コンパクト解説「を遊ぼう」7(中国編)

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「旅の絵本」の7作目は中国編です。広大な中国ですが、河を下流から上流にさかのぼることでまとめてあります。安野さんが多大な影響を受けたという張擇端の「清明上河図」にインスピレーションを得ての作品でも有るようです。旅の絵本シリーズで初めて、左開きに製本されて旅人が右から左に進むのも、絹布に書かれた作品というのも中国編らしい趣を醸し出しています。


」7
「表紙・裏表紙」「前扉」場面1湖水場面2船曳
場面3 蓮池場面4船の修理工場場面5水郷の街(柯橋)場面6露天市場1
場面7露天市場2場面8虹橋(開封)場面9京劇場面10小学校
場面11桂林場面12烏鎮場面13春節場面14結婚式
場面15兵馬俑場面16水庫(ダム)場面17嘉峪関(万里の長城)場面18敦煌莫高窟
場面19黄土高原・闘牛場面20黄土高原・ヤオトン場面21黄土高原・植林「裏扉」


「表紙・裏表紙」

0)旅人は  江南の水郷地帯の街に来ています。安野さんがモデルにしたのは、杭州・蘇州・烏鎮(うちん)・ 柯橋(かきょう)等だと書かれています。車より水運が発達しているし、用水路をまたぐ橋の風情など、東洋のヴェネツィアといったところです。ただし、歴史的には、ヴェネツィアよりも江南の水郷地帯の街の方が遙かに古いのですが。

1)左上  船着き場があります。水路の発達したこの街で、観光用の遊覧船の発着場です。(※左の写真は、蘇州の虎丘の前に遊覧船の乗り場です。)
4)両手を広げているひとは、観光ガイドの人か、ツアーコンダクターなんでしょうね。
 色んなお客さんがいます。リュックを担いだ人や杖をついた人やカメラをもった人など、16人いるようです。
6)テーブルを出している女性は、チケットウリでしょうか?白くて丸いものが吊してありますが、これはなんでしょう?
7)表紙カバーで裏側に回り込んでいますが・・・船を修理している人たちがいます
8)赤い提灯を吊した、建物があります。モデルがあるのでしょうが、赤い提灯を吊した建物は、中国のあちこちで見たので、特定できません。(※写真は、蘇州の昆山のもの)
9)建て物の上に、一人あがっています。
 原画では、外階段があってそれを使ってあがることが出来るようになっています。
15)橋の右には、リヤカーを自転車で曳いて、果物(?)を売っている人がいます。女性が二人お客さんでしょう。
(※写真はリアカーではありませんが・・・蘇州の街です)
18)子どもが手を引っ張っている先には、色とりどりの風船を持っている人がいます。多分、風船売りということでしょう。安野さん、よく風船売りを登場させますね。ところで、今回の風船の中には、茶色で耳の着いたような風船が一個有ります。クマ型かな?
22)杖をついた女性が立っています。背後のお店には、何が並んでいるのでしょうか。駄菓子屋さん?
25)橋のたもとでは、テーブルに何か並べて売っています。テーブルの右にあるのは、蒸し器のようですから、 饅頭(まんとう)でしょうか?
26)大きな葉の木の下で、赤い実のような物を、広げて干している人がいます。赤い実のような物は、なんでしょう?
27)自転車に乗っている子と、それを押す(追いかける)子どもが二組います。自転車の練習中?
28)リンタク(輪タク)が2台停まっています。側に立っているのは、運転手さんでしょう。足下の黒い物は何でしょうか?

28)壁の赤い文字は何が書いてあるのでしょうか?
29)左下 本屋さんが店を出しているようです。今までなら、安野さんお「ABCの本」あたりが並べられていたのですが・・・今回は、書名までは分かりません。

30)長い煙突の工場が有ります。お酒の工場のようです。紹興酒工場として描かれているのかな?水郷にちなんで、烏鎮の地酒「三白酒」だということにしておきます。アルコール度数55度!の蒸留酒です。
 写真のような壺で作られています。
33)水路には、沢山の酒壺を載せた船があります。水郷では、水運を利用して、このような工場がたくさん出来たようです。
34)右下 窓から女の人がのぞいて籠で何か干しています。魚のようですが、手前の緑色の物は何でしょう
35)裏表紙に回って左下 軒下に自転車が4台くらい見えます。桶のような物があって、空気入れらしき物が立っています (パンク修理用だと思います)。オーバーオール(?)を着た人は、自転車屋さんということでしょうか
36)旅の絵本ではお馴染みの、引っ越し風景です。今回は、水郷らしく馬車ではなく船で引っ越しの荷物を運んでいます。
 荷物の内容は・・・椅子、テーブル、タンス(本棚?)、後はよく分かりません。一個だけの車輪は?一輪車でしょうか?それとも車椅子でしょうか?
38)運河をまたぐ石橋を6人くらいの人が渡っています。階段分部の中心はスロープになっているようです。自転車や一輪車を通すためでしょうか
41)橋の向こう側の下に、自転車が止めてあります。後部座席に大きな籠が着けてあります。荷物の運搬用でしょうか?それとも、子どもを乗せるためかな?

43)旅人の背後には、物売りの女性がいます。これも、屋台のマントウ売りでしょうか。
(※写真は蘇州の屋台です)
44)お店の背後の運河には、旅人の乗ってきた船が係留してあります。今回の旅は、河をさかのぼって行く旅なので、乗り捨てません。
45)運河の右側では、箱状の手押し車で白い物を運んでいる人がいます。荷物は何でしょう?

47)旅との船の運河をはさんで反対側 女性が二人すれ違っています。運河沿いに歩けるようになっているようです。
(※右の写真は安昌鎮)
50)天秤棒で箒を運んでいる人がいます。箒売りでしょうか?お掃除の人でしょうか?
51)38)の橋の左側に、大きな籠(?)に緑色のものが盛られています。これは何でしょうか?橋の上の女性もこれを橋から見ているようですし、椅子に座って足を組んだ4人もこの緑の物を見ているようなのですが・・・?
52)右足ギブスで松葉杖をついた男性と、それに付き添っている赤い服の女性がいます。安野さんは、毎作のように松葉杖の人を登場させますね。
53)屋根の上に、ザルを置いて何かを干しています。やはり魚でしょうか。
54)屋根の下には壺のような物が置いてあって、杖をついたおじいさんがのぞきこんでいます。骨董屋さんでしょうか?
55)軒下で将棋(?)をしている人と、それを腕組みして観戦している人がいます。
56)看板があがっている店はなんと書いてあるのでしょう?右から2文字目は「食」のようですから、食堂でしょうか
60)屋根付きの門があります。
(※写真は杭州市の静河坊に有る門です)
62)門の所には、椅子に座った人がいます。門番?チケット売り?

64)舞台の部分には、バーコードが印刷してありますが、カバーをとってみると舞台が有ります。京劇の舞台です。旗を背負った役者がいます。将軍役ですから、激しい立ち回りが有っているようです。一人は、階段を下りながら演じています。演目は何でしょうか。孫悟空?
6)運河の向こう岸、洗濯物の脇で3人が何かしています。足下に何かあります。コマ回しかな?

67)運河で洗濯してい人がいます。(※写真は烏鎮での様子です。)
70)洗濯物の右側に車輪のような物が2つ有ります。その横で四角の箱を操作している男性と、それを見ている女性がいます。何をしているのでしょう?

4)戸外でビリヤードを楽しむ2人がいます。近くには、椅子もあって、ここに座って休みながら楽しんでいるんでしょうね。
76)橋の左側には、工事用の資材を積んだ船が横付けされていて、なにやら工事をしています。脇に積んである四角の物は、レンガでしょうか。
79)テーブルに「卦命」と書いて商売している人がいます。易者さんですね。 日本では、命卦とあらわすようです。命卦とは、人が生まれつき持っている性質のようなもので、生まれ年によって計算するようで、風水による占いの基本のようです。お客さんになりそうな人が2人います。

80)大きな葉の木がたくさんあります。何か黒い実が付いています。樹種はなんでしょう。桐?アオギリ?・・・・プラタナス(スズカケノキ)ではないでしょうか。(※写真は蘇州)
 夏の暑さを木陰でしのぎ、冬には落葉して陽ざしをふさがないという知恵なのでしょう、杭州や蘇州などには、プラタナスの街路樹が目立ちます。ちなみにプラタナスのことを鈴懸けの木といいます。実が、木に鈴を懸けたように見えるからです。

83)天秤棒で荷物を運んでいる人がいます。(※写真は柯橋での様子です)

清明上河図には、たくさんの人物や事物が描かれています。一体どれくらいだろうと数えてみました。700人弱かなと思いました。ただし、よく見ると赤ちゃんを抱いている図とかあって、もう少し多いのかと思います。資料をあたると、600人以上、700人以上、773人、などいろいろあります。中には、1643人という、たいそう大きな数字をあげている物もあります。いくらなんでも、私が、900人も数え落としたというのは、考えにくいので・・・台北の故宮博物館にある「清院本清明上河図」(清代作成)を数えたのではないかと思います。
 では、「旅の絵本」ではどうでしょう?数えてみることにしました。頭だけだったり、足だけだったりで数え逃したものもあると思います。各場面ごとに集計して累積してゆきますので、異なる数字になると思われた人は、どんどん連絡してください。

「前扉」

 この絵は北宗の時代、張擇端の「清明上河図」の一部です。本物は、北京の故宮博物館の中にあって、公開されていません。
安野さんは、これらの模本から、さらに模写されたようです。

0)旅人は 登場していません。
  模写なので、仕方ないですね。でも、どこか描き変えてある分部に、旅人が潜り込ませてあるのかも?
1)牛車が行きます。どんな人が乗っているのでしょう?
 ちなみに、安野さんは解説で、4頭立ての牛車と言われていますが、元の絵も安野さんの絵も、3頭立ての牛車のようです。
2)前(右側)の牛車との間に、竿を担いで走っている人がいます。
 元の絵では、バトンのような物をもって走っていました。安野さん少し描き直されたようです。
 ということで、この人が、実は旅人が演じていると考えることができるかも。
4)ロバに乗ったヤギヒゲの人の後には、ロバの仔と荷物を担いだ人がついて行っています。
  この老人が・・・・旅人?
5)橋の欄干から、5人の人が運河の中をのぞきこんでいます。何があるんでしょう。

6)反対側の欄干からも、10人ほどの人たちが運河の中をのぞきこんでいます。
 中国の研究者によると、ここは、もう少し多い人数になります。赤ちゃんを抱いている人が二人はいるからです。その二人とは、たすきがけに荷物を持っている子どもを連れている男性と、小さな子どもが腰のあたりを引っ張っている男性です。よく観察してください。確かに布に包まれた物を抱きかかえています。やはり赤ちゃんでしょう
 さらに、この部分の解釈なのですが。たすきがけの子どもと赤ちゃんを抱えた男性は父子の乞食だというのです。子どもを連れ、赤ちゃんを抱いて物乞いをするという作戦はそれなりにあるだろうとおもいます。そして、左の男性は、いやいやながらも施しをしているというのです。一方、もう一人の赤ちゃんを抱いた男性ですが、この人と腰の所を引っ張っている子どもがセットで、別の乞食。そしてこちらは、前の人に話しかけているのですが、気づかないふりをして隣の人と話し続けていて、相手にしてもらえない。人の世の冷たさを現しているのだとあります。このように、張擇端の『清明上河図』は、くさい物に蓋をするのでなく、開封の街で起こっていた事をリアルに表現してあるということになります。
7)ロバが曳いている荷車は、一輪車になっています。前と後ろに人が着いて支えながら運んでいます。ロバはかなり力んでいるようで、頭を下げて首を伸ばしてひいています。ところで、荷物を覆っている布には、文字が書いてあるようですが、これは何?
8)天秤棒を担いでゆく人がいます。石炭を担いでいるとの説があります。

場面1湖水
0)旅人は 海に近い湖に船で現れました。

 
清明上河図も、上のように郊外の水辺から始まります。田舎から街へそして又田舎へ・・・安野さんの旅の絵本は、中国編に限らず清明上河図の表現方法に大いに影響を受けていることが分かります。

1)鵜飼いをしている人たちがいます。
 中国にも鵜飼いがあるようです。鵜飼いに関しては、日本の方が歴史が古いという説と、中国から伝わったとする説があります。中国では、カワウを使って(日本ではウミウ)鵜飼いをしています。なにより、完全に家畜化された鵜を使っていて、鵜を綱につながないのです。魚を捕らえた鵜は自主的に鵜匠の所に戻ってくるのだそうです。そして、アユだけでなく色んな魚を捕るんだそうです。旅の絵本でも鵜は綱でつながれていません。
(※写真は中国の鵜飼いです)
4)釣り船の近くに小さな水鳥がいます。水に潜って魚を捕るカイツブリではないかと思います。

場面2船曳
0)旅人は 湖水を少し上流にあがってきたようです。上陸して、船を曳いています。
 
1)材木を積んだ船を4人の人が竿で操り、4人の人が陸上から曳いています。
安野さんによると、中国で写生をしていると、そこは船曳の人が使っている道で、どいてどいてと声をかけながらやって来た船曳の人に出会ったそうです。
 (※写真は、「清明上河図」からです。とても大きな船を曳いています)
2)シルエットで網がえがかれています。定置網だと思います。あるいは、養殖しているのか?

3)35匹のアヒルを散歩(?)させています。
 安野さんによるとアヒルは、ピータン用の卵をとるために飼っているのだそうです。


場面3 蓮池

0)旅人は 蓮の華の広がる所へ、やってきました。
 なんと、旅人は服を船に干して泳いでいます。旅人が泳ぐのも、服を脱いだのも、旅の絵本史上初のことです。
(※写真は杭州の西湖)
1)木に服を干して、泳いでいるこどもたちが4人います。
 浮き輪を使っている子どもは小さな子なんでしょう。とびこもうとしている子は、スクール水着みたいです、女の子なのかな。
 木の枝に衣を干して泳ぐといえば・・・羽衣伝説を連想するのですが。
2)蓮の左上の所の、小さな水路に柵がしてあります。これは何のため?
3)緑の草を刈っています。これは何でしょう?
 い草でしょうか(にしては長すぎるような気がします)?茅でしょうか?あるいは別の物?

