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QUIZ37
カミナリ様のくわばら桑原
野外活動をするもにとって、何ともやっかいな自然現象の一つがカミナリです。できたらお近づきになりたくないのですが、うまくつきあいたいものです。安全を確保しながら、楽しむ余裕も欲しいと思っています。
(1)カミナリさまの正体は
a.巨大な如雨露と太鼓を持った鬼
b.遙か太陽からやってきた太陽風
c.電気を帯びた雲がその電気を蓄えきれなくなって放電している
d.その羽ばたきで雷鳴や稲妻を起こす巨大な鳥(サンダーバード)
e.敵を滅ぼそうと、石斧をもって天下ってくる神
解答:c.電気を帯びた雲がその電気を蓄えきれなくなって放電している
解説:かっては、謎に包まれていました(今でも、わからないことが多いのですが)。日本では「かみなり(神鳴り)」ということからもわかるように、神のなせるわざと見ていました。日本神話に出てくる、タケミカズチ(建御雷)もその一つです。俵屋宗達の風神雷神図が強烈な印象があるからでしょうか、昔話などでは、aのイメージで語られることが多いですね。dは、アメリカ・インディアンに伝わるお話。(日本のライチョウ〔雷鳥:サンダーバード〕は、高山で雷の鳴るような空模様で活発に活動することが名前の由来とされています。)eはインドシナから南中国に伝わるお話です。ですから、a〜e全てそれぞれの文化の中で、カミナリ様の正体として考えられていたものです。
1752年、雷の正体が電気であることを実験によって証明したのが、アメリカ独立宣言の起草者の一人でもるフランクリンです。雷雲に凧を揚げて、ライデン瓶に電気を取り込んでしまったというのですから、すごい。ちなみに、同じ頃ロシアで同様の実験をしたリヒマン教授は感電死しています。とても危険なので、よい子は決してまねしないように。
カミナリ様のくわばら桑原の問題2へ
(2)雲の中でどうやって発電しているのか
a.雲の中の粒子同士の衝突する際の摩擦による帯電
b.雲の中で起きている渦巻き状の空気の流れが発電している
c.上昇気流のエネルギーが電気エネルギーに変換されている
解答:a.雲の中の粒子同士の衝突する際の摩擦による帯電
解説:フランクリンによって雷の正体が電気であることは証明されたのですが、どのようにして電気ができるのかについての、絶対確実な説が有るわけではないようで、現在も研究中です。その中でも最有力説として理解してください。
→強い上昇気流によってできた積乱雲の中で、元々は中性であった水粒子(氷晶、あられ、雨粒など)の「相互作用」によって、雲の下層から中層にかけて負電荷(−)が、上層には正電荷(+)が蓄積されて電圧が高まると放電によって中和しているのが雷というわけです。
●発電の仕組みをより詳しく↓
●そもそも雲のでき方について↓
カミナリ様のくわばら桑原の問題3へ
(3)カミナリはどこに放電しているの
a.雷雲の上部と下部
b.雷雲と雷雲の間
c.雷雲の下部と地上との間
d.雷雲の上部と地上の間
e.雷雲の上部から成層圏に向けて
解答:a〜eの全部あります
解説:雷のほとんど(約90%)は、aやbの雲間放電のようです。全体の10%くらいが雲と地面との間で起こるようです。地面との間の放電について、雷が落ちた(落雷)として認識していることになります。その中でさらにcが約90%(全体の9%)とdが約10%(全体の1%)です。雷そのもは、雲の内部でも雲と雲の間でも放電しています。ピカピカ光りゴロゴロ雷鳴がとどろいているのが、全て地上に落ちている訳ではないのです。
雲内での放電を雲間放電(cloud to cloud lightning:CC; inter cloud lightning:IC; cloud flash:CF)、雷雲から地面への放電を対地雷(cloud to ground lightning:CG)と呼ぶそうです。※対地雷(たいちらい:たいじらいでは兵器になってしまいます)
真上で光っているのに、音と光にタイム差があったり落雷の様子がないのは、雲間放電をしているのですね。
そして最近になって、積乱雲の雲頂から成層圏に向けて放電がなされることがわかってきました。
カミナリ様のくわばら桑原の問題4へ
(4)カミナリ様のゴロゴロ(雷鳴)は、どうしてしてするの。
a.カミナリ様が太鼓をたたいている(汗)
b.雲の中で、氷の粒がぶつかっている音
c.放電現象によって空気が膨張して
d.雷が地面に落下したときの衝撃音
e.雲と雲がぶつかる音
解答:c.放電現象が発生したときの音
解答:c.放電現象によって空気が膨張して
解説:放電によって、1000分の1秒といった極めて短時間に、瞬間的に発熱し放電の経路となった部分の空気は1万度にもなってしまうといいます。暖められた空気は膨張し、回りの空気を押しつけます。押された空気はまたその回りの空気を押しつけて元に戻ります。この繰り返しでゴロゴロと鳴ります。ドーンとすごい音がするのは、雷が地面に落下したときの衝撃音のように思いますが、実は膨張する空気が音速を超えてしまった時の衝撃波によるものです。
自然界でも超音速が存在するんですね。
その昔は、雲はそれなりに固いものとの認識が一般だったようです(だから、雲に孫悟空のように雲に乗ることができると・・・)。かのフランスの哲学者にして自然科学者であったデカルトでさえ雷鳴はeのように雲と雲がぶつかったさいの衝突音だと思っていたようです。稲光や落雷も衝突に伴う火花だと・・・。
デカルトといえば、[幼児の時から無批判に受け入れてきた先入観を排除し、真理に至るために、一旦全てのものを疑う。]という「方法的懐疑」の人。彼を持ってしても・・・先入観からは逃れられなかったということでしょう。いやだからこそ、全てを疑うということなのでしょう。
カミナリ様のくわばら桑原の問題5へ
(5)地上に落雷するとき、カミナリ様の通り道は?
a.光と同じ、雷雲下部から地面までの最短距離・・・直線です
b.雷雲下部と落雷する地点を円弧状に結ぶ経路
c.雷雲下部からジグザグに地面に向かって進んでゆく
解答:c.雷雲下部からジグザグに地面に向かって進んでゆく
解説:雷雲下部に負の電荷が蓄積されてくると、地表面上に正電荷が蓄積されます。この地表面の正電荷と雷雲下部の負電荷によって強い電界が生じます(50000V/m)。この強い電界によって、空気の絶縁限界値を超えると電子が放出されます。放出された電子は空気中にある気体原子と衝突してこれを電離させます。電離によって生じた陽イオン(電子を放出して正の電荷を帯びた原子)は、電子とは逆に向かって突進し新たな電子を叩き出す。この2次電子が更なる電子雪崩を引き起こし、持続的な放電現象となって下層へ向って電気の道が切り開かれてゆくので、ジグザグに進むのです。ただし、いわゆるギザギザの鍵型ではなくて、写真のようにまるで草木の根のように曲がっています。
※(3)でも説明したように、雲頂から大地に落雷するタイプの落雷も有ります。この場合に、先駆放電がどうなっているのかはよくわかりません。電荷が逆になるだけで同じようなことが起こるのでしょうか?
