おもしろクイズの解答と解説について 内容については私なりに様々な書籍やネット上の資料を調べて書いています。しかし、本にしろネット上の資料にしろ必ずしも科学的に正しいとは限りません。また、書かれた時点では通説とされていても、その後より妥当性のある説が発表されいている可能性があります。 私が調べた時点でも、異なる説が見つかる場合が多いです。その場合、私の判断で確からしい内容を正解として書かせてもらっています。私自身は専門家ではないので、所詮素人判断といえます。 このクイズを参考して色々と利用されることはかまいませんが、それぞれの判断と責任でご利用ください。 |
QUIZ45アワフキムシさんのぶくぶく 草や木にひとかたまりの泡(あわ)がついているのを見たことありませんか。ファーブルによると、南フランスではこの泡をカッコウのつばであると言い伝えていたそうです。でも、注意深く泡をどけてみると中には虫がいます。日本ではこれはホタルの幼虫であるという伝承を持つ地域があって、一時期は科学啓蒙書の中にも記載されていたそうです。 でも、この虫はアワフキムシさんの幼虫です。それにしてもこの泡をどうやって作ったのでしょう?それにこんな泡の中にいて窒息しないの??そんなアワフキムシさんの不思議な生活にチャレンジです。 (1)アワフキムシさんは何を食べているの a.泡に引っかかった虫 b.木や草の汁 c.葉 解答:b.木や草の汁 解説:アワフキムシのの幼虫は多年生の植物にしがみついて針のような「口針」を突き刺して、(師管ではなく)道管を流れる液を吸っています。葉で作った栄養を下ろす師管の汁ではなくむしろ根から水分をあげる道管ですから、その中には栄養がとても少ないのです。わずかに溶け込んだアミノ酸やミネラル分を栄養としてほとんど移動せずに暮らしています。 道管の大量の水分の中に少しだけの栄養を、消化管の一部が変化した濾過室で栄養分を濃縮しつつ吸収します。こうして、大量の水分を排泄しています。この道管液を餌とし、多量の水分を排泄する性質は、セミの幼虫やオオヨコバイ亜科のヨコバイ(成虫・幼虫)と共通しています。 アワフキムシさんの問題2へ (2)泡は何でできているの a.アワフキムシの排泄液(尿) b.樹液や草の汁 c.雨水 d.露(つゆ) 解答:a.アワフキムシの排泄液(尿) 解説:エサとなる植物の道管液のわずかな栄養分をろ過して残りを排出するのですが、そのほとんど水だけといっていい排泄物の中にはアワフキムシの代謝によって生じた窒素排泄物が含まれます。アワフキムシの場合には、これがアンモニアであるようです。 アワフキムシはこの排泄液の中に、分泌腺から分泌された蝋(ワックスエステル)と繊維状のタンパク質も溶け込ませています。この蝋と排泄液中のアンモニアが反応してケン化反応を起こします。こうして、界面活性剤であるアンモニウム石鹸を生じています。ですからただの水分ではなくてとても泡立ちやすいのです。 排泄物の原料は、植物の道管液ですからbもあながち間違いとは言えないのですが。 アワフキムシさんの問題3へ (3)アワフキムシさんの泡はどうやって作るの a.排泄液を後ろ足でかき回して泡を作っている。 b.排泄液の中におならを出して泡を作っている。 c.泡の外にお尻を出して空気を吸い込み、泡の中で出して泡を作る。 d.羽を細かく振動させて泡を作っている。 解答:c.泡の外にお尻を出して空気を吸い込み、泡の中で出して泡を作る。 解説:アワフキムシの出す排泄液は、前問の解説に書いたように、石けん液ですから。泡立ちやすい成分です。でも、泡を作るためには空気が必要です。泡の中にいるアワフキムシはそれをどこから供給しているのでしょうか。 実は、幼虫のお腹は樋(とい)状にへこんでいます。このへこみの中に気門が口を開いているのです。その先端は尾端にシュノーケル状になっているのです。このおかげでアワフキムシは、液体の中に体を置いていてもおぼれずに呼吸することができるのです。 さらに、腹部を伸縮させてスポイトのように空気を吸い込んだりはき出すことができます。排泄液にケン化反応が起こってアンモニア石鹸水になると、幼虫は、尾端を液面の外に突きだして空気を吸い込みます。そうしておいて、液中に尾端を引き込んで空気の粒を出すと泡ができます。これを繰り返して、石鹸水状態の排泄液を泡立てているのです。 アワフキムシさんの問題4へ (4)アワフキムシさんの泡はとても丈夫です。何故? a.排泄液の中に繊維状のタンパク質が入っているから b.常に新しい泡を作り続けているから c.泡の中にゴムの成分が入っているから d.泡に根性があるから 解答:a.排泄液の中に繊維状のタンパク質が入っているから 解説:アワフキムシの泡巣はとても丈夫です。