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主任講師の旅日記08

雨でもやりまっせ、とーぜんでしょ!」


ネイチャ−ゲーム初級指導員養成講座は2泊3日という限られた時間の中で、多くの
ネイチャ−ゲーム実習と5時間の講義がびっしり詰まっています。会場へ出かける前
には、その都度プログラムを組に立て、下見でフィールドの状況を確認してから必要
に応じて順番を入れ替える−そんな準備をして開講に望みます。
過去に出かけたことのある会場ならゲームも組み立て易いのですが、初めての会場と
もなると、やはり芝生の位置や雑木林までの距離(時間)など、実際に見て回らない
とわからない部分が多いのです。
下見を終えて、再び自分の作った計画表とにらめっこ。
「このゲームをここでやって、このゲームはここでスタートしてここをゴールに持っ
てこよう」などと一人で黙々とシュミレーションします。
そうして、現地での調査をふまえてやっとプログラム案が完成します。
が、これはあくまでも「何にも障害がない」と仮定しての進め方である。
その障害とは何か。それは「雨」や「雪」です。

その週末に自分が入る講座が控えている場合は、その土地の天気予報をけっこう気に
かけています。新聞の週間予報を見て、
「ふむふむ、週中が雨か。でも金曜日までには上がりそうだな」
「むむむ、○○県は土曜日雨直撃じゃないか」
「ありゃりゃりゃりゃ、さすが梅雨だなぁ。ジタバタしてもしゃーないかな」
などと思いを馳せます。

晴れろ!とまではいかないまでも、
できれば、講座中は雨は避けたいものです。
ただ、雨が降っちゃ嫌かと言うと、決してそうではないのです。って矛盾しています
か?
3日間のうち少し雨だったとか、2日目の早朝は霧雨だったとか、
一部雨の自然体験もぜひ楽しんでほしいなぁ、と思っているのも確か。
新潟の水玉にしろ、夜の森にしろ、雨は自然の素敵な一面を演出してくれます。
普段、私たちは、雨が降ると「今日はでかけるのよそう」となりがちですが、
講座で雨が降ると言うことは、普段腰がひけがちな心を押し出し、
今まで体験したことのない雨によるすてきな森が味わえるチャンスでもあるのです。
全く雨が降らなかった講座はそれでよし。雨が降ってもまたよしですね。
とは言っても、これは非常に贅沢な要望とじゅうぶん承知のうえなのですが、講座3
日間ともざぁざぁ降っっちゃったと言うのは、できれば避けたいです。
寒すぎたり手が冷えちゃってしまったならば、本来感じることのできる感覚が麻痺し
ちゃうことがあります。
「この木の温かさ」や
「この草の匂い」や
「この遠くで木々を揺らす風と近くで通り過ぎる風の音の違い」などが感じられない
のは、とても残念です。
このネイチャ−ゲーム初級指導員養成講座は、ほとんどの参加者が初めてネイチャ−
ゲームを体験する場となります。
ネイチャ−ゲームのことを知りたいから、
ネイチャ−ゲームを体験してみたいからという方が受講されるのがこの講座ですか
ら、初めてのネイチャ−ゲームとの出会いはそれなりにいい条件で体験していただき
たいなぁと願っています。
よく食べ物で嫌いなものは、最初に「うえっ」ってなってしまった経験が尾を引いて
いるって言いませんか。匂いでもう受け付けなかったり、ナマ煮えで食べてしまった
り、もう少し味付けでちゃんとできていれば食べられて、大人になっても嫌いのまま
になることはなかった、なんて話、聞いたことがあるでしょう。その嫌いな食べ物を
克服する手は一つ。その味を最大限に生かすホントウにおいしい料理で食べてみなさ
い、とも言われます。
やはり、ピーマンをあの匂いと固い歯触りのまま食卓に出したら、一口咬んで受け付
けなく子どもがいてもおかしくはないでしょうが、やわらかくして肉詰めしたり味付
けしたりすれば…てな感じでしょうか。
私は調理師の資格も持っていませんし、栄養士でもありませんので、上記の話が正し
い根拠に基づいたことなのかどうかはわかりません。あくまでも聞いた記憶がある話
ということです。
ただ、私の実家は日本料理屋をやっていたので、築地で仕入れた魚介類がいつも家に
あり、ふぐ刺や肝、ふぐ雑炊にクジラの竜田揚げなどむっちゃ「んめぇ」ものを頬
ばっていました。年末にもなると寸胴で丹波の黒豆を一週間ほど煮続けたりとってお
きのマグロやタコがおせちに出たりもしました。そのためか食べ物の好き嫌いはあり
ません。と言うか、「好きな」ものはいっぱいありますが「嫌い」なものはありませ
んので、「好き嫌いがある」という言い方では少しおかしいかもしれませんね。た
だ、牛乳を飲むとすぐピーピーになってしまうんです。って関係ないか(笑)。あと
カニも身をほぐす時間が妙にいらいらしてしまうので、味は好きなのですが進んで食
べには出かけません(爆)。
そうそう、桃、梨、リンゴと言った丸い形をした果物をガブリを噛みつくと、なぜか
歯の神経が犯されて耳の中が非常にかゆくなるというヘンなアレルギーが親からの遺
伝であります。でも特筆すべきは、5年ぐらい前からリンゴが食べられるようになり
ました。それまではなるべく避けていたのですが、長野の農家から直接注文したりん
ごは蜜がふんだんにあり、一口食べたら感動のあめあられで今では何の症状もでるこ
となく食べられるようになりました。やっぱり「最高の一品」に出会うとたべられる
ようになるんですね。
もう毎年送られてくるりんごが楽しみで仕方なくなりました。

おっとっと、話をネイチャ−ゲームに戻しましょう。
初めて口にする食事と同じで、初めて体験するネイチャ−ゲームもある程度いい環境
の中で体験してもらいたいです。雨や雪の中で無理矢理やって、それがその方(参加
者)に何も感じてもらえなかったり、逆に「無理矢理やらされた」ことばかり記憶に
残ったのでは残念です。今回は何も感じられませんでしたけれど、今度機会があった
らまた体験してみてください。ぜったいにいいゲームなんですから!とは言えないで
しょ。
そうならないためにも、講座の最中でも絶えず天気予報を気にかけ、スタッフの方に
朝と言わず夜と言わずテレビを見てもらっています。

また話ははずれますが、民放のテレビ各局では普通に「天気予報」と言っています
が、どうもNHKだけは「天気予報」と言わず「気象情報」と言っています。
アナウンサーが「続いて気象情報です」と言うんですね。これって何か理由があるの
でしょうか。
天気予報って言葉が「ウォークマン=ヘッドホン付ステレオ」と同じ考え方なのだろ
うか。でも「天気予報」って商品名じゃないし、どなたか確たる事実をご存じの方い
らっしゃいますかね。
って自分でNHKに電話すればいいんだよね。あはっ!

それで、またまた話を戻しますと、期間中に「どうも怪しい」と思ったら、プログラ
ムを容赦なく変更します。それは、室内でも体験できるゲームと、実際に自然の中で
しか体験できないゲームに分け、
「雨が前半は降るけれど、2日目の午後には通り過ぎそうだ」とか
反対に「明日のお昼までは持ちそうだけど、午後は80パーセントなのでたぶん降っ
てくるだろう。3日目まで残るだろうか」云々(うんぬん)と天候の状況を見ながら
組み立て直します。
仮に後半雨が降る、となったならば、とにかく野外ものの中でも「傘や雨具をさして
もちょっとつらいもの」を降る前に体験しちゃって、「傘さしてできるもの」「室内
でもできるもの」は後ろへ持っていきます。併せて、事務局スタッフに「体育館の空
いている時間を事務所に尋ねてきていただけませんか。キャンプ場のかまどのところ
は屋根がついていますが、使う団体が他にあるかどうか聞いてきてくれませんか」な
どと早めに手を打ちます。

さぁ、ここで「3日間大雨が予想されている」としたらどうすると思いますか。
1.関係ないもんね。やることは全部やります
2.外でできないものは辞めて、なるべく快適に過ごしましょう
3.室内でできるものだけしましょう

う〜ん、一概には言い切れないのですが、1番ですね。やっちゃいましょう、という
ことです。
少々無謀な答えに思えるかも知れませんが、
この講座はいつ受けてもどこの会場で受けても原則として同じカリキュラムで動いて
いるのです。
ある主任講師の時だけ
「ゲームを10だけやって参加者同士のディスカッションの時間を充実させましょ
う」とか、
「今日は声が出ないので講義はありません」とか、
「○○ゲームが好きだからたっぷり2時間やります。その代わりこれとこれは省略
ね」とか、
なんてありません。
ましてや
「今回は特別に検定は止めましょう。あっ、このことは内緒にしておいてください
ね」なんてことは絶対にありません。ドン!(この「ドン!」というのは、右手を
グーにして力強く机を叩いた時にでる音です。この弾みで机が揺れ、コップに入れて
あったお気に入りの午後の紅茶が半分こぼれてしまいましたので、ちょっと拭くまで
待っててください)


