自然のおもしろクイズ
回答編
問題や解答に疑問や助言や感想がある人、
新しい問題の提案がある人(できれば、解答と解説付きで)
okiomoya☆fuchu.or.jp にメールください。
迷惑メールに苦慮しています。の部分をに換えて発信してください。
おもしろクイズの解答と解説について
内容については私なりに様々な書籍やネット上の資料を調べて書いています。しかし、本にしろネット上の資料にしろ必ずしも科学的に正しいとは限りません。また、書かれた時点では通説とされていても、その後より妥当性のある説が発表されいている可能性があります。
私が調べた時点でも、異なる説が見つかる場合が多いです。その場合、私の判断で確からしい内容を正解として書かせてもらっています。私自身は専門家ではないので、所詮素人判断といえます。
このクイズを参考して色々と判断されることはかまいませんが、それぞれの判断と責任でご利用ください。

QUIZ23 カワウソくんをさがせ

(1)カワウソくんを見つけたゾ!と間違えられる生き物は?(複数回答)
a.イタチ
b.テン
c.ミンク
d.ハクビシン
e.ヌートリア
f.カッパ
解答:a.イタチ,b.テン,c.ミンク,d.ハクビシン,e.ヌートリア
解説:カワウソを見つけたという情報も、調べてみるとほとんど上記の動物です。
カワウソは、食肉目イタチ科、カワウソ亜科の生き物の総称です(4属3種に分かれています)。イタチ・テン・ミンクはいずれもイタチ科で、体形は(大きさはともかく)よく似ています。ハクビシンはジャコウネコ科、ヌートリアはカプロミス科(ネズミの仲間です)で、体形は異なるのですが、いずれも泳ぎが得意で水の中を頭だけ出して歩いている姿を見られて、スワ!カワウソ発見!!ということになってしまうようです。
ミンクは、本来日本にはいなかった生き物ですが、北海道で毛皮目的のために養殖されていたものが逃げ出し道内で繁殖し、野生化しています(いわゆる帰化動物です)。大きさも体形も近いので、北海道のカワウソ情報の多くはミンクのようです。
一方、ヌートリアももともと日本にはいなかった生き物ですが、戦争中に毛皮と食肉目的で南米から持ち込まれ、養殖していたものを、逃がしたり逃げ出したりして、野生化して広がっています。ネズミを大きくしたようなものですから、尻尾も体形もかなり違うのですが、水かきをもっているせいもあって、頭だけ出して泳いでいる姿は、カワウソのそれにそっくりです。頭の大きさも近いので、カワウソがいたぞ!!と、大騒ぎになってしまうようです。(岡山や広島には個体数が多いので、個人的にはよく見ます)
 さらに、日本の動物園や水族館でもっともよく見かけるコツメ(小爪)カワウソですが、ペットショップで売られている(!!)ということなので、「逃げ出したコツメカワウソの発見」という可能性が、あるかもしれません。
 ちなみに、カッパは空想上の生き物ですが、多くは「カワウソを見間違えた」ものではないかといわれています。

ヌートリアの名前の由来
ヌートリアはスペイン語で「カワウソの毛皮」という意味の「ルートラ」がなまったもののようです。だから、ヌートリアがカワウソに間違われるのもまあしょうがないですね。

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(2)ニホンカワウソくんの大きさは?
a.頭胴長:45〜50cm、尾長:18〜24cm、体重:1〜1.5kg
b.頭胴長:40〜50cm、尾長:15cm、体重:3〜5kg
c.頭胴長:43〜64p、尾長:25〜43p、体重:6〜10kg
d.頭胴長:49〜76cm、尾長:40〜63cm、体重:3〜5kg
e.頭胴長:60〜80cm、尾長:40〜60cm、体重:5〜12kg
解答:e.頭胴長:60〜80cm、尾長:40〜60cm、体重:5〜12kg
解説:やたら、小さな数字を挙げてしまいました。a.は、テンです。b.は、タヌキです。c.は、ヌートリアです。d.は、ハクビシンです。こうしてみると、大きさだけでは、ヌートリアやハクビシンとは重なってしまうようですね。全長では、1m〜1m20cm

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(3)カワウソくんは毛皮の色は?
a.こげ茶色
b.ピンク
c.緑色
d.紫色
解答:a.こげ茶色
解説:カワウソは全身こげ色ですが、のどから腹部にかけては白色です。

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(4)カワウソくんの走り方は?
a.前足の前に後ろ足を着地させて走る。
b.右足と左足が一直線上に並ぶように走る。
c.尺取虫のように足をそろえて走る。
d.右の前足の上に右の後ろ足を置くように走る。
解答:c.尺取虫のように足をそろえて走る。 a.前足の前に後ろ足を着地させて走る。
解説:走るときは腰を高く上げながら左右の足をそろえてはしるので、尺取虫のように進むことになるようです。
熊谷さとしさんからの情報:「残念ながらシャクトリ虫のようになるのは、てんがかる〜く走っているときだけで、(それもかなり珍しい)
カワウソは他の動物と同じで、前足一緒、それを越えて後ろ足一緒という追記方です。この足跡をどこから読み始めるかによるのですが、確実に前足を跳び終えて後ろ足をつくのでシャクトリ虫とは違いますね。」
と言う情報を頂きましたので、正解を修正します。
また、
歩くときは、長くて太い尻尾が地面をこするので、足跡の間に尻尾の後がつく。と解説してきましたが
「シッポの跡も、よっぽど砂が細かいとか泥の上を遊んだ場合にしかつきません。(熊谷さとし)」
情報ありがとうございました。熊谷さとしさん直々のご指摘で、大変ありがたく思います。
と言うことで
 ちなみに、a.は、ウサギ。b.はキツネなど。d.は、カモシカなど。という解説も
a.は、多くの動物の走り方に成ります。
 ウサギの場合は、前足の着地が揃えてではなく右前足と左前足が前後にかなりはなれるのが特徴となりますが、,問題文の表現ではこれも同じ範疇に入ってしまいます。


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(5)カワウソ君の足でないのは?
a.水かきがついている
b.かぎ爪をもっている
c.ひずめがある。
d.(胴体に比べて)足が短い
解答:c.ひずめがある。
解説:最大の特徴は、水かきがあることでしょう。このため、泳ぎはとても得意です。当然、足跡には水かきのあとがつきますから独特の足跡になります。足跡の大きさも大きく、前足で3cm〜8cm、後ろ足で4cm〜10cmです。
ヌートリアも水かきがあるので、足跡だけでは見分けがつきにくいかもしれませんが・・・カワウソは太い尻尾をひこずったあとがつくそうです。
「シッポの跡も、よっぽど砂が細かいとか泥の上を遊んだ場合にしかつきません。(熊谷さとし)」

カワウソクイズ問題6へ


(6)カワウソくんは主に何を食べるの?
a.魚介類
b.水草
c.キュウリ
d.果実・昆虫・小動物
解答:a.魚介類
解説:基本的に肉食動物です。基本が水中生活なので、魚介類が中心になります。
好物は、鮎・ウグイ・ドジョウ・鮒・鰻・鯉といった川魚やカワエビやカニなどのようです。もっとも、海岸部に生息していたカワウソもいた(いる?)ようですから、それらは海の魚などを食べていたのでしょう。
ちなみに、ヌートリアは草食動物ですから、フィールドサインとしての糞を見つけて、分析してみて、動物質のものを食べていなければ、カワウソではないですね。
ただし、同じイタチ科の仲間は、肉食だし住んでいるところによれば魚介類が餌になるので、専門家でも確定するのはむずかしいようです。ハクビシンのものをカワウソのものと間違えてしまった専門家もいたとか。

