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ネイチャ−ゲーム主任講師の旅日記05

おぉナマフクロウだぁ、さすがホッカイドー
「主任講師は何をしに全国にでかけているんですか?」
「それはね、ネイチャ−ゲームの講座のプログラムをしに出かけているんですよ」
「そうですか。毎回同じことをやっていますが、楽しいですか」
「モチのロンです。多分他の主任講師の方も答えは同じだと思うのですが、
多くの人との出会いといろいろな自然に出会えるのが楽しみです」

このホームページをお借りしていますモヤさんのタイトルも「人が好き自然が好き」でしょ。
そう、毎回同じゲームを同じセリフで実習してはおりますが、季節が違う、自然が違う、一緒に楽しむ人が違うとくれば、毎回発見があり、どの講座も大切にしたい想いが残りますので、その魅力の一つである「新しい土地での自然体験」は、まぎれもなく主任講師の醍醐味であるのです。
これは、堂々と胸をはって言ってもいいでしょう。胸囲100センチの胸を!ってただのデブかぁ?だって、自分自身でまず楽しまなければ、その楽しさは参加者には伝わりませんからね。
よく講座のアンケートで「山口さん自身がネイチャ−ゲームを楽しんでいる」なんて書かれることがあるのですが、「だって、楽しかったですモン」とお返事したいぐらいです。

じゃぁ、どんな自然が印象深かったのかと振り返ってみますと、「あれもこれも」としか言いようがありません。その中から、今回は野生動物と出会った講座についてお書きします。

どんな動物にしろ「野生」の状態で生きものを見ると心がワクワクするものです。それが動物園でよく見かける動物だろうと、動物園ですらまだ見たこともない動物だろうとかわりはありません。いや、正確に言えば「全く初めて!」のほうが驚きは大きいでしょうか。その初めて動いている姿を見た!動物がありました。

場所は沖縄県。いわずと知れたヤンバルクイナやイリオモテヤマネコ等の希少動物をはじめ、本州にはいない生きものが多く生息する地域です。ハブやマングースでさえナマで見たことのない私ですが、この時のあの生きものを見た時は「初めて」ゆえの感動がありました。
沖縄県立名護青年の家という講座の会場である施設の敷地内で、とあるネイチャ−ゲームを実習していた時です。森の中ではなく、広場でみんなとゲームを楽しんでいました。もう夕暮れになろうかという時間でした。
この沖縄に訪れた時は12月の中旬だったのですが、やはり南国。日中は半袖で外に出ていた記憶があります。さすがに夕方になると涼しくなってきましたので、半袖というわけにはいきませんでしたが、それでもポロシャツで過ごせました。
そんな季節のそんな時間に、まだ明るい空をふっとよぎる黒い影が目の中に飛び込んできました。瞬間「カラスか」と思いましたので、そのままゲームの話を進めようとしましたら、参加者の一人が「おぉ、コウモリだ」と口に出しました。
「えっ?コウモリって?」
私の手は止まり、ゲームも止まり、しばしその姿を追っていました。「コウモリだって?でもこんなに大きかったよなぁ」と心の中で大きさを計測した私は、「コウモリですかぁ」と、初めて見る大きさに思いを馳せました。
一方、参加者は平然としています。「あぁ、オオコウモリだ」と言う、口調が、私の言う「あぁ、スズメかぁ」というレベルと同じなのです。
つまり、もうさんざん見慣れた生きものとしての存在ですね。だからうらやましいとか、だからすっげーとかいうことではないのですが、何かにつけ「初めて」というのは、それなりに感動が発生します。

ネイチャ−ゲームの講座で行う実習ゲームの中に「コウモリ」が登場してくるものがあるのですが、そのコウモリは、目がよく見えなくて超音波で獲物を捕まえる、そんな技をもった最も小型のコウモリがモデルなんです。ですから、カラスのごとくわっさわっさという感じで飛んでくるこのオオコウモリとは違う種類です。むしろ、いつものセリフで言っている小型のコウモリがこの沖縄に野生でいるのだろうか−そんな疑問も沸いてきました。その時は、もう「講師」の頭になっちゃってんですね。「おぉ、あぶない。思わずいつもの調子でいつものセリフを言っちゃっていたら、参加者から訂正されていたかもしれねぇなぁ(心の言葉ですので少し言い方がきたないですが、ご了承のほどを)」なんて冷や汗も流しました。
やはり沖縄、本州とは生態が大きくちがうことをもっと勉強してから来ればよかったでしょうか。
ちなみに、墓穴を掘ったこともやってしまいましたので、後生のために恥を忍んで少し書きますと、「あっそうだ。結論を先に申しますので、これを読まれているあなた!正直に「そんなの常識じゃない、知っているぜ」と心から言えるか、それとも「あら、そうだったの?知らなかったわぁ」となるか、どうぞ答えてみてください。





「沖縄には野生のリスがいない!」

「当然よ」と思われた方はここでさようならです。今まで読んでいただきましてありがとうございました。「知らなかった」と思われた方、同士ですね。さらなるお話を聞いて下さい。

