自然のおもしろクイズ
回答編]
問題や解答に疑問や助言や感想がある人、
新しい問題の提案がある人(できれば、解答と解説付きで)
okiomoya☆fuchu.or.jp にメールください。
迷惑メールに苦慮しています。の部分をに換えて発信してください。
おもしろクイズの解答と解説について
内容については私なりに様々な書籍やネット上の資料を調べて書いています。しかし、本にしろネット上の資料にしろ必ずしも科学的に正しいとは限りません。また、書かれた時点では通説とされていても、その後より妥当性のある説が発表されいている可能性があります。
私が調べた時点でも、異なる説が見つかる場合が多いです。その場合、私の判断で確からしい内容を正解として書かせてもらっています。私自身は専門家ではないので、所詮素人判断といえます。
このクイズを参考して色々と判断されることはかまいませんが、それぞれの判断と責任でご利用ください。



QUIZ30 ヒガンバナのハナシ

突然現れて土手を真っ赤に染めるヒガンバナは、恐ろしいほど美しく、ある人はそこに極楽を感じ、ある人はそこに地獄を感じます。そんな強烈なヒガンバナの世界を楽しんでください。

(1)ヒガンバナはどうして「彼岸」花なの
a.墓場に咲いているから
b.(秋の)彼岸の頃に咲くから
c.あの世(彼岸)から来た花だから

解答:b.(秋の)彼岸の頃に咲くから
解説:本当に律儀に彼岸(秋分の日)が近づくと咲きますね。気温対応かとも思うのですが、どうも北から南まで、全国的に彼岸の前後に咲くわけですから不思議です。昼と夜のバランスがその指標なんでしょうか?(その年の天候によって開花時期が幾分変動するようですから、気温が因子の一つではあるようです)
  
ヒガンバナの問題2へ


(2)ヒガンバナに葉は無いの?
a.そうです、茎の部分で光合成をしています
b.花の付け根の緑の部分が葉です
c.花が枯れてから葉っぱがでてきます
d.他の植物に寄生しています

解答:c.花が枯れてから葉っぱがでてきます
解説:彼岸が近くなると、一見何もなかった土手や畦につぼみを付けた彼岸花が一気に伸びてきます。何もないと見えた土の下には、彼岸花の球根(正確にはタマネギのように短い茎の周囲に生じた多数の葉が養分を貯えて多肉となり、球形・卵形になったものなので、鱗茎といいます)が有って、それから一気に伸びてきているのです。生長のスピードは一日に10cmにもなることがあります。
 こうして、一斉に華麗な花を咲かせます。見ていると花の時期の終わった彼岸花は枯れてゆきます。 このとき単に枯れているのではなく、栄養分を球根に戻しているのです。入れ替わるようにツルツルの葉が伸びてきます。こうして、他の植物が枯れようかという時期に葉が延びてきて、弱い光りながらライバルのいない中で冬の柔らかな陽を浴びて、葉が茂っているのです。その盛んな葉も、翌年の3月〜5月頃には枯れてしまいます。そのころ他の植物の芽が伸びてくるのですが。彼岸花は、球根になって土の下で静かに秋の彼岸を待つているのです。

ヒガンバナの一年をまとめると・・・秋(9月)に花が咲いて枯れる、冬から春(10月〜4月):つやのある葉を広げて光合成をして栄養分を鱗茎(球根)に蓄えます。新緑の頃になると徐々に地上部は枯れてしまう。春から夏(4月〜8月):地上には何もなくなり、地下では鱗茎(球根)の形で休んでいる。

 花のある時には葉が無く、葉のあるときには花がないので、花と葉を同時に見ることができないのです。このことから朝鮮では、ヒガンバナの事を「サンチョ(相思華)」と呼ぶのだそうです。「花は葉を思い、葉は花を思う」という意味からだそうで、何ともロマンチックな名前ですね。


筒井俊明さんのHP「自然観察館」に彼岸花の一年が写真で紹介されています。
http://homepage3.nifty.com/WANDERER/index.htm

ヒガンバナの問題3へ


(3)ヒガンバナに種は無いの?
a.花が咲くのだからもちろん種ができます
b.ヒガンバナは胞子で広がるのです
c.ヒガンバナは球根で増えてゆきます

解答:c.ヒガンバナは球根で増えてゆきます
解説:日本で見られるヒガンバナには原則として種は有りません。
まれに、種をつけるヒガンバナも有るそうなのですが・・・その種もほとんど芽を出しません。まれなこととして、種が芽を出すことがあるようですが、なかなか生長できないようです。
花が咲き、雌しべや雄しべがあり蜜まで出しているというのにく、種ができないというのはとても変です。いったいこれはどうしたことでしょう。
不稔なのは、種なしスイカと同じ原理です。  

ヒガンバナができない理由について

ヒガンバナの問題4へ


(4)彼岸花は食べられるの
a.デンプンたっぷりの球根を芋(いも)のようにゆでて食べます
b.茎を蕗(ふき)のようにゆでて食べます
c.サラダにして食べるとさっぱりして美味しい
d.天ぷらが美味しいです
e.毒があります食べてはいけません

解答:e.毒があります食べてはいけません
解説:彼岸花には毒があります。それも、かなり強力です。ですから食べてはいけません。下手をすると、死にます。
 根から花まで、アルカロイドの一種の「リコリン」という植物毒を含んでいます。リコリンの最小致死量は、体重10kgに対して静脈注射では0.3gだそうですから・・・、体重60kgの大人でもわずか1.8gで死に到ることになるのです。
球根には「リコリン」だけでなく「ガランタミン」も含まれていて、食べると、嘔吐、下痢、はなはだしい場合は、呼吸麻痺を起こ、大量に食すれば死に至ることもあるのです。
(※リコリンは、ヒガンバナの球根の一部ですから、ヒガンバナを数グラム食べたから死ぬというわけではありませんよ。)

少なくとも、上記調理方では絶対に食べないでください。

ところが、ヒガンバナの別名として「シロイモチ(白い餅)」が有ります。これは、どうしてでしょう。このことについては、次の問題で。 

ヒガンバナの問題5へ


(5)ヒガンバナが田んぼの畦に多いのは何故?
a.ヒガンバナが咲いていると周囲の土が肥えてくるから
b.飢饉の時の非常食になるから
c.ヒガンバナの赤い色が飢饉の時に人々に元気を与えるから
d.野ネズミの害を防ぐため

解答:b.飢饉の時の非常食になるから、d.野ネズミの害を防ぐための両方
解説:ヒガンバナの原産地は中国の長江(揚子江)上流域のようです。日本へはおよそ2500年くらい前(縄文晩期)に稲作技術と同時期に伝来した(人間の手でもたらされた帰化植物)と考えられています。人間が意図的に畦に植えたのです。
 田んぼの畦に植えたのは、前問にもあるように、ヒガンバナの鱗茎(球根)は強い毒を持つことを利用しているのです。毒のために、野ネズミが畦に穴を掘ることがなくなり、で水漏れの原因を防ぐことになるからではないでしょうか。田んぼの水漏れといえばモグラの害があります。もっとも、モグラは肉食動物ですから、ヒガンバナの鱗茎は食べないので関係ないはずですが・・・ヒガンバナがあるとその毒のためにミミズがいなくなるのだそうです・・・とすると、ミミズを主食とするモグラにとっては、ヒガンバナの植えてある畦は魅力のない場所に成ります・・・そんなわけでモグラよけにもなりそうです。(※逆にミミズは土を耕し地味豊かにする働きもしますから・・・ヒガンバナが咲いていると土が肥えるということはなさそうでです)
また、墓地にヒガンバナが多いのも、土葬した遺体をネズミ等から守るのに役だったからではないでしょうか。(死者に手向ける花の意識かもあったと思います)

