自然のおもしろクイズ
回答編]U
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新しい問題の提案がある人(できれば、解答と解説付きで)
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おもしろクイズの解答と解説について
内容については私なりに様々な書籍やネット上の資料を調べて書いています。しかし、本にしろネット上の資料にしろ必ずしも科学的に正しいとは限りません。また、書かれた時点では通説とされていても、その後より妥当性のある説が発表されいている可能性があります。
私が調べた時点でも、異なる説が見つかる場合が多いです。その場合、私の判断で確からしい内容を正解として書かせてもらっています。私自身は専門家ではないので、所詮素人判断といえます。
このクイズを参考して色々と判断されることはかまいませんが、それぞれの判断と責任でご利用ください。


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QUIZ35 アリさんの行列・・・

アリといえば、イソップの寓話『アリとセミ(アリとキリギリス)』では、勤勉の代表のようにされています。冬になっても、蓄えのおかげでのんびり生きている事になっていますが・・・はてその実態は。

(1)アリさんはどんな物を食べるの?
a.小動物の死骸(しがい)
b.ミミズ
c.昆虫の卵
d.菌糸(キノコ)
e.草の種子
f.花や葉の蜜腺の分泌物
g.アブラムシなどの分泌する甘露(かんろ)
h.お菓子
i.アリ

解答:種類によって全部ありえます
解説:アリの食性の基本は肉食で、下等なアリのほとんどは肉食です。中には、ムカデの卵だけを専門に食べる種類など、トビムシ、ムカデ、ササラダニなど、ほぼ特定の生物のみを襲って獲物にしている種が多く知られています。他のアリを襲って食べるアリもいます。
 一方、種類によって草食、菌食、雑食が分化しています。生きた動物を襲う種類から自ら栽培した菌類を主食にする種類まで、多種多様な食性が知られています。
 高等なアリの多くは雑食性で、動物性の食物のほかに花や葉の蜜腺の分泌物や、アブラムシなどの分泌する甘露なども加わります。
北アメリカ東岸から中央アメリカ、南アメリカに住むハキリアリは、体長2cmという大きなアリですが、その食べ物は菌類です。しかも、自分たちで菌糸を培養しています。植物の葉を大量に切り取って、地中奥深くに600平方メートルにも及ぶ巨大な巣に運び込みます。葉を養分として「アリタケ」というキノコの仲間を育てて食べているのです。しかも、アリの出すフェロモンで菌糸の成長をコントロールしているそうです。

TBS動物奇想天外での、ハキリアリの行列がみられます。
http://www.tbs.co.jp/doubutsu/ehon_71.html

アリさんの問題2へ

(2)アリさんは見つけた大きな獲物はどうするの
a.見つけた場所に穴を掘って埋めておく
b.その場で噛み砕いて、?嚢(そのう)に入れて持ち帰る
c.まるまるみんなで、巣に運び込む
d.小さく刻んで巣に持ち帰る

解答:b.その場で噛み砕いて、?嚢(そのう)に入れて持ち帰る、c.まるまるみんなで、巣に運び込む、d.小さく刻んで巣に持ち帰る が正解
解説:餌を見つけると、仲間で協力して巣に持ち帰ります。b.のように噛み砕いてそれぞれが持つ?嚢(そのう/社会胃)という一時的に食べ物を蓄える器官に納めて、巣に持ち帰る場合もあります。
 cやdの場合もそのまま巣の中に貯蔵するのではなく、処理して貯蔵します。
 この場合、一匹では対応できないので、フェロモンを使って必要な仲間を呼び集めるようです。
 ノコギリハリアリというアリは、徹底した地中生活者で、大きなジムカデを狩りします。あまりに大きいので、地下のトンネルを移動させるが大変。・・・なんと、自分たちの幼虫を連れてきて、ジムカデにのっけてその場で食べさせてしまうそうです。

アリさんの問題3へ

(3)アリさんはどうしてちゃんと行儀よく列を作れるの
a.近くも遠くも見ることのできる高度な目を持っているから
b.仲間の話を良く聞いて、獲物までの道筋を覚えることができるから
c.嗅覚が鋭くて、獲物からの臭いを頼りに最短距離を歩くから
d.皆で通り道に印を付けているから
e.道を覚えて歩く事ができるから

解答:d.皆で通り道に印を付けているから
解説: フェロモンを使って道しるべを作っています。餌を見つけたアリは、興奮してフェロモンがでます。これ(足跡フェロモン)を地面につけながら巣に帰ります。仲間のアリはそのフェロモンをたどって餌を見つけに行きます。最初はフェロモンが薄いので餌にたどり着けない仲間もでますが、見事に餌にたどり着いた仲間はまたフェロモンの印を付けながら巣に帰ります。こうして、だんだんフェロモンが濃くなって、もう誰も道に迷わなくなり、しっかりと一本の行列ができるわけです。
 ちなみに、別の巣のアリはフェロモンが微妙に違うようで、間違えてよその家の持ち込むということはなさそうです。

アリさんの問題4へ

(4)俵型の卵のようなものをくわえたアリさんの行列が、有りました・・・これは何?
a.エサが不足して引っ越しをしている
b.女王アリが死亡したため、女王アリのいる別の巣へ引っ越ししている
c.新しい女王アリが生まれたので、それまでの女王アリが引っ越しをしている
d.よその巣を襲って、略奪しての帰り
e.巣穴を持たず、放浪している

解答:d.よその巣を襲って、略奪しての帰り、の可能性の方が高い。でもa.エサが不足して引っ越しをしている、e.巣穴を持たず、放浪している種類である可能性もあります。