「どうぶつのおとしもの」を探すゲームをやっていて、みんなが戻ってきたまとめの時のことです。「○○は見つかりましたか」「○○はどうでしたか」「○○はどのへんにありましたか」などと聞いているうち、「どうぶつのおとしものは何か見つかりましたか。私はさっき、あそこの道を少し入ったマツの木の下で、こんなものを見つけましたよ。どうぶつのおとしものって言ってもいいかもしれませんね。それとも「だれかのたべあとひとつ」の方になるかな。これはですね、リスがまつぼっくりをかじった後の芯ですね。リスは、まつぼっくりのこの笠の間に挟まっているタネを食べるんですよ、そのために笠をひきちぎってね…うんたら…かんたら…」なんていつものように得意気に話していたら、一人の参加者が、真顔で「へぇ、やっぱり野生のリスがいたんだぁ」とぽつり。
聞き逃しませんでしたよ、この思いもよらなかった一言。
「えっ、ちょっと待ってください。リスって沖縄にいないん…ですか…?」
「確か○○海浜公園には放し飼いされているのがいたと何かで知ったのですが、野生は知らなかったです」すぐ他の人にも聞いてみました。
「確か今まではいなかったようだが…」と歯切れの悪い答え。
そりゃそうだ、講師が食べ跡の現物を目の前に示して解説をしているのですから、
「違うんじゃない、この人の言っていること」
「知らないんじゃないのぉぉぉぉ、この人」
とは、あからさまに言えないんですよね、参加者の方も。気を使っちゃって。でも、その様子はこっちが察したので、しばらくそのゲームのまとめを止めて、正解を導き出す時間となった。
多くの人の知っている情報を集めた結果、沖縄には野生のリスはいないということ。
「じゃぁ、このエビフライ(まつぼっくりのかじり跡がその容姿から野外活動の業界では通称こう呼ばれています)は誰がかじった跡だ?」と新たな疑問。
手に乗せたり臭いをかいだりした結果、「きっとこれはマングースの食べ跡だ」と、事務局の方が教えてくれました。さっき階段のところでマングースのフンが落ちていたから、多分この森にもいるでしょう。ということでした。

なにせ私の人生にとって初めてのオキナワ!藤原紀香とはご一緒していないとは言え、いろいろ収穫の多かった3日間でした。
あっ、こんな調子で講座やっていますが、他の方は私よりずっと物知りですから、そこんところどうぞよろしく。

ってな調子でオキナワとくれば次はホッカイドーですね。やはりこの2つの島には本州にない大きな魅力がいっぱい詰まっています。
北海道の講座の会場は、支笏湖畔でした。でも、すっごく広いというイメージはありません。どこにでもあるような雑木林(植生はもちろん本州と違いますが)と、その木々の間から見える湖といったところでしょうか。きっと「雷波少年(NTV系)」の「チューヤン・ジャパンツアー」のように出発地から目隠しをされて連れてこられたら、「ココドコ?」
「オォ、ミジュウミガアルヨ」と言って、この地が雄大な面積を持つ北海道であることは予想がつかなかったであろう。この施設近辺の森の様子だけなら、きっとそう思っていた。ある動物と出会うまでは…。

シマリスである。
本州のタイワンリスより一回り小さくて、私たちが「リス」と聞いて最もよくイメージするあのリスである。背中に縦長くシマがあり、ディズニーキャラクターのチップとデールの姿をしたかわいいリスなのである。それが、遠くてちらっというレベルではない。
「さぁ、次の実習は外で行いますので、準備のできた方から外にどうぞ」と言って、「講師たるもの、先導をきって外で待ってなければいけんね」というたいそうすばらしい心構えでみんなより一足早く外にでた。施設の玄関の真ん前である。出た瞬間「リス」を目撃した。
しかもこ〜んなに近い距離、しかもしかも一匹ではない。
「あっ、あそこにも、こっちにも」てな感じで、生懸命何かを口に入れて、ぷ〜っぅという、ほっぺたを思いっきり膨らませた表情を見せてくれたのである。
人を怖がっている様子はことさらなく、こっちも思わずじっと見つめてしまう。女の子の参加者が口々に「いやぁ、かわいい」「きゃー」と言ったのはいうまでもありません。

その後も玄関前で集合するたびにリスは私たちを歓迎してくれました。ついでと言ってはなんですが、キツツキ(何ゲラだったかは忘れました)もすぐ手前の木でドラミングの勇姿を見せてくれました。どちらも初めてではないにしろ、野生の状態でこんなに近い距離で見られるなんて興奮ものでした。リスは、東京の町田というところに「リス園」があり、昔遊びに行ったことがあります。ここでは、ひまわりのタネの入った袋をいくらかで買って、手のひらに乗せたタネをリスが食べてくれるってこともできます。もちろんゲージの中に人間も入りますので、野生ではありませんが、お近づきになれるという点では、動物園より見ていておもしろいです。

前足というか手で何かをちょこちょこして口に含み、それが何回も重なるに従ってほっぺたの大きさも膨らんでいく−そんな様子を、手を伸ばせば触れそうなくらいの距離で見せてくれているのです。一挙手一投足に釘付け!っていう感じでした。

