コンパクト解説 「を遊ぼう」2(イタリア編)


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「旅の絵本」の2作目はイタリアの旅です。明るい空の下、美しい風景、街並みが続きます。そしてその中に隠された遊び絵の数々……。
そして、この巻の大きな特色は、全体に「新約の聖書物語」がちりばめられていると言うことです。イタリアにはローマカトリックの総本山のバチカン市国があるからでしょう

」2
「表紙と裏表紙」「扉」シーン1草原でシーン2受胎告知
シーン3キリスト誕生シーン4逃避行シーン5水道橋シーン6製材所
シーン7ヨハネによる洗礼シーン8結婚式シーン9マグダラのマリアシーン10トレビの泉
シーン11塔の街シーン12大聖堂シーン13パレードシーン14蚤の市
シーン15髪長姫シーン16ヴェニスシーン17造船所シーン18最後の晩餐
シーン19最後の祈りシーン20十字架上のイエスシーン21旅立ち「裏扉」


「表紙と裏表紙」
01)旅人は・・・北イタリアと思われる広々とした野を行きます。

旅人の手前にある教会は実際にはボローニャBOLOGNAにある教会です。
Chiesa di Santa Maria della Vita生命のサンタマリア教会です。
この教会には、1787年にTubertiniによって建設された大きなドームがあります。
礼拝堂には、十字架からおろされたキリストとそれを取り囲むthe Imploring Marys(哀願のマリア)など7人の実物大の美しい彫像群があります。作者は、Niccolo dell'Arcaで、テラコッタ(素焼き)の像です。

彫像群の、キリストを囲む6人の内女性が4人で、いずれもマリアです。冷静さを保とうとする2人の男性に比べて、それぞれに強烈な悲しみを表すマリア達の様子がとても印象深く劇的です。安野さんが、聖書物語をメインテーマにした2巻の表紙にこの教会を描かれた理由の一つは、この像の存在があるのだろうと思います。
表紙全体に、「ベリー公のいとも豪華なる時祷書(じとうしょ)」の中をからとられた情景が取り入れられています。

「ベリー公のいとも豪華なる時祷書(じとうしょ)」
フランス国王シャルル5世の弟ベリー公は無類の愛書家・美術愛好家で、約三百点の蔵書を所有していたが、その中でももっとも豪華で、中世末期を代表する傑作として名高いのが、この『いとも豪華なる時祷書』
ベリー公が所有している城と、各月ごとの当時の人々の様子が描かれており、その豪華さから「世界で一番美しい写本」といわれています。
このHPにとても詳しいです(各月の絵を見ることができます)
http://www.shajisitu.or.tv/c4.htm
http://www.christusrex.org/www2/berry/

1)表紙左下 牧草刈りは6月の絵『いとも豪華なる時祷書』
  6月になると、そろそろ収穫が始まります。女性二人が牧草を刈っているシーンで、男たちが3人揃ってカマを振るっています。
3)右端中ほど 小麦の収穫と羊の毛刈りは7月『いとも豪華なる時祷書』
7月は小麦の収穫期です。主食のパンになるものなので、この収穫量が国民の胃袋を左右しました。その手前では羊毛の刈り取りが行なわれています。
4)左上 犬を連れた狩猟は12月『いとも豪華なる時祷書』
 12月はイノシシ狩りです。冬枯れの森の中、勢子たちが犬を駆りイノシシを仕留めています(旅の絵本では、肝腎のイノシシが描かれていませんが・・)

裏表紙です
5)崖の上に建つ街はオルヴィエート。街の中心に描かれているのは大聖堂(ドゥオモ)です。ここのファサードの美しさはイタリア随一ともいわれているそうです。
 ここの大聖堂(ドゥオモ)は、シエナがそのデザインを真似したというイタリアゴシックの壮大で美しい建物です。


5)表表紙の右上はオルヴィエートから見えるふもとの景色のようです。
  右の写真は、オルヴィエートからのしゃしんです。
6)裏表紙の右端上 豚をつれて太らせているのは 11月『いとも豪華なる時祷書』
 11月は家畜を太らせて長い冬の食料に備えます。 男は豚のためにドングリの実を落とそうと、棒を投げる構えを見せています。
7)5)の下になにやら女性のような人が立っているのは何???
※自己レスですが・・・よく見ると9月のブドウの収穫の遠景に女性が同じ格好で立っていました。
8)裏表紙右端中ほど 葡萄の収穫は9月『いとも豪華なる時祷書』
9月はブドウの収穫です。低く植えられたワイン用のブドウを収穫しています。
10)真ん中 狩にでかける貴族たちが8月『いとも豪華なる時祷書』
  8月は狩りのシーズンです。この絵の人々は鷹狩りに行くようですが、でも女性連れであることから、目的は・・・
11)左端中ほど 坂道をのぼっていくのは2月『いとも豪華なる時祷書』
2月は庶民の冬の情景が描かれています。旅の絵本では、遠景で馬を追って坂道を上ってゆく男の人だけが描いてあります。

  
14)裏の左下 小麦の種まきは10月『いとも豪華なる時祷書』
16)右下 ブドウの木の剪定をしたり、牛で畑を耕しているのは3月『いとも豪華なる時祷書』
 3月は農作業が始まる季節です。もうそろそろ春ですね。農民がブドウの木の剪定作業をしています。右では壺のように見えますが、男は種まきの準備をしています。手前では牛にスキを引かせて土を耕しています。

「扉」

0)旅人は・・・花の咲く郊外を、馬を引いて歩いています。

この場所は、レオナルド・ダ・ヴィンチの出身地である、イタリア・ヴィンチ村(現在は市になっています)です。
左側に見えるのは、コンティ・グイディ城 Castello di Conti Guidiです。中央に高い塔のある城壁にオリジナルの姿が残っているそうで、ここは現在レオナルド・ダ・ヴィンチ博物館になっているそうです。
 右側に見える塔は、サンタ・クローチェ教会Chiesa Santa Croceです。ここには、ここにはレオナルドが洗礼を受けたとされる古い洗礼盤があります。
レオナルド・ダ・ヴィンチの名は、ヴィンチ村出身のレオナルドということのようです。この巻には、モナリザや最後の晩餐など、レオナルドの作品がでてきますが。個々の作品だけでなく、レオナルドの精神もまた、意識されているように思います。

シーン1草原で(p1〜2)
01)旅人は・・・伸びやかに広がる丘陵地帯で、木陰の丸太でのんびりと休んでいます。馬もないし、歩き疲れたのでしょうか。

 描かれている地域は、トスカーナ地方ではないかとのことです。


これまで発表された6編の中で、旅人が歩いて現れるのは、このイタリア編だけです。
前編の中欧編が、歩いて去ったので、歩いて現れるのは、極めて合理的です。ここら辺の、合理性が安野流なんでしょうね。

シーン2受胎告知p3〜4)
0)旅人は・・・馬を手に入れています。木材を運ぶための3頭の馬の内、一頭の荷物を降ろしてもらって、譲り受けたようです。
2)聖書物語 左上の森の中・・・リンゴの木があり、ヘビがいて、アダムとイブがリンゴ(知恵の実)を食べてしまっています。こうして、人類の先祖は、エデンの園という楽園を追放されてしまいます。
3)森の中には、p3の右はしに、オオカミがいます。
4)森の中p4のまん中に、箒にまたがった魔女がいます。
5)右隅には、ターザンが「あ〜あ〜」なんんてやっています。
3)4)5)は、いずれも森と関係が深いですね。
6)新約聖書物語 建物の庭では、椅子に座る女性の前で、軽くひざまずいている人がいます。・・・大天使ガブリエルが、天キリストの母マリアに神の子が宿ったことを告げています。(受胎告知です


7)新約聖書物語 羊飼いに、古代風の衣装を着た二人が話しかけています。
キリスト教では、羊は弱く罪深い人間を象徴します(迷える子羊)。旧約聖書の世界では、大切な生け贄でもあります。いずれにしても大切な生き物です。
古風な二人も羊飼いのようです。天使から救世主(キリスト)の誕生を告げられて、探しているのではないでしょうか。

シーン3キリスト誕生(p5〜6)
0)旅人は・・・草原をさらに進んでいます。

1)ホークを担いだ夫婦が旅人とすれ違ったようです。この二人、ミレーの「仕事にでかける人」からです。安野さんは、ミレーが好きですね。
そして、この二人・・・晩鐘の二人の朝の姿ではないかという説があります。担いでいるホークも籠も晩鐘の画の中に描かれています。
女の人は、籐で編んだ篭をかぶっています。持つところがあご紐の替わりになって、帽子代わりになって、しかも手に持たなくてもよいわけです。

2)木下で女の子達が本を読んでいます。そこへ、腕時計を持ったウサギがやってきました。「不思議の国のアリス」です。
3)聖書物語 ベツレヘムの馬小屋でイエス・キリスト誕生です。聖母マリアが抱き、夫のヨセフ(聖書では、処女ですから遺伝指的には父ではないことになります)が、喜んで抱き上げようとしています。
6)井戸のところに、エプロンをしたおばさんがいます。はて、何をしているのでしょうか?最初は、洗濯かともおもいましたが、井戸でそのまま洗濯はしません。一体何してるのか?