カワウソクイズ問題7へ



(7)カワウソくんは主にいつ活動するの?
a.一日中、気が向いたときに
b.朝から夕方まで
c.夕方から早朝まで
d.太陽に関係なく、月が出ている間
解答:c.夕方から早朝まで
解説:基本的に夜行性動物です。動物園等でも、日中はお昼寝タイムなので、「活動的なカワウソ」という印象は持ちにくくなってしまうようです。

カワウソクイズ問題8へ



(8)カワウソ君の地方名でないのはどれ?
a.ガツパ
b.カワブタ
c.カワネコ
d.ホードラ
e.カワブソ
f.ヤマウソ
解答:b.カワブタ
解説:昔は日本中にいたので、それぞれの地方にいろんな呼び名があったようです。たとえば、ガツパ(対馬)、ホードラ(岩手県九戸郡)、カワネコ(青森県)、ヤマウソ(石川県)、ウソ・オソ・カワブソ (山口県)。
それにしても、ヤマウソとカワウソがおなじ生き物とは・・・(汗)。

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(9)ニホンカワウソくんが絶滅の危機にあるのはなぜ?(複数回答)
a.毛皮が防寒にいいのでねらわれた
b.肉がおいしいのでねらわれた
c.肝臓が薬になると信じられていたのでねらわれた
d.川の汚染等で餌になる川魚等が減った
e.護岸工事等で、巣が作れなくなった
解答:a.毛皮が防寒にいいのでねらわれた、c.肝臓が病気に効くと信じられていたのでねらわれた、d.川の汚染等で餌になる川魚等が減った、e.護岸工事等で、巣が作れなくなったのいずれも正解。
解説:ひょっとすると、肉もおいしいのかもしれませんが・・・・
まず減少したのは、明治期以降に猟銃が一般に普及したのに加えて、戦争の防寒着としてカワウソの毛皮が求められたため、狙われたようです。そのほかカワウソの肝臓が病気に効くと思われていたそうです・・(いったい何に効いたのだろう?)。そんなわけで、乱獲されてしまい、一気に生息数を減らしてしまったようです。1928年に狩猟を禁じる処置がとられたようですが、すでに生息数が激減していていました。これにくわえて、経済成長です。里山に見られるような、自然と人の生活が一定の調和の中にあるという状態から、人と自然の関係はどんどん無機的なものになってしまいます。効率優先の結果、農薬の大量使用・自然の中で分解しにくい工業排水や生活廃水の垂れ流しがおこり、餌になる魚の減少。多食のカワウソにとっては耐え難いことでしょうし、生態濃縮によって有害物質のカワウソの体内への蓄積も進んだと考えられます。
もっと深刻だったのは、川や海の護岸工事ではなかったかとおもわれます。コンクリートで固められた岸には、カワウソの繁殖に必要な河川の茂みや海岸の岩場がありません。これでは、繁殖のチャンスを生かせません。そもそも、1〜2年に一度それも2〜3仔しか生まれない上に、こんな事態なのですから・・・・。遺伝子の偏りも問題ですね。
きっと、まだニホンカワウソはこの日本に生きているのです。そう信じてカワウソの住むことのできる環境を用意しておきたいですね

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QUIZ24
ニホンザルさんのイモ洗い

(1)次の国の中で野性のサルがいる国はどこ(複数回答) 
a.日本
b.アメリカ
c.イギリス
d.フランス
e.イタリア
f.オーストリア
g.メキシコ
h.インド
解答:a.日本、g.メキシコ、h.インド
解説:サルの仲間はもともと熱帯性の動物で、基本的に暖かいところに生息しています。
中南米大陸やアフリカ大陸そしてアジア地方に住んでいて、ヨーロッパ各国にも北米各国にも野生のサルはいないのです。

ですから欧米の人は動物園ができるまで、サルを見たことがなかったわけです。日本のように昔からサルに接する生活をしていなかったので、いわゆる先進国の人にとってのサルのイメージは、私たちとはかなり違うのです。

参考資料(北限のサル)

ニホンザルクイズ問題2へ



(2)野生のサル(群れ)のいないところ(複数回答)
a.北海道
b.茨城県
c.東京都
d.広島県
e. 佐賀県
f.沖縄県
解答:a.北海道、b.茨城県、f.沖縄県
解説:下北半島が北限のサルですから、北海道にはもちろん野生のサルはいません。そしてニホンザルの分布の南限は屋久島ですから、沖縄県にもいません。その間は生息域のはずですが、茨城県にも、野生のサルがいないのだそうです。あれでも、はぐれサルはいるかもしれませんが、少なくとも群れの形ではいないそうです。
 なぜ茨城県なんでしょう?サルがすめるだけの森がないということでしょうか。

参考資料(ニホンザルの分布)

ニホンザルクイズ問題3へ



(3)ニホンザルが、仲間を呼び集めるときの声は?
a.キャッ、キャッ
b.ホウイ、フィーイ
c.ガッ、ガッ、ガッ
d.クァン、クァルン
e.アツマレー
解答:b.ホウイ、フィーイ
解説:ニホンザルには、言葉とはいえないまでも、サルどうしが合図をするための声が、いろいろとあります。キャッ、キャッは、いじめられたときに発する声。ガッ、ガッ、ガッは、怒ったときの声。クァン、クァルンは、警戒をしらせる声。・・などの声はよく聞かれるそうです。(アツマレーは、ニホンジンが仲間を呼び集めるときの声(*^_^*)
ホウイ、フィーイなどというサルの声を山の中で聞くと鳥の声と間違えることあるそうです。それにしても、サルの鳴き声をまねるときに普通に使う「キャッキャ」がいじめられた時に発する声だったとは。

ニホンザルクイズ問題4へ



(4)次の中でサルの仲間でないのは?
a.アイアイ
b.チンパンジー
c.ロリス
d.モーマセット
e.ヒト
f.ヒヨケザル
g.マンドリル
h.テナガザル
解答:f.ヒヨケザル
解説:ヒヨケザルはヒヨケザル目(皮翼目)に分類されるので、分類学的にはサルの仲間ではありません。ネコ位の大きさの動物で、首から手足、そして尾の先端にかけて飛膜と呼ばれる膜があり、この飛膜を広げることで100m以上滑空し、森林の樹から樹へと移動している。ただし、コウモリのようにはばたくことはありません。モモンガやムササビに似ていますが、さらに皮膜は発達しているそうです。

参考資料(分類学でのサル)

ニホンザルクイズ問題5へ



5)ニホンザルは赤ちゃんをどうやって育てるの
a.巣のなかで育てる
b.赤ちゃんを背中におんぶして育てる
c.赤ちゃんをだっこして育てる
解答:c.赤ちゃんをだっこして育てる、ただし3ヶ月が過ぎるころから、b.赤ちゃんを背中におんぶして育てることもあります。
解説:ニホンザルの赤ちゃんは、ほかの動物のように赤ちゃんを育てるための巣を持ちません。だから、お母さんザルは一日中赤ちゃんを抱いていなければなりません。おんぶしていたのでは、木に登ることもできません。
ちなみに、母親の乳が(腹ではなく)胸についている哺乳類はヒトを含めてサルの仲間の特徴です。胸に乳があるから、座って状態を立てた状態でだっこして授乳をする行為が可能になるわけですから・・・、ヒトの直立歩行に向けて特別の意味があるのではと思います。(学問の世界ではどのように評価されているのだろう)
 ただし、だっこしているといっても、移動中は赤ちゃん自身がお母さんの胸にしっかりつかまっています。赤ちゃんの握る力はとても強いのです。そして、生まれて3ヶ月過ぎごろになると、歩けるようになります。このころになると赤ちゃんがお母さんの背中にしがみついて移動することも可能になります。おんぶといえばおんぶです。人間のようにお母さんが後ろに手を回しておんぶということではありません。