解説:サムライアリというアリがいます。やたら戦闘力のあるアリなのですが・・・まるで生活力がないのです。エサ集めも、子育ても何もできないのです。
 そこで、6月上旬頃、結婚飛行での交尾を終えた新女王アリは、クロヤマアリの巣に押しかけて女王アリをかみ殺して、女王の座に居座ってしまいます。クロヤマアリの働きアリはこの事態に気づくと、殺害者を攻撃します。ところが、押しかけたサムライアリの女王は、ひたすら耐えます・・・数日すると、なぜか女王アリの世話を始めるというのです。そのようなフェロモンでも出すのでしょうか?
 女王アリは、どんどん卵を産み出します。当然、サムライアリの卵ですが、クロヤマアリの働きアリは、これを育てるのです。しかし、育ったサムライアリの働きアリたちも又、まったく生活力がありません。ひたすら、働かない居候を決め込むわけです。しかし、クロヤマアリの働きアリの寿命は1〜2年ですから、そのうち労働力が不足し始めます。すると、生活力の無いサムライアリたちは別のクロヤマアリの巣をさがします。それが見つかると、大挙して押しかけます。そのたぐいまれなる戦闘力で、抵抗を排除しクロヤマアリの繭や幼虫を略奪してくるのです。白い卵のようなものは繭だったのです。
 略奪してきた繭や幼虫の世話をするのもクロヤマアリの働きアリの仕事です。そして、生まれたクロヤマアリは・・・本能のおもむくまま、働きアリとしての仕事を・・・サムライアリのためにすることになるのです。非道い。

アリさんの問題5へ

(5)アリさんには刺針があるの?
a.針があるのは蜂、アリには針が無くてかみつくだけ
b.アリにも針のある種類がある
c.アリのほとんどの種類には針がある
d.アリは、スズメバチの仲間で、総ての種類に針がある

解答:c.アリのほとんどの種類には針がある
解説:日本では人家の周囲にいるアリの多くが針がなかったり、針が弱いためにあまり刺しません。そのため、アリは刺さずに、強いあごでかみつくと思われています。また、毒も蟻酸(ぎさん)であると思っている人が多いと思います。
 しかし、アリは分類学的には、昆虫網(Insecta)→ハチ目(Hymenoptera)→ハチ亜目(Apocrita)→スズメバチ上科(Vespidae)→アリ科(Formicidae)に属します。立派に蜂の仲間なのです。そして、蜂の中でもスズメバチの仲間から進化したのがアリというわけで、基本的には針があると考えた方が良いようです。ただし、人間を刺すのは例外的で、日本では、ハリアリ亜科のアリです。針は毒腺につながっていて毒が注入されます。(※蜂の種類の内、実際に刺すハチはほんの一握です。そして、ほとんどは人間を刺しません。人間を刺すのは、社会性昆虫であるアシナガバチ、スズメバチ、ミツバチの他にはごく一部です)
 刺すアリの毒は、基本的にハチ毒と同じです。蟻酸を使うのは、基本的にはヤマアリ亜科のアリだけのようで、噛みついたあとに、蟻酸をかけるのだそうです。(ほとんどのアリが蟻酸を持っているのですが人間に対してはあまり使わない)。したがって、それ以外のアリの毒にはアンモニアによる中和は無意味です。ただし、日本でよく見かけるクロオオアリはヤマアリ亜科なので、アリ=蟻酸のイメージが強くなるのでしょう。

アリの体の名称の拡大図
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/66/Ant_worker_morphology_%28ja%29.png

アリとハチの決定的な違いは、腹部の前方にある「腹柄節(ふくへいせつ)」です。腹部と胸部の間の細くくびれて柄のようになったところです。種によって1節あるいは2節になっています。この部分は、ハチには有りません。また、他の昆虫にも無いので、アリだけの特徴といえます。狭い穴の中での生活に適応した結果であろうと考えられています。
腹部の前方の節が細くくびれて柄のようになった「腹柄節」は、昆虫でもアリだけにある器官であり、狭い穴の中での生活に適応すべく役割を果たしている。

アリさんの問題6へ


(6)アリさんの目はどうなっているの
a.複眼が一つ
b.複眼が二つ
c.複眼が二つと単眼が3つ
d.アリに目はない

解答:b.複眼が二つ、あるいはc.複眼が二つと単眼が3つ が正解になります。
解説:アリの雄は一対の複眼の他に3個の単眼が後頭部にあります。これに対して働きアリ(雌)では、単眼は痕跡程度になって消失しています。

アリさんの問題7へ


(7)アリさんに羽はあるの
a.羽があったら蜂になる、アリには羽はない
b.昆虫ですから、大人になると一対二枚の羽があります
c.昆虫ですから、大人になると二対四枚の羽があります
d.雄アリと女王アリには二対四枚の羽があります。

解答:d.雄アリと女王アリには二対四枚の羽があります。
解説: アリは昆虫ですから、2対4枚の羽があるはずですが、働きアリ(雌)には羽が無く、シンプルな胸になります。雄アリと女王アリは、結婚飛行の必要がありますから、羽を持ちます。ただし、結婚飛行が終わると雄アリは死んでしまいますし、女王アリは交尾後に、羽を落とします。

アリさんの問題8へ


(8)同じ種類のアリさんの中で役割分担があります、雌(めす)はどれですか
a.働きアリ
b.兵隊アリ
c.女王アリ
d.処女女王アリ
e.雄アリ

解答:a.働き蟻、b.兵隊蟻、c.女王蟻、d.処女女王アリ のいずれも雌です。
解説:女王アリと処女女王アリはもちろん雌です。そして、働きアリも兵隊アリも総て雌です。受精卵からは総て雌が生まれます。それが、幼虫期に高タンパク質の食物を多く与えられた幼虫は処女女王アリになり、普通の食物を与えられると働きアリや兵隊アリになるのです。働きアリと兵隊アリの違いも、幼虫期の食物の成分や、量の違いから起こるようです。働きアリも雌で、完全に生殖能力が奪われているわけではないので、産卵も可能です。しかし、女王アリの出す抑制フェロモンの影響で産卵しません。また、結婚飛行をしていないので、受精卵を産むことはできません。
 一方、(スズメバチなどの社会性のハチもそうですが)、雄は未受精卵から生まれます。女王アリは生み分けが可能で、通常、コロニーが未成熟な内は、雄アリは産みません。