7)井戸の向うには草を刈ったのでしょうか、小山が5つできています。
ブリューゲルの『干し草の収穫』に同じような草の山がありました。そして、同じ絵の中に、熊手のようなものを担いだ女性が描かれています。これは、1)のミレーの絵の農夫とも重なるように思います。

8)聖書物語 前のシーンにもいた古風な羊飼いが道を聞きながら、キリスト誕生を目指してそこまで来ています。
9)頭の篭に野菜?果物?をのせたお母さんの前を、乳母車を押しているのはおねいさんでしょうか。
 籠を担いだ女性は、7)で紹介した『干し草の収穫』の中にも描かれています。
ところで、雰囲気が南アジア風だと思うのですが???色遣いから受ける印象です。

10)聖書物語 アラブ風の人が3人馬でやってきています。
この3人は東から来た博士です。

11)このシーンにでてくる、建物は、これもブリューゲルの『干し草の収穫』にでてくる建物からヒントをえておられるのではないかと思います。
 絵の教会が、絵本では羊飼いの向こう側の家。絵の手前の家は、絵本では、キリストが生まれている馬小屋に似ています。井戸もあります。



シーン4逃避行(p7〜8)
 0)旅人は・・・ジャガイモ畑(だと思うのですが・・)の横を行きます。
ジャガイモは、新大陸(アメリカ)からヨーロッパにもたらせたものです。聖書には一切記載が無いので、「悪魔の食べ物」とされていた歴史もあります。
1)聖書物語 馬に乗った母子と杖をついた男性が歩いています。
  エジプトへ逃げている、キリストとマリアとヨセフです。
2)聖書物語 子ども達がローマ兵の扮装をして遊んでいます。
  キリストを捜してローマ兵がベツレヘム周辺を捜索している様子を表しています。
6)ジャガイモ畑(だと思う)が描かれています。まず耕して、植え付けて、大きくなったら、みんなで収穫する・・・・。作業手順の全てを一枚の絵の中に書き込んでしまう。日本の絵巻物の伝統を受けつく安野さんでした。
 馬を使って耕している様子は、・・・・
7)一輪車に荷物を積んでいる夫婦がいます。モデルになった絵がありそうですが、心当たりのある人はいませんか。
多分ミレーの作品だろうと思います。あるいは、晩鐘の二人の足下にある手押し車と同じなので、安野さんが晩鐘からインスピレーションを得ての創作の可能性もあります
8)荷車の有る家から袋を下げ杖をついた男性がでてきています。
これは、フランスの農民画家ジュール・バスティアン=ルパージュの、「Le Mendiant (英:The Beggar) 」からということです。

シーン5水道橋(p9〜10)

0)旅人は・・水道橋の遺跡のある所へやってきました。
 


1)水道橋を左の方だけ見ていると、手前の壁の部分が水平に見えます。向こうの壁がそこに立っているように見えます。ご丁寧に、草を生やしてあります。微妙に色合いを変えてあるのでどこからと断定できないのですが、ちょうど旅人のあたりからでしょうか?安野さんのしかけた、だまし絵です。

2)左 家を建築中です。
 日本の木造建築の建て方と異なり、まず煉瓦を積んで壁を作るようです。その壁を土台にしながら、屋根などを作ってゆくようです。煉瓦を積む人、材料を運ぶ人、屋根を作る人、図面を持って打ち合わせをする人がいます。
3)木の所にオオカミがいます。
このオオカミ、シーン2(受胎告知)の時には、森の中に隠れていました。やはり、森や木の所にオオカミはいるということでしょうか。
4)オオカミの視線の先には、豚が3匹います。藁の家に木の家そして手前の家にくっついた煉瓦の家もあるので、『3匹の子豚』のお話からのようです
 このような話の常道ですが、一番弱い立場の末の弟が、知恵があり最善の選択をする。話を聞く子どもたち(通常弱い立場)を、勇気づける内容です。
5)オオカミに気づいた少年がいます。
 気づいて指さし→大急ぎで走って→大人達のところへ報告しています。それが一枚の絵の中に、描かれています。3人の少年ではなく、一人の少年の時間経過を表しているわけで、絵巻物に使われてきたしゅほうですね。
これは、イソップのお話で「羊飼いと少年」(通称:オオカミ少年)を、イメージさせます。
6)少年が懸命に報告しているのに、大人達は全く動じる風もなくノンビリしています。「オオカミ少年」ですからねえ。もう慣れっこになってしまって、またいつものようにウソだろう・・・・といった感じで、相手にしていません。・・・本当にいるのに。
この人達、ボーリングのような遊びをしています。
ただ、ピンの数が9本しか有りません。「九柱戯」という遊びです。ドイツやオランダで行われていた、遊びです。これが、19世紀にアメリカに伝わりぼうりんぐになったようです。
ここに描かれている人達は柵の外の人や馬や林そして後方の建物(宿屋?)まで含めて、オランダの画家ヤン・ステーンが描いた「宿屋の外で九柱戯をする人々」の中に描かれています。それにしても、何の違和感もなく描く安野さんの技術はすごいですね。

7)柵の外の木には、巣箱が描かれています。これは、安野さんの創作のようです。
8)小屋にはトウモロコシが干され、入り口には桶とスコップが置かれ、庭にはニワトリとヒヨコが餌をついばんでいます。
桶の所の壁(?)がウロコ模様です。壁ではなく中に積まれた荷物の表現かも知れませんいずれにしても謎です?安野さんのことですから、適当に描かれたものではないはずです。
10)荷車とカボチャ(?)があります。
 小屋と梯子とカボチャとトウモロコシ・・この組み合わせシーン3(キリスト誕生)の中にもありました。何か意味があるのでしょうか?カボチャは復活祭のイメージからキリストと関連づけられるのか?梯子は・・天国への階段??強引すぎますかね
11)ここにもニワトリと七面鳥がいます。七面鳥はシーン3のキリスト誕生を見守っていました。やはりキリストとの関連でしょう。
12)十字架を脇に置いて、何かしている子どもがいます。
 二人の子どもがしているのは、お墓作りです。映画「禁じられた遊び」のシーンです。
禁じられた遊び (1951) 監督: ルネ・クレマン Rene Clement
http://homepage2.nifty.com/cs-vision/meigakurabu%202.html
 十字架は、当然キリストがらみということで、七面鳥やカボチャ等を含めて、この一帯がキリストとの関連図けられているように思います。

13)水道橋の向こうからサルを背負い楽器を持ったおじいさんとバイオリンを持った少年と犬がやってきます。
「家なき子」の3人です。
14)p9の右下の家に荷物を運び込んでいる女性がいます。何をもっているのでしょうか?
15)スカートの娘さんの後から手紙(ラブレターでしょう?)を渡そうと近づいている青年がいます。
17)牛の引く荷車があります。荷物は木の束のようです。どこへもってゆくのでしょうか。?
18)荷車へ積み込もうとしている男性と、こちらへ積んでと指示している女性、背負って運んでいる男性がいます。
 薪を背負っている人の画は、ミレーの作品に有ります。ミレーの絵では女性ですが。
19)木の束は、右の方に積んであります。まだまだ、5〜6束くらいありそうです。この束は、右端の家の軒下に積んである木を持ってきているのでしょうか?

シーン6製材所(p11〜12)
0)旅人は・・・小川のそばに作られた製材所など、物作りの盛んな所を旅しています。
1)製材所があります。動力源として水が使われていて、その仕組みがよく分かります。
  上流の川から木製の樋で引いてきた水を受け止める仕掛けがあります。水が一杯になると、左側の重しに勝って右が下がってゆくのだと思います。それに連れて、支点近くに据え付けられた帯鋸がゆっくりと下がってゆきます。下がりきると水はこぼれます。すると今度は左側の重しが勝って、一気に左が下がります。このとき、帯鋸が上に動きます。てこの原理で、重しの動きより動き幅が小さくなる分、大きな力を発揮して木を切ることができるのでしょう。・・・鋸の歯が上の方までつけてありますが・・・上では切ることができないはずですが???
 重しの下には、床を衝撃で床を痛めないように板が二重に敷いてあります。
2)小屋の左には斧で薪割りをしている人がいます。
  この場面・・・どこかの絵で見たような気もするのですが??
5)荷車と白い牛が二頭います。
 この雰囲気と、構図からして何か元になる絵があるように思いますが・・・不明です???
8)三人がかりで大きなハンマーを使って加工しています。小さく描かれていますが、力強い構図です。実は元になる絵があります。
スペインを代表する画家ゴヤの作品「鍛冶場(The Forge)」が、元の絵です。
11)樽作りの工房があります。多分ワイン用の樽だと思います。
  樽に使う板は直線ではなくカーブしていなければなりません。そのための専用工具らしきものを使って加工しています。
15)お母さんアヒルの後ろを五匹の雛がついて行きます。カモの仲間はこうして、卵からでて最初に見たものの後を本能的について歩くようになっています。中の一っぴきだけ雛の色が違うようです。これは「みにくいアヒルの子」のお話からです。
21)牛が6頭のんびりしています。乳牛のようで、しっかり乳房が描き込まれています。
色からすると、ジャージー種だと思います。
29)小川に架かった一本橋に両方から山羊が来て譲り合わずにさあ大変。
これは、ラ・フォンテーヌの寓話の「二匹の山羊」というお話から描かれているそうです。



シーン7ヨハネによる洗礼(p13〜14)
0)旅人は・・・ヨハネによる洗礼を受けるキリストの場面にやってきました。

1)聖書物語 前ページより川が流れ来ています。そこでは洗礼者ヨハネによって洗礼を受けるキリストがいます。
 イエスは自らが宗教活動にいるにあたって、先輩の予言者であるヨハネの洗礼を受けます。聖書によれば、ヨハネはイエスの威厳に打たれて、一端は断りますが、イエスの希望で洗礼を施すことになります。この後、イエスは荒野の40日と呼ばれる修行をします。

2)2頭の馬と鋤を使って畑を耕す二人の男がいます。
  これはスイスの画家セガンティーニの「The Plow」(邦題は「耕作」でしょうか)の絵からです。

シーン4逃避行の7)のはこの馬と同じようです。
3)炭焼きをしています。まずは材料になる木をピラミット状に立てて積み上げています。
4)積み上げた木に土(?)をかけて空気を遮断しています。
5)完全に火が回って炭化した後、棒を使ってかき出しています。
煙突のようなものが見えません、これでうまくいくのでしょうか??
6)できた木炭を袋詰めにしている女性がいます。
 この一連の工程は、同時進行しているのではなくて、異なる時間のできごとを同一画面に表現していると思われます。
10)ページの上のところでは、十字架を掲げて埋葬しています。
 シーン6水道橋の「禁じられた遊び」は、墓作りの遊びでしたが、ここでは本当の埋葬です。たくさんの人が集い悲しんでいます。
これはクールベの「オルナンの埋葬」の絵からです。庶民の葬儀を等身大以上の大きさで描くという、当時としては非常識の内容です。

11)右の木の下では、スケッチをしている男の人がいます。安野さんでしょうか?
 いや、埋葬のシーンを描いているのですから、クールベさんかな。
12)ホルスタイン種の乳牛が6頭のんびりしています。シーン6の牛の配置と全く同じです。
右の2頭と牧場の柵は、何かの絵であったと思うのですが、元の絵が思い出せません。

14)牧場の納屋には荷車が格納してあります。これで干し草をはこんだりするのでしょう。納屋の外に、壺のようなものが見えます、何に使うのでしょうか?
この荷車は、セガンティーニの『Przy wodopoju』に描かれている荷車とそっくりです。
17)荷車から荷物を下ろして運ぶ男の人とそれを指示している女性がいます。この二人、シーン5では、同じ体勢で木を積んでいました。
18)箕を持って立ている人がいます。この人も、シーン5では同じ体勢で木を運んでいました。
 そして、この人、ミレーの絵の「箕をふるう人」です。
19)荷物が運び込まれている小屋は、水車小屋のようです。とすると、運ばれているものは、炭ではなくて小麦の可能性もあります。
21)小川の脇には桶があって、水が入っています。小川に降りられるように、階段が作ってあります。そこにいるアヒルは、みにくいアヒルの子が、一匹になって泳いでいるのかな。まだ白鳥にはなっていません。
22)水車小屋の向こうに、猫とニワトリとアヒル(みにくいアヒルの子)がいます。イジメに耐えかねて牧場を抜け出して、おばあさんの家のネコとメンドリと一緒にいるときのようです。ここでもあまり親切にはされません。
23)右下の家の所では若い二人がデート中です。シーン5でのラブレターで、うまく心が通じたようです。
25)家の中へ荷物を運び込んでいる女性がいます。シーン5で同じ格好で荷物を運んでいました。
26)p13の森の中にがいます隠し絵です
  どんな意味があるのでしょうか?