ニホンザルクイズ問題6へ



(6)離乳したニホンザルの食べ物は
a.群れ全体で用意してくれる
b.両親のサルが用意してくれる
c.母ザルが用意してくれる
d.赤ちゃんザルが自分でさがす
解答:d.赤ちゃんザルが自分でさがす
解説:生まれて3ヶ月くらいで歩けるようになり、食べ物を呑み込むことができるようになります。母親ザルが食べているとしきりにほしがるそうです。ところが、お母さんザルはこれを無視。赤ちゃんにあげることはありません。サルの社会では食べ物は自分で探さなければならないのです。自立が早いですね。

※チンパンジーでは、授乳期間がとても長いのです。母親が死ぬと、姉が育てる。姉がいないときは、兄が母親がわりになって育てるのですが、子どもが5歳になるまでに母親が死ぬと、子どもはみな死んでしまうそうです。チンパンジーにおける授乳期の長すぎることの弊害だそうです、なんでそんなに長いのだろう???

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(7)ニホンザルにも反抗期があるの?
a.そんなもの無い
b.生後3ヶ月ごろから
c.生後3年目ごろから
d.結婚するころから
解答:b.生後3ヶ月ごろから
解説:生まれて3ヶ月目には、母親から離れて、赤ちゃんザルだけで遊びたがるようになります。(ニホンザルは生後6ヶ月くらいまでが赤ちゃん)
食べ物を与えない母親ザルの行動とともに、子ザルの自立を生み出すのにひつようなのでしょう。一方で、母子関係は、とても強く赤ちゃんザルは母親に付きっ切りです。お母さんは自分の手の届く範囲で赤ちゃんを遊ばせます。乱暴なサルからも母親ザルが守ります。
この時期は、子ザルにとって母親への依存性と自立性の葛藤の時期でもあるわけです。サルの母親は、愛着と自律という一見相反してものを適当にブレンドして育てるコツを知っているかのように子育てをしているようです。

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(8)ニホンザルはどんな物を食べるの?(次の中で食べないのは?)
a.木の葉
b.木の実
c.草
d.虫
e.魚
f.木の皮
g.石
h.土
解答:g.石
解説:ニホンザルの主食は木の葉や木の実、草などの植物ですが、昆虫やクモなどいろんな物を食べます。木の皮も食べます。宮崎県幸島のサルは魚を食べる文化を手に入れたようです。そしてなんと土。ミネラルがたくさん含まれているので不足している栄養分をこれで補給するのです。
石は食べないと思います。(多分)

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(9)食べものを洗って食べるニホンザルがいるの?
a.そんな器用なのはいません
b.洗う文化を持っているニホンザルもいる
c.ニホンザルは本能的に洗って食べる
解答:b.洗う文化を持っているニホンザルもいる
解説:基本的には、ニホンザルは洗わずに食べます。ところが、宮崎県にある幸島(こうじま)のサル(研究のために観察が行われ、餌としてイモが与えられている)が、その中の一匹の子ザル(一歳半のメスザル)が、1953年の秋、ふとしたことからイモについた砂を水で洗って食べることを発見したのです。(このサルは後に「イモ」と名づけられました)。最初は誰もまねはしませんでしたが、「イモ」の兄弟や子どもが、まねを始めるようになります。10年後には幸島のさるの2/3以上のサルがイモ洗いをするようになっていました。

参考資料 サルの文化行動



参考資料
北限のサル
世界的に見て、ニホンザルは、最も寒さに適応したサルなのです。その北限が、下北半島にいるニホンザルで、「北限のサル」と呼ばれています。北緯41度30分、下北半島(脇野沢村)には人を除くサル類では地球上で最も北に棲むサルということになります。
下北半島のマサカリの刃にあたる西側に沿ってサルは生息しています。その昔、地球が寒冷化してきたときに、南にゆきたいけれど、海があって南下できないで、この地域にサルの分布が残っているということのようです。
下北半島は厳冬期でも−10度以下になることはまれで、北限のサルの特徴は、南方のサルより体重が大きく、体毛が密で長いので、冬の寒さに耐えられると考えられています。
北限のサルについては

下北半島のサル調査会のHPに詳しいです。
http://www.northern-monkey.org/


ニホンザルの分布
「第2回自然環境保全基礎調査(環境庁)」の中で、ニホンザルの分布と雪積、植生状況の関係は次のようにまとめられている
1 多雪地域(150cm積雪深日数50日以上の地域)はニホンザルの分布に直接の制限を与えない。しかし、多雪地域で亜寒帯林がある場合は、ニホンザルの分布は制限される(例外、朝日岳東斜面、岩菅山周辺)。
2 亜寒帯林は明らかにニホンザルの分布の制限要因の一つであって、深い積雪がみられない地域でもニホンザルの分布を制限する(例:北上山地、富士山、八ケ岳、御嶽山)。
3 深い積雪のない地域では、亜寒帯林でもニホンザルの分布が見られる(例:赤石山脈、木曽山脈、金峰山)。これは深い積雪がニホンザルの分布をある程度制限する働きをもっということを示すとともに、これらの地域の他の環境要因(たとえば、亜寒帯林といっても北陸、東北地方のものに比べると、その種組成が異なるといった植生上の、あるいは気温の高さなどの気候上の要因)の多雪地域との相違を示すものとも考えられる。
4 森林率に示される人為的影響は、ニホンザルの分布を制限する最大の要因である。ニホンザルは森林率の低い区画(森林3)でも見られるが、それらの地域での生息率はきわめて低く、このような環境は、ニホンザルの分布を確実に制限している


分類学でのサル
サルは、分類学上は動物界>脊椎動物門>哺乳綱>サル目(霊長類)となります。
その中を大きく分けると、キツネザル亜目(原猿類)とサル亜目(真猿類)に分かれます。
原猿類は、リスやネズミとそっくりなサルらしくない仲間でロリスやキツネザルやアイアイなどがいます。
真猿類は、さらにアフリカ大陸を中心に住む狭鼻猿、メキシコや南アメリカに住む広鼻猿に分かれます。
広鼻下目は中南米にすむサルで、鼻の穴の間隔が広く、穴は外側に向いている。新世界ザルとも呼ばれる。クモザル、マーモセットなどが広鼻下目に属する。
狭鼻下目はアジア、アフリカにすむサルで、鼻の穴の間隔が狭く、穴は下方またはやや前方を向いている。旧世界ザルとも呼ばれる。マントヒヒ、ニホンザル、マンドリルなどが狭鼻下目に属する。
 さらに狭鼻下目の中にヒト上科も含まれます。この中に、テナガザル科とオランウータン科とヒト科があります。学説によって幾分違いがあるのですが、ヒト科の中にチンパンジーやゴリラが含まれます。もちろんヒトも含まれます。
いわゆる類人猿(るいじんえん)は、大型の人に似た形態の猿を総称する通称名です。ヒトの類縁であり、高度な知能を有し、社会的生活を営んでいる。 類人猿は生物学的な分類名称ではないが、便利なので霊長類学などで使われている。一般的には、人類以外のヒト上科に属する種の総称をさします。(伝統的な分類では、オランウータン科と同義であった。科にはオランウータン属・ゴリラ属・チンパンジー属を含む。)
しかし、DNAの進化分析を考慮した新しい分類では、オランウータン科はオランウータンのみとなり、ゴリラ属・チンパンジー属はヒト科に分類されるということです。