(拭いている最中−キーボードの中も丁寧に)


(よし、終了)

言い換えれば「初級養成は金太郎飴」なのです。その後、各地の会場で受講した方が
全国研究大会や指導員の研修講座で顔を合わせますので、「えっ、私の時はそうじゃ
なかったですよ」「そんなゲームやりませんでしたよ」「え〜っ、みんなと教わった
ゲームが違うぅぅぅぅ」なんてことが起こってはならないのです、わかりますよね。
最低限やるべきことがあり、それ以上の部分が講師の個性であったり、フィールドの
状況であったり、天候であったりといった条件での違いとなります。
ですから、雨が降り続いているからと言って、むやみにあれもこれも削ったり他の
知っている室内ゲームに入れ替えたりはしていません。
そこで、本日のタイトル=「雨でもやりまっせ、とーぜんでしょ!」となるのです。

雨が降ると、参加者はどうしても気分が引いてしまします。野外活動をされている方
ならそれほどでもないのですが、そうとも限りません。そこで雨のゲームに入る前に
少し暗示をかけます。
「雨の中での活動を楽しむ方法が二つあります。それは何だと思いますか」と質問を
一つ参加者に投げかけます。
「一つは、気持ちを前向きに持つことです。“雨だから嫌”ではなく、“雨だからこ
そ出会える自然の姿”を期待して出ましょう。雨ならではというすてきな世界が必ず
あります。音かも知れませんし、匂いかも知れませんね」
「もう一つは、雨でも不快にならない雨具を着ることです。このように(と言いなが
ら自分の雨具を見せるようにしてその場でファッションショーのように一回りする)
セパレートタイプでフードが付いていて、ゴアテックスという防水仕様になっている
メーカー品を選ぶことです。安かろう悪かろうはだめ、アウトドアショップで2万〜
3万円のものなら安心です。私はこの雨具使って13年たちますが、いまだ現役です
よ」
「さらに、靴の中がどうしてもびしゃびしゃになってしまうんですね。活動が終わっ
て部屋に入れば靴下は交換できますが、また次に行く時しめって冷たい靴に足を入れ
るとなると気分が優れません。そんな状況を打破したのがこのオーバーソックスです
!」と言いながらズボンをめくってこの防水ソックスを見てもらいます。靴の中は
しっぽり濡れますが、靴下はさらさらです。
「これなら靴を何回履き直しても不快感はありませんよ。さぁ、でかけましょう!」
と言ってさっさと森に入ってしまいます。

さんざん雨でのことを書きました。確かにぐっしょり濡れてしまう中でゲームをやっ
たこともあります。
先輩上級指導員のとある方なんか、もう雨女で有名になっちゃって、なにせ名前に
「潤う」なんていう字がついているもんですから、ご本人も開講式や懇親会で「私は
雨女ですから…」と開き直っているのか参加者を脅しているのか、はたまた自分に言
い聞かせているのか、「私が来たんだから雨は当然よ」と言っておられます。
圧巻だったのは、その方が福岡の講座に出かけた時でした。これはその方から直接
伺ったお話なのですが、11月だったか12月だったか、通常雪が積もるなんて考え
られない時期に講座を開いたら、モノの見事にその3日間大雪が降り続いたそうな。
「もう木を触って感じてほしい」なんてレベルではなく、手はぶるぶる震えながら木
に当てるだけ、ひたすら寒さとの闘いで終わってしまったわ」なんてすっごい話まで
出てきてしまいました。
以前、その先輩と一緒の講座に入ったことがありまして、その時の私は
「え〜っ、今晩あたりから雨がふりそうな気配なので、この際講師の○○さんには
さっさとお帰りいただきましょう」なんて真顔で言い、笑いを誘ったこともありまし
た。シャレにならないのは、言われたご本人も一緒に大笑いしながら「そうなんです
よ、ほら私名前が潤うだから…」なんて賛同までしちゃったのですから、何もや言わ
んぞやです。

しかし、
私はナント、
実は、
そうは見えないと思いますが、
こう見えても、
すごく…
☆☆☆晴れ男☆☆☆なのです♪ ジャーン!

講座初日の懇親会の席で
「予報によりますと明日は一日雨模様です。降水確率が午前午後とも90パーセント
となっていますが、もし、明日太陽が顔を見せることがあったら、それは私の晴れ男
パワーです」
講座前のスタッフミーティングの席で
「3日間どうも雨っぽいですよね。さっき下見していた時もぽつぽつ来ていましたか
ら。でもね、私晴れ男なんですよ。今まで雨で予定が大きく変わったこと、そうあり
ません。大事な明日の午後に雨が降らなかったら、私の晴れ男パワーですから」
最初のゲームで野外にでた時、参加者に向かって
「この雨は「私が連れてきた」と思われる方は手をあげて下さい。あ〜ぁいらっしゃ
いますね。その方は、どうぞ気をつけてお帰りくだい」
また
「雨男、雨女いらっしゃいますか。あ〜ぁ結構いらっしゃいますね。私、大の晴れ男
なんです。勝負しましょう!」
と、何かにつけ雨が降りそうな状況の中で宣言しちゃっています。
それは単なる期待ではなく、実績からくる自信です。講義の最中は窓をうつ雨音が大
きく聞こえていた状態でも外にでようとすると小雨になっていたり、小雨の中で外に
出ていたらそのうちうっすらと光がさしてきたり、どう見ても降水確率80パーセン
トになっている県南地方のこの会場で、日中太陽がサンサンと顔を出してくれたり
と、思わずほくそ笑んでしまうほど講座でのパワーは強く感じます。
で、「ひゃぁ、ホントに光がさして来ましたね」「すごいですね。今回も晴れ男は証
明されましたね」と言葉をかけてくる参加者がいようものなら
「誰がここにいると思ってんの?えっ?」と腰にグーで両手をつくり、少々胸を前に
突き出すウルトラマンAタイプマスクのファイティングポーズを取ったりします。

さらに講座ではないのですが、5月の終わりに長野県菅平高原でパラグライダーに
チャレンジしたら、初フライトで着地に失敗。左足首が「ボギッ!」と音が鳴るのを
聞きました。「やっちゃったぁぁぁぁ」って感じで、骨折。7月下旬まで全治2か
月、その日以来松葉杖での通勤となっています。新宿駅というターミナル駅で乗り換
えするのですが、馴れない杖と朝の混雑で歩行もままならぬ。ただでさえ、汗かきな
がらゆっくりと一歩ずつ進んではいますが、なにせこの梅雨時期。雨が降ったら家か
ら出られません。だって、両手がふさがっていて傘がさせないのです。上半身をかが
めて肩に傘をのせ、バランスをとりながら歩けるかな?と小降りの時に試してはみた
ものの、ちょっと風がふくと傘が飛んでいってしまいます。
こんな状態ですから、「どうか雨だけは」と願っています。気がつけばここでも晴れ
男のパワー出ています。と言いますのは、
土日は比較的よく降っていますが、仕事が休みなので家にいて支障なし。
バスに乗ったら大雨で「あちゃぁ、駅から濡れて行かなければならないかぁ」と思っ
ていたら急に上がる。
朝の5時ごろ、強い雨音で目がさめて「どうやって行こうかなぁ」なんて悩んでいた
ら家を出る8時ごろにはもう小降り。
こんな調子で、梅雨に入ってひと月たちますが、傘さして通勤したことは一度もあり
ません。おかげで休むことなく出社できています。
これってどう考えても晴れ男の力でしょう。「ラッキー」で片づけるには都合が良す
ぎます。
こんな調子で、ますます磨きがかかったパワーは講座と言わず日常生活と言わず発揮
されています。

もう一度声高らかに
「雨が降ってもやりまっせぇ。ちゃんと雨具の用意を忘れずに持って来てよぉ」

と前置きはこのぐらいにして
…「えっ?」と思われましたか。
じゃあ、「おまけ」にしましょう。

講座中は、こうして多少の入れ替えはあるものの、雨でも霧でもある程度やらなけれ
ばなりませんから、講師自ら「雨もまた楽し」という表情や態度を忘れずに参加者の
前に立ちます。
しかし、強敵がもう一つあります。
それは「風」です。
風による支障は、例えばバンダナの上に乗せた葉っぱがぴゅ〜っと飛んで行ってし
まったとか、みんなの声がよく聞き取れなかったとかありますが、それほど心配する
ことではありません。むしろ会場へ行くまでがやっかいなのです。

