自然のおもしろクイズ
回答編]X
問題や解答に疑問や助言や感想がある人、
新しい問題の提案がある人(できれば、解答と解説付きで)
okiomoya☆fuchu.or.jp にメールください。
迷惑メールに苦慮しています。の部分をに換えて発信してください。
おもしろクイズの解答と解説について
内容については私なりに様々な書籍やネット上の資料を調べて書いています。しかし、本にしろネット上の資料にしろ必ずしも科学的に正しいとは限りません。また、書かれた時点では通説とされていても、その後より妥当性のある説が発表されいている可能性があります。
私が調べた時点でも、異なる説が見つかる場合が多いです。その場合、私の判断で確からしい内容を正解として書かせてもらっています。私自身は専門家ではないので、所詮素人判断といえます。
このクイズを参考して色々と利用されることはかまいませんが、それぞれの判断と責任でご利用ください。

QUIZ41 クモさんのあやとり

クモは魅力的な生き物です。クモの網の美しさ・不思議さには目を見張ります。世界中に約4万種、日本ではおおよそ1250種といいます。そんなにも多様なクモの世界を楽しんでみましょう。


(1)網を張らないクモさんがいるの?
a.網を張らないのはクモではない
b.一部のクモは網を張らない
c.およそ半分のクモは網を張らない。

解答:c.およそ半分のクモは網を張らない。
解説:クモと言えばクモの巣が付き物のように思います。ただこの場合、私たちが意識するクモの巣は、多くの場合「巣(nest)」というよりは、獲物を捕獲するための「網(web)」です。
 クモは糸を使って棲む場所である「巣(nest)」を作ります。そして、獲物を捕らえるための「網(web)」を張ります。巣と網は別物のことが多いようです。私たちは網のことをクモの巣と呼んでいることが多いと思いますますが、網に棲んでいるわけではないのです。
 そして、クモの中のおよそ半分は、網を張らない徘徊生の種類なのです。田圃の中や草原をあるいは家の中を歩き(走り)回っているクモを見たことがありませんか。


クモ問題2へ

(2)クモさんはなぜ自分の網にかかってしまわないの?
a.クモの糸には粘らない糸があって、クモさんはその部分を歩くから
b.クモの足は特殊な構造で、クモさんは粘る糸にもくっかない
c.クモの足からは油を出しているので、クモさんは粘る糸にくっかない
d.クモさんはとても力持ち、くっついても平気で引きはがす

解答:a.クモの糸には粘らない糸があって、クモさんはその部分を歩くから
解説:クモの糸の中でも、縦糸や枠糸や足場糸などは粘りません。一方横糸には、粘る成分が着いています。(横糸以外にも粘る糸を使用する種もありますが)クモはに縦糸やわく糸など粘着性の無い糸の部分を歩いています。
 ちなみに、クモの足の先から油が出ていて、粘る糸にもくっかないという説はかなり有名で、多くの書物で紹介されています。(この説の初見は、ファーブル先生のようです)このことを確かめるために、クモを捕獲して足先を揮発油で洗って、再び網に戻す実験をした人がいます。すると、クモは網に絡まってうまく歩けなかったのです。これで、定説は証明できた・・・はずでした。ところが、クモを研究している新海明さんという人は、これに疑問を持ちました。それは、新海さんが注意深くクモを観察していると・・・粘る横糸に時々足を絡ましてるクモがいたからです。そこで、新海さんはこれは、横糸に絡まってしまうのは、足を洗ったからではなくて、別の原因によるかも知れないと考えられます。そこで、先ほどの実験と同じ条件で採集して、足を洗うために麻酔をかけて、足を洗うことはしないで網に返すという、「対照実験」をしてみたのです。すると、こちらのクモも同じようにうまく網の上を歩けないのです。
 新海さんの分析は・・・クモは網を作っていないときでも、いつも出している「しおり糸」を切らずに戻すと、足を洗った方も洗わなかった方もどちらも絡まずに網の中心に戻ってしまうのです。ですからしおり糸がつながっていないことの方がクモが足を絡ましてしまう主な原因ではないかと分析しています。
 ただし、新海さんは、この実験によってクモの足に油が出ていないことの証明になっているわけでもないと書かれています。むしろ、クモの体がワックス状の物質で覆われている可能性は高いと書かれています。しかし、このことをちゃんと調べた人はいないようです。このことを証明するためには、それなりの実験や研究が必要だと書かれています。専門家でもわかっていないことは、結構あるということです。
 素人の個人的な感想ですが、クモの目は余り良くないようです。粘る糸と粘らない糸を瞬時に見分けるのはむずかしそうです。ですから、足を含めて全身にはえている触覚毛を利用して、認識しているのだろうと思います。だとすると、足を洗うという行為が、触覚毛に与える影響も有るのではないかと思います。まあ、素人判断ですが。

クイズ問題3へ


(3)クモさんの足は8本ですが、それはどのように着いていますか?
a.頭胸部に4対(8本)が全て着いている
b.頭胸部に3対(6本)腹部に1対(1本)が着いている
c.頭胸部に2対(4本)腹部に2対(4本)が着いている
d.頭胸部に1対(2本)腹部に3対(6本)が着いている
e.腹部に4対(8本)が全て着いている

解答:a.頭胸部に4対(8本)が全て着いている
解説:クモの身体は、頭部と胸部が一体となった頭胸部と腹部に分かれています。そして、8本の足は全て、頭胸部に着いています。一見して、腹部に着いているように見える場合もありますが、全て頭胸部に着いています。

