たな、謎です。


考察4( 熊谷聡さんより )
『小さな動物学者のための観察ブック』の著者熊谷さんご本人から解説を寄せていただきました。(感謝)

こんにちは!初めまして。熊谷です。
日本の哺乳類の数が100種という件についてですが、清水さんや小池さんが的確なお答えをして下さったので感謝しております。
清水さんのご指摘通り、亜種は入っておりません。
ホンドリスとエゾリスは2種ですが、ホンシュウモモンガとエゾモモンガはリス科のモモンガ属1種として計算しました。
また、「陸生哺乳類」と限定しなかったのがうかつでした。陸生哺乳類に限定すると100〜110種なのですが、子供向けの本ということもあり、「だいたい100種とおぼえておこー!」というので100種にしたわけです。
 コウモリ40種については当時、33〜38種というのが定説でした。執筆中に沖縄で小型コウモリの新種が2種発見されたという情報が飛び込んできたこともあり、「よっしゃぁ、だいたい40種くらいでいいべ」と思ってしまって40種にしたのでした。
また、この100種くらいというのは、私は講演をするときによく、同じ島国ということでイギリスと比べます。
「イギリスには哺乳類(陸棲)が50種です。ですから日本の半分なんですよ、なんと日本の国は豊かで云々…」こんな時にも100種ってのは便利なのです。
(※しかも、イギリスの固有種はゼロで、日本の陸生哺乳類100種の内、日本固有種(特産種)はなんと48種もいるんです。※※ニホンカワウソとニホンオオカミ、ニホンアシカは、もう固有種であるかどうかわかりません)

アザラシやらトドは種に数えているのにクジラなんかはあいまいだ。という疑問についてですが、単純に日本の領土(土の上という意味)で繁殖するかしないかということが基準だそうです。





カラスの繁殖期が、4月から7月ってほんと?
情報1宮崎の岩切重人さんから
 カラスの繁殖期の件ですが、手持ちの文献で調べて見ましたら次の情報を見つけました。

1 山渓カラー名鑑「日本の野鳥」  P 556
   産卵期は3〜6月、卵数は3〜5個、抱卵日数は19〜20日位、巣立ちまでの日数は30〜35日位である。巣立ち後も長期にわたって家族群で生活する。

2 日本鳥類大百科 鳥類U P 171
繁殖期は3〜6月であるが、とくに子育ての後半から巣立ちの季節である5月下旬から6月上旬ころは、巣や卵やヒナ、幼鳥を防衛するために親鳥は攻撃的となり、しばしば、巣や巣立ちした幼鳥に接近する人をつついてけがをさせるなどの事故が発生する。

   以上の情報からお分かりのように、3月には抱卵している個体がいるでしょう。

 気候や地域差についての詳しいことは、情報をみつけることができませんでしたが、

 野鳥をこれまで観察してきた経験からすると、個体(体長や体重)の大きいものほど繁殖期間が長くなります。例えば、クマタカなどの大型の猛禽類は、前年の末からディスプレが始まり、3月中には抱卵しています。繁殖期についても、ディスプレが始まった時期からみるのか、巣作りを始めた時期から見るのかによって変わります。
 
シジュウカラなどの小型の野鳥の巣箱は、毎年清掃して古い巣材を取り出していますが、大型の猛禽は、同じ巣に新しい巣材を追加して利用しているようです。カラスの場合、毎年新しい巣を造るのか、古い巣に新しい巣材を追加して利用するのか、データーを持ち合わせていません。

情報2神奈川県立宮ヶ瀬ビジターセンターの
青木 雄司さんから

カラスの繁殖期について若干の説明をさせていただきます。

カラスという総称はある意味では色々使えて便利なのですが、生態にまでつっこむようであれば種類を明確にする必要がでてきます。

ご存じのように人里近くにはハシブトガラスとハシボソガラスが生息しています。この2種は、生息場所・食性・採餌方法・繁殖などを微妙に違えることによって棲み分けをしています。

それぞれの食べ物に占める最も高いものは、ハシブトガラスが木の実、ハシボソガラスが野菜類ということが約800体の解剖結果から分かっています(1957年に報告されたものです)。採餌方法もハシブトガラスが高いところで見渡しながら探す傾向があるのに対して、ハシボソガラスは畑などを歩きながら餌を探す傾向があります。

繁殖の開始時期にも違いが見られ、ハシボソガラスが2月から巣作りを行うのに対して、ハシブトガラスは3月中旬から巣作りを行います。

また、なわばりは繁殖期だけでなく、冬もそれを維持すると思われています(「カラスはどんな生き物か」日本野鳥の会嘱託専門員:松田道生氏、カラス及びハクビシンの捕獲講習会資料より)。

考察(宮本
私の近辺(広島県福山市周辺のカラスを観察していると、2月から営巣していいるものを見つけました。青木さんの情報の通り、ハシボソガラスでした。
なお、長野の伊東さんからは、
「我家に大きな桐の木があったときには毎年カラスが巣をかけました。桐の葉っぱがりっぱに繁っていたので5月も後半〜6月だったと思います。」
埼玉の岩瀬さんからは、
「カラスの話題がありましたけど、3/20に近くの江戸川の土手を歩いていたらハシボソガラスが巣にいました。巣の中にいるところを見るともう抱卵しているんでしょうか?」
というような、お便りをいただきました。地方によってもかなり差があるようです。




いわゆる「百匹目の猿」現象ってホントのこと?