昨年の3月に熊本県へ出かけた時です。朝8時に羽田空港に到着し、9時ごろの飛行
機で熊本に向かう予定をしていました。ちょうど同じ日から始まる佐賀県の講座に他
の講師がでかけることになっており、書類も渡す必要があって「では、当日の朝8時
に羽田空港出発ロビーの時計台7番の下で」と待ち合わせをしました。
で、二人とも遅刻することなく出会い、書類を手渡し、お互いの健闘を讃えあいつつ
「では」と手を振り分かれました。その先輩上級の方は福岡空港までJAS機で、私は
ANAでした。しかし、この日は羽田上空に強風があり、7時半ごろから離着陸する飛
行機が止まりました。
この時間羽田上空に来ていたいくつもの飛行機は上で旋回を繰り返し、燃料を計算し
てぎりぎりの時間まで待って着陸できない場合はまた引き返すというから、乗ってい
る人はたまったもんじゃないよなぁ、などとまだこの時は余裕のよっちゃんスミレ
ちゃんサリーちゃんで構えていました。
自分の乗るべき飛行機が飛ばない、とはわかっていても動けずじまい。飛行機をあき
らめて新幹線で、という判断もつかず、ひたすら場内アナウンスを待ちました。
「今のところ10時までは天候調査中です」というアナウンスがあったら、それは
「10時までは一機も飛ばさないで、10時の時点で判断しましょう」ってことで
す。
その10時が11時12時と変わっていきました。
結局待つこと数時間、やっと風が収まり順次フライトスケジュールが発表されました
が、JAS便がことごとく欠航され、ANAも半分くらいは欠航となりました。運転再開の
時はもうJALからばんばん飛ばして、何か会社の力の差があるのかなぁ、なんて感じ
られる事態を目の前にして「熊本行」も多くのキャンセル待ちの列を横目に離陸しま
した。
あっ、私は(JALの客室乗務員の方々は好きですが)JALの関係者ではありません。
後日、佐賀行の方に羽田での様子を伺いましたら、私よりもっと遅くまで飛び立てな
かったようでいろいろ大変だったそうです。

よくプロ野球が雨で中止になると「やりたかったですが仕方ありませんね。雨には勝
てませんから」というコメントがありますよね。
その点、野外活動は雨でもできますし、雨ならではの魅力も楽しめます。まぁ天候に
左右されやすいのは宿命としても楽しく活動しようではありませんか。
とエラそうに閉めてしまって申し訳ございませんでした。


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主任講師の旅日記09

いいなっいいなっ、のりものいいなっ、いいなっいいなっ!


タイトルの「いいなっいいなっ…」ですが、これにはメロディがついています。関東
地方限定かもしれませんが、毎週水曜日の朝7時30分から8時までテレビ東京で放
映されています「ブーブーカンカンのりもの王国」という番組のキャッチです。ご存
じの方はどうぞリズムよくお読み下さい。
で、この時間帯は日替わりメニューになっていまして、慌ただしい朝ではあります
が、けっこ見ちゃっているのです。ちなみに月曜日は「しましまとらのしまじろ
う」、火曜日は「ハローキティ」、水曜日が「のりもの王国」で木曜日が「ゲーム王
国」、金曜日は「ディズニートゥーンタウン」。今はチップとデールのアニメをやっ
ています。
さらに、この前の時間では「おはようスタジオ」っていうのをやっていて、山ちゃん
が司会で出ています。山ちゃんというのは、本名山寺宏一(やまでらこういち)とい
う人気の声優さんで、ドナルドやジーニーなどのディズニーキャラクターやアンパン
マンにでてくる犬のチーズ、外国作品ではエディマーフィーやトムクルーズなんかの
声をあてている方です。この山ちゃんが番組の冒頭で「おはっ!」と叫ぶのです。確
かこの旅日記の何回目かに「おはっ!」って出てきた回がありましたよね。「おはっ
!」ていうのは「おはよう!」の「おはっ!」のことです。その時書いたのが確か朝
方だったからでしょう。ちなみにこの挨拶にはジェスチャーもあって、「おはっ!」
の「お」の時には右手の親指と人差し指で丸をつくり、他の3本の指をたてます。
ちょうど「グッドよ、グッド」なんていう時によく作る形です。「はっ」の時は、左
手の指を全部ぴーんと伸ばします。そう、宮尾すすむの「はいっ!」の時のあの手で
す。これを「おはっ!」といいながら両手をちょんちょんと出すのが「おはっ!」の
ポーズです。なんだかゲバゲバのギャグみたいです。
この「おはスタ」はてんこ盛りの生放送でして、なぞなぞを出す怪傑ゾナーや山田花
子が主人公の「バグズライフ日本版」いや「吉本版」ともいうべきアニメ「よしもと
むちっこ物語」、最近ではハイパーヨーヨーアニメをやっています。お父さんとしま
してはベッキーとメグが好みです。

さて、そんな朝を毎日過ごしていますが、私は家を8時30分に出れば間に合うから
見られるのですね。通勤時間は約40分弱で9時30分始業ですから、余裕のよっ
ちゃんすみれ…このギャグはもう使ったからやめとこう。朝5時過ぎに目がさめてし
まった日なんかはまこと朝のリズムがゆっくりします。私はどちらかといえば、と言
うより完全なる朝型人間ですので、朝の早いのは何ら苦になりません。ぱっと目が開
いて、ぱっと起きられます。しかし、冷たいものを一口飲んで喉を開かないと身体が
目覚めませんので、午後の紅茶とかビタミンウォーターとかむぎ茶とか、何でもいい
からまずゴクッとします。私は紅茶党なので「朝は香りのいいコーヒーで」というの
が苦手です。お気に入りは冷たい飲み物ですね。冬でもむぎ茶飲んでいます。
しかし、講座の時はまぁこんなに過ごすことはあまりありません。飛行機にしろ新幹
線にしろたいてい朝早く出かけます。ホントウに早い時は家を5時前には出ます。最
寄駅の始発が5時ですから、その列車に乗れる時間に出発します。「ひえ〜」なんて
思われるかも知れませんが、いたって朝型の私は全く苦になりません。まずさっと一
口何か飲んでさっと着替えてさっと洗面すませてさっさと出発します。飛行機の場合
は出発時刻の2時間前に家を出、新幹線の場合は1時間前に出ます。
 飛行機にするか新幹線にするかは前にもお話しましたように時間を逆算してルート
を決めますが、微妙な所では、会場からどちらのアクセスがいいかも考えます。例え
ば和歌山県では、新幹線と南海を乗り継いでいくのと関空まで飛んじゃうのとどちら
が入りやすいかということです。新潟県に行く時もすっかり上越新幹線で終点の新潟
駅まで、と思いこんだら試練の道で、ナント長野行新幹線で長野から入ったほうがは
るかに近いということも間際になって知ったことがあります。また、こちらの都合だ
けで考えてはいけません。交通費をご負担していただく主催者さんに対し、少しでも
安いルートを考えていかねばなりません。飛行機が高くて新幹線が安いのはもう過去
のこと。必ず両方を比べることをします。JRはいつも正規運賃でしか買えないけれ
ど、飛行機は早割切符があるので、どちらでも入れる場合は、なるべく早めに飛行機
の切符を買うことがよくあります。講師の交通費は安いぶんだけ、イコール支出が抑
えられますから、こちらの贅沢ばかり言ってもいられません。時間は乗っちゃえばは
るかに飛行機の方が早いのだけれど、羽田しかり到着地空港しかり最寄りのJR駅まで
はなんらかで乗り継がねばならない手間はありますから、ここで時間がロスするとな
ると一概に飛行機!とも言い切れません。私の家の最寄駅であるJR中央線中野駅から
羽田に行こうとするものならば、中央線−山手線(やまのてせん)−東京モノレール
と3回乗り継がねばならないのです。
 さらに飛行機って、行ってすぐに発車するものじゃないですから、この空港で待機
する時間も必要となってきます。その点列車なら発車10秒前でもとにかく車内に飛
び乗っちゃえばセーフです。飛行機は出発の15分前には搭乗手続きを済ませなけれ
ばならないハンディもあります。ちなみに、飛行機の時刻表に乗っている出発時刻と
は、何をさして言うのかご存じですか?