クイズ問題4へ


(4)クモさんには毒があるの
a.全てのクモは毒を持っています、さわらないようにしましょう
b.クモの毒は虫用の毒ですから人間は心配しなくて大丈夫
c.外国には毒グモがいるけど、日本にはいないのでご心配なく
d.日本でも外来種の毒グモが侵入してきているので注意を

解答:d.日本でも外来種の毒グモが侵入してきているので注意を
解説:基本的にクモの毒は虫に麻酔をかけるための神経毒です。ところが、昆虫と脊椎動物との神経伝達物質は異なるので、人間には効果がありません。強い牙を持つ種類では、噛まれて痛いことはあっても、毒の心配はありません。ただし、脊椎動物の運動神経に対する神経毒を発達させた種類もあります。1997年その中の一つセアカゴケグモの日本への侵入が発見されてパニックを引き起こしました。その後、ハイイロゴケグモの侵入も発見されています。ただ、これらのクモが人間を襲うことは考えられません。無理につかんだりしない限り大丈夫です。
 余談ですが、映画やドラマで毒グモの大親分のように思われている、毛むくじゃらで巨大なタランチュラですがほとんど毒はありません。他の毒グモ(こちら1cmくらいの小型)の罪をかぶせられてしまったようです。冤罪です。
従って、このクモに噛まれたら踊り続けたら助かるというのも迷信です。多分、このクモに噛まれて、パニックになって騒ぎ回った人がいて、騒いだ割には何も起こらず→踊ったから無事だったのだ→踊れば助かるとなったのではないかと想像します。
イタリアには「ネオポリタン・タランテラ」とか「タランテラ・ジョセッピナ」とかこの言い伝えにちなむフォークダンスがあります。激しく、楽しい踊りです。
≪参考資料≫「クモの毒を科学する」(※蜘蛛学会HPより)
http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/asjapan/contents/biophiliaspiderpoison.PDF

クイズ問題5へ


(5)クモさんの作る糸は主に何でできているの
a.タンパク質
b.炭水化物
c.脂肪
d.ビタミン

解答:a.タンパク質
解説:糸を出す動物は、クモの他にもカイコなどのガの幼虫がいます。これらはいずれもタンパク質でできた糸を出します。動物の毛もタンパク質でできています。クモは、体内に色々な種類の絹糸腺を持っていて、必要に応じて異なる種類の糸を出すことができます。

クモの糸とその性質』      池田 博明・新海 明
http://homepage3.nifty.com/~hispider/spiderwebbook/ikedah/spiderthread.html

クイズ問題6へ

(6)クモさんは糸をどこから出すの
a.口から糸を吐き出しています
b.肛門から糸を出しています
c.足の付け根から、糸をだしています
d.足の先から糸を出しています。
e.腹部後端に複数の糸いぼから出しています

解答:e.腹部後端に複数の糸いぼから出しています
解説:腹部の後端といっても、最先端よりは少し内側に糸いぼがあります。種によっては、かなり前の方についているものもあります。

クイズ問題7へ

(7)クモさんの獲物の食べ方
a.生きたままの虫をバリバリと残さず食べてしまいます。
b.糸で縛り付けた獲物に、牙を突き刺して体液を吸い取ってしまいます。
c.糸で縛り付けた獲物に、消化液を注入して、消化できてから吸い取ってしまいます。
解答:c.糸で縛り付けた獲物に、消化液を注入して、消化できてから吸い取ってしまいます。
解説:このような方法を「体外消化」といいます。このやり方だと、余分のものを取り込まなくていいので、自身の消化管を簡略化できますし、排泄物も量が少なくなります。
 消化液は唾液腺から分泌されます。・・・よだれを獲物の体の中に注入するんですよねゥゥ。

クイズ問題8へ


(8)クモの食べ物は何(※複数回答)
a.空を飛ぶ虫
b.地面を歩く虫
c.クモの糸
d.花粉

解答:種類にもよりますが、全てです。
解説:クモの食べ物は原則的には生きた虫です。高いところに円網を張る種類は、基本的に「a空飛ぶ虫」です。ところが、地面を歩くアリなどを捕まえるように張られた網を作る種もあります。また、網を張らない種類では、歩き回って獲物を襲うわけですから、「b.地面を歩く虫」も大切な獲物です。
 造網性のクモの場合、使い古した網や粘着力の落ちた網を張り替えますが、その場合網を捨ててしまうのはもったいないわけです。ですから、タンパク質(アミノ酸)でできた網を食べてしまいます。食べた網はたちまち消化されて、30分後くらいには新しい網の材料として使われるそうです。
 クモは肉食性ですから、花粉は食べないはずですが、上記食べてしまう網には花粉が付着していてそれも一緒に食べてしまいます。花粉は栄養豊富な食材ですから、これだけでもそれなりに栄養源になる場合があるようです。ニワオニグモの幼体を研究したスミスさんは、虫を食べることができなくても花粉食だけで命をつなぐことができるといいます。ただし、この場合でも虫を食べることができないと、次の齢になることはできないようです。また、石野田辰夫さんという方の研究では、アシブトヒメグモが花粉や蜜を食べていることを発見しています。この様子は、NHKによって撮影されているようです。