アリさんの問題9へ

(9)アリさん(成虫)の大きさは
a.種類によっても違いますが2〜10mmくらい
b.種類によっても違いますが1〜14mm
c.種類によっても違いますが1〜30mm

解答:c.種類によっても違いますが1〜30mm
解説:一般的に、成虫には雄アリ、女王アリ、働きアリという三つの役割分担があり、それぞれが特徴的な形態をしています。
 働きアリの大きさは、大半の種で体長が2〜10mmの間に入っています。従って、感覚的にはa.が正しいようにも思えます。また日本国内では、で最小のコツノアリは約1mm、一方クロオオアリでは14mmにもなりますから、b.が正しいようにも思います。ところが、東南アジアに分布するギガスオオアリには30mmに及ぶものがありますから、c.が正解としました。aもbも正解といえるかも知れません。
 尚、女王アリは一般的には働きアリよりかなり大きくなります。ちなみに、サスライアリの女王アリでは、およそ50mmにもなるそうです。

アリさんの問題10へ

(10)アリさんは強いの?
a.アリを怖がる生き物はほとんどいない
b.小さいので隙間に逃げ込めるから戦う必要がない
c.アリは自然界ではかなり恐れられている

解答:c.アリは自然界ではかなり恐れられている
解説:アリは確かに小さな生き物ですが、ハチの仲間ですから毒針を持ちます。その毒は、場合によっては人を死に至らしめるほど強力な種類もあります。また、針の弱い種類でも強力なあごで噛みついたり、蟻酸による攻撃をするなど、自然界ではかなり恐れられています。ですから、他の虫の中には、アリに自分を似せること(擬態)で、敵からの攻撃を回避する作戦をとっているものもいるくらいです。

アリさんの問題11へ


(11)アリさんの寿命は
a.冬になって餌が無くなると死ぬのでおよそ一年
b.餌が蓄えてあるので、一〜二年
c.頑張って十数年
d.とっても長生き50年くらい

解答:b.餌が蓄えてあるので、一〜二年、が正解 ただ、c.頑張って十数年 も女王アリだけなら正解です
解説:アリの仲間の親戚である、スズメバチは1年以内の寿命です。巨大なスズメバチの巣も、冬になれば誰もいなくなります。来年に向けて新しい女王バチ候補だけが越冬します。一方アリは、地中の中の事で正確な研究がないようですが、働きアリで1〜2年くらいのようです。少なくとも、スズメバチよりは、長生きなっているようです。女王アリは、もっと長い寿命のようで、十数年ぐらいと推定されています。女王アリの寿命がそれぞれのアリの巣の寿命と考えていいようです。
 ちなみに、『イソップ寓話』の「アリとセミ(西ヨーロッパにはほとんどいないのでキリギリス)」では、遊んでいるから冬が越せない、とされてしまったセミの寿命は昆虫の世界では驚異的な物です。ありきたりなアブラゼミ当たりで、6〜7年ですし、アメリカには13年とか17年という長命のセミがいます。
実は、セミの方が格段に長生きというわけです。

アリさんの問題12へ

(12)一つの巣(コロニー)にいるアリさんの数はどれくらい
a.数十匹
b.千匹くらい
c.数万匹くらい
d.200万びきくらい
e.2000万匹くらい

解答:全部正解・・種によって異なります。
解説:一つの巣にどれくらいのアリがいるかは、食料等の環境と女王アリの産卵能力や数によると考えられます。クビレハリアリ、カドフシアリでは数十匹でコロニーを形成しています。高等な種類では千〜数万匹になります。日本に生息種する種では、数十から数千匹の働きアリから構成されるのが普通です。たとえば、成熟したクロオオアリのコロニーは、働きアリの数はおよそ1000匹といわれます。クロヤマアリは、複数の女王アリを持ち、数万匹のコロニーを形成することがあるようです。世界に目を広げると、グンタイアリ(巣を持ちません)は、数十万匹ものコロニーを形成し、中には200万という恐ろしい数にもなるようです。そして、サスライアリのコロニーでは、2000万という超巨大な例もあるようです。
「サスライアリの群れは大体20センチ幅で1000メートルの長さの巨大な行列になって狩りをする。その行列は全体で2千万匹の蟻からなり、総重量が20キロにもなる。」というのですが、サスライアリの女王アリの大きなものは50mmという巨大さ。それでも、一生の間に数百万個の卵を産むことができるというのですが・・・複数の女王アリを持つのでしょうが・・一体なぜに一緒に行動するのでしょうか??

