ってどんな組織?
ヨセミテの人と自然から学んだことトップ 
ピート・ディバインさんからの話を中心にまとめました。

ヨセミテ国立公園には来園者に対してインタープリテーションを行う組織が大きく4つ有ります。NPO(国立公園局)のレンジャーが数時間〜1日で行っている(無料の)プログラム。ホテルなどの施設が提供するプログラム。ヨセミテ協会が一般社会人向けに有料で提供している宿泊型のプログラム。そして、ヨセミテインスティチュート(YI)が主に学生に対して有料で提供している宿泊型のプログラムが有ります。

設立の契機
ちょうど30年前(1971年)の8月に設立されたNPO(非営利組織)です。設立したのは高校の科学の先生をしていたドン・リースさんです。彼は、生徒たちを教室から出て教育したいと考えます。当初NPS(国立公園局)の提供してくれるプログラムに期待しますが、数時間あるいは一日のプログラムは、彼が期待した内容にはおやばず、自らその必要を満たす内容を作り上げようとしてYIの設立を思い立ちます。国立公園のサポート(用地の貸与・建物の建築の許可・水の提供・・)を得て、はじめたものです。

どんな人たちを対象に考えているのか
基本的に1週間単位(5日間)で学校の生徒を受け入れて、年間約12000人の人を受け入れています。毎週300人〜320人くらいを受け入れている。最初にクレーンフラットに有る施設で2日間すごした後、ヨセミテ渓谷の施設に移るそうす。さらにワワナ(マリポサグローブのある地域)にも施設があるので3つの施設の内2つの施設を利用してのプログラム展開ということになります。(私たちは、クレーンフラットの施設に8日間滞在しました)
学校単位のリピーターが多く、毎年9月〜翌年の6月までの期間(アメリカでの1学年)は、学校の生徒がほとんどになります。年齢的には、12才〜16才が中心です。クラス単位であるいは学校単位で、授業としてやってきます。「総合学習」のような時間枠が無いので、多くは理科の授業として考えられているとか。もちろん、学校・教師・保護者のニーズは学際的なもの(地質・森林・ネイティブアメリカン・・・)だけでなく、人間関係や自然体験などが重要視されていて、実質的に総合学習的なものです。
昨年(2000年)から夏休み期間中に、YIが広く公募したアドベンチャープログラムが実施されていて。学校単位以外の参加者が集まっているようです。
私たちの研修と重なる様に、ロスアンゼルスの児童館に通う子ども達のグループが来ていました。

ミッション(使命)は?
国立公園法の願いは、公園を訪れる人たちが以下の2点を理解することです。
・自然の景観を保全する
 景観の中には自然の植物・野生動物・歴史的文物を含みます
・楽しみを提供する
 広い意味でのレクリエーションの場という事でしょう。これは、将来にわたって使えるようにという願いも含まれています。
そのためには、公園を訪れる人たちを教育しなければならない訳です。YIとしては、できるだけ若い世代に伝える活動をしようと考えているとのことです。
そして(シェラクラブやグリーンピースなどの)環境団体で有るよりは、教育団体であることを選んだ。ですから、環境のために「何をしよう」を教えるのではなく、「何をすべきかを選択できる人」を養成したい。
このようにして、国立公園を守る市民を育てたい。

プログラムの進行は「学科などの専門」だけでなく「生きる技術」と「自然学校の3つのテーマ」をベースに進められます。
自然学校のプログラムの核となる3つのテーマとは
(1)センス・オブ・プレイス(場所の感覚)
 自分は、どこにいて何をするのかの感覚を身につけることです。地理的な位置だけでなく、どんな動植物がいて、どこに谷があり、川があるのかも気づき・学ぶことです。それは、生徒が(肉体的にも人間関係的にも)安心していられる事につながります。
(2)インターコネクション(相互の関連)
 それぞれの生き物がどのようにつながっているのかを学びます。
動物・植物さらには石・川・・・・・・そして人間が、どのようにつながっているのかに気づき・学ぶ事を目指します。
(3)地球の世話人
個人として社会としてどのように行動するかを考えてゆくかを学びます
人間としての責任を感じる。地球は私たち(人間)のものではないが、責任を持って大切にしてゆかなければならない。これはあなた達の公園、あなた達の地球なのだから。(※このあなた達にどこまでのものが含まれるのか確認しそびれました。アメリカ国民?地球人?生きるもの総て?もっと大きなもの?)