クイズ問題9へ

(9)クモさんの目はいくつあるの
a.単眼が1個
b.単眼が2個(一対)
c.単眼が8個
d.複眼が2個(一対)
e.複眼が2個と単眼が6個

解答:c.単眼が8個
解説:クモの目は8個もありますが、ほとんどのクモの目はよく見えません。ハエトリグモなどいくつかの種類のクモは、比較的大きな目を持っていてこういった種の場合は、そこそこ見えるようです。ほとんどの種では、明るさや大まかの位置などを感じる程度のようです。
 クモはその割には、網にかかった虫を素早く捕まえます。徘徊性のクモの場合も、動いている虫を捕獲します。クモが外界の情報を得るのは目よりもむしろ触毛や聴毛や細隙器官などの感覚器です。これらを駆使して、虫の羽音が起こす空気の振動や網や糸から伝わってくる振動を分析して外界を認識しているようです。
 ちなみに300〜700Hzの震動を感じるとクモは餌の虫がかかったと反応します。だから、音合わせに使う音さ(A音で440Hz)を、網糸に触れると隠れ家に潜んでいるクモを導き出すことができるのです。


クイズ問題10へ

(10)フィールドでよく見かけるジョロウグモの網の形はどれでしょう
a.上下左右ほぼ均等な円網
b.楕円の上部をカットしたような馬蹄形
c.楕円の下部をカットしたような馬蹄形
d.楕円の右もしくは左をカットしたような馬蹄形

解答:b.楕円の上部をカットしたような馬蹄形
解説:ジョロウグモの網はよく見かけますが、他の種の網と比べて色々な特色があります。その一つが、馬蹄形をしていることで、「蹄型円網」と呼ばれています。横糸の張り方も、螺旋状にぐるぐると張っていなくて振り子状に行ったり来たりして張っています。また、最初に張った螺旋状の足場糸(粘着性なし)を、撤去せずそのまま残しています。足場糸と足場糸の間に、4〜5本くらいの横糸が緻密に張られていて、あたかも楽譜に使う五線譜のように見えます。
 縦糸も緻密です。普通の円網では、縦糸は放射線状に張られるので、中心部(コシキといいます)付近は幅が狭く、外に行くに従って縦糸の間隔は広がります。ところが、ジョロウグモの縦糸は外側になってもほぼ等間隔なのです。よく見ると、縦糸の途中で縦糸が分割されて増えているのです。
こうして、緻密な横糸と緻密な縦糸で構成された大きな網が張られています。この緻密な網は、大きな虫を捕らえることができるだけでなく、小さな虫も捕らえることがです。もちろん、大きな虫は一度で効率よく栄養補給ができますが、餌がかかる確率に村が生じます。小さな虫は、一匹あたりの効率は悪いのですが、数が多いのでこまめにとれば、栄養補給が安定します。ある研究者による調査ではジョロウグモの餌の3割(重量比)は、小さなハエであったそうです。
 ジョロウグモがこのように、大きな虫も小さな虫も逃さない網を駆使していることが、都会でも生息を維持できている理由ではないかと考えられています。

『ジョロウグモの円網作り』    新海 明
http://homepage3.nifty.com/~hispider/spiderwebbook/shinkaia/nephilaweaverbehaviour.htm

クイズ問題11へ


(11)ジョロウグモさんの網をみてみると、途中で折り返している網が多いようです。これはどうしたのでしょう。
a.全周を回っていると、自分の位置がわからなくなるので、分けて作っている
b.複数のジョロウグモが、分業で一つの網を作っている
c.横糸の粘着性を維持するために、一日に半分ずつ張り替えている
d.ジョロウグモの中には、続けて仕事のできない怠け者が多いから

解答:c.横糸の粘着性を維持するために、一日に半分ずつ張り替えている
解説:円網を張るクモの場合、網の粘着性を維持するために定期的に張り替えている種が多いようです。ジョロウグモの場合、毎日張り替えているのですが、何しろ大きな網ですから、全部を一度に張り替えるのは大変なので、一日に半分(もしくは1/3)ずつ張り替えているようです。
 全面的に網が破壊された場合などは、当然一気に全部作りますから、途中での折り返しはなく、橋糸や枠糸のところで折り返す振り子運動のような張り方をしているようです。

クイズ問題12へ

(12)子育てをするクモさんがいるの
a.クモは虫です。虫は子育てなんかしません。卵を産んだらおしまいです。
b.生まれた卵を背負って歩く、クモさんがいます
c.卵のうをそばにいて守っているクモさんがいます
d.生まれた子グモに餌を与えて育てるクモさんがいます。

解答:b.生まれた卵を背負って歩く、クモさんがいます、c.卵のうをそばにいて守っているクモさんがいます、d.生まれた子グモに餌を与えて育てるクモさんがいます。 
解説:コモリグモ(子守蜘蛛)は、コモリグモ科に属するクモの総称です。徘徊性のクモですが、メス親は卵のうをと幼虫を腹部に乗せて保護する習性があります。
子守の様子です
http://karapaia.livedoor.biz/archives/51545174.html
また、
ヒメグモ科のクモは、生まれた子グモに親が口から吐き戻しを行って口移しに餌を与えます。まるでミルクを与えているようです。

クイズ問題13へ


(13)クサグモさんの網は、棚状で、粘着力もありません。何のための網なの。
a.運動会用
b.落ちてきた虫を受け止めるため
c.自分が落ちてしまったときの安全ネット
d.ひなたぼっこ用

解答:b.落ちてきた虫を受け止めるため
解説:クサグモのこの網を、棚網といいます。棚網の上には、不規則に糸を引き回した迷網があります。こちらも粘着力がありません。実は、飛んでいる虫がこの迷網部にぶつかって、そのショックで棚網の上に落ちます。落下の振動をキャッチしたクサグモは、すかさず巣穴から飛び出してきて、虫を糸で縛ってしまうのです。この棚網は粘球がないので、小まめに張り替える必要がありません、一度作ったら破れた部分だけの補修で済ましたり、複数のクモで共有したりするようです。
 このやり方はノックダウン方式と呼ばれています。この方式をとるクモは、クサグモ以外にもヒメグモとかサラグモなどがいます。
 ちなみに、ひなたぼっこをしているように、棚網のところにいることもあるようですが。あるいは、本当にひなたぼっこもしているのかもしれません。むろんそのためだけに、こんな膨大な糸を使った網は作れませんが。