また、ヒガンバナには、鱗茎の重さの10%ものデンプンがあります。そして、鱗茎に含まれる毒(「リコリン」など)は、水溶性の毒です。ですから飢饉になって、とことん食べるものがなくなったときに、これを掘り出して丁寧に毒抜きして、デンプンを取り出すと、救荒作物として役立つのです。
 天明の大飢饉の時、日本中で多くの人が餓死しました。一戸良行著の『毒草の雑学』によると、岩手県では、人口の2/3もの人が死んでしまった中で、ヒガンバナを食べることのできた村だけが生き残ったというのです。
伊勢地方では、このデンプンで団子をつくり、ホソビダンゴとかヘソビダンゴと呼んでいるそうです。


植物図鑑にも7回くらい水洗いするといいと書いてありますが・・・何しろ有毒ですので、細心の注意をしてください。

ヒガンバナデンプンの取り方について

ヒガンバナの問題6へ


(6)ヒガンバナは薬になるの?
a.すりおろして食べると、便秘に効きます
b.鱗茎(球根)をすりおろして湿布に使う
c.漢方薬です。石蒜(せきさん)といいます
d.毒です薬なんてとんでもないです

解答:b.鱗茎(球根)をすりおろして湿布に使う、c.漢方薬です。石蒜(せきさん)といいます、の両方が正解です
解説:すり下ろして食べたら、大変です。確かに下痢になって便秘はなくなるかも知れませんが、・・危険な毒です、絶対やらないように。
球根(鱗茎)は漢方で石蒜(せきさん)という生薬名があり、利尿や去痰作用があるとされています。
湿布としても有効です。ただし、ヒガンバナの花で遊んでいるだけでかぶれる人もいるのですから、肌の弱い人は、控えた方が良いでしょう。
基本的に、有毒植物なので取り扱いには十分に気をつけることです。特に、幼児が口に入れるようなことがあったら大変ですから、万全の注意をはらいましょう。

ヒガンバナとしての可能性の解説へ

ヒガンバナの問題7へ


(7)赤くないヒガンバナがあるの
a.青いヒガンバナがある
b.黄色いヒガンバナがある
c.白色のヒガンバナがある
d.ヒガンバナは赤、常識です

解答:b.黄色いヒガンバナがある、c.白色のヒガンバナがある
解説:カジバナ(火事花)などの別名からもわかるとおり・・・基本的には赤です。ところが、九州には白いヒガンバナがあり、「日本の植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎も珍しがって持ち帰り移植したということです。その後、色々な人が移植したのでしょう、日本のあちこちで見ることができるようです。

これらは厳密には、赤のヒガンバナとは種が違うのではありますが・・・。

ショウキズイセン(鍾馗水仙):黄色のヒガンバナ
中国,九州南部原産。ショウキランと呼ばれてきたが,ラン科にも同名の植物があるのでショウキズイセンと呼ばれるようになりました。スイセンという名前がついていますが、ヒガンバナ科スイセン属ではなく、ヒガンバナ科ヒガンバナ属ですから分類上は「スイセン」ではありません。
染色体は12本(2n)です。したがって、種ができます。(不稔のことについてはこちら
画像はこちらを
http://divingcat.net/hanahana/sa-so/si/syoukizuisen.html

シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華):白色のヒガンバナ
  2倍体のヒガンバナ(染色体22本)とショウキズイセン(染色体12本)との交雑種とされています。九州が原産という説がありますが、2倍体のヒガンバナがある中国が原産と思われます。これも人間が日本にもたらしたのでしょう。そこが九州でのことだったのでしょうか。染色体は17本(2n)なので、この花もやはり不稔です。(不稔のことについてはこちら
9月中旬に白花または,わずかに桃色の筋が入った花を咲かせます。
画像はこちらを
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/sirobana-manjushage.html

三色のヒガンバナが同時に咲き乱れる様子の画像です
http://yaccyann.maxs.jp/sansiki/index.html

ヒガンバナと雰囲気が少し異なりますが、やはりヒガンバナ科ヒガンバナ属の花として、キツネノカミソリがあります。オレンジ色の花です。
キツネノカミソリの画像はこちらを
http://had0.big.ous.ac.jp/~hada/plantsdic/angiospermae/monocotyledoneae/amarylidaceae/kitsunenokamisori/kitsunenokamisori.htm

ヒガンバナの問題8へ


(8)ヒガンバナのデンプンで糊(のり)を作るとどんな糊になるの
a.シールのように張ったりはがしたりできる糊
b.虫除けになる糊
c.プラスチックをくっつける糊
d.ガラスをくっつける糊

解答:b.虫除けになる糊
解説:ヒガンバナからは、良質のデンプンがとれます。これを、和服の糊付けの糊として使っていたようです。また、ヒガンバナの毒の力か・・・この糊で張ったものは虫に食われる事がないというので、屏風やふすまの下張り、表具細工に用いられていたのです。また、本箱にこの粉末を入れておくだけで、虫除けになったそうです。

ヒガンバナと風船爆弾についてのかいせつ

ヒガンバナの問題9へ


(9)彼岸花の別名はどれ
a.マンジュシャゲ(曼珠沙華)
b.ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)
c.チョーチンバナ(提灯花)
d.シロイモチ(白い餅)
e.ユウレイバナ(幽霊花)
f.カジバナ(火事花)
g.ドクユリ(毒百合)
h.シビトバナ(死人花)
i.オチョーチンボンボラコ
j.レッドスパイダーリリー

解答:全て正解です(^^ゞ
解説:ヒガンバナはとてもとても別名の多い花です。
柳田國男は『野草雑記』の「草の名と子供」のなかで、ヒガンバナには1000を超す里呼び名(方言)が有ると言っています。
a.マンジュシャゲ(曼珠沙華)は、は元々は梵語(サンスクリット)でmanjusaka。「赤い花」「天上の花」という意味だそうです。おめでたい事が起こる兆しとして赤い花が天からふって来ると仏教の経典(法華経)にあるそうですから、なかなか、おめでたい花です・・・。
マンジュシャゲについては、牧野富太郎博士が「 葉が出る前に『まず咲く』から『マンジュシャゲ』である」と言っているそうです。ですから、音が近いので、お経に出てくる曼珠沙華にあてたということも考えられます。ちなみに、仏教のふるさとインドにはヒガンバナはありません。
b.ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)は、花が咲く頃には葉が無く、葉が有るときには花が無い彼岸花の特徴を良く表しています。
c.チョーチンバナ(提灯花)は、その形と色から来るのでしょう。ちなみに、i.オチョーチンボンボラコも、茎を細工して花を提灯のように吊す子どもの遊びからの命名のようです。
子どもの遊びにちなむ名前も多く、この花の茎を折って、数珠の形に真似て首にかけて遊ぶことから、
ジュズカケバナ(数珠かけ花)とかオリカケバナ(折り架け花)なんてのもあります。
d.シロイモチ(白い餅)は、救荒作物としての役割を表すのでしょう。