シーン8結婚式(p15〜16)
0)旅人は・・・すごい断崖に守られたお城(教会?)で結婚式を挙げているところにやってきました。
尼僧がいるなど教会風に描かれていますが、構造から見てお城と思われます。画面手前とお城の間には、深い谷が有って橋でつながれています。
このお城は一体何処にあるお城なんでしょうか・・・不明です。
1)左上 HOTEL の庭では、トランプをする二人とそれをパイプをくわえて見ている老人がいます。何かの絵が有るのではないかと思いますが、不明です。
2)HOTEL名は、頭のN・・(以下不明)ですが、崖の上に建っていて、地階部分も見えるなど独特なので、モデルがありそうです。
4)机に座ってパイプをくわえている人、この位置からトランプを見ているのか?
 この人も絵にありそうに思いますが。
5)引っ越しをしている人達がいます。荷物を持ち込んでいるこの家は、シーン5水道橋で、建築中だったものが、無事完成して、本日入居のようです。手伝いの人はたくさんいますが、入居者は何処へ?
6)2人の男が図面を持って話しています。この二人、シーン5の建築現場でも相談していました


7)引っ越しの荷物は2頭立ての馬車で運ばれてきました。
第1巻にも出てきたような・・・
12)畑の脇を二人の子どもが、お城の方にかけていきます。記念写真を見たいのかな。前を走っている子どもは、シーン5でオオカミ少年の走っている場面と、重なります。
15)門の前では新婚さんが記念撮影中です。確かな証拠は何もないのですが・・・シーン5)のラブレターから始まった恋のゴールと見たいです。そして、4)の新築の家もこの二人の新居という設定はどうでしょうか。
16)お城の手前には、お城を見るように銅像が立っています。あたかも新婚さんの二人の見物人の一人のように見えます。だまし絵ですね。
26)新婚旅行用の馬車(空き缶は着けてないようですが・・)が用意されています。
 そばの人は御者でしょうが・・・どちらの人?荷物を持っている方でしょうか。御者ではない人が、花婿のお父さんかも。
27)旅人の向うにウサギが寝ています。その向うにはカメが懸命にあるいています。イソップ寓話から「うさぎとかめ」ようですね。
28)旅人からウサギのところまでは簡単に行けそうに見えます。それは、勘違いです。間には深い谷があります。それだけではありません、ウサギのいるところは随分低いのです。
旅人と新婚さんは同じ高さのところにいるはずです。一方、ウサギと新婚さんの間にはかなり高低差があることが、建物を見ているとわかると思います。
安野さんは、橋の手前に塔の屋根や木の枝を持ってきて、馬車と橋の間を視覚的に遮っています。このことで、直感的にはつながっていないように感じさせているのだと思います。理性的にではなく直感だけで見ると、橋よりだいぶ下がったところにいるように見えます。そして、俯瞰の図であるだけに、向うが下がって距離があると、うまいぐあいに重なって見えるというわけです。巧妙なだまし絵です。
30)城内の庭に尼さんが3人います。新婚さんがいる位置よりかなり高いようです。城内の地形はどうなっているのでしょうか?

シーン9マグダラのマリア(p17〜18)
0)旅人は・・・小学校のあるところへやってきました。先程のお城とは隣接しているようです。ここでも、橋の手前と向側は深い谷で隔たっていて、向側はお城とつながっているようです。

1)聖書物語 左下 男の人の足下で女性が何かしています。男の人はイエス。女の人はマグダラのマリアです。とても高価な香油(マリアのそばにある壺がそうです)で、イエスの足を洗っているのです。彼女の精一杯の誠意なのです。
2)谷の向側を杖をついて、サオのような物を担いで急坂を上っている人がいます。何かの絵を元にしているように思いますが。不明です
6)真ん中下 洗濯物が干してあります・・・が。この高さにどうやって干しているのでしょうか?不思議です。あるいは、切れて見えないところにすぐに地面があるというのでしょうか。
14)牛の引く荷車が木を運んでいます。これはシーン5水道橋にいた荷車ではないでしょうか。木を束ねてないのが・・・少々違いますが。
17)壁のポスターには「ANNOM」と書いてあります。安野M(光雅)ということでしょう。
21)杖をついたおじいさんの手を引いている女の子がいます。第1巻にも同じような女の子がいました。スカートの色も一緒です・・・同一人物でしょうか。
23)階段を椅子替わりにして絵を描いている絵描きさんがいます。安野さんでしょうか。
28)スカートの女の子が一人背中を見せて立っています。何を見ているのでしょう。
35)学校の向う(時計台の左斜め下)に、背中を向けて立っている男の人がいます。よく考えると不思議な位置にいます。左の家の壁は2階部分ですから、この位置に居ようとすると、空中に浮いていることになります。だまし絵でしょうか。
42)女の子の後ろに、下へ降りる階段があります。建物の様子からして、オープンカフェのところまで続いているようです。かなりの高低差があることになります。
 とすると、テントの洋服屋さんのある広場もそれなりに高い位置に有ることになります。すると、ハトのとまっている門のところの右奥には、すぐに階段があって広場へ向かってかなり急な階段があることになります。すると、35)の男性も空中に浮いていないのかも知れません。もしそうだとしても、靴屋さんのある位置は屋根の高さから想像して、洋服屋さんの広場よりかなり高くないとつじつまが合いません。時計台の頭の部分に隠れて、階段があるようです。
 安野さん、見えないところに一杯階段を隠していることにしたようです。ただ、隠れた階段を計算に入れても、やはり高低差に無理があるように思います。考えれば考えるほど不思議な絵です。

シーン10トレビの泉(p19〜20)

0)旅人は・・・トレビの泉(Fontana di Trevi)のある街にやってきました。
 ローマに有る泉の中で最大です。バロック時代の泉。
5)本屋の壁には、本のポスターを貼っている人がいます。後ろの自転車もこの人のもののようです。
ポスターの内容は、安野さんのABCの本です
6)ポスターを貼っている人を、見ている人もいます。少し離れたところでも、横縞の服を着た人が見ています。
7)階段を上がると、泉があります。女の人が水をくんだり洗濯している女の人がいます。洗濯をするのは、一段下がったところでするようにしてあります。泉の上にはイルカと三叉の矛が飾ってあります。これは、ポセイドンの象徴でしょう。海の神であると同時に地下水の支配者でもあり、泉の守護神ともされる。
10)時計台の時計は12時を指し、階段を駆け下りてくる駆け下りてくる女性がいます。あまり急ぎすぎて、階段にガラスの靴を落としてしまいました。階段下には御者付きの豪華な馬車が待っています。・・・「シンデレラ」ですね。
 この階段は、ローマの「スペイン広場(Piazza di Spagna)」のトリニタ・デイ・モンティ階段(通称「スペイン階段」)であろうと思います。
 階段の上には、宮殿ではなく教会があります。絵本の時計台のデザインは、この教会の屋根からくるようです。 
 なぜ、ローマにスペイン広場と思っていましたが、近くにスペイン大使館があるからだそうです。
『ローマの休日』でオードリー・ヘップバーン扮する王女アンが、ジェラート(Gelatoアイスクリームのようなもの)を食べたシーンでもおなじみの場所です。

 馬車ですが、実際にスペイン広場の階段下には、観光用の馬車があるようです。

『ローマの休日』で、かなえられた願いが彫られている壁の前で、アン王女は「12時にはガラスの靴を履いてカボチャの馬車で急いで帰らなくちゃ」といいます。そしてその後、ジョーと一緒に馬車に乗り、船上パーティーに向かいます。船上パーティーではダンスもあります・・・。ということで、『ローマの休日』は、かなりシンデレラを意識したお話になっていたわけです。そのことを分かった上で、安野さんはシンデレラをここに持ってきたのだと思います。
11)階段の上には絵描きさんが、絵を展示して売っています。その絵の一つは、ガラスの靴ですね。
3)パラソルがあります。白地に赤の放射状のデザインは何を表すのでしょうか。安野さんのことです、何か意味があるのだと思うのですが。パラソルの下は、お店でしょうか、男の人が座っています。
『ローマの休日』では、アン王女が、こんな丸いパラソルの下のジェラート屋さんでジェラートを買います。
16)後ろの壁にある、赤い箱は・・・郵便ポストのようです。
17)荷物を持った女の子が、男の子と話しています
18)スパゲッティの大きな看板を掲げた家があります。
20)花を積んだ、手押し車を押しているおじさんがいます。
『ローマの休日』でスペイン広場のシーンの直前で、アン王女がジェラートを買った後、花屋のおじさんに呼び止められます。花束を買うように渡されますが、お金がないからと断ります。おじさんは、花束の中から一本だけ抜いて、彼女にプレゼントします。
25)の上のカップルが、泉にコインを投げ込もうとしています。でも、ちょっと(いや全く)無理ですね。位置関係が遠すぎます。安野さんお得意のだまし絵です。
27)後ろ向きにコインを投げ込んでいる女性がいます。あれ??一度に二個なげたのでしょうか。
 肩越しにコインを投げると願いが叶うとの言い伝えがあります。「1枚だと再びローマに来ることができ、2枚だと大切な人と永遠にいっしょにいることができ(結婚できる)、3枚だと・・・恋人や夫や妻と別れることができる」のだそうです。ということで、一緒に結婚したい人のようです。
映画「ローマの休日」にもこのトレビの泉が出てきました。ということは、この女性は王女アンということでしょうか。
第6巻のデンマーク編でクローズアップされるアンデルセンの、『即興詩人』(1902年)の書き出しにもトレビの泉が出てきます。安野さんもこの時点では、デンマーク編の予定は無かったと思いますが。
映画「ローマの休日」にもこのトレビの泉が出てきました。アン王女がショートカットにするのは、トレビの泉の近くの美容院でした。48)の床屋さんが、その美容院をイメージしているのかも。
32)手前の手すりは広場の境のように見えますが、よく見ると手前の建物の屋根をとります手すりのようです。それにしても、屋根になぜ手すりがいるのか?飾りでしょうか?
37)壺や小物を売っているお店があります。鞄を持った男の人に売り込んでいるようです。売り物の中には「ピースマーク」もあるようです。
38)神父さんが杖をついて路地を歩くシーン・・・何かの映画で見たような気がするのですが。思い出せません。絵だったかもしれません。
39)通りを横切るように洗濯物が干してあります。イタリアの町ではよく見られる風景のようですが、あの高さでどうやって干すのでしょうか。
 分かりました!!
 向かいの建物との間にロープが二重に張ってあって、滑車がついているのです。干しながらもう片方のロープを引くと、路地の反対側の家に向かって干し物が動いてゆくというわけです。取り込むときも、ロープを引けばOKということになります。
41)その下では、おじいさんが木で何かを作っています。
42)壁にハサミの絵を描いた家があります。何のしるしでしょうか?床屋ではなさそうですし・・・。
45)柱時計(この時計も12時を指しています)を看板にしている家は、時計屋さんでしょうか。窓に人影が見えます。時計の修理をしているのでしょうか。
47)壁に×印を付けて回っているアラビア風の女の人がいます。
「アラビアン・ナイト」から「アリババと40人の盗賊」です。
40人の盗賊から宝物を奪ったまではよかったのですが。盗賊たちはアリババの家に×印をつけていきます。これに気づいたのがアリババの女召使モルジアーナ。印の意味に気づいた彼女は、近所の家にも印をつけて、どこかわからなくしています。もう、6軒目につけています。
48)赤と白と青のポールがあります。床屋さんを表すサインポールです。
49)床屋さんの階段に座って、女の人が刺繍をしています。
 イタリアは刺繍が盛んなのでしょうか?