クイズ問題14へ


(14)イソウロウグモ(居候蜘蛛)さんて、なんのために居候して何しているの(複数回答)
a.網主が無視した小さな虫をこっそり頂く
b.網主が食べているところに押しかけて、餌を奪ってしまう
c.網主を襲って食べてしまう
d.卵のうの卵や、卵のうから孵った子グモをおそう
e.網をたべてしまう

解答:全部あります。
解説:aのタイプに当たるのが、ミナミノアカイソウロウグモやシロカネイソウロウグモだそうです。残った餌を探すときには、常に命綱を確保しておいて、網主に気づかれて攻撃されそうになったら、網をはじいて落下、命綱にぶら下がって逃亡します。
 bのタイプに当たるのが、チリイソウロウグモなどです。網主が獲物を捕獲しようと行動していると、素早く接近し、すきを狙って強奪してしまうのです。これはもう、強盗ですね。
 cのタイプに当たるのが、フタオイソウロウグモです。餌をとっている網主に投げ網を投げつけて捕獲。食べてしまうのです。もう、居候などという控えめな呼称は当てはなりません。強盗殺人!
 dは、放浪中のイソウロウグモが卵のうに出会ったときの対応です。卵のうを食い破って中の卵を食べてしまうのです。そして、子グモが出てくるのを待って食べてしまうイソウロウグモもいます。
 eのタイプは、ミナミノイソウロウグモで観察されています。おこぼれの餌が少ないと、網そのものを食べて生きながらえるというのです。そうです、網もタンパク質でできていますし、粘着質の部分は多糖類でできていますから、栄養補給になるようです。

クイズ問題15へ


(15)空飛ぶクモさんがいるの
a.翼を持ったクモさんは、自由自在に空を飛び回ります
b.1週間くらい絶食していると体が軽くなって、空中に浮くことができるようになります
c.数本の糸で風を受けてタンポポの種子のように空を飛ぶ
d.糸でぶら下がっておいて、風で糸が切れたらそのまま飛んでゆく

解答:c.数本の糸で風を受けてタンポポの種子のように空を飛ぶ、d.糸でぶら下がっておいて、風で糸が切れたらそのまま飛んでゆく
解説:これをバルーニング(遊糸飛行)といいます。飛び方は二通りあります。原始的なジグモなどは子グモが糸を出してその先にぶら下がり、風に吹かれて糸が切れると、そのまま風に乗って飛んでいく方法をとります。そして、多くの高等なクモでは草や木の先端に登り、体を持ち上げ、腹部を上に向け、糸疣から数本の細い糸を出し始める。糸は上昇気流に乗って吹き上がり、やがてクモが脚を離すと、そのまま空中へ吹き上げられて、ちょうどタンポポの種子のような格好で空を飛びます。この方法で、クモは非常に広い範囲に拡散することができます。中国ではこれを「遊糸」といいます。南米やイギリスでは大きな湿地や草原の広がる環境で、辺り一面に降る様子を「老婦人の夏(ゴッサマー)」と言い表されています。東北地方の一部では秋には雪迎え、春には雪送りといわれます。
※岐阜で「雪迎え」と呼ばれているのは、ワタアブラムシでした。こちらは、綿のような物資をつけたアブラムシで、しっかりと羽があってふわふわと飛んでいます。雪虫とも言われていて、この虫が飛ぶようになってしばらくすると、雪が降ると言っておられました。
 同じ地方で、クモのバルーニングとワタアブラムシの両方とも見られる所もあるでしょう。

クイズ問題16へ


(16)とても離れた所に橋糸を張って網を作っているクモさんは、いったいどうやって最初の糸を引いたの
a.子どものころクモは羽があって、糸を引きながら飛んでゆく
b.端を止めた糸を伸ばしながらぶら下がり、風に吹かれているうちにとどく。
c.糸にぶら下がって、尻から糸を風に乗せて流して、絡みつかせる。
d.飛ぶ虫を生かして捕まえて、糸を張るのを手伝わせる

解答:c.糸にぶら下がって、尻から糸を風に乗せて流して、絡みつかせる。
解説:網作りはまず、橋糸を張ることから始まります。糸にぶら下がったクモがお尻から糸を風に乗せて流します。流れてどこかに絡みつくとたぐり寄せます。もどってきてしまったら、上手く行くまで繰り返します。うまくいったら、新しい糸を出しながら、反対側に進みます。何度も往復しながら強固な橋糸を作り上げます。

『円網の張り方』 新海 明
http://homepage3.nifty.com/~hispider/spiderwebbook/shinkaia/orbweaverbehaviour.htm

クイズ問題17へ


(17)クモさんの糸の引っ張り強度はどれくらい
a.同じ太さなら、木綿糸くらい
b.同じ太さなら、ナイロンくらい
c.同じ太さなら、鋼鉄くらい
解答:b.同じ太さなら、ナイロンくらい
解説:芥川龍之介の『蜘蛛の糸』では、カンダタだけでなく何人もの罪人を支えた蜘蛛の糸ですが・・・クモの糸で人間がつれるのでしょうか?実は、クモの糸はとても細いから簡単に切れてしまいますが、太さが同じならかなり強いのです。クモの糸も多様なので、一概に強度は特定できないのですが、以下のように書かれています。
「強度(テナシティ)はナイロンよりやや劣りますが、弾性力は約二倍です(クモ糸31%に対してナイロン16%)。同じ太さの糸で、引っ張ったときになかなか切れない性質(引っ張り張力)を比べますと、骨や腱、ゴム、植物繊維よりも大きく、鋼鉄の半分にも達しています。(クモの糸とその性質より)」
ただし、クモの糸は乾燥してしまうと弱くなってしまいます。1mの糸を30cmも伸ばすと切れてしまいますが、水分が含まれていれば3倍に伸ばせるそうです。