●落雷の発生プロセスについて詳しく↓
カミナリ様のくわばら桑原の問題6へ
(6)カミナリ様が落雷するときの電気の強さは?
a.放電量は数百〜数千A、電圧は100万〜1000万V、電力換算で平均約9GW
b.放電量は数千〜数万A、電圧は1000万〜1億V、電力換算で平均約90GW
c.放電量は数万〜数十万A、電圧は1〜10億V、電力換算で平均約900GW
d.放電量は数十万〜数百万A、電圧は10〜100億V、電力換算で平均約9000GW
e.放電量は数百万〜数千万A、電圧は100〜1000億V、電力換算で平均約90000GW
解答:c.放電量は数万〜数十万A、電圧は1〜10億V、電力換算で平均約900GW
解説:100Vや200Vで命に関わるというのに、とんでもない電圧です。電力も相当なものですが、900GW(ギガワット)というのは、1000Wの電気器具で9億個分になります。・・・・ただし、通電時間は1/1000秒程度。あっという間に終わってしまいます。エネルギーに換算すると900MJ(メガジュール)だそうですから、1000wの家電を連続で使い続けて10日間強使用できることになります。
上記数字はウィキペディアから引用したものですが・・・
放電量や電力についての数値は、他の資料とおおむね重なるのですが、どうも電圧の1〜10億Vというのは、他にもあるものの怪しいと思います。あまりにも数値が高すぎるのです。通常空気の絶縁を破って放電するためには、平坦な電極間でおおよそ3万V/cm が必要とされています。1kmなら3億V、数kmで10億Vということで、1〜10億Vということで出された数値だろうと思います。しかし、湿気が多いともっと低い電圧になります。水滴があるとさらに下がります。そして、何より現実の雷は数kmの距離を一気に放電しているのではないのです。約50m位ずつ小刻みに進んでいます。落雷時の実測値では、数十万V〜数100万V以上ということのようです。1000万V以内と考えて良いのではないかと思います。
ちなみに通電時間が1/1000秒というのは、あまりにも短く感じます。もう少し長くて変化しているように感じます・・・。実は、肉眼では一瞬で終わってしまう落雷ですが、数個の電撃が約0.05秒の間隔を置いて繰り返されているのです。1回で終わるのは全体の1/4くらいで、通常3〜4回(多いと10回を超えることも)の多重電撃で、全体では約0.3秒くらいかかっているそうです。逆に1回の主電撃(帰還電撃)は、70マイクロ秒とありますから、7/10万秒(約1/10000秒)とさらに短いことになります。
●落雷の発生プロセスについて詳しく↓
カミナリ様のくわばら桑原の問題7へ
(7)雷光のことを稲妻とか稲光というのはなぜ?
a.稲が雷を生み出すと考えていたから
b.稲の穂の形が、雷の形に似ているから
c.精米した米がキラキラ光るから
d.稲が開花し、実る頃に雷がよく発生するから
e.落雷した田では稲が良く育ったので
解答:d.稲が開花し、実る頃に雷がよく発生するから、落雷した田では稲が良く育ったので
解説:稲妻(いなずま)は「稲」の「つま(=配偶者)」という意味です。かつては「いなづま」と表記していたものが、表記法の改変によりいまでは「いなずま」となったのです。なぜ、稲の妻なのかというと・・・
日本では稲が開花し結実する頃に、雷がよく発生すということと、落雷した田では稲が良く育ったので、稲穂は雷に感光することで実るという理解が生まれたようです。こうして、雷を稲と関連付けて「いなづま」あるいは「いなびかり」と呼ぶようになったといわれています。
もっとも、米を子どもだと考えると雷が稲をはらませることになります。すると妻ではなく夫の方がしっくりきます。実は昔は「稲夫(いなづま)」としていたのを江戸時代に間違えて漢字をあてて「稲妻」になってしまったらしいです。
「雷の多い年は、豊作になることが多い」というのは、統計学的にどの程度証明されているのかは不明ですが、その因果関係については「放電現象により、空気中の成分に色々な変化が生じそれが地上に降り積もり、作物によい影響をもたらす。つまり落雷は、窒素、燐酸、カリウムなど植物に必須な成分を固定化する作用があるらしい。」との見方があります。このような事が、実際に起こっているとすると、昔の人の自然観察力もたいしたものです。
ちなみに、稲妻については、雷雲が遠いために電光の形が見えず、雲に反射して明滅する明かりをとくにさすという説もあるそうです。
●雷はどのように光るのか↓
カミナリ様のくわばら桑原の問題8へ
(8)落雷した木が焦げるだけでなく裂けるものがあるのはなぜ
a.雷の熱で空気が瞬時に膨張する力で
b.落雷の熱で幹の内部の水分が一瞬で水蒸気になったため
c.雷の電気が木の細胞を切り裂くので
d.落雷によって上から下へそうとうの圧力がかかるから
解答:b.落雷の熱で幹の内部の水分が一瞬で水蒸気になったため
解説:写真のように、ものすごい力が働いて裂けています。それは、一見外部から物理的な力が働いて引き裂かれたかのように見えます。ところが、木が裂けるのは、雷(電気)が通ったところそのものが、わずか1/10000秒の間にしろ数万〜数十万Aもの電流が通った経路は一気に発熱してその熱によって細胞内の水分が一瞬で水蒸気となりその圧力で、内部から破裂するというわけです。文字通り樹木全体が、木っ端みじんに砕け散ってしまうこともあるそうです。
水蒸気の力と言うことでは、雷が地面に直接落雷した場所に大きな穴があくことが有ります。これは、雷による大電流によって地面の中にある水分が、爆発的に蒸発する(水蒸気爆発)を、起こしたものと考えられます。
●落雷の発生プロセスについて詳しく↓
カミナリ様のくわばら桑原の問題9へ
(9)こんな時安全?危険?