雨や風にさらされても吹き飛びませんし、強い日差しにさらされてもひからびることがありません。これは、幼虫が分泌する有機物に泡立ちをよくしたり泡を壊れにくくする働きがあるからです。 まずは材料の排泄液が石けん液となっていて粘度があって強い泡ができるのですが、その泡の中には繊維状のタンパク質も分泌しています。これによって、安定性がと強度が高まっているのです。 ちなみに充分に泡ができて巣が完成すると、排泄液の中に蝋分や繊維状タンパ質を分泌しなくなります。こうなると、排泄液の粘性は無くなります。泡巣のしたからしたたっています。 また、アワフキムシの中でもトゲアワフキ類の幼虫の場合には、泡巣の表面が硬化して貝殻状の巣になります。もちろん、その中は泡で満たされています。 アワフキムシさんの問題5へ (5)アワフキムシさんにとって泡の中が都合の良いことは?(複数回答) a.保温性が高くて外気温の変化をやわらげる b.泡で空気中の窒素を手に入れる c.アリやハチなどの捕食者が入ってこられない d.泡が割れるときに超音波ができて洗浄力がうまれる 解答:a.保温性が高くて外気温の変化をやわらげる、c.アリやハチなどの捕食者が入ってこられない、です。さらにd.泡が割れるときに超音波ができて洗浄力がうまれる、という説もあります 解説:泡は空気の層ですら保温性が高く外部の気温変化に耐えることができます。しかも、泡なのである程度は呼吸もできます。そして、界面活性剤の水溶液でできた泡巣は、昆虫(気門と気管で呼吸します)にとっては入ると溺死してしまいます。このためアリやハチなどの捕食性の昆虫に対して高い防御性を発揮するのです。 そして、泡が割れるときには超音波が出て、自然の洗浄力が生まれる可能性もありそうです。 アワフキムシさんの問題6へ (6)アワフキムシさんは泡の外にでないの a.泡の中で産まれて泡の中で子どもを作る b.糞をするときには泡の外にでる c.呼吸をするときには泡の外にでる d.大人になると泡の外にでる 解答:d.大人になると泡の外にでる 解説:幼虫時代は、泡巣を完成させると泡から出ないようです。食べ物は寄生している植物からとりますし、安全で快適な泡から出る必要がなさそうです。呼吸等も尾端だけを泡の外に出せばすむことですから。途中何度か大きくなるために脱皮しますが、その時には泡の外で行います。でも、又泡の中に入って生活します。 但し、最後の脱皮をして成虫になると泡には戻りません。成虫の外見はセミに似ています。食べ物は幼虫時代と同じ植物の汁ですが、羽があって空を飛びます。異性と出会い結婚して卵を産むことになります。 アワフキムシさんの問題7へ (7)アワフキムシの卵はどうなってるの a.泡状で枝にくっている b.泡状の卵塊が丸く固まって枝についている c.枯れ枝の中に一個ずつ入っている d.エサとなる木や草の根元の土に一つずつ 解答:c.枯れ枝の中に穴を掘って一個ずつ入っている 解説:アワフキムシは、セミと同じように、お尻の先にある細い管を枯れ枝に突き立てて一個ずつ生み付けます。卵を産み付けると,アワフキムシは死んでゆきます。枝に残された卵は、枝の中で寒い冬を越して春になると赤ちゃんが出てきます。赤ちゃん アワフキムシさんの問題8へ (8)アワフキムシさんの仲間(親戚?)でないのはどれ a.セミ b.アメンボ c.ウンカ d.タガメ e.アブラムシ f.テントウムシ g.カイガラムシ 解答:f.テントウムシ 解説:アワフキムシは、 カメムシ目(半翅目: Hemiptera)に分類されます。この仲間は、口が針状になっています。アワフキムシの他に、カメムシやセミ、やアメンボ、ウンカ、タガメ、アブラムシ、カイガラムシなどが含まれます。 針状の口は同じでも、食物のとり方はきわめて多様です。 アワフキムシやセミやウンカやアブラムシやカイガラムシは植物食です。 その中でもアワフキムシやセミは栄養分のほとんど無い道管の汁を摂取しています。 ウンカやアブラムシやカイガラムシは栄養豊富な師管から汁を摂取しています。むしろ糖分が多すぎて、使わない糖類を排出するくらいです。カイガラムシの中には、葉に寄生するものが有ります。葉肉細胞などの柔組織の細胞を口針で破壊して消化酵素を含む唾液を注入して体外消化して吸収しています。カイガラムシの多くは足が退化してしまっていて、移動能力がほとんど無くなっています。 アメンボやタガメは動物食です。(カメムシの中にも動物食のものがいます) 獲物の体内に麻痺性の毒素を注入して動けなくした後に消化液を注入して内部を溶かして(体外消化)、吸収しています。 テントウムシは、コウチュウ目(甲虫目、鞘翅目(しょうしもく)とも)の中のテントウムシ科に分類されます。カブトムシやカミキリムシなどが親戚になります。 アワフキムシさんの問題へ |