シーン11塔の街(p21〜22)

0)旅人は・・・「美しき塔の街」として知られている、サン・ジミニャーノにやってきました。
染め物の材料に使うサフランなどの商いで繁栄を極めました。町のシンボルになっている塔の多くは、最盛期には72棟を数えました。塔にあけられている穴は、塔から塔へ空中回廊をかけるときにものだとか。現在完全な形で残っているのは、14棟です。小さな村にこれだけの塔が密集しているのは、他に類がない町並みです。
1)左下 おじさんから逃げているピノキオがいます。シーン10の41)でおじいさんが作っていたのは、ピノキオだったようです。
3)左 坂の下から杖をついたおじいさんと頭の上に荷物を載せた女性が話しながら上ってきます。シーン3イエス誕生で、荷物を載せて歩いていた女性でしょうか。
4)ギリシャのパルテノンの神殿のような建物があります。
アッシジにあるミネルヴァ神殿il Tempio di Minerva(紀元前1世紀)のようです。左右は逆になっていますが、時計のある塔ポポロの塔la Torre del Popolo(1305年に完成)も隣にあります。
デザインとしては破風の中心の円形の模様についてはバチカンのサンピエトロ寺院 (Basilica di San Pietro)も加えてあるかも
ただいまの時刻は→13:15のようです。

7)井戸があります。これはサン・ジミニャーノにある、その名も、チステルナ(井戸)広場ある井戸です。この井戸は13世紀ごろからあるそうです。
10)行列を指さしている二人連れがいます
11)ポスター貼りの男の人が自転車を盗まれています。前のシーンで安野さんのABCの本のポスターを貼っていた人です。盗んだのはそばで見ていた横縞の服の人です。これは、イタリアの映画、「自転車泥棒」のシーンです
自転車泥棒
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=10055

12)ガラスの靴を掲げて、シンデレラを捜している行列があります。
13)早速、娘に靴を脱がせてチャレンジするように説得しているお母さんがいます。
15)行列を止めているお母さんがいます。シンデレラの継母?
16)箒を持って、ネッカチーフをして立っているのがシンデレラのようです。
17)その前の女性二人が、義理の姉たちのようです。
19)アイスクリーム屋さん?が、開店前の屋台を押しています。どこへゆくのでしょうか
20)ポストへ郵便を入れている子どもがいます。このポスト、トレビの泉の近くにあったものと同じです。
23)二つ並んだ塔があって、つながっています。「双子の塔」ではないかというのですが・・・?
24)塔の下を荷物を持った女性が歩いています。

25)塔に隠れるように犬がいます。とても胴長の犬のようです・・・だまし絵でしょう。あるいは、とても胴の長いダックスフンドかな。そうだとすると、世界一胴長のダックスフント「どうながのプレッツェル」からでしょうか?
http://www.fukuinkan.co.jp/bookdetail.jsp?goods_id=520
29)階段の下で、刺繍をしている女性が二人います。ここでも、刺繍が盛んなようです
31)右下 たくさんの壺に油を注いでいるのは、アリババの女召使モルジアーナです。
40人の盗賊も、これで一巻のおしまいです。
34)3人の男が話しています。一番右側の横縞の服を着ている人は、第1巻で脱獄していた人のようです。なんの相談でしょうか?
35)車いすを押している男性がいます。この人、前のシーンでは花を積んだ手押し車を押していました。
38)男の子と女の子が話しています。トレビの泉のところ17)で、話していた男の子と女の子のようです。
42)えらい胸を張って歩いている女性がいます。近くにいる6人もの男の人たちは、とても気にしています。

シーン12大聖堂(ドゥオーモ)(p23〜24)
0)旅人は・・・大聖堂(ドゥオーモ)のそびえる街にやってきました。

 絵の大聖堂は、フィレンツェにあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ(Santa Maria del Fiore=花の聖母)大聖堂です。
円蓋は展望台にもなっていて、そこから、ジョットの鐘楼を見るとこうなるようです。

2)絵描きさんが女の人の似顔絵を描いています。
3)立てかけられた絵をのぞき込んでいる男の人がいます。
 その絵は、大聖堂とジョットの鐘楼が、このページの構図のように俯瞰で、描かれているようです。
6)少し離れて、やはり柱の影に男女がいます。結婚式を挙げていた新婚さんではないかと・・・・・・。
7)客待ちの観光馬車と御者がいます。どうも、先ほどの二人を待っているようです。新婚旅行の馬車。?
8)男女のカップルを乗せた観光馬車も行きます。少し寒いのか、膝掛けをかけてもらっています。女性は、大聖堂(ジョットの鐘楼かも)を指さしています。
12)高い塔が立っています。フィレンツェにある「ジョットの鐘楼」です。実際に大聖堂と隣接して建てられています。
 この鐘楼はルネッサンスの先駆けを成した画家ジョットの設計によるものです。



13)ジョットの鐘楼の右に塔が描かれています。塔の上には、ポールが二本立っていて、片方には、ライオンの紋章があります。
ちなみに、フィレンツェの紋章もライオン・・・
実際にはこの位置に別の塔は無いと思っていましたが、上記の写真のように少し離れて(400mくらい?)はいますが、バルジェッロ国立美術館(Museo del Bargello)の塔のが有ります。
描かれている位置は、シーン10トレビの泉25)のと重なっています。
16)風で吹き上げられたスカートを押さえている女性がいます。
 映画「7年目の浮気」のマリリン・モンローです。

17)建物の壁に、狼の乳を飲む二人の子どもの像があります。ローマ建国の始祖ロムルスとレムスを育てた雌狼、「カピトリーノの雌狼」の彫像です。

21)傘を広げ、風船をつけてお店を開いている車があります。この車、前のシーンで傘を閉じて、押していた車と重なります。(お店の様子は少し違いますが・・・)
22)泉があります。泉の真ん中にすえられているのは、ペルセウスの像です。
フィレンッチェのヴェッキオ宮殿前のシニョーリア広場の開廊にある、ベンヴェヌート・チェッリーニ作の「メドゥーサの首 を持つペルセウスの像」からだと思われます。
25)丸い背もたれの椅子に大胆に足を組んで座っている女性がいます。これは、映画「エマニュエル夫人」のシルビア・クリステルです。
39)スタンド式の小さなお店があります。色々とポスターのようなものが張ってありますが、商品は何?宝くじ?あるいは、キオスクのようなものでしょうか。
42)ネクタイをした男性と、大聖堂の円蓋を双眼鏡で見ている女性がいます。
  女性のハンドバックを盗ろうとしてしている、泥棒がいます。観光地では、気をつけないとね。

44)現場監督は、神父さんと図面を広げて協議中です。



シーン13パレード(p25〜26)
0)旅人は・・・盛大なパレードが行われている街にやってきました。
 祭りは、通りに花の絨毯を作るインフィオラータ(infiorata)です。イタリア語で「花を敷き詰める」という意味です。