a.AMラジオが雑音を発している
b.雷注意報が出た
c.雷光と雷鳴のタイム差が10秒以内になったら
d.雷鳴が遠くで聞こえる
e.近くにドカンと落雷があった後
f.雷雨であったが、雨が止んだ
解答・解説:
a.AMラジオが雑音を発している・・
・雷が近づいている可能性が有ります。気をつけましょう。ただし、最近のラジオは性能が良くて、雷によって雑音が出ないようにしてあるので、ラジオの音が変わりないから安全とは思わないでください。なお、ラジオを雷予報に使用する場合は、特定の局には合わせない(局間にあわせる)ようにしておいて、雑音から雷の接近を予測するのだそうです。
b.雷注意報が出た・・・
当然危険です。警報ではないから大丈夫と思わないでください。実は、「雷警報」は存在しません。どんどん落ちている状況でも発令されることは有りません。
c.雷光と雷鳴のタイム差が10秒以内になったら・・・10秒だと音速と光速の差から計算して、331m*10=約3.3km・・・かなり離れているように感じますが、落雷の実績からすると、もう完全に危険区域に入っていると考えてください。
d.雷鳴が遠くで聞こえる・・・
雷鳴が聞こえる時点で、もう危険区域に入っているのだそうです。気分的には逃げ出す気にはなりませんが、たとえ晴れていても落雷の可能性は有ると言うことです。
e.近くにドカンと落雷があった後・・・一度落ちたところには、落雷しないと思うかもしれませんが、何の根拠も有りません。
むしろ、現実に落雷があって空気中に経路ができたわけですから、極めて危険です。
f.雷雨であったが、雨が止んだ・・・なんだか、もう安心な気もしますが、
雨が止んでからの落雷もあります。安全な場所から離れない方がいいでしょう。
このように分析してゆくと、安全な状態なんか無いのでは無いかと思ってしまいます。ただし、危険性について考えるとき、オールorナッシングで考えない方がよいでしょう。できるだけ、直撃を受ける可能性が少なくなるようにする、側撃の可能性を低くする、受ける電圧が低くなるようにする。
カミナリ様のくわばら桑原の問題10へ
(10)カミナリ様から逃れる方法として適切なのは?
a.身につけている金属類をはずす
b.電気を通さない雨合羽などを頭からかぶるりゴム長靴をはく
c.傘をさす
d.できるだけ大きな木の下で雨宿りをする
e.できるだけ右足と左足を広げておく
f.自動車の中に入って窓を閉める
g.鉄筋コンクリートの建物の中に入る
h.テントの中に入って支柱が倒れないようにしっかり持っておく
i.コンクリート電柱の近くで2m以上離れてしゃがむ
j.蚊帳の中に入って動かないようにする。
k.できるだけ周囲に高い物がない広場にでる
解答:f.自動車の中に入って窓を閉める、g.鉄筋コンクリートの建物の中に入る、i.コンクリート電柱の近くで2m以上離れてしゃがむ、・・・ついでにj.蚊帳の中に入って動かないようにする。も正解としておきます。
解説:a.身につけている金属類をはずす・・・私の若い頃は、こうしなさいと言われていました。金属が雷を呼ぶと考えられていたからですが、
ほとんど無意味です。金属類を身につけていることで危険性は増大しません。それどころか、落雷時には雷の電気が金属の中を流れる分人体に流れる電気が少なくなって生存率を上げる可能性すら有ります。はずす時間があったら、とっとと安全な場所へ移動しましょう。
b.電気を通さない雨合羽などを頭からかぶるりゴム長靴をはく・・・なんだか効果有りそうですが、落雷よけとしては無意味。もちろん、雨よけとしては意味がありますからカッパを着たり長靴を履くのは無意味ではありませんが。
c.傘をさす・・・雷よけどころか、雷を呼び込む事になります。とりわけ、周囲に自分より高いものが無い広場などで、雷の中傘を差しているのは、かなり危ない。もっとも、あまり落雷の可能性の無いところでは、雨にぬれて風邪を引かないようにするのは意味がありますが。ちなみに、つり竿なども危ないです、このような物を自分の上に掲げるのは
直撃雷の可能性を高めるだけです。
d.できるだけ大きな木の下で雨宿りをする・・・こうすれば、自分が雷の直撃を受け得るる可能性はほとんど無くなりますが、大きな木は、その木が直撃を受ける可能性が高くなります。人間は木よりも電気を通しやすいので、木に落雷した電気は人間に近づくとそこから人間に向けて放電します。側撃雷といいます。これを避けるためには幹だけでなく枝からも4m以上離れておくといいでしょう。従って、雷対策としては雨宿りは危ないことになります。ちなみに、以前は2m以上とされていました。2mくらいだとまだ側撃雷の可能性があります。その場合でも、離れることで死亡率は下がるようです。また、そもそも雨宿りをしている木に落雷される可能性は、周囲の木に対して高いほど高くなりますから、相対的に低めの木にしておくというのも有効でしょう。
雷が発生して付近に落雷した場合、大電圧が減衰するように四方へ拡散していきます。この範囲内に人体があると歩幅で電圧が発生して感電することがあります。
e.できるだけ右足と左足を広げておく・・・直撃雷を受けなくても、地面に落雷したような場合、その巨大な電圧が減水するように四方へ拡散してゆきます。この拡散する範囲に人がいると、右足と左足の間に電圧差が生じてしまいます。
両足を広げておくと、片方の足から電気が入って別の足から抜けることになり、危険です。その際生じる電圧は100~200Vくらいですから、直撃を受けた場合とは比べ物にならないくらい弱いのですが、場合によっては命に関わる事もあるでしょう。足はできるだけ閉じておくと人体を流れる電圧が少なくなります。ちなみに、直撃雷を避けるためには身を低くするのは有効ですが、寝ころんでしまうとやはり地面に落ちた雷からの電流が体の中を流れることになります。この場合足先から頭と考えるとかなり電圧が出てしまうし、心臓など極めて好ましくない場所まで通電することになりますから、しゃがむくらいが適切な対応となります。
f.自動車の中に入って窓を閉める・・・かなり安全度が高いとされています。金属製の車には当然落雷する可能性が有ります。ところが、ぐるりを通電性の高い金属に囲まれているので、
中にいる人間は安全です。ただし、ハンドルや電装品などに2カ所以上で触れているとその間の体の中をいくらかの電気が流れる可能性があるので、触れないようにしているとさらに安全です。(
●ファラデーケージといいますより詳しくは↓)
g.鉄筋コンクリートの建物の中に入る・・・これも、鉄筋という通電性の良い物のに取り囲まれていることになるので、ファラデーケージと考えられます。中にいる人間にはまず大丈夫。これも、
壁とか電気製品に触れないようにしておくとさらに安全です。
h.テントの中に入って支柱が倒れないようにしっかり持っておく・・・
テントの中は雷よけの効果は全くありません。むしろ、支柱が有るだけ落雷の可能性が高くなります。ましてその支柱を持っていてはかなり危ない。雨風対策としてはテントの中にいる方が安全でしょうからは、直ちにテントの外へ出るという判断をするかどうかは悩むところです。特に、周囲にそれなりに高い建物とか樹木がある場合にはテントへの直撃雷の可能性はかなり低くなります。少なくとも支柱を持っているというのはやめた方が良さそうです。
i.コンクリート電柱の近くで2m以上離れてしゃがむ・・・
雷対策としてはかなり効果があります。dと同じで、コンクリート電柱のため直撃雷は避けられます。そして、人間より通電性が勝るので、2m離れていれば側撃雷も回避できます。