ここで、前述の「おはスタ」怪傑ナゾーの登場です。番組のまま再現しますから、お
考えください。ちなみにこれはなぞなぞではありませんよ。
「はー、はっはっはっはっ!諸君、問題をだそう。おっベイビィ〜、
飛行機の出発時間とは、次のどれの時間かな。
1.扉が閉まる瞬間
2.タイヤが滑走路を走りだした瞬間
3.タイヤが地面から離れた瞬間
4.管制塔から離陸許可がでた時間
5.搭乗ゲートが閉まる時間






答えは、2番の「タイヤが滑走路を走り出した瞬間ぞな。これで君も天才ぞなぁ、学
校に行ったら問題を出してみよう。さらばじゃっ、あーはっはっははは…」
となるのです。最初「え〜そうなんだ」と思ったが、考えてみれば列車だってその走
り出す時間が出発時刻となっているじゃやない、と思ったらすっきりしました。

講座に出かける時は、たいてスポーツサンダルに野球帽、30リットルのデイバッグ
を背負って向かいます。で、飛行機にしろ新幹線にしろ機(車)内ではたいていヒマ
なので時間つぶしのための買い物をします。頭を使うような固い本は疲れるので、い
つも普段買わないような柔らかいものを好んでいます。ちょうど発売日だった月刊誌
や雑誌であったりもしますが、なぜか飛行機移動の時は「クレヨンしんちゃん」の単
行本を買ってしまうのです。新聞は機内のものを読めますから買いません。雑誌も機
内誌がそこそこありますのでそれでまかないます。ということでなぜだかしんちゃん
がお気楽に読めて気に入っています。あとは客室乗務員の顔でも眺めているか寝てし
まっています。機内サービスでは、日航にしろ全日空にしろポタージュスープはいつ
も飲んでいます。暖かい飲み物なのですが、けっこうイケます。本州内ではたいがい
1時間ほどのフライトですので、これで飽きることなく過ごせるというものです。
一方新幹線の時は、まず東京駅で「深川めし」または「江戸前あなご弁当」のどちら
かを買い、飛行機と比べて何にも車内サービスがないのでスポーツ新聞を手に乗り込
みます。一番短い名古屋まででも2時間、大阪まで3時間、新潟や東北でもそれなり
の時間がかかりますので、やることなくてほとんど寝ています。以前、たまっている
仕事の一部をこの時にやってしまおうと持ち込んだのですが、なかなか集中できずあ
きらめました。新幹線や在来線特急の時は「喰って寝る」ことにしています。
ただ、新幹線でもこれが500系や700系などに当たったら、ここぞとばかり車内
見学に出かけます(500系はあおむらさき色したシャープな先頭車両がかっこいい
新幹線で、700系はこの3月に運転を始めたカモノハシのような顔の新幹線のこと
です)。売店にちょっと顔をだし、乗車記念のテレホンカードを買ったりしてきま
す。新幹線一編成16両(今は12両かな?)約400メートル全部行って帰ってく
ることはありませんが、ずっと座っているのも疲れるので、ひまつぶしがてらぶらぶ
らします。

その昔、大学生のころ新幹線の車内販売のアルバイトを一夏やったことがありまし
た。マネージャーを筆頭に食堂車の調理人やブッフェ担当者、車内販売の売り子さん
までが15人ほどのクルーとなって車内に入ります。アルバイトは身分が一番低いの
で、ワゴンを引いてお弁当を売りにでかけたいところですが、おみやげの販売しかや
らせてくれません。まず品川の会社に出かけ、制服を受け取りミーティングをしてか
らバスで東京駅まで連れて行かれます。着いたらさっそく商品の仕入れ等を済ませ専
用エレベータでホームへ上がります。新幹線ホームの一番端にあるこのエレベータ、
初めて乗って初めて扉があいた時の感動は今でも忘れていません。「あっ、こんなと
ころに出てくるのか!」って感じでした。
さっそく車内へ搬入し、売り物を整理して収容します。たいがい広島行きのひかり号
に勤務したのですが、その日はくだりの車内で仕事をし、広島の会社寮で宿泊、翌日
のぼりの車内でまた同じ仕事をして1泊2日で1回終わるというのが基本パターンで
す。
さて、東京駅を出発した車内ではさっそく最初のおみやげ品を販売に出かけます。ク
イズ。さて、その品とはなんぞな?
1.浅草名物かみなりおこし
2.同じく浅草名物人形焼
3.草加せんべい
4.ご存じひよこ
5.東京ばな奈




答えは、3番の草加せんべいぞな。
ということで、まずはこのせんべいを10箱ほど両手でかかえて「草加せんべいはい
かがですかぁ」と1号車から16号車まで渡り歩きます。でも、このせんべい、箱に
ビニールがかかっており滑りやすくなっている。おまけに揺れる車内ですから、何度
となく落としながらゆっくり進みます。一往復して残った品は一旦棚に戻し、次は
「小田原のちくわとかまぼこ」を売りにでます。列車が静岡駅を通り過ぎたら「安倍
川もち」と「わさび漬け」を、名古屋駅を出たら「ういろう」を売りに出ます。これ
らの品は全部東京駅で積んでいるんですがね。京都で初めて現場の品「八つ橋」を仕
入れますが、一品平均して3回ほど歩かされました。
京都では、到着1分前から業務用の扉の前で待機し、すぐ商品と伝票を受け取りサイ
ンをして戻します。通常の乗客が降りて乗り込むという1〜2分の間に全部すませな
ければなりませんので、けっこう慌ただしかったです。この扉は他の車輌のように自
動では開かないので、自分が扉の上にあるレバーを動かして「よいしょ」って感じで
開けます。まぁ、このバイトして自慢だったのは「新幹線のドアを手で開けたことが
ある」ことと、「ただで新幹線に乗ったこと」ぐらいですね。
たま〜に営業を終えた食堂車で全員が食事を食べられたり、専用の休憩室でゆっくり
ジュースでも飲んで過ごせたことも役得でした。
おもしろかったのは、先輩社員が終点近くになると「おい、行って来い!」と言って
くることです。この命令が出ると私らバイト生は棚の上にある乗客が読み終えた新聞
や雑誌をかき集めに車内を歩きます。「じゃぁ、おれはこっちに行くから、9号車か
ら向こうは頼むぜ」なんて言いつつ出かけ、いつも帰ってくる頃には十数冊の本が集
まり、その日の夜、寮でみんなで楽しみました。
翌日は広島発東京行のひかり号で、まず「もみじまんじゅう」を担いで車内へといざ
参上します。
すぐ売り切れるものは「京都の八つ橋」と「静岡の安倍川もち」で、これは売ってい
て気分がいいものでしたが、せんべいはいつも不調でした。しかし、売れるまで何回
も行かされるので、「こんなにいっぺんには持てません」と言った時、チーフが
「持ってけ!」と怒鳴ったので、車内でケンカしたこともありました。
ちなみに、これから売りに行こうとする車輌で車掌さんが検札をしていたら、車掌さ
んがその車輌を出てくるまで入っちゃいけないというのがルールでしたから、そうい
う時に限って重い「もみじまんじゅう」なんかを積んで持っているものでした。

そんな20年ほどの昔を思い出しながら「どれどれ、最近の車内販売はどうかな、ふ
むふむ相変わらず同じものを売っとるのぉ」なんて目でつい見てしまっています。
500系に初めて乗った時は、新大阪駅で下車してからもしばらくホームに残り、列
車を見送りました。
しかし飛行機の場合はただじゃ降りません。

羽田で座席に座ったら、スチュワーデスさんに「コックピット見せて下さい」とすぐ
頼みます。たいていは「機長に相談してみますので少々お待ちを」という返事が返っ
てくるものの今まで断られたことはありません。でも、すぐにではありません。飛行
機が現地についてからです。一回だけ身分証明書と名刺の提出をさせられた時もあり
ましたが、9割9分好意的に見学させてくれます。
到着地に着いて乗客が全員降りたところで「どうぞ」と声がかかりますから、「はい
どうも」と言っておじゃまします。入って左側の機長席に座らせてくれ、しばらく会
談。
「離着陸は手動ですか自動ですか」
「あぁ、これが○○ハンドルですね、さっき機内誌で読みました」
「飛んでいる時は何しているのですか」
「飛行機って、電車のように同じ路線を行って帰るだけじゃないのですか。この飛行
機は今度どちらへ」
実に気さくにお答えいただきます。中には
「カメラはお持ちでないのですか。せっかくですから」とか
「それが操縦桿ですから、どうぞ握ってみてください」
なんて親切な言葉までかけていただきます。時間にしてほんの5分弱ですが、楽しい
ひと時です。特に羽田着の夜の便では計器が美しく輝いています。
「ホントウはいつでも見学に来てほしいのですが、会社の方針で国内線では飛行中入
れないので、せめて到着したら多くのお客様に遊びにきてほしいですね」と言ってお
られました。
ある時の機内放送ではこんなこともありました。
「乗客の皆さま、本日はご利用いただきまして誠にありがとうございました。機長の
○○です。この飛行機は東京国際空港を出まして、○分後に○○フィートまで上昇し
浜名湖上空を、さらに○分後には○○湾上空を飛行したのち、○時○分目的地の○○
空港へ向かいます。管制塔からの情報によりますと、到着地まではおおむね良好との
ことですが、一部気流の乱れやすいところを飛行しますので、若干の揺れが見込まれ
ます。ベルト着用のサインが消えましても安全のため着席の際はどうぞベルトをおし
めくださいますようお願い申しあげます。なお、この飛行機は最新鋭のボーイング7
77−300(スリーセブンダッシュ300)機です。どうぞどなたさまも飛行機が
到着地に着きました際にはご自由にコックピットの方へご見学ください…」