世界最大のアリのコロニーは、
「北海道石狩海岸にあるエゾアカヤマアリのコロニーは、巣が4万5000個、10キロにわたって延々と続いている。すべて一つのコロニーで、働きアリの数は少なく見積もっても数千万匹に及ぶ。」(『 いつか僕もアリの巣に』著者:大河原恭祐、:ポプラ社)とありました。

アリさんの問題13へ

(13)巨大なアリのコロニー(巣)をどうやって統制しているの
a.電気的な信号
b.超音波
c.化学物質
d.光
e.ある種の文字
f.触角

解答:c.化学物質
解説:アリ一匹一匹が持っている脳は、極小です。また、アリの視力はそんなに良くありません。超音波を感じることのできる機関も有りません。どうも、フェロモン(pheromone)と呼ばれる化学物質で統率しているようです。動物の体内で生成して体外に分泌後、同種の他の個体に一定の行動や発育の変化を促す生理活性物質のことです。例えば、巣の中に侵入者が現れたときは、警報フェロモンを発散させ仲間に警報を送ります。エサのありかを仲間に知らせる場合もフェロモンが用いられます。エサをとったアリは、興奮状態になり、道しるべフェロモンを地面につけながら帰巣。仲間のアリはフェロモンをたどってエサを発見します。女王アリの出すフェロモンで、幼虫が女王アリに分化するのを抑制するものや、働きアリの産卵を抑制しているものがあります。
 また、自分たちのコロニー以外の個体に排他性を示しますが、これもコロニーごとに染みこんでいるコロニー臭の違いから来ると考えられています。

アリのコミュニケーションの方法は他にも有ります。
触覚の接触と身振り(体を前後にゆする)です。フェロモンとこれらの手段を組み合わせてコミュニケーションを行っているようです。

アリさんの問題14へ

(14)一番大きなアリさんはどれ
a.サムライアリ
b.クロオオアリ
c.ハリブトシリアゲアリ
d.アルゼンチンアリ
e.グンタイアリ
f.ディノポネラアリ
g.モハメド・アリ

解答:f.ディノポネラアリ
解説:働きアリで30mmにも達する巨大なアリです。その他にも、いくつかの種類が大きい個体で30mmくらいになります。てんでに、世界最大を主張しています。ちなみに、女王アリの大きさでは、前問で紹介したサスライアリの女王が50mm位もあります。
 モハメド・アリはアメリカのプロボクサー(^_^;最大といえば、この方が最大です。

参考までにそれぞれのアリの大きさを
●サムライアリ
 働きアリの体長が4mm〜6mm、女王アリが7mmほど。
●クロオオアリ
 働きアリの体長が7〜12mmで、7〜9mmの小型働きアリと10〜12mmで頭部が発達した大型働きアリが、形態的に分化している。日本最大のアリです。
●ハリブトシリアゲアリ
 体長2-3.5mmの小型のアリ
獲物や外敵を攻撃する際に腹部を頭上までそりかえらせて毒針の先端から刺激臭のある毒液(蟻酸ではない)を出します。
●アルゼンチンアリ
働きアリの体長は約2.5 mm、、女王アリは通常その2〜4倍程度の大きさ
南アメリカ原産のアリだが、日本にも侵入し分布を広げている外来種。
●ディノポネラアリ(Dinoponera ant)
 働きアリの体長が25〜30mmにもなる。世界最大の種の一つ。アフリカ大陸に生息しています
○モハメド・アリ
 身長1900mm

アリさんの問題15へ


(15)外の仕事と巣の中の仕事の分担はどうなっているの
a.内勤は年寄り、外回りは若者
b.内勤は若者、外回りは年寄り
c.内勤は雌、外回りは雄
d.内勤は雄、外回りは雌
e.分担なんて無い

解答: b.内勤は若者、外回りは年寄り
解説:外は危険です。危ない仕事は若い者にさせておけばいい・・は、アリの世界では無いようです。危険な仕事は年寄り(といっても・・・働きアリの寿命は数年ですが)が受け持って、若くて経験の無いアリは安全な巣の中で働いています。敬老精神が無い?、若者を甘やかしている?・・・
真社会性昆虫であるアリにとって、コロニーの維持こそが大切ですから、その方が、コロニーの維持には好都合だからでしょう。ちなみに、働いているのは皆、雌アリです。


アリさんの問題へ

アリの事についてもっと学びたい人は
ありとあらゆるアリの話
http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/BJ/antStory/index.html
アリの王国
http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/BJ/Kingdom/indexj.html

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QUIZ36クラゲさんの骨なし

海に漂うクラゲ(水母,海月,水月,jellyfish,medusa)は、透明で身体のほとんどが寒天状で、グニャグニャの不思議な生き物です。海水浴でクラゲに刺されたり、食卓に乗ったり、港でものすごい数のクラゲを見たりと結構接する機会の多い生き物なのですが、その生態は謎に包まれています。
 ところが、2008年にノーベル賞を受賞した下村 脩(しもむら おさむ)さんの受賞理由は、「オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質の発見」でした。どうも、医学にも大きく貢献しているようです。そんなクラゲさんの事を探ってみました。少々骨のあるクイズです。


(1)クラゲさんには本当に骨がないの?
a.当然です、クラゲさんに骨なんかありません。
b.骨がなくてどうやって身体をたもつというのですか
c.退化してほとんど何の役にも立ちませんが痕跡があります。
解答:a.当然です、クラゲさんに骨なんかありません。
解説:私たち人間のように脊椎(せきつい)動物は、身体の中に骨格があって、内側から身体を支えています。これに対して、クラゲは無脊椎動物ですから、身体の中に骨はもともとありません。ただし、無脊椎動物でもカブトムシとか貝などのように身体の外が硬くなっていて、身体を保っている動物もあります(外骨格といいます)。しかし、クラゲには見たとおり、それもありません。
 ちなみに、イカはもともと貝の仲間で、外骨格でしたが、進化して内骨格になりました。甲イカの仲間ではそれが、胴の中に貝殻の名残である甲羅(フネ)になっています。さらにスルメイカなどのように筒イカの仲間は、プラスチックのような透明軟骨になっています。これらも、骨がある動物といっていいようです。