j.蚊帳の中に入って動かないようにする・・・こうしておけば、カミナリ様にへそが取られない??・・雷様にへそがとられるというのは、迷信です。そして、蚊帳は、絶縁体ですからファラデーケージとしては機能しません。従って、意味なしとしたいところですが・・・しっかりした木造建築などの中は安全度が高く、さらにその建物の壁や電気製品から距離を置くのは雷よけとして有効なので、蚊帳の中に入ると言うことは、結果としてほぼ完璧な雷対策といえなくもないです。
k.できるだけ周囲に高い物がない広場にでる・・・人間以外に高い物が無ければ、人間自身が避雷針状態で直撃雷を受ける可能性が高くなっりますから、
むしろ危険が増大します。森や林などの中は、側撃雷の可能性があるので危ないとの考えもあるのですが、広い場所に出れば、桁違いに危険な直撃雷の可能性が高くなるのでやめが方が良いでしょう。
カミナリ様のくわばら桑原の問題11へ
(11)カミナリ様がなり出すと「くわばらくわばら」と唱えるのはなぜ
a.桑の木が神聖な力を持つという信仰があったため
b.カミナリ様は、桑樹が嫌いだから
c.桑原はカミナリ様のゆかりの地だから
d.「くわばら」という音波が雷雲の電界を弱める力がある
解答:a.桑の木が神聖な力を持つという信仰があったため、b.カミナリ様は、桑樹が嫌いだから、c.桑原はカミナリ様のゆかりの地だからが正解
解説:藤原一族によって太宰府に左遷され非業の死を遂げた菅原道真が、死後雷神となり宮中などに雷を落としたものの道真の旧領地である桑原には雷を落とさなかったので、雷よけに「桑原桑原」と唱えるようになったというのが、有名な説です。
ところが、このほかにも「くわばらくわばら」を説明する説が複数あって、aもbもその中の一つです。
カミナリ様のくわばら桑原の問題12へ
(12)冬のカミナリ様は夏のカミナリ様と何が違うの?
a.「冷たい雷放電」が増える
b.雲頂からの落雷が増える
c.雷雲の高さがより高くなる
d.太平洋岸に多い
e.電荷量が異常に大きな雷が多い
解答:b.雲頂からの落雷が増える、e.電荷量が異常に大きな雷が多い
解説:雷雲は基本的に積乱雲ですから、夏のものです。ところが、日本海では対馬海流のために湿った比較的暖かいので、上空に冬の強い寒気団がやってくると一気に上昇気流がおこって積乱雲ができ、雷雲となります。ですから、東北・上越や中越・北陸・山陰地方といった本州の日本海側には冬の雷は珍しくないのですが、世界的にはノルウェーの西海岸とか北米の五大湖から東海岸くらいでしか見ることができない珍しい現象です。ちなみに、この雷は雪を伴うので、の頃の雷を『雪おこし』と呼ぶのだそうです。そして、このころ秋田ではハタハタ料理が季節料理です。ハタハタをあらわす漢字は、魚編に雷です。
さて、この冬の雷ですが、一般的な夏の雷と随分違う特徴があるのです。冬の積乱雲は比較的低い高度で頭打ちとなり(夏は10km程ですが冬のものは5〜6km程度)カナトコ状になり、季節風により横倒しとなる ため雲頂が横に張り出してゆきます。このため正電荷(+)に帯電している雲頂が地面と向かい合い、雲頂から地面に落雷することになるのです。この雷は、正の極性の雷になります。夏の雷でも正の極性の落雷は有るようですが、冬の雷では割合が多くなるようです。また、冬の雷では、電撃時間が極めて長い(1000〜10000倍:0.05〜0.5秒)く、「熱い雷放電」と呼ばれる落雷が増えます。このことと関連するのか、電荷量が異常に大きな雷300C(クローン)以上の例が数多く観測されるそうです。この値は、通常の100倍以上だとか。冬の雷では、トリガー落雷(上向き雷)が発生するようです。このことも、極性が夏の雷と逆だからだと思います。写真は地上の方から上向きに雷が発生している例です。
カミナリ様のくわばら桑原の問題へ
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●発電の仕組みをより詳しく
積乱雲などの雷雲の中では急激な上昇気流が起こっています(上昇気流によって雲が作られ、雲が作られることで上昇気流が強くなっているのですが)。そして、白い雲の正体は、大気中にかたまって浮かぶ水滴または氷の粒(氷晶)です、基本的にとても小さい粒で直径は、大体3μm〜10μm(=0.003mm〜0.01mm)程度です。
雷雲は基本的に高いところに達するので、氷の粒が多くなります。氷の粒同士がぶつかって摩擦を起こし静電気が生じ氷の粒が帯電することになります。この際、比較的小さくて温度の低い(−20度くらい)氷晶は正(+)に、比較的大きくて温度の高い(−10度くらい)あられやひょうは負(−)に帯電するようです。これらの粒子は軽いので上昇気流によって空気中に浮いた状態になっているのですが、相対的に重いあられやひょうは雲の下部に、軽い氷晶は上部に位置するようになります。こうして、雷雲全体で見ると、上部が正電荷(+)に、下部は負電荷(−)になります。この状態では電流は流れていないのですが、どんどん上部と下部で電圧が上がってゆきます。巨大なコンデンサ状態になっているわけです。この強大な電圧が、絶縁物である空気をも貫いて放電すると雷になります。
以下の説明は、1984年高橋劭(つとむ)氏が提唱した「着氷電荷発生説」によるもので、最有力の説とされています。
この説では、あられと氷晶がぶつかるときの気温によって、異なる反応が起きると分析されています。
(1)気温が?10度以上のとき、また−10度以下でも雲水量が多いとき
雲の中にある、あられの表面は(比較的温度が高いので、あるいは水量多く氷りきらないので)水の薄い膜で覆われている。この状態で氷晶があられにぶつかると、あられ表面の水の一部が氷晶にくっつきます。すると、氷晶は(−)に帯電する。水を失ったあられの方は逆に(+)に帯電することになる。
(2)−10度以下で雲水量が少ないとき
雲の中のあられの表面に(気温が十分に低くて水分量が少ないので)樹枝状の氷〔いわゆる枝状の雪の結晶をイメージすればいいのでしょう〕ができる。この状態で、氷晶があられにぶつかると、この枝がこわれ、氷の小片は(−)に帯電する。あられは(+)に帯電することになる。
(3)−10度以下で雲水量が多くも少なくも無いとき
(気温が十分に低いので)あられの表面は硬く、(水分量が適度なので)なめらかに氷っています。この状態で氷晶がぶつかると、氷晶の方が破壊され、氷の小片が(?)に帯電する。この(−)に帯電した小片があられの方に付着して、あられが(−)に、氷晶が(+)に帯電することになる。
(1)と(2)では仕組みは違いますが、あられが(+)に帯電しています。あられは重いので、雲の下の方に位置するでしょうから、この場合は雷雲の下部が(+)になることになります。実際に雷雲の中でそのようなことも発生しているようです。ただし、ほとんどの場合は(3)になるので・・・雷雲の下部が(−)に帯電するということのようです。
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●そもそも雲のでき方について
そもそも雲とは
雲は、小さい水滴や氷の粒の集まりです。これは目に見えない水蒸気が上空に上がることで(断熱冷却)により冷やされるて、水滴になったり、氷の粒になります。軽いので上昇気流に乗って空中に浮いています。この水滴や氷の粒は、太陽の光を反射するので、白い雲とし見えると言うわけです。
なぜ空気が上昇するのか
水蒸気を含んだ空気の上昇はどのようにしておこるのでしょうか?