ところが、膨大な彼岸花の別名は縁起の悪いものも多いのです
e.ユウレイバナ(幽霊花)やh.シビトバナ(死人花)は、墓地に多く咲くからでしょうか・・・他にも、「葬式花」、「地獄花」、「墓花」と類似の名前が多数有ります。
f.カジバナ(火事花)は、その色と一面に咲く様子から来るのでしょうが・・・。同じ火でも「ノダイマツ(野松明)」、や「カエンソウ(火焔草)」などという雅な名前もあります。
g.ドクユリ(毒百合)は、毒を持つからです。・・・他にも「テグサリバナ(手腐り花)」、「シビレバナ(痺れ花)」、「シタマガリ(舌曲)」いやもうさんざんです。
何しろ1000を超す異名を持つといいますから、日本で一番名前を持っている植物と言っていいでしょう。ほかには、こんな名前もあります。
キツネバナ、キツネノタイマツ、キツネノシリヌグイ、ステゴグサ、シタコジケ、ハヌケグサ、ヤクビョウバナ、ニガクサ・・・・
まだまだ続きます。

ちなみに、j.のレッドスパイダーリリーは、欧米での名前です。
学名のradiataは「放射状」という意味で、彼岸花の花のつきかたを表わしているようです。

ヒガンバナの問題TOPへ


ヒガンバナができない理由

ヒガンバナの仲間の中には、普通に種をつけるものもあります(ヒガンバナ属:ショウキズイセン、キツネノカミソリ)。
ヒガンバナの花を見ると、とてもよく目立つ雄しべがあり、立派な雌しべもあります。種ができて当然なのに、種がありません。
ただしヒガンバナの原産地である中国(長江上流)では種の付くヒガンバナが見つかっています。
従って、「ヒガンバナにも種ができる」といっても、必ずしも間違いではないことになりますが・・・・・

ヒガンバナに種ができないのは「種なしスイカ」とほぼ同じ原理ですから、この際、種なしスイカをどのようにして作るのか確認しておきましょう。

まず、普通のスイカの芽に薬を使って処理することで、体細胞(生殖細胞以外の普通の細胞)の染色体(せんしょくたい/細胞内にあるDNA情報を持つ物)の数が、普通のスイカの2倍になるものを作ります。通常のスイカの染色体の数が22本(2倍体と呼ばれ、2nと表記します)なのに対し、処置したスイカは染色体の数が44本(4倍体、4n)になります。
普通の染色体を2倍体というのは、生殖多細胞になるときに半分になれるようにそれぞれの染色体が対になるようになっているからです。すなわち、スイカの場合、生殖細胞(卵子や花粉)の染色体数は11本というわけです。
この44本の染色体を持つスイカ(4n)は生殖細胞でも22本の染色体があります。4倍体のスイカに普通のスイカ(2倍体)の花粉(生殖細胞は11本の染色体を持つ)をつけて受精させると、3倍体(33本)の種が出来ます。 これが、種なしスイカの種子になります。
このスイカ(染色体33本)が生殖細胞をつくるとどうなるでしょう。体細胞の半分になるのが正しいのですが・・・33本は半分にできません。結局、16本とか17本の染色体を持った中途半端なものができてしまうようです。(通常のスイカならば染色体は22本なので、生殖細胞の染色体の数は半分の11本です)これは、単に本数の問題ではなく・・生物として大混乱です。
つまり、3倍体のスイカは、正常な生殖細胞を作る事ができないのです。この3倍体のスイカの花に、普通の2倍体のスイカの花粉をつけると、受粉の刺激によって子房が膨らみますが、種子はできません。
そしてこのまま子房が膨らみ続けると、見た目には綺麗な果実だが中には種のないスイカ、つまり種なしスイカができ上がると言うわけです。

ヒガンバナの場合、中国にある2倍体(2n)のヒガンバナが本来の形です。このヒガンバナは染色体の数は22本です(11本×2)(スイカと同じ数字なのは単なる偶然です)。これがいつの時代かに、何らかの原因(人為的なものではないだろうと思います)で、4倍体のヒガンバナができたのでしょう。これと、2倍体(2n)のヒガンバナが交雑して、3倍体(3n、染色体33本)のヒガンバナができてしまったのです。これが、繁殖にそれほど悪い条件ではなかったのか、中国でも増えていったようです。種を作らない分、鱗茎の生長が早く、正常な2倍体のヒガンバナを凌駕したのではないかと思います。それでも正常な2倍体のヒガンバナも、中国には残っています。
 日本にヒガンバナがもたらされたとき、3倍体のヒガンバナだけが持ち込まれたために、日本では基本的に3倍体のヒガンバナしかない・・。従って、種ができないということになったのでしょう。

 植物学者の牧野富太郎博士もはっきりとヒガンバナには種がないと書かれています。
 ところが、日本でもまれに種をつけたヒガンバナが見つかります。ランダムに組み合わせる内になんとか成立する組み合わせができてしまうということでしょうか。
 こうした種を見つけて、育ててみようという研究心の旺盛な人もいます。なかなか芽が出なかったり、途中で枯れたりとなかなか道のりは厳しいようですが、それでも時にはうまくいくようです。

ヒガンバナの種子の画像
http://www1.seaple.icc.ne.jp/noko/higanbana.html
ヒガンバナの発芽
http://www1.seaple.icc.ne.jp/noko/hi_hatuga.html

 自然状態でも、偶然条件がそろって種ができ、またまた偶然条件がそろって生長するということは有っているのではないかと思います。
 別項で取り上げる、シロバナマンジュシャゲ などの存在も、そのことの現れではないかと思います。

ヒガンバナの仲間の中には、他にも種子のできない(不念の)種が他にも有るというのは、何か特別な事情でもあるのでしょう。
素人の推測ですが、こんな風に考えてみました。・・・・自然界においては多くの種(しゅ)で不念の染色体数になるものができてしまう。けれども、通常はそれは増えることができないから、そのうち消えてゆく。ところが、ヒガンバナの仲間は球根(鱗茎)にる拡大が、そもそも種子での拡大より優れているものができて生き残ってゆく、というのが原因の一つかも知れません。

ヒガンバナデンプンの取り方

何しろ有毒ですので、本当に取るときには十分に気をつけてください

あちこちで紹介されている方法です。

(1)の原色日本植物図鑑(保育社)のヒガンバナの項の最後には
「鱗茎にあるLycorineは、有毒であるから、これを7回ほど水洗いして除けば食べられるでんぷんを得る。」とあります。
※あまりにも簡単な記述で・・・不安ですね