で、いよいよ本日のメインの話になるのですが、それは夜中の2時のことでした。事務局の方が「ねぇねぇ起きてみない。フクロウがきているよ」と、熟睡している私たちを起こしてくれ、そぉ〜っとその木まで歩いていきました。あたりは霧が立ちこめて実に神秘的。案内していただいた方が懐中電灯を向けた先には、確かに一羽のフクロウがこちらを向いてとまっていました。懐中電灯の灯りがぼわーっと拡散することなく、ちゃんとその姿を包んでいましたので、距離もそんなに遠くはありません。地上からの高さ10メートルくらいのところの横に伸びた枝にいました。
ついに「ナマフクロウ初体験!」
今まで声だけは幾度となくいろいろな森で聞くことができましたが、姿をはっきりととらえたのは、まさにこの時が初めてでした。こっちには人間が数名、あっちにはフクロウが一羽。お互いじっと見つめあってます。
「おまえたち何見てんだ、って感じだよね。がははははは」と事務局の方。
そのうち耐えきれなくなったのでしょうか、フクロウが顔を縦に動かし始めました。「おい、まぶしいからヤメロヨ」と訴えているようにも感じました。しばらく顔を動かした後、後ろを振り向いてファン!と森の奧へと姿を隠しました。
フクロウは羽の音をさせないで飛ぶということは聞いていましたが、やはりそれは自分の耳で聞かないと実感として残らないものです。テレビやビデオで見ても感動も何もありません。
しかし、この時はっきりと聞いたのです。音のしないフクロウの飛ぶのを!と書いておかしいですね。聞こえない羽の音が、どうして「はっきりと聞こえた」のでしょう。
「その時、音をたてずに飛び去るフクロウの姿」をまのあたりに見て、そうとう興奮していたのでしょう。ってことですね。音がしなかったことをはっきりと確認した、ということでしょうか。

ネイチャ−ゲームの講座で、(私が)まず最初に行う実習ゲームでは、一枚のカードをもとにお互いの自然体験や考えについてインタビューしあう、そんなゲームがありますが、そのカードに書かれた質問事項の中に「森の中で動物に出会ったことがありますか?」という項目があります。一緒に輪に入ってこの質問を参加者から受けた、たいがい私はこの時のフクロウの体験談モロボシダンを話します。まだ野生のフクロウを見たことがない方が多く、私の話を一生懸命聞いてくれています。やはり、いろいろな自然の中に出かけるとこのように際だって印象深い野生動物に出会うチャンスがあるってことですね。彼らとの出会いは、多かれ少なかれ私の人生を豊かにしてくれています。
こんな出会いがあったのですから、ここはどこぞの雑木林とは違う、やっぱり北海道の森となって私の記憶に残りました。

沖縄と北海道、どちらも王国ですから、こんな出会いがあったのかも知れません。でも、本州でもあるんですよ、多くの動物との遭遇が。

次回は、フィールドそのものの魅力について語りたいと思います。


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ネイチャ−ゲーム主任講師の旅日記06

「ニッポンの自然は四季があって、そりゃいいモンだ」

ネイチャ−ゲームの世界に入ってから目覚めたものはいっぱいあります。
コウモリでしょ、
昆虫の擬態でしょ、
タネでしょ、
動物のフンでしょ、
絵本でしょ、でしょでしょって感じで、それはもう脳がほどよく刺激されています。
言い換えれば、今まで自分で気づかなかったいろいろな世界がズバズバ怪傑ズバット吹き出してきたとでも言いましょうか。
実に波長のあう興味をそそられるネタが多いのです。
その一つ「タネ」なんか、もう病みつきになりました。
おかげで家の棚には、あちらこちらの森で拾ってきたタネが
♪わんさかわんさか、イエ〜イイエ〜イ、エイエ〜イ!(このフレーズをご存じの方はリズムよく読んでくださいね)ってなもんで、一つずつ並べながらニヤニヤする姿は、あやしいコレクターと化しております。
有志の「タネ倶楽部」なる会の会長を名乗っていますが、今まで個人活動しかなく、落ちている時期に出かけては拾って帰ってくることの繰り返しです。先日も、拾ってきたタネを拾ってきた状態のままビニール袋に入れて放置していたら、たぶんそのタネから出てきたと思われる小さないも虫が窓を歩いていました。
ありゃりゃ、こんな調子ですので、いつ我が家の中で成虫になるかわかったもんではありません。
ですので、私の棚は、タネのコレクション(ちゃんと陳列していまっせ)と、
もう一つの趣味であるTDLのスーベニアカップコレクション、
さらには仮●ライダーガシャポンシリーズが所狭しとぎっしり並んでいます。

このような一部怪しい?趣味へ走り出したのも、ネイチャ−ゲームを知ったからこそです。地元でのいつものフィールドの活動でもその魅力はじゅうぶん感じられましたが、主任講師となって全国へ渡り歩くようになってからは、それに輪がかかるほど世界が広がりました。