1)左上の建物は、フィレンツェ近郊の街、シエナのブッブリコ宮で、塔はマンジャの塔です。ただいまの時刻は、16時55分のようです。
この建物は右の写真のように扇状の形をした「カンポ広場」に面して建っています。
カンポ広場は世界一美しい広場といわれているそうです。
7)その隣の二人は何か話をしています。このあたり、服装が旅人と似た中世風の服装です。実際の祭りでもこのように中世風の服を着て見に来るという風習があるのでしょうか。
8)後ろの壁際の人は、タイやビルマの僧のような服装ですね。あるいは、ローマ時代の服装ということでしょうか。
12)その右の6人ほどは、書の中の人のような服装だと思うのですが。
13)列の後ろに赤いたすきをした人が立っています。警察官でしょうか。
15)花びらで描かれているのは、この部分はのようです。
16)パレードの前の前方付近は、レオナルドダビンチのモナリザです。
 モナリザといえば、ダビンチコードでは、マグダラのマリアを表しているという説がありました。そうなると、これも聖書物語関係ですか。
18)ここにも中世風の服装を着た人が、話しながらパレードを振り返ってみています。
19)ネッカチーフにロングスカートの女性たちの向には、帽子をとって、頭を下げて敬意を表している男性が二人いますが。とりわけ敬虔なのか、強い願い事があるのか、何か懺悔しているのか・・・ほとんどうなだれているようにも見えます。
20)赤い袖に白い服の男性(これも特別な衣装のようです)と、尼さんが並んで立っています。
23)パレードの先頭がやってきています。横断幕が掲げられています。何が書いてあるのでしょうか。横断幕を持つのは、天使の姿をした少女たちです。先頭の天使が持っている、丸いもの二つは、なんなんでしょうか。
26)中世風の衣装に杖をついて立っている男性が二人います。手前の男性は、随分高齢なのか、腰が曲がってしまっています。
27)顔を隠した女性と隣の男性は、アラブ系でしょうか。
30)インド風の服を着たおじいさんがいます。
31)なぜか今度は、カーボーイ風の男性が二人います。
35)赤と青の三角帽子をかぶった二人連れがいます。この二人、安野さんの「はじめてであうすうがくの絵本」シリーズに出てくる二人です。この二人は、1巻のパレードでも見学していましたから、パレード見学が好きなんですね。
36)女の子の隣に、セーラー服に水兵帽にパイプ・・・ポパイですね。
 ポパイと来れば、オリーブですが・・・見あたりません。隣のネッカチーフの女性が僧でしょうか・・・体型が違いすぎますか・・・。あるいは・・後ろの屋台の果物がオリーブとか。
37)ネクタイに帽子の男性の隣は、王冠をつけた王様です。1巻では裸の王様として行進していました。今度は、服を着て見物に回ったようです。
38)変わった帽子をかぶった二人連れは、また中世風の服装です。このパレードを見るときは、昔風や変わった服装をするのが、習わしなのでしょうか。
46)その後に4人の人が担いでいるのは聖母マリアの像ではないかと思うのですが・・どうでしょう??
47)パレードの手前には、風船屋さんがいます。一つ前のシーンの同じ位置に風船屋さんがいました。車の形や、店主の服装などは幾分違いますが。
51)アイスクリーム屋さんの向こうにいる、緑色の服を着た少年の隣には、インド風?の二人がいます
52)車いすの男性と、介助している女性がいます。安野さんは、障害者を積極的に街の中に描いています。
53)凱旋門があります。これは、ローマにあるローマ帝国の政治、商業と市民の生活の中心だった場所である、フォロ・ロマーノにある、コンスタンティヌスの凱旋門です。
コンスタンティヌス大帝は、キリスト教を公認した皇帝ですから、聖書物語をテーマにしたこの巻には、ふさわしいといえます。
54)凱旋門の脇を男の子3人と女の子1人の4人が縦に並んで走っています。
60)スモックを着た子どもたちがいます。尼さんが引率でついているようですから、教会経営の幼稚園の子たちでしょうか。教会の幼稚園としては、やはりこのような宗教的行事への参加ははずすことができないのでしょうね。
62)泣いている子は、迷子でしょうか。尼さんと女の子が優しく声をかけています。第1巻でもパレードを見に来て迷子になっている子どもがいました。このときは、警官が声をかけていましたが。
63)帽子をかぶった女性が、後ろ向きに立っています。
65)二人の足下の所に、男性がしゃがんでいるように見えますが、この男性、屋根の上から見下ろしているんですね。

66)パレードの中にほとんど裸で立っている女性4人がいます。特に、台の上に乗っているようにも見えませんが、この状態でどうやって進んでゆくのでしょう。ボッティチェリの「春」からです
70)パレードの向こう側の門の所の女性たちも古風な格好をしています。
76)二人ずれの女性は、アラブ風に顔を隠しています。
78)この門のあたりは、歴史的建造物のようです。
P.26画面下側の建物はフィレンツェにあるパラッツォ・ルチェライPalazzo Rucellaiです。
by forest-doorさん
80)赤ちゃんを抱いたお母さんと、あやしている女の人がいます。第1巻にもこんな人たちがいました。
83)つりスカートの女の子と半ズボンの男の子は、トレビの泉の所にいた子たちでしょうか?





シーン14蚤の市(P27〜28)
0)旅人は・・・蚤の市が行われている広場へやってきました。

 手前に見えているのは、フィレンチェにあるサン・ロレンツォ聖堂BASILICA SAN LORENZOがモデルだろうと思います。
1)p27右上 泉の中に、古代ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの像があります。
2)中央下 銅像をまねたコスプレをした人がいます。カップルが地図(メモ?)を持って話を聞いているようなので、この格好で観光ガイドをしているのかもしれませ。
6)小ぶりなイスを前にして、大きめの女性が話をしています。「このイスはいかがでしょうか?」「私には小さすぎるわよ、壊れないかしら・・・」なんてところでしょうか。
7)柔らかな曲線のタンスの左側では・・・棺を売っている人がいます。こんな市場で売れるのでしょうか。3人もの男女がのぞき込んでいるので、何か由緒ある棺なのでしょうか?「ドラキュラ伯爵ご愛用の」とかいっているんですかね。女の人はかなり興味があるようです。
8)二人の女性が指さしているのは「ミロのビーナス」のようですね
13)ルーレット台のようなものを囲んで、何か説明しています。中央の紳士は、指さしながら何か言っています。「いかさまするんじゃないぞ」とか・・・。お客の中には女性もいるようです。
15)ルーレット台?の後方には、警察官がいます。脇の男性が何か話しかけています。「あれって、賭け事じゃないですか。見逃すんですか」とか。でも、警官が全く動じる風がないので、賭け事ではないのかもしれません。
16)大きな鐘と木槌があります。
18)懐中電灯と思われる時計を、二人がかりで担いでいます。ガリバーの巨人国からのおみやげでしょうか。
19)巨大懐中時計を運ぶ人を指示している、人は銅像のスタイルをまねています
20)大きな柱時計はいいとして、近くの目覚まし時計やネジなど大きすぎます。やはり、巨人国からの商品でしょうか。
30)大きなマッチを持った少女は・・アンデルセン童話の「マッチ売りの少女」ですね。
http://www.hyuki.com/trans/match.html
31)アウグストゥスの銅像のまねをしている子どもと、それを見ている女の子がいます。
32)サンタクロースがいます。あつくないのかな。マッチ売りの少女も、大晦日の夜のことで、クリスマスのこともでてくるので、
35)右から2番目の人形は、ピノキオのようです。塔の街のシーンでおじいさんの所から逃げ出しましたが、売り物にされてしまったようです。
  第1巻では、サーカスのシーンでワゴンの陰に隠れていました。安野さんはピノキオがお気に入りのようです。
41)安野さんの「ABCの本」を開いているお客さんがいます。開いているページはUですね。Umbrellaで傘の絵が見えます。
43)隣の店でもお客さんが「ABCの本」を見ています。大人気です。こちらはAのページのようです。
48)地面にそのまま商品をおいています。店主も地面にそのまま座り込んでいます。商品は、鉄砲・タル・空気入れ・酒瓶・ランタン・フイゴ・フライパン・お玉に大鍋・棒?・ジャーレン(油切り)・不明?・ポット・スコップ・コーヒーミル・マグカップ・大きな水差し・ビン・まきストーブ・ハサミ・スプーン・写真・あと不明?・・なかなか多彩です。
49)路上で赤い服を売っています。サンタの服?とにかく目立つので周囲の人も随分気にしています。
52)靴屋さんの店主はエプロンをして、なぜか棚の上に座っています。ブーツに短靴色々取りそろえています。鞄屋さんの店番をしているようにも見える・・・だまし絵??
55)平均台・跳び箱(これって日本にしかないのでは?)黒板・黒板消し・踏み台・バットとボール・何かスティック?・鞍馬・滑り台・バーベル・○ものは?
56)つりスカートの女の子と半ズボンの男の子が、ここにもいます。大人たちより興味を持ってみています。
58)犬小屋と鳥かごを売っています、骨や餌用の椀もセットでそろえています。購入について協議している?犬たちがいます。
59)楽器も地面において販売です。アップライトピアノ・グランドピアノ・コントラバス・チェロ・バイオリン・タンバリン・・・楽器が立てかけられている黒い三角のものはいったい何?
60)楽器の前には、なぜか燭台・・インテリア用でしょうか、そして熱気球?!!
61)楽器に興味を持っている人は多いようです。鞄を持った男性、スカーフをした女性と帽子の男性、白いドレスがやたら目立つ、日傘を持った女性(何かモデルがあるの?)、エプロンをした女性とのカップル。青の服の女性と鞄を持った女性もいます。
64)ちゃんと正装して、闘牛の練習をしています。
65)にぎやかにフラメンコを踊る人たちのまわりには、見物人も集まってきています。
66)アラブ風の男性が二人歩いています。
70)ここにもつりスカートの女の子と半ズボンの男の子
71)ボーリングが・・ちゃんと穴のあいたボールにピン。でもピンは7本しかありません。
72)雪だるま???これは何?、輪投げ、その前にある楕円形のものはいったい何???
73)大きな王冠を売っています。王冠の向こうでは、いつの間にか巨大なチェスの駒になっています。
76)アラビアンナイトから抜け出たような人は、いったい何。
78)壺屋さんは、お店の人もアラビア風。
80)武具やさんもあります。中世風のヨロイ、クロスボウの脇にある・・リンゴに刺さった矢は、ウイリアム・テルの物語からですね。歌劇「ウィリアム・テル(ギョーム・テル)」を作曲したロッシーニは、イタリア人だそうです。ちなみに、ウイリアム・テルはクロスボウの名手です。
82)拷問道具にドクロまであります。
84)斧を持った人の隣にはギロチンまでありますが・・・本当にこれどうするつもりなんでしょう。
86)義足に杖の船長さんは、スティーブンソンの「宝島」から、海賊のシルヴァーですね。近くの少年はジム少年ということでしょうか。
86)宝箱らしき箱の前では、海賊から宝石を買おうと交渉している女性がいます。相手が海賊でもしっかり交渉しているようです。

87)帆に赤い十字架のついた帆船があります。どうやって持ってきたのか???
ともあれこれは、コロンブスの船(サンタ・マリア号)だと思います。この後、第4巻のアメリカ編と第5巻のスペイン編にでてきます。
89)このネックレス他の女性も興味津々です。何とか引き離そうとする連れの男性の努力もむなしく。この交渉に参加しそうです。
90)船具も売っています。小舟、コンパス(磁石)、ハンドル、ランプ、ロープ、浮き輪。ロープは売れそうですね。
91)絵描きさんがイーゼルに掛けた自画像を絵と同じ格好で眺めています。
92)似顔絵が並んでいます。いずれも映画スターのようです。
上段は、ハリウッドの映画スターですね。
左から、チャーリー・チャップリンジェームス・ディーンマリリン・モンロー
下段は、ヨーロッパの映画スターですね。
アラン・ドロンジャン・ギャバンソフィア・ローレンです。
アラン・ドロンの代表作「太陽がいっぱい」はナポリを舞台にした映画でした。
そして、アラン・ドロンとお隣のジャン・ギャバンの豪華に大スター競演の映画「暗黒街のふたり」 『地下室のメロディ』があります。ジャン・ギャバンの似顔絵はこのころのものですね。
ソフィア・ローレンといえば、ローマ生まれでイタリアを代表する大女優です。
ジェームス・ディーンとマリリン・モンローの後ろの絵は誰でしょう??
93)自転車のところに、縞模様の服を着た男がいます。この男・・・塔の街のシーンで自転車をとっていた「自転車泥棒」です。この市で売ってしまおうというのでしょうか。
94)三味線のような楽器を売ろうとしているひとがいます。この楽器なんでしょうか?ネックのところが曲がっているので三味線では無いようです。なにしろ、弦が5本もあるようですし。ピンクの服の女性もこの楽器に興味があるのかな。
99)ここの店も、色んなものがそろっています。木馬、サインポール、荷車、チェロ、ティンパニー、?、杖、ポスト!、乳母車、バレーボール、ラケット。
100)木馬を見ている女性は妊娠中のようです。生まれてくる赤ちゃん用でしょうか。
102)旅人の前を行く青い服の女性・・胸を張って歩いています。目立っているようで、周りの男たちの目を釘付けにしています。
103)犬をつれた白いドレスの女性がいます。61)のパラソルを持った女性と関係があるのでしょうか。
104)アラビア風の二人連れがいます。66)のアラブ風男性とはどういう関係でしょうか。
105)ローマ建国の始祖ロムルスとレムスを育てた雌狼、「カピトリーノの雌狼」の彫像を荷台に積んで押している人がいます。
106)後ろ姿の帽子をかぶった人は、男性?女性?  この人、パレードのシーンの53)で後ろ向きに立っていた人と重なるように思います。
107)兵隊姿の大きな人形があります。forest-door さんは、「くるみわり人形」を想像されました。なるほど。
108)おもしろいデザインの街灯が立っています。
109)さてこの一帯にある商品ですが、とにかくなんだかわからないものがたくさんあります。兵隊の人形の間には水差し、箱、?、ドラム、カップ、片手鍋、ガラス製らしき不思議な置物?、鏡、靴、何か棒状のもの?、ランプ、細長いグラス?、とがったふたのついた壺のようなもの?、つるしてあるのはシャンデリア??