(2)鱗茎を細かく砕き、一昼夜以上流水に浸すと毒が洗い流される。
※ 一昼夜の流水というのなら、そんなに大変ではない気がしてしまいます

(3)日本経済新聞の文化欄で有薗正一郎氏(愛知大学教授)が紹介されていた方法。
「球根を洗ってからつぶし、灰汁(あく)で数時間煮る。その後、水に漬けて毒を流し去る作業を繰り返す。」
※煮てしまったら・・・デンプンが固まらないのでしょうか?
誰か教えてください<(_ _)>

(4)植松 黎 著の『毒草を食べてみた』(文春新書)に載っていた方法
 ヒガンバナの球根の外皮を剥ぐ →
 中身をすりこぎでドロドロにつぶす →
 石臼でさらに細かく挽く →
 清水で繰り返し洗う →
 水底に残った澱粉を天日に干す →
 得られた粉(澱粉)と同量の水を鍋に入れ、ワラビ餅の要領で、糊のようになるまで煮つめてから容器にあけ、冷やしてかためる →
 きざみネギと味噌(または醤油)をつけて食べる
※これくらい丁寧にすれば大丈夫かな

なお、試してみて、下痢をした人もあるようですから、このデンプンを本当に食べるかどうかについては、十分に気をつけて、自己責任でお願いします。 一度に大量に食べるのはやめた方がいいかも。

ヒガンバナとしての可能性

漢方薬として石蒜(せきさん)という生薬名が有るわけで、ちゃんとした薬です。

そして、鱗茎に含まれる毒である「ガランタミン」は、なんと近年、重症筋無力症の改善、小児麻痺後遺症に用いられています。また、抗痴呆薬(アルツハイマー薬)としてオーストリアで開発され、米国、欧州でも販売されいるのです。(ガランタミンは毒物ですから、素人がそれならとヒガンバナを使うのはだめですよ)日本で正式に認可されて販売されるのを待ちましょう。

また、民間療法として、ヒガンバナの球根をすりおろし、ハレモノや肩こりなどにこれで湿布たり、ヒガンバナの球根(鱗茎)とトウゴマ(ヒマシ)の種子(果皮は除く)を当量混ぜすりつぶしたものを足の裏に貼ると(ガ−ゼを置いて貼る)膝(ヒザ)に水が溜まったのを治すことが出来るそうです。
そのほか、民間療法として紹介されているものをあげると・・・
○あかぎれ○いんきん○打ち身○疥癬○脚気○関節リウマチ○肝臓病○胸膜炎○催吐剤として使う○痔○歯痛○しらくも○腎炎○吸い出し(化膿)○タムシ○乳腺炎○捻挫○肺炎○腹膜炎○浮腫○肋膜炎

ヒガンバナと風船爆弾について

 粘着力も格段に強いため、戦争中に風船爆弾使ったという説があります。
風船爆弾とは、太平洋戦争末期、一方的にアメリカによる無差別爆撃を受けていた日本が、アメリカ国内の混乱をねらって作ったものです。直径10メートルの気球に15キロ炸裂爆弾、5キロ焼夷弾(2個)を装着、これに高度調整装置を取り付け、8千メートルから1万メートルまで上げ、冬の偏西風にのせ飛ばして約50時間後に米本土上空に到達し、自動的に落下したり発火する仕掛けになっていたのです。あまりにも遠くかつ広大なアメリカ大陸向けですから、まあどこかで混乱を起こすだろうという、かなり大ざっぱな計画です。とは云いながらがら膨大な予算使っておよそ1万個を飛ばしました。結果、兵器としてはほとんど成功しませんでした。それでも山火事を起こしたとかはあったようなのですが、アメリカでも報道管制があったので、記録が今ひとつはっきりしませんが、300個くらいがアメリカ大陸に到達したようなのです。ただ、その内の一つは、爆発することなくオレゴン州の森の中に落下していました。これを、1945年5月5日、ピクニック中に発見した家族がさわっていて爆発。女性一人、12,13歳の子供5人、計6人の命を奪ったといいます。(考えてみればこれも無差別爆撃ですね)。
膨大な経費をかけた作戦でしたが・・これが日本による、アメリカ本土爆撃の唯一の死傷者ということのようです。この気球は和紙で作られていて、空気が漏れないようにするのにこんにゃく糊を使っていました。
 貼り合わせるのにヒガンバナの糊が使われたという記事を載せているHPがあちこちにあります。しかし、関係の書籍等ではコンニャク糊のことしかふれていません。真相は不明ですが、たぶん、コンニャク糊との混同ではないかと思うのですが

このことに詳しいかたおられませんか。(乞うご連絡)


ヒガンバナの問題TOPへ

QUIZ31 イチョウさんのひらひら

黄金の扇(おうぎ)を思わせる美しい葉が、特徴的なイチョウさんは・・・・
街路樹として使われ、大地を黄金に染めます。
どうして、街路樹に使われるのでしょう。
そんな、イチョウさんのことをクイズにしてみました。

(1)イチョウさんが街路樹に使われるのはなぜ
a.落葉樹だから
b.病害虫にかかりにくいから
c.痩せ地でも良く耐えて成ことができるから
f.幹に水分を蓄え、火に耐えるから
g.強い剪定に耐えるから
h.公害に強いから

解答:全て正解、これらの条件が全てそろうからこそ多く見られるのです。
解説:街路樹は、夏には木陰を提供しつつ、冬には日ざしを邪魔しないようにしなければなりませんから、落葉樹が好ましいのです。とはいえ、茂りすぎては通行の邪魔になりますし、たくさんの落葉も困りますから、刈り込みが必要です。条件の悪い痩せ地に育ち、病害虫や公害に強いことも大切です。イチョウは幹に水分を蓄え、火に耐える。そのため、大正時代には防火のための街路樹としてさかんに植えられたのです。

イチョウ問題2へ

(2)銀杏(ぎんなん:イチョウノの実)のならない木が有るけどどうして
a.それは雄木(男の木)なのです
b.それはまだ子どもの木なのです
c.それは木が弱っているからです
e.その土地がアルカリ性だからです

解答:a.それは雄木(男の木)なのです、あるいはb.それはまだ子どもの木なのですも、c.それは木が弱っているからですの可能性もあります
解説:イチョウは雌雄異株です。雄木は花粉を出す役ですからいつまで経っても実はつけません。
 イチョウさんの雌雄は見分けがつきにくい物です。実が付くようになれば簡単なんですが、雌木でも実が付くようになるのに20年くらいかかるようですから、かなり大きくなっていて銀杏がつかないからといって、雄木とは限らないのです。
そして、木が弱ると、実をつけることができなくなることもあると言うことです。

イチョウ問題3へ


(3)イチョウさんの花はどんな花
a.花びら5枚の白い花
b.筒状の花
c.小さな花が集まった花
e.花びらの無い花

解答:e.花びらの無い花
解説:イチョウの花には花びらがありません。花びらは花粉を運んでもらう虫を呼び寄せるためのものです。ところが、イチョウの花粉は、風によって運ばれます。ですから、花びらを発達させる必要が無いわけです。
    