予告編でも申しましたように、ネイチャ−ゲームの講座は全国で年中行われております。
それはそれは、野外活動=夏という、私の今までの活動範囲をはるかに超えて魅力的な世界を演出してくれました。
4月の鳥取県でツクシの群生に!
5月の山梨県での蒼い葉と青い空
6月の新潟県では草についた無数の水玉の芸術作品
10月の宮城県、遠くから眺めた緑から赤へのグラデーション
11月の岐阜県では紅葉黄葉の木々のトンネル
12月、落ち葉いっぱいの大地に埋もれる
2月の梅林で匂いに敏感になる
3月、野焼きの後の息吹を感じる阿蘇の山並み
など、その季節ならではの自然を堪能できました。
これは、堂々と胸を張って言える「主任講師の特権」であると思います。
すてきな自然との出会いは、心を大きく広げてくれます。癒してもくれます。
この自然の中で多くの参加者とネイチャ−ゲームを楽しむという魅力は何とも言えない喜びです。
さらなる講師の特権として、その自然を一人で味わう時間が必ずあるということも忘れてはなりません。
それは「下見」の時間です。
初めて訪れた地で講座を行う時が多いですから、まず下見をしてどこでどんなゲームをしようか、とかここはかぶれる木や危険な生きものがいないかなど、いろいろなことを考えながら周りのフィールドをとりあえずすべて歩きます。
一人の時もあれば、主催スタッフの方が一緒の時もあります。
一人の時は地図を片手に自由に歩きます。ちょっと気になったところでは立ち止まり、時としてその場にしばらく寝ころんでしまうことだってあります。
この空を見上げてぼーっとする時間が非常に心地よいんですよ。
「2時間ほど回ってきますから、4時ごろには戻ります」と言って森の中入ります。
もちろん、途中気になったものが落ちていたら、コレクションの仲間入りです。
タネしかり、エビフライしかり、葉っぱしかり…
一方、何人かと下見する時は、「あ〜っ、見てほら」「すごいすごい」「ここいいねぇ」などと気に入ったところ相手構わず呼び止め、見つけたものを紹介しています。また、地元の方ですから、自分が知らないものは、「これ何ですか」「どうしてこんなになるのでしょうねぇ」などと知らないことを遠慮なく聞けるのも魅力です。

この下見の時「参加者がいない」ということは、言い換えれば、講師として構えなくてもいい時間なのです。自分の素を出して森の中を歩けるという至極の時間でもあるのです。
まずこの時間を堪能してこそ、今の季節のこの自然を気に入ってこそ、これから始まる3日間の講座がすばらしいことになると思っていますので、まず「素敵な部分をいっぱい吸収する」ところから始まります。
この時間が慌ただしく過ごすと、上辺だけなぞってしまう進め方になってしまうのではないかと心配します。
ネイチャ−ゲームの考案者であるコーネルさんは、必ずゲームの指導の前には心を落ち着ける時間を大事にとります。それは「瞑想」という形で行われている様です。
私は静かに座って心落ち着けるということはしておりませんが、こと講座では、これから活動するフィールドの様子をできるだけたくさん吸収するよう心がけています。
ゆっくり歩きながら今の時期の自然を堪能しています。

新緑や紅葉などに代表される「すばらしく美しい時期」に遭遇することもありますが、それだけではありません。
言ってしまえば、一年中魅力なのです。
同じ会場に春と秋にでかけて時は圧巻でした。茨城県のその会場は、何回か6月の緑がまぶしい季節に訪れて講座を行ったことがありました。梅雨の時期だと言うのに、天気がいい日は青い空と緑のコントラストが抜群にきれいです。他の季節の様子を見ていないからかも知れませんね。気が向けば「ちょっと寄ってみようかなぁ」という距離でもありませんので、なおさらでしょう。
しかし、昨年の秋に、この同じ会場で講座に出かける機会がありました。
「実は秋に来るのは初めてなんですよ」といいつつ、勝手知ったるフィールドに下見に出かけます。施設の裏手、坂を降りたところにそのフィールドはあるのですが、初夏の頃には目にも止めなかった光景が目に飛び込んできました。
見事に葉を広げたカエデの木が、すばらしい色を讃えていたのです。緑、黄色、オレンジ、赤のグラデーションが一本の木で味わえました。
すぐさまその木へ歩み寄り、しばし見上げる。あんまり首をあげていると疲れるので、その場に仰向けに寝だす。とある秋の金曜日の午後に、誰もいないところで一人静かに思いにふける。
これって贅沢だと思いませんか。
さらに下の雑木林へ出かけると、すっかり葉を落とした木と、かさかさに乾いた落ち葉が一面に積もっています。これも贅沢です。
まず、自分がその落ち葉の上に身体を横たえ、枯れ葉の匂いに顔を包まれつつ、しばらく空を見上げる。と、初夏の「動」なるイメージに対して今は「静」な雰囲気が身を包む。
こんな時間が持てるのです。
きっと冬になれば、春になれば、また違った表情をするのだろうなぁ、そんなことぐらいわかっていても実際まだ見てないからなぁ、見てみたいな、来てみたいなぁ、と願ってやみません。だからと言って主催者に「今度は冬にしましょうね」なんて言うことではありませんよ(笑)。

ネイチャ−ゲームの活動をするようになってから、私は野外活動=夏というイメージが崩れ、今は「秋から冬の森」に魅力を感じるようになりました。
だって、
落ち葉がいっぱいあるでしょ、
タネが落ちているでしょ、
実が落ちているでしょ、
色とりどりでしょ、
人が少ないでしょ、
雪の上に動物の足跡が見られるでしょ、
空が澄んでいるでしょ、
富士山が美しいでしょ、
人がいないでしょ、
蚊もいないでしょ、
ってなもんで、自然観が変わったかもしれません。