クラゲさんの骨なし問題2へ

(2)クラゲさんには口があるの?
a.身体の表面から、海水の栄養を直接吸収しているので、口はありません。
b.口はあるにはあるのですが、歯がないので噛むことができません。
c.歯のある口があるので、種類によっては噛まれるといたいです。
d.身体の中に一本管があって、入り口が口で出口が肛門です。
解答:b.口はあるにはあるのですが、歯がないので噛むことができません。
解説:クラゲには食物を取り入れるために口があります。ただし、歯はありません。栄養を取り入れるだけで、咀嚼(そしゃく)はできないのです。ところが、クラゲの中の管は出口がありません。いわば、壷のような構造をしていて、排泄物の排出を同じところからします。食べたところから吐き出しているのです。いわゆる「尻口一緒」の状態です。
(種類によっては別の物もあるようです。)

クラゲさんの骨なし問題3へ


(3)クラゲさんに筋肉はあるの?
a.見てのとおり、透け透けで、筋肉なんかありません。
b.透明ですが筋肉はあって、自分の力で移動することもできます。
c.食事のためや栄養を身体に送るために動かすのに筋肉があるけど、移動はできない。
解答:b.透明ですが筋肉はあって、自分の力で移動することもできます。
解説:透明ですが、筋肉はあるので、食事のために身体を動かすことも、エサに近づくためだったり敵から逃げるためだったりの必要に応じて自分の力で移動することもできます。ただし、その移動能力は弱いので、潮の流れに逆らって移動することは出来ません。むしろ、潮の流れに身を任せながら広域を移動するという戦略をとっています。

クラゲさんの骨なし問題4へ

(4)クラゲさんはなぜ刺すの?
a.クラゲは刺したりしません
b.エサを捕まえるため
c.身を護るため
d.人間が嫌いだから(^_^;)
解答:b.エサを捕まえるため、c.身を護るため、の両方
解説:クラゲが刺すのはエサにするプランクトンなどの小さな生き物や魚などを麻痺させて捕まえるためです。また、天敵から身を護るためと考えられます。ただし、襲われていると脳が判断して、刺すように指示をしているのではなさそうです。クラゲの触手には無数と言っていい程の刺胞が並んでいます。何かが触手にさわると自動的に発射されるようになっています。・・・だから、クラゲが死んでいても、触手だけを切り離していても、刺胞に機械的刺激などが加わると、はじけるように刺糸が体外に飛び出してしまいます。しかも、その刺胞から出る化学物質に刺激されて直接さわっていない刺胞も発射されてしまうそうですから・・・クラゲを素手で無闇にさわらない方が無難ですね。(最も、ほとんどのクラゲの刺胞は、人間の皮膚を貫かないレベルの攻撃力のようですが・・・その見分けがつかないのですから、あぶないですね。)

「クラゲ刺傷によって引き起こされる症候群とその処置方法」(財)熱帯海洋生態研究振興財団 阿嘉島臨海研究所
http://www.amsl.or.jp/midoriishi/12all.pdf

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(5)クラゲさんには毒があるってホント?
a.とんでもない、刺しますけれど毒なんか持っていません
b.ごく一部、毒を持っているものがいます
c.ほとんど全部の種類のクラゲが毒を持っている
d.毒の強さには差があるものの総てのクラゲさんが毒を持っている
解答:c.ほとんど全部の種類のクラゲが毒を持っている
  ただし、クラゲの定義の仕方によれば、d.毒の強さには差があるものの総てのクラゲさんが毒を持っている
解説:分類上クラゲは、刺胞動物門と有櫛動物門に属します。以前は二つをまとめて腔腸動物門としていましたが、現在では有櫛動物を別の門として独立させています。
サンゴ、イソギンチャクを含む刺胞(しほう)動物門は、名前の通り、刺胞を持つのが特徴ですから、総て刺すと考えて良いと思います。一方、有櫛(ゆうしつ)動物に分類されるクラゲは、刺胞を持っておらず、刺さないクラゲです。したがって、cを正解としました。
 ところが、クシクラゲなどの有櫛動物に分類されるものをクラゲと考えないという考え方もなくはないので、その場合には、dになると思います。(専門家でも意見が異なるようですが、有櫛門のクラゲもクラゲと考える方が主流のようですので、正解はCにしました。)
 ところが、約1万種という刺胞動物の内、有毒注意とされているのはわずか100種くらいです。まあ、1%という所でしょうか。3000種を超すクラゲのほとんどは刺胞を持っていて、それには毒があるにはあるのですが・・・小さなプランクトンだけを相手にしているような種にとっては、人間の皮膚を突き通すような強力な刺や毒を持つのはほとんど無駄なので、人間に害のない種がほとんどになったのだと思われます。ですから、一般的な人の感覚だと、bのイメージだと思われます。
 まあ、泳いでいて刺されるのは、そもそもその存在に気がつかないからでしょうから、注意のしようもないのかも知れませんが・・・中には、命に関わるような毒性の強い者もあります。

クラゲの分類について↓

クラゲさんの骨なし問題6へ

(6)クラゲさんの大きさは?
a.1mm〜数十cm
b.10cm〜数十cm
c.数十cm〜数m
d.1mm〜数十m
解答:d.1mm〜数十m
解説:クラゲの大きさは、種類によって全然違います。
1・2mmのクラゲも沢山の種類があります。よく海で見かけるミズクラゲは、全長15cmぐらいです。その一方で、
 最近漁業被害が続いているエチゼンクラゲは、傘の直径が2メートル重さ200kgを超えるものもあります。
 ユウレイクラゲの仲間は、巨大なものがあります、例えば・キタユウレイクラゲは、傘の直径2.5m、触手を含めた体長は40mに達するものもあるようで、長さでいうと最長のクラゲ候補といえるようです。
 またユウレイクラゲの仲間で、ライオンズ・メーン・ジェリーフィッシュに至っては直径1.8メートル、長さはなんと60メートルに達するものもあるものがイギリスで見つかっているとか。
 また、マヨイアイオイクラゲ(迷相生海月、Praya dubia)は、深海に生息するクダクラゲの一種。全体の長さは40mを超えることもあり、世界最長の動物として知られる。ただし、こちらは他のクダクラゲ類と同様に、無数の個体(個虫)が集合して一つの群体を構成したものです。それぞれの個体は摂食・攻撃・防御など特化した役割を有しているのだそうです。これを、最長として良いのか微妙です。