イチョウ問題4へ

(4)イチョウさんは針葉樹?広葉樹?
a.平らな葉だから広葉樹
b.実は針葉樹
c.なんと、イチョウに葉は無い

解答:b.実は針葉樹
解説:アヒルの足のような扇型の葉からすると・・・広葉樹のように思います。ところが、葉脈を見ると網の目状にはなっていなくて、まっすぐで分岐しません。これは針葉がつながったものです。イチョウの葉の切れ目は、切れ目というようりくっつかなかったと考えると良いのでしょう。

でも、実は・・・分類的には広葉樹でも針葉樹でもないという考え方もあります。

イチョウ問題5へ


(5)イチョウの木はどれくらい前からあるの
a.1億5000万年前から
b.1300万年前から
c.200万年前から
e.100万年前から

解答:a.1億5000万年前から
解説:イチョウは生きている化石のひとつです。今のイチョウの原型は古生代の終わり頃から知られていて、イチョウの仲間が栄えたのは中生代ですから、ちょうど恐竜の栄えた頃です。恐竜は滅びてもイチョウは残りました。ところが、1300万年前くらいに、アメリカ大陸から姿を消してしまいました。さらに、200万年前にはヨーロッパから、100万年前には日本でも絶滅してしまいました。そして、現生のイチョウ一種だけが中国に残ったのです。

イチョウ問題6へ


(6)現生のイチョウが日本にもたらされたのはいつ頃
a.縄文時代の終わり頃、稲と一緒にもたらされた
b.奈良時代に、遣唐使によってもたらされた
c.平安時代に、遣唐使によってもたらされた
e.鎌倉時代に、僧によってもたらされた
f.戦国時代に、宣教師によってもたらされた
g.江戸末期に、黒船によってもたらされた

解答:e.鎌倉時代に、僧によってもたらされた
解説:実は、確実なことは分からないのです(^^ゞ
ただ、太古には世界中にあったイチョウが姿を消し、唯一中国にだけ残りました。この、真の自生地については、定説がまだ無いようですが、現在の安徽省宣城県付近というのが有力だそうです。ここから11世紀初めに北宋王朝の都があった開封に移植されたというのです。
中国で11世紀の事ですから・・・どんなにがんばってもそれ以前には日本には存在しないことになります。
 日本に持ち込まれたのは当然それ以後の事であり、平安後期から鎌倉時代にかけてとされてるようです。寺院に古いイチョウが多いことから僧侶によってもたらされたのではないでしょうか。
 ちなみに、奈良時代の万葉集には出てきませんし、平安時代の枕草子にも書かれていません。文献に現れてくるのは室町時代からということです。ということは・・・平安末から鎌倉時代にかけて各地に残る弘法大師の杖から生えたとされる逆さイチョウの伝説や鶴岡八幡宮で源実朝(みなもと さねとも)が暗殺されたとき・・・暗殺をした公暁が、大イチョウのかげに隠れていたというのは・・嘘??・・・・はっきりしませんが、こうした事が書かれたのは、後の世のことだそうです。
(ヨーロッパには、中国からではなく日本からケンペルにより持ち込まれたのです。)

ということで700年以上の古木は日本には存在しないことになるのですが 、全国には樹齢が1000年を越えるとされる古樹・大樹が多くあります。
帝国森林会編著による日本老樹名木天然記念樹(1962年)には、2000年生のイチョウが長野県にあり、1870年生が福岡県、1600年生が広島、大分に、1550年生が長崎、1500年生が富山と高知の諸県にあるとされているのだそうですが・・・。
幹回りからの類推による樹齢なのでしょう。いずれの日には、木が倒れたときに切り株の年輪を数えてみるとはっきりするでしょう。

全国巨樹イチョウMAP
http://www.kyoboku.com/icho/
http://www.kyoboku.com/47/chiba/tiba.html

イチョウ問題7へ


(7)イチョウさんを漢字で書くと?
a.鴨脚樹
b.銀杏
c.公孫樹
e.胃腸木
f.一葉

解答:a.鴨脚樹、b.銀杏、c.公孫樹のいずれも正解、f.一葉、は???
解説:イチョウは、中国からやってきた木ですから、当然中国名・・・すなわち漢字名があります。
○鴨脚樹(ヤーチャオ・シュー)は、イチョウの葉が扇形で中心が割れていてしかも黄色るところを、鴨(カモ)の足の水かきにみたてた名前で、中国の宋代に使われていた言葉のようです。そして、「ヤーチャオ」→「イチョウ」に転化したようです。
○銀杏(ギンキョウ)は、イチョウの実である銀杏(ぎんなん)が白い核と銀褐色の薄皮の様子から銀色の杏(あんず)の意味のようです。実だけではなく木の事も銀杏といいます。なお、英語ではGinkgoと表しますが、これはギンキョウ(Gingyo)を書き間違えたようです。銀杏は唐音で「インキャウ」と読み、それが「イキャウ」となりしだいに「イチョウ」になった。という説もあります。

杏の実ですなるほどよく似ています。
○公孫樹・・・「公」は祖父の尊称で、祖父が種子をまいても、 実がなるのは孫の代になることから「公孫樹」ということです。種を植えてから花が咲くようになるのに20年くらいかかるそうですから、結婚年齢の早かった頃なら、、まんざら嘘でもなさそうです。
○一葉・・・「いちよう」から「イチョウ」になったという説もあるようです。

イチョウ問題8へ


(8)イチョウさんの中に乳房(チチ)のような物がたれている木があります、あれは??
a.寄生虫によるもので、病気です。
b.イチョウさんの子どもを育てるための文字通り乳房です
c.栄養を蓄えています

解答:c.栄養を蓄えています
解説:イチョウには時折、枝や幹の一部から根のように垂れ下がるものがあります。「気根」のようです。気根といえば、熱帯から亜熱帯の汽水域に発達するマングローブに見られます。ただこの場合は、土壌中に酸素が少ないところに生育しているので、気根を伸ばして呼吸のためのガス交換を行っていると考えられます。これに対して、イチョウにはそのような必要もありません。ということで、過剰な栄養分(デンプン)を蓄えるためのものです。ヤマイモ同じ担根体という器官です。
 これを乳房に見立て、子宝に恵まれるよう、あるいは安産のシンボルとしてあがめられることもあります。ところが、雌木は実をつけるので過剰な栄養分はできにくく、お乳のある木の80%は雄木だというのですから面白いですね。

イチョウ問題9へ


(9)イチョウさんには雄株と雌株が有りますその見分け方として、確実なのは???
a.銀杏(イチョウの実)がつくのが雌木、つかないのが雄木
b.乳房のようなものがたれている木が雌木、たれていないのが雄木
c.枝が水平に出るのが雌木で、立ち上がるのが雄木