クイズ問題18へ

(18)加治木町でおこなわれる、クモ合戦って勝敗はどうやって決めるの(複数回答)
a.相手を食べたクモが勝ち
b.相手の尻に糸を掛けたら勝ち
c.相手の尻に噛み付いたら勝ち
d.相手が垂れ下がっている糸を断ち切ったら勝ち

解答:b.相手の尻に糸を掛けたら勝ち、c.相手の尻に噛み付いたら勝ち、d.相手の糸を断ち切ったら勝ち、のいずれかの状態になったと行司が判断したら勝ち。
解説:鹿児島県姶良市加治木町において毎年6月の第3日曜日に、コガネグモ同士を戦わクモ合戦が行われます。高さ1.5メートルの竿の上端から水平に張り出した横棒で戦います。

『クモ合戦規則』
http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/asjapan/contents/kajiki/spiderfight.htm


クモ問題TOPへ
≪参考資料≫

蜘蛛学会HP
http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/asjapan/

内容目次
http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/asjapan/contents.htm

『クモの巣と網の不思議』(※クモの巣や網のことについてとても詳しい内容です)
http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/asjapan/spiderwebikeda.htm

『クモ毒を科学する』
http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/asjapan/contents/biophiliaspiderpoison.PDF

『クモ生理生態事典2010』
http://www.ne.jp/asahi/jumpingspider/studycenter/Dic10.html



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QUIZ42カバさんの血の汗

アフリカの河で鼻と目と耳だけ出してぼーっとしていて、とってものんびりしているカバさんですが。・・・まるでスポ根ものの主人公のように血の汗を流すといいます。そして、なかなかのファイターでもあります。そんなカバさんの不思議に挑戦してください

(1)カバさんは水に潜っても耳に水が入らないの?
a.もちろん入ります、だからいつも水の上に耳を出しています。
b.そのままだと入るので、筋肉の力で耳の穴をふさぎます。
c.水に潜るときには、木の枝を耳栓代わりに差し込んでおきます。
d.耳の穴にびっしりと毛が生えていて水が浸入しません。
e.入りますが、のんきなカバさんはそんなこと気にしません。

解答:b.そのままだと入るので、筋肉の力で耳の穴をふさぎます。
解説:カバの鼻も耳も内側の筋肉が発達していて自由に開閉できるのです。ですから水に潜るときには閉じるので水が入らないのです。ちなみに目にはゴーグルがありませんが、水中で目を開けています。
ちなみに、カバの比重は水より微妙に重くなっています。ですから、浮く努力をしなければ水底に沈みます。ということで水底をひょこひょこ歩くという移動も普通にやっているようです。
水中を歩くカバ(動画)

カバ問題2へ

(2)水に潜ったカバさんは音を聞かなくてもいいの?
a.目を開けてよく見ているから大丈夫
b.鼻で音を受けとめている
c.大きなお腹全体で音を受けとめている
d.アゴで音を受けとめている
e.おしりで音を受けとめている
解答:d.アゴで音を受けとめている
解説:カバはクジラのように音によるコミュニケーションをする能力があります。おなじように、空中だけでなく水中で音を出すことができます。水中では喉(のど)のまわりの脂肪を振るわせて音を出しているのです。そして、水中の音はアゴを使って受けとめ、そこから頭蓋骨につながる薄い骨を通じて水中の音もしっかり感じているのです。

カバ問題3へ


(3)水につかったカバさんが口を水の中に入れたまま鳴いていました。どうして?
a.カバさんは口からでなく鼻から音を出している
b.カバさんは口からでなく耳から音を出している
c.カバさんは喉(のど)回りの脂肪を振るわせて音を出している
d.カバさんが暴れた音を鳴き声だと思った勘違い・・水の中では鳴きません
解答:a.カバさんは口からでなく鼻から音を出している
解説:カバはコミュニケーションの能力の発達した動物です。水中だけでなく陸上でもコミュニケーションを大切にします。空気中では、鼻から音を出して耳で聞いています。喉を振るわせてできた音波を口ではなく鼻から出すのです(陸上でも)。これなら、水につかっているときにも鼻も耳も水の上に出しているので、問題なくコミュニケーションができます。cの水中の音は、通常は聞くことができないと思います。
ちなみに、そのカバの鳴き声(空気中)については→鳴き声クイズのカバを見てください。

カバ問題4へ


(4)カバさんの歯は何本?
a.4本
b.8本
c.12本
d.16本
e.20本
f.40本
g.60本
解答:f.40本
解説:犬歯(牙)ばかり目立ちますが、上下合わせて40本の歯が生えています。人間の場合は、乳歯の時に上下合わせて20本。永久歯で上下合わせて28本です。これに親知らずが全部有る人だと32本です。
カバには門歯(前歯)が上下とも2対(4本)全部で8本あります。そして、犬歯が上下とも1対で4本あります。下あごの犬歯2本は特別に大きくて、カバが大きく口を開けた時によく目立ちます。犬歯と門歯には歯根がなく、一生伸び続けます。ただ、先のほうから少しずつすり減っていくから大丈夫のようです。ただ、犬歯は時には上あごを突き抜けることもあるそうです。そこで、動物園では伸びすぎた歯はのこぎりで切っているそうです。
ちなみに、イノシシの犬歯(牙)、あるいはネズミの門歯(前歯)やウサギの臼歯(奥歯)も同じように一生伸びつづけているそうです。