4)河の向こうに四つ手網がセットされています。
 四ツ手網漁というのは、一辺が5〜6mの正方形の網の四隅を十文字に組んだ竹の腕木にとめて、引き綱で水中に釣り下げて、網の中央の垂れた部分に集まった魚をとる漁法です。日本では、シラウオ漁でよく使われているようです。
※写真は、日本でのもの

5)農家が見えます。庭では、穀類(なんでしょう?)を筵の上に干しています。
箕をつかって、筵の上に撒いている人、整えている人、ならしている人がいます。日本では、籾均し(もみならし)とか干浚え(ほしざらえ)と呼ばれる農具を使って、均一に乾くように干すとき筵に平均的に広げるています。
8)洗濯物が干してあります。旅の絵本では、洗濯物が出てくること多いと思いますが、中国編ではひときわ良く出てくるようです。

場面4ジャンク船の修理工場
                                    
0)旅人は ジャンク船の修理工場にやって来ました。
   船を降りて、繋留しています。旅人の船にも不具合が生じたのでしょうか。
1)馬車があって、荷物を載せています。
『清明上河図』にも、ジャンク船の近くに荷物を運ぶ一輪の馬車(青の四角)が描かれています。
 安野さんは、この場面を、馬で来て船に積み替える南船北馬の接点として描かれているようです。
2)馬を一頭引いている男性がいます。これまでの旅の絵本では、ここらで馬を手に入れて、馬の旅に切り換えるのですが、今回はまだまだ船の旅が続きます。旅人にとっては接点ではなかったようです。
3)倉庫があります。船や馬で運んできた荷物をしまっておくためです。
4)スケッチブックのような物を持った人が、話ながら歩いています。打ち合わせでしょう。
 『清明上河図』でも、左図の右上のところで打ち合わせをしている人がいます赤丸
5)手押し車で荷物を運んでいる人がいます。からの車を押している人も
6)倉庫の横で、荷物を積んでいます。『清明上河図』のも、担いで荷物を運ぶ人(黄色の楕円)が描かれています。
7)荷物を運んできた(運んでゆく?)ジャンク船が繋留されています。
 (※右の写真は、『清明上河図』を参考に作られた公園に復元されているジャンク船です。)
11)赤いスカートの女性が立っている店は・・・(壷に茶と書いてあるようなので)お茶屋さんのようです
13)旅人の左 左足にギブスをして松葉杖の男性と寄り添っている男性がいます。仕事中の事故でしょうか。労災などのシステムはあるのでしょうか。
 表紙にも、ギブスと松葉杖の人がいました。
14)犬を2引き連れた人と、男性が話しています。修理中の船のことか?けが人のことか?
15)修理中のジャンク船があります。『清明上河図』の上に描かれたジャンク船と重なるように思います。
  建造中の船かと思っていたら、作者の安野さんが修理中だというのですから、修理中なのだと思います。ただし、安野さんにも、故障箇所が分からないそうです。
16)中で火を焚いている三角帽子のようなものは、鍛冶仕事用です。右にたくさんの石炭(たぶんコークス)がつんであります。炉の前の四角なものは、箱鞴(ふいご)ではないかと思います。右はしで、引っ張っている人が、フイゴを操作して空気をおくりこんでいるのではないかと思います。
17)3人がかりでカナドコの上で、何かを鍛えています。船関係の何かだとは思いますが、詳細不明です。細い棒を持って、右手前に控えている人は、何をする人なのでしょう。
 鍛冶仕事といえば、イタリア編のシーン6で同じような姿が見られました。イタリア篇のときは、スペインを代表する画家ゴヤの作品「鍛冶場(The Forge)」を元にしたものでしたが、今回も少し似ているように思います。

18)屋根の向こうで鍛冶仕事を見物している二人・・・ちょんまげを結った、江戸時代の庶民に見えてしまうのですが。まさか、日本人という設定ではないですよね。

20)木を削っている人がいます。
日本の大工道具でゆえば、釿(ちょうな)が近いように思います。あるいは「よき」かもしれません。釿は、柱、梁などを荒削りし平らにするための日本独特な伝統的木工道具です。中国や西洋の物は、日本の物よりもっと大きな物が使われているようです。又、デザインもすこし異なります。日本の物は、曲がった木を柄に使っていますが、中国や西洋の物は、柄のカーブがほとんどないようです。旅の絵本の道具は、柄のカーブがないので、中国の物のようです。
21)赤色の水差しのようなものを下げた男の人があるいています。何につかうのでしょうか?

22)色々なものがおいてあります。船の備品といった所でしょうか。
 動滑車、ロープ、ランタン、錨、曲げわっぱ、手桶、衣装櫃といったところでしょう。あと二つあります。
曲げわっぱの手前にあるバネのような物は何でしょう?
先の曲がった長い物は何でしょう?
28)食事の世話をしている女性がいます。テーブルの上には、色んな種類の食べ物が載っていますが・・・何でしょう?
 ・てっぺんに赤い物が乗っかっているのは点心のだろうと思います・・・中華饅?
 

29)三輪の荷車で大量のビン類を運んでいる人がいます。これは、何?
  単に、沢山の飲み物ということでしょうか。
(※左の写真は、食器類を売っている人のようです。でも、この場面には余りそぐわない気もします)
31)右の角のところで、向こう向きで直している人・・・ズボンにツギがあたっています!
32)青い服の人が、何か指さしています。何か言っているようですが?
33)茶色の服で、両膝を曲げてしゃがんでいる人は、足下に何か細々した物がありますが・・・何をしているのでしょう?
34)赤シャツの人と白シャツの人と、向かい合って何をしているのでしょう?
35)赤い服の人の後ろにいる人は、肩越しに何かしています。なんでしょう?
36)帆布の端のところで、設計図のような物を持った3人が話しています。一人は、船の方を指さしていますから、技師さんと言うことでしょうか。
37)木製のウインチ(巻き上げ機)があります。
38)4頭の牛がいます。巻き上げ機に使われるのでしょう。
39)細い棒を持った男女がいます。牛をあつかう人ということでしょうか。
40)大きな壺のような物に、手を突っ込んでいる人がいます。何をしているのでしょう?牛のエサ?
41)木製の錨を、立てています。二人は、錨の状態を確認しているのでしょうか・
42)腕組みをして立っている人は、錨を見ているのか、壺の人を見ているのか、牛を見ているのか、単に考え事をしているのか?
43)ボートの船底を朱色に塗っている男性が3人います。
44)長い巻物状のものは、帆を丸めた物でしょうか。


場面5水郷の街(柯橋)

0)旅人は 紹興の近くに、1000年の伝統を誇る水郷・柯橋鎮(行政区画としては紹興市にふくまれます)にやって来ました。
 ここは、商業都市で繊維系の市場や問屋が多い街です。運河に沿って古い町並みが残っています。水郷において橋は重要な施設です。当然交通の要衝に建造されて、歩行者が利用するだけでなく運河の船も利用します。こうして、橋の袂には店が出来、宿屋や酒屋ができ、次第に橋の回りが町並みが出来ることになります。このようにしてできた街には、中心となった橋の名前で呼ばれるようになります。
 柯橋鎮の名前は、「柯橋」という橋に因んだものです。運河が十字に交差している地点に、明代再建の石造アーチ橋といわれている柯橋(新柯橋)と融光橋と永豊橋の3つの橋があります。
 左ページの上の方が新柯橋、中央下部が永豊橋のようです。
1)右上 運河沿いに植えられた木(柳?)につながれた馬がいます。

2)ビリヤードをしている男性(おじいさん?)が3人います。
 表紙にも出てきましたが、こんな風に野外でビリヤードをすることが本当にあるのだろうか?旅の絵本では、屋内の事でも野外に描かれる事が多いので、これもそうかとう思っていましたが、かつての日本も含めて屋外ビリヤードはあるようです。とりわけ、中国ではまだまだ盛んで、個人的なものだけでなく数十のビリヤード台の並ぶ屋外ビリヤード場もあります。ビリヤードの歴史をさかのぼると屋外のスポーツだったようです。しかし、屋外では、台のクロスが傷みます。そこで、いろいろな物でおおいをするようにしているようです。

3)魚をひらいて、干物にしています。(※左の写真は鯉の干もの)
4)子どもたちが、地面に丸い物を置いています。白いシャツの子は右手に持って投げつけようとしています。ビー玉のたぐいの遊びでしょうか?あるいは、けんかゴマでしょうか?大人が一人みています。
地面にある丸の感じや振り上げている子どもの体勢からすると、メンコではないかと思います。丸のメンコです。
中国にもメンコ遊びがあるようで、パジというのだそうです。
5)赤ちゃんをだっこしたお母さんの、脇で別の女性があやしています。
 このパターンは、第1巻(中欧編)でもありました。
8)自転車が1台止められています。荷台の緑の箱は何でしょう?
10)二階の軒下には、黄色のもの(トウモロコシ?)と赤い物(唐辛子?)がつるしてあります。

12)このあたり、2階部分が上に張り出していて、アーケード状になっています。日本でいえば、雪国の雁木通によく似ています。
ここでは、雪の心配はなさそうなので、雨よけと日よけのアーケードになります。そして、憩いの場ともなります。中国では廊棚というようです。
(※左の写真は、烏鎮のものですが・・・橋はともかく、左右の建物はこの雰囲気ではないかと思います。)

13)壁にたくさんの工具類が掛けてあります。
  ヤットコ、釘抜き?、・・・
14)イスに座っている人が店主だと思いますが、ここは工具売りの店?それとも修理店でしょうか。左奥には、ビンのような物も並んでいます。

15)運河をまたぐ橋があります。柯橋鎮の由来になった橋です。作り直されたのか、「新柯橋」と名付けられています。
20)橋の向こうの家の壁には、大きな魚が描かれています。旅の絵本第5巻(スペイン編)のシーン2の25)にも描かれていました。スペイン編では、キリスト教を暗示するために描かれたのではないかと想像しましたが・・・ここ中国では??
22)赤い服の人は、何をしているのでしょうか?
23)ビンをずらりと並べた店先に、イスを出して座っているのは店主でしょうか。売り物はなんでしょうか?お酒?
24)2階には、小魚を干している人がいます。つるしてあるのは、トウモロコシかな?
25)屋根の上に2羽の小鳥がいます・・・セキレイ??
26)鳥のいる屋根の向こう側の建物の描かれ方が不思議です。何かのだまし絵なのかも知れませんが、理解できずにいます。
27)店の入り口の両脇には、赤い紙に墨書されたものが掲げられています。
対聯(ついれん)です。対になった語句を、門柱などに書いたり、紙に書いた物を貼ったりするのです。左右の句が、掛け合いというか、響きあうようになっています。有名な句を引用したりするようです。春節(旧正月のお祝い)の時などに、赤い紙に書いて掲げられることが多いようです。春節の時のものを春聯というようです。
間口がとても小さいようです。ひょとして、奥はトイレかも知れません。

28)竈の上に蓋付きの大鍋がかけられています。火か燃えているようですが、いったい何を作っているのでしょうか?
32)このあたりも、廊棚になっています。母子が歩いています。
33)壁に飾ってあるのは何でしょう?屋根に看板がありますが、読みとれません「○花○○」で、花の字があるようですから、花屋さんでしょうか?あるいは造花かも?

35)左下 紹興酒の工場です。
 紹興酒は、餅米と麦麹を原料とする(醸造酒)を永く寝かせた老酒の一種です。紹興酒と呼ばれるためには、紹興で作られること、鑒湖(チェンフ)の清水を用いて醸造されること、一定レベル以上の認定された工場でつくられたものだけだそうです。できた酒は、甕に封じられて3年以上も貯蔵します。
38)紹興酒工場の煙突が高く伸びています。煙突の先が、新柯橋の袂にまで伸びています。上の新柯橋の写真にあるように橋の袂に電柱が立っています。安野さんは、電柱の代わりにココに煙突の先を持ってこられたのだろうと思います

40)手前の橋は、やはり新柯橋のこの場所にある永豊橋であろうと思います。橋に書かれている文字はよく見えませんが写真では「橋豊永」と書かれています。
ここには、もう一つ融光橋がありますが、そちらは描かれていません。
42)壁に梯子が吊されています。梯子の左に二つある四角な物は・・・窓でしょうか。面白いデザインです。
43)肩にロープをかけている男性がいます。多分、船を曳いているのだと思います。

47)トウモロコシが吊してあります。そして・・・白壁の所にココにも窓のような物があります。これまでの旅の絵本には、ひらがなで「あ」と書いて、安野光雅美術館のマークが描かれていました。今回は・・・・ココの窓の図案は、「安」の字に見えるのですがどうでしょうか?

