インストラクターのシャーリーさんの事

「エキサイティング！」「ゴージャス！」「ビューティフォー！」・・・・
これは、ヨセミテインスティチュート（ＹＩ）のインストラクターであるシャーリーさんが度々発する感嘆詞です。、目を大きく見開き口を大きく開けてとても感情を込めて言われます。ＹＩに所属するインストラクターは全部で３２人。いずれもたくさんの志願者の中から選ばれた、とりわけ優秀な人たちです。その多くは３～４数年でＹＩでの指導体験をキャリアとして、転出されるそうです。そんな中で１５年インストラクターを続けておられるベテランです。
ベテランでありながら、おさまっている人とも違います。冒頭に書いたように、とても力強くエキサイティングな指導をされます。彼女がいつも指導対象にしている都会の子どもたちは、ヨセミテの自然に接して、そのダイナミックさには気づいても、諸々の自然の素晴らしさを認識することが少ないようすですから。大好きなヨセミテ・大好きな自然の良さを、子どもたちに気づいてもらうためには、しみじみと語るよりも、力と感情を込めて訴える必要性があるからだと思います。

私たちも彼女の熱のこもった指導を受けていると、全体がヒートアップして来て、素直に自然から受け取ったものを表現するようになってゆきます。集団が活性化して、ひとり一人の心が仲間に対しても自然に対しても開いてゆく事を感じることができます。
言葉の表現だけでなく何しろパワフルな人です。ロッククライミングをすると、ハーフドームの新しいルートを登はんして、ルートに名前を付ける権利を得られます。シェラネバダ山脈の高所を延々３００ｋｍ以上も続くジョンミュアトレイルをご夫婦で３週間という短期間で歩き通しておられます。この時ゴール近くでは一日で４０ｋｍも一気に歩いた日もあったとか・・・。
地質学が専門と言うことで、センチネルドームでのシェラネバダ山脈やヨセミテバレーが形成されていく歴史の説明はとてもわかりやすく、しかも十分のボリュームがありました。専門以外のことでも練り直し、自分のものとして理解し自分の言葉で伝えようとする熱意を感じます。

ヨセミテで出会った色々な人々が、彼女に一目置き、親しみと尊敬の念を持っておられました。一緒にインストラクターとして指導してもらったジョシーさんも単に先輩として以上にあこがれておられるようで、一緒に指導できることに無上の喜びを感じているとの事でした。ＹＩをまとめておられるピートさんも上司として部下を見る視点ではなくて、彼女の人柄や指導力を高く評価されていました。ＮＰＳ（国立公園サービス）の広報担当をされているスコットさんからも、同じヨセミテで働くものとして尊敬されていました。アメリカ先住民でありヨセミテ国立公園のレンジャーでもあるジュリアさんも彼女には特別の親しみを感じておられるようでした。組織や立場を越えて一目置かれ親しみと尊敬を受けるシャーリーさんの指導を受けることのできた私たちは幸せでした。

彼女の事を語るときに、忘れてはならないのがその美声です。お父さんが声楽の専門家だったそうで、基礎がしっかりしている彼女の歌声は素晴らしいのです。お父さんから、それぞれの能力は神から与えられたものだから出し惜しみをしたり、もったいぶったりしてはいけないと教えられてきたそうです。だから、チャンスがあったりたのまれると、もったいぶらずに歌うのが彼女のスタイルです。
ある時は木の下で休みながら、ある時はミニコンサーとの形で、ある時はキャンプファイヤーの中でと歌ってもらえました。ただ、残念なことに彼女の歌は総て英語の歌です。それでもカーペンターズの曲など日本人にもなじみのあるものを選んで歌ってもらいました。

体力・知力・気力いずれも一流のスーパーウーマンですが、一つだけ弱点を見つけました。とにかく夜更かしに弱いのです。話をしていても１０時を過ぎると眠そうになります、１１時をまわる頃になるともうたまりませんと言う表情になってきます。一方私の方は夜更かしで、そのころになると絶好調ですが・・・。もちろん、これは弱点と言うよりは彼女の健康的な生活を物語るものでしょう。見ていると、インストラクターとしてプログラムの指導をするときだけでなく、ＹＩでの食事の準備（調理は別のスタッフですが）や、かたづけや掃除まで率先してやっておられます。彼女だけでなくＹＩのスタッフに共通の事かも知れませんが・・・・ということですから、普通なら夜は眠くなりますか。

キャンプファイヤーにて

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《ジェスチャーたっぷり》

《語る時は背景を選びます》

《最高の歌声です》

《食事をどうぞ》

ジャイアントセコイアで