(1)夏の日差しなどで地面が暖められると、地面の上の空気は暖められると密度が小さくなって上昇します。ちょうど、熱気球が上空へあがるのと同じ原理です。上空に上がると段悦冷却で冷やされるので、上記のように空気に含まれていた水蒸気は水滴や氷の粒になります。水滴になるときに気化熱が放出されますからまた密度が小さくなって上空に上がることになると、そこでまた空気中の水蒸気が水滴等になり、そのことでまた気化熱でて・・・以下繰り返しで、もこもことした積雲や、積乱雲のような雲ができます。
この中で、積乱雲(いわゆる入道雲)の場合高度も高くなるので、ほとんど氷の粒となりますし、雲底と雲頂との距離も十分できるので帯電しやすく・・・雷雲となります。このようなパターンを熱雷といいます。一般に熱雷は、強烈ですが、雷雨そのものが地面を冷やしてしまうので、積乱雲が崩れてしまい、雷も比較的短時間(数時間?)で収束するようです。
(2)暖かい空気と冷たい空気の境目である前線でも空気の上昇が起こります。暖かい空気が冷たい空気の上に乗っていく(温暖前線)では、空気がゆっくりと上昇するので、高層雲、層雲、乱層雲などの層状の雲ができます。この場合は、雷雲とはなりにくいようです。
一方、冷たい空気が暖かく湿った空気の下に潜り込む(寒冷前線)では、空気が急激に上昇するので積雲や、積乱雲ができます。これも雷雲となります。このようなパターンを界雷といいます。界雷は熱雷に比べて穏やかで、雲間放電が主で落雷(対地雷)は少なくようです。その代わり、積乱雲は移動しながらなかなか崩れてしまわないので、長時間にわたる(十数時間ということも)場合が出てきます。深夜雷がゴロゴロ言ってるのは、このパターンでしょう。
このように、雲のかたちがわかると、上空の大気の様子を知ることができます。また、これからの天気の変化を予想することもできる場合もあります。
他には、山腹に当たった風が、斜面に沿って上昇させられることもあります。
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●落雷の発生プロセスについて詳しく

雲間放電にしろ落雷にしろ、絶縁性の高い空気中を電気が数kmにもわたって流れるというのは、不可思議なことです。ボイスBoysという人がの考案による研究用の特殊なカメラ( ボイスカメラBoys camera)で落雷の様子を観察すると、肉眼では認識できませんが、実は落雷(負極性の雷)は3段階に分けて起こっています。
第1段階:雷雲から最初に伸びる光の弱い先駆放電(ステップリーダー)がおこります。この先駆放電は雲から電子が約50m進み、約50マイクロ秒(100万分の50秒)休止をした後、また数十m進むことを繰り返しながら進んでゆきます。階段状前駆と表現されます。
第2段階:先駆放電が地上に数m〜数十mに近づいてくると、大地側から迎えるように伸びるストリーマー(線条・先行放電)が始まります。これもジグザグに進んでゆきます。
第3段階:雷雲からの先駆放電と地上からの放電が結合して通り道ができると、大量の量の電荷が本格的に先駆放電路に流入する主雷撃(帰還電撃)が始まります。これによって電位差が中和されるまで放電が続きます。帰還電撃はストリーマーがのびる形ですから。地面から雲に向かう形で電流が流れているようです。ボイスカメラで見ると実際に帰還すなわち大地から雲に向かって進んでいるようです。このとき、電光(稲妻)もこのとき最高に輝きが増すことになります。
※電気の流れは、電子の流れの逆方向で実質的には電子の移動だと思っていたので、第2段階も含めてこのストリーマーの事がうまく理解できていません。しかし、ボイスカメラに写る帰還電撃の映像が右側に傾くように出てくるのは、電子の移動の反対が電流という意味ではなくて、文字通り電気的に正電荷が移動してゆくことが有るようです。
なお、別の項でも説明していますが、雲頂から大地への落雷があります。この場合多分、雲頂すなわち正電荷(+)の側から進んできて、帰還電撃が負電荷(−)すなわち電子が昇ってゆくのだと思います。
以上が、図では第1電撃までです。これで、雲と地面の電界は一旦中和されます。ところが雷雲の少し上部には負の電荷が残っていますから、直ちに下部に移行してきます。その負の電荷(−)によって直ちに第2電撃が準備されます。前駆が始まりますが第1雷撃の放電路の電離状態がまだ完全には消滅していないのでこれをたどって道筋がすぐ(階段状ではなく)できて、直ちに帰還電撃が起こり中和します。さらにまたと、第3電撃・第4電撃と続きます。この間合わせても約0.3秒という短期間に起こっていることです。まさに目にもとまらぬ早業です。
なお、図の第3電撃は、特殊な電撃で数万Aではなく100〜1000Aの電流が連続して流れている状態を表しています。(いつも第3電撃がこのようになるということでもないようです。)実際にこのような電撃が20〜25%の確率で起こっているようです。こうなると、電撃時間も長くなります。通常の60マイクロ秒に比べて、1000倍も1万倍長い0.05〜0.5秒もの電撃になります。こうなると、電気が流れたではすまなくて、落雷地点での出火が起こるので、「熱い雷放電」と呼ばれているようです。これに対して通常の落雷は「冷たい雷放電」になるようです。
※ボイスカメラの仕組みについて、次の論文が参考になります。
「廣視角廻轉寫眞機による電光の研究」 吉田, 順五によって、戦中(1944年)に発表された論文のようです。当時、ボイス・カメラを使って、雷を科学しようという姿が見えてきます。