また、季節云々ではなく、雨の森も好きだということを付け加えておきます。
6月の新潟県に伺った時は、講座の最中小雨がずっと降り続いていました。晴れていたら施設の後ろには妙高山がくっきりと姿を現してくれるというポイントだったのですが、何にも見れません。でも、雨だからこそすばらしい世界にも遭遇できました。
ちょうど虫メガネで小さな世界の探検をしよう!というネイチャ−ゲームをやっていた時です。
霧雨が草をぬらし、やがて水玉になってくっついているのを発見しました。
その水玉は草に「表面張力」とでもいいましょうか、まん丸にくっついているのです。普段なら頭で理解して「あぁ、水玉がある」程度で終わってしまうのでしょうが、この時は虫メガネという武器を持っていました。チャンスです。ぐぐぐい〜っと顔をくっつけていきます。虫メガネは、ピンクパンサーのクルーゾー警部のように片方の目にぴた〜っとくっつけています。
つまり、虫メガネのピントは、虫メガネを動かして合わすのではなく、顔を近づけたり離したりして合わせているのです。ピントがぴたっと合った瞬間、その水玉だけが視界にどっか〜んと飛び込んできました。
透明で輝いて、向こうの景色が見えてきました。雨具を着ていますので、洋服が濡れるとかびしょびしょになって気持ち悪いとかいうことは全くありません。一粒を大きく見ると、このような光景ですが、その草には全く同じ大きさの水玉が何百もついているのです。しかも、みんな等間隔で一列にきちんと並んでついています。いつ来ても見られるという光景ではありません。雨が降り始めた時でもダメ、大粒の雨が降り続いてもダメ、今だからこそ、そして虫メガネを持っている偶然が重なって、私はこの芸術品を堪能できたのです。
興奮しました。すぐにでもみんなを呼んで紹介したかったのですが、ぐっとこらえてしばらくは一人で楽しみました。もうじゅうぶん楽しみましたね、と心が落ち着いてから「みんな来て、これをぜひ見て、すっごいきれいだよぉ」と声をかけました。わあああぁっ〜と、近くの参加者が寄ってきて、その水玉を見てもらいます。私は後ろで立ちながら「ねっ、美しいでしょ」「きれいだよねぇ」と暗示をかけていました。
草に連なった水玉は、人の動きではじけてしまいましたが、みんなに見てもらえて喜びも驚きも幾年月(いくとしつき)となりました。

さらに、夜の森もネイチャ−ゲームの活動で好きになった空間です。
ことスギの木のようなすらっと伸びた針葉樹の森で一人静かな時間を過ごす時の心地よさといったらたまりません。
モヤさんのように、一人で山に登っては夜の森を楽しんだという趣味を持っていたわけでもなく、まして東京都新宿区、日本一の繁華街と言われる歌舞伎町のすぐ裏に生まれて育った環境では「静かな夜」などなかったのですから、大人になってから目覚めた一つということになります。
ネイチャ−ゲームそのものの楽しさもありますが、ネイチャ−ゲームを通して体験した自然が、今私の心の中で味わい深いものとなっております。そんなことも合わせて伝えられたらいいかなぁ、なんて思いつつ、今日もどこかの会場に呼ばれるのでありました。

おまけ:
日本にはくっきりはっきりと四季がありますが、大人になるとケッコウこの感覚が麻痺してきちゃうんでうよね。技術の発達により一年中食べられるようになった果物や魚、冷房をはじめとする家電の普及によりなくなった季節感…野菜にしても果物にしても魚にしても、“旬”ってあるじゃないですか。
「この時期ならでは」
「今が一番」っていうのがあります。
食いしん坊の私ですから、こと魚に関しては
「初夏のカツオ」
「冬のブリ」には目がありません。

最近、四季の移ろいが妙になつかしく感じられ、それらに出会うことが快感となりつつあります。
ネイチャ−ゲームの活動が、四季を感じる有効な手段であるとも感じています。
四季の行事などは子どもの保育園行事でしっかり感じることができます。ちゃんと七夕飾りをしたり、ちゃんと豆まきをしたりということですね。
少し前の、確かJRのCMだったと記憶していますが、
「寒いところは、寒い時が一番いい」というようなコピーを見たことがあります。私はいたくこの言葉が気にいっています。
その土地の一番いい時期があるのですね。
余談ですが、近年では新潟県の豪雪地帯で「雪降ろしツアー」や「山形県の「地吹雪体験ツアー」が人気がある、なんて話しを聞いて「私もぜひ」と思っています。

さて、そんな季節を思う心は、現地に出かけなくても楽しめます。
最近足をつっこんでいるのですが、俳句の世界が季節と切っても切り離せない関係にあるようです。言わずと知れた「季語」ですね。
この季節や自然の状態を現す言葉の響きが今私の脳にとても心地いい刺激を与えてくれています。
例えば、さきほどの新潟で出会った「霧雨」という言葉。「雨」といっても百何十あるらしく、それぞれの季節感が感じられます。きっとこれらの言葉をうまく使いこなせたら、自分はもっと豊かな心になれるのではないか、という期待まで持っています。
これを、学校の国語のような形で覚えようとすると苦痛になるので、お気に入りの本を手元に置いて、時々眺めながら楽しむ、ということをしています。
『空の色』
『草木の本』
『色々な色』
『文学の風景』
同じ出版社からでているこの一連の本がとても気に入っています。