キタユウレイクラゲの画像です
http://opencage.info/pics/large_12407.asp

クラゲさんの骨なし問題7へ

(7)クラゲさんはプランクトン?
a.あんなに大きいのにプランクトンはないでしょう
b.とても小さいクラゲさんがあってそれはプランクトン
c.泳ぐことの下手なクラゲさんはプランクトン
d.基本的にクラゲさんはプランクトンです
解答:d.基本的にクラゲさんはプランクトンです
解説:一般には小さな水生生物がプランクトンだと思われていますが・・・。
プランクトンとというのは、浮遊生物のことです。水中や水面を漂って生活する生物を指す言葉です。したがって、遊泳能力を全く持たないか、あるいは遊泳能力があっても水流に逆らう力が軽微な生き物です。そのほとんどは、小さな生物であるため結果的に漂うことになる生物が大部分なので、プランクトン=微小生物のイメージができあがっています。
また、大きな魚でも、卵の時や稚魚の時にはプランクトンと言うことになります。そして、クラゲの場合、大きなクラゲもその遊泳能力は低く、潮の流れに逆らうことが出来ませんので、総てプランクトンというわけです。ただしクラゲはその一生の中で、「メデューサ」と呼ばれるいわゆるクラゲになる時期のある生物で、通常私たちはその姿しか目にすることができませんが、クラゲの多くは、ポリプといって海底の岩などに固着している時期があります。ポリプの時期は、プランクトンではないですが。

クラゲの一生については↓

クラゲさんの骨なし問題8へ

(8)クラゲさんはどうなったときが親?
a.クラゲやエフェラを産むようになったポリプの時期。
b.クラゲになって卵や精子を生み出すようになったとき
解答:とても難しい。両方正解かな。
解説:クラゲの一生はとても複雑です。子どもから大人へ一本調子の成長というわけに行かないのです。子どもが、卵から生まれるだけでなく、全く同じ遺伝子を持つクローンを生み出すパターンの両方あるのです。卵や精子を作るのは、いわゆるクラゲですが、そのクラゲを生み出すのは、イソギンチャクのように海底についた状態で生活してるポリプなのです。種類によってはポリプがクラゲに変身するパターンもあるので、その場合は子どものポリプから大人のクラゲになったと言えるのですが・・・。クラゲを生み出したポリプがそのまま成長して、また大きくなるとクラゲを生み出すのです。これだと、ポリプが親でクラゲが子どもという風に考えることも出来るのです。
また、有櫛門のクラゲの場合は、ポリプの時期がありませんから、bしか正解がないことになります。
一般には、bが正解とされているのでしょう。

「クラゲは、そのサイズが一般にポリプよりも大型であるために成体とみなされているが、生活史の中では有性生殖のために短い期間に出現する『泳ぐ生殖巣』と捉えることができる。その理由は、クラゲが外洋性の種を除き、繁殖時期にポリプから発生するためである。柿沼〔〕は、このようなクラゲの生活史上の特性を季節が来ると咲く花にたとえている。」(科学2009年4月号/「クラゲ形の起源と進化」より)※柿沼好子/in岩波講座現代生物科学10


クラゲの一生については↓

クラゲさんの骨なし問題9へ

(9)クラゲさんは池にもいるの?
a.クラゲは海にいるものです、池にはいません。
b.誰かが海のクラゲを池に放したのでしょう、すぐ死んでしまいます
c.淡水に生活するクラゲがいます。
解答:c.淡水に生活するクラゲがいます
解説:基本的に、クラゲは海にいますが、汽水や淡水に生活するクラゲもいます。日本では、池にマミズクラゲが見つかります。ただし、突発的に現れてしばらくすると消えてしまいます。私も、この現象を見たことがあります。「モヤさん」の人と自然の出会い旅の
池にクラゲが・・・」を参照してください。

マミズクラゲについて、研究しているHPです
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Suzuran/4566/index.html


クラゲさんの骨なし問題10へ

(10)次のクラゲの中で、クラゲ(jellyfish)でないものは?
a.エチゼンクラゲ
b.サカサクラゲ
c.ミズクラゲ
d.キクラゲ
e.オワンクラゲ
f.カツオノエボシ
g.マミズクラゲ
解答:d.キクラゲ
解説:キクラゲは、形状や食感ががクラゲを感じさせるキノコです。
ちなみに、a.エチゼンクラゲは、大きなものでは150kgにもなる巨大なクラゲで、近年漁業被害が続いて、ニュースになっています。
b.サカサクラゲは、温泉のマークのことをこのように表現することがありますが、本当に存在するクラゲです。サンゴのように体の中に褐虫藻と呼ばれる藻類を共生させていて、それによく光があたるように、サカサになって生活している特殊なクラゲです。藻類が光合成によってつくりだす栄養分を利用して生きているのです。
c.ミズクラゲは、ほとんどの人が見たことがあるであろう、クラゲです。
e.オワンクラゲは、下村教授が研究をして、ノーベル賞を受賞することになったクラゲです。
f.カツオノエボシは、カツオが到来する時期に海流に乗ってきて、浮き袋の見た目が烏帽子に似ていることからカツオノエボシと呼ばれるようになったようですが、非常に強い毒をもち電気クラゲの別名があり、刺されると強烈に痛みます。死亡した例さえあります。
g.マミズクラゲは、淡水にいるクラゲです。