別の表現をすると、インストラクターが投げかけるのは次の3つになります。
WHAT?(何?)そこにあるもの・事象を認識する
SO WHAT?(だからなんなの?)どのように自分たちとつながっているのか
NOW WHAT?(どうすればいいの?)

ヨセミテインスティチュート(YI)の運営
非営利団体で、ボランティアの理事による理事会が意志決定をする。
2つの姉妹校を持つ
サンフランシスコにヘッドランド・インスティチュート(1977年設立)
ワシントン州のオリンピック・パーク・インスティチュート(1982年設立)
YIを含めて3つの自然学校の
本部組織としてヨセミテ・ナショナル・インスティチュートがあります。
その予算のほとんど(95%)は、参加費によってまかなわれている。YIで年間約300万ドル、全体で800万ドルとのことです。(2001年聞き取り)
全国的に見て、YIのような組織が無く。将来展望としては他の国立公園にインスティチュートを作りたい。・・・日本でも。

スタッフの募集と養成
インスティチュートの成功の鍵を握るのは、「場所」と「スタッフ」
インストラクターの募集は年2回インターネットや環境教育のニュースレターで公募
30人規模(現在YIに32人)のインストラクターがいるが(他のスタッフを会わせて45人)2〜3年の継続が多いので、年間約10人採用することになるが、応募数は70〜100人。
仕事は楽しく充実していて非常に応募者の人気が高いのに定着率が低い・・・これは、2・3年の経験を経たアメリカの教師の年収が約35,000ドルであるのに、YIが2・3年の経験を経たインストラクターに支払える賃金がおよそ18,000ドル(初任給で日給が63ドル)しかなく、職業として認められていない面があることです。多くのインストラクターは、YIでの経験をキャリアとして、教師などの他の職業に転職してゆく事になるようです。転職の多さは、残念な反面多くの人にインストラクターになるチャンスを提供している事にもなっているようです。
応募の条件は
4年生大学卒業・上級救急員の資格・他の野外活動団体での指導体験
試験は2回の実習活動で子どもと自然に関する関心や理解そして情熱などを見ます。さらに2次試験として筆記試験を行うようです。
採用から現場に立つまでのトレーニング
・シェラネバダの自然について学ぶ
・学ぶと言うことはどう行くことかを学ぶ(質問の仕方・教え方・プログラムの立て方)
・インストラクターが自分のパッションでオープンに伝えること
・自然が大好きであるということを伝える
・インストラクターになれば(アウトドアが好きで子どもが好きという大前提の上に)、科学的・芸術的・体力的・・・等に興味のある人がそれをのばす


参加者からスタッフへ
参加した子ども達が、インストラクターといて楽しかったという想い出、インストラクターのような人になりたい、自然についてつながりを感じるようになった等の感想を残してくれるのが嬉しい。そして、毎年新しくスタッフになる人の中に、かってYIの生徒を経験した人がいるそうです。
NPSやその他の組織で働く人の多くが、ヨセミテの自然と人に見せられてやってきた人です。お話くださったピート・ディヴァイン氏(YIの教育ディレクター)もそんな一人です。彼は、もともとアメリカの東海岸え育っていますが、11才の夏休みにカリフォルニアに家族旅行でやってきます。ロワーナ国立公園でキャンプをしたりして、ヨセミテで12才の誕生日をむかえます。谷や滝を見て感激し、レンジャーと活動をともにして、面白いと思います。そんなわけで、西海岸の大学入り、卒業して、数年間パークレンジャーとして働いたそうです。その後、政府のために働くと言うことに疑問を感じていたときYIの事を知って、応募・採用されてYIのスタッフとなったそうです。

ヨセミテインスティチュートのHP(英語です)
http://www.yni.org/yi/index.htm


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