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自然と遊ぼう(ネーチャーゲーム雑感)
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    1998年8月から1999年2月にかけて、中国新聞の「自然と遊ぼう」にネイチャーゲームを紹介する記事を、日置光久さんと共に書かせていただきました。その中から私が担当した部分の、原稿を紹介させていただきます。

1.ネイチャーゲームってなに


 ネイチャーゲームは、1979年アメリカのナチュラ リスト、ジョセフ・コーネル氏によって発表された自然を直接体験するプログラムです。
 私たち大人の多くは、「子ども達に豊かな自然体験をさせたい。」という願いを持っています。ところが、そんな時、「自然の下へ子ども達をつれて行きさえすれば、こども達は自ら自然と豊かなふれあいをする」というのは、どうも机上の空論のようです。多くの場合、自然の中で、なにをすればいいのか途方に暮れている姿や、自然と直接関わる事なく、ただ野外で遊んでいる姿を見る事になります。ついには、ゲームボーイを取り出したりして、大人を落胆させる事になります。
 ネイチャーゲームは、そんなとき一つの手がかりを与えてくれます。四季折々の身近な自然の中で(あるいは大自然の中で)、五感を使って自然を直接体験するのです。しかも、大人も子どもも目を輝かして、わくわくドキドキしなが。あるいは集中して、深く自然と関わります。
 なぜ、知識量や体力が違う大人と子どもが一緒に楽しむことができるのでしょうか。それは、ネイチャーゲームが「知る」ことよりも「感じる」ことをより大切にしているからです。植物や動物の名前を知ること・覚えることは、有意義ですし、それなりに楽しいことです。でも多くの子ども達(大人も)は、名前を聞いてしまうとそれで終わってしまいます。そのものが、どういう名前かを知るよりも、「さわってみたらふわふわしていた」とか、「とてもいい匂いがしていた」とか、「命の不思議さに触れてハットする」といった事の方が、より深い意味があると思うのです。テストの問題にはならない事・人それぞれに感じ方が違う事の中に、人生にとってより大切なものが有ると思うのです。
 子どもにとって、自然の(生命の)驚異を、共に感じる大人が(父親でも母親でも先生でも隣のおじさんでも)少なくとも一人はいる事が必要です。まず私達自身が、そのような大人になれたらいいなあと、思っています。
 次回からは、具体的な、方法に触れながら、紹介して行きたいと思います。

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2.動物の気持ちを感じる


 子どもにとって(大人にとってもだが)「楽しさは学ぶ力」です。そして、その楽しみの中には、ゲームっぽくはしゃぎ回る楽しみだけでなく、たとえば自然の中に浸りきるという静かな行為も含まれています。
 前者の例に、「コウモリとガ」というネイチャーゲームが有ります。これは、コウモリの多くが超音波を利用して周囲の様子を認識し、獲物を捕らえているという事実を、体感する事のできるゲームです。
 超音波の事は、ちょっとした図鑑や教科書を見ると書いてあります。知識としては多くの人が、大なり小なり知っていることです。ところが、ネイチャーゲームをやってみようとやってくる人たち(世間一般の平均よりは自然に興味のある人が多いでしょう)ですら、聞いてみるとコウモリの実物を見たこと事が無いという人が多いのです。
 芦田川河口付近には、夕方には何百何千匹もの群舞が毎晩のように見られますし、そこまででなくてもあちこちで見られると言うのにです。現実に生きているコウモリに興味がもてていないのです。
 ゲームでは、メンバーの作る輪の中で、コウモリ役になる人は目かくしをし超音波の代わりに「バット(コウモリ」と叫びます。それを聞いた蛾(コウモリの大好物)役の人は、すかさず「モス(ガ)」と返さなければなりません。この帰ってくる音と、ガが動くことによって生じる音をたよりに、コウモリ役の人はガを捕まえる(タッチする)わけです。
 かなりエキサイティングなゲームになります。大人も子どもも、純粋にこのおいかけっこを楽しみます。そして、楽しんだ人たちは、音で「見ている」コウモリの事をすごいなあと感じ、実際に飛んでいるコウモリを見てみたいと思うようになります。その気持ちを持った人の前には、本物のコウモリが姿を現してくれます。
 そして、本物を見た時にも、本で超音波の事を知識として知っているだけの人に比べて随分多くの事を感じる事ができるのです。
 広島県では、毎年1回〔社〕日本ネイチャーゲーム協会公認の初級指導員養成講座を開いています。この講座では、基礎的な20のネイチャーゲームの中から18ゲーム位を体験し、理念を学ぶことができます。

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3.足元にある大自然


 人は立ち上がることで、遠くまで見ることができるようになりました。近ずく危険を感じ取り、未来の行動を計画する能力を手に入れました。ただ、その代償として足元の小さなものに対する感性を切り捨てて来てしまいました。
 その点、子ども達は彼ら自身が小さくて地面に近い所にいるからでしょうか、小さなもの目立たないものに興味を示し誰に強制されたというのでもなく凝視している姿を見ることができます。私たち大人が、子供時代に置いてきたそのような感性、見落としていた美しさを子どもと共に感じよう、わかち合おうという意志を持ったとき、すばらしい世界がよみがえって来ます。
 そんな気持ちを呼び戻してくれるネイチャーゲームの一つに「ミクロハイク」が有ります。足元の草むらに1メートル位の糸を設置して、ジャングルの中の道に見立てます。そこで用意していた虫メガネを取り出します。気分はミクロの探検隊です。足元の何気ない草むらが、たちまちジャングルに変身します。
 白い道をたどって行くと、なんとも不思議な風景が次々に現れます。草の葉の裏にはビッシリと産毛のようなものが生えています。クモの巣は空中に張り巡らされた輝くロープです。草露は太陽の光を浴びてキラキラと美しく、どんな水晶玉も宝石もかないません。その上、露の中に写る周囲の風景もまた不思議と美しいのです。
 そして、突然現れる虫達はそれはもう森の怪物です。突然の出現に驚いて、悲鳴を上げたり飛び退いてしまう人さえ現れます。そしてもう一度ゆっくりと近づいて行きます。じっくり見ると、なんと面白い形をしているのでしょう。足の先のトゲトゲ、虫の目のきらめきに、今度は引き寄せられていきます。
 虫が近づくだけでキャーキャー言ったり、汚いもののように言っていたお母さんが生まれて初めてじっくり見ています。(もっとも、小さかった頃には、花や虫をじっくり見ていたのかもしれませんが)
 ひとしきり冒険が終わると、大人も子どもも一緒になって出会った不思議を紹介し合います。同じような体験をしたことで、大人も子どもも共通のものを持つことになり、豊かなわかちあいの時を持つことになるのです。

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