QUIZ28 メダカさんは田んぼの友達
日本全国どこにでもいる、とりわけなじみ深い魚であるメダカは、水田の文化の変化によって、ここ最近では絶滅危惧第二種になってしまっています。
そんな、メダカさんの謎に迫ってみましょう。
(1)メダカさんは漢字で書くと
a.芽鷹
b.目高
c.馬他家
d.米貴
解答:b.目高
解説:メダカさんの目は大きく、頭部の上端から飛び出していて、「目が高い」のです。だから、漢字ではこのように書くことがあるのです。メダカは川の中で目で目標を見つめて自分の位置を決めています。目はメダカにとって重要な器官なのです。
メダカを目高と呼ぶように決めたのは、貝原益軒(かいばらえきけん 1630〜1714)と言う人です。「大和本草」という本の中に書いています。益軒は、江戸前期の儒学者・博物学者・庶民教育者として知られている人です。
漢字はでは、目高の他に丁班魚、番代魚、撮千魚、、麥魚などが使われるそうですが、いったいどう読むのでしょう。
メダカさんの問題2へ
(2)メダカさんて、世界で一番・・・
a.小さな魚です
b.有名な魚です
c.多くの名前を持っている魚です
d.美味しい魚です
解答:c.多くの名前を持っている魚です
解説: 日本魚類学会編「日本産魚名大辞典」には2600をこえる地方名が採集されています。このほかにも昔の子ども達が使ってきた言葉も入れると、全部で5000位有ると言われています( ・_・;)。これに対して、アユには、ほとんど別名がありません。アユは利用価値が高く、税としても扱われていますから、ほぼ全国共通になったようです。
一方、メダカは、その土地土地で子ども達と接し、それぞれに呼び名をつけて、統一しなければならない要素がないので、こんなに沢山の名前が付いたのでしょう。
しかも、日本だけで無く東南アジアから東アジア各地にもメダカはいます。それぞれの地でも、メダカさんはとても多くの名前を持っていますから・・・・、世界で最も名前の多い魚ということになっているのです。
メダカの地方名について
メダカが、世界一美味しいとは言えないと思いますが、食べる文化も有ったようです。
このことについて
メダカさんの問題3へ
(3)野生のメダカさんが棲(す)んでいないのは?
a.北海道
b.本州
c.四国
d.九州
e.沖縄
解答:a.北海道
解説:北海道以外の日本全土に棲んでいるのです。
ちなみに、世界中でメダカさんの仲間は、東南アジアから東アジアの暖かい地方に多く棲んでいます。北海道は、メダカには寒すぎるのでしょう。
メダカさんの問題4へ
(4)メダカさんに有るものは
a.歯
b.足
c.角(つの)
解答:a.歯
解説:魚には、歯がないように思いますがメダカにはちゃんと歯があります。 歯を使って、食べ物を食べているんでですね。
メダカさんの問題5へ
(5)メダカさんの好きな環境は
a.流れの無いところ
b.にぎやかなところ
c.日陰の冷たいところ
d.大きな川
e.深いところ
解答:a.流れの無いところ
解説:流れのあるところにも行きますが、好きなところは流れのないところです。
「メダカの学校」では、「そっと覗いて見てご覧」と歌われています。これは、本当です。メダカは静かなところが好きなんです。
メダカはもともと東南アジアに多く分布しています。暖かいところが好きです。上の問題にも出しましたが、寒い北海道にはいません。
童謡「春の小川」の2番に
春の小川は さらさらいくよ
えびやめだかや 小ぶなの群(む)れに
きょうも一日(いちにち) ひなたでおよぎ
遊(あそ)べ遊べと ささやきながら
とあります。大きな川より、小川に棲んでいて、しかも太陽光線の良くはいる浅い水に棲んでいます。だから、親しみやすいのです。
メダカさんの問題6へ
(6)メダカさんのえさにならないのは
a.ミジンコ
b.イトミミズ
c.稲のくきや葉っぱ
d.水草
解答:c.稲のくきや葉っぱ
解説:メダカはなんでもよく食べる雑食性です。植物プランクトン、動物プランクトン、草、花、小さな昆虫などを食べます。ミジンコは大好物です。そんなメダカさんでも、稲のくきや葉っぱは硬いので、そのままでは食べられません。水田にメダカがいても大丈夫です。
水田の文化と共にメダカは広がっていったと考えられます。
メダカさんの問題7へ
(7)メダカさんは卵をどのように産むのでしょう
a.砂の中に産み付ける
b.卵を水の中にばらまく
c.卵はおしりについている
d.オスの口の中に産み付ける
解答:c.卵はおしりについている
解説:メダカのメスは、生んだ卵をしばらくおしりのそばにつけているます。そのうちに、水草やアオミドロのようなものにこすりつけてくっつけます。なんと、メダカの卵には細い糸のようなものがついていて、これが接着剤の役目をして水草にくっつくというわけです。
メダカさんの問題8へ
(8)メダカさんのオスとメスはどこでわかるの
a.オスはしりびれが大きい
b.オスには卵を入れる袋がある
c.メスは背びれに切れ込みがある
d.メスには卵を生むくだがある
解答:a.オスはしりびれが大きい
解説:メダカのオスとメスは、しりびれの形で区別します。オスは、しりびれのはばが広くて平行四辺形に近い形をしています。メスははばが少しせまい三角形(あるいは台形)に近い形をしています。
また、背びれでも区別がつきます。オスの背びれには切れ込みがあり、メスの背びれには切れ込みがありません。
ニホンメダカ博物館http://ns-it.jp/medaka/museum/index.html の
ニホンメダカ産卵室
http://ns-it.jp/medaka/museum/sanran.html に画像があります。
メダカさんの問題9へ
(9)メダカさんは釣ることができるの?