クラゲ図鑑
http://little_trees.at.infoseek.co.jp/kurage/zukan_abc.html#top


(11)クラゲの寿命は?
a.種によって違います、数時間〜1年余り
b.種によって違いますが・・・数十年
c.1万年以上も生き続けているクラゲがいます。
d.若返るクラゲがいます
解答:a.種によって違います、数時間〜1年余り、でも、b.種によって違いますが・・・数十年そして、d.若返るクラゲがいます
解説:厳密な意味では、死なない生物はいません。個々の生物に寿命があり、死があることで生態系が維持されているともいえます。
クラゲの場合、クラゲ世代について言うと、aが正解ということになります。かなり短いのです。
大量発生して、漁業被害が出ているミズクラゲやエチゼンクラゲが 8ケ月程度です。日本海に現れる巨大エチゼンクラゲも、北を回って太平洋側にも現れ南下していますが、1年未満で死んでしまうので子孫が残せる条件の所(南の海域)までたどり着けないようです。
アカクラゲは7ケ月、アンドンクラゲは6ケ月、猛毒のハブクラゲは5ヶ月、ハネウミヒドラクラゲはなんと数時間だというのです。

ただし、上記はあくまで、クラゲ世代における寿命です。しかし、生命体としてのクラゲの一生は、卵で生まれてからポリプとなり、クラゲとなって死ぬまでです。この場合かなり寿命が長くなるのですが、その判定は極めて困難になります。
例えば、ミズクラゲ(※生活史参照↓)は、クラゲ世代が1ヶ月くらいです。池で見つかるマミズクラゲは、日本ではそれぞれの池では単一の性しかなくて、すべてクローンのようです。発生したクラゲは同一の性(オスもしくはメスのみ)で受精することが出来ず消えてしまいます。ところが、何年かの空白の期間をおいて、同じ池でまたクラゲが発生します。これは、クラゲを生み出した後のポリプは生き残っていて、成長するとクラゲ世代を生み出すからです。これが繰り返されていると考えられています。すると、新たに受精卵が供給されないまま、ポリプは生き続けていることになります。「ポリプは永遠に不滅です!」だとでも言うのでしょうか?クラゲ世代に比べて、ポリプ世代は小さく、研究が難しいようで、不明な点が多いようです。
また、ベニクラゲ Turritopsis nutriculaという小さなクラゲは「不老不死」のクラゲとして注目されています。
無論、死なない生き物はないので、ベニクラゲにも死はあるのですが、寿命と言うことで考えると・・・
 受精卵→プラヌラ幼生→ポリプ→出芽→クラゲとして成熟受精卵を産んだ後→死に向かいます。
ここで、ベニクラゲの場合、徐々に衰弱し肉団子状になるのですが、それがポリプになってしまうのです(より厳密には死に向かう部分とポリプに転換する部分に分かれるようですが)。有性生殖能を獲得するまでに発生が進んだ個体が未成熟の状態に戻る=老衰直前で若い「ポリプへ戻る」のです。論理上は、これは無限に続くことになります。この場合、個体としての寿命は無限であることになってしまいます。もちろん食べられたりして死ぬことはあるので、不死ではないし、成長してゆくので不老と言うより「若返り」というのが正しいのでしょう。ともあれ、論理上寿命は無限なのです

この事実を知って、昔話の「若返りの水」を読むと、別の感慨があります。

昔話「若返りの水」へ
http://hukumusume.com/douwa/pc//jap/01/28.htm
ベニクラゲ研究室
http://www2u.biglobe.ne.jp/~moozoo41/


※《参考》
クラゲの分類について     
クラゲの進化については、諸説あるようですが、最近の研究では、花中綱→十文字クラゲ類(綱)→鉢虫綱→箱虫綱→ヒドロ虫綱の順番で進化し、それぞれに、鉢虫・箱虫・ヒドロ虫の各綱においてポリプが単独で分化して、その後クラゲ型が別々のやりかたで生じたと考えられています。したがって、刺胞動物の基本体制は目立つクラゲ型ではなく、ポリプであるということです。







刺胞動物門
Cnidaria



(腔腸動物)
(Hohltiere )

花虫綱
Anthozoa
サンゴイソギンチャクなどが属する。ポリプ型のみで、クラゲ型が存在しないので、クラゲの分類にはありません。
十文字クラゲ類(綱)
Staurozoa
十文字クラゲ目 アサガオクラゲ、ムシクラゲ、
ジュウモンジクラゲ 、など
十文字クラゲ類もクラゲをつくりますが、口の反対側に短い柄があって、これによって海藻などに付着して生活しています(底生性)。そこで海面には現れません
もとは鉢虫綱の中にあると考えられていました、現在では独自の綱とされつつあります。


鉢虫綱
Scyphozoa
冠クラゲ目
Coronatae
ムラサキカムリクラゲ、クロカムリクラゲ、
エフィラクラゲ 、など
クラゲ型が優勢です。

クラゲ型のあるものについては、ポリプの胴部に横方向にくびれができて、そのくびれが一つずつエフィラ(クラゲの幼生)となって遊離します。このエフィラが3ヶ月くらいかけて大きくなってクラゲになるわけです。一方ポリプの基部は残って、また成長して、大きくなるとまた、エフィラを生みます。

旗口クラゲ目
Semaeostomeae
ミズクラゲ・ユウレイクラゲ、
アカクラゲ 、など
根口クラゲ目
Rhizostomeae
タコクラゲ・エビクラゲ・ビゼンクラゲ、
エチゼンクラゲサカサクラゲ 、など
羽クラゲ目
Pteromedusae
プラヌラクラゲ 、など
箱虫綱
Cubozoa
立方クラゲ目
Cubomedusae
アンドンクラゲハブクラゲ 、など ポリプ一個が丸ごと未成熟クラゲ1固体に変身し、それが時間をかけて成熟クラゲになる直接変態