カバの歯磨き2(こちらは獣医さんが解説してます)※歯の数を48本だといっています
個体差があるのではないかと思われます。奥歯が40本という資料もありました。そうなるとf.60本も正解となる個体もあるのかも知れません。
上記、骨格標本でも、門歯と犬歯を合わせて12本でいいと思うのですが、奥歯を何本に数えるのかよく分かりません。どこまでが一本なのかよく分からないからです。
→※上野動物園に問い合わせました。カバの歯列は、「2・1・4・3」となっているとの解答でした。これが上下左右あるわけですから・・・・門歯が2本*4、犬歯(牙)1本*4、小臼歯4本*4、大臼歯3本*4となります。ということで、やはり40本が正解で良いようです。ただ、人間のように、親知らずが生える個体もあるのかも。

カバ問題5へ


(5)カバさんは虫歯にならないの?
a.飼育員のおじさんが歯磨きしてくれるから大丈夫
b.親切なカバが歯を磨いてくれるから大丈夫
c.草食のワニは虫歯にはならない
d.2頭のカバが向き合って口の中を見せ合って、怪しいときには注意してくれる
e.優しい鳥がいてカバの口についた食べかす等をとってくれる。
解答:c.草食のワニは虫歯にはならない 
解説:草食で繊維質のものを主として食べているカバは、歯磨きをしなくても基本的に虫歯にはなりにくいはずです。
それでも、動物園のカバは飼育員さんに歯を磨いてもらっていて、しかもとても気持ちよさそうにしています。
動物園で歯磨きしてもらってまったりしているかばの映像
http://youtu.be/H6UXv6TIXAs
ですから、少なくとも飼育下のカバについては、 a.飼育員のおじさんが歯磨きしてくれるから大丈夫 も正解にしておきましょうか。でも、多分パフォーマンスでやっている、歯磨きショーだとおもうのですが。
cやdについては、そのような事実は無いと思われます。
eについては、多分そのような事は無いのではないかと思うのですが、「ガラパイヤ」というHPには、その動画を載せているように書かれているのですが、私の環境では見ることができず、確認できていません。
http://karapaia.livedoor.biz/archives/51141197.html
この話の関連で、ワニの食べかすをナイルチドリ(別名ワニチドリ)が食べるという説があります。この説は、アリストテレスが博物誌にその習性を紹介しているそうです。ところが、ウィキペディアには『しかし、ワニの背中にのることはあるが、ワニの口の中の肉片や食物のかすを食べるという習性については正確な記録がないため、現在では単なる言い伝えに過ぎないとされていることが多い。』との記載があります。ガセネタでしょうか?しかし、右のような写真があります。どうも、ワニの食べかすをナイルチドリが食べていて、ワニもそれを許しているようです。このような写真が公開されていても証拠が無いとされているのは、なぜなのか不明です?

また、大型の動物(スイギュウとかゾウとかワニとか)のほとんどには皮膚に付いた害虫などをついばむ鳥がいることは事実のようです。カバにもそのような鳥が付いています。上記ウィキペディアにもこの事は否定されていません。また、草食のカバの歯に付いた食べかすを鳥が喜ぶとも思えないので、eの事実は無いだろというのが一応の結論です。
※以上、あくまで推論ですので、より詳しい情報をお持ちの方がおられましたら、ご教授ください。

カバ問題6へ

(6)カバさんの足はどうなっているの?正しいのは?(複数回答で)
a.蹄がある
b.水かきがある
c.足の指は5本
d.足の指が全部地面についている
e.指2本だけで立っている
解答:a.蹄がある/b.水かきがある/ d.足の指が全部地面についている
解説:カバは鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)の仲間です。ウマやウシなどの蹄(ひづめ)とは雰囲気が違いますが蹄があります。偶蹄目ですから指の数は偶数です。カバの場合は4本になります。人間の親指に当たる指が無くて、中指と薬指が中央に来ます。そして、人差し指と小指が後ろにあります。ウシなどではこの人差し指と薬指は副蹄(ふくてい)と言って普段は地面に着かず、岩場などで後ろにずり落ちないようにするときに使っています。カバの場合4本とも地面にしっかりとついています。このため、柔らかい泥の上でも自由に歩くことができるのです。
 カバは、水の中でかなり高速で泳ぎます。じつは、中央の中指と薬指の間に皮の膜があって、これが水かきの役割を果たしているようです。ただし、水鳥のように膜を広げることはできません。写真で見てもちょっとわかりにくいです。・・・中の2本の指の間がほとんど隙間の無い状態になっています。

カバ問題7へ

<A HREF="http://video.jp.msn.com/?mkt=ja-jp&vid=6860a552-e5c9-4874-948a-cd72a3537453&from=&src=v5:embed::" TARGET="_new" TITLE="カバ:もうひとつの素顔 肉食のカバ">ビデオ: カバ:もうひとつの素顔 肉食のカバ</A>

(7)カバさんは何を食べているの?
a.水の中の草を食べています
b.水中のプランクトンを大量に食べています
c.陸に上がって草を食べている
d.ワニや魚を食べている
解答:c.陸に上がって草を食べている
解説:カバは草食動物で、陸に上がって草を食べています。日没後の活動が多いようです。草を食べるときには、あの分厚い唇で草をむしり取り、奥歯ですりつぶして食べています。大人で、一日に45kgにもなります。
(ひょっとすると水中の草も食べているのかもしれません、詳細不明。)
 草食動物のカバですが、肉を食べているところが記録されています。ナショナルジオグラフィックスでもしていました。基本は草食動物ですが、肉食も辞さないようです。そうなると陸上動物最大の肉食獣ということになりそうです。その場合には、dも正解でしょうか。食性としてはあくまで例外だと思っているのですが。