解答:どれも不正確です(^^ゞ
解説:イチョウの雌雄は若い木では、見分けがつきません。樹齢20年くらいで花が咲くようになります。その時に雌花がつけば雌株、雄花がつけば雄株ということがはっきりします。ですから、実がつかないから雄木であると思っていたら、まだ生長途中という可能性があるのです。もちろん、実が付いていれば雌株ですが、接ぎ木されている木の場合根の部分は確かではないことになります。
乳房状のものは、むしろ雄木の方に多いのですが、雌木にもあらわれますし、どちらにも現れないことの方が多いのです。
枝の張り具合も、花をつけるようになったイチョウの特徴ですから、若い木ではあてになりません。
 ちなみに、街路樹には銀杏がつかない方が好まれるようです。銀杏の臭さが街路樹にはふさわしくないのでしょう。ところが、幼木の雌雄の判定は難しいので、街路樹には、雌雄の分からな株に雄の木を接ぎ木した物が使われているそうです。


番外 イチョウさん葉っぱが黄金色になるメカニズムを

秋になり日光が弱くなり、気温が低くなると、
→葉っぱのつけねのところに壁ができてきる
→葉っぱから枝の方に養分が流れなくなる
→そのため赤や黄色に変わっていく。

このとき葉っぱの中では
○葉の黄色は色素「カロテノイド」による。 カロテノイドは最初から葉に含まれるが、春から夏にかけては葉緑素の影響により視認はできない。 秋に葉の葉緑素(クロロフィル)が分解することにより、目につくようになる。

参考までに赤くなるのは
○葉の赤色は色素「アントシアン」に由来する。 アントシアンは春から夏にかけての葉には存在せず、 秋に葉に蓄積した糖分と太陽光の影響で発生する。



・「金色の  ちひさき鳥の  かたちして
    銀杏散るなり  夕日の岡に」  
      与謝野晶子(よさのあきこ)

イチョウ問題トップへ


自然のおもしろクイズ目次へ 



QUIZ32 の木に花さけば

 かって「竹は草である」と教えられました。その知識をもとに生物の先生と話をしていたら、「竹は木です」と断言されました。この先生「間違っている・・・」と思いながら相手はその道の専門家なので、中途半端な反論しかできませんでした。さて、実際問題として竹ってどんな植物なの・・・・

(1)筍(たけのこ)はどの部分で生長しているの
a.先端部分(先っぽ)
c.節のところ
d.根本のところ
e.先端と節のところの両方
f.先端と根本のところの両方
g.先端と根本のところの両方
h.節と根本のところの両方
i.先端と節と根本のところの全部
解答:e.先端と節のところの両方
解説:通常植物の生長点は、枝の先や根の先など生長方向の先端部にあります。(そのほかにも、木だと樹皮のすぐ内側に形成層があって太ってゆきますが。筍は太ると言うより。ひたすら天を目指しています。ものすごい勢いで伸びてゆきますが、その秘密は生長点が先端に有るだけでなく、節ごとにある生長帯でも伸びているからなのです。

竹の問題2へ

(2)筍(たけのこ)は、最高1日(24時間)でどれくらい伸びるの
a.最速1日1cmくらい
c.最速1日10cmくらい
d.最速1日20cmくらい
e.最速1日50cmくらい
f.最速1日100cmくらい
g.最速1日200cmくらい
解答:f.最速1日100cmくらい
解説:先の問題のように、筍の生長は先端だけでなく、節ごとに生長するようになっているので、例えば20個の節があればそれぞれ1日に1cm生長しても20cm生長することになります。もっとも生長速度が速くなるのはある程度大きくなってからのようです。この時、マダケ(真竹)では、最速24時間の内に120cmも高くなってしまうことがあるようです。まさに驚異的なスピードです。

竹の問題3へ


(3)筍(たけのこ)が竹になってからの生長は
a.1年に数節分上方へ生長するが、もう太くはならない
c.1年に1mmくらい太くなるが、もう高くはならない
d.1年に数節ぐらい高くなり、1mmくらい太くなる
e.最初の年に生長してからは、もう高くも太くもならない
解答:e.最初の年に生長してからは、もう高くも太くもならない
解説:筍の内は、ものすごい勢いで上方に生長しますが、伸びきってしまうと、高くもならず太くもならず、いわば生長を止めてしまいます。筍の皮は竹の生長帯を保護するために有るようで、そのころになると、竹稈と皮との間に離層ができて脱落するようです。(※ただし、いわゆる笹の場合は、この離層が発達していないので、生長が止まっても皮は残っているようです。)
 ともあれ、一気に生長して太陽の光を受け止めることができるようになると、生長をとめてしまいます。光合成で得たエネルギーは、ひたすら地下茎に送り込みます。このようにしてたっぷりと蓄えたエネルギーがあるからこそ、筍を一気に生長させることができるのです。

竹の問題4へ


(4)筍(たけのこ)はどのようにできるの
a.竹の種を植えると、翌年に伸びてくる
b.竹の芋を植えると、半年後に伸びてくる
c.春になると竹の地下茎から伸びてきます
解答:c.春になると竹の地下茎から伸びてきます
解説:竹に種は存在しますが、芋は存在しません。栄養は地下茎に蓄えておいて、そこから一気に筍を伸ばしてくるのです。
種を植えれば芽が出て、当然竹になりますが、筍のように一気に育つというような育ち方はしないようです。まだ、蓄えたエネルギーが無いのですから、無理なんだと思います。

「種からの生長」については、こちら

竹の問題5へ


(5)竹と笹の見分け方は
a.筍(たけのこ)の皮が生長後は脱落するものが竹
b.筍(たけのこ)の皮が腐るまで付着しているものが竹
c.背丈の高いものが笹
d.丈の低いものが笹
解答:a.筍(たけのこ)の皮が生長後は脱落するものが竹、あるいはd.丈の低いものが笹
解説:日常会話の中で、私たちは竹と笹をそれなりに区別して使っています。その場合の観点としては、とりあえず「丈の低いものが笹」という事にしているように思います。日常会話的にはこれでOKなんだと思います。当然、こんな曖昧な基準では、竹と笹を分類することはできませんが、日常会話としては、これで良いのでしょう。
 ところが、鈴木貞雄博士という方は、「タケ類、ササ類というのは分類学上の区分ではなく、あくまでタケ科の便宜上の区分にすぎない。」とおっしゃっているそうです。昆虫の世界の蝶と蛾の分類のように(これも不明確で、欧米では区別しない)どうも学問的に分類して、両者の間に一線を画するのは無理があるのでしょう。
 上記の事を承知した上で、室井 綽博士という方が定義づけられている「竹の子の皮が生長後は脱落するものを竹、皮が腐るまで付着しているものを笹」という、分類基準を知っていれば少し賢らしいということになります。この基準ですと、大きさによるという一般の基準とも大きな矛盾もなく、それなりにわかり易いですね。

 日本では一般に大型のものをタケ、小型のものをササと呼ぴ慣わしていますが、稈鞘(いわゆる竹の皮)の落ち方で、早落性(早く落ちるもの)のものをタケ、宿存性(長く後まで残る)のものをササと呼ぶ方法もありますが、一般的な見分け方としてはこれらの方法で問題はないようです。 また、昔は使用目的によって,人為的に処理して竹稈(茎)を使用するものを竹,葉を主に利用するときは笹と呼んでく別するということもありました。