110)十字架からおろされたイエスを抱えるマリアの像があります。これは、ケランジェロ作の「ピエタ」です。この像は、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂にあります。
111)ピエタを多くの人が見ています。アラブ風の人もいますし、指さしている人、随分胸を痛めている人、尼さんたちは手を合わせています。
115)柱の陰では、昼間っから酒を飲んで酔いつぶれている人がいます。


シーン15髪長姫(P29〜30)
0)旅人は・・・塔の上から垂らした髪の毛を梯子代わりにして上っている魔女のいる塔がある街にやってきました。これは、グリム童話の「髪長姫(ラプンツェル)」からです。
ラプンツェルがいる塔はフィレンツェのシニョーリア広場に堂々と建つゴシック建築ヴェッキオ宮殿の塔です。
ヴェッキオは、「古い」という意味です。なにしろ、14世紀に建てられてから700年間ものあいだ、政治の中心だったのです。現在も、市庁舎として使われています。

塔の先に猿のようなものが描かれています。左の写真のように、実際の塔の先にも見えます。猿でしょうか?塔の先の写真を見てみると、フィレンッチェのシンボルである、獅子(ライオン)のように思います。
この塔の位置には、大聖堂のシーンではジョットの塔が立っていました。塔つながりです。
2)観光馬車が2台止まっています。これは、大聖堂のシーンにいた、観光馬車のようです。御者も客もいないようですが、新婚さんたちは中に入っているのでしょうか。あるいは、右下の方にいる35)の緑のハンドバックを持っている二人が新婚参加もしれません。
5)馬車の止っている建物は、実際にはヴェッキオ宮殿の入り口のようですから、不思議な位置関係です。安野さんの描き出す世界は変化自在です。
入り口左には、ミケランジェロのダビデの像のレプリカ(本物はもっと大きくて、アカデミア美術館にある)がおかれています。「何も身に付けていない裸体は唯一の武器は徳であることを意味している」のだそうです。そんなダビデの像は自由の象徴で、フィレンツェがいかに自由な国であったかを示すため置かれたのだそうです。

入り口の右側の像はバッチオ・バンディネッリの「ヘラクレスとカークス」像(こちらは本物)だそうです。
9)旗を掲げて歩く人たちがいます。聖地巡礼の人たちではないかと思うのですが?どうでしょう。大聖堂を目指しているのでしょうか。
10)3人の人がからみついたような像があります。これもシニョーリア広場のランツィの回廊にある、ジャン・ボローニャの「サビーナの強奪」という作品です。
12)旅人の前で4人のひとが集まって何か相談しています。その手前にも、5人の人が集まって何か話しています。一体何が起こっているのでしょうか。ラプンツェルの救出について相談していたりして。

14)オープンカフェがあります。それにしても、屋根になっている黄色のテントが目立ちますが・・・どうやって保持されているのでしょう??
右の写真のように ヴェッキオ宮殿の入り口の前のには、本当にオープンカフェがあるようです。
15)右側のテーブルの3人は、巡礼(?)の一行を気にしてみています。
35)緑のハンドバックを持った女性と、ネクタイの男性が手をつないで歩いています。
41)塔の下の工房では、鐘が作られています。これは、蚤の市のシーンの鐘と重なっています。
2)鐘は、鋳造で作るので金属を溶かす必要があります。煉瓦造りの溶鉱炉と煙突がありますし、足下にはフイゴが置いてあります。蚤の市のシーンでも売られていましたし、第1巻では、なぜか引っ越しの荷物の中にもありました。安野さんは、フイゴが好きなんですかね。

43)壺を担いだ女性が見えます。
 でも、ちょっとおかしいです。屋根の下には門が見えていますから、通路の位置はもっと低いはずです。これでは、この女性は空中に浮いていることになります。だまし絵ですね
45)右上 川には、屋根付きの橋が架かっています。ベッキオ橋です。





シーン16ヴェニス(P31〜32)

0)旅人は・・・水の都ヴェネツィア(英語名 ヴェニス)にやってきました。
ヴェネツィアの土地は、湿地帯です。なぜそんなところに街を作ったのかというと、6世紀頃にフン族・ゲルマン民族がヴェネト地方に侵入してきます。元々の住民は、攻められにくい(守りやすい)湿地帯に避難してきたのです。それは、現在の「トルッチェロ島」付近から始まったようです。湿地帯に巨大な建造物を建設するために多くの工夫を積み重ねて、現在があるのです。

1)左上 開廊が並んでいます。これは、「サン・マルコ広場」にある「ドゥカーレ宮殿(Palazzo Ducale)」のようです。水路にかかる橋も見えています。
2) 天秤ばかりとナイフを持った男が、何かもめ事を起こしています。
 シェイクスピアの「ヴェニスの商人」の一場面です。
3)もめ事に気づいた子どもが、警察官を連れてきています。
4)鳩に餌をやっているのかたくさんの鳩が集まってきています。ヴェニスには鳩が多いようです。特に、このサン・マルコ広場には、餌をやる人が多いからでしょう、多く集まってくるようです。

5)首から箱を提げている人は、鳩の餌売りをしている人のようです。
6)三つのランプがついた街灯があります。この街灯は、サン・マルコ小広場にあります。
そして、蚤の市の同じ位置に108)に同じデザインの街灯がありました。
7)親子連れが、橋を渡っています。橋の下をゴンドラがくぐれるように高く作ってあります。実際の橋はもう少し大きいのですが、宮殿との位置関係からして、「detto della taglia(身代金の橋?)」ではないかと思います。なんともすごい名前です。
ただ、場所を考えずに橋の規模やデザインを考えると、この写真にあるような橋がモデルのようです。
8)右手の建物と建物をつなぐ橋があります。ドゥカーレ(総督)宮殿と牢獄をつなぐ橋です。宮殿から牢獄に連れて行かれる囚人たちはこの橋で「ため息」をついたといいます。というわけで、「ため息の橋」というそうです。唯一全て屋根で覆われている橋で、窓には、鉄格子がしてあるそうです。なかなか・・・シビアですね。


9)ため息の橋でつながっている建物は本来は牢獄のはずですが、これは1440年にできた、カ・ドーロ、Ca' d'Oro(黄金の屋敷)宮殿のようです。なぜ、黄金かというと、金箔が張られていたからといいます。

10)柱の上に有翼のライオンの像があります。翼のあるライオンはヴェネチア共和国の国章です。その昔、ヴェネチア共和国が、守護聖人を求めていたところ、マルコの福音書の著者であるマルコの遺骸がエジプトにあり、イスラム教徒に奪われるおそれありとの情報を知って、これを密かにヴェネチアに運びました。以後ヴェネチアの守護聖人はサン・マルコになったわけです。そして、マルコとマルコの福音書は、翼のあるライオンで表されるのです。
サン・マルコ広場の一角に、あります。
12)これも海産物でしょうか、箱をエプロンをした人が運んでいます.

13)大運河(カナル・グランデ)に、屋根付きの橋が架かっています。これは「リアルト橋」です。別名「白い巨象」とも呼ばれます。
この橋は歩行者専用で、橋の中に商店が並んでいます。
安野さんは橋についてる看板の代わりに、「ANNO1978」と書いています。1978年はこの第2巻を描いた年です。ANNOは、安野と西暦をかけています。
20)屋根の上で洗濯物を干している女性がいます。
 物干し場が、屋根の一番上にあるのはどうも不自然です。だまし絵?安野さんはどういう意図なんでしょうか。

22)屋上に鐘をたたいている像があります。これは、「ムーア人の時計塔(Torre del'Orologio)」です。
二人のムーア(モーロ)人の青銅増が、毎時この鐘をうちならすのだそうです。
そして、この塔の下には、絵のように有翼のライオンが聖書を持った像も有ります。聖書には、「平安汝にあれ、福音者マルコよ」と書かれているそうです。
の位置には、蚤の市で鐘と槌があり、髪長姫のシーンでは鐘を製造していました。
29)リアルト橋の所から、運河沿いに並んでいる3階建ての建物は、商館だろうと思います。館の名前は特定できていません。でもこんな風景から

30)屋根に埴輪のようなものがのっかている方は、名称が分かりました。
ダリオ館(Palazzo Dario)です。
ジョヴァンニ・ダーリオのために1487年に建設されましたが、代々の持ち主が不幸になってしまう曰わく付きのお屋敷のようです。
31)商館の前には船着場を意味する、床屋のサインポールのようなものが運河の中に立っています。ここにも、船が着くんですね。
35)建物の陰に神父さんが、半分体を隠して立っています。一体何から身を隠しているのでしょうか
38)カップルが通りかかっていて、船頭さんがゴンドラに乗るように進めています。この二人、一つ前の髪長姫のシーンでもこの位置で二人で歩いていました。教会で式を挙げていた二人?