サルの文化行動
文化行動
幸島のニホンザルを一躍有名にしたのは、土のついたイモを洗って食べるという新しい行動が生まれ、さらにその行動が群れの中に広がっていったことでした。この行動が発見されるまで、動物は本能に従って行動するのだと言われており、人間の文化と何じようなことがおこるなど、考えられていなかったのです。 その後、イモを洗って食べる行動は、海水で塩味をつけて食べるという行動に変化しました。さらに、砂の上にまかれたムギを砂ごとすくいとって運び、水に接げ込んで砂とムギを分離してから、ムギだけをひろって食べる行動も見られるようになりました。ほかにも、水を恐がらなくなったり、イモを持ち歩くのに2本足で立ったり、新しい行動が見られるようになりました。
 こうした文化行動は、その後群れのサルにひろまり長く続いていくように思われました。けれども、この40年の間にはサルをめぐる状況も大きく変化しています。特に昭和47年以降は、餌の量が大幅に減らされています。まず、ムギを遠くまで運んで水に投げ込んでから食べるようなサルは、すっかり少なくなりました。この方法には致命的な欠陥があって、一旦投げ込んでしまうと、強いサルにすぐ取られてしまうのです。逆に強いサルの中には、水辺で他の弱いサルがムギを進んでくるのを待っている、強奪専門のサルも出てきました。そもそも一度に握って運べるムギの数も限られています丁.だから、餌が少なくなると、この行動は割に合わなくなったのです。
そのぶんムギを洗う行動はずっと機会まかせになったのかもしれません。近くに水があれば、そこに手でムギを砂ごと払い込んでから食べますし、わざわざ砂浜を掘ってプールを作るサルも出てきました。このように、状況に応じていろいろに内容を変えられる、それも文化行動と呼ばれるゆえんなのです。イモは現在では、年に数回ぐらいしか与えません。でもイモ洗い行動はずっと続いていますから、よほどサルにとって魅力のある行動なのでしょう。それとも、幸島のサルは「より旨いものを食べたがる」グルメサルなのでしょうか。イモをゴシゴシこすって洗う行動は少なくなりましたが、きれいに洗ったイモしか売っていない昨今、それは仕方のないことなのでしょう。
 この頃では魚を食うサルが増えてきて困っています。
それは、時々フグを食べているサルを見かけたりするからです。まだ食中毒を起こしたサルはいませんが、大変気になるところです。いずれにせよ、サルの食べ物ひとつとってみても、決して本能だけできまっているのではないということが分かります。
※ 「京都大学霊長類研究所 付属ニホンザル野外観察施設幸島観察所発行の冊子『幸島』」より一部を抜粋したものです。
元の文章です

別の資料です
参考資料  幸島のニホンザル 渡辺 邦夫・冠地 富士男・山口 直嗣 (京都大学霊長類研究所幸島観察所)
http://miyazaki.4zen.jp/012/04/


みやざきの自然
http://miyazaki-4zen.seesaa.net/category/5089103-1.html
※「みやざきの自然」は、宮崎市在住の坂元守雄さんが、1989年に創刊した
自然誌のタイトルです。現在は廃刊されましたが、Web上に残されています。

その中でも幸島に関わる内容です。
    http://miyazaki-4zen.seesaa.net/

Vol.01 00-03 
  こうしま 幸島 HAPPY ISLAND1992
            http://miyazaki-4zen.seesaa.net/article/105166021.html
Vol.01 04-05 
  弁天様と幸島の由来−サルの伝説−
            http://miyazaki-4zen.seesaa.net/article/105166069.html
Vol.01 06-09 
  ニホンザルの社会
            http://miyazaki-4zen.seesaa.net/article/105166091.html
Vol.01 10-13
  サル社会の愛情  三戸サツエ
            http://miyazaki-4zen.seesaa.net/article/105166111.html
Vol.01 14-16
  幸島にあそぶ /有明小学校
            http://miyazaki-4zen.seesaa.net/article/105166130.html
Vol.01 17-17
   幸島のトビ  鈴木素直
            http://miyazaki-4zen.seesaa.net/article/105166149.html
Vol.01 18-20
  幸島とそのサルたちの価値 サル学研究発祥の地  岩本俊孝
             http://miyazaki-4zen.seesaa.net/article/105166163.html
Vol.01 22-23
  サル社会に学ぶ 自然の中で 三戸サツエ
             http://miyazaki-4zen.seesaa.net/article/105166183.html
幸島を訪れた人とその研究
              渡邊 邦夫(京都大学霊長類研究所)
第14号 1997-06
順位と血縁、「リーダー」あるいは「ボス」 2005.11.23  
http://miyazaki-4zen.seesaa.net/category/5089105-1.html

第15号 1998-02
「ニホンザルの社会構造」をめぐって 2006.01.16  
http://miyazaki-4zen.seesaa.net/category/5089105-1.html

第16号 1998-11
三戸サツエさんと河合雅雄先生 2006.02.19  
http://miyazaki-4zen.seesaa.net/category/5089105-1.html

第17号 1999-09
最近の研究者たち 2006.03.19  
http://miyazaki-4zen.seesaa.net/category/5089105-1.html

第18号 2000-10
華やかなりし頃 2006.05.29
http://miyazaki-4zen.seesaa.net/category/5089105-1.html

第19号 2001-09
折々のこと 2006.07.29  
http://miyazaki-4zen.seesaa.net/category/5089105-1.html

第20号 2002-08
「幸島」の果たした役割と今後への展望 2006.10.09
http://miyazaki-4zen.seesaa.net/category/5089105-1.html

疑問
いわゆる「百匹目の猿」現象ってホントのこと?
この件詳しくはこちらへ

ニホンザルさんのイモ洗い問題へ


QUIZ25
カラスさんの知恵比べ

(1)カラスさんの脳はデカイ?
a.そう人間(1.3kg)より大きい脳をもっている
b.そうはいっても、100g前後
c.そうさな、10g前後
d.まあ、5g前後
e.ま、2g前後
解答:c.10g前後
解説: いくらなんでも、カラスの全体重は、ハシボソガラスで320g〜690g、ハシブトガラスで550g〜750gですから、それより重くはない。それでも、ハシブトガラスで10.8gハシボソグラムで8.8gといいますからおよそ10gということになります。
 他の鳥の脳の重さは、スズメ1.2g、カモ5.9g、アヒル6.2g、ハト2.3g、ニワトリ3.6gです。カラスは、とても重いですね。
 ちなみに、ヒトは1200〜1400gですが、クジラは7000g,ゾウは4000gもあります。単純に重量では決められない・・・。人間の体重が60kgくらいだとすると・・・約2.3%、これがカラスの場合は2.5%〜1.2%なのです。