 しかし、竹類の分類は現在、完成されてなくて、学者により学名のつけ方がまちまちであるため、この統一が望まれています。このことは竹類の分類が外部形態によるものであり、また、開花周期が非常に長く、交雑についても不明な点が多いなど遣伝的に裏付けられた分類がなされていないという理由もあるようです。

竹の問題6へ


(6)竹の花ってどんな花
a.白い可憐な花びらが5枚
b.黄色い可憐な花びらが5枚
c.花びらのない花
d.竹には花なんかない
解答:c.花びらのない花
解説: 別の問題でも指摘していますが、イネ科(タケ亜科)の植物である竹の仲間は、数十年に一度ですが花を咲かせます。その花は、イネ(稲)と同じように風媒花ですから、とても地味で花びらのない花です。
 この写真は、先日、偶然見ることのできた笹(竹)の花です。
※数十年に一度起こる開花現象がどのようなメカニズムで生じるのかは、昔はホルモン説・化学物質説・物理的影響説、中には太陽黒点説なるものまであったそうですが、「単なる遺伝的に起こる生理的現象」と言っていいだろうとのことです。

竹の問題7へ


(7)竹の花の開花周期は、何年??
a.約120年
b.約60年
c.約30年
d.約10年
e.種類によって違うので、断定的な事は言えない。
解答:e.種類によって違うので、断定的な事は言えない。
解説:色々なHPや書物を調べてみて・・・この開花周期についてはまさに百花繚乱、諸説入り乱れています。中には、同じHPの中で明らかに矛盾した記載が見られます。
 基本的に竹は毎年は花を咲かせず、数十年に一度花を咲かせて枯れます。では、その周期はということになると、実験して確認しようにも、数十年を要します。日本だけで数百種類もある竹類の個別の研究をするのは至難の業ということで・・・ほとんど分かっていません。それでも、マダケがおおよそ120年周期が確認されています。モウソウチクが67年の周期で開花した例が確認されている。そして色々の種類の中には、もっと短い周期で開花が確認されているものがあるので・・・竹類全体をさして断定的に開花周期を言うのは間違いだろうと思います。

「竹の開花周期についての考察」は、こちら

竹の問題8へ


(8)竹の開花を見ることはできるの?
a.身の回りの竹林を、注意深く観察すれば毎年見ることができる
b.2080年代まで待たないと見ることができない・・まあ無理!
c.情報収集の方法がよければ、見ることが可能
解答:c.情報収集の方法がよければ、見ることが可能
解説:開花周期の所でもふれましたが、マダケの開花周期はほぼ120年と言うことになっています。しかも、マダケ(真竹)の場合世界中のマダケの開花周期がシンクロしているようです。この前の開花が世界的に1960年代だったようですので、次は2080代ということになります。お若い方は、それまで生きていることも可能でしょうが、私の場合多分次の開花時期までにこちらの寿命が尽きてしまいそうです。
 でも、モウソウチク(孟宗竹)の場合は、確認されている2例は67年の周期でした、それぞれは別の時期です(1912年→1979年、1930年→1997年)。同じ竹林でも地下茎でつながっている個体は一斉に開花するようですが、つながっていないものは、一斉ではないようです。従って、仮にモウソウチクが67年周期であったとしても、開花周期のずれているものがあるので、探せばいずれ見ることができるでしょう。
 その他の竹や笹もあるので、アンテナを張り巡らせれて情報収集をして、開花情報を得たらフットワーク軽く出かけていくならば、花を見ることが可能になります。私の場合は、偶然でしたが2006年2月に北九州で見ることができました。このときの事は、人と自然の出会い旅46「はじめての笹の花」をご覧ください。

竹の問題9へ


(9)竹は落葉するの
a.竹や笹は常緑ですから落葉しません
b.竹も秋から冬にかけて落葉します
c.竹は春に落葉して新旧交代をします
解答:c.竹は春に落葉して新旧交代をします
解説:竹はいつも緑で落葉なんかしないように見えますが、竹に限らず常緑とされている木でも、葉の新旧交代は行われています。竹の場合は、それが春に起こるようで、短期間ですが黄葉します。そして、落葉し新しい葉がすぐ大きくなるようです。そう思って竹林を見ると、普段でも竹林の中には竹の落葉が敷き詰められています。
ちなみに、この竹の黄葉のことを「竹の秋」というのですが、これが俳句ではちゃんと春の季語になっているのです。

竹の問題10へ


(10)竹は木なの草なの?
a.竹は、年輪ができないから草である
b.竹は、茎が肥大生長しないので草である
c.竹は、死んだ細胞により生体が支持されているので木である
d.竹を木であるとか草であるとか断定できない
解答:全部間違いではない事になるようです。
解説:年輪ができる植物を木、できない植物を草という定義が存在します。これに基づけば、は、正しいと言うことになるのです。
しかし、年輪は組織の生長スピードが季節によって変化することによってできるので、熱帯雨林の木には年輪がありません。これを木で無いというのは無理でしょうから、茎が肥大生長する植物が木本、しないものが草本という定義も存在します。したがって、は、正しいことになります。
上記のどちらの定義に従っても竹は草であることになります。
 ところが、木とは非常に厚くなった細胞質を持つ死んだ細胞により生体が支持されている植物であるという見方もあるのです。細胞が非常に厚い細胞壁を発達させ、死んで生体の支持に使われるようになることを木化、あるいは木質化といいます。そのような木化した部分をもつ植物が木であるという定義が存在するのです。この定義に従えば、は、正しいことになります。
 そして、も正しいとすると、木であるか草であるか断定できない事になるので、も正しい事になります。(個人的には、断定できないとするの立場をとります。)
 ちなみに、私が、若いとき「イネ科の植物なんだから草でしょう」と習った事について言えば、草であるか木であるかをどのような科だからと断定するのは、単純すぎるようです。むしろ、同じ種であっても草か木を特定できないともいえます。例えば、多年草であるキク(菊)は、条件がそろえば枯れることなく連続的に生長し、軸を木化させる種があります。このほかにも、ナス科やマメ科の植物などもそのような種があります。
竹 Bamboo Home Pageの管理者で竹の研究者である渡邊 政俊さんから、「世界の竹博士 上田弘一郎京大名誉教授は『竹は木のようで木でなく、草のようで草でなく、竹は竹だっ!と力説しておられました。」と助言していただきました。なるほど!!

