自然と遊ぼう5(ネーチャーゲーム雑感)

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14.ミステリーアニマル


 今回は不思議な動物を紹介します。その生き物がどんな姿をしているのか、想像しながら読み進んでください。
 オーストラリアの砂漠地帯の外れ、草原の中にポツポツと樹が生えている、サバナ地帯です。今は乾期なので、緑の草はなく、茶色になった草が広がっています。こんな環境で動物たちは何を食べて生きているのでしょうか。あちこちに土の塚が見えます。枯れ草のセルロースを消化することができる、シロアリたちの巣のようです。
 夜になりました。おや、何か動くものがいます。近づいてみると、四肢は短かく小さな尾をもっています。熊手のような鋭い爪のついた前足でアリ塚を壊しています。小さな頭のとがった口さきから細長い舌を出して、壊したところに差し込んでいます。引き出してきた舌には、シロアリがくっついています。アッ、そのまま食べてしまいました。そうです、この生き物は食べ物の少ないサバナでシロアリを主食にして生きているのです。
 おや、何か黒い影が、この生き物をねらって近づいてきました。その影に気づくと、食べるのをやめて、近くの地面を大慌てで掘り

だしました。あっという間に、足下の地面を掘って、おなかを潜り込ませました。地面の上に出ている背中には、びっしりと針状の硬い毛が生えています。いつもは寝かせているその針をピンとたてると、まるで地面の上に針の山があるようです。これでは手が出せないと、黒い影はあきらめて去っていきました。
 危機が去ると、地面の中から出てきました。ほっとした目は、小さくつぶらな瞳でした。
 さて、この生き物は、どんな姿をしていると思いますか。想像図を描いてみましょう。他の人が描いた絵も見せてもらえると、なるほどこのように考えることもできるのかと、感心させられます。
 「ミステリーアニマル」というネイチャーゲームです。これは、だれが、本物に近い姿を想像できたかを競う活動ではありません。話の中から、どんな生き方・姿をしているかを想像することで、地球上の多様な生き物に、深く興味と共感をを持ってもらうことが目的なのです。
 ちなみに、今回の生き物の名前は、ハリモグラです。どんな姿かは、図鑑を調べてみましょう。

※参考ハリモグラの映像があります
http://www.city.osaka.jp/yutoritomidori/zoo/introduction/19.html
http://www.ttg.net.au/monotrem.htm
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15.木こりの親方


 林を背にして、切り株に男の子が座っています。一人の人が彼の前に進み出て話しかけました。「親方、私は何を調べて来ましょうか」「そうだな、お前はその木にはどんな葉がついているか、よく調べて来なさい」「ヘイ、ガッテンだ」とその人は林の方へ駆け出して行きました。
 『木こりの親方』というネイチャーゲームの様子です。この活動は、木こりの親方の下で修行してきた弟子たちの卒業(採用)試験という設定の中で行う活動です。先ほどの男の子は、親方役に選ばれたのです。親方に選ばれた人は、年齢・性別に関わらず少し偉そうに振る舞ってもらいます。弟子役の人たちは、親方を立て、ひたすら親方に敬意を表して、親方に指図するなどという失礼な事はしません。親方の指示に従って、懸命(賢明)に調べて来るのです。もちろん、調査対象の木は、弟子たちだけが知っていて、親方は知りません。
 アッ!、さっきの弟子が帰ってきました。「親方、その木の葉は、大きさが私の握り拳ぐらいで(と自分の拳を見せています)、丸い形をしています。葉の周囲にはギザギザはありませんでした。葉の表側はツルツルしていますが、裏側は少しざらざらしています。」「よしご苦労であった」さっそく次の弟子が進み出ます。「親方、私は何を調べて来ましょうか」「そうだな、お前は胸の当たりと膝の当たりの幹の太さを調べて来なさい。」「ヘイ!」
 こうしてすべての弟子が調査を完了し、必要な情報が集まったと判断した親方は、背後の林に一人向かって行くのです。林には、条件にあいそうな木が幾つもあります。それらの中から、先ほどの弟子たちの報告を一つ一つ思い出して、絞り込みます。どの木か分かったら、弟子たちを呼び集めます。皆でその木を囲んで、どの弟子の調べ方が適格であったか、どの質問が役に立ったかなどを、ワイワイわかちあいます。真剣に調べたり、探したりしたので、皆にとって、特別の木になったようです。さあ、今度は親方役を交代してやってみましょう。
 実はこの活動は、広島県のネイチャーゲーム指導員、川上雅弘さん(福山市)の創作です。(社)日本ネイチャーゲーム協会に、公認されて、今年度全国の仲間に紹介されています。各地で実施され、大好評です。