「カラスの脳力の高さについて」もっと詳しく

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(2)カラスさんの学習能力は?次のどれができる?(複数回答)
a.人間の顔を見分けることができる
b.一度覚えると長いこと覚えている
c.秋田犬もプードルもゴールデンレトリバーも犬として認識できる
d.数を数えられる
e.会話ができる
f.いたずら人の車を攻撃する
g.親から子どもが教育を受ける
h.結んだひもをほどくことができる
i.道具を使う
解答:全部できます。ただし、「e.会話ができる」は、言い過ぎかもしれません。
解説:杉田昭栄さんという方が『カラス』という本のなかで、杉田さん自身が実施された実験を紹介されています。15人の顔写真を張った入れ物の一つにだけ餌を入れておくと・・・しっかり学習して、エサをゲットするようになったそうです。この実験で、3週間くらいして実施しても忘れていないそうです。また、カラスは食料を色々な所に隠して、その場所を覚えている。つまりカラスは記憶力が良い。
 そして、犬と鳥とか動物と植物とかの組み合わせで、写真の内容を変えてもわかるようで、概念化・グループ化もできるようです。
 カラスに隠れて写真を撮ろうとして、隠れ場所から出たり入ったりしてごまかそうとしても、数えているようで残っていると警戒を解かないそうです。エサの実験でも、色違いの紙風船の中に異なる数(2・4・6・8・10)のドッグフードを入れておく実験で・・1週間くらいで一番エサの多い紙風船から選ぶようなったと言うことです。色と数の関係を変化させると数日混乱した後、やはり1週間くらいで正解に行くようになるとのことです。少なくとも、量は認識できるようです。
 ナチュラリストの松田道生さん(日本野鳥の会)によると72種類もの鳴き声を収録されているそうです。どうも鳴き声によるコミュニケーションを行っているようです。ということは、言葉を持っていると言っていいのかな。
 カラスは鳥としては珍しく、巣立ち後2ヶ月くらい親と一緒に行動します。この間にエサの取り方や生活のノウハウを親から教えてもらうようです。
 カラスはくちばしを使って、結び目をほどいてしまいます。最初からできるわけではありませんが、何度かトライする内に成功すると、そのやり方を覚えてしまうのです。

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(3)カラスさんの目の能力として正しいのは(2つ選択)
a.色の識別能力がある、暗いところでも見える
b.色の識別能力は無いが、暗いところでも見える
c.色の識別能力は無く、暗いところは見えない。
d.カラスの目は遠視・・・遠いところからばっちり
e.カラスの目は近視・・近いところはばっちり
f.カラスの目は遠近両用、遠くからも近くでもばっちり
解答:a.色の識別能力がある、暗いところでも見える と、f.カラスの目は遠近両用、遠くからも近くでもばっちり が正解
解説:一般に鳥は色の識別能力があります。エサになる木の実など色づいているもの等の識別が必要だからです。
 一方、一般に鳥は夜になると目が利きません。しかし、カラスは、夜目が利きます。カラスの活動時間はさまざまで、早朝まだ暗い内に活動を始める働き者もいます。真っ暗な中でもうカァーカァーと鳴くカラスの声が聞こえます。人間並かそれ以上に夜目が利くようです。
 カラスはトビやタカのようにとても高いところを飛ぶことができ、そこから獲物を見つけることができます。と同時に、すぐ目の前のものを細かく識別できます。たとえは、結んだひもをくちばしでほどくなどという細かい作業も可能なのです。
 ということで、目による識別能力は極めて高いから、下手な案山子などはすぐに見破られてしまいます。

「カラスの目の構造」についてより詳しく

カラスの問題4へ



(4)カラスの鼻は利くの?
a.鼻なんか無い
b.鼻はあるけど鈍い
c.鼻はあって人間並みには利く
d.人間にはかぎ分けられない微妙な匂いをかぎ分ける
解答:b.鼻はあるけど鈍い
解説:カラスに鼻はありますが、匂いを嗅ぐ能力がとても弱いのです。だから、平気で生ゴミをあさることができるのかもしれません。
 だから、臭いを使ったカラスの撃退法はあまり意味が無いようです。

「カラスの嗅覚の仕組み」についてより詳しく

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(5)カラスさんのできない飛び方は
a.翼を広げて静止したまま風に乗るように飛ぶ
b.翼を上下にはばたかせながら飛ぶ
c.高速でビルや木立の間をぬうように飛ぶ
d.音をたてずに飛ぶ
e.スピードを殺して垂直に近い着地
解答:d.音をたてずに飛ぶ
解説:カラスさんはとても器用に色々な飛び方ができます。
タカやトビのようなaの飛び方もできますし、もちろんbの飛び方もできます。仲間同士のおいかけっこ(遊び)の時はcの飛び方をします。そんなときは、時速40km以上も出るようです。羽や尾羽をうまく使ってフワッと垂直着地もやってのけます。
 そんなカラスさんの羽音はかなり大きいです。カラスが近くを飛ぶときに、耳を澄ますとはっきりと羽音を聴くことができます。カラスさんの羽はとても固いので、風を切る音が大きいのです。静かに飛んで、生きた獲物に近づいてとらえるという狩りをしないからそれでもいいのでしょう。

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(6)カラスさんを脅かす(いやがらせる)ことができないのは?
a.テグス(細ひも)を張り巡らす
b.防鳥ネットを張る
c.爆音機
d.カラスの悲鳴(遭難音)
e.防鳥テープ(光沢の強いキラキラ反射するテープ)
f.磁力
g.目玉風船
h.案山子
i.カラスの死骸
j.鉄砲
解答:f.磁力
解説:磁力以外は全部効果があります。磁力は、鳥が渡りをするとき地磁気を感知して方向を判断しているのではないかといわれていて、強い磁力があると、この感覚が乱されて嫌がるのではという作戦ですが・・・。強力な磁場ができているはずの高圧線の鉄塔に巣を作っているので効いてないようです。
 テグスやネットは羽に引っかかったり進入できなかったりで、物理的に防ぐことができます。ただし、テグスの幅がありすぎると、そのうちテグスを避けて飛び込んでくるようになります。ネットも、高すぎると中へ進入してきます。ネットを持ち上げて入って来ることもあります。
 爆音機には驚いて逃げます。ただし、定期的に鳴らしていると、すぐになれてしまって時計代わりになってしまいます。
 遭難音には驚いて逃げますが、頭がいいので具体的な危険が無くて遭難音を発しているカラスもいないことからすぐになれてしまいます。3〜4回くらいは効果があってもその後は、全く気にしない状態になります。
 防鳥テープは、目のいいカラスには怪しく感じるのですが・・・すぐになれてしまいます。
 目玉風船も驚いてよく効果があります。しかし、これも同じところにずーっと置いてあるとすぐになれて無視し出します。
 案山子は、人間が怖いので効果があります。当然、人間の目から見ても見分けが着かないくらいよくできているとより効果があります。ただし、動かないとすぐに見破られてしまいます。
 カラスの死骸は、当然警戒します。それが鮮度のいい本物だとかなり効果が長持ちします。模型も効きますが、本物より早くなれてしまいます。
 カラスは観察力が鋭いので、何か変なこと(いつもと違うこと)があると、とりあえず警戒します。従って、罠にはかかりにくいのです。しかし、変化しないと単なる脅しだとすぐに学習して、なれてしまって無視します。隣近所が同じ脅しを使うとなれる時間も短くなってしまいます。こまめな変更が効果を上げます。