48)屋根の上に棚が作ってあって、花を植えてある植木鉢がたくさん置いてあります。どうやって管理するのだろう?
49)運河のところで、編み物をしている女性がいます。これまで、旅の絵本の各編で編み物をしている女性が描かれていましたが、運河と編み物といえば、イタリア編のヴェネツィアにも描かれていました。
編み物をする人の後ろに壺が2つあります。紹興酒の甕のようです。一般家庭では、こんな所において置くのでしょうか。

51)軒の下に吊してあるのは鳥籠だろうと思います。中国にはこんな風に、鳥籠で鳥を飼って、散歩にまで連れて行く人が沢山いるそうです。
52)鳥籠の下にあるタライには、何か入っているようですが?
53)壁に自転車を吊しているのは、自転車屋さんでしょう。表紙にも描かれていましたが、中国といえば自転車や自転車やさんははずせないですね。椅子の右にあるのは、空気入れのようです。

55)さて、人々の取り巻く中にいる人は・・・猿回しでしょう。猿まわしはインドが発祥で、シルクロード・中国を経て日本へ伝わったと言われています。猿が立ち上がって何か棒のような物を持っています。 猿回しの人の足下には、四角な箱や棒があり、タンバリンのような物を持って盛り上げています。
※絵は、張擇端の「清明上河図」ではないのですが、台北の故宮博物館にある、「清院本清明上河図」からです。
(※左の写真は戦前の中国の物ですが、やはり四角い箱や棒を持っています。) 
 ところで、紐でつながれたもう一匹は・・・ブタでしょうか。猿と豚??こんな芸をさせる人が本当にいるのでしょうか?安野さんのお遊びかな。

場面6露天市場1

0)旅人は 建物を取り壊している所へやって来ました。
 中国の発展は急速です。古い町並みがどんどん取り壊されて、新しい建物が建てられてゆきます。近代化し、綺麗になるのでしょうが・・・なんだか勿体ないような気持ちもします。
1)右上 2階に沢山の洗濯物が干してあります。(ここまで、洗濯物登場は、表紙+3場面になります)
洗濯物の下の窓の横に、不思議な書き物が張ってあります。しんにょうが読み取れますが、何か人文字というのは無理があります。何か縁起物ではないかと思うのですが?不明です。
1)糖葫芦(タンフールー)売りが、メガホンを持って売っています。
糖葫芦と言うのは、竹串にサンザシの実を10個ほど刺して、周りをリンゴ飴のように煮溶かした砂糖でからめた菓子です。サンザシ飴といったらいいでしょうか。サンザシの酸味と固まったパリパリ感の飴の甘さがマッチして美味しいそうです。飴の溶けない冬の風物詩だそうです。 サンザシの他に多様な果物を砂糖にからめる物もあります。それらを総合して、中国では糖球と呼ばれるようです。
4)「卦命」と書いたテーブルで占い師がお客さんに説明してます。
背後に「善観気色」と書いています。「気色」は、心の状態が外面にあらわれたようすです。また、占いをする人は、血色とは別に、気色を見ることでその人の状態が分かる宗ですから、人相見と言うことでしょうか。
左の図は『清明上河図』からです。これは代書をしているという説もあるのですが・・・よく見ると中央に吊してある紙には、「看命」とあるように見えます。すると、これは占い師ではないかと思います。
7)何を作っている店ででしょう。小麦粉を練って伸ばしているので、麺のたぐいだと思うのですが・・・?右の方では、固まりを肩の所に掲げている人がいます。
 ひらひらしている、紙のような物は何でしょう?

8)隣の店は、3人のお客さんがのぞいています。こちらも食べ物屋のようですが・・・ぶら下がっている茶色の物は何でしょう?肉でしょうか?

9)運河では、野菜などの洗い物をしている人がいます。そんなに綺麗な水には思えないのですが、衛生的にどうなのでしょう?
11)箸を持って、タライのような物から何か売っている女性がいます。これも、食べ物だと思いますが・・・何でしょう??
12)縦縞の横幕を垂らした、門のような物があります。この向こうは、商店街のようになっているのでしょうか
13)11)の奥にも、何か売っている人がいて、それを見ながら歩いている人たちがいます。

14)自転車を駐めて、野外で散髪しています。移動散髪屋さんです。
  『清明上河図』にも、ひげそりをしている場面が描かれています。右図ですが、分かりますでしょうか。ほとんど野外で右の人が左の人のヒゲを当たっています。宋の時代の事です。
 日本にもかつては存在した露店の散髪屋さんです。中国だけでなく世界的にそんざいしているようですが、中国でも減ってきているようです。野外ですから、ただカットするだけです。シャンプー等は期待できないのですが、とても安価なようです。
 ハスチョロー監督による、『胡同の理髪師』という、北京の下町を舞台にした人情映画があります。北京市内の旧城壁内に点在する細い路地のことを、胡同(フートン)といいます。そこには古い町並みが残っています。映画は、そのような伝統的な古い家屋で一人暮らしをしている93歳の理髪師チン爺さんの物語です。彼の仕事は、昔なじみのお客さんたちの家を訪問して散髪することです。主演のチン・クイさんは、役者が本職ではなくて本当の理髪師さんだと言うことです。
 旅の絵本のこのシーンは、この映画を意識されているのだと思います。絵本の舞台は北京ではありませんが、古い町並みということですし、胡同もオリンピックを契機にその多くが取り壊されてしまったようですから。(一方で、胡同巡りが、北京観光の新しい目玉として注目されつつあるようです。)

15)書家が字を書いています。赤い紙に書いているのは、春節用の対聯のためのもののようです。
 左は『清明上河図』に描かれたもので、上で占い師として紹介しました。これを、文人の代書屋との分析もあります。宋の時代からこのような仕事があったのですね。
17)手押し車に、円筒状のものを載せて、販売しています。何を売っているのでしょう?点心のたぐいでしょうか。あるいは、アイスクリーム屋さんかも。
18)子どもを背負った女性が歩いています。前の場面で、子どもを抱いて猿回しを見ていた人かも知れません。服が同じようです。
19)自転車を押している人がいます。ここまで、自転車に乗っている人が一人もいません。何故でしょう??
21)プラタナスの木に、「中国凧」が吊されています。凧屋さんのようです。椅子に座っているのが店主のようです。凧を見上げているお客さんが2人。

23)椅子をたくさん並べているのは、椅子屋さんということなのでしょう。
 椅子に座っている人が店主でしょうが、なんだか座り方が映画のエマニュエル夫人のようです。エマニュエル夫人は、イタリア編のシーン12大聖堂の場面に出てきました。
26)大きな網籠を天秤状にしたものを脇に置いて座っている男性がいます。これは何をする人でしょう??
28)本を並べているのは、本屋さんでしょう、さて新本屋でしょうか、古本屋でしょうか。
31)赤ちゃんを抱いたお母さんに横からあやしている女性がいます。
 前の場面の右上05)にいた、組み合わせと同じです。ただし、左右が入れ替わっています

33)地面にシートをひいて並べている男性は、八百屋さんでしょうか。
34)低めのテーブルに寸胴のような物と、コーヒーカップのような物を並べているのは、何でしょう?野外喫茶店??
35)運河の船に馬が2頭乗っています。船頭さんは竿を差して移動しようとしていますが、こんな感じで竿を使うと上手く進めないように思うのですが。
 馬は、唐三彩などで表現される馬とよく似ているように思います。ひょっとして、これも大きな置物だったりして。
36)材木を積んだ船を3人がかりで漕いでいます。
 右の図は、『清明上河図』の部分です。安野さんこのシーンを参考にされたのではないかと思います。清明上河図では6人がかりで漕いでいますが、船が小さくなっている分、人数も減らしています。
 『清明上河図』に描かれた船をよく見ると、前にも後ろにもろが付いています。そして、両方漕いでいるように見えます。この手の船はいったいどのように操船するのでしょうか。

37)右下 太極拳をしている人たちがいます。中国のあちこちの公園・広場で太極拳を楽しんでいる人たちを見ます。



38)中国ゴマの空竹(コンジュー)で遊んでいるこどもたちがいます。公園では子どもや老人が中国ゴマを楽しむ姿を見ます。
41)ミシンで縫い物をしている人がいます。どうも、男性のようです。
 街頭での、こんなお仕事があるようです。
42)何か、小さなコマが着いた物を押している人がいますが、これは何でしょう。

43)足にギブスをはめたひとが、松葉杖を脇に置いて座っています。ここでも、付き添いの人がいます。表紙と船の修理工場の所に続いて3度目ですが、今回の人は・・・右足にギブスをしてます。

45)入口に赤い対聯が飾ってあります。その右の壁に四角を斜めに張っているのは「倒福(とうふく)」だろうと思います。
倒福(とうふく)とは春節の際に家々に貼られる「福」の字を書いた赤色の紙。一般に上下逆さまに貼ることから「倒」(逆さにする)「福」と称される。これは、「到着、来る」という意味をする「到」も、「逆様」という意味をする「倒」も、同じ発音をしているので、「福が来る」という意味を込めているのだそうです。
 ついでに、紅福と幸福も発音が近いのではないかなと思うのですが・・。中国語は四声があるので、違うかも知れませんが。
46)運河に架かる石橋を渡っている母子がいます。この橋の位置は、前の場面の永豊橋の位置と重なるように思います。
47)左の一角古い町並みを壊しています。今、中国の街では急速に古い町並みを壊して、新しいビルが建てられています。ここにも、新しいビルが建設される予定なのでしょうか。壊す家の瓦を降ろしています。

51)2階の部屋壁に、掛け時計が残っています。以前の住人が残していったのでしょうか。
54)壊している家の、もとの門でしょう、対聯が残っています。かつての住人の思いを感じます。
56)階段があります。・・・でも、この階段少し変です。一体どのように設置されて、使われていたのでしょうか?不思議です。
58)自転車の前輪の所に、植木鉢があります。何の花でしょう?
59)屋根の上に植木鉢が置いてあります。ほんと、どうやって世話しているのでしょう?
60)ここにも、洗濯物が干してあります。中国編ではこれまで以上に洗濯物が良く登場します。
61)洗濯物の下には、編み物(何でしょう?)をしている人がいます。
62)対聯を飾った門の前で、腰に手を当てて解体現場を見ている人がいます。彼の家もいずれ解体されるうんめいでしょうか。そうであれば、色んな意味で感慨無量の事と思います。
63)門の左側、壺があります。紹興酒の壺かな?あるいは、水瓶かな?

64)門の右側の鉢のような物から、ツルが巻き上がっています。朝顔かな?
67)夫婦が垣根のところで、解体現場を見ています。解体されている家の関係者でしょうか、もとの住人でしょうか、親戚でしょうか、友人でしょうか?

場面7露天市場2
0)旅人は 露天市場が続く町並みで、綱渡りをしているところにやって来ました。うだつの目立つ建物があります。日本のうだつとは、デザインが異なるようですが、中国でも類焼防止と建物のデザインのようです。(※写真は京杭大運河の途中にある西塘の街のものです。)
1)右上 対聯があります。左側の紅い物は、「倒福」でしょうか?門の反対側に甕があります。やはり、水瓶でしょうか?
2)太めのおじさんが売っているのは、綿菓子のようです。前に立つている子は、欲しいのかな。

3)テーブルで売っているのは、前の場面と同じ、糖葫芦(タンフールー)売りだと思います。サンザシ飴は、このような売り方もあるようです。
ちなみに、 糖葫芦の作り方というと・・・まず、サンザシを洗います。大きさは姫リンゴくらい。そして、水で溶いた砂糖を高温で溶かします。そこに串刺しにしたサンザシをその中に差し込んでからめます。冬の寒空に出すと砂糖が固まります。砂糖がくっかないように、台にさして立てておきます。乾いた後も、一本一本は離しておきます、くっついてしまわないようにです。
4)テーブルを囲む人たちがいて、給仕をする人たちがいます。皿に何がのっているのか不明ですが、点心を食べているのでしょう
5)蒸籠がありますから、マントウか何かでしょう。女の人が前にしている寸胴のような物は何でしょう?
7)天秤棒で運んでいる籠の中は、野菜でしょうか子どもが手を出していますが、どうしたのかな?

8)輪転がしをしている子ども達とそれを追いかける犬がいます。
  旅の絵本で、輪転がしは定番ですね。
9)長いすに座っている人たちは、休みながら近くの点心などを食べているのでしょうか。
10)テーブルの上に赤い物を載せて売っているのは何の店でしょうか?
 はっきりしませんが、栗売りではないかと思います。
11)壁に何か張り物がしてあります。何でしょう?
12)天秤棒の前後に何か吊して歩いていく人がいます。何でしょう?見当がつきません。

15)鳥をたくさん吊しているのは、鳥売りでしょうか。中国では、鳥籠に入れて鳥を飼う趣味の人が多いようです。椅子に座っているのが店主でしょうか?あるいは、公園に自分の飼っている鳥を持ち寄って見せ合う風習があるようですので、趣味人ということかな?
17)オウム?の所で、2人の男が議論?をしています。なんだか盛り上がっています。綱渡りの事でしょうか。あるいは、鳥が趣味の二人が、鳥の事で議論しているのかも。
18)布屋さんの前の男女2人が、この議論を興味深げに見ています。いや、やっぱり綱渡りを見ているのかな。
19)三輪の自転車の荷台を売り場にして、商売している点心屋さんがいます。丸い物は何でしょう。お客さんには、袋に入れて渡しています。

20)運河をまたいでロープを張って、綱渡りをしています。肩車して、綱渡りはなかなか大変でしょう。
ところで、野外それも町中での綱渡りなんて本当にあるのでしょうか?
 あります。実に古くから、中国だけでなく、朝鮮や日本にいわば大道芸としておこなわれていたようです。
 ただし、宋代の民衆の生活を見事に現した『清明上河図』の中には、描かれていません。しかし、徐揚という人の大作で、清代の蘇州の人々の様子を現し史料価値の高い『姑蘇繁華図』には、虹橋(開封の物とは別の橋ですが、途中の橋桁が無いので同じようによばれています)の横に町中で綱を張って演じている様子が描かれています。この作品以後、都市の様子を描く図には、決まり物のように描かれていることが多くなるようです。
22)缶を持って、投げ銭を要求して回っている人がいます。
25)舳先の先に立っている赤い服の人は何をしているのでしょう。
27)船に、提灯が飾ってあるのは、どういう意味でしょう。
28)船の屋根の上にある甕や籠のような物は、何につかうのでしょう。
29)洗濯物があります。又洗濯物です。

31)プラタナスの木の下では、練炭作りが行われています。石炭の粉を突き固めています。輸送や貯蔵に便利な穴あき練炭(通称「蜂巣練炭」)です。
 私が子どもの頃は、日本でも普通に練炭が使われていました。特に冬場には、店の奥で店番をしている人の足下には練炭火鉢があり、一日中ヤカンがかけてあるというのは、見慣れた風景でした。日本から練炭が消えたのは、中毒事故の多発と、なんといってもエネルギー革命の進展で、液体燃料の石油や気体燃料のLPガスの便利さが日本の生活に位置付いたことによるのでしょう。中国でも、近代化に伴い、練炭の利用は少なくなりつつあるようです。

33)テーブルの上には、ここにも洗濯物です。
35)椅子に座って編み物をしている、側にいるのはお孫さんかな
37)取り壊した家の壁の上を、ネコが歩いています。
40)取り壊した壁の所にいる人は、レンガを取り除いているのでしょうか?