竹 Bamboo Home Page・・・・竹の全般について詳しいHPです

http://www.kyoto.zaq.ne.jp/dkakd107/A.html



からの生長」について

竹は、地下茎を発達させ、そこに蓄えられたエネルギーを使って、筍を一気に生長させます。
ところが、数十年に一度花を咲かせ、実をつけます。その実(種)から、どのように竹になってゆくのでしょうか、種が手に入りにくいこともあって、なかなか実体がつかみにくいものですが・・・・。
知り得た知識を、「想像」で補って書いてみます。

@種からはまず根が出てきます。
A次に、葉が出てきます。(最初の葉は、単子葉植物ですから、一枚のもの)
B次に、本葉が現れます。
 ※この段階でも、そんなに大きくなれません、なぜならここまでの生長の元はは、種に蓄えられたデンプンのエネルギーだからです。
B本葉の光合成によって、エネルギー(デンプン)を蓄えますが、竹の性質で、一旦生長しきるとそれ以上には大きくはなれません。
C上記エネルギーを使って、茎の根元の部分がイネのように分けつ(株別れ)します。(=「新しいシュートが分岐する」と表現するようです)

※竹の研究者である渡邉先生は、シャーレに濾紙を敷いて、その上に竹の種をならべて発芽させて観られたとのことです。(その様子はこちら
「それを小さい植木鉢の土にピンセットで差し込むように植えつけました。
1年目は、小さい個体(高さ10cm程度)がほんの2,3本出るだけです。
2年目から3年目になるにつれて、太くて高い個体が出てきて、その姿も竹の小
型のような感じに成長します。」

ということですから。
D通常よりも小さい筍を出しながら、年を重ねるに従って、前年より大きな筍を発生させて行く。
Eこうして、数年〜10年かかって、普通目にする大きさの竹が発生することになる。
Fさらに、地下茎を発達させて、離れた場所に筍を発生させて、生息域を拡大して行く。

※上記渡邉先生曰く
「つまり、どんなに小さい個体であっても、タケノコから竹に成長を完成したあとは二度と大きくなることは絶対にありません。
ですから、大きな竹になるということは、大きな竹になるタケノコが生えてこない限り大きくならないということです。」
と教えて頂きました。


の開花周期についての考察

竹の開花周期の確認については、クイズの解説本文でも触れたように、極めて困難です。「60年に一度花が咲く」などは、単に長い周期で花が咲くことを象徴的に表しているだけで、あまり根拠の無いことだといえます。そんな中、以下のような資料が下記のHP(の下の方)に有りました。
http://forest.pref.oita.jp/dayori/rd0019/rd001906.htm
http://forest.pref.oita.jp/dayori/rd0020/rd002004.htm (こちらです)
竹の種名開花周期
マダケ・ハチク・クロチク約l20年
ホテイチク 60〜120年
モウソウチク 60〜250?年
Melocanna baccifera約30年

「この他に、熱帯産竹類の中には、毎年あるいは2〜3年の短い同期(周期?)で開花するものもあります。 」ともありました。(※この件についての検討

注:上記HPは、「農林水産省林業試験場西支場造林研究室」で研修を受けられた人の報告文書のようなので、信頼性が高いのだろうと紹介したのですが・・・。竹の研究家である渡邉氏かから、資料として怪しいとのご指摘を受けました。

私としては、実証が難しい開花周期の可能性を様々な事例からそれなりの安全率を見込んで集約したものが上記資料だと思ったのですが。マダケの場合の一斉開花は全世界的にシンクロしているので、花から花の間が約120年であることはほぼ確実であるとしても、他の場合は甚だ怪しいのです。多くの場合一斉に開花して一斉に枯死してしまう場合と違い、部分的に開花して、地下茎で繋がる同一の個体だけが枯死する場合、素人にはその前の開花とその時の開花がどのような関係に有るのか極めて不確かだと言えるからです。このことについて、上記渡邉先生は、「例えば『隣のおじいさんがこの竹は○○年前に花が咲いた』とか、その地方の有力者あるいは篤農家がそう言ったとか、その程度の話はまったく論外です。」とおっしゃっています。どうも、上記表は、そのような不確かな証言を、闇雲に集めて整理したものであるという可能性を否定できないようです。

では、どのようにすれば科学的に「花から花」の周期が確定できるというのでしょうか。数十年という期間を考えると、非常に困難であるといえます。
そのような中で1912年に横浜市郊外で開花し結実したモウソウチクの種子を横浜と京都で植えたものが、67年後(1979年)にどちらも一斉に開花し枯れたのです。気候や土などの条件は違っても同じ年に花が咲いたのです。(※この事例を京都大学の学術報告書に発表されたのが上記指摘を頂いた渡邉先生です)
モウソウチクにつては、1930年に採取された種子が埼玉県や茨城県や埼玉県など植えられて、そのいずれも67年後(1997年)に花を咲かせたのです。このような情報を知ると、しょせん素人の私などは、「モウソウチクの開花周期は67年である」と、断定したくなります。しかし、このような場合でも科学的には断定できないと、渡邉先生自身がおっしゃっています。(素人考えですが)たくさんのモウソウチクの開花事例の中で、はっきりしているこの2例だけで、他の可能性が無いと言えないということなんだろうと思います。

科学は、深いです。

考察、上記で紹介したHPに
「熱帯産竹類の中には、毎年あるいは2〜3年の短い周期で開花するものもあります。」
とあることについての考察です。

種からの生長のところで、解説したように、種から生長して行く段階では、普通の大きさの竹になるには、数年〜10年かかるとされています。
にもかかわらず、「毎年あるいは2〜3年の短い周期で開花する」ことが、起こりうるのでしょうか???
可能性
@そんなことはありえない・・・間違い
Aこの種の竹は開花しても枯れない。→従って開花と枯死がセットになっていない。
 これなら、毎年でも花を咲かすことができる事になります。
 この場合、開花周期といっても「花→次の花」ということで「花→種→発芽→生長→開花」ということを意味しない。・・・これも開花周期と言っていいのでしょうか?(※この点まだよく分かりません。勉強してみます。)
B地下茎で繋がった(従って同じ個体)の竹ではなく、沢山の個体があり、それぞれの個体は一斉開花一斉枯死するが、竹林全体が一斉では無い。従って、毎年あるいは2〜3年に一度、開花現象が起こっている。
 この場合も、開花周期と言って良いのでしょうか?

竹の開花についての参考資料です↓
「咲かせてみようタケの花」
http://www.jafta.or.jp/07_publish/00_fushigi_series/morinoki13.html

「遺伝マーカーを用いたモウソウチク開花パターンの解析」
http://home.hiroshima-u.ac.jp/isagiy/research/phyllostachys1.html
リンク切れになってしまいました。下記参照
http://www.forestbiology.kais.kyoto-u.ac.jp/~isagiy/index.php?%B0%E4%C5%C1%A5%DE%A1%BC%A5%AB%A1%BC%A4%F2%CD%D1%A4%A4%A4%BF%A5%E2%A5%A6%A5%BD%A5%A6%A5%C1%A5%AF%B3%AB%B2%D6%A5%D1%A5%BF%A1%BC%A5%F3%A4%CE%B2%F2%C0%CF


竹の問題トップへ

自然のおもしろクイズ目次へ 


自然のおもしろクイズTへ  自然のおもしろクイズUへ 自然のおもしろクイズVへ
  自然のおもしろクイズWへ 自然のおもしろクイズXへ 自然のおもしろクイズYへ

問題や解答に疑問や助言がある人、okiomoya☆fuchu.or.jp にメールください。
迷惑メールに苦慮しています。の部分をに換えて発信してください。
新しい問題の提案がある人(できれば、解答と解説付きで)メール下さい。
もちろん提案者は明らかにします(匿名希望・ニックネーム希望はお望み通りに)