スーパージャンボの2階席の一番前に座った時も見学させてもらいました。エコノ
ミーシートなのに2階席って少人数で、まるでビジネスクラスにでも座ったような錯
覚さえ起こります。

今まで講座にカメラを持って行ったことはありませんので、証拠写真は残っていませ
んが、男として誰でもが一度はあこがれるパイロットの世界をかいま見るにはこれで
じゅうぶんです。
そうそう、パイロット養成の時に使うフライトシュミレーターの原理を使ったのが
TDLにある「スターツアーズ」ですね。

飛行機の醍醐味は何と言っても離陸時のGがかかってふんわりと浮くあの瞬間です。
主任講師として出かけるようになって飛行機に乗る回数が一気に増えました。いつも
あの瞬間を快感に乗ります。基本的に飛行機は安全な乗り物だと思っていますから、
何にも怖がったりしていません。思いっきり揺れて、羽田上空で着陸を3回やり直し
た時も平気のへのじでした。ポストカードももらってきます。昨年の島根行ではJAS
のポカリスエット号にも乗れました。差額を自分で出してスーパーシートの快感も一
度だけ味わいました。
飛行機を利用するようになって、今悩んでいることが一つあります。
仕事で乗った飛行機のマイルは、果たして会社のものなのか個人で使っていいものな
のか。
いつかこの話題の新聞記事を読みましたが、その中で会社側は「あくまでも業務の中
で発生した利益だから」と主張し、社員は「せめてものごほうび、シートアップする
にせよ無料航空券に引き替えるのせよ個人の自由で使えるものだ」と、意見が分かれ
ていました。このことについては、まだ職場にお伺いはしていません。果たしてどう
なるでしょう。

その他には、鳥取へ向かう時に新型寝台特急「サイイライズ出雲」に乗ったり、レト
ロが売りの地方鉄道に乗ったりと、のりものにはちょっと楽しんでいるかも知れませ
んね。

そうそう、のりものついでに、どうしても語っておきたい列車があります。
岐阜県の講座に出かけるために名古屋から名鉄特急に乗った時のことです。東京の私
鉄特急と言ってまず思い出されるのは「小田急ロマンスカー」なのですが、私にはこ
の列車が特急の本来の姿だと思っていました。つまり特急というのは、観光地に出か
けるための文字通り特別急行列車で、座席指定で、車内サービスが多かれ少なかれあ
り、旅の気分が列車に乗った時から始まる−こんなイメージですね。最近では京急に
しろ京王にしろ特急も普通の車輌と変わらずに運転している私鉄もありますが、幼い
頃から乗り慣れた特急は、特急専用車両に乗るということをさしています。発車本数
もそれなりに少なく、1時間に1〜2本、出発の20分くらい前にはホームに出て、
電車が入ってくるのを待ったものでした。小学生の頃には、必ずと言っていいほど先
頭車両の前で記念写真も撮りました。
そんなことが頭の中でつくられた私が初めて名鉄の特急に乗った時、衝撃が走りまし
た。
その1.特急券は事前に窓口で買ったのだが、ホームで待っていると、これでもかと
いうぐらい矢継ぎ早に列車が入ってきます。各駅列車から特急まであらゆるタイプの
列車がせかせかと来てはさっさと出発していった。「18時40分発の特急だから、
あと4分か。きっと次にくるのが特急だな」なんて思っていると、その4分の間に何
本も列車が来るではないか。東京のせわしいリズムに負けず劣らずっていう感じで目
をくりくりさせてしまいました。
その2.やっとその特急がきて指定席へ座る。ちょうど帰りのラッシュになる頃なの
で、通勤で使っているらしきスーツ姿の人がいっぱい乗り込んできました。私の隣に
はOLらしき女性が座ったのですが、彼女は座るや否や、手に持っていた切符を前の人
の座席の上にちょこんと刺したのです。人の頭にあたる部分にはシートカバーがつい
ていますが、そのカバーといすの間に切符を刺したのでした。
「ナンダナンダ?」と内心思っているものの、はずかしさと不思議さで
「何しているんですか、これ?」とも聞けず、しばらく考える。よく見ると周りのい
すのいくつにも同じように切符がはさまっているではないか。
さらに追い打ちをかけたのは、みんな降りる時その切符を持っていかないのです。置
きっぱなしで行っちゃうんですよ。
わけがわかりません。
特急券って改札出る時必要じゃないんですか?これがナゴヤ人?これが関西の習慣
?…???
そのことを講座の最中に事務局の人に伺いましたら、「持つのが面倒だから」とあっ
けなく一蹴されました。ホントウにそうなんでしょうか。近鉄特急ではこのようなこ
とは見られなかった摩訶不思議体験でした。

最後に、特急での乗り過ごし1回、朝寝坊での飛行機乗り遅れ1回の前科があること
を記しておきます(笑)。
そうそう、空港での荷物検査の時にくぐるブーブーゲート。身体電気が走っているの
か何ならかのエネルギーが貯まっているのか、よく反応しています。そう言えば冬に
なると静電気よく出すからなぁ。


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主任講師の旅日記10

最終回「講師はひとりがいいかい?大勢がいいかい?」


皆さん、ご無沙汰しておりました。
一気に9回まで書いたと思ったら、
パタっと投稿が止まること早3か月。
ちょうど7月の終わりに全治2ヶ月の療養生活から開放され、
無事両足で歩けることになりました。
と思ったら、休日に家でゆっくりしていることが少なくなり、
なかなか執筆の時間がなくなってしまったのです。
って軽く言い訳をして、さぁすっきりしたところで、
最終回の旅日記、はりきってまいりましょう。

話の前に、「おいおい、何だよ。久しぶりかと思ったらいきなり最終回かよ」
とお嘆きのあ・な・たにはちゃんと説明しなければなりませんね。
それはね、何でも10というのは区切りがいいということですよ。
「10年ひと昔」ってよく言われるではないですか。
さらに、この秋予告編で予告したとおり、めでたく
「主任講師デビュー50回記念講座」も達成しました。
50というのも区切りがいいじゃないですか。
ということで、今回で一区切りの最終回と自分で腹をくくったわけです。
決してモヤさんから
「もう止めてくれ」と言われたわけではありませんし、
「もっと続けてくれ」と言われたわけでもありません(笑)。

この秋に主任講師として50回目の講座を努めてきたのは、
初級妖精講座、
あっ、↑の講座の名前っていいね。
何かメルヘンぽくていい響きです。
おっと話を戻しますと、
初級養成講座のメッカ、神奈川県のこどもの国です。
私が初級養成を受けたのもこどもの国ですから、
何か因縁でもあるのでしょうか。
ある意味でのホームグランドとなっているこのフィールドで
快晴の秋の空のもと、実に心地よい3日間を過ごしました。
みんなで静かに夜の雰囲気を楽しんでいたら、
フクロウがつがいでホーホー、ホッホーホーと
心地よいリズムを奏でてくれました。
また、カツラの甘い香りが辺りを包むこの地で
においの散歩なるナイトハイクを楽しみました。

さぁ、そんなこんなの全国行脚(ぜんこくあんぎゃ)をして
多くのネイチャ−ゲームファンを誕生させてきました。
私は、ひそかに「ネイチャ−ゲームの世界に
また一人片足をつっこませてしまいました」と思っています。
50回の中には、一人で3日間をやってきた時もありますし、
また多くの仲間と作り上げてきた時もあります。
そこで、最終回は
「講師はひとりがいいかい?大勢がいいかい?」ということでお話します。