ネイチャ−ゲームの活動の中で「森の中で読みたい本がありますか」ということを質問するゲームがあるのですが、
「はい、『色々な色』というシャレみたいな題名の本があるんですよ。
これはですね、まさに色々な色についてを季節感を通して紹介してくれているおもしろい本なんです。何百色とありまして、各色ごとに、名前とその標準の色見本とその色を代表する自然や動物の写真で紹介されています。で、おもしろいのは、色見本が載っていない色もあるんですよ。何色だと思いますか。確か本に載っている数百色の中で3〜4色だけなんですが、一つは『時雨の色』なんです。
しぐれ色っていうのは、青とか赤みたいに「この色!」と決まっている色ではないんですね。でもその色の写真は載っているんです。この本を読んでいると日本語っていいなぁ、なんて思っちゃいますね。今度ゆっくりする機会がありましたら、ぜひこの本を持って行ってみたいですね。少々重いのですが、この本はシリーズになっていて…」と語ってしまうこともあります。

いずれも一冊3000円はする高価なものですが、自分の手元に置いておきたい、そんな本です。よろしかったら本屋で見つけてみて下さい。自然コーナーまたは写真集のコーナあたりによく置いてあります。
あっ、私は出版社の回し者ではありません。

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主任講師の旅日記07

「直行チョッキの原則」


前にもお話をしましたように、講師は施設へ直行し、講座を終えて帰ってくるという
のが仕事です。たいがい金曜日から始まる講座は、その日の早朝または前日の夜入り
するのが通例となっています。前日というのは木曜日ですので、ただでさえ金曜日の
業務を休んででかけているのですから、木曜日まで休んじゃうというのは、ほとんど
難しい状況なのです。まして講座前の多かれ少なかれ心が緊張している状態ですか
ら、講座にかこつけて「一日早く行って遊んじゃえ」なんてことはまず考えていませ
ん。
また、講座が終わった後も「せっかく来たのだからどこか見てから帰ろうかなぁ」な
んて、考えられないこともありませんが、原則として行って帰ってくるをモットーに
行動するようにしています。
そうは言っても上級になった頃には、「今度は○○県かぁ、近くには温泉あるのか
なぁ、あぁ、まだ行ったことなかったけれどあそこ近いよなぁ、一泊すれば寄ってこ
れるかなぁ」なんてことも考えましたが、出不精が幸いさてか、いつも夢物語で終
わってしまったことが多いように思われました。
講座で使ったエネルギーは、やっぱり家に帰ってこないと補充できないって言います
か、翌日ゆっくり家でごろごろしていないと疲れが抜けないって言いますか、そうい
う身体なんですね。
ん?ただのデーブってか?そりゃないっすよ。
「8番、キャッチャー、ゴキブリ!」

そんなこんなで、なるべく直行チョッキするよう心がけています。チョッキと言って
もベストじゃないよ。「ちょっき」って入力して実行キーを一回押したらカタカナで
「チョッキ」と出ているだけだ。ちなみに2回押してみたら「直帰」とでましたわ。
あなたのパソコンはいかがですか、ヒマな時に試して見て下さい。

実は、なるべく帰るというのは、疲れのこと以外にも先輩指導員のこんな一言があり
ました。
「昔、事務局の人に空港から車で迎えに来てもらって施設へ向かう途中に「今回はど
ちらへ寄っていかれるんですか」なんていきなり聞かれちゃって、ドキッとした
ねぇ。まるで講座がついでで立ち寄りが目的で来たみたいに思われちゃって…」と何
かの時にそんな話しを聞いたことがあります。
そんな話しを聞いて、「そうだよなぁ。一生懸命参加者集めてもらって、いつも人前
に立って自分のペースでプログラム進めて、しかも交通費まで負担してもらって、そ
れで講座そこそこに○○へ寄って帰りたいので、なんて話しちゃ主催者怒るよなぁ」
と思ったものでした。
そういうこともあり「私が今回ここへ出かけたのは、講座を成功させ、多くの方を地
域の会へ誘い…」という気持ちを持って望むことを絶えず決意しています。
ですから、講座前のスタッフミーティングの時にもその旨お話し、「今回ぜひ地域の
会のアピールを強く話しましょう。会の行事のちらしなんか配れるものありますか
?」などと言い、オレは講座をしに来たのだ!だから帰りに寄ってなんかいられない
ゾ!と自分に言い聞かせることをします。
主任講師の直行直帰(変換2回!)の原則とはこういうことですね。
ただ、原則には「例外」がつきものです。例外があるから、原則という言い方をする
と言ってもいいかも知れません。
その例外とはいくつもあるのですが、なんて言ったら「例外」ではなく、「通常」は
と言った方がいいかも知れませんが、まぁ聞いて下さい。
その1.変則的な例外の例としましては宮崎県に出かけた時のことです。前泊してま
でも出かけたのではなく、ちゃんと当日の朝に羽田を出ました。午前中に宮崎空港に
着き、空港線のJRに乗り、地元スタッフと待ち合わせの場所まで出かけました。
お昼をとりながら自己紹介をし、さっそく講座の打ち合わせをその場で。一通り話し
終わったので「さぁ、では行きましょうか。今からですとだいたい○時ごろには会場
に着きます」と言ってくれました。「とすると、下見しても少し時間があるかな、
まぁゆっくりしよう」と心の中でそんなことを考えて車に乗せてもらいました。た
だ、どうしても途中買い物があったので、「どこでもいいですからありそうなところ
へ寄ってみていただけませんか」とお願いをしておきましたら、近くの観光物産店ら
しき店に連れていってくれました。
目的のものは無事そこで見つかり、早々に引き上げようとしたのですが、そこで見て
しまったのです。何をって?
その国道沿いのみやげ店と同じ建物の並びで、というより入口が分かれているだけで
中は全く同じフロアにある「囲碁玉」のお店を。
囲碁玉というのは読んで字のごとし、囲碁で使う白い方の玉で、ここは加工所だった
のです。
私は囲碁は知りませんし、小学生のころ五目並べぐらいしかやったことがないので、
興味も持っていませんでした。
でも、その加工所では、いわゆる実演販売みたいにガラス窓越しに職人さんがウイー
ンと碁石を削っている様子が見られるのです。こっちはおやじさんがやっているもん
だから、つい見てしまい、向こうのおやじは、見学人が来たからやって見せちゃっ
て、どっちもどっちって感じでした。
でも何故かハマッてしまいました。だってだって、碁石って石からだとばかり思って
いたからです。なんとその白玉は、石からではなく貝から取っていたのでした。私は
てっきり白い石から削り、磨いてさらに白くなっているんだとばかり思っていたので
すが、(あ〜ぁ、あなたも知らなかったのではにですか?)日向(ひゅうが)貝とい
う宮崎県沖の日向灘という海にいる貝からできるというのです。おやじに話しを聞く
と、この日向の貝が厚みがあって囲碁の石に適しているということ、しかし碁石って
ぺっちゃんこではありませんよね。真ん中の部分に厚みがありますから、当然その厚
みが取れるのは、貝の中央部分の数個のみで、端のほうはもう使えません。さらに、
小振りの貝になるとひとつに一個なのです。
それが証拠に、穴のあいた貝が隣にわんさかを積んであるのです。それを手にとりな
がら、
なるほど、なるへそ、と感心しきりです。抜いたばかりの石からいくつもの工程を過
ぎてあのピカピカツルツルの完成品となるまでを見せてもらいました。
あまりにも気にいってしまいましたので、穴の抜けた貝、確かどれでもひとつ100
円というカゴに無造作に積まれた穴あき貝を一つ貝、いや買い、工程途中でがさがさ
の石を一つただで貰ってきました。

