自然と遊ぼう3(ネーチャーゲーム雑感)

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7. 流れの中で伝える


 ネイチャーゲームは、それぞれ楽しいゲームですが、子どもたちを自然の中に連れていってネイチャーゲームをやりさえすればうまくいくとは限りません。個々のゲームは、どのような人に対しても無条件で効果が保障されるというわけではないのです。人はその人の状態によって受け入れられるものが違うのです。
 ネイチャーゲームの大切な考え方の一つに、フローラーニングという考え方があります。流れ(フロー)で学ぶ(ラーニング)というものです。通常、最初は子どもたちの気持ち(意識の状態)に合わせて、まず自然への熱意を呼び覚ますような活動を用意します。その上で感覚をとぎすます活動、自然との一体感を実感するような活動、さらにはそのような実感を他の人たちと共有するといったレベルまで進めることができれば、さらに楽しみが深まります。このフローラーニングの考え方に基づいて自然と参加者の状態を考慮に入れてプログラムを組み立てていきます。
個々のネイチャーゲームも、プログラムの考え方も、体験することによって具体的に理解していただけると思います。そこで、(社)日本ネイチャーゲーム協会では、文部省や環境庁やレクリエーション協会等の後援を得て、毎年10月の第3日曜日(今年は10月18日)を基準日として、全国一斉に「親子で楽しむネイチャーゲーム大会」を実施しています(1998年は全国127の会場)。9時30分受付開始、10時開会、12時30分閉会という日程になります。参加費は大人400円子ども300円(傷害保険料等を含みます)です。今年は「地球と遊ぼう、自然と話そう」をテーマに各会場ごとにプログラムを組み立てています。広島県内では3会場で実施します。西部では県立緑化センター(問い合わせ先:すみよしtel:082−273−4863)、南部ではグリーンヒル郷原(わせ0823−71−3568)、東部では春日池公園(おおつ0849−41−1728)を会場にそれぞれ開催します。ご家族であるいは友達と、こどもだけ大人だけの参加もOKですので、お気軽にお越しください。なお、岡山県、山口県でも開催されます。

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8.暗闇を楽しもう


 私にとって、暗闇はさほど怖い存在ではありません。一人で山小屋の夜を過ごす事にも、森の中で何日か一人野宿の夜を過ごす事にも特別の決意を必要とすることなく、楽しむことができます。しかし、世の中の多くの人にとっては、夜の森は楽しみというよりも恐怖の対象であることを知っています。そのような状況を残念に思いながらも、ネイチャーゲームと出会うまで、私が子どもたちに提供していた夜の活動といえば、キャンプファイヤーや肝試しでした。
 キャンプファイヤーは今でも大好きな活動の一つです。闇の中に燃え上がる火と取り巻く仲間の盛り上がり、大地に返っていく火とその火を見つめながら静かに人生を考えている時、ひっくるめて大好きです。ただ、自然の中で大火を焚くことや、ばか騒ぎをすること等の問題点が、数十年前から指摘されだしました。今では、不必要に大火を焚くことはしなくなりましたが、自然の中で生の火と接する喜び、「ばか騒ぎ」が人の心に与えるプラスの効果を知っているからです。
 一方、肝試しは、もう長いことやっていません。もちろん、子どもたちに試練を与え、それを克服する経験を積ませることは、大切な事です。ただ、そのことによって、子どもたちから、闇の静けさや優しさを味わうという、もっと上質の喜びを奪ってしまうことが耐えられないと思うようになってきたからです。
 ネイチャーゲームの中に、「暗闇を照らせ」というゲームがあります。まず、狩人が獲物に近づくときの歩き方を練習します。森や草原で足下にいろいろなものがある中で、獲物を注視しながら、足下の音源になるようなものを巧妙に避けて獲物に近づく歩き方なのです。この練習をしているだけで、気持ちが集中してきます。
 この歩き方で、番人(目かくしをして懐中電灯の光線銃を持っています)が守るエリアを通り抜けるのです。足音はもとより、息づかいや気配まで消して進みます。歩いている人たちだけでなく周囲の人たちも固唾(かたず)をのんで見守っています。交代して繰り返すうちに、全体の集中がどんどん深まってきます。それとともに、暗闇への恐怖感等という雑念も薄らいでいくのです。
 ゲームが終わったら、夜の森や野生動物に出会うことを楽しみに出かけることにしましょう。

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9.ロールプレイ


 さあ目を閉じて、ロールプレイをしましょう。あなたは、大空を飛ぶトンビです。翼をしっかりと広げて、羽ばたきを止めて、ゆっくりと大空を回っています。頭の中で想像するだけでなく(少し恥ずかしいけれど)翼のかわりに両手を広げるなど、仕草もまねてみましょう。風がゆったりとあなたの周りを吹き上げて行きます。微妙な風の変化を身体全体で感じて、上昇気流を逃さないようにします。ゆったりと回りながら、地上を見ています。地上までの距離は80メートル、いや100メートルを超しています。それでも、あなたの鋭い目は、地上の様子をしっかりと見分けることができます。獲物のアオダイショウが岩の上でひなたぼっこをしているのを見つけました。さあ、獲物めがけて急降下・・・・。
 今度は冬眠中のクマになってみましょう。獲物をねらうカマキリも良いですね。動物ばかりでなく植物になってみるのも良いですよ。風にゆれるススキや風に舞う枯葉なんてのも楽しいですね。生物でなくてもOK。何万年も座り続ける岩になってみるのもおもしろいですよ。
 ロールプレイによって、他人の役割を演じてみることは、他者理解にとって非常に有効な方法ですし、自己の問題を掘り下げるのにも有効な方法です。例えば、母親の役割を演じることで、子どもは、自らが抱える問題を自発的に気づくことができます。この方法を自然界に広げてみると、自然の中にあるヒトとしての自己理解を深めることができます。
 すっかりその生き物になりきってしまうと、外から見ているだけでは感じることのできなかったことを、感じることができます。その生き物の特徴や感情まで分かってきます。深く深く集中することで、共感を持って自然を理解ることができます。「わたし」が本質的には自然と一体だということを実感できるようになります。実感として、自然との一体感を持てることは、とても豊かで、幸せなことです。
 このネイチャーゲームを、一人で気が向いたときに楽しむことができるようになると最高。いつでも豊かな一人の時を過ごせるようになります。仲間や家族と一緒にもできます。一緒にやっていると、恥ずかしさも薄らぎます。特に、仕草をまねている時、他人に見られても仲間がいれば大丈夫。というわけです。

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