講師が一人で行う場合は少なくありません。
まず主任講師となる上級指導員が
講座のプログラムをコーディネートします。
まぁ、標準と言いますか、スタンダードといいますか、
最低限の共通理解はどの人でも同じになっていますので、
あとは「個性」と呼ばれる肉づけの部分での違いになります。
実はこの個性が何とも怪しいのです。
モヤさんは、あごひげのイメージからでしょうか、
仙人のような、その場の空気を変えてしまう怪しさがあります。
その他にも、例えばむら●さんは、強烈なオーラを放つ人であり、
こい●さんは淡々としながらもふふっと笑う口元が怪しくもあり怪しくもなし。
なんて本当に怪しい人たちの集まりでもあるのですが、
この怪しさがまた魅力なんですね。
怪しい魅力に一度とりつかれたら最後、
その人のペースでずっとプログラムがすすんでいき、
気がつけばネイチャ−ゲームオタクになtりつつある状態です。
魔法をかける方としましては、
何とも言えない時間を過ごしています。
私もかくいう、一人で全部をこなすことに
言いしれぬ魅力を感じています。
何とも例えようもない不思議な感覚なんですね。
最初、開講式前ではがちがちに固まっている参加者の顔や雰囲気が
だんだんと崩れていく時間の流れを一緒に過ごし、
2日後の帰る時には、もう旧知の親友の集まりのような
暖かい雰囲気になっていく、その最後の時もしかり、
そのプロセスもしかり、たまらんのです。
自分が作ったプログラムで、
自分の思いと言葉で、
ネイチャ−ゲームの世界に多くの人を導ける魅力は主任講師の醍醐味です。
(決して一人の力ではないんですよ。
ネイチャ−ゲームそのものの魅力や自然の魅力がまずありきですね)
一人でいると、下見の時だって同じ所を何回も自由きままに歩けるし、
立ち止まりたくなったら他人を気にせずにずっと寝ころんでいられるし、
すでに一人の時間を満喫しています。
仕事の名を借りた自分だけの贅沢な自然探検の時間ってとこでしょうか。
ましてや、遠方で前泊した日なんか、夜の森まででかけることもあります。
下見の時の一人の楽しみは、すでにどこかで書いていますので、
詳しく話しませんが、
一人で講師に入るってことはこんないい思いをしちゃっているということですね。
講座期間中は、さすがに半分を越えたあたりで一度息が切れてきます。
ただ年なのだけかも知れませんし、
後半に望むにあたっての深呼吸をする時かもしれません。
ほんのちょっとのつらい時間を過ぎると、またスパークし始めます。
きっとこの時の栄養剤って、
すっかりうち溶け合った参加者の笑顔であり、
参加者とのコミュニケーションであり、
心地よい疲れかも知れませんね。
自分のテンションもだんだん上がっていきます。
最後の実習ゲームを行ったあとが一番自分の中で
盛り上がっている時でしょう。
心の中で「ふふっ」なんて笑っているのだと思います。
講座の期間中、参加者の方からたまに
「いつもこんなハードなんですか」
「よくこんなこと何回もできますね」なんて飽きられて?しまう場面も少なくありま
せん。
確かにスケジュールはハードなんです。
ハードなんですが、参加者は次から次へと刺激的な体験をするものですから、
疲れている暇がないのでしょうね。
「家に帰ってから即、爆睡しました」なんて手紙をよくいただきます。
そうだと思いますよ。
そんなハードなことをよく毎月のように全国でやるよなぁ、
すごい体力だなぁ、
本当に自然が好きなんだなぁ、なぁ、なぁなんて思っているかも知れませんが、
そうじゃないのです。
毎月のようにやっているから身体の中にリズムがあってね、
例えば一日目はいつもこれくらいで、
2日目の午前はこのくらいの気持ち、
午後の目かくしトレイルが終わったら自分の中でヤマは越したと思い、
あとはゆっくりするだけね。という流れが染みついているのです。
だから参加者の人から言われるほど
疲れはありません。
ですので、
「よくこんなこと何回もできますね」という言葉だって、
決して悪口を言われているわけではないんですよ。
「よく、こんなハードな内容の講習会にたくさんでかけて行って
疲れないのが不思議ですよね。
私なんかもう半分ばててしまってますが、
楽しいので気分は疲れていませんよ。
山口さんは何回も出て疲れないんですか」というのが縮まった言葉なんですよ。
それはまるで、ポッ●の
「じっくりことことにこんだすーぷってさぁ、『じっくり素材を吟味
して弱火でコトコト時間と手間ひまと愛情を込めて煮込んだスープ』
って言いたいところを断腸の思いで短くしたんだよな?たしか」ってことと同じなの
です。

ただ、こうまで書くと、これから一緒に講師として入る方が遠慮するかも知れません
ので、
そうじゃない部分もあるってことを知らせておかなければなりません。
この初級養成講座には、主任講師の他に
中級指導員の方が一緒に講師陣として入られることがあります。
回数でいうと、3回に2回はどなたかと一緒にやっています。
決していやではないんですよ。
余談ですが、中級指導員というのは、
私は「ネイチャ−ゲームにハマッタ人たち」
「ネイチャ−ゲームに両足どっぷり浸かった人たち」というふうに講座で紹介してい
ます。

講師が2人3人いる時の魅力は、何と言っても担当が分担できるってことにつきま
す。
講義だって、3人いれば3人で5つを分けるので、
自分が担当するのは一つか二つです。
人が講義をしている時は
後ろに座って
「今日の夜にちゃんとミーティングをして、
ここがよかったとか、ここはもっとこうしたほうがいいよとか、
的確なアドバイスをするために私はここに座ってちゃんと聞いているよ」
なんてふりをしながらいつの間にか意識が薄れ、
1時間ずっと頬杖をついたまま固まっていた、なんてことも、あ…。
仕掛けがあらかじめ必要なゲームを控えている時は
食事の時間もそこそこにフィールドへ飛び出すのですが、
この担当じゃなくなると、きっちり1時間休憩がとれます。
「じゃ、がんばって」
とお気楽に担当の講師をお見送りし、
ちょっと15分昼寝でも、なんてことだってできちゃいます。
また、自分が思っているネイチャ−ゲームに対する熱い想いだって
夜に語っちゃえます。
ですので、これはこれで楽しい時間なんです。
相変わらず人がついていようがいまいが、
下見の時は一人でとことこ進んでいっちゃいますが、
「わぁ、きれいだね」
なんて語りかけられるのも、そばにパートナーがいるからこそです。
「ねぇ、いいにおいでしょ、いいでしょこれっ」などと
興奮してしまうこともあります。
特に、初めて一緒に入る中級の人がつく時なんか
「今回はどのように洗脳しちゃおうかねぇ」なんてひとりほくそ笑んでいたりもしま
す。
ネイチャ−ゲームについて語れる仲間がいるというのは
シアワセなことだと思っています。
この時間は、自分の思いもさらけだし、
相手の思いもたくさん受け入れ、
さらにお互いが刺激を受けて成長をとげる時間でもあるのです。
申し訳ないことですが、
今まさに初めてネイチャ−ゲームにふれている講座の参加者には
いい意味で話せないことばかりです。

ネイチャ−ゲームの初級養成講座を
主任講師一人で進めることの長所は、
講師の立場から見ると、自由で自分のペースで最後まで流せること。
自分の思いがすべての場面で語れること。
講師の交代による雰囲気の分断がなく、そのままのテンションで進められること。
などがあります。
反対に短所は、
疲れる。
疲れを回復させる場面がない。
息が抜けない。
食事をちゃんと反芻できないまま次のゲームの仕掛けに走る。
などかな。

一方、参加者の立場から見た時の一人講師の長所は、
雰囲気がそのまま持続していくというのが一番ではないでしょうか。
しかし、短所は、
すべて山口色のネイチャ−ゲームしか体験できない。
他の人の指導法が見られない。
飽きる。
ということでしょうか。
好みはあるでしょうが、これも運命です。
何年かして、「やっぱり私は山口さんじゃなく、
●●さんの指導で初級受けたかったなぁ」なんて言われることのないよう、
いつも全力投球でやるしかありませんね。

さぁ、次回は51回目です。
実は今までの50回の中には中止が数回入っていますので、
もう一回、50回記念(実数お出かけパターン)という時がくるでしょう。
その時は、また懇親会で
「今回は、私の記念すべき50回記念講座なので、
今回に限り全員合格!」と叫びたいと思っています。
ちなみに、先月のこどもの国でこう言ったら、
「よっ、男に二言(にごん)なない!」と合いの手を入れられてしまいましたので、
「全員合格!…して、
どうか華を添えていただけるようみなさん頑張ってくださいね」と返しました。
次の時もまたこの手でいきましょう。

さぁ、みなさんは講師が一人でぐぐぐい〜っとのせてくれる雰囲気が好きですか?
それとも、いろいろな人が入れ替わりでやってもらう方が新鮮でいいですか?