海水浴場で、クラゲに刺されるのは多くの場合、アンドンクラゲです。
ヒドロ虫綱
Hydrozoa
花クラゲ目
Anthomedusae
カミクラゲ、ウラシマクラゲ、エダアシクラゲ、
カツオノカンムリ、ベニクラゲ、など
ポリプ型が優勢(ヒドロ虫綱の種は2700種にもおよびますが、半数はクラゲ世代のない種)です。


ポリプそのものは一定の大きさと構造を維持しながら、芽が出るように組織が膨らみクラゲに形を変えて遊離します。これが1〜2週間で成熟したクラゲになります(遊離前、あるいは遊離直後に成熟するものもいます)。

刺胞動物門のクラゲとして、最も進化したタイプがヒドロ虫綱になります。そのせいもあって、クラゲの種類で全体の半分はこのヒドロ虫が占めるようです。ところが、一般には余り知られていないません。
管クラゲ目
Siphonophora
カツオノエボシ、ボウズニラ、
ヨウラククラゲ、マヨイアイオイクラゲなど
軟クラゲ目
Leptomedusae
オワンクラゲ、フサウミコップ 、など
淡水クラゲ目
Limnomedusae
ハナガサクラゲマミズクラゲ
カギノテクラゲ 、など
レンズクラゲ目
Laingiomedusae
カントクラゲ 、など
アクチヌラ目
Actinulidae
ハラモヒドラ、など
硬クラゲ目
Trachymedusae
カラカサクラゲ 、など
剛クラゲ目
Narcomedusae
ツヅミクラゲ、ニチリンクラゲ 、など
有櫛動物門
Ctenophora
無触手綱 
Nuda
ウリクラゲ目
Beroida
ウリクラゲ 、など 有櫛門には、ポリプ世代がなく、クラゲ型のみです。

刺胞を持たず雌雄同体です。

有櫛動物門は、以前は刺胞動物と並んで腔腸動物門に分類されていましたが、現在では別の門となっています。

この綱のクラゲは櫛板を繊毛のように動かして泳ぎます。この櫛板に光が当たると反射して虹色に光ります。
無触手綱 
Nuda
フウセンクラゲ目
 Cydippida
フウセンクラゲ 、など
クシヒラムシ目
Lobata
コトクラゲ 、など
カブトクラゲ目
Cestida
カブトクラゲ 、など








クラゲの分類について
http://www2.fish-u.ac.jp/jellies/oldver/kurage-bunrui1.html


クラゲの一生
クラゲの一生は上記分類の綱ごとに、かなり異なります。ここでは最もよく目にする、ミズクラゲの属する鉢虫綱のクラゲの一生を一つの例として紹介します。(※右図参照)


1.成熟したメス(M)の保育嚢の中で受精した卵がプラヌラ幼生〔@→B〕になるまで育って出てきます。

2.プラヌラは細かな毛を使って泳ぎます。(このころ大きさ0.2mmくらい)
 ※このなかで大きなものは、エフィラ〔Jの一枚〕に直接になります。

3.成長したプラヌラ幼生は海底の岩などに付着してイソギンチャクのような形になります。これをポリプ〔C→G〕といいます。

4.岩についたポリプは、自分で自分の分身を作って増えてゆきます。このように、無性生殖によって増殖するので、これを無性世代とみなします。

5.時期(冬季)がくるとポリプはお椀を重ねたようなストロビラ幼生〔H→J※この状態もポリプです〕になり、からだにすじ(切れ目)ができてエフィラ幼生〔J〕を分裂させます。
エフィラ幼生を生み出した後のポリプは、また成長を続けて大きくなるとまた、エフィラ幼生を放出します。※従って、ポリプはずっと生き続けることになります。

6.エフィラ幼生はひとりで泳ぎだして成長しメテフィラ幼生〔K〕になり、さらに成長して未熟なクラゲ〔L〕になります。

7.さらに成長して成熟したクラゲ〔M〕になると、オスとメスがはっきりして、有性生殖をします。従って、クラゲ世代は有性世代とみなします。






マミズクラゲの生活史
左の図は、ヒドロ虫綱淡水クラゲ目のマミズクラゲの生活史です。(少し異なる部分もありますが解説します)

良く発達したクラゲ(水母)〔1〕でも、15mmくらいという小さなクラゲです。
  ↓
成熟したクラゲのメスは卵を産みオスは精子をだし、水中で受精卵〔2〕となります。(※ただし、日本では、単一の池にはオスかメスの一方しか、発生していないので受精できません。)
  ↓
プラヌラ幼生〔3〕となり
  ↓
池の底についてポリプ〔4〕となります。
  ↑      ↓      ↑
ポリプの根元に近い部分に新たな口ができて母体にくっついたままの新しいポリプができる。こうして複数のポリプが群体となりコロニーを形成して、クラゲの芽を出芽します〔5〕
↓   
クラゲの芽から
クラゲの幼生〔6〕がはなれる直系1mmくらい

成熟したクラゲ〔1〕直径15mm前後となります

卵〔2〕(※上に)
大きくなったポリプや群体は無性生殖でフラスチュールfrustule(プラヌラより少し大きい)を出芽〔7〕
 ↓      
フラスチュール(プラヌラ)〔8〕は時速1mmで移動する  
 ↓      
少し離れたところでポリプ〔4〕になります(※上に)
(※日本の池では、ポリプが成長し、クラゲ芽を出芽し、ある時(何らかの条件がそろったとき)クラゲの幼生を放ちますが、上記のように、一つの池では片方の性のクラゲしか生まれない(たぶんのその池にもたらされたポリプあるいはが無性生殖=クローンで増えているので、同一の性になると考えられます。)



参考HP
クラゲのふしぎ
http://www.j-muse.or.jp/kagaku_tanken/vol3/shizen03/index.html




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