a.簡単簡単、どんなえさでもすぐ食いついてきます
b.無理無理、あんな小さな口では、針が入らない
c.努力次第、知恵と工夫でつります
解答:c.努力次第、知恵と工夫でつります
解説:日本で一番小さな魚ですから、普通に考えると釣り上げるのは無理です。でも、難しいことに挑戦したくなるのが人間の面白いところです。昭和のはじめころに中村桝蔵さんというメダカ釣りの名人がいたそうです。綿毛のような小さな鉤を、カイコの繭(まゆ)からとった絹でハリスをつくって釣っていたそうです。その上、釣りやすい春や夏をわざわざ避けて、冬にうまく釣り上げて自慢していたとのことです。落語家の桂歌丸さんは戦後まもなくメダカ釣りを楽しんでいたそうです。
東京の税務署に勤めている清水孝充さんはメダカ釣りの名人。清水さんはの工夫は、赤虫の頭を下にして鉤につけ、水面にそっと落してスーッと引っぱるのだそうです。つまり餌を鉤にするという方法で、天気の条件が良ければ、一時間に50匹でも100匹でも釣れるというから凄い。
い
メダカさんの問題10へ
(10)メダカさんは次のどの魚の仲間でしょう。
a.イワシ
b.フナ
c.トビウオ
解答:c.トビウオ
解説:メダカは、トビウオの仲間なんです。メダカは、海の魚であるトビウオ、サンマ、サヨリなどとよく似た次のような特徴を持っています。
・下あごが出ている
・ヒレの位置
・尻ビレが大きい
・卵に毛が生えている
・卵に付着糸がある
・卵に油滴がある
・精子と卵共に海水中でも受精能力がある
メダカさんのうんちく集
メダカの地方名について
メダカにはたくさんの呼び名があります。例えば、ミミンジャコは石川県など北陸地方、タカマミは沖縄県、ウルメは新潟から東北の日本海側にあるよび名です。「メダカ」というのは、おもに関東地方で呼ばれていた名前です。
その名付け方は,目,水面を泳ぐ,小型である,群れをなす,他の魚との混同,田・稲・米にちなんだもの,子供の遊び相手にちなんだものなどがあります。柴田さんという方は、多くのメダカの方言を、ザコ、ジャコ、メザコ、メダカ、メンバ、メンタ、ウキス等々の19類に大別されているそうです。具体的に多くの名前が知りたい人は
枚方いきもの調査会「メダカと魚部会(メダカの楽校)」
http://www.geocities.jp/ruoto2001jp/index.htm
の中に
日本のメダカ地方名、方言集
http://www.geocities.jp/ruoto2001jp/hanasi/hougenn/hougenn.htm
食用・薬用のメダカ
小さなメダカを食用にするなどと言うことは、ちょっと無さそうに思います。
ところが、たくさんメダカが採れた越後平野の一部では、メダカをすりつぶして団子にして、野菜を加えて汁に入れて食べる習慣が有ったそうです。三重県でもみそ汁の実にするところが有るそうです。秋から冬にかけては、産卵期よりも体内に栄養が蓄えられるでからでしょうか、美味しいのだそうです。
汁の実だけでは有りません。佃煮やトウガラシ煮にする地方もあります。新潟県見附地方では、メダカの甘露煮を酒の肴にしていて、今でもメダカの田舎煮として市販もされているのだそうで、一度食べてみたいものです。
またメダカをいったんゆでてから乾燥させて、醤油をかけて食べるという習慣もあるそうです。
単に食用だけでなく、メダカは薬になるという言い伝えもあって、「メダカを生きたまま呑みこむと目の病気にきく」とか「乳腺炎の際にメダカを呑むと乳がよく出て腫れもひく」
といいます。目に効くというのは、体のわりに大きな目を持つメダカからのイメージでしょう。乳のほうは、栄養不足だった時の栄養補給の効果があったのでしょうか。
「メダカを食べると水泳が上達する」「若いメダカは胃病に効く」「しもやけや肺病に効く」と言うものまで有って、梶井基次郎の小説「のんきな患者」のなかに、荒物屋であるおやじが、肺病の娘にのませるためにたびたびメダカをとりに行く話があるそうです。
もっとも、水田の環境変化にともなって、全国からメダカの姿が急速に減って、野生のいわゆる黒メダカは絶滅危惧種に指定されています。もうむやみにとらない方が良いでしょう。そのためというわけではないのですが、「メダカを殺したり食べたりすると出目になる」とか、「罰が当たる」等という言い伝えもあります。大切にしましょう。
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