次回は、最近再び凝り始めました研究課題、
「サザエさん」に見る自然観とネイチャ−ゲームを考えるです。
お楽し…あっ、今回でおしまいだったんだっけ。
長い間ご購読いただきましてありがとうございました。

ご注意:
このページは、君並びに君の仲間に危害が及んでも
当局は一切関知しない。
なお、このページは自動的に消滅する・・・シュゥゥゥゥッ(煙が出てくる音)


ということで、最終回になってしまったようですが、是非とも続編を期待したいと思います。(byモヤ)
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番外編
主任講師の旅日記11
「史上最大!人生42年の中でピカ一な自然体験をしたぞぉ」
 続編として、他のHPに掲載されていましたが・・・リンク切れが生じて読むことができなくなったようなので、ここに掲載させてもらいます。
主任講師 山口氏のつぶやき
このページは上級指導員の山口氏のご好意で掲載しております。

主任講師の旅日記11

タイトル「史上最大!人生42年の中でピカ一な自然体験をしたぞぉ」

この旅日記は、山形稲花餅愛好会と、紅葉を見に行こうよう組合の提供でお送りします。

11月9日、当日の朝にばたばたと準備をすませ、朝4時半に家を出る。
出張はいつもこうだ。
「まだ来週じゃないか。まだ週末じゃないか。、まだ3日あるじゃないか。
まだあさってじゃないか」って目の前の仕事ばかり追いかけて、「1日あれば来年も同然!」ってな感じで全く準備がはかどらないのはいつものこと。
そうこうしているうちに、ついに当日になってしまうのね。

この日は山形県でのステップアップセミナーに出かけることになっており、朝一の出勤となった。
今日のルートは仙台まで東北新幹線で行き、その後に仙山線に乗って山形まで入るルートをとった。
特段意味はないが、ローカル線が好きだからっていうことかな。
しかぁし、これが今回の旅を波乱万丈にしてくれるネタの始まりだとは‥
ということで、まずは東京駅。

新幹線に乗り遅れたらえらいこっちゃ。
過去前科2犯の実刑を受けている身としては、何とか避けたい。
6時の新幹線に乗るべく余裕の余裕を持ってでかけたら、東京駅に早く着きすぎてしもうた。
「しょうがなぁ、どっかお店でお茶でも飲むか‥」
「ん?開いていない!なになに‥開店7時‥かぁ、仕方ない、売店であったかい缶のお茶でも買うか‥」
「ん?開いていない!ありゃりゃ。仕方ない、じっとしてよう(笑)」ってことで、新幹線改札口前の階段に座り込み、しばらく寝込む。
不幸中の幸いだったのは、構内のため寒さだけはよけられたことかな。

だが、予断は許されない。ここで寝過ごしたら、ウサギとカメのウサギになってしまうからだ。
遅刻なんてしゃれにならないっすよ。
そんなことを思いながら無事仙台に到着。
すぐの仙山線に乗り換え、一路山形まで向かった。

時期は11月、東北地方は紅葉の時期に突入しており、だんだんと車窓の風景が色づいてきた。
なんとものんびりな列車の旅を満喫中。
こういうちょっとしたシアワセがうれしいのよねぇ、なんて言いながら外の風景を楽しむ。
途中、渓谷を何回となく通り過ぎて行ったが、こと渓谷の色が実に美しいのである。
一気に、わぁ〜って赤や黄色が目に飛び込んでくるといった感じ。
ひとりなので、決して声にはださないが、「おぉ」とか「ほぉ」とか「うわぁ」とか心の中で叫んでいる。
そうして何回かの渓谷にさしかかた時、電車のスピードが落ちてきた。
と思ったら、ちょうど渓谷の真ん中、橋の上でとまってしまった。
「うひょ〜、JRもなかなかやるじゃん。景観サービスねっ。仙山線にして大正解!」
なんて思い、渓谷の紅葉を堪能した。
よく、いろいろ高い鉄橋の上とかすてきな景色にさしかかると、電車やバスが止まって見せてくれるじゃないですか。あれですよ、あれ。
ちらちら小雪が舞っていたので窓は開けなかったが、じゅうぶんにその風景を楽しんでいると、「ただいま、線路にたまった葉っぱで車輪がからまわりしています」とのアナウン
ス。
「なんだなんだ、乗客サービスじゃなかたのかいな。
へぇ、そんなこともあるのかぁ。知らんかったよぉぉぉ」
確かに、山間部に入ってから車輪が
「キィガガガ、ギギギィィィィ、キ〜イイイイイイ、ガシャガガガガ、ギイゥゲゲゲィ(記憶の範囲での擬音)」という、電車がカーブを回る時のような音を出して走っていた。
風が吹かなくても葉っぱがどんどん落ちてくるこの時期は、線路の上にまでたまっちゃうようで、後から山形の人に聞いたら、秋の風物詩‥とまでは言わないまでも、知っている人は知っている仙山線ならではとのこと。
そう思ったら、今度は「車輪がから回りして車体がはずれやしないかい。
おいおいここは橋のど真ん中じゃえ」という恐怖感が襲ってきた。

しかし、何とか徐行を続け、トンネルに入ったとたんにまたスピードが出始めた。
予期せぬ「人生の初体験」をひとつ加え、それもまた旅の楽しみよね、と気楽に考えているうち、ダイヤより約15分遅れで山形駅に到着。

初めてお会いする有川さんというスタッフの方がネイチャーゲームの帽子をかぶって改札口で立っていました。
おぉ、ひとめでわかるネイチャーゲームの帽子!と、瞬時に営業スマイルをつくり、ほくそえみつつ、
「こんにちは、山口です。ニコッ、八重歯がキラリ!さわやかな青年スマイル!」とこっちから近づく。
そりゃそうでしょ、相手の方は私の顔をご存知ないので、私が迷っていたら永遠に会えずじまいですものね。
そう言えば、数々の改札口待ち合わせの中で「自然とふれあうネイチャーゲーム」というのぼりで迎えられたこともあったけかなぁ。
いやぁ、近づきたくなかったっすよ(汗)。
なんてこともありましたが、今日は無事に合流。
車で施設まで約40分。小雪舞う山の上へと向かいました。

お昼をごちそうになってから、さっそく準備を整え下見へGO。
下見が一番楽しいのは、前に書いたとおり。
この日もたっぷり2時間以上時間をもらえ、るんるんとフィールドに出かけていった。
それにしても、このフィールドは広い!
一番適したフィールドでネイチャーゲームを行うために、とにかく全部歩く。
左手には施設まわりの地図。
右手にペンを持ち、あっちをうろうろ、こっちをうろうろ。
気持ちいいフィールドばっかりじゃないですか。
施設の横の道を歩いて行くと、ぱぁ〜っと広がる絶景。
目の前の山々が見事に黄葉しているではありませんか。

「いやぁいいねぇ、たまらんねぇこの色!うひゃうひゃうひゃうひゃ‥」とさっそくその山へ小走りに向かいます。
山の中に入ると、♪ドングリがいっぱい落ちているではないかいな。
葉っぱもそれに輪をかけて、♪落ちているではないかいな。
風が吹くと、無数の葉っぱが、♪舞っているではないかいな。
って感じで、それはそれは極楽な下見であった。

山のいただきに出ると、さらに展望塔まであって、別におだてられたわけじゃないが、この場にいたら誰だって無条件に登るってもんでしょ。
まだ全部のフィールドを見たわけでもないので、明日の実習でここに来るかどうか決まっていないが、とりあえず体験してみなきゃね。

一回りして展望台を降りたあたりから雪が強くなってきたので、傘を取り出した。
「ん?なんだなんだ」と言う暇もなく、急に吹雪はじめた。
左手の地図がだんだんぬれてぐしゃぐしゃになってくる。
ペンで書いたメモがにじんでくる。
風があるので、傘の下にも雪が舞い込んでくる。
というとてもつらい状況になってきた。
「天は我々を見放した‥」という、自分でよく使うセリフが頭をよぎる。
さっきまでの快感な下見とはまるで別世界。
森の中はまだ雪も避けられるのだが、いったん広場に出るとそれはもう、八甲田山!
「くっそぉぉぉ‥なんてこったぁ。ひえ〜、さぶいっすぅぅぅぅ‥なんでこうなんだぁ」
「ホカロンつけてくりゃぁよかったなぁ」
「この手袋は防水じゃないしなぁ、まさか雪になるなんて思ってなかったしぃ」
「おれを誰だと思ってるんだぁ?おれは晴れ男なんだぞぉ」
「‥‥‥山形との縁もこれでおしまいかぁ、もう二度と来ることもないだろう‥」
と、一気につらくて悲しい下見になってしまった。

土曜とは言え、オフシーズン、しかもこんな吹雪の中。
広いフィールドに歩いている人は見かけることもなく、ただただ一人耐えていた。
やっとの思いで、それでも全部のフィールドを一回り終えて宿に戻った。
地元の白川さんに「ヤマグチさん、今日はこのまま吹雪、明日は2、30センチ積もっているから、そのつもりで」と、ニヤニヤしながら忠告を受ける。

15時になったので、ステップアップセミナー始まり。
もう開き直りですね。夜の実習についてみなさんにアンケートをとることとしました。
「夜の使い方をどうするか相談します」と言って、4択の答えを書いたホワイトボードを見せながら解説を入れる。
「みなさん、こんにちは。山口哲也、42歳、西澤敬子さんのご実家の2軒先に住んでいます。
これから夜の使い方をみなさんと相談したいと思います。
次の中からひとつ選んで手をあげてください」