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/17388/1/1_p105-132.pdf
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●ファラデーケージ(ファラデーの籠)について
ファラデーケージ(Faraday cage)とは導体である金属のメッシュまたは金属板などで囲まれるように作られた籠や容器。これによってその内部は、外部の電場から遮られて、内部の電位はすべて等しくなります。
周囲の導体が十分に太いと、雷のような強烈な電気が流れても内部の電位が変わらないので、安全と言うことになります。
そして、航空機や自動車といった金属でできた乗り物や、内部に電気を通す鉄筋が周囲を囲んでいることになる鉄筋コンクリートの建物も、雷に対してはまるでファラデーケージのように機能すると考えられます。実際に、自動車に落雷があっても中の人は助かっています。ただし、この状態で絶対安全と言うわけではないようです。なにしろ雷の電流は十万A以上にもなることがあるわけですから、内側から2カ所に接しているとその間に1mΩの抵抗があれば、100Vの電圧が生じてしまいます。そうなると感電してしまう可能性があります。
ちなみに、ファラデーは物理学者マイケル・ファラデーから来ています。またその名は、静電容量の単位ファラド[F]として、SI組立単位に残っています。
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QUIZ38 ウミウシさんの海底生活
ウミウシは、巻貝の仲間です。 貝殻を持たない巻貝と言うことになります。(もっとも、持っているのもいるからややこしい)一世を風靡した食玩チョコエッグの中に、アオウミウシが登場したときにはショックでした。とても、自然界のものとは思えない色づかいにあきれたものです。ところが、ほぼ実物大で、現実のアオウミウシはもっと鮮やかな色だったのです。ウミウシの仲間は結構多様で、不思議な生き物です。その不思議と奇妙さに迫ってみましょう。
(1)ウミウシさんの身体はどうなっているの?
a.ウミウシさんには目(視覚器官)がない
b.ウミウシさんには耳(聴覚器官)がない
c.ウミウシさんには鼻(嗅覚器官)がない
d.ウミウシさんには足がない
e.ウミウシさんには口ががない
f.ウミウシさんには肛門がない
h.ウミウシさんには鰓がない
解答:b.ウミウシさんには耳(聴覚器官)がない
解説:ひょっとして、音に対しても反応するのかも知れませんが、調べた限りでは音に反応しないようです。
ちなみに、目については、私たちのように外界を風景として認識できる目は有りません。
貝の仲間は原則視覚に頼らない生活をしています。ウミウシも巻き貝の仲間ですから、あまり視覚は使いません。ただし、光を感じる器官は持っていて明暗や光の方向を認識していますから、目は有るとしました。ちなみに、同じ軟体動物でもタコは、大きな目があってかなり視覚が発達していますね。
鼻については、例えば触覚が嗅覚器官にあたります。においは、ウミウシにとっては重要な情報源といえます。
足とは何か?ですが、ウミウシは分類学上、、軟体動物門腹足綱異鰓上目に属する生物の中の一部です。腹足綱というのは、巻き貝の仲間をさすのですが・・・・。腹足ですから、これも足と考えていることになります。もっとも、足は何本という問にはとても答えにくい足ですが。ちなみに、ヘビの場合はもともと有った4本の足が進化の過程で無くなったのですから、足は0本で良いのだと思います。また、カタツムリの解剖について取り扱った書物では、殻より前が前足で、殻のところが中足で、殻より後ろに出る部分が後ろ足と説明してありました。この場合も3本とは言いにくいですね。
食べる口も排泄する肛門も有ります。
カタツムリやナメクジが肺呼吸をするのに対して、水の中で生活するウミウシは鰓で呼吸します。(※ミノウミウシの仲間は鰓を有していません。ミノの部分でガス交換を行っていて、鰓突起と呼ばれますが鰓の機能は無いそうです。)また、貝殻の退化した腹足類であるイソアワモチをウミウシの一種としていたこともあったようです。このイソアワモチは空気呼吸を行います(肺呼吸とも違うようです)。現在ではカタツムリやナメクジが含まれる収眼目とされています。
ウミウシさんの海底生活問題2へ
(2)ウミウシさんは、巻き貝の仲間なのに貝殻はないの?
a.大人になったら貝殻はない
b.大人になっても貝殻がある
c.大人になると貝殻が退化して小さくなる
解答:a.大人になったら貝殻はない、c.大人になると貝殻が退化して小さくなる
ただし、b.大人になっても貝殻があるも正解としても良い。
解説:ウミウシは、基本的にはほとんどが貝殻を持っていません。ところが、痕跡的な貝殻を持つものもウミウシと考えられています。ウミウシの定義はむずかしいのですが、一般的には「貝殻が退化したり全く無くなった巻貝の仲間」です。従って、aとcは正解ということになります。
ところが、分類上明確な線引きがむずかしいのがウミウシです。ですから、ウミウシとされている種の中には、痕跡とは言えないような貝殻を持つものも含まれています(※これをウミウシと考えない人もいます)。となると、cも正解になってしまうのです。
卵から孵化した幼生を、ヴェリジャー幼生と呼ばれています。この幼生は浮遊生活を送ります(プランクトンです)が、そのときはどの種も巻き貝のような殻を持っています。ほとんどの種では、やがて変態して殻を持たなくなります。それと同時に、浮遊生活をやめて底生の成体となります。
ウミウシさんの海底生活問題3へ
(3)ウミウシさんのオスとメスの違いは?