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(7)東京でカラスさんが増えたのはなぜ
a.カラスの病気が減った
b.生ゴミの放置
c.地球温暖化
d.天敵が減った
e.街路や公園に高い木が増えた
解答:b.生ゴミの放置と、e.街路や公園に高い木が増えた
解説:東京(都市)で問題となっているカラスは主にハシブトガラスです。ハシブトガラスは本来森の中を生活場所としていた生き物です。主な食べ物は昆虫や果実、動物の死骸です。ところが都市では人間の出した生ゴミを多く食べます。カラスの強力なくちばしで裂くことができるようなポリ袋で路上に大量の生ゴミがあります。森ではエサの量が季節によって変動して数が抑えられます。逆に,食べ物の量が多い所では,何かの理由で個体数が減っても次の繁殖でその食べもので生きることのできる限度まで回復します。現在,大都市では人が出す生ごみや残飯,人の餌やりによる食べ物の量が多いので、雑食性のカラスはこの食物をうまく利用して,自然界ではありえないほど個体数が増えたと考えられます。
 さらに住宅地や街路、公園にカラスが安心して巣をかけられる高い木がたくさん増えたことも増大の原因のようです。
 東京都全体のカラスの数はおよそ37,000羽にものぼるようです。首都圏で考えると10万羽とも。

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(8)カラスを減らすために本当に有効な方法は
a.ワナを仕掛けて捕獲する
b.カラスを食べる
c.毒を与える
d.生ゴミを減らす
解答:d.生ゴミを減らす
解説:豊富な餌によって個体数が増えたのですから、これを押さえるには、食物量=すなわち生ごみ・残飯を戸外に出さない・残さないことです。出す場合は,簡単に取られないように,人が工夫することです。
 カラスは賢いのでワナも毒もすぐ学習してしまいます。ワナにかかったりするのは若い未熟なカラスだけです。それで少々減らしても、知恵のあるおとなのカラスは残っていますから、餌がある限り増えてしまうのです。それを超える駆除をしたとしても、餌があるなら首都圏を取り巻く地域のカラスが進入してくることも考えられます。
 駆除によって鳥類の個体数をコントロールするのに成功した例は海外を含めてほとんどないのです。


カラス〜都市におけるカラス問題〜
http://www.wbsj.org/nature/kyozon/karasu/index.html

カラスの脳力
 ちなみに、体重と脳の重さを比較するために「脳化指数」という数値があります。これは「脳重÷(体重)の2/3乗」で計算します。これですと・・ヒト0.89、イルカ0.64、チンパンジー0.30、サル0.25、クジラ0.21、これに対してカラス0.16なのです。ちなみにイヌ0.14、ネコ0.12、ウマ0.10、ウサギ0.07、ウシ0.06、ハト0.04、ニワトリ0.03・・・イヌよりも大きいのです。
 しかも、脳の中で呼吸や消化活動など基本的運動を担当する脳幹や小脳は、体の大きさに比例して大きくなる必要があります。これに対して記憶や学習を担当する終脳(大脳)の割合が問題です。これを脳内比(終脳:脳幹)を見ます。カラスはハシブトで6.1、ハシボソ5.7。スズメ3.4、トビ3.2、アヒル2.9、ハト1.6、(ウサギ2.0)ですからやっぱりカラスの学習能力は高そうです。
 重さだけではありません。顕微鏡で見ると・・・太く明瞭な脳神経線維を持っていて情報処理能力も優れているようです。神経伝達物質も豊富です。
 総合的に、かなり高い脳力を持っていると言えるでしょう。

カラスの目の構造
 構造的には網膜には光や色を感じる視細胞があります。視細胞には、光への感受性の高い棹状体(かんじょうたい)細胞と、色や形を見るの錐状体(すいじょうたい)細胞があります。この錐状体細胞がヒトなどほ乳類には3種類、鳥には普通4種類あります。(ほ乳類の多くは色の識別ができない)しかも鳥類の錐状体細胞にはほ乳類には無い「油球」という色素を含んだ脂質の球があって、それがフィルターのような役目をして、特定の波長の光を最も感度よく受像できるように調整されます。油球には赤・黄・青緑・透明の4種類があって、この組み合わせで鳥は人間以上に色の識別能力があると考えられます。
 多くの鳥は錐状体細胞しかなく桿状態細胞がないので夜になると目が見えない鳥目です。もちろんフクロウなど夜行性の鳥には桿状態細胞も持っていて、夜でもある程度のものを見ることができます。カラスも桿状細胞があって、夜目が利きます。眼球の大きさも影響しているのではないでしょうか。ほ乳類は眼球1に対して脳の大きさが8〜14なのに対して、鳥類は1対1です。その上、カラスは脳が大きいのですから・・・。


カラスの嗅覚
 鳥類はほ乳類に比べて嗅覚が発達していません。カラスはその中でも特に発達していないようで、カラスの大きな脳を解剖してみると、匂いを受け取る中枢である臭球が痕跡程度しか無いそうです。嗅神経もハトやニワトリに比べて約3分の1しか無いのです。このことから、カラスの嗅覚は発達していないといえるのです。視覚実験ではきわめて高い能力を示したカラスも、中が見えずに匂いが漏れるようにした容器からエサのある容器を見分ける(かぎ分ける)ことができなかったのです。



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QUIZ26
カブトガニさんは生きている化石

 瀬戸内海には昔はは沢山生息していたそうで、私の小学校の時の担任は食べたことも有ると告白していました。今では、絶滅が心配され、隣の笠岡市(かさおかし)の海岸は、カブトガニさんの生息地として天然記念物(てんねんきねんぶつ)になっています。
さて、このカブトガニさんは、最初に生きている化石(かせき)とされた何とも不思議な生き物です。そして、、ヒトの役にも立つそうです。そんなカブトガニさんの不思議に迫ってみましょう。

(1)カブトガニさんは生きている化石っていうけど、「生きている化石」って何??
a.石のように硬い生き物
b.化石と同じ姿で現代も生きている生き物
c.死んだら石になる生き物
d.石から生まれた生き物
解答:b.化石と同じ姿で現代も生きている生き物
解説:生きている化石というのは、何千万年あるいは何億年も前に繁栄(はんえい)し、今でもなお、原始的な形態を残しながら生き続けている生物をいいます。「生きた化石」とも呼ばれます。地層(ちそう)の中から出土する化石と同じ姿で現代でも生息していることから、このような呼び名が付いたのです。
少し不思議なことがあります。
カブトガニさんの先祖といわれる三葉虫(さんようちゅう)の化石は世界中から発見されるのですが、カブトガニの化石は、イギリスやドイツなどヨーロッパ大陸、北アメリカ、小アジア等では沢山見つかっていても、現在カブトガニの住んでいる地域の一つであるアジアでは発見されていないのです。ちなみに、現在カブトガニがいるのは、北アメリカの東海岸とアジア大陸の東南海岸だけに4種類しかいません。逆にヨーロッパ大陸や小アジアには現在カブトガニがいないのです。
 
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(2)次のうち生きている化石といえば(複数回答)
a.オウムガイ
b.ウミユリ
c.カブトエビ
d.恐竜
e.イチョウ
f.シーラカンス
g.ゴキブリ
解答:a.オウムガイ、b.ウミユリ、c.カブトエビ、e.イチョウ、f.シーラカンス、g.ゴキブリの全てが正解。
解説:いずれも生きている化石といわれています。ただし、恐竜は化石がありますけれど、現存するものがないので、生きている化石とは言えません。
それぞれの、生き物についてなぜ生きている化石かの解説はこちら