1.それでも外でやる
2.室内のゲームに切り替える
3.自由時間とする
4.さっさと宴会にする

参加者「2!」
私「ファイナルアンサー」
白川さん「軟弱者‥」
私「正しい判断ですね(笑)」

ってなことで、きゅうきょ体育館での実習となりました。
その日はぬくぬくと楽しく過ごすことができたものの、問題は明日です。
夜、ことあるごとに外を見る、見る、見るもでポン!も、相変わらず強く降っている。
しかぁし、私は晴れ男なので、きっと明日の朝はピカーっと太陽が射し雪もすっかり溶けたフィールドでちゃんとできるだろうと、お気楽に思いつつ、その日は12時前に寝床に入った。

迎えた朝、なんとラッセル車の「ガーン、グゥイ〜ン、ガガガッ‥」ていう音で目が覚めた。
♪窓を開けぇればぁ〜一面の雪景色ぃ〜。
「やってしもうたぁ」といいつつ、朝にもう一度軽く下見に出かける。
朝には幸い雪もやんでおり、親切な新雪のおかげで(オヤジギャグ)、気持ちのいい雪の世界を堪能できた。
今日、最初に行うゲームは少し仕掛けが必要なので、その準備も兼ね、森へ入る。
いやぁ、足跡のないまっさらな雪の上っていつ歩いても気持ちがいいですよね。

朝食後、プログラムが始まる前に参加者にアンケートをとる。
「みなさん、おはようございます。山口哲也、42歳、体中に悪玉コレステロール蔓延中です。
外は雪が積もっていますが、今日の動きををみなさんと相談したいと思います。
次の中からひとつ選んで手をあげてください」

1.それでもやる
2.室内のゲームに切り替える
3.自由時間にする
4.もう終わりにして帰る(笑)

参加者「1!」
私「ファイナルアンサー」
白川さん「‥‥‥」
私「では行きましょう!もうやるっきゃないですよね」

みんなと一緒に外に出るころには薄陽もさしてきて、何とか3時間もちそうな気配だった。
玄関前の雑木林でゲームを楽しんだ後、いざ、目的の森へ。
と思って歩き出したら、一面の雪の世界が目の前に現れた。
全く足跡がなく、陽がさしてキラキラしている雪を見たら、ニンゲンどうなると思います?

1.思わず涙ぐんでしまう
2.わけもなく飛び込んで倒れる
3.食べてみる
4.自分の足跡をつけて歩き回る
5.ネイチャーゲームしたくなる(笑)

まぁ、いずれも正解でしょう。
案の定、この日の参加者も2と4の光景が見られました。
バタバタと倒れこむ人を見て、すぐに出た私のひと言は、「白川さん、やるっきゃないでしょ」

そう、雪の上に人型をつけて遊ぶ「この抜けあとだあれ」というネイチャーゲームがありまして、その考案者がここにいるではないですか。
もう本人直伝でやってもらうしかないですよね。
こういう機転が利くのが私の鋭いところ(笑)。
まぁ、よく言えばそうですが、悪く言えば
「人にゲームの指導を押しつけている(笑)」とも言うし、「いつでも楽をしようと考えている(笑)」とも言えます。

まぁ、それはどっちの料理ショーとして、すかさずここでご本人登場!
みんなで雪を堪能し、すっかり楽しい雰囲気になりました
(と言うと最初のゲームがつまらなかったということではない‥と思いますが)。

いざ森の中へ、ここまでは昨日のつらい下見があってこそ。
下見の成果があったからこそ、このコースを知っているのよねぇって、意気揚々と雪中進軍を指揮した。
こっちを曲がって、昨日のどんぐりの森へ行って展望台でちょっと遊び、ひとつネイチャーゲームをやってあっちから戻ってくると、ちょうどいい時間かなぁって。
しかし、ここで私は予期しない自然の魔力に魅せられることとなった。

一歩森へ入ったかと思うまもなく、今まで見たこともないすばらしい光景を目(ま)の当たりにするのであった。
昨日さんざん降った雪が真っ白に積もり、その雪の上に赤や黄色の落ち葉がぎっしりと‥

ただの落ち葉ではない!
雪の上の真っ赤な葉なのだ。
私は東京から来た者なので、
「ふわぁ、雪国ってすごいなぁ、こんな自然見たことないわぁ、さすが山形」って思っていたら、
地元の参加者たちもみんな口をそろえて
「こりゃすごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい!」
「今まで見たことないわな、こりゃすごい、すごい、すごい、すごい!」
「初めてだよ、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい、すごい!」
みんなが狂喜乱舞の感嘆符!

確かにすごい。
自然の魔力に掴まったというか、
これぞ自然のなせる技というか、
夢と魔法の王国もディズニーマジックも足元にも及ばないというぐらいニッポンの四季のすばらしさを堪能しました。
いやぁ、この場にいられる喜びったらありゃしない!
昨日までの下見があってこそという自負も加わってか、もう心の中ではうるるとさらら(笑)。

風が吹けば桶やが儲かるではないが、落ち葉がさらさらと落ちてくるこのタイミングを使い、ネイチャーゲーム「落ち葉キャッチ」をまず実施。

そのゲームをやっている時は私も道端にゆっくりと腰を下ろし、見上げれば青空と紅葉、そして地面に目を移せば雪と紅葉という見事なコントラバス、いやコントラストの世界を楽しんでいた。
しかし、さっきから頭にひっかかっていることがひとつあった。
次のゲーム‥時間から言って最後のひとつをどうするか‥だ。

最初の予定どおりのものをするか、いやこの今ならではの自然を生かしたものをもってくるか‥。
これには悩みましたねぇ。
一応、公式な研修会で講師として来ているわけですから、それなりの仕事をしないとという右の山口哲也と、何をおっしゃいますのん。ネイチャーゲームありきの自然じゃなくて、自然あってのネイチャーゲームじゃないのとささやく左の山口哲也が戦っているんですよね。

最後の最後まで悩みましたが、「えいっ!あとで謝るよ」という決意のもと、雪の上に素敵な色とりどりの世界を描いて楽しめる「白いキャンパス」を持ってきました。

そう決めた以上、さっそく見本の作品づくりです。
私は、まわりに落ちているカエデの葉を何枚か集め、
グラデーションを彩った作品を完成させました。
そうしてみんなにも作品を作ってもらい、みんなで見合いました。
土の上に紅葉で作る作品は今まであった。
雪の中で雪を立体的に作ったり、枝や枯れ葉をあしらった作品も今までにあった。
しかぁ〜し、雪の白いキャンパスに色とりどりの落ち葉の掛け合わせは今までなかった。
今、この場所に私たちがいることをシアワセと呼ばず何と言おう!さらば涙と言おう!(笑)。
一番その自然の恩恵を預かり感じることができる時間の過ごし方は、これしかない、っという使い方ができたと思っています。

そうして、ここでのゲームを終え、また新雪の中をゆっくりと歩きながら戻ったらちょうどお昼。予定どおりでしたが、終わってみればたったの3時間。
しかし私は、この時に「人生42年にして史上最大の自然体験!」と思えるような感動に浸ることができました。
部屋に戻ってから、きちんと今日の実習のふりかえりをし、最後に「いやぁ、こんな自然体験ができるなんて思ってもみませんでした。
今日のことは、私のネイチャーゲーム10年、ディズニーオタク暦15年、コーンリーダー暦2年、そして人生42年の中で、一番印象深く残ったできごととなりましたぁ!」って両手を広げながら話したら、みんなから拍手をいただいちゃいました。

地元の方たちでさえ、驚きと感激をした今日の自然。
「こんなことなかったよ。初めて見たけど、きれいだったわなぁ」って言うぐらいだから、東京に住んで雪が降れば通勤の足が乱れるという感触しかない私にとって、何たる幸運な日だったことかは言うに及ばずです。

「昨日はとてもつらい一日でした。歩きながら「もう山形との縁もこれでおしまいかぁ」と思っていましたが、今日の体験で「山形ってすごい良いとこ、また来ますね」って言ったら、みなさん、喜んでいただけまして何とも言えないいい気分になりました。

また来たいなぁって思うフィールドはこれまでにもいくつかありました。
島根県の三瓶青年の家の裏のどんぐりの森、
熊本県の阿蘇外輪山、
北海道の支笏湖畔、
青森県の奥入瀬渓谷、
京都府の上賀茂演習林、
に加わり、山形県もひとつ加わることになりました。
いやぁ、ばらしちゃいますが、この山形県の講師は最初、他の方が行かれることになっていて、きゅうきょ私が代役で出ることとなったのです。
しかし、人生何が幸いするかわかりませんよね。
やはり私の人生教訓「何とかなるさ人生」の神通力はまだ通っているみたいです。
ちゃんちゃん。

この旅日記は、山形稲花餅愛好会と、紅葉を見に行こうよう組合の提供でお送りしました。

次回予告
第12回は‥果たしてどこに出かけるでしょうか。どうぞお楽しみに。





 

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