40)緑のドームが美しい教会があります。「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会」です。
44)子どもが4人電車ごっこをしています。この4人、パレード見物の中で凱旋門の近くを一列になって走っていました

45)女性が運河に落ちそうです。それを見ている男の子がいます。
ここの絵は、最初に出版された版では描かれておらず、改訂版で書き加えておられます。
これはヴェネツィアを舞台にした映画『旅情(SUMMERTIME)』 の キャサリン・ヘプバーン (Katharine Hepburn )です。8mmカメラで気になる店を撮りながら後ずさりしていたら、運河に落ちてしまうのです。子どもはヴェニスの案内をしているマロン少年です。このシーンはサン・バルナバ広場(Campo San Barnaba)で撮影しているそうです。

46)手品師の技を見るために、古風な服装をした人たちの人だかりができています。これはヒエロニムス・ボス『手品師』(『The Magician』からです。


47)手品師を指さしている男の子の持っている、風車(かざぐるま)のようなものは、手品師の絵の中では潜り込んでいる子どもが持っていました。絵の中の子と同じ風車を持たせることで、絵の中の子どもと実は同一人物という考え方もできるかもしれません。隣の女の子に、泥棒について教えているようです。


同じような風車が、ブリブリューゲルの「子供の遊戯」「風車で槍合戦」という遊びにも使われています

50)写真を撮りますと呼びかけている写真屋さんがいます。見本の写真を展示しています。中の一枚は、教会のドームを写しているようです。

52)旅人の向側に描かれている建物は、スカルツィ教会(Chiesa degli Scalzi )です。
 ヴェネツィアの国鉄駅サンタ・ルチア駅を出てすぐ左にある教会で、ヴェネツィアに着いて最初に出会う豪華な教会ということになります。前には大運河(カナル・グランデ)と、運河に架かるスカルツィ橋があります。
 17世紀にB.ロンゲーナによって建設された教会です。写真のように2連の柱が特徴です。バロック様式の教会です。
53)教会の前が、オープンカフェになっています。赤いネッカチーフの女性は、赤ちゃんを抱いて仕事をしています。
この女性は、聖母マリアを連想させます。スカルツィ教会の入り口の上部にはイエスを抱いた聖母マリアの像があるのです。(詳しくは、教会の写真をクリックして拡大写真を見てください。)




シーン17造船所(P33〜34)


0)旅人は・・・ヴェニスの裏町にやってきました。
裏町には、最後に残されたゴンドラの造船所が描かれています。ヴェニスのサントロヴァーソ運河にあります。観光名所の一つになっていて、対岸から見ることができます。
1)左端 テントの市場で、エプロンをした魚屋さんが魚をさばいて売っています。
こんな感じで、ヴェニスの裏町に実際にあるようです。

10)路地の上では洗濯物が干されています。窓からは、女性が顔を出して何か手をさしのべています。何??反対側の窓にだれかいて話しているのでしょうか。
ひょっとして、前のシーンで57)で指さしていた男の人が指さしていたのはこの洗濯物???
11)エプロンをして、箱に入った荷物を運んでいる男の人がいます。この人前のシーンでは、12)リアルト橋のたもとで同じように荷物を運んでいました。
12)まりつきをしている2人の女の子がいます。そのうちの1人は、運河にまりを落としてしまったようです。
13)竿を持った男の人が、運河に落ちたまりを拾い挙げようとしています。
15)窓の上女性とが、ひもにつるした籠で果物を買っています。売っているのは、手押し車に商品を乗せています。こんな商売をしている人、ほんとにいるのでしょうか。
ブリブリューゲルの「子供の遊戯」の絵に「籠をぶらさげる」という遊びが出てきます。
18)子どもが2人コマ回しをしています。安野さんここまでにもなわとび・竹馬・かけっこ・サッカー・馬跳び・平均台あそび・電車ごっこ・まりつきなどたくさんの遊びを書き込んでおられます。イタリアの子どもが実際にこんな遊びをしているのでしょうか。
 『安野さんはブリューゲルの「子どもの遊戯」に対抗して、できるだけ多くの遊びの様子を紹介したかったのでは』と、いっておられる方がおられました。・・・なるほど、そうなのかもしれません。
 
18)コマ遊びをする子ども達をパイプをくゆらせながら見ているおじいさんがいます。こういう人の存在って大切ですよね。
ブリブリューゲルの「子供の遊戯」の絵には二種類の独楽遊びが出てきます。
「投げ独楽(左)」「鞭独楽(右)」です。安野さんの描いた独楽遊びはどちらでしょうか?鞭独楽のようにも見えるのですが・・
21)運河に架かった橋の上には、カップルがいます。女の人は指さしているようです。
ヴェネチアにはたくさんの橋が架かっていてその数は約400とか。こんな橋もあるようですね。


27)船のそばにはドラム缶があって、その脇で棒を持っている男性が赤い服を着た人と話しています。
 この人、ピーテル・ブリューゲルの『牛群の帰り (The Return of the Herd) 』の中に描かれた、牛追いの一人が描かれているように思います。
29)たくさんの木材が平積にされています。ゴンドラ造りに使う木材を乾燥しているようです。実際のゴンドラ造船所にも、木材置き場があるようです。([この写真の左下に積んであるようです
http://inoue-h.hp.infoseek.co.jp/extphoto/ita_photo/99a-011.jpg
31)電車ごっこをしている子ども達がいます。この子達、前のシーンでも同じ位置で電車ごっこをしていました。ただし、電車の向きが反対です。
34)塔の下でも、洗濯物を干しています。なんだか遺跡の雰囲気ですが、どこかにこんな場所があるのでしょうか?
34)建物の陰に、手を挙げている男がいます。どうもあいては強盗のようです。強盗をしているのは、塔の街のシーンp22で横縞の男に話しかけていた男達のようです。
35)強盗の行われている建物の陰では、強盗に気づいた人が棒を持って助けようとしています。女の人はどうなることかと、心配しています。うまく救出できるといいのですが。
36)網をなおしている漁師さんが4人います。
 一番左側の人はロープに座ってなおしています。左から2番目の黄色の服の人、3番目の人も見えませんがロープに座っているのでしょうか。一番右側の人は立ち上がって作業をしています。網を干しているようです。
 4番目の男の人は、横縞のシャツを着ています。塔の街のシーンp22にもでてきましたが、第1巻で脱獄していた人です。塔のシーンでは強盗の相談だったようです。悪巧みの相談には乗らなかったようです。神のお導きでしょうか。

ところで、この4人ですが・・・・。
この巻の全体を通してのストーリーとして聖書物語があるとすると・・・
この4人はイエスの最初の弟子・・・ガリラヤ湖畔の漁師、シモン・ペトロアンデレ兄弟とヤコブヨハネ兄弟の4人を、象徴しているように思います。
 キリスト教の中で、十字架以外にも象徴となるものがあります。
さかな」:魚は、洗礼との関連において神を信ずる人=キリスト教徒を意味します。
また、キリスト教あるいはキリストの象徴でもあります。これは、ギリシア語で魚を意味する「イクテュス ichthys」が、〈イエス・キリスト、神の子・救い主〉を意味するギリシア語の五つの頭文字の組合せと一致しているからだと言われています。
」:教会を意味します。・・・キリスト教徒をすくい上げるもの
 ということで、キリスト教徒をすくい取る網を繕う人たちという意味もくわわるでしょう。
そうなると漁師は、単に上記4人だけでなく、使徒全体をさしていることにもなるのでしょう。
また、一番右側の人が脱獄犯=「罪を犯した人」と考えると、過去に犯した罪よりも、今の信仰こそを大切に考えるイエスの教えからして、人を捕る漁師の中にはいるのもふさわしいことのように思います。


シーン18最後の晩餐(P35〜36)

0)旅人は・・・最後の晩餐が行われている場所へやってきました。糸杉でしょうか針葉樹のそばを悠然と行きます。

1)左下 農家の庭で鎌の手入れをしている人がいます。この人、一つ前に造船所のシーンで網を直していた漁師の1人です。左から2番目の黄色の服の人です。
 使徒の一人が、鎌の手入れをする。・・・収穫の鎌の象徴でしょうか。不毛のものを刈り取ってしまう鎌の象徴でしょうか?
 ブリューゲルの『干し草の収穫』の中に、鎌の手入れをする農夫が描かれています。この農夫を視点を変えて背後から描かれたのではないかと思います。
2)箕を使っている男性がいます。この人はやはり前のシーンで一番右で網を直している人と重なります。第1巻で脱獄していた人でもありますです。
さて、箕と言えば、「ルカによる福音書」に次のような一節があります。
洗礼者ヨハネがキリストについて次のように言うのです。
0316> そこでヨハネはみんなの者にむかって言われた、「わたしは水でおまえたちにバプテスマを授けるが、わたしよりも力のあるかたが、おいでになる。わたしには、そのくつひもを解く値うちもない。このかたは、聖霊と火とによっておまえたちにバプテスマをお授けになるであろう。
0317> また、箕を手に持って、打ち場の麦をふるい分け、麦は倉に納め、からは消えない火で焼き捨てるであろう」。

したがって、この人は、使徒の漁師の側面に加えて
神を信ずるもの(麦)と、神を信じないもの(から)を選別する行為の象徴にもなることになります。
別の見方をすると、最後の晩餐でイエスが語っていることと重ねれば・・・裏切りによって12使徒の栄光からはずされ、地獄の業火を呼び込む事になるユダが、ふるいにかけられた「から」ということでしょうか
7)左下 シーツが干してあります。ヴェネティアのシーンで、屋根の上に干されていたシーツと重なるようです。
8)左上 ここにも、シーツやステテコ?まさか!が干してあります。
 これは、前の造船所のシーンで屋根に干していた布団?や路地の洗濯物に重なるようです。
10)畑のあぜ道でまりつきをしている女の子が二人います。前のシーンでは運河の脇でまりつきをしていました。
11)籠に入った荷物を持ったおばさんが晩餐を見ています。
 このおばさん、水道橋のシーンや洗礼のシーンのデートをしている二人のそばにいたおばさんとかさなるのかな?