a.オスはメスより、派手な色をしていることが多い。
b.メスはオスより、派手な色をしていることが多い。
c.オスはメスより、大きいことが多い。
d.メスはオスより、大きいことが多い。
e.ウミウシさんにメスもオスもない。
解答:e.ウミウシさんにメスもオスもない。
解説:ウミウシは、雌雄同体の生き物です。一匹のウミウシがオスの機能もメスの機能も併せ持っているのです。ちなみに、自分の精子で自分の卵子を受精させる自家受精は、原則できないようになっているようです。子どもを作るときは、2匹で交接して子孫を作ります。また、3匹以上が連鎖状態になって交接を行うこともあるようです。雌雄異体の場合、メス役の方が1匹の子孫を残すエネルギーをたくさん必要とするので、大抵の場合、負担の大きいメスの方がオスを選ぶようになります。雌雄同体の生き物の場合は、お互い様なので損得なしということになるのでしょう。それぞれのオスとしての交接器官から相手のメスとしての交接器官に精子を送り、それぞれのウミウシが同時に受精し、卵を産むことになります。
カタツムリやナメクジとかミミズ等も同じ仕組みです。
ウミウシさんの海底生活問題4へ
(4)ウミウシさんは何を食べるの
a.ウミウシさんはベジタリアンです。(草食)
b.ウミウシさんは肉食です。
c.ウミウシさんは雑食(動物性のものも植物性のものも食べる)です。
d.種類によってaもbもある。
解答:d.種類によってaもbもある。
解説:ウミウシの種類は多く、その食性も多様です。ただ、一般的には肉食のウミウシが多いようです。しかも、特定の食べ物だけを食べる、偏食家のようです。このため餌の確保が困難で、ウミウシさんの飼育が困難な理由の一つになっています。
詳しくは↓ウミウシさんの食事
ウミウシさんの海底生活問題5へ
(5)ウミウシさんは世界中で色々に呼び名があります。ウミウシさんでないのはどれ。
a.ウミネコ
b.ジュゴン
c.Dorididae(女神ドリス)
d.sea slug(海のナメクジ)
e.tritonia(ポセイドンの息子)
f.Sternchnecke(星の巻き貝)
g.nudibranch(裸の鰓)
解答:b.ジュゴン
解説:ウミウシの名前の由来は、数あるウミウシの仲間の一つである裸鰓類の中のドーリス亜目が持つ、一対の触角を牛の角に見立てたようです。小笠原諸島ではこの触覚を猫の耳に見立ててウミネコとも呼ぶようです。
Dorididaeは、ラテン語。ギリシャ神話に出てくる海の妖精ネレイスの母ドリスにちなんだ名前。
海のナメクジは、英語名のsea slugを直訳しました。ナメクジが陸生の巻き貝の貝殻が退化したものですから。なるほどです。
トリトニア(tritonia)は、フランス語。ギリシャ神話の海の神ポセイドンの息子トリトンにちなんだ名前。
星の巻き貝は、ドイツ語のSternchneckeを訳したもの。
裸の鰓は、英語のnudibranchを訳したもの。昔は、ウミウシの仲間は裸鰓目ということになっていました。身体の外で
ちなみに、ジュゴンは海棲のほ乳類。海棲ほ乳類の仲間は海牛と呼ばれています。ただし、発音すると「かいぎゅう」になります。
ウミウシさんの海底生活問題6へ
(6)ウミウシさんを食べても大丈夫?
a.絶対ダメ、有毒です
b.食べても良いけどまずいです
c.食べられるウミウシもいます。
解答:b.食べても良いけどまずいです、あるいはc.食べられるウミウシもいます。
解説:ウミウシの多くは、食べた餌の中に有る毒素を取り込んでいて有毒です。死ぬほどでは無いようですが、まずいそうです。その上、塩酸や硫酸といった強烈な酸の分泌線を持っているものがいて、そんなのは食べた後もピリピリするとか。従って、むやみに食べない方が、身のためかと思います。
ただ、ウミウシの研究者ででもあった昭和天皇がウミウシを甘く煮付けて食べたという逸話が残っています。この逸話もあってか、食べてもまずいというのが定評になっています。このウミウシはどうもアメフラシであったようです。
(※ウミウシは、分類学的には流動的で人によってその範疇が異なります。アメフラシをウミウシとしない考えかたもあります)
ところが、アメフラシは、地域限定ながら伝統的に食べている地方が全国に有るのです。そこでは、「美味」という評価も有るようなのです。
詳しくは「アメフラシは美味しいか?」をご覧ください ↓
ウミウシさんの海底生活問題7へ
(7)貝殻のないウミウシさんはが身を守る方法はどれ?
a.ナメクジと一緒、岩の隙間や石の下に隠れる。
b.派手な色が、警戒色になる
c.餌のカイメンや海藻に擬態している
d.イソギンチャクなど刺胞動物を食べてその刺胞を身体に蓄える
e.海藻やカイメンなどの餌の毒を取り込んで有毒になる
f.取り込んだ毒をより強力な毒に作りかえる
g.カイメンの骨片を取り込んで、食べ心地をわるくする
解答:種類によって異なりますが、全部正解
解説:上記の防衛策のいずれか、あるいは複数持っていて外敵から防衛しています。ただし、どんな防衛手段も完璧ではないので、やはり食べられてしまうようです。
ウミウシさんの海底生活問題8へ
(8)ウミウシさんは恋の相手をどうやって見つけるの
a.メスは種ごとに特別のフェロモンを出してオスを引き寄せる
b.その時期になると、仲間が落ち合う場所が決まっている
c.手当たり次第に動いている内に、出会ったらラッキー
d.足跡(這い跡)の中の化学物質を手がかりにする
e.派手な色が目印になって相手を見つけることができる。
解答:d.足跡(這い跡)の中の化学物質を手がかりにする
解説:ウミウシは雌雄同体ですから、異性を呼び寄せるということは有りません。広い海で、ゆっくりとした移動しかできないので、偶然をたよりにするのはむずかしい。そして、派手な色をしていますが、ウミウシにはその色を見分けるだけの視覚能力がありません。ところが、ウミウシの仲間は移動時にその這い跡に化学物質を残しています。カタツムリやナメクジの這い跡、を思い浮かべるといいのでしょう。この這い跡に、他のウミウシが接すれば、仲間のいることが認識できます。這い跡を追いかけて他のウミウシに出合うと言われています。ちなみに、雌雄同体なので同じ種類の仲間と出会いさえすれば交接することができます。
●ウミウシさんの食事
・植物食
襄舌目(のうぜつもく)、無楯目(むじゅんもく)に分類されるウミウシが菜食です。無楯目のウミウシは、食べるものによって器官の構造が異なるために、他のものが食べられないようです。このように進化すれば、同じ環境で異なる種が棲み分けることができるというわけです。
ちなみに襄舌目のウミウシは、緑藻類に属する海藻の細胞の中身を吸引して餌にするのですが、そのとき葉緑体は消化せずに生きたまま背面にある細胞に取り込み、光合成をさせて活動に必要な栄養素を獲得しているといいます。