41)ここにもミシン仕事をしている人がいます。壁にかかった服は、縫い上げたものでしょうか。ミシンはもちろん、電動ではなく昔ながらの足踏み式のもののようです。
 近頃の日本の子どもは、家庭科で習うのは電動式ミシンだから、足踏み式のミシンがあっても使えないのです。
43)もう一台、使われていないミシンがあります。赤い服の人が持ち主で、隣の人と仕事の話をしているのかもしれません。
44)地面に座り込んで、中央に白いものを積んで、何かやっています。一見、4人でしていて、1人が立って見ているのかと思いましたが、左端の人は近くを歩いているだけのようです。ということで、マージャンではなさそうです。何をしているのでしょうか、謎です・・・??
45)ここにも甕がおいてあります。やはり水瓶でしょう。脇においてあるのは、バケツ?かな。その上に、軒から下がっているものは何でしょう?

46)縁台に座って、将棋をしています。脇から子どもと大人が勝負を見守っています。こんな風に、縁台で将棋をするというのは、日本でも当たり前の風景でしたが、最近は縁台そのものをあまり見なくなってしまいました。日本人全体がある種の引きこもり現象になってしまったのかなあと感じます。
将棋は、日本の将棋とはいささかルールの異なる中国将棋(シャンチー)でしょう。

48)運河にかかった、橋を自転車を押した人と、ハンドバックを持った女性がわたっています。場面5・6・7と連続してほぼ同じ場所に橋が描かれています。そして、場面5では、観光客風の4人が右から左に渡っています。場面6では、親子連れが左から右にわたっています。最後この場面7では、右と左からやってきた人が橋の中央で出会っています。
ところ、観光船と運河の橋といえば、思い出すシーンがあります。
陳凱歌(チェン・カイコー)監督による中国映画『北京ヴァイオリン/原題:和?在一起[意味: あなたと一緒に])』があります。映画は、2002年サン・セバスティアン国際映画祭で、監督賞(陳凱歌〔チェン・カイコー〕)と 主演男優賞(劉佩奇〔リウ・ペイチー〕)を受賞しています。
長編のTVドラマにも作り直されていて、NHKの海外ドラマ枠で放映されました。
主人公の劉成(リウ)は田舎で、男手ひとつで義理の1人息子の小春(シャオチュン)を育てています。小春のすばらしい才能は、北京で大成させたいと北京にやってきます。無骨でも義理の息子に対する愛情のひたむきさと、小春の反骨と純粋さに、父子の深い絆にある時はあきれながら、強く引き寄せられる作品でした。田舎でのお父さんは、こんな観光船の船頭さんと料理人をしていました。田舎でのシーンで、観光船の船頭をしている姿と、それを石橋の上から見ている小春の姿が印象的でした。

49)小さな子どもを囲んで3人の大人がしゃがみ込んで、話しています。どうしたのでしょう。迷子かな?それとも家族?お父さんとお母さんとお祖母ちゃんで何か言い聞かせているのかな。
51)馬乗りをしているこどもたちがいます。子どもの頃には良くやりました。走っていって、馬に飛び乗ったら、ゆさゆさとゆすったりしたものです。安野さんは、事故防止のために、最近の学校では禁止されているところが多いのだと嘆いておられます。
53)うだつの上がった、白壁の建物群は蔵だと思います。何かモデルがあるのだと思いますが、不明です。

56)綱渡りのロープを縛ってある木について、手前の方の木は、家と家の間から枝を伸ばしなかなか大変な育ち方をしています。そして、樹形もなかなか面白い物になっています。特に、ロープが縛ってある上の方は、不思議な曲線を描いています。何か生き物のような感じもしますし、唐草模様のような感じでもあります。
安野さんのことなので、何か意味がありそうです。あるいは隠し絵か?

場面8虹橋(開封)

0)旅人は 建設中の虹橋のある開封にやって来ました。『清明上河図』のいわば、クライマックスと言っていいシーンです。もちろん安野さんは、そのままではなく、シチュエーションを変更しています。
 開封は随の時代に作られた大運河によって南からやってくる物資の大集積地として発展してゆきます。そして、宋(北宋)の時代になると、東京開封府と称して、ここを首都としています。大運河に運河でつながり、『清明上河図』に描かれるように、大きな船がやってくるようになるのです。
 この場面には、「入張擇端之堂」という篆刻印が押してあります。安野さんは、「押しかけて張擇端の「堂にいる」すなわち、弟子になりたいという思いを表したと描いておられます。弟子として、張擇端の世界を自分のものとして表しておられるわけです。
 
1)右上 船に車をつけて陸上を引いている人がいます。肩に担いでいるのは、竿でしょうか。

2)狛犬があります。開封にある大相国寺の狛犬ではないかと思います。

3)背後の店には看板が上げられています。横額はの見えるところは、「欣欣」とあります。その後に続く事を歓び楽しむということのようです。それとも、中国らしく横書きでも感じは、右から左に読むべきなのかな。ともあれ、店の感じから飲食関係のお店だと思うのですが・・・・。
提灯の奥に見える字は、「炭○」と見えます。何でしょうか?

4)お盆のような物を持って立っているのはお店の人でしょうか。
6)木の向こうに見える看板は「香居」と読めます。どういう意味でしょう。「右から左読むのでしょうから「居香・・・」だとすると・・・「住むこと芳しい」というような意味らしいのですが?何の店か見当がつく人いませんか?
7)隣の看板も右端しか見えません・・・「継軒」でしょうか、これも意味不明です。
8)次の看板は「古玩○画」とあります。○の所は「お」にみえるので・・・「於」でしょうか・・・意味不明です。ただ、「玩古」には「古(いにしえ)を玩(もてあそ)ぶ」ですから、骨董屋のたぐいだろうと思います。
10)複数の人を乗せることのできる自転車タクシーが止まっています。随分開放的なので、観光には良さそうです。前輪の所にある、箱のような物の意味が不明です。
12)白いテントの店は何でしょう。ビンのようなものが並んでいるので、飲み物関係でしょうか、あるいはビンや壺のような物を売っているのでしょうか。
14)隣の店は、三輪車の荷台をそのまま、売り台にしています。売り物はなんでしょう。赤いボードに吊してあるのは、アクセサリーのようにも見えます。荷台に並んでいるのも装身具のたぐいでしょうか?
15)白色の丸い傘の下の店は、何でしょう?ここにも、ビンのようなものが並んでいます。店主の足下にバケツのような物があるので、こちらはやはり飲み物屋さんでしょう。

16)牛の引いている荷車があります。『清明上河図』にも右図のような牛車が出てきます。なんだか似ているように思うのですが。
17)旅人が、1)の人と同じように船に車をつけて曳いています。
18)左上 この一角は一体何をしているのでしょうか?男女が行列をして、机の前で何かチェックしています。脇では、警察官かガードマンのような人が、威張って立っています。これは一体??虹橋工事の労働者としての募集で書か?
19)白い紙を持った人と話しているのは?何かもめごとでしょうか、頼み事でしょうか?
20)テントの下は、食事中でしょうか。工事の人たちは、現場に食事が用意してあるようですが?

24)『清明上河図』ではできあがっている虹橋が建設中です。自重でアーチを支えるような構造になっていて、釘を使わずに作られていているようです。開封には清明上河園『清明上河図』を参考に作られた公園があります。虹橋も左の写真のように復元されています。
26)橋の袂左 机の上に広げられているのは、橋の設計図のようです。
27)丸太を大きな鋸で切っています。この鋸は修理工場の場面では、持って歩いていました。これは、スペイン編のシーン4シーン4フォルス・バスクで行われていた、アイスコラリ(aizkolari)という競技とそっくりです。こちらは、競技ではなく仕事ですが、右側のチームとの競争のようにも見えます。※右の写真はスペインのものです。
28)修理工場でも使われていた釿(ちょうな)のような道具で、板を作っています。
29)ここでも、テーブルの上には、沢山の食べ物や飲み物が用意してあります。こんなに大量に用意して、ここにいる人数だけでは食べきれないのではと、余計な心配をしてしまいます。
30)工事現場を仕切る柵の所では、こどもたちが工事の様子を興味深そうに見ています。それとも、テーブルの上の食料が気になるのかな。

31)船を並べてその上に板を並べて橋にしています。船橋です。
 この虹橋が作られる前は、このように船橋があって運河を渡っていたのでしょうか。日本では、橋を架けられないような大きな河をわたるときに船橋を造っていたようです。将軍の日光参詣の折には利根川などに船橋を架けていました。将軍以外でも、必要に応じて船橋を架けていたようです。右の絵は、富山の神通川に架けられた船橋です。
32)船をつないでいる木は、『清明上河図』に描かれた木似ているように思います。
 木の種類は違うようなので、偶然に似ただけかも知れませんが。
35)岸の向こう側に、一人こちらを向いています、身体の隠れ具合からすると、かなり段差があるようです。どうしてこちら側は段差があるのでしょうか?
36)船橋を色々な人が渡っています。


37)虹橋の手前で、大騒ぎしながら向きを変えている船があります。上記のように、『清明上河図』にもこのシーンが描かれています。『清明上河図』では、船と橋はもっともっと接近していて、衝突寸前です。いったいどうしたというのでしょう。
 安野さんの解説によれば、この橋があることを知らずに河をのぼってきた船が、橋にぶつかりそうになって大騒ぎをしながらUターンし回避させようとしている情景であると解釈されているようです。旅の絵本では、虹橋の手前の船橋に追突しそうで、竿を指したりロープで引っ張ったりして時計回りに回転させようとしています。

 『清明上河図』の船も竿をさしている状況から判断して時計回りにまわしています。ところが、そのことは、Uターンさせるというよりは橋に対してまっすぐ向けさせようとしていることになります。橋の上からロープが船首の人に向かって投げられています。ロープでは引っ張ることしかできませんから、やはり船首を橋側に寄せようとしています。したがって、Uターンというよりは横向きになってしまった体勢を立て直してまっすぐしようとしているように見えます。そもそも帆柱を倒しているということは、虹橋の下をくぐりぬけようとしているのではないかと思います。水面から橋までの高さを考慮に入れると、橋の中央をくぐるとぶつからずにすむと考えられます。『清明上河図』全体を見ても、橋の右にも左にも大型の船が見えるので、帆柱をたためば橋の下をくぐれるように、虹橋は作ってあるのだろうと思います。
 もう一つの考え方があります。左の絵は模写なのですが、上の大きな絵は、解像度が低い物ののそのものの画像のようです。それには、船尾の舵が描かれています。そしてその舵は、左に曲がるように描かれています。すると・・・・帆を上げたまま橋に近づいてしまい、このままでは帆柱が橋にぶつかると左に舵を切った。ところが、横向きになったまま橋につっこみそうになったので、再度、体勢を立て直すべく大騒ぎをしているのではないでしょうか。

 この点、旅の絵本の方は手前に船橋がありますから、どうやっても無理です。小さな船の旅人でさえ陸の上を移動中ですから、Uターンするのは当然です。ただし、その場合、なぜこの緊急事態にわざわざ帆柱を倒そうとしているのかは謎です。

38)船首で、踊っているように見える人がいます。「大変だーぶつかるぞー」船の人にも声をかけ、船橋の人にも注意を促しているのでしょうか。清明上河図の方では、何人もの人が船首に立って声をかけています。一説には、橋をくぐっている別の船があるので、そちらに注意を喚起しているのだとも。
39)早く帆柱をしまいたいのか、帆柱の上に乗ったり綱をかけて引っ張ったりしている人がいます。『清明上河図』でも、綱を引っ張っている人がいます。ただし、帆柱に乗っかって押さえつけようとしている人はいないようです。
41)岸のところに腰に手を当てた男性が1人立っています。『清明上河図』では、手前に止められた船の屋根の上で事件を見ている男性が描かれています。その人とイメージを重ねて、描かれているのでしょうか。
42)男性が2人立って、1人が船の方を指差しています。冷静に状況を分析しているのでしょうか。『清明上河図』にも同じような人がいます。
43)お母さんと子どもが手を引っ張り合っています。船を引っ張っているのをまねているのでしょう。
44)世話をしている人は、馬に話してるようにも見えます。
45)手前の建物群は、『清明河図』の建物を90度向きを変えて描かれているようです。


場面9京劇

0)旅人は 京劇が上演されている街へやって来ました。

1)右上 「咸亨酒店」と看板を上げている店があります。魯迅の小説「孔乙己」に出てくる咸亨酒店です。
魯迅の小説に出てくる酒店ということで観光名所になっています。中国人にとって魯迅は特別な存在なのでしょう。実は、紹興には咸亨(かんきょう)酒店を名のる店が3店舗あるそうです。
 写真の店では、小説の中に出てくる孔乙己(コンイーチィ)の像が店の前に造ってあります。お金が充分に無いので、外で立って飲んでいます。とはいえ回りの短い着物しか着られない労働者と異なり、長い着物を着ています。(最も汚い着物ですが・・・)こだわりを捨てて酒を飲む孔乙己は、魯迅の身代わりとの説もあるようです。日本人にとっても関わり深い作家だけに、日本人の観光客もたくさんいっているようです。安野さんもこの店に行ったと解説に書いておられます。 
2)店の中で飲んでいる人が2人います。店内にも飲む場所があるようです。

3)店の前でたくさんの人が縁台に腰掛けてオープンカフェ風に飲んでいます。写真の店でも、パラソルの下で紹興酒を楽しんでいる人たちがいます。
 酒のつまみは何でしょう。小説の中で、孔乙己は、茴香豆をつまみに紹興酒を飲んでいます。このお客さんたちもそうかな。豆は、茴香(ウイキョウ)を入れて煮込んだソラ豆で、紹興の名物です。魯迅の小説では「 またたびたび左(さ)のようなことがあった。騒々しい笑声が起ると、子供等はどこからとなく集(あつま)って来て孔乙己を取囲む。その時茴香豆は彼の手から一つ一つ子供等に分配され、子供等はそれを食べてしまったあとでもなお囲みを解かず、小さな眼を皿の中に萃(あつ)めていると、彼は急に五指をひろげて皿を覆い、背を丸くして
「たくさん無いよ。 ・・・」とあります。
 店の右側には文字が掲げられていますが、読めません。てっきり、お品書きだと思ったのですが、咸亨酒店の内部には左の写真のような書が掲げられています。どうも、この書のイメージを書かれているようなのようです。
 書の意味は・・・右の額は、「小さな店だけれど、評判はとてもいい。」左の額は「(紹興酒の)老酒に酔う人多し」ぐらいでしょうか。そして、中央の書は、孔乙己というあだ名の元になった『上大人孔乙己』と始まる手習いの文句が書かれています。「孔子が〜したところ、…」といった意味のようです。
4)外のお客さん達に運んできたウェイトレスさんが、割烹着のような物を着ています。中国にも割烹着があるのでしょうか?

