タフトポイントでびびっちゃいました

タフトポイントの名前のいわれは、かってジョンミュアが時の大統領タフト氏をそこに案内したことによります。自然保護にそれほど熱心ではなかったタフト大統領が、ジョンミュアと出会いヨセミテの自然に接する事で、自然保護への理解を深めたと言われます。
それにしても、ちょっと太めの人だったタフトさん(160kgあったそうです)があの断崖の上に立つ姿を想像するとは、ほほえましいものがあります。
ロッククライミングにも使われるその断崖は、のぞき込むと下がえぐれていて、ものすごい高度感です。手前に向けて少し傾いているので、心理的にも物理的にもかなり楽だったにもかかわらず、ビビッテしまいました。私は高所恐怖症とかではないのですが、あまりの高度感に私の本能が警告を発します。もっともロープ等での確保をとっていないので、何かミスをしたり突風でもあれば一巻の終わりになってしまう状況ですから、当然と言えば当然かも知れません。
一カ所だけ小さな手すりがもうけてある場所があります。そこでは心理的にも安心感が有って、恐怖感はかなり低減します。この手すり、タフト大統領が訪れた当時はなかったと思われますから、タフトさんも十分にビビッた事でしょう。ここからのヨセミテ渓谷の眺めは壮大で美しいものですが、いわば恐怖感もともなうこの場所へ大統領を案内したジョンミュアのねらいは何だったのでしょう。私は、自然へのおそれやこの自然を人間が壊してしまう事へのおそれを大統領に感じてもらいたかったのではないかと想像します。
ヨセミテ国立公園内には建設をめぐって大論争になったヘッチヘッチ湖があります。国立公園の原生自然を守ることとサンフランシスコへの水の安定供給という目的の間で、反対と賛成の大論争になった人工湖です。タフト大統領は彼の在任中はついにゴーサインを出すことはありませんでした。
ちなみに、ジョンミュアやシェラクラブを中心とする反対運動にもかかわらず公園内にダムが建設されてしまいます。反対運動という視点で見れば失敗に終わった訳ですが、長年にわたる論争の結果として、その後のダム建設などの公共事業の可否について、経済的効果だけでなく自然保護の観点が重要な判断材料として認識されるようになります。そして、ヘッチヘッチダム建設以後現在まで、国立公園内でダム建設は行われていないのです。

ヨセミテの人と自然から学んだことトップ   ネイチャーゲームトップ   トップページへ