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16.同じものを見つけよう


 林の中に人だかりがあります。何をしているのでしょうか。
 中心にいるリーダーらしき人が、ニコニコしながら足下のバンダナ(大きめのハンカチ)をそっと持ち上げると、その下にもバンダナが敷いてあって、落ち葉や木の実や何か不思議なツルのようなものが7・8個置いてあります。皆は、すごく真剣に見入っています。頃合いを見計らってリーダーは、またバンダナで覆ってしまいました。
 実は、バンダナの上に置いてあった品物は、この林の中に落ちているものだったのです。そして、取り囲んでいた人たちは、記憶を頼りにさっきの品物と同種のものを、周囲から探してくるのです。
 時間が来て、リーダーが合図すると、それぞれに、見つけたものを大事そうに持って戻って来ます。それぞれ、うまく見つけたと自信があるもの、探しても探しても見つからなかったもの、それどころかいったいどんなものがおいてあったのかどうしても思い出せないもの等々、色々な思いで帰って来ています。
 みんなが帰ってくると、リーダーはバンダナの下をごそごそと探して、一つ取り出しました。楠の落ち葉です。「さあこれと同じものを見つけてこれたかな?」それに答えて、それぞれに同じものだと思うものを差し出します。今度はさわったり、裏返してみたり、同じものかどうか相互に確認しあいます。中には、大きさも色合いも似ているのだけれど、別の木の葉を持ってきた人もいます。そんな人は、とりわけ熱心にリーダーの出したものを確認します。そして、なるほど、確かに似ているけど違うものだと、自分で納得しています。リーダーも、違っているからと「バカに」なんかしません。どこが似ていて、どこが違うのか、皆と一緒に原因を考えます。似て違うものがあることで、それぞれの特徴を、全員がより明確に認識することができる、これは大きなチャンスなのですから。さあ次の品物は・・・。
 この活動は、「同じものを見つけよう」と言うネイチャーゲームです。見本になるものを選ぶときにちょっとしたポイントがあります。色々なパターンのものを混ぜておくことと、多くの人が持ってくることで自然が大きなダメージをうけるものは避けることです。(落ちているものを中心にすると良いでしょう。)

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17.美しい自然と共に


 東の山の端が赤く色づいています。仲間と共に日の出を待って、静かに歌い始めます。「ヘイヘイヤーホ ヘイヘイヤーーホ ヘイヘイヤ ヘイヘイヤ ホホホホヘヤホヘヤホ ヤーヤーヤー」アメリカ先住民の、日の出を迎える歌です。彼らの伝統文化では、日の出は当然の事としてあるのでありません。一日の始まりを願い、歌い迎えるのです。繰り返し繰り返し歌いながら待つうちに、ゆっくりゆっくりと、太陽が昇って来ます。私の心の中には、言いしれぬ喜びが涌き起こって来るのを感じます。
 今日の人類は、なぜ自然(ネイチャー)に意識を向けるのでしょうか。自然の束縛からの解放を求めて来た近代文明は、その成功の裏側で、環境破壊と言う、自らの首を絞める営みを重ねてきたとも言えます。そのような中で、環境教育の充実が叫ばれています。地球温暖化にしても、オゾン層の破壊にしても、ダイオキシンの問題にしても、緊急で具体的な行動を必要としています。そのためには、問題を科学的に解明し、国民を教育し、適切な行動がとれるようにしなければなりません。このことは、紛れもない事実です。
 しかし、科学的論理的に自然を理解するだけでは、足下が危ういと感じています。地球という生命体の中で育ってきた人類の一員として、一人ひとりが森羅万象とつながって生きているという実感を復活させることが、大切なのです。環境教育の根底に、そのような実感が必要であると感じています。「すべてとつながっている」という実感抜きに、技術的側面だけで、問題を処理しようとしても、行動するエネルギーが決定的に不足することになってしまうのです。
 ネイチャーゲームの連載も、今回で最終回となりました。ネイチャーゲームは、自然との一体感を体験するという役割の一端を、果たすことができる活動であると、思っています。今後も、より多くの人と豊かな自然体験作りを、続けて行きたいと願っています。
 最近嬉しいことがありました。高屋川(神辺町)は、県内屈指の汚れた河川とされていて、河川浄化の取り組みがされています。その川に、清流にしか住めないというカワセミが戻ってきたのです。翡翠にもたとえられる、美しい姿を見ながら、まだ「終わっていない」と感じています。

自然と遊ぼう目次へ                END(ご精読ありがとうございました))

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