5)台秤で、紹興酒の甕の重さを量っています。何年もねかした甕の酒量は甕ごとに異なるでしょう。それでも、甕は規格化されているようなので、甕ごと重さを量れば中身の酒の量も分かるということでしょうか?
ちなみに、咸亨酒店では8年物の紹興酒が出されるそうです。なかなかの美酒だとか。
6)運河を利用し、船で輸送してきた紹興酒を降ろしています。柯橋の場面で紹興酒工場から積み出した酒でしょうか。
8)店の左側は、会計でしょうか。写真の咸亨酒店では、チケット制だということです。
 行った人によると、店の左側の部分は(下の孔乙己像の写真の奥を参照)幅広のカウンターでカギ型に囲われた土産物売り場だそうです。
9)酒店の外にかまどがあって、火がついています。上の鍋の中は何でしょうか?咸亨酒店には茴香豆の他に名物があります。紹興の名物といっても良いのですが、臭豆腐です。植物の汁と石灰等を混合し、納豆菌と酪酸菌によって発酵させた漬け汁に豆腐を一晩程度つけ込んだ物。とにかくくさいらしいのですが、良いものはなかなか美味しいようです。咸亨酒店では、写真のように油で揚げた物が提供されているようですから、旅の絵本のかまどでも臭豆腐を揚げているのでしょう。

10)かまどの上には、軒下から札が下がっています。何か書いてあります「餃子」と書いてあるようにも見えますが「飲子(インシ)」と書いてあるのだと思います。『清明上河図』にも「香飲子」の札が下がっている場面があるからです。以前にはやはり餃子と読まれていたようなのですが、研究の結果「飲子」と書いてあると結論づけられたのだそうです。
飲子というのは、煎じ薬のようです。唐代長安の記録によると、疲労回復の薬茶を飲子と呼んで街角で売っていたそうです。いわばドリンク剤のように親しまれていたのではないかとのことです。安野さんもそのことを承知して、ここに餃子とも飲子とも読める札を下げられたのだと思うのです。
 下の鍋もあるいは、臭豆腐ではなく、飲子かも。

11)自転車タクシーが2台あります。立っている2人が運転手さんでしょう。右側の人は腕を組んで、酒店の客を見ています。「俺だって飲みたいのに」と思っているのかそれとも、酒屋さんのお客さんが帰ろうとしたら、すかさず声をかけて自分のお客にしようと、手ぐすね引いて待っているのでしょうか?
 この運転手さん、孔乙己像と重ねてあるようにも思えます。そう考えると、腕組みしているのでなく、(台はないけど)お酒をちびちびやっている姿と言うことになります。
12)自転車タクシーの前に甕が2つあります。紹興酒の甕だと思いますが、何故こんな道の真ん中に置いてあるのでしょう?赤い服の人が運んでいる途中なのでしょうか?
13)こちらの街路樹の下にも、3輪の自転車があります。大きな荷台つきです。
14)横長の物は、ベンチでしょうか
15)円筒形のものは、ゴミ箱かな。
16)木陰では、ダンスをしている人たちがいます。中国の公園には実際に、音楽をかけてダンスをしている人たちがいます。
 個人的には、フォークダンスをしていたので、日本の公園で音楽をかけたり、口三味線で踊ったりしたことがあります。まあ、日本では珍しいことでしょう。

17)観光船にお客さんが2人乗り込んでいます。船員さんが案内しています。
 これで、お客さんが9人目です。鞄を持った女性も乗船すると10人、この船には動力がなさそうなので船頭さんも大変でしょう。
 船内には、テーブルがあって、飲み物がでています。飲食しながらのんびりと水上観光を楽しんでもらうという趣向のようです。
18)ハンドバックを持った女性(女の子?)のそばには、籠のような物を背負った男の子がっ立っていて、2人に話しかけている男性がいます。これは一体何をあらわしているのでしょう?
19)この場面の上辺・・・青く塗られています。水辺の表現としては青すぎます。他の場面ではこのような表現はありません。これは一体なにをあらわしているのでしょう?壁でしょうか?
20)走っている子どもが3人います。追いかけっこ?ランニング練習?

21)卓球をしているこどもたちがいます。ネットの代わりにブロックのような物を並べています。安野さんは、中国でこのように卓球を楽しんでいる子どもを見られたのでしょう。中には、台そのものが石でできている屋外卓球台もあるようです。(※左の写真はレンガのような物を並べています。)
 白熱したゲームのようで、見ている人たちもかなり力を入れて見ています。
22)木の下で長い棒を2本持っている男の子がいます。どうも、竹馬ではないかと思います。
23)運河にかかる橋は、下を船が通れるようにしています。このデザインは、鉄筋コンクリート作りだと思われます。ただ、右の写真のように石を使う方法もあるとは思いますが・・・。
24)橋を渡っている人たちが7人います。そのうち4人は、橋の中央に立って指さして話しています。どうも咸亨酒店の事を話しているようです。リュックを背負っているので、観光客なんでしょう。
25)手前の階段の中央にあるスロープを使って自転車を押してあがっている人がいます。やはりこのように使うためにスロープがつけてあるんですね。
 階段の下に自転車が2台駐めてあります。階段を押し上げるのができない人は、ここに駐めておいて人間だけが橋を渡ったのでしょう。
28)靴を並べているのは靴屋さんでしょうか。店主は靴を直しているようにも見えます。靴の販売というより修理屋さんということでしょうか。
29)民族楽器を並べているのは、楽器屋さんでしょう。お客さん達はそれぞれ楽器を手にとって試しています。楽器の種類について検討してみましょう。

 男の人が弓で弾いているのは擦弦楽器(さつげんがっき)です。最近日本でも人気の二胡(にこ/erhuアルフー)であろうと思います。
 演奏はかなり上手いのでしょう、2人の人が熱心に聴いています。1人などは座り込んでいます。
原型楽器は、唐代〜宋代にシルクロードを経由して西方より中国に伝来したとされています。「胡」は古代中国では異民族・外国を指します。西域からもたらされた二弦の楽器という意味合いでしょうか。琴筒はニシキヘビの皮で覆われている・・・のですが、ワシントン条約の関係で代用の皮を使った物もあるようです。京胡(ジンフー jinghu)かとも思いましたが、全長400cmの楽器で、こんなに大きくないようです。

30)ティンパニーのような物は太鼓の一種でしょうか?
大堂鼓」ではないかと思います。上の端が大きくて、底が小さく、形が植木鉢に似るので、「花盆鼓(かぼんこ)」とも呼ばれています。演奏するときには、木架にかけて、ばちでたたきます。
 右の動画で、京胡(きょうこ/jinghuジンフー)と共演しています。花盆鼓の左側にある小さな堂鼓が「小堂鼓」といわれる物だと思います。
31)上記の太鼓のような物に立てかけてあるのは、板胡(ばんこ/banghuバンフー)ではないかと思います。二胡に似ていますが、板胡の音箱は薄い板でできています。
32)細長い太鼓があります。「堂鼓」であろうと思います。
 「小堂鼓」かとも思いましたが、図からするとかなり大きいので「大鼓」だと思います。
(33)その隣に2つ立っているのは「笙(しょう/sheng)」でしょう。
 


34)左の隅に置いていある楽器が全く見当がつきません??
35)満月のような円形の共鳴胴を持つ楽器があります。「月琴(げっきん/yueqinユエチン)」でしょう。月琴は、撥弦楽器(はつげんがっき)です。
京劇や京胡よりも古い歴史を持つ楽器で、京劇以外の伝統音楽でも広く使われています。
 形の似た楽器に、中阮(ちゅうげん/zhongruanチョンルアン)という楽器があります。ひょとして、そちらかも知れません。
36)琵琶(びわ/Pi Paピーパー)があります。
37)丸い共鳴胴を持つ楽器を演奏している人がいます。「阮(げん/ruanルアン)」という楽器だと思います。阮は、小阮・中阮・大阮・低音阮と大きく4種類ありますが、大きさからして大阮もしくは、低音阮だと思います。(※写真は、大阮です)
なお、35)の楽器は小阮か中阮の可能性もあると思います。
38)阮の演奏もかなり上手なのでしょう。こちらも2人の人が熱心に聴いています。一人は、のぞきこむようにして聴いています。近くに立っている女性も阮の演奏を聴いているようです。
39)横笛を吹いている人がいます。笛子(ディーズ dizi)だと思います。
中国笛子は、指孔と歌口(吹口)との間には芦の薄皮を張った共鳴用の笛膜孔が一つあけてあります。世界の木管楽器の中で唯一「笛膜」を使うものです。このため、息を吹くと、この薄い膜がかすかにふるえて独特の音色がします。
40)不思議な楽器を抱えている人がいます。はっきりしませんが、「葫芦絲(フルス)」ではないかとおもいます。ひょうたんと竹を使って作られたユニークなたて笛で、多様な和音を奏でることができるそうです。銅製のリードがついているそうです。



42)戯台(舞台)があります。江南地方の鎮では、戯台が鎮の中心となっていて、時々劇が上演されるようです。屋根が思い切って反っていて建築デザインの特徴となっています。反り返りが大きいほど、評価が高くなるそうです。
(※左の写真は烏鎮の古戯台です、修真観の前にあります)
43)舞台では、孫悟空(西遊記)が演じられています。
 長い西遊記を全編と言うことは無理ですから・・・色々な場面がチョイスされるようです。舞台はどうも、暴れ回る孫悟空を懲らしめようと、天界から派遣された数多くの神兵が不老長寿を手に入れた悟空に返り討ちにあい、悟空が天宮で大暴れをするというアクロバティックな「大鬧天宮」が演目でしょう。
44)舞台の左側がオーケストラボックスになっています。私が見た京劇では、舞台の袖で演奏していましたが、ここでは低いところにボックスが作ってあって演奏しています。
 演奏している楽器は、前方左から

シンバルを持っています。鐃?(Nao Bo/にょうばち)ではないでしょうか。
 京劇で使われるシンバルには色々な大きさ種類があるようですから、別の物かも知れません。
46)弓を持って弾いているのは多分、「京胡(きょうこ/jinghu)」であろうと思います。 
京劇で最も重要な地位を占める楽器です。京劇で使われる「胡琴(huqin)」が語源です。バイオリンに似た高音がでます。
ただ、実際の京胡はもう少し小さいのですが。
47)丸い共鳴胴を持つ楽器を演奏している人がいます。阮(げん)だと思います。京劇では、小阮が使われることが無く、大阮は大人数の楽団の時に採用されるようですから「中阮(ちゅげん/チョンルアン zhongruan)」だと思います。ただ、京劇であることをイメージすると、阮(げん)よりも、月琴なのかも知れません。安野さんもそのつもりで描かれているのかも知れません。ただ、月琴とするとあまりにも長すぎるようにおもうのです。
48)後方左から シンバルの後ろの人が持っているのは・・・マラカス??
49)縦長に弦が張ってある楽器は何でしょう?古箏?竪琴?
50)弓を使っている楽器は、京胡でしょうか?「京二胡(きょういこ/ジンアルフー jingerhu)」ではないかと・・・。
京二胡は、京胡より少し大きく一オクターブ低い、バイオリンのような音色です。高音域に偏っている京劇の音楽を是正するために導入された楽器だそうです。ただし京胡ほどの音量は出ないのだそうです。


51)ベンチに座って京劇を見ている人たちが25人見えています。真ん中の筋の左端の人は、横座りをして横を向いています。隣の人は舞台を見ていますから、観劇中のおしゃべりでは無いようですが、この黒服の人だけ少し劇に飽きたのでしょうか?
53)右の建物の室内に人影が見えます。白い紙をならべているようですから、チケット売り場ということでしょうか?

55)門外の建物は書画販売店のようです。張擇端の『清明上河図』には、書画販売店は描かれていないようなので、宋代にはこのような店は無かったのでしょう。一方、『清院本清明上河図』には描かれていますから、清代にはあったようです。
56)露天の書画販売は、雨が降ったらどうするのかと思いますが、左のように『清院本清明上河図』にも露天の書画販売が描かれています。安野さんはこれを参考にされたのでしょう。
 それにしても、店主は横座りで、ゆったりしておられます。
57)室内も書が架けられています。筆や硯も販売しているようです。色んな人が通りから、店内をのぞいています。
58)店の向こうにいる2人は、運河の向こうを指さしています。咸亨酒店のあたりのにぎわいについて話しているのでしょうか、指さす方向からすれば、旅人のことを話しているように見えます。





場面10学校

0)旅人は 小学校のある所にやって来ました。
   どこかに実際にある学校がモデルだと思いますが、不明です。
1)校庭では、子ども達がサッカーをしています。先生が審判をしているようです。
  座り込んでいる子どもがいますが、どうしたのでしょう。ねんざでもしたのでしょうか?
4)窓に見える人影は、校長先生でしょうか。
5)校長先生の部屋からは煙突がでています。煙突は1本だけしかありません。ストーブ用の設置は、職員室にだけなのでしょうか。それとも、オンドルなど集中暖房なのでしょうか?
6)校舎の屋根には、風見鶏付の時計台が設けられています。ただいまちょうど4時のようです。
7)軒下にクモの巣が張っています。
8)クモの巣の下(自転車の右)に、箱が設置してあります。前面には網が張ってあるようですが、何の箱でしょう?