これはいいゾ。さっそく今日の懇親会のネタじゃぁ!と喜んでいたら、なんとそこで
2時間もいた様子で、急いで会場に向かいました。それにしてもいい大人が5〜6人
もいて、みんな立ち止まっちゃうなんて愉快です。
ちなみに、そのおやじの話しによると、日本産の貝で碁石を取っているのは日向の貝
のみ、しかも石にできるまでふくらみをつけるのは8年かかること。さらに近年はも
う日向の貝が足りなくブラジルあたりからの輸入が増えてきたことなど話してくれま
した。
その店内の正面つきあたりには、日本で二つしかないという囲碁セット(碁盤、白と
黒の碁石)が仰々(ぎょうぎょう)しく陳列され、小さく500万円と値札が置いて
ありました。でも、素人目では、この碁石とふつうに売られている碁石と何が違うん
じゃぁ!というほど見栄えは変わりなかったのです。
二つしかない一つがここにあり、もうひとつは?と思うと、お札に「天皇家にあと一
つ」と書いてありました。

じゃぁ、日向が白なら黒はどこじゃ?!
どこだと思いますか?碁石が違う産地で違う素材で作られていたなんで初めて知りま
した。
ここで問題:
一方の黒い碁石はどこで作られているでしょうか。
下の答えを見る前に10秒考えてみよう。







まだまだ







お店のおやじさんに教えていただきました。



和歌山県/那智の滝で有名な那智の石から取られているのです。
黒は、本当の石から取っているそうなのです。
さぁ、職場でさっそく同僚に問題を出してみよう。
今でも私の机の中にはその時買った貝と白玉が入っています。
これが、思わず下見の時間も忘れて見入ってしまった出来事です。でも十分に時間は
あったので、現地に入ってからあせることなくフィールドを見て回れましたことを付
け加えておかなければいけませんね。

一方、直帰(2回変換)しなかったこともあります。
青森県の場合は直帰できなかったというのでご理解いただくとして、
島根県に行った時も物理的に帰れないという状況でした。
島根県には2年続けて出かけたのですが、最初の時は反省会もままならず、ささ
さ〜っと片づけし、なかば強引に車を出してもらって飛行機出発時間ぎりぎりという
事態でした。ですので、2回目の時はきちんと街のファミリーレストランでスタッフ
反省会兼慰労会をし、近くの国民宿舎に泊まる予定をたて出かけました。
この講座が終わってからの時間が、地元スタッフの方とも初めてゆっくり話せ、けっ
こう次へつながるいい時間でもあるのです。
翌日は日本海の荒波を見ながら、一人「覚えたての津軽海峡冬景色」か「若大将メド
レー」でも歌っちゃおうかななんて考えもしましたが、高速バスですぐ着いちゃう広
島まで南下することにしました。
ちょっと鉄ッチャンが入っている私は、広島の市電はとても興味がある乗り物でし
た。初めて乗ります。広島駅ビルの本屋で「るるぶ広島」を立ち読みし、市電の情報
をインプット。
最新型の市電には目もくれず、ドアが開いては「床」をチェック、木製でニスの匂い
なんかが漂ってくるような古い市電が来るまで何本も見送り、「これだ!」という車
輌が来てから乗りました。ですから、行き先はどこでもいいのです。そのふる〜い電
車が行くところまで行こうとしていました。
乗ったら運転手さんのすぐ後ろに立ち、車輌製造年を見ては「昭和30年かぁ、いい
ねぇ」などと悦に浸る。終点は宇品(うじな)港。またしても港に来てしまいました
ので、桟橋でしばらくぼーっとしていました。この終点駅では折り返しのため数両が
待機しているのです。中には「リゲイン」なんて大きく描かれたリニューアルペイン
ト車もありましたが、「いや〜ね、こんな外装。味もそっけもないじゃん」などと言
いつつ、またふる〜い車輌を探しては乗りました。今度はその電車が原爆ドーム前を
通るというので、途中下車。高校の修学旅行以来2度目のドーム見学と相成りまし
た。
そして帰りは広島空港からびゅ〜ん。