「百匹目の猿」現象について
以下のような文章がみられます。(船井幸雄氏・船井総合研究所の講演からの引用です)
「・・・ そういった人びとの意識がパラダイス時代を志向し、ひいてはそれが人類全体の意識となるポイントを説明するよい例に動物学会で有名な『百匹目の猿』という話があります。40年ほど前のことです。宮崎県の東海岸に野生の猿が棲息している幸島という島があります。餌付けをする人がさつま芋を猿にやっていたところ、ある日、一匹のリーダー猿が海水で芋を洗って食べ始めました。こうして食べると泥や砂がとれるし塩味がついておいしい。それを見た他の猿が真似をし始め、ある若い一匹の猿が加わったときからその幸島の猿全員がわーとやりだした。同時に遠く離れた山の猿が、日本中のいろんな所の猿が、その時点から海の中で芋を洗って食べ始めたのです。この仲間に加わった若い一匹のキーポイントを演じた猿のことを象徴的に「百匹目の猿」 というのです。こうした現象は人間やほ乳類だけでなく鳥類や昆虫にまであることがわかっています。これはなにを意味しているかというと人や動物たちの心が見えない部分でつながっているということです。どこかで誰かが良いことをし始めるとそれは集団内で必ず真似され、それが一定のパーセンテージに達すると遠く離れたところでもそのような現象が始まるのです。一番肝心なことは、良いと思うことを誰かが一刻も早く始めることなのです。誰かが始めないとこの現象は起きてこないのです。・・・」


これ、なかなか不思議で、面白い話だと思います。だから、サルとは直接関係ない講演などでもよく引用されるわけです。この話を聞いて、元気になってまず自分からはじめようと、後押しされるわけです。
それはまあ、それでいいのですが、そもそも上記の内容は、信じていいのだろうかという疑問があります。
まず、幸島のサルの研究をした京大霊長類研究所の「幸島の文化猿の意義」を読んでみると、幸島のサルの文化活動の経過について、明らかに事実誤認があります。そもそも、芋洗いを始めた天才ザルのイモはリーダーではなく、当時1歳半の子どもザルだったわけです。そのほかにも、多くの事実誤認やずれがあります。)
 そのことよりも、問題は後段です。「同時に遠く離れた山の猿が、日本中のいろんな所の猿が、その時点から海の中で芋を洗って食べ始めた」というのは、どのような研究結果からなのでしょうか?
日本でのことがネタ元のはずなのに、そのもともとの発言(研究)が見つからないのです。Web上で、この現象に触れているものは多数あるのですが、そのネタ元は船井氏の本や講演なのです。
船井氏自身がその事実に当たったというのではなさそうです。(であるとすれば、事実誤認があまりにもお粗末です。)船井氏自身のネタ元は、アメリカのニューエイジ科学者ライアル・ワトソン氏がネタ元のようです。ワトソン氏はこのことが、自明の理であることを前提に、さらに「ある行為をする固体の数が一定量に達すると、その行動はその集団に留まらず、距離や空間を越えて広まってゆくという現象」があると言っているのです。それでは、ワトソン氏のネタ元は何かということです。本当に動物学会で有名なのでしょうか?
このような断定は、お話としては面白いけれど、注意してかからないとだまされる(認識を誤る)と思うのです。
 
参考資料  幸島のニホンザル 渡辺 邦夫・冠地 富士男・山口 直嗣 (京都大学霊長類研究所幸島観察所)
http://miyazaki.4zen.jp/012/04/

やはり「都市伝説」のたぐいでした!!
百匹目の猿現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア (Wikipedia)』
(百匹目の猿 から転送)
百匹目の猿現象(ひゃっぴきめのさる げんしょう)は、都市伝説の1つ。

宮崎県の幸島に棲息する猿の一頭がイモを洗って食べるようになり、この行動が群れ全体(約100匹)に広がった。このとき、場所を隔てた大分県高崎山にいた猿の群れでも突然この行動が見られるようになったという。このように「ある行動、考えなどが、ある一定数を超えると、これが接触のない同類の仲間にも伝播する」という現象を指す。

ライアル・ワトソンがその著書『生命潮流』で述べ、ケン・キース・ジュニアの著書『百番目のサル』によって世界中に広まった。これが日本では『百匹目の猿:思いが世界を変える』(船井幸雄著)で紹介され、ニューエイジ関係で有名になった。

だが実際には、初めに報告されていたニホンザルの逸話は脚色されたもので、突然伝播したという事実は観測されていない。ライアル・ワトソンは河合雅雄の論文によるものとしていたが、その論文でもそのような報告はされておらず、脚色したことをライアル・ワトソン自身も認めたという。

サルが芋を洗うことが最初に観察されたのは、幸島で1953年のことである。高崎山のサルが芋を洗うことは1962年にはじめて確認された。このように、良く似た行動が遠く離れた地点で観察されたことから、当時人々の注目を集めた。1954年出版の『高崎山のサル』には、芋洗いのことは記述されていないが、1973年の講談社文庫版には、幸島のサルと高崎山のサルの芋洗いのことが、あとがきに追加されて紹介された。なお、幸島と高崎山では約200kmも離れているが、9年の間に幸島から高崎山へ移動したサルがいた可能性も否定出来ない。

※上記移動の可能性ですが・・・船井氏の本などでは、幸島が海に囲まれてサルが島外に出ることができないのに・・・と書かれています。しかしながら、幸島は大潮の干潮の時、九州本土と地続きになります。 これも、現地のことを少し調べればわかることです。
尚、研究者の中では、そのような伝搬がなくても・・・人間による餌付けという行為が「イモ洗い」という文化を生み出すきっかけになったと考えられているようです。

このことについての、事実やご意見をお持ちの方ご連絡ください。

okiomoya☆fuchu.or.jp

迷惑メールに苦慮しています。の部分をに換えて発信してください。