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(3)カブトガニさんはどうやって泳ぐの
a.クロール風
b.犬かき風
c.平泳ぎ風
d.背泳ぎ風
e.横泳ぎ風
解答:d.背泳ぎ風
解説:体型からなんとなく犬かき風に泳いでいる感じがしますが、カブトガニが水面近くを泳ぐときには、背泳ぎをするのです。あお向けになり、えらぶたをさかんにあおって水を後方におしやり、尾剣でかじをとりながら、前進します。海では私たちが歩くくらいの速さで泳いでいるそうです。
 普段は、海底をごそごそ歩きながら、餌(えさ)をとっています。そのときは当然、甲羅が上になっています。

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(4)カブトガニさんはどんなところに住んでいるの(複数回答)
a.波風の激しいところ
b.気温の変化のはげしいところ
c.干満の差が大きく、遠浅(とおあさ)海岸であるところ
d.干潟の奥に、入り江に流れ込む川がある
解答:c.干満の差が大きく、遠浅(とおあさ)海岸であるところと、d.干潟の奥に、入り江に流れ込む川がある、両方が正解。
解説:次の問題の産卵場所とも関係するのですが・・・、波風の少ないところ、気温の変化の差が激しく無いところを好みます。ですから、瀬戸内などはその条件を満たすことが多いのです。そのなかで、干満の差が大きくて遠浅海岸で砂泥地の干潟があるところ、そしてその干潟の奥に、入り江に流れ込む川があるようなところに、生息しています。

カブトガニの問題5へ



(5)カブトガニさんが卵を産むのはどんなとこ
a.水深10mくらいの海底
b.干潟(ひがた)
c.満潮の時に海水につかる砂浜
d.満潮の時にも海水につからない砂浜
解答:c.満潮の時に海水につかる砂浜
解説:カブトガニさんは、7月から8月の大潮の満潮時に、入り江の河口付近の砂の中、10〜15センチの深さに卵を産み付けます。そこは、潮が引けば完全に干上がるような所で、人間以外に自然の外敵はほとんどないと思われます。そして、カブトガニさんの卵が孵化(ふか)するためには温度が必要なんですが、産卵した砂地は、強い日差しを受けて温度が高くなり、卵は温められるのです。

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(6)カブトガニのお母さんは身体の中にどれくらい卵を持っているの
a.2個
b.約20個
c.約200個
d.約2,000個
e.約20,000個
f.約200,000個
解答:e.約20,000個
解説:6月の終わりごろになると、気温も、水温も25℃くらいに上がり、そして、7月の終わりから、8月初めにかけて、水温が30℃前後になります。このころが、カブトガニにとって最高の卵を産む時期といえます。ひと晩に、多く産むものは 10個所以上で産みます。一カ所300個くらい一気に産みますから、一晩で3000個以上ということです。

カブトガニの問題7へ



(7)カブトガニさんの夫婦仲はどうなの
a.とても仲良しいつも一緒
b.産卵の時、気の合った相手と夫婦になります
c.一匹のメスの周りに沢山のオスが集まって産卵します
d.産卵が終わるとメスがオスを食べちゃいます。
解答:a.とても仲良しいつも一緒
解説:カブトガニさんは、子どもの時にはカブトガニの専門家でもそれがオスなのかメスなのかわからないと言います。
 日本のカブトガニは、最後のだっぴで初めてオスとメスとの外形的ちがい(第2次性徴)が現われます。
 オスは、前体(頭胸部)の前のふちがあがり、その前のふちに2つのくぼみができます。一方、第2、第3番目の足の先が、太いかぎつめに変わります。 
 メスの方は、尾剣に近い3対の長かったとげが、短かくはえ変わります。この最後のだっぴが終ると、オスが、メスの背中にぴったりとだきつく(抱合という)のに便利なしくみができあがります。
 こうしてメスの後ろから、オスの甲羅の凹んでいるところがぴったり合わさって(日本のカブトガニ場合です)メスの後ろに合体します。一度合体するとするとそのままの格好で年中生活するのです。
 その格好で、大潮の時期の真夜中(夜行性です)の満潮の1時間前ごろから、オスとメスは抱き合ったままの姿で(何しろいつも一緒ですから)海岸に近づいて来ます。岸に近いところから海底の砂を掘って卵を産んでゆきます。
 メスは、深さ10cm位掘ると、直径3mm位の卵を300個くらい一気に生み出します。その直前にオスは精液を出してその卵にかけています。何か合図を出すんでしょうね。このとき、海面には小さなあわが浮かんできて、その次にボカッ、ボカッと大きな泡が吹き上がってくると言います。海面を観察しているとこの下で産卵していることがわかるのです。

カブトガニの問題8へ



(8)カブトガニさんの卵はどれくらいで孵化(ふか)するの
a.1日
b.1週間くらい
c.50日くらい
d.半年くらい
e.1年くらい
解答:c.50日くらい
解説:産卵の翌朝、潮の引いた海岸に行くと、砂浜の中に微妙にくぼんだところが有って、その底には卵の固まりが産み付けられているのです。昨夜産んだ卵をほってみると、砂の色によくにた黄緑色をした、色つやのよい、ひしゃげた卵300個くらいが、くっつき合っているのが見られます。この卵も、時間がたつと少しずつふくらんできます。直径3mmで産み出された卵は6mmくらいにふくらみ、卵の中で4回も脱皮して大きくなって行きます。最終的には三葉虫(さんようちゅう)そっくりの姿になります。そして、約50日後くらいに卵から小さなカブトガニが誕生するのです。

カブトガニの問題9へ



(9)カブトガニさんは卵から大人に(卵を産むように)なるのにどれくらいかかるの
a.1年
b.5年
c.10年以上
d.20年以上
e.50年
解答:c.10年以上
解説:カブトガニは、孵化後、何回脱皮して、何年かかって成体になるのか、今のところはっきりしたことはわからないのだそうです。研究者によって調査結果が違うのです。何しろ成長速度がゆっくりなので10年以上も続けて飼育しなければならないので、なかなか難しいようです。
 岡山県笠岡市にあるカブトガニ博物館では、カブトガニの人工飼育に成功しているのですが、オスについては15回の脱皮をして13年目に、メスは16回の脱皮をして14年目に成体になると推定されています。 

カブトガニの問題10へ



(10)カブトガニさんの成長過程を表す第○齢というのは、何をあらわしているのでしょう
a.何年生きたか
b.身体の大きさ
c.脱皮の回数
d.しっぽの長さ
e.体重
解答:c.脱皮の回数
解説:一回の脱皮で1.3倍くらい大きくなります。脱皮の間隔は1年に1回くらいの間隔(卵の中での脱皮は含みません)なのですが・・・個体によっても違うようですから、第○齢と分かっても、何年生きたのかはなかなか確定的には言えません。
ちなみに、一度脱皮すると1.3倍くらいになるので大きさで何回目の脱皮した後かというのはほぼ推定できるようです。
カブトガニの大きさは全長ではなく、前体幅の大きさで判断しますが、大体次のような大きさになるそうです。
2齢 約8〜10mm
3齢 約11〜13mm
4齢 約14〜18mm
5齢 約19〜25mm
6齢 約26〜34mm
7齢 約35〜44mm
8齢 約45〜60mm
9齢 約61〜79mm
10齢 約80〜104mm