9)校舎への入口の上にが吊されています。これは、授業開始のや終了の合図として使われる物でしょう。
 日本の学校でチャイムを使うようになっても、以前に使っていた鐘が残っていたものですが、だんだん見られなくなって来ました。
10)校舎の壁にバスケットボールのリングが設置されています。反対側にはリングが設置されていないので、これは練習用でしょうか?あるいは、ストリートバスケットをしているのかも知れません。
 30年ほど前に中国に行った時には、街のあちこちにバスケットボールのリングを見ました。聞くと、中国で一番盛んなスポーツはバスケットボールだといっていました。バスケットと並んでサッカーも盛んだということでした。この小学校でもそのようです。
11)ニワトリを飼っている一角があります。デンマーク編では風見鶏にライバル心を燃やす雄鶏の話(アンデルセン童話)がありました。確か他の編でも風見鶏とニワトリが描かれている場面があったように思います。
学校でニワトリを飼っているのは、情操教育の一環でしょう。
12)ランドセル(?)を背負った子ども達がいっせいに下校しています。校舎の上の時計台は、4時を指しています。小学校にしては、随分遅い下校時間です。
16)お迎えの人たちを確認しましょう。
校門の外右側には、女性が5人?男性が5人?だと思います。(性別がはっきりしない人もいますが・・・)男性の1人は、自転車を押しています。(2人乗りで帰るのかな)女性の1人は幼児を抱いています。

17)門の前から左にかけて(橋の上を含む)には、男性8人?女性12人?が迎えに来ています。こちらも男性の1人は自転車を押しています。自転車の前の女性は杖のような紐のようなものを持っています。杖にしては短すぎると思うのですが、これはなにでしょう?子どもを抱いている人の右側にいる犬につながっているのかも知れません。
 幼児を抱いている女性が2人、また幼児の手を引いている女性も1人います。迎えの人同士で肩を組んでいるのは夫婦でお迎えでしょうか。大切な子どもだから、夫婦でお迎えもありでしょうが、4時といえば普通の仕事は勤務中のはず、二人そろってお休みでしょうか。
抱いている幼児や手を引かれている子どもは、下校している児童の弟や妹でしょうか?現在の中国では「一人っ子政策」が実施されているはずなので、少数民族以外には兄弟姉妹は公的に存在しないはずです。となると、よそのおばさんやおじさんが両親に代わって迎えに来ているのか、他人の子を連れて迎えに来ているのでしょう。

18)鉄棒のところの塀の外には、おじいさん?が椅子に座っています。そしてその横では、女の子が男の子に花束のようなものを渡しています。(男の子が女の子に渡した後かも知れません)それを見ている女性がいます。よくよく見ると、男の後ろにもお母さんらしき人が立っています(製本の関係で見えにくくなっています)とすると、双方のお母さんが付き添っていることになります。
全体として、どういうことなのでしょうか?なにか、特別な意味があるのだと思うのですが不明です。
何か事件があって、それを助けてくれた男の子に対する感謝でしょうか?、転校かなにかでお別れでしょうか?、保護者立ち会いのもとで恋の告白??
21)船頭さんの左に座っている女性の荷物は野菜でしょうか。

22)左下 できあがった練炭を乗せた大八車を引いている人がいます。場面7で綱渡りをしている右の方で作っていた練炭でしょうか。
 一個一個離して積んでいますが、実際に練炭を運ぶときは、左の写真のように詰めて重ねて運んでいます。
23)縁台で中国将棋(シャンチー)をしている人とそれを腕組みして見ている人がいます。こんな時、脇から勝負に口を出すと嫌われますが、他人の勝負はよく見えます。
24)将棋をしている人の背後は洗濯物でしょう。売り物かともおもいましたが、いくら何でも売り物の前でこんな風に将棋をしていたら怒られそうです。
25)隣は八百屋さんでしょうか、店主と思われる女性がどんと座っていて、色々な野菜が並んでいます。野菜の種類は不明です。
26)エプロンをした女性もお店の人だと思いますが、学校の下校風景を気にしているようです
27)自転車タクシーが一台止まっています。運転手はどこに?将棋をしながら客待ちをしているのか・・・。こんな田舎で、自転車タクシーを利用する人なんかいるのかな。
28)店の軒下に白い大きな物がぶら下がっています。何でしょう?右に何か文字が書いてあります「瓜○」あるいは「風○」と読めますが・・・下の文字が自転車タクシーに隠れていて読み切れません、この文字を読み取ることができれば、白い物の正体も分かるのだろうと思うのですが。
30)屋根がつぎあてのようになっています。そのうちの2つくらいは天窓なんだと思いますが、後は本当に応急修理ということでしょうか。

31)川辺で緑色の細長い物を刈り取って、小舟に乗せている人たちがいます。これは何でしょう。場面3にも同じような作業が描かれていましたが、こちらの方が短めです。これくらいの長さなら、い草の可能性が高いと思います。
 私の住んでいる広島県東部は備後地方といいます。備後は備後表の産地。かつては、備後表は高級な畳表として名だたる産地でした。忠臣蔵の畳替えの場面でも備後表を調達す
32)旅人の向こう、運河の対岸では、スコップを持った人が働いています。
 木は、ポプラの北と思うのですが・・。こんなに大きくなった木を掘り起こしてどうしようというのでしょう?
33)橋の向こうでは、子ども達が4人下校しています。手前の2人は男の子と女の子で手をつないでいます。中の良いこと。ただ、小学生といえば、周囲の目が気になって男女で手をつなぐのはためらわれるお年頃。きっとまだ低学年なのでしょう。
36)左上 ポプラの木の梢に隠れるように、6人くらいの人が輪になって座り込んでいます。(一人は立っていますが)一体何をしているのでしょう?


39)積み荷の石を加工している人がいます。この石は何でしょう?墓石でしょうか。(※写真は中国の霊園です。)
広大な大地の中国ですが、都会では墓地不足に悩まされているようです。上海の人などは、蘇州のあたりに墓地を持つことになりますが、死んだ後に墓地が確保されなかったら大変だというので、生前に墓地を確保しようとします。(まあここら辺の事情は日本と同じような物ですが)・・・それが墓地不足に拍車をかけていて、「生前墓」を禁止しているそうです。ところが、禁止されていても生前墓の購入が後を絶たず・・・蘇州は霊園都市になってしまっていると、中国の新聞が伝えています。
 なお、中国ではお墓参りの日になる清明節の日は、法定休日になっていて、中国のゴールデンウイークになっているようです。さすが、儒教の国です。
40)犬を連れた羊飼いがいます。羊は11頭のようです。
 羊飼いの人の格好が、なんだか神父さんのような雰囲気です。他の編ではキリスト教がらみのシーンが多い旅の絵本ですが、中国編では見られません。あるいはこのシーンが羊と共にキリスト教を連想させるように描かれているのかも知れません。




場面11桂林

0)旅人は もこもこと山が盛り上がる所へやって来ました。広西チワン族自治区の東北部に位置する桂林です。まさに山水画そのままの不思議な風景です。古来より文人を魅了し、「桂林山水甲天下(桂林の風景は天下一)」と称えられました。《世界遺産に申請中/桂林》
 「そびえる山々は碧玉のかんざしのよう」というこの不思議な風景の元は、石灰岩を基調とっする地質です。日本の石灰岩台地と異なり、ここの石灰岩台地は、桁違いの大きさです。20〜30kmにも及ぶ広大な広がりを持ち、1000〜5000mの厚みを持つというのです。しかもこれが安定陸塊の南中国において、平らに展開しているのです。それを炭酸ガスがとけこんだ雨水が浸食して、この不思議な風景ができあがったというわけです。

1)青く塗られた岩山が描かれています。桂林であることを承知してもこの青い岩山はいささか唐突なイメージです。
 これに、『もこもこもこ』( 作: 谷川 俊太郎/絵: 元永 定正)の雰囲気を感じます。谷川さんの不思議でワクワクする言葉に、元永さんの楽しい絵が加わって、こどもたちに大人気の絵本です。安野さんも「もこもこもこ」を意識されたのではないかと思うのですが。

2)右下 駱駝がいて不思議な一角は、張擇端の「清明上河図」からの模写です。
 虹橋の場面に続いて、入張擇端之堂という篆刻印が描かれています。
模写といっても全くそのままではなく、右端の門を消すなど部分的な描き変えをされています。
3)3頭の駱駝がいます。「清明上河図」は、宋代の開封の様子を描いておりその、史料的価値の高い絵です。駱駝の存在などにより、宋代の開封が西域シルクロードの商人が行き来する街であったことを、はっきりと意識づける場面です。
4)積み上げた荷物の前で、相談している人たちがいます。清明上河図では、その背後には帳簿付けをしている人がいます。
5)一輪の荷車には、相当な荷物が積んであります。2頭の馬で引いてきたようです。
6)入張擇端之堂の印左に「清明上河図模写」と書かれた板を背負った人がいます。清明上河図にも文字の書かれた板を背負った人がいますが、ここは安野さん内容を書き換えています。
7)馬に乗った人と荷物を背負った人の右に、駱駝の一行を見ている人がいます。開封の人にとっても、駱駝はやっぱり珍しいことなのでしょう。

8)棒を2本持った人が、建物の陰になっている人と何か話しています。どんなことを話しているのでしょう?
9)旅人の向こうの船は、観光船のようです。左の写真は、観光船が途中の休憩所に停まって、観光客が上陸しているところです。
 周囲に比べて、この船や船頭さんは異様に大きくていささかバランスを壊しているように思えるのですが・・・?
 桂林は世界的な観光地で、沢山の観光船が行き来していますから、場面の最初にあげた写真のような大きな観光船のイメージで描かれているのではないかと思います。

10)旅人の手前の筏のような物には、椅子やテーブルが用意されています。岸からロープが伸びて、つながれています。これは、何のためでしょう。観光船の休憩所?釣り人のための物?つながれている船は、陸との行き来に使うのでしょう。
11)一番手前の船には、酒甕(紹興酒?)が積み込まれています。
13)岸には釣り人がいます。子どももいます。
14)背後でしゃがんでいる人は、田植えの終わった田んぼの世話をしているのだろうと思います。植え直しか?他の草取りか。
 
15)牛2頭を使って田植えの準備(代掻き)をしています。この作業をしっかりしておかないと、上手く田植えができません。
17)背後に描かれてい建物の様子が、上の写真の休憩所の建物に似ているように思います。
19)お堂の右では、四つ手網漁をしている人たちがいます。場面3の蓮池の場面に次いで、2度目です。

場面12烏鎮

0)旅人は 烏鎮(うーちん)へやって来ました。
  烏鎮は、杭州市と上海市の真ん中あたりにある、古鎮です。豊かな水に恵まれ、交通手段としての水路が張り巡らされ、早くから街が開けました。2000年くらい前にはもう街があったのではないかと思われます。「烏鎮」として記録に残るのは、唐の時代872年といいますから、千数百年の歴史を持つ古い街です。近代化に立ち後れたことが幸いして、運河の上に乗り出すように建てられた水閣の古い町並みが昔のまま残りました。中国の最後の水を枕にする人家(「中国最后的枕水人家」)、烏鎮
 
1)右下 売店があります。食べ物店だと思います。「烏鎮東柵景区」「烏鎮西柵景区」にも、こんなお店がたくさんあります。
  店の軒下には、例によって赤い提灯が下がっています。それと、白い札が下がっています。お店の宣伝が書いてあるのでしょう。子ども連れのお母さんが買いに来ています。
  ちなみに、この烏鎮の食べ物やさんの雰囲気が、『千と千尋の神隠し』の冒頭近くで千尋のお父さんとお母さんが豚になってしまうシーンのモデルになったようです。そういえば、廃止されたテーマパークの跡地という設定だったと思います。


3)階段状の施設があります。日本では雁木と呼ばれる、港湾施設です。
名前の由来は、空を飛ぶ雁(がん)の列のようなぎざぎざの形や模様からです。このような形にするのは、岸壁と違って、潮の満ち干や河川の流量変化による水面の上下に係わらず昇降や荷役が出来るためです。浮き桟橋ができる、近代以前の船着場で多く見られます。
 烏鎮の東柵の入口(東の端)にある財神が祭られ、船が方向を換える水湾の「財神湾」に雁木があります(絵地図の一番手前のあたりに描かれています。先頭の写真の右に雁木が続いています※左の写真)。安野さんは、このあたりを参考にしてこの場面の手前側を描かれているように思います。
 また、西柵にも渡し場や霊水居埠頭に雁木が美しく残っていて、現役で利用されつつ観光資源となっています。
4)大きな顔を掲げているのは、人相見ということだろうと思います。、中国編は、何故か占い師が何度も出てきます。この人で3人目ですね。
6)人相見の絵の張ってある家は、烏鎮東柵の財神湾にある建物のようです(※上記写真参照/上の絵地図では、電話のマークのある建物です)古い薬局の「香山堂薬店」です。
7)建物の屋根に、「北」という文字が隠れています。たまたま?でしょうか??
8)写真では、香山堂薬局の向こう側には建物の屋根が見えません・・・でも旅の絵本では大きな屋根やうだつが描かれています・・・この建物は?
 絵地図を見てみると、方向が違うのですが、上の方(西)に同じような曲線の壁や赤い色の建具が見えます。この建物は、「江南百床館」です。色々なベッド(なかなか豪華なものです)を陳列した建物です。
9)柳があります。絵地図にも描かれていますが、烏鎮の運河沿いには柳の木が多いようです。

10)屋根の向こうに「東」と書かれた塔のようなものが見えます。絵地図では見つかりません。
 ただ、絵地図では確認できないのですが、東柵景区の西のはずれあたりにあるようです。修真観という道教のお寺にある舞台「古戯台」の背後に見えています。建物の名称は不明です。別の面にも東が書かれているように見えます。東柵の意味で全て東と書いてあるのかも知れません。どなたか正解をご存じありませんか??
右の写真は、別の方角(東から西方向を見たものです)これにも見えます。手前の建物も「江南百床館」ではなく、この方向からの風景の合成の可能性も大です。