12)聖書物語 横一列に並んで食事をしています。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」です。この絵は、ミラノのサンタ・マリア・デレ・グラーツィエ教会の食堂に描かれました。見事な遠近法で食堂の奥に本当にあるように描かれていて、ある位置から見ると完全にとけ込む構図になっています。(見たわけではないのですが)一点透視法で描かれています。その消失点はイエスの額になっています。近年の修復作用の時、イエスの額に釘を売って線を引いた後がでてきたそうです。

13)子どもが晩餐を見ています。絵を鑑賞しているかのようにも見えます。
15)7頭の牛を追っている夫婦?連れがいます。杖をついている男性は疲れたのか頭をたれています。なにか元になる絵がありそうな雰囲気です。ミレー?
 ピーテル・ブリューゲルの『牛群の帰り (The Return of the Herd) 』で、牛の行列の後ろを付いて歩いている二人かも知れません。
16)野原の真ん中で草刈り鎌を持って立っている男性がいます。この人、前のシーンの27)で棒を持っていた男性と重なります。


シーン19最後の祈り(P37〜38)
0)旅人は・・・最後の晩餐を終えて、最後の祈りをしているイエスの所へやってきました。
3)煉瓦を焼いている工房があります。左の端では、煉瓦用の土をこねている人がいます。この人、棒を持っている姿が前のシーンで草刈り鎌を持って立っていた姿と重なるように思います。(位置が違うのですが・・・)
8)聖書物語 煉瓦工場の向こう側、左端で祈っている男性がいます。ゲッセマネの園で祈るイエス
です。
9)聖書物語 イエスの右に眠り込んでいる男達がいます。イエスに眠らずに待っているようにいわれたにもかかわらず、寝てしまった弟子達です。
10)おばさんがロバを連れています。このロバはイエスがエルサレムに入るときに使ったロバでしょう。
11)子ども達がローマ兵の格好をして遊んでいます。この子達はシーン4逃避行でも遊んでいました。これは、イエスを捕まえに来た兵ということです。
12)積まれた煉瓦の上に雄鳥がいます。これは、最後の晩餐の時に、イエスによって「あなたは今夜、鶏が鳴く前に3度私のことを知らないだろうと」予言されペテロが、この後イエスが捕まった後、様子を見に行っ家で、イエスとの関係を3度否定した直後に鳴く雄鳥のイメージではないでしょうか。
13)右下の建物はカフェのようです。左側の丸テーブルではトランプをしています。
セザンヌの「カード遊びをする男たちThe Card Players」です。
オルセー美術館の所蔵だそうです。
http://www.ibiblio.org/wm/paint/auth/cezanne/players/

14)右のテーブルでは、本を読んでいる女性がいます。ゴッホの「アルルの女」(ジヌー夫人)L’Arlesienne(Madame GINOUX)です。オルセー美術館にも同名の絵がありますが、本を持った絵はメトロポリタン美術館にあるようです。
16)二頭立ての荷馬車があります。
洗礼のシーンで炭を積み、結婚式のシーンで引っ越しの荷物を運んでいた荷馬車のようです。

20)クロスボウを担いだ男と子どもが歩いています。
ウィリアム・テルと子どもだと思います。蚤の市にもリンゴに刺さった矢がありました。
さて、ウィリアム・テルだとして、なぜここに描かれているのでしょうか。
クロスボウから十字架をイメージします。十字架を担いで歩く・・・となると、刑場であるゴルダゴの丘に向けてエルサレムの街を、茨冠をかぶらされ十字架を背負って歩かされたイエスを連想させようとしているのではないでしょうか。
21)丘の上からなにやら降りてくる人たちが見えます。ルノアールの「草むらの中の坂道」の絵からです。1875年頃の作品でオルセー美術館所蔵とのことです。
丘はイエスが処刑される、ゴルダゴの丘をイメージさせます。


シーン20十字架上のイエス(P39〜40)

0)旅人は・・・古代の3本の石柱が建つ海岸にやってきました。

 ローマに、古代ローマ時代の遺跡が集まる広場があります。フォロ・ロマーノ(伊:Foro Romano)と呼ばれます。ここにあるカストル・ポルックス神殿の柱の遺跡です。
1)左下 なんだかアジア風の人たちがいます。どうも稲刈りをしているように見えます。イタリアにも稲作はあるそうですが・・・。
2)旅人の手前に糸を紡ぐ女性がいます。こんな風に全くの手仕事で糸を紡ぐのは大変でしょうね。
右の絵は、ミレーの絵です。この絵と同じように糸を紡いでいます。
6)聖書物語 左上 十字架にかけられた男性がいます。ゴルダゴの丘で十字架の刑に処せられたイエスです。イエスの人としての生はここに終わります。しかし、キリスト教では、総ての人の罪を背負って神の子であるイエスが十字架にかけられることで贖罪されるという信仰です。十字架上の死は、キリスト教の始まりでもあります。
7)浜に揚げられた船の脇には赤ちゃんを抱いたお母さんがいます。水揚げをしている船の方を見ています。
 幼子を抱く女性と来れば、聖母マリアをイメージします。そういえばヴェニスの教会の前にも赤ちゃんを抱いたお母さんがいました。
 聖母マリアだとすると、ゴルダゴの丘に駆けつけた聖母マリアをも表しているのではないでしょうか。さらに、赤ちゃんがイエスだと考えれば、ピエタという見方もできるかも知れません。
8)隣の杖を持った男性は、隣のお母さんと水揚げを見ているようです。
 聖書物語で考えると、アリマタヤ出身のヨセフではないでしょうか。アリマタヤヨセフは、弟子すらも逃げ出した状況で、死刑になったイエスの遺体をひきとって、墓を用意し、亜麻布に巻いて、香料と共に葬ったのです。
9)彼らの後ろの家には、不似合いなアーチがあり中は暗いようです。
 これは、イエスを葬った墓(この時代は洞窟)を表しているのでは無いでしょうか。
13)浜では、漁師が網の修理をしています。
 「網」はこの場面では、より強く教会を象徴するのではないかと思います。この網は、どんなにたくさんの魚(信者)を取り込んでも・・破けることが無いのです。網を繕う人は、十二使徒そして、後に続く教会を守る人たちをも象徴するのでしょう。
14)船が2隻繋留してあります。
 世界中へキリスト教を広めるために「人を捕る漁師」(=使徒)が乗るものです

このシーンが、聖書物語の最後のページのようです。十字架上の死で、終わるのではなく始まると考えると、このページに描かれたものにもっと大きなメッセージが込められているように思います。
2つのメッセージを読みとってみました。(妄想かも知れませんが・・・)
○1つはイエスの「復活」です。
 十字架の刑の後、イエスは復活を果します。

そして、新約聖書のヨハネによる福音書に以下のようにあります
2102> シモン・ペテロが、デドモと呼ばれているトマス、ガリラヤのカナのナタナエル、ゼベタイの子らや、ほかのふたりの弟子たちと一緒にいた時のことである。
2103> シモン・ペテロは彼らに「わたしは漁に行くのだ」と言うと、彼らは「わたしたちも一緒に行こう」と言った。彼らは出て行って船に乗った。しかし、その夜はなんの獲物もなかった。
2104> 夜が明けたころ、イエスが岸に立っておられた。しかし弟子たちはそれがイエスだとは知らなかった。
2105> イエスは彼らに言われた、「子たちよ、何か食べるものがあるか」。彼らは「ありません」と答えた。
2106> すると、イエスは彼らに言われた、「船の右の方に網をおろして見なさい。そうすれば、何かとれるだろう」。彼らは網をおろすと、魚が多くとれたので、それを引き上げることができなかった。
2107> イエスを愛しておられた弟子が、ペテロに「あれは主だ」と言った。シモン・ペテロは主であると聞いて、裸になっていたため、上着をまとって海にとびこんだ。
2108> しかし、ほかの弟子たちは船に乗ったまま、魚のはいっている網を引きながら帰って行った。陸からあまり遠くない五十間ほどの所にいたからである。
2109> 彼らが陸に上って見ると、炭火がおこしてあって、その上に魚がのせてあり、またそこにパンがあった。
2110> イエスは彼らに言われた、「今とった魚を少し持ってきなさい」。
2111> シモン・ペテロが行って、網を陸へ引き上げると、百五十三びきの大きな魚でいっぱいになっていた。そんなに多かったが、網はさけないでいた。
    ・・・・・・以下略
聖書のこの部分ににインスピレーションを得て安野さんはこのページを描かれたのではないでしょうか。

○2つ目はキリスト教の世界宗教化です。
 キリスト教で「魚」は神を信じる人々(キリスト教徒)を意味します。
 指導者イエスの死を乗り越えて、より大きな世界に広がってゆくキリスト教を象徴していると思います。ユダヤ民族のみという限られた漁から、民族と地域を超えて大きな海で多くの魚を捕ることになるのですから。そしてそれはまず、ローマ帝国です。
 安野さんが、この海岸のシーンに海に接しないローマの遺跡をあえて置いたのは、ローマ帝国への宣教を象徴しようとの意図だろうと思います。


シーン21旅立ち(P41〜42)
0)旅人は・・・馬を残して海にこぎ出してゆきます。
  旅人の目指す先は第3巻のイギリスです。
1)馬は石造りの灯台の所に残されました。この草原の海岸はイタリアのどこにあるのでしょう。背景のシルエットも含めて、何か特定できる所があると思うのですが。不明です。


「裏扉」
この巻でも、表扉の鏡絵が描かれています。

ダビンチ村の景色を 見ながらイタリアの旅を振り返ってみます。
この巻のテーマは「聖書物語」であるといえますが、マリアの物語の要素を強く持っているように思います。
安野さんはこの巻の表紙に、世界遺産の宝庫のようなイタリアで、世界遺産に指定されているわけでもなく、それほど有名でもないボローニャBOLOGNAにあるChiesa di Santa Maria della Vita(生命のサンタマリア教会)を持ってきました。

 この巻は、実にたくさんのサンタマリア教会が描かれています。
・表紙のボローニャに Santa Maria della Vita(生命のサンタマリア)教会
・フィレンッチェに Santa Maria del Fiore(花のサンタマリア)大聖堂。
・ヴェネチアに Santa Maria della Salute(健康のサンタマリア)教会
    Chiesa degli Scalzi(スカルツィ教会) も、La chiesa di S.Maria di Nazaret(ナザレのサンタマリア教会)というようなのです
そして、描かれてはいないもののダビンチの最後の晩餐のあるのは、
・ミラノの Santa Maria delle Grazie(ありがとうのサンタマリア)教会の修道院

そして、教会の名称としてはサンタマリアが使って無くても、教会の屋根や玄関に大きく聖母マリアがある教会が多く取り上げられています。これは、マリア信仰の広がりを意味するのかも知れませんが、安野さんがある程度意図的に選ばれた結果ではないかと思うのです。

そして、
サンタマリアは、聖母マリアを意味すると思っていましたが、マリアには多様なマリアが存在するわけです。聖書の中には多くのマリアが登場し、同じ名前であるだけに混同もよく起こって、専門家でも意見が分かれるようです。
Santa Maria della Vita(生命のサンタマリア)教会の礼拝堂に有る the Imploring Marys(哀願のマリア)という群像には、4人のマリアがでてきます。

イエスの活動を支えたのは12使徒(男性)だけでは無かったことは、カソリック教会もはっきりと認めている事実です。マグダラのマリアは聖人ですし、カソリック教会の公認では無いものの福音書もあります。マリアだけでなく、女性が果たした役割は決して小さくないわけで、安野さんはそのことをひっそりと示したかったのではないかと思うのです。