カバ問題8へ


(8)カバさんは胃袋をいくつ持っているの
a.1つ
b.2つ
c.3つ
d.4つ
e.5つ
解答:c.3つ
解説:ウシの仲間で、ウシより1つ少ないのですが3つの胃を持っています。前の解説でカバは一日45kgの草を食べると書きました。とても大食らいのように思えますが、カバの食事量はゾウ(200〜300kg)の1/6(約17%)です。体重で言えばゾウ5.8〜7tに対してカバは2〜3.2tですから、体重はおよそ1/2くらいでしょうか。通常、餌の量は体重の3/4乗に比例する・・・といいます。すると、体重がゾウの半分のカバはゾウの約60%の餌を食べることになるはずなのですが・・・それがわずか約17%しか食べていないのです。
これが可能なのは、3つも胃を持っていて、胃だけでほとんどのものを分解することができるので吸収率がいいのです。ただし、ウシや山羊と違ってカバは反芻(はんすう)はしていません

カバ問題9へ


(9)カバさんがしっぽを振って、自分の糞(ふん)をばらまくのはなぜ?
a.糞が固まって落ちていると踏んだときかなりつらいから
b.草食のカバさんは、糞が草の栄養になるようにばらまいている
c.自分の縄張りを主張するために
d.糞をしている所を見られると恥ずかしいから
解答:c.自分の縄張りを主張するために
解説:野生のカバは20〜30頭くらいで群れをつくります。オスのカバは、縄張り行動や威嚇行動として、糞をまき散らします。この行動を「まき糞」というそうです。
というわけで、メスは普通に糞をするだけで、まき糞はしないようです。

※参考映像
水中でもしています。自分の生活する水の中にわざわざまき散らすなんて人間の感覚ではあり得ませんが、カバにとってはこのほうが住みよい環境らしいです。となると、住みよい環境を作るためという解答もありになるのかな。
http://youtu.be/dSl1bJjoLu8

カバ問題10へ


(10)カバさんの皮膚の厚さはどれくらい?
a.ゾウやサイの半分5mmくらい
b.ゾウやサイと同じで10mmくらい
c.ゾウやサイよりも厚い15mmくらい
d.15mm〜40mmくらい
解答:d.15mm〜40mmくらい
解説:カバの皮膚はゾウやサイと比べてもずいぶん厚くなっています。一番薄い腹部でも15mmあり、もっとも厚い胸部では40mmにもなります。さらにその下に30mm〜50mmの脂肪層があります。
その上、カバの皮はかなり丈夫なのです。ですから、ライオンなどにかみつかれても、なかなか致命傷にならないのです。
こんなに皮膚が厚く皮膚の表面には皮脂腺や汗腺が無いのに、水から出ると人間の3〜4倍ものスピードで水分を消失していくそうです。乾燥をいかに防ぐかは、カバにとってかなり重要な課題です。

カバ問題11へ


(11)カバさんが「血の汗」を流すのはなぜ?
a.水から出て皮膚が乾燥するとひび割れて出血しているのです。
b.赤みをおびていますが体温を維持するための汗です。
c.粘液で紫外線を遮断して皮膚を守ります
d.殺菌作用のある粘液で傷からや汚れた水から感染症を防ぎます
解答:c.粘液で紫外線を遮断して皮膚を守ります そして、d.殺菌作用のある粘液で傷からや汚れた水から感染症を防ぎます も正解でしょう
解説:水中生活を主とするカバの皮膚は乾燥や紫外線に弱いのです。そこで俗に「血の汗」や「ピンクの汗」などと呼ばれる赤みを帯びた粘液を体表から分泌して保護しています。この粘液はアルカリ性で、分泌されたときは透明なのだそうですが、次第に赤みを帯びてくるようです。上野動物園のカバをつかって京都薬科大学の先生と上野動物園の共同研究によって、赤とオレンジの色素を抽出。いずれも紫外線を吸収することが分かったそうです。この研究は、とてつもない困難を乗り越えて、「血の汗」の成分分析をしたのだそうです。同業者が絶賛してHPにUPされていました。
おもしろ化合物 第33話:「カバは血の汗をかく」
ちなみに、カバは汗腺を持っていません。ということは、この粘液は汗ではないことになります。 また、上記研究ではこの粘液を、カバによく似た皮膚を持つカエルに取り付く細菌や、傷を化膿(かのう)させる細菌に加えると、高い殺菌効果も確認されたそうです。よく縄張り争いをするオスの体は傷だらけになった上にフンなどで汚れた水につかっていますが、この粘液のおかげで感染症に罹ることなく生活できるというわけです。
言い換えると、「抗生物質入りの日焼け止めクリーム」でしょうか。

カバ問題12へ

(12)カバさんはどれくらい強いのでしょう?
もし成獣同士一対一でカバさんと戦ったとしてカバさんより強いのは以下の内どれ?
a.ライオン
b.ゾウ
c.トラ
d.サイ
e.ワニ
f.クマ
解答:b.ゾウあるいはd.サイも
解説:ユーモラスでおとなしそうなカバですが、縄張りを荒らすものに対しては、強烈な戦闘力を持っています。厚い皮は相手の攻撃から身を守りますし鋭い牙も持っています。カバが生息する地域では、野生動物に襲われて人間が死亡するのはカバによるものが最も多いのだそうです。水中でも陸上でもワニに勝てるようです。
※参考画像(インパラを襲っているワニをいとも簡単に追っ払っています。そのあと、傷ついたインパラを助けようとしています。食べようとしているようにも見えるのですが、食べてはいないようです)カバが、インパラを食べたという衝撃映像も実在するようですが、やはり基本的には草食動物であり、優しい動物なのでしょう。「気は優しくて力持ち」
http://youtu.be/jOX3rRzG8y8