11)自転車が2台あって、おじいさん達が椅子に座ってまったりしています。実際の東柵にも、こんな風におじいさん達が、良い感じでのんびりしているようです。
12)「豆汁」の看板を掲げた店があります。豆汁は、豆乳のことかと思いました・・・・事実日本語としては「水に浸した大豆をひきつぶして乳状にしたもの。豆腐などの原料。まめあぶら。」ということですから、当たらずとも遠からずだとおもいます。
 しかし、中国での豆汁(とうじゅう、中国語: 豆汁儿(douzh?r)は、 緑豆を煮てから、すりおろして作った豆乳を乳酸発酵させます。(実際には、春雨をつくるときの緑豆の残り汁を発酵させるようです)かなり酸味効いていて、慣れないとかなり飲みにくいようです。それでも植物性タンパクを発酵させた食べ物ということで、栄養があり、健康食品のようです。これが飲めれば「北京人のなかまいり」ということらしいのですが、多分烏鎮でも食べられているのでしょう。
 朝食のひとつとして、焦圏や辣絲などとともに食べられることが多いようです。写真のドーナツのような揚げ物が「焦圏」で、サクサクした食感の焦圏を豆汁につけていただきます。辣絲は、写真では小皿に盛られている漬け物のようなものです。
13)豆汁のお客さんは親子のようです。お店の人は、写真のような皿に豆汁をついでいます。
14)「財神茶館」の看板を掲げた建物があります。上の写真にもこの建物が写っています。絵地図によれば「財神堂」とあります。そもそも財神というのは、お金の神様・商業の神様のようです。かつて、商都として栄えた烏鎮にふさわしい地名であり、お堂ですね。
 安野さんは、これを茶館にされたわけです。

12)空竹(中国ゴマ)を売っているおじさんと、空竹を遊んでいるこどもたちがいます。空竹は場面6にも出てきたので、2度目の登場です
(※写真のおじさんは、実演販売です)
13)竿ばかりで商品を量り売りしている店があります。
売り物は何でしょうか?お客さんの所に何か書かれているように思うのですが、読み取れていません。
 トップの写真や地図にあるように、実際の財神湾の所にも、このような感じの建物があります。ただし、現地はお店ではないようです。
 竿ばかりは、子どもの頃は八百屋さんなどでよく見ましたが、このところとんと目にしなくなりました。中国ではまだ見ることができるのでしょうか。
14)お店の手前側に、Tシャツなどがハンガーに吊してあります。売り物でしょうか?お店の種類からしてどうも売り物ではなさそうです。やはり洗濯物だと思います。
烏鎮の東柵地区は、住民の生活がそれまで通り行われているので、運河で洗濯している人もいれば、洗濯物を干すなど日常生活をそのまま見ることができるようです。観光コースのど真ん中で、本物の洗濯物が堂々と干されているというわけです。
16)船の向こうの建物は、先頭の写真に写っている建物です。絵地図にも描かれています。
 この建物は、民間の家で部屋を広く使うために、木の柱や石の柱を川の中に差し込んで、それに横の梁をつけてその上に建物を建てているのです。このような建物を、「水閣」といいます。
 この建て方だと、川の上に寝ていることになるわけで→中国の最後の水を枕にする人家(「中国最后的枕水人家」)ということになるわけです。
大部分の水閣は南向きだそうです。ここの建物も右が東になっていますから、ちゃんと南向きになっています。冬には南から暖かい陽ざしを浴びることができ、夏には川からの涼しい風を受けることができ、窓からは美しい水辺の風景が楽しめるというわけです。しかも、部屋の中にある移動板を開けると、川の水を利用することができるという、生活の知恵の詰まった建物なのです。

17)家の間から、水辺に下りて、掃除をしている人がいます。
 絵地図からも分かるように、運河沿いにはびっしりと家が建ち並び。その外側に街路が設けられています。その道から運河に出られるように、建物の間にこのような通路が作られています。
ところで、旅の絵本の絵では、安野さんは例によって遊んでいます。先頭の写真と、この掃除をしている通路は矛盾しないようですが・・・・。実は、実際の烏鎮の建物のこの部分は、隙間無く建っているのです。(右の写真を確認してください)安野さんらしい遊びですが・・。これって、よほど詳しく烏鎮を調べないと気がつかないですよね。安野さん一人で楽しんでいます。

20)藍染めの布が、干してあります。烏鎮は、藍染めが有名です。東柵景区には「宏源泰染坊」という工房があります。西柵にも藍染めの工房があります。烏鎮での藍染めの歴史は3000年にもなるそうです。なんと、日本ではまだ縄文時代から・・・!

21)藍染めの作業をしています。左から、白い布を藍染め液の中につけています。中、つけた布を搾っています。右、搾った布を運んでいます。


23)運河の向こうの建物の前では、老人達がまったりしています。
 モデルになった建物は不明ですが・・・・。
 13)の竿秤ではかり売りしていた店の所は、左の写真のようになっていて、安野さんの絵とはいささか状況が違います。
 そして、よく見るとこの建物の様子が、おじいさん達のバックにある建物とよく似ています。
 ということで、安野さんは、この建物の様子をここに分けて描かれたのでは無いかと思うのです。

26)お堂のようなものが建っていて、回りには石が立っていて、中に四角のもがあるのは、井戸だと思います。
 中に井戸のある、お堂が烏鎮にあるのだと思うのですが、不明です。

28)白い旗を掲げた行列が来ます。葬式の行列のようです。
 清明節には、墓参りが年中行事ですが・・・
 行列は、楽隊付で何ともにぎにぎしいものです。左の写真は、烏鎮での葬儀の様子です。行列ではありませんが、やはり楽器の演奏があっています。花輪を出すのは、日本と似ていますが、赤い色が使われているのが、祝いの花輪のように見えてしまいます。
 行列の楽器は、ラッパに、太鼓に、シンバルと一層にぎやかです。
 
29)楽隊の後に続いているのは、お坊さんのようです。
30)お坊さんの後に、何か手に持った人が続きます。持っているものは何でしょう?
31)花をアーチ状にした物を持った人が続きます。
32)黒服の8人で棺をかかえています。
33)後に嘆き悲しむ、白装束の女が9人います。「泣き女」だと安野さんが書いています。
 「泣き女」は、葬儀の際に大声をあげて慟哭することで悲しみを表すわけですが、その役を果たす人を金を出して雇うというわけです。これに応える職業が泣き女というわけです。中国や朝鮮半島をはじめとして世界各地で見られる職業で、ヨーロッパにもあるし日本にもあったようです。料金に応じて泣き方も変わるとか・・・。
36)何か文字を書いてある札がぶら下がっています。何が書いてあるのでしょうか?
37)ラッパの人の所にも何か書いてある札が下がっています。これも読めません??
38)シンバルの人の所には、店ののれんのような物が下がっています。
 「・?興老酒」と読めます。多分「紹興老酒」でしょう。だとすると、例の甕を並べておいて欲しかったですね。
43)椅子に座った店主がのんびりと行列を見ています。お店に並んでいるのは、中国凧のようです

場面13春節
0)旅人は 春節の祭りを行っている所へやって来ました。

 中国の正月は、正式には新暦の1月ですが、実際には旧正月の方が春節としてより盛大に祝われます。
 春節といえば、きらびやかな龍が、玉を追い求めて舞い踊る「龍舞」が欠かせないようです。

1)龍がもつれて操作をする人たちが倒れてしまう事故が起こっています。
 5)決定的瞬間を写真に撮ろうと、カメラを構えている人がいます。

9)玉乗り獅子舞は、混乱に巻き込まれることなくちゃんと乗っています。中には、2人の人が入っているはずです。
10)棒を持った警官がいます。警棒にしては長すぎます。演技者が取り落とした棒をとったのでしょうか?
13)リュックを背負った人は、望遠レンズをつけたカメラで撮影しているようです。それとも、望遠鏡を身ながら、指さしているのでしょうか?
15)ポーチをかけて、白シャツの女性は両手を広げていますが、事故現場に行かないように止めているような緊迫感がありません。何をしているのでしょう?
 16)赤い服の女の子が白い服のお母さんの手を引っ張りながら、獅子舞の方を一生懸命指さしています。
17)黄色の服の子どもは、龍舞の方へ飛びだそうとしてます、保護者がしっかりと抱きとめています。

0)竹馬の棒を持って、立っているピエロがいます。脇に抱えたピエロもいます。これから乗ろうというのでしょう。
21)竹馬に乗って長い服で足下を隠して、大きな扇を持っているピエロがいます。
 このような、形の竹馬は、スペイン編でも出てきました。世界中にこのようなパフォーマンスをする人がいるんですね。
22)人を肩車して、玉乗りしている人がいます。
23)アーチ状の橋の上では、色んな人が龍舞の事故を見ています。そのうちの一人は、欄干から片足乗り出してしまっています。
25)灰色の服を着て、階段を登っている人は何か抱きかかえているようです。花束?
26)柳の木の上に登って龍舞を見ている子どもは、下の男の人に怒られています。
28)テントの所には、何かぶら下げた男性がいます。何でしょう?
0)何か積み重ねて運んでいる人がいます。小さな蒸籠ではないかと思います。
21)テーブルの上に何か白くて丸い物を並べている料理人がいます。「餃子」でしょうか。(餃子は春節のお祝いに食べられるようです)

22)白い物を伸ばしているのは?・・・・「拉麺(ラーメン)」でしょうか?あるいは「麦芽飴」づくり?
 絵柄的には伸ばして伸ばして作る麺であるラーメンかなと思います。ただ、お祭りに拉麺を食べるふうしゅうがあるのかな?
25)屋根の隅棟部に鳥の像が並んでいます。
 中国の建物に、このように像が並んでいるのをよく見ましたが、鳥の例を思い出せません。どこかに、このように鳥が並んでいる屋根がある寺などがあるのでしょう。
 棟にも、独特のデザインの瓦が並んでいます。江南の歴史的な建造物にありそうです。
開封にある、「大相国寺」の可能性が高いのではと思っています。決定打が無いのですが。
26)境内に狛犬(獅子)像があります。これも、この建物を特定するのに役立つかも。
 大相国寺には、大きな狛犬があります。

27)運河沿いがオープンカフェ状態になっています。
 飲み物を飲みながら、運河向こうの様子を楽しんでいます。縦縞のシャツの人は、龍舞の事故を指さして話しています。
28)給仕をしている女性が運んでいるのは、オレンジジュースでしょうか。
30)運河に観光船が止まって、龍舞・獅子舞を見ています。
 お客さんは13人?船首の所に座り込んでいるのは船員さんでしょう。船尾の船頭さんは、龍舞の方に気持ちが行ってしまっていて、竿に力が入っていません。
31)船の向こうに龍の口を支えている人との間に、何かいます?ちょうど製本上見にくくなっていてはっきりしませんが・・・犬のようです。
33)塀に梯子を架けて運河向こうを見ている子どもや肩車をしてもらって見ている子どもがいます。

場面14結婚式

0)旅とは 少数民族の結婚式が行われている村にやって来ました。安野さんは、旅の絵本の各巻に必ず結婚式の場面を描かれてきました。これまでで一番大きな結婚式は、スペイン編の結婚式でしたが、中国編の結婚式はこれまでで一番大きな結婚式の場面です。
 
中国の少数民族は多く、ここに描かれた民族が特定できていません。どなたか、見当のついた人はご連絡ください。
 タイ族?、白(ぺー)族?、ミャオ族?
 左の写真はミャオ族の衣装です。ミャオ族も多いので、その民族衣装も相当多岐にわたっていますが、細かくひだのついたロングスカートををはいて、腰には大きな前掛けのついたベルトをしています。また、文山のミャオ族の女性は写真のように、頭に円形の大きな冠状の帽子をかぶるのが特徴です。
 右の写真は、タイ族の女性が踊っている所です。舞台の写真なので、派手ですがこれもなかなか似ているように思います。
2)畑の脇では、2人の人が杖や鍬をついて話し込んでいます。
  話題は、作柄のことでしょうか、今日の婚礼のことでしょうか
3)運河の船に家畜を積み込んでいます。牛が2頭に豚が2頭、さらに1頭乗せようとしています。
 積んである袋は飼料でしょうか?
4)逃げ出した豚がいます。男の人と女の人があわてて追いかけています。

5)豚の行く手には、両手を広げた男が待ちかまえています。
 張擇端の「清明上河図」にも豚が描かれています。開封の街には、豚も連れてこられていたのです。
 これまでの旅の絵本で、こんな風に立っていた人がいたと思うのですが、どの編か思い出せずにいます。
8)トウモロコシの下にはドラム缶が3本並んでいます。何が入っているのでしょうか?
10)畑に3種類の作物が植え分けてあるようですが、何でしょう?
11)右端の建物壁は、網の目状になっています。家畜小屋かな?
12)右下 何か細長い物を束ねた物があって、荷車に積んでいます。
  女の人が抱えて持ってきていますから・・・あるいは逆に荷車で運んできた物をここに積んでいるのかも知れません。
  細長い物は何でしょう?茅ではないかと思うのですが

16)左ページ上部 3層(4層?)の建物があります。
 多分、集落のシンボル的な建物であり、集会所の役目を果たしているのだろうと思います。
17)新郎新婦が、民族衣装を着て座っています。
背後に白い大きな幕が張られています。これは何でしょう?映画の映写会でも予定されているのでしょうか?それとも、日本の披露宴で言えば、金屏風のような物でしょうか?
18)テーブルに着いている人たちが親族ということでしょうか・・・花婿側と花嫁側に別れて両家ご対面という雰囲気です。
 立っている人は、新郎のお父さん?あるいは、仲人役の人?または、来賓代表?・・・いずれにしてもご挨拶の最中のようです。
 挨拶が余り長いと嫌われますから、短めにどうぞ。
19)新婦側に立っている3人は、テーブルについていないようです。どういう人なのでしょう。民族衣装の2人は給仕役で控えているのでしょうか?男の人も?