カブトガニの問題11へ



(11)カブトガニさんは、脱皮するとき、どこから脱ぐの
a.頭の方から
b.お腹の方から
d.背中の方から
e.しっぽの先から
f.足から
解答: a.頭の方から
解説:脱皮は、前体の周縁部が割れ、そこから新しい体が出てきます。新しい体は前の小さな殻の中で、きれいに折りたたまれて収まっています。出てくるとシワが伸びて前の体よりも1.3倍ほども大きくなります。カブトガニの脱皮は、非常に複雑です。とりわけ、1000枚ほどもある鰓書(えらしょ)の脱皮は大変です。抜け殻を見ると、一枚一枚の鰓を数えることができます。そんな脱皮ですから、脱皮に失敗するとことがあります。そして、失敗すると死亡してしまうことになります。

カブトガニの問題12へ



(12)カブトガニさんは、クモやサソリに近いとされています。その理由は?
a.色が似てるから
b.呼吸するための器官構造(きかんこうぞう)がにているから
c.進化の過程(かてい)で同じものから発生しているから
d.殻が硬いから
解答:b.呼吸するための器官構造がにているから、c.進化の過程で同じものから発生しているから
解説:カブトガニの尾剣に近い腹面をよく見ると、部厚いえらぶたの下に、何枚ものうすいセロハン状のふくろがあります。これは、本のページのようなえらがたくさん重なっている『鰓書(えらしょ)』といわれるものです。一方、クモの腹部にも、やはり本のページのような『書肺』という呼吸器があります。どちらもよくにたしくみをしています。
○その他にもカブトガニがクモの仲間の共通点には次のようなものがあります。
・頭に触角(しょっかく)がない
・頭胸部には六対の胸肢がある。
・胸肢の第一対は(はさみ状)になっている。
・動物の類縁関係を知る手がかりとされる血清は、クモ類に一番よく似ている。
ということで、クモやサソリに近いとされているのです。

そして、進化の過程を見てみると。
カブトガニの祖先を化石によってたどると、古生代(カンブリア紀)に栄えた三葉虫(さんようちゅう)までさかのぼることができます。しかし、その少し手前に、三葉虫から進化したアグラスピスという祖先がいるのです。このアグラスピスから、一方にはカブトガニの祖先が生まれ、他方にはクモ・サソリの祖先であるウミサソリが生まれたと考えられています。このようにウミサソリとカブトガニは同じ祖先から進化した動物ですが、後にウミサソリは陸上のクモ・サソリヘと進化したのです。

「カブトガニの分類」についてはこちら

カブトガニの問題13へ



(13)カブトガニさんの先祖であるアグラスピスが出現したのはいつ頃
a.デボン紀
b.ジュラ紀
c.カンブリア紀
d.5白亜紀
e.昭和初期
解答:c.カンブリア紀
解説:カブトガニの進化の歴史をたどってみると、約5億7000万年前(カンブリア紀)の三葉虫までさかのぼります。三葉虫から進化し、カブトガニのような姿の生き物が現れたのは約4億年ほど前です。これが少しずつ進化して約2億年前ごろ(ジュラ紀)には、今のカブトガニとほとんど変わらない姿になりました。

カブトガニの問題14へ



(14)カブトガニさんが人間の役に立つって言うけれど・・・・
a.カブトガニの甲羅(こうら)は頑丈なのでヘルメットの代わりになる
b.カブトガニの抜け殻がエイズの特効薬になる
c.カブトガニの血が検査薬になる
d.カブトガニさんの足は箸(はし)に使える
e.f.g.
解答:c.カブトガニの血が検査薬になる
解説:カブトガニの血の中にあるタンパク質は、大腸菌などのばい菌が持っているエンドトキシンという毒素があるとそれを短時間のうちにゼラチン状に固めてしまうのです。なんと、100億分の1g以下の毒素が入ったとしても、それと反応するのです。このことを、1968年アメリカの二人の学者が発見しました。
 おかげで、それまでは面倒な検査を時間をかけなければならなかったものが、とても短
時間(1時間くらいだそうです)でわかるようになったので、早期に発見して処置ができるようになったというのです。この毒素が原因で起きていたショック、ひきつけ、高い熱、吐き気などを防ぐことができ、大変助かっているのです。それだけでは有りません、この薬によって、がんこなカビによる病気や、食べ物、水質、器具などの汚せんも、短かい時間に調べられるのでです。
 さらにさらに、カブトガニの血液中にあるアメーバー状の細胞は、体内に侵入してきた最近を取り囲んで固めるので、人間のガンの早期発見にも利用されているのです。
さらにさらにさらに、最近では、カブトガニの血球成分からつくられた薬によって、エイズウイルスのはんしょくがおさえられ、その活動が弱まるというすばらしい研究も進んでいます。・・・殻がエイズに利くという話はまだ聞きません。

 ちなみに、カブトガニから血を採るのに、量を制限するとカブトガニを殺すことなくで
きますから、ご安心ください。


参考:この問題の作成にあたっては以下の書籍とHPを参考にさせてもらいました。
・『瀬戸内のカブトガニ』著者:土屋圭示 学習研究社の動物の記録シリーズの9
笠岡市カブトガニ博物館
  http://www.city.kasaoka.okayama.jp/0012/0001.html
・東伊予のカブトガニ
http://www.city.toyo.ehime.jp/kabutogani/

カブトガニ以外の生きている化石
○オウムガイ
 古生代のオルドビス紀に出現し、中生代には大いに繁栄しました。しかし、現在ではフィリピンやオーストラリア周辺にわずかに6種類が生息しているに過ぎません。
○ウミユリ
 植物ではなく、ウニなどの棘皮(きょくひ)動物に分類されます。古生代のオルドビス紀に出現し、現在では深海に生息しているため、国内はもとより、海外にでもほとんど生息していません。
○カブトエビ
 約三億年前(古生代石炭紀)に三葉虫から分化したと考えられています。幼生期の姿は三葉虫によく似ているところは、カブトガニと同じですね。分化した当時から現在までほぼ同じ姿を保ち続けた生きている化石です。
○イチョウ
 中生代ジュラ紀の頃には、世界的に分布していたのですが、現在では主に中国と日本及び朝鮮半島にしか自生していない、「生きている化石」です。ヨーロッパには18世紀に再び持ち込まれて、現在はヨーロッパおよび北アメリカでも植栽されています。
○ゴキブリ
 出現したのは約3億年前の古生代石炭紀で、「生きている化石」ともいわれます。本来は熱帯の森林に生息する昆虫で、昼間は朽ち木や落ち葉のかげにひそみ、夜になると出歩いて菌類、樹液、朽ち木、動物の死骸やフンなどを食べる雑食性の昆虫です。やがてその中から寒さや食物に困らない人間の住環境に進出する種類が現れ、害虫として激しく忌み嫌われるようになてしまったというわけです。


カブトガニの分類について
カブトガニは、動物の分類上、節足動物の仲間に入ります。節足動物は、エビ・カニなどの甲殻類、クモ・サソリ・ダニなどのクモ類、チョウ・トンボなどの昆虫類、ムカデ・ヤスデなどの多足類に分けられています。カブトガニはカニの名がついていますが、甲殻類ではなく、クモの仲間に一番近く、尾剣を持つ仲間という意味の、剣尾類と呼ばれています。剣尾類という仲間分けがされたのは、それほど古いことではなく、それ以前は、三葉虫そのものであるとか、甲殻類、またクモ類であるとか、いろいろにいわれてきました。現在は、剣尾類の中のカブトガニ科となっています。



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