カッキーのヨセミテ
ヨセミテへの旅は20人の仲間と行いました。その参加者の一人、カッキーさんのレポートです。ヨセミテでのこと、そして日本に帰ってからのことを書いてもらいました。


ヨセミテナショナルパ-ク
アメリカのヨセミテナショナルパ-クに行ってきました。アメリカの中学生が自然の仕組みや環境問題などを学ぶヨセミテインスティテュ-トという自然学校に7日間滞在して、インストラクタ-による自然体験プログラムを受けました。というよりは、大自然の中で遊んできました。とても楽しかったですよ。インストラクタ-のプログラムは、それ自体が物語のようで、とてもリラックスした雰囲気の中で行われ、自然の中に引き込まれていくようでした。自然の感じ方を学んだような気がします。それにプログラムを行うフィ-ルドが素晴しいのです。とてつもなく大きなジャイアントセコイヤの森、言葉では言い表せないくらい美しいヨセミテバレ-、何もかもが大きくて美しかったです。ずっとここに住みたいと思ってしまいました。ヨセミテの森に入ると心が浮き浮きしてきます。大きな木が好きな私にとって、ここは、宝の山のようでした。中でもジャイアントセコイヤは別格でした。屋久杉も見た事があるのですが、屋久杉には、申し訳ありませんが桁違いの大きさでした。セコイヤの森は、原始時代の森のようでした。今にも恐竜が出てきそうなのです。


真夜中の恐怖
インスティテュートでの2泊目は、大きなパインの木に囲まれた所でシュラフのみで眠る事にしました。星がとても綺麗でした。午前2時頃、ふとめが醒めました。耳を澄ましてみると、遠くから何ものかの足音が近づいてくるのを感じました。その足音は、歩き出しては止まり、また歩き出しては止まりしながら近づいてきました。その足音の主の正体を突き止めてやろうと思い、私のそばに来たら見てやろうと思いました。その時、同時に嫌な予感もしました。私は以前にも山の中で昼寝をしていて同じ体験をした事があります。なんとその時の足音の正体は、マムシだったのです。私も驚きましたが、マムシも驚いて逃げていきました。今回は、期待半分、不安半分で待ちました。「いまだ!」と思い足音のする方行を見ましたが何も発見する事ができませんでした。もう一度同じように見てみましたが、やはり発見できませんでした。今度は、手を音のする方向に出して待ってみました。驚いた事に何ものかが手を登ってくるではありませんか。すごい恐怖感を味わいました。それでも正体を突き止める事は、できませんでした。もう一度横になってみました。今度は、何ものかが耳の中に入って来たのです。慌ててほじくり出すと、黒くて足が長い虫でした。とても臭い匂いがしました。手に付いた臭い匂いは、朝になってもとれませんでした。インストラクタ-のシャ-リ-に真夜中の出来事の一部始終を話しました。すると彼女は、大笑いしました。その虫は、スティングバックというとても臭い虫で、以前にも耳の中に入ってしまい取れなくなってしまい2日間臭い思いをした人の話をしてくれました。彼女は、「あなたは、とても素晴しい体験ができて良かったですねえ。」と言ってくれましたが。私は、寝不足にはなるし、臭い思いはするし散々な夜でした。シャ-リ-は、人事だと思っていい気なもんだなあと思いました。


セコイヤの森での音楽会
今回の旅の目的の一つに、森の中での尺八の演奏がありました。コ-ディネ-タ-のモヤさんの夜のセコイヤの森でのプログラムに便乗させてもらって、セコイヤの倒木を観客席にした大自然のコンサ-トホ-ルで演奏しました。尺八の音色とセコイヤの森の静寂がマッチして気分よく演奏する事ができました。聞いてくれた方々も何かを感じてくれたと確信しています。


夜の冒険
最終日のキャンプファイヤ-終了後、どうしてももう一度セコイヤに会いに行きたくなったので、シュラフを背負い1マイル離れた森を目指しました。夜の巨木の森は、とても静かで暗闇だけがありました。ジョン*ミュ-アは昼夜を問わずヨセミテの森を探検したと聞きます。彼の事を考えながら一人でトレイルを歩くのが楽しくてたまりませんでした。何度も立ち止まり辺りを観察しながらゆっくり歩きました。やがて大きな黒い固まりが目前に現れました。セコイヤの大木です。午前0時頃だというのに触ってみるととても暖かいのです。シュラフを敷き、セコイヤを見上げながら眠る事にしましたが、眠るのがもったいなくてずっと起きていました。なんだかセコイヤが見守ってくれているような感じがしました。いつの間にか眠りに落ちていました。朝方目を醒ますと森の奥から枯れ木を砕く大きな音がしばらく続きました。「ブラックベア-だ!」と思いました。彼の存在と臆病な性格であるという事を聞いていたので安心してその音に聞き入りました。だんだん嬉しくなってきました。その音の主とこのセコイヤの森の同じ空間を共有していると考えると楽しくなってきました。私は、日本では森林技術者として山仕事をしているのですが、1度だけ至近距離でツキノワグマに遭遇して、しばらく観察する事ができました。歩き方が可愛くて、いかにも臆病そうでした。クマが生息できる山は、国は違っても豊ですね。


日本に帰って
アメリカから帰ると旅行会社より巌立峡のガイド依頼がありました。このツア-は、とても欲張りなツア-なのです。自然観察あり、森の中のウォ-キングあり、滝は見たいし、ガイドからいっぱい話は聞きたいし、でも時間は短い。挙げ句の果てに一人で35人を相手にするため、ハンドマイクを使うように依頼を受けました。これでは、仮に動物や鳥が出てきたとしても逃げてしまいますよね。日本人らしい欲張りな要求だなあと感じました。ヨセミテでのゆったりとした自然観察を懐かしく思いました。こんな気の進まないガイドであったにもかかわらず、大きな収穫がありました。ヨセミテインスティテュウトのインストラクタ-は、1日のプログラムの終わりに、必ず参加者に対して感謝の言葉を掛けるのです。「みなさんのおかげで、素晴しい時間が過ごせました。感動的な体験をする事ができました。ありがとう。」というように、毎日のように語り掛けるのです。彼女にとっては、いつもの職場でいつもの仕事をしているにすぎないはずなのに、「きっと社交辞令で言っているのかなあ?」と思っていました。今回、私が引き受けたお客さんは、とてもマナ-が良く大人数にもかかわらず纏まって歩いてくれました。自然や環境問題に対して熱心な方が多くて、地学や樹木や動物の質問を多く受けました。(幸いにも全ての質問に答える事ができました。)そして終始和やかな雰囲気で進める事ができました。参加者の中には、高齢者の方も見えたのですが、強行プログラムに最後まで着いて来てくれました。おかげで時間通りに終わる事ができました。途中、カケスが死んでいてくれたり、スズメバチの巣があったのもラッキ-でした。私自身とても充実した時間を過ごす事ができました。ガイドの終わりの挨拶をする時、ヨセミテのインストラクタ-と同じ言葉を言おうとしている自分に気がつきました。」彼女は、本心から感謝の言葉を言っていたのですね。インタ-プリテ-ションは、インストラクタ-と参加者と自然とが一体となって作っていくものなのですね。

(御意見、御感想などがありましたら、kattky☆sage.ocn.ne.jp まで)
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    kattky 2001.12..4
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