とはいえ、地上最強の動物はアフリカゾウだと思われます。少なくとも一対一ではほぼ無敵です。ただし、草食のゾウが他の動物を襲うことはあまりないのですが、中には乱暴なゾウがいて、ライオンやサイの群れを追いかけ回したり殺したりするそうです。(多分、子どもを守るための行動だと思うのですが)カバも蹴散らされています。
クマは実際の自然条件では戦うことは無いでしょうが、戦闘力からするとカバの方がかなり強そうです。
ライオンがカバを襲って食べることはありますが、集団で襲ってのことです、一対一ではまず、カバに勝てそうにありません。
最後に、サイですが。大きさが同じくらいでいい勝負のようです。色々な資料ではサイの方が強いとの資料があります。逆にカバの方が強いとの説もあります。
下の映像ではカバが勝っています。もっとも、水辺ですから明らかにカバの縄張りです。草食動物であるカバとサイにとって守るものも無いのに戦う意味はないですから守るべき自分の縄張りにいる方が本気=強いということではないでしょうか。
http://youtu.be/e7mUYJQDad4


カバ問題13へ

(13)カバさんが本気で走るとどれくらいのスピード?
a.5km/h(走ると言っても人間が歩くくらいで)100mを72秒
b.10km/h(人間がジョギングするくらい)100mを36秒
c.20km/h(人間が走るくらい)100mを18秒
d.40km/h(オリンピック選手並み)100mを9秒
e.60km/h(人間なんて目じゃないね)100mを6秒
解答:d.40km/h(オリンピック選手並み)100mを9秒

解説:とても大きな体で、余りスマートとは言えない足ですが。結構早く走ります。短距離走ならば時速40km以上になるようです。そして、時速50kmという記録まであるそうです。時速45kmだと100mを8秒です。まあトップスピードの時のようですから200m走の一流選手の後半のスピードくらい。あの巨体がそんなスピードで迫って来たらそうとう怖いでしょうね。
右のビデオ映像では、なんとヒョウを追いかけて追いついてます。!!いったい何km/h出ているのだろう?
ちなみに、本気を出すと泳ぎも相当早いです。縄張りを侵した船をものすごい勢いで追いかけている映像を見ました。

カバ問題14へ

(14)カバさんと進化の系統上一番近いのはどの動物
a.サイ
b.アザラシ
c.ウシ
d.ラクダ
e.クジラ
f.ゾウ
解答: e.クジラ
解説:カバはクジラととても近い親戚です。
クジラとカバの進化の系統では
動物界 Animalia−脊索動物門 Chordata−脊椎動物亜門 Vertebrata−顎口上綱 Gnathostomata−哺乳綱 Mammalia−獣亜綱 Theria−真獣下綱 Eutheria− 北方真獣類 Boreoeutheria−ローラシア獣上目 Laurasiatheria−鯨偶蹄目 Cetartiodactyla− 鯨反芻亜目 Cetruminantia− 鯨凹歯類 Cetancodonta or Whippomorpha
以上まで同じなのです。この鯨凹歯類の中に、カバ下目に属するカバとクジラ目に属するクジラがいるのです。

以前は、ゾウも蹄があるので有蹄類の仲間とされていましたが、上記進化系列では真獣下綱まで一緒でその中にある アフリカ獣上目に属します。
サイはよく似た雰囲気の生き物ですが、ローラシア獣上目まで一緒でその中の奇蹄目(ウマ目)の生き物です。以前は偶蹄目(ウシ目)と奇蹄目(ウマ目)さらにはゾウも合わせて有蹄類という分類もあったのですが、進化上の別の事情で蹄ができたようで、蹄が有るという類似点は、分類上の共通点とはならなくなったようです。
アザラシは水中生活をしている点ではよく似ていますがこれもローラシア獣上目まで一緒でその中の食肉目(ネコ目)に属します。
ラクダは鯨偶蹄目まで一緒でその中のラクダ亜目に属します。
ウシは、鯨反芻亜目(ウシ目)まで一緒で、ウシ科に属します。かなり近いですね。

カバ問題15へ

(15)カバさんとクジラさんの類似点として正しいのはどれ(複数回答)
a.水中で育児をする
b.ほとんど毛がない
c.蹄を持っている
d.皮脂腺がない
e.鼻が水面に出る
f.水中で音を使ってコミュニケートする
解答:a.水中で育児をする、b.ほとんど毛がない、d.皮脂腺がない、e.鼻が水面に出る、f.水中で音を使ってコミュニケートする
解説:クジラもご先祖様は蹄を持っていたのですが、水中での抵抗を少なくするために足そのものを退化させていて、現在では痕跡程度の骨が体内にあるだけなのでさすがに蹄はありません。
かつては、カバとクジラがこれほど似ているのは、てんでに水生活へ共に適応した結果で収斂進化の一例と考えられていました。ところが、分子生物学の研究成果から、水生への依存の強かった共通の先祖から別れて進化して来たことによる共通派生形質であることが明らかになっています。


解像度の高いカバの映像です。水中の姿や戦う姿人を襲うイメージ映像も入っています。
http://youtu.be/ho-DzFR2jic


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