21)おじいさんの後ろの入口には対聯が掲げられています。漢族でなく、独自の文字を持っていても、こういう文化は当然のように取り入れられていると言うことでしょうか?
22)この建物の近く、20)のおじいさんが座っているあたりだけ、地面の色が異なっています。何か意味があるのでしょうか?
25)結婚を祝って民族衣装を着た女性たちが9人踊っています。
 両手に持っているのは何でしょう?ボンボンのようにも見えますが?衣装は藍色が目立ちます。藍染めの盛んな民族のようです。

26)踊りのための音楽は、生演奏です。楽器は、横笛琵琶胡弓、そしてアコーデオン(小型手風琴)といった所でしょうか。
28)踊りの右にも、杖を持ったおじいさんが椅子に座って見ています。そばの女性は、介助の人でしょうか。おじいさんは踊りを指さして何か言っています。踊りの内容の解説でしょうか。
32)かまどに架けられた大鍋は、揚げ物でしょうか、煮物でしょうか?右側は、蒸籠(せいろ)のようですから、蒸し物を作っているのでしょう。

34)男の人が、籠を持って歩いています。中身は何?
35)ニワトリが5羽(メス2羽にオス3羽)います。オスが多いというのは珍しいですね。オスは卵が取れないから、普通はメスの方を多く飼うと思うのですが。

36)手前にもテーブルがあって、沢山の食事が用意されています。大きな皿に横たわっているのは、ひょっとして子豚の丸焼きのような物でしょうか?
左の写真は、ミャオ族の結婚式のために用意された豚です。
39)甕が11個も並んでいます。男の人がその一つを傾けています。甕の中身はお酒ではないでしょうか。これまでの絵本の流れからすると、花嫁が生まれたときにお父さんが買ってきて、この日のために土の中に埋めて保管していた紹興酒の古酒ではないかと。

40)ロープが張られて、赤い旗が並んでいます。お祝いを盛り上げる飾り付けでしょうが、どんな旗なんでしょうか。中華人民共和国の国旗「五星紅旗(ごせいこうき)」でしょうか。単に赤い紙かな。

場面15兵馬俑

0)旅人は 兵馬俑の発掘現場にやって来ました。《世界文化遺産/「秦の始皇陵」と兵馬俑坑1987年登録
1)左上 まさに発掘中です。
  
2)手前には、発掘された兵馬俑が復元されて並べられていて、研究者が細部を見ています。等身大の像にしては、人間の方が小さいようです。始皇帝当時の秦の人は大柄だったのでしょうか?出てくる人骨からするとそんなことはないようなので、実際の人よりは少し大きめに作成されたようです。
3)小さな橋のむこうがわ 台車に乗せて3人がかりで引っ張っているのは何でしょう?

5)テントの所では、例によって作業員の人たちのために食事が用意されています。エプロンをした女性達がかいがいしく働いています。かまどには、薪がくべられ既に火が入っているようです。
7)机について座っている人は・・・見学料の徴収係でしょうか?それとも、現場の事務官?

10)塔が建っています。これは、兵馬俑があるのは西安市の慈眼寺にある大雁塔です。

11)左下 遊牧民が使用している、伝統的な移動式住居であるパオ(包)があります。モンゴルではゲルがあります。
 かなり大きなゲルです。西安は西域が近く、遊牧民の生活も近いということをあらわしているのでしょう。

場面16水庫(ダム)

0)旅人は ダム(水庫)のある場所にやってきました。
 モデルとなるダムが中国のどこかにあるはずです・・・・。
中国陝西省咸陽市(西安の北隣)にある恵渠(ジンケイキョ)のダムではないかと思います。この水利施設は鄭国渠(テイコクキョ)を継承する現代の施設とされています。

4)旅人は これ以上船では行けないので、いつものよううに旅の友である馬を手に入れる交渉をしています。
 デンマーク編で旅人が馬を手に入れたのがシーン4の円形教会の場面で、それまでの旅の絵本でもっとも後のシーンでした。そして・・・この中国編ではこの場面16になってやっと馬を手にいれます。最長記録ですね。

5)小さな吊り橋が架かっています。橋桁の所では男性が2人何かしています。魚とりでしょうか?
6)岩山を登っている人がいます。なにをしているのでしょう??

7)右下 沢山の巣箱を積み上げて、養蜂をしている人たちがいます。顔にちゃんと網をかぶって作業をしている人もいますが、つけずに作業をしている人もいます。
 
場面17嘉峪関(万里の長城)
0)旅人は 万里の長城の西の果てにある嘉峪関(かよくかん)にやって来ました。
 嘉峪関は、万里の長城にある関の中で建設当時のまま残されている唯一の建造物です。《世界文化遺産/長城 1987年登録
 


1)李の旗を掲げた部隊が出撃しています。いつの時代か、西域経営に力を持った李という将軍がいたのだと思います。誰でしょう?
 漢武帝は、初めて西域に攻め入った皇帝とされていますが、その中で李広利という将軍の活躍があります。しかし、これは李陵ではないかと思います。大将軍ではありませんが、寡兵をもって大軍と戦い、善戦するもののとらわれの身となったのです。これに激怒する武帝に対して、史記の作者司馬遷は彼をかばいます。ところが、そのことが武帝の逆鱗に触れて宮刑を受けて宦官となっています。
 このことを、中島敦が李陵や司馬遷の内面を書き込んで『李陵』という作品にしていま
3)城壁の上には、出陣してゆく部隊を見る兵馬のシルエットが見えます。あまりにも少ない兵力で、敵主力に向かうことになる李陵の部隊を、どんな思いで見送っているのでしょうか。
4)見えている楼閣は嘉峪関楼(左)と柔遠楼(右)だと思います。
5)手前の長城では、壊れた城壁を修理しています。
長城の基本部分は、版築(はんちく)という工法で作られています。この工法は、版築を作る部分に板で枠を作り、ここに土を入れてたたき棒や「たこ」と呼ばれる道具で土を付き固めたら、板の高さ一杯までつき固めたら板を継ぎ足して高くしてゆきます。
6)版築工法でつかう「たこ」があります。
 たこ:土の締固め用具、経30*高さ60cm位の丸太に4本の取手を付け人力で持ち上げ落下させ突固める。
10)レンガ造りの工場があります。

11)レンガ用の土を処理する人、できたレンガをつむ人、ロバにエサをやる人、皆せっせと働いています。
12)左下 パオ(包)があります。兵馬俑の場面についで2回目です。
 ところで、長城内に遊牧民の使うパオ?遊牧民は、長城の外でしょう??と思っていました。所が、現在の嘉峪関の内部にもパオがたてられています。(※写真参照)明の時代の再現でしょうから、多分あったのでしょう。城内という移動の必然性のない所でパオを使用していたということは、ここらの気候風土にパオが適しているということでしょう。


場面18敦煌莫高窟

0)旅人は 敦煌・莫高窟(とんこうばっこうくつ/トンコーモーガオクー)にやってきました。《世界遺産/「敦煌・莫高窟」 世界遺産登録日:1987年
1)9層の木造の高楼は莫高窟のシンボル的な建物です。大雄宝殿とも呼ばれる莫高窟最大の建物です。内部には莫高窟最大の塑像(弥勒仏像)があります。

2)大雄宝殿の左右には、町並みが続くように描かれています。もちろん、左右にも崖に掘られた石窟が続いています。その雰囲気が自然に町並みに表せるところが安野さんの技術ですね。
5)机を出している人の周りを5人の人が囲んでいます。何をしているのでしょう?又、占い師でしょうか

6)長目の服の人は僧侶のようです。
 莫高窟は、仏教遺跡ですから、僧侶がいるのはごく自然ですね。


14)莫高窟の額を掲げた門があります。

15)何か丸い物をぶら下げた土産物屋があります。売り物は何でしょう?
子どもが一人見ています。おもちゃのたぐいでしょうか。
16)大きな三角の傘状のテントの下で売っているのは、書籍でしょうか。莫高窟は、内部が撮影禁止なので、写真集かも
19)石窟の崖の向こうは、砂山が見えています。これは、鳴沙山(めいさざんミンシャー山です。
 ここは、東西40km、南北20km、高さ250mに及ぶ大砂丘群です。それは米粒ほどの砂礫が堆積してできているサラサラの砂山。黄金に輝いています。風に吹かれて落ちる砂の音がまるで山が鳴いているように聞こえたことからこの名が付いたといいます。『史書』には「天気が晴れた時は、糸竹管弦の音が聞こえ、まるで音楽を演奏しているようだ」とあり『沙嶺晴鳴』として有名です。
20)鳴沙山をラクダに乗った隊商が行きます。敦煌はシルクロードの要衝ですから、このように隊商が行き交ったのでしょう。
 現在の鳴沙山は、これに観光客がたくさん登る所になっています。そして、およそ100頭もの観光ラクダが用意されています。

21)鳴沙山の向こうに水辺が描かれています。
 鳴沙山の中には、月牙泉( ゲッガセン)という三日月形をした300年間水のかれないという小さなオアシスがあるので、それを大きくして描かれたのかと思いましたが・・・描かれた羊などからどうも違うのではないかと思います。
 かなり離れていますが、シルクロードをさらに西に行ってウルムチから東北に90kmにある天池ではないかと思います。モンゴル語で「聖なる山」を意味するボゴタ山の中腹、標高約1980メートルのところにある半月形の美しい湖です。

22)池の手前には、緑の草原と羊たちがいます。これは・・・ウルムチつながりとすると・・・ウルムチの南郊外にある避暑地、南山西白楊溝ではないかと思うのですが、どうでしょう。
場面19黄土高原・闘牛
0)旅人は 黄土高原にやって来ました。
 黄土高原は、中国北西部の砂漠地帯から風に巻き上げられた砂塵が、悠久の年月をかけてこの地に降り積もり分厚く堆積したものです。深い谷を刻んでいます。人は、そのような大地に営々と耕し、農地を維持しています。棚田のように見えますが、田ではなく畑です。

4)牛と牛が角(頭?)をつき合わせて闘っています。闘牛です。
 スペイン編でも闘牛が出てきましたが、こちらは闘牛士が牛と闘うのではなく、牛と牛が闘うタイプです。 
 
5)闘牛を仕切るために4人の男が取り囲んでいます。
6)観戦する人たちは、少し高い段に集まって来ています。観客席には、高い方が見やすいからでしょうか。安全上の観点でしょうか。右の貴州省の闘牛の写真でも少し高い段から見ています。

21)左 畑では牛に鋤を曳かせている人がいます。
22)下の段の畑でも牛を使って耕している人がいて、それを見ている男性がいます。
  黄土高原は、雨が少なく、農耕には適さないように思いますが・・・・延々と耕されています。人の営みというのはすごいなあと、つくづく思います。
23)女性が、畑仕事を見ています。足下にあるのは、農作業の合間の休憩用の飲み物や食べ物といったところでしょうか。
 「そろそろ、手を休めてお茶にしませんか。」なんて声をかけているのでしょうか。


場面20黄土高原・ヤオトン

0)旅人は 黄土高原の中を進んでゆきます。
 安野さんは、黄土高原の広さを表すためにこの場面を描いたと書いておられます。そして、次の場面も黄土地帯です。
1)右 犬を連れて羊を放牧している人がいます。
4)白い花をつけた木があります。杏子の木ではないかと思います。
 

8)黄土の崖に横穴を掘って、住居にしたヤオトン(窰洞)があります。

10)にわにはにはにはとりがいます。(庭には二羽ニワトリがいます)
 安野さんのしゃれかな?
11)丸い台の上で、大きな石を転がして、農作業をしています。このグランドの整備に使うグランドローラーのような農具は何という物でしょうか?農作業は、脱穀でしょうか?
 右の写真は、日本で使われている「どんころ」という木製の農具です。馬に曳かせてムシロに広げて豆類を脱穀する農具です。
12)脇に、ムシロに同じような黄色の物が干してあります。黄色の物はひょっとしてアンズ(杏子)の実でしょうか?


場面21黄土高原・植林

0)旅人は 黄土高原を植林している所へやって来ました。
 もともと黄土高原は地理的位置からして降雨に恵まれない大地です。しかし、前の場面でも書いたように、数千年前の黄土高原は森のある大地でした。人間の活動が、この大地から森を奪ってしまいました。その上、近年は地球温暖化に伴う気候変動が、この地では一層の乾燥をもたらしています。
 しかし、人はこの大地に森を取り戻す営みも可能です。地元の人たちだけでなく、外国からのボランティアが緑化のために働いています。

1)雪をかぶった高山が見えます。何という名の山でしょうか
4)首に赤いチーフを巻いたこどもたちが行列をつくって歩いています。多分、小学生だと思います。この偉大なる挑戦に、未来の為にやって来ているのです。手に持っている黄色なものは何でしょう?


8〉苗木の束が7束建てられています。何の苗木でしょう。
 アンズ、ポプラ、マツなど乾燥に強い木が選ばれます。
24)小高いところで男女が指さしながら何か話しています。指さす先には、去ってゆく旅人がいます。あの人は、どこに行くのだろうと話しているのでしょう。
25)旅人が馬に乗って黄土高原を中国を去って行きます。
 去って行くときに馬を使うのは、今回が初めてだと思います。
 第1巻の中欧編は、船でやって来て、馬を置いて歩いて去りました。第2巻のイタリア編では、歩いてやって来て馬を置いて船で去りました。第3巻のイギリス編も第4巻のアメリカ編も第5巻のスペイン編も第6巻のデンマーク編も、船でやって来て馬を残して船で去りました。

「裏扉」
 今回も、裏扉は前扉の鏡像です。この旅が、張擇端の「清明上河図」を目標にした。旅であったことを思い出します。
 河をさかのぼり、街に入り、街を出て野に山に。
 広大な中国の人々の生活を感じることができました。

 さて、旅人は次にどこに行くのでしょう。
 前号の最後で、中国か日本かと推理しました。 とすると、次は日本?
しかいし、今回は馬で去っています。これまでの例からすると、次の巻では、馬であらわれることになると思われます。すると・・・・シルクロードの先にあるのは?イラン?イラク?・・・
 インドではないかと思うのですが。どうなるのでしょう。ちなみに安野さんの初めての海外旅行では「デンマーク、オランダ、チェコ、スイス、フランス、イギリス、イタリア、ギリシャ、エジプト、トルコ、インドなど2ヶ月をかけて巡った」との事です。これで見ると、インドの他にトルコやエジプト、ギリシャも可能性があるかも。