・肉食→海綿(カイメン)食
海綿動物(かいめんどうぶつ、英: sponge)は、細かい網目状の海綿質繊維からなる骨格でできています。この骨格部分を、スポンジとして化粧用や沐浴用に用いられます。海の中では、一見して石や岩に見えてしまうそうです。このカイメンを食べるウミウシは多くの種類があるようで、アオウミウシもカイメン食だそうです。
ちなみに、餌にする海綿動物などの持つ毒物を体内に取り込んで、自分が魚などに食べられないための防御に用いるそうです。また、カイメンの骨片を取り込んで食べにくくする防御もあります。
・肉食→コケムシ/ホヤ食
コケムシは、外肛動物(がいこうどうぶつ、Bryozoa または Ectoprocta)のことです。小さな群体を作って生活しプランクトンを食べ、サンゴに似た炭酸カルシウムなどの外壁からなるコロニーを作る動物です。ホヤはこれも不思議な生き物です。これらを食べるのは、サガミリュウグウウミウシなどです。
・肉食→刺胞動物食
刺胞動物というのは、。「刺胞」と呼ばれる、毒液を注入する針(刺糸)を備えた細胞内小器官をもつ細胞があることからこの名で呼ばれます。ヒドロやクラゲやイソギンチャク、ウミトサカ、ウミエラ、サンゴなどが刺胞動物に属します。刺す細胞を持ったものを食べてしまうのですから、恐ろしい。なかでもミノウミウシ類は刺胞動物(クラゲ・イソギンチャク)を食べて、その刺胞を壊さずに取り込み、自分の背面などに保持して、自己防衛に使ってしまうという、なかなかの工夫をしているものもいます。これを盗刺胞といいます。
また、刺胞動物に共生する褐虫藻をそのまま取り込んで、ミノウミウシノ体内で光合成をして、栄養をもらうということも有るそうです。
・肉食→ウミウシ食
他のウミウシの仲間を食べてしまいます。恐ろしい奴らです。キヌハダウミウシなどがいます。
・肉食→ウミウシの卵食
他のウミウシの卵を食べてしまう、情け容赦の無いウミウシがいます。
・肉食→甲殻類・節足動物食
小さな甲殻類や節足動物を食べてしまいます。その中でも、メリベウミウシはその獲物の捕まえ方が独創的です。頭部にある頭巾状の口を、大きく広げて投げ網を打つように石の上に覆い被せます。覆い被せた口の内側には、繊毛のようなものが密生していて、石の上にいた獲物を絡め取って食べてしまうそうです。
・肉食→何でもあり
ウミフクロウ類の場合は、上記のものを何でも食べてしまいます。その上、死んだ魚やイカまで食べてしまいます。ただし、共食いだけは滅多にしないのだとか・・・。
参考:「ダイビングのための雑学」
http://oyaji-diver.com/message/umiusi_seitai.htm
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●「アメフラシは美味しいか?」
アメフラシを食べるということは、2通りのパターンが考えられます。まずは、アメフラシの身そのものです。これを食べる地域は、島根県の隠岐の島の他、鹿児島県・千葉県・鳥取県の一部の地方に限定されているようです。これを実際に食べてみて「美味しい」と公言しているサイトを紹介します。
「ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑」
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/kousairui/amefurasi.html
このサイトは、「食べる魚貝類だけでなく多彩な生物の図鑑です。掲載種は2000種、食用の水産生物の一般的なものは総て網羅。検索法・食べ方を詳しく解説しています。」というなかなかの内容です。
その中で、隠岐に伝わるアメフラシの調理法が紹介されています。また、実際に食べられたようですが、「タコの食感に近く美味」との評価です。味覚は個人差があるものの、他の魚貝類に対する評価と比べて、ゲテモノ的評価ではないと思われます。やはり、ちゃんとした料理法によって、食材のうまみが引き出されるということでしょう。従って、他のウミウシの仲間にも調理法によればおいしいものも有るかも知れません。(小さいから、労力に対して釣り合わないでしょうから、珍味としての消費になるのでしょうが)
なお、アメフラシの毒は、毒を持つ海藻類を食べているとその毒がアメフラシに蓄積されるためのようです。食用にしている地方では、アメフラシの毒の元となる海藻類が無いので食用可能となっているとの見方も有ります。となると、他の地方では同じ調理法をして不味いかも知れません。というわけで、昭和天皇の逸話で「不味かった」のは、調理法の問題なのか、素材の問題なのかは、依然として謎です。
アメフラシの卵の食用はより一般的なようです。
辞書に下記のような記載が有ります。
うみぞうめん(海素麺)
@紅海藻ウミモズク科の海藻。ウミフノリともいう。太さ3cmくらいのひも状で、寒天質を帯びている。形や手ざわりがそうめんに似ていることからこの名がつけられた。塩蔵または灰にまぶして乾かし、貯蔵する。水に戻して、さしみのつま、酢の物、椀種などに用いる。
A軟体動物アメフラシ、ウミウシ類などの卵。海粉(ハイフェヌ)はこれを干したもので、中国料理の材料とする。
通常、食べられている海素麺は、@のパターンで全くの別物です。一方、Aではアメフラシだけでなく、ウミウシの卵を含めて海素麺と呼んでいることが分かりますし、干したものは海粉(ハイフェヌ)として、中華料理の食材になっていると解説しています。
一説には、アメフラシの卵を、海素麺(うみぞうめん)と呼んで、食糧難の頃などは食用にされたことはあるものの、現在食べないとあります。これは、美味しいものではないうえに、毒性があるからだというのです。
ところが、この海素麺や海粉について、沖縄料理研究家が、以下のような研究をネット上に発表されていました。
「柵封使の琉球における食の考察」
これによると、「沖縄ではアメフラシの身を食べるというのは聞いたことが無いが、卵については、和え物にして食べたとか、海辺の人々の間では昔からよく知られている。」とあります。戦後の食糧難で、美味しくも無いのに無理矢理食べていたというものではないようです。それどころか、アメフラシの卵の加工食品である「海粉」は高級食材だったようなのです。
琉球王朝時代、中国からの柵封使に関する資料の中に、頻繁に「海粉」と言う文字がでてくるというのです。いわば、国賓級のお客様の接待料理に使われているのです。燕の巣を使った料理の代わりのほか、極めて頻繁に使われています。さらに島津候の卓袱料理(しっぽくりょうり)の最高の献立に海粉が使われています。とても、飢饉の時や食糧難の時の埋め合わせの食べ物では無いのです。
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