熊本県も講座に出かけて知った土地です。湧き水めぐりも好きな私は、かつて東京の
湧き水探検をしたこともあり、名水百選に選ばれた熊本の白川水源へ立ち寄り、そこ
の茶屋で飲んだたまり醤油に一目惚れならぬ一味惚れし、SLあそボーイにも乗ってき
ました。
山口哲也と、名字に山の字がつきながら「山は疲れるからきらぁ〜い」と言っている
私ですが、阿蘇の山並みやカルデラの風景、鋭くとがった根子岳と、なぜか熊本の山
はいたく気に入りました。蒸気機関車に乗った時は、ダックコール(ネイチャ−ゲー
ムの野外実習で使うアヒルの声が出るユニークな笛)ならぬ汽笛の笛を買ってきまし
た。またこれが哀愁をただよわせるようないい音色なんですよ。今度講座で使ってみ
ようかな?
あっ、熊本でも市電に乗りました。

決して「自分の旅」をつなげることが目的ででかけているわけではありませんが、な
にせ講座が午後4時に終わり、片づけと反省会をして、ほどよく飛行機でその日のう
ちに帰京できるとは限らないので、こんなこともあります。
一見いいようにも思いますが、月曜日現地に残るということは、身体を休めることな
く火曜日は通常通りに出勤して一週間が始まるという事情も含んでいます。

講座の参加者の方からの質問で
「もういろんなところに出かけているのですか」には
「そうですね。半分くらいの県にはでかけたでしょうか」と前置きしてから
「でも名所観光はほとんどしていませんね」とも付け加えています。
「そこんとこよろしく(矢沢風、もしくは矢沢のマネをしている清水アキラ風に読ん
でくれ)」
ちゃんちゃん。

おまけ:
広島県の講座に出かけた時も直帰しませんでした。
講座が終わって反省会ならぬ打ち上げが駅のガード下の居酒屋で開かれ、地元のス
タッフの方に慰労していただきました。
あらかじめ調べておいた電車の時間が近づいたので、しばらく飲み食いした後
「さぁ、そろそろ帰る時間ですね」とお店を出てみどりの窓口へ。
事前に切符を買っていなかったので、窓口へ行ったら満席のこと。仕方なく夜行列車
に切り替えたものの、出発まで2時間くらいあった。
駅まで見送りに来ていただいたスタッフ(モヤさんとO津さん、K上さん)に事情を話
し、
「一人で大丈夫ですよ、てきとーにぶらぶらしますから。帰りが遅くなるので、どう
ぞ気になさらずに」と言ったのですが、
「じゃぁ、福山城にでも行きましょう」といきなりお城へ連れて行かれました。
「えっ、今から城へ?」とも思いましたが、お城へは徒歩1分。なんと駅の向こう側
に出たらもう石垣なのには驚きました。
ふつうお城っていうのは、松本城にしろ会津若松城にしろ熊本城にしろ、街の広い公
園が周りを囲み、主要ターミナル駅からはバスかタクシーでほどほどにでかけ、お堀
やいくつもの門をくぐってがーんと飛び込んでくる天守閣!っていうイメージがある
じゃないですか。
それが駅前ですよ。我が家のある中野駅には有名な○井や●OVAなどが駅前にありま
すが、福山城は負けず劣らず駅の真ん前に建っていました。階段を上がった二の丸だ
か三の丸だかの広場では菊展が行われています。もちろん夜ですから、人影はぱらぱ
ら。総理大臣賞だの○○新聞社賞だの、たいそう優秀と思われる菊飾りを一回り。
たまには今まで自分が全く意識しなかった、人生で気にかけることもなかった分野に
出くわすのもいいかな、なんて軽い気持ちで眺めていました。
城を降りてからは隣接している近代美術館だか市立図書館だかの敷地に入り、ちらほ
らと芝生に佇(たたず)んでいるカップルをある時は真正面から、またある時は後ろ
から眺めながらぷらぷら散歩を楽しみました。
「あのアベックの横に座って『夜とも』しようか」「じゃぁ、今からダックコールを
吹きますね」などという話しまで出ちゃって、それはそれは怪しい男4人がうろうろ
したのでした。これも直帰しないで立ち寄った一例でもあります。余談でしたでしょ
うか。

モヤさん、一言どうぞ。
イヤー、私の場合は、翌日はほぼ間違いなく仕事ですので、夜行バスだろうが寝台列車だろう
が、なにが何でも帰ってしまいます。夜行開けでそのまま仕事に直行なんてこともしばしばです。
ただ、できるだけ前日に現地にはいるようにしています。フィールドの下見をたっぷりとらないと満
足できないたちなもので・・・。それでも、例外的に残る場合もあります、そんな話は「出会い旅」
の方で、また書かせてもらいます。)


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