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シーン17運河(湖水地方)(p33〜34)
0)旅人は・・・小さな運河のあるところへやってきました。運河と言えば、スエズ運河とかパナマ運河が思い出され・・・。そのミニチア版が描かれているのかと思ったのですが。実は、イギリスには産業革命時代に、主に石炭を運ぶために運河網が張り巡らされたのです。ただし、大きな運河を建設するには多大な経費がかかります。そこで、小さな運河を造ることになります。

「旅の絵本の秘密」には、ロンドン郊外の運河とあります。
 ロンドンにあるリージェンツ運河Regents Canalの、カムデン・ロックCamden Lockを主なモデルに描かれているようです。

そして、運河を運行するボートは、高い橋を造らなくてもいいように背を低くし、狭い運河を航行できるように幅は狭く縦に長いデザインにのものが作られました。「ナローボート」といいます。
 ところが、鉄道や道路の発達に伴って、いったん運河は衰退します。その後、観光用に復活して現在でも運河網をナローボートが運航されています。
ナローボートについては
http://www.captainpook.com/
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/2940/

1)左上 ロバが麦を運んできています。これは、前のシーンで脱穀していたものでしょう。風車を使って今度は製粉です。
ただ、前のシーンでは馬に乗せていましたけれど。
さて、この風車ですが・・・・
風車と言えばオランダが有名です。スペイン編やデンマーク編でも出てきますが、いずれもこの風車とデザインが違います。
実は、伝統的な風車のデザインは地域によって異なります。特に、イギリスでは色々な工夫が凝らされていて多様なデザインの風車があるようです。
安野さんがモデルにしたのは、右に写真を載せた『Up in the Wind: Windmills (English Heritage Pocket Books)』や『The Windmills of England』の表紙を飾っている風車のようです。(風車の所在地は不明)

2)運んできたのはチョッキに髭のおじいさんでしょうか?そして、話している相手が風車の持ち主かな。
ところで、風車の階段のところに付いている風車は何のために付いているのでしょうか?
構造的には「Post mill(ポストミル/箱形風車)」に分類される形式のようです。
この風車の場合には、円錐状の屋根の上にmillの機械装置を収められた白い箱形の木製建屋が乗っています。建屋の中央には柱があってこの柱を中心に箱形建屋全体が風の方向を求めて回転できるようになっています。当初は風向きに合わせるのは人力で行っていたのですが、1745年にEdmond Leeによってfantailが考案されます。絵本の風車では建屋に上がる階段の所に後翼(fantail)が着けらています。横風になったら後翼が回転して、主翼(sail)が自動的に風に正対するように回転するようになっています。
風車の構造について興味のある人は
http://www.eureka.tu.chiba-u.ac.jp/forelectures/windmill/summary/01.html
画像なら イングランドの風車
http://www2u.biglobe.ne.jp/~windmill/index.htm

3)風車の右側の木の下では、ビールジョッキを片手に宴会中です。ビールも麦からの贈り物ですね。
4)テーブルに瓶ビールを運ぶ人がいます
5)鍋?を運んでいる人がいます。
6)バスケットに何か入れて話しかけている女性がいます。
7)テーブルには子ども達も混じっています。4)の瓶はジュースかもしれませんね。
8)テーブルの脇には犬がいます。この犬の種類は後ろ向きで特定できていません。何かな?

9)隣の家では、窓から顔を出している女性に、下から歌いかけて?いる男性がいます。昼間ではありますが、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』からでしょう。
 右の写真はイタリアのベローナにあるロミオとジュリエットのバルコニーです。安野さんはちゃんとこのデザインにしていますね。
by forest-doorさん
何回も映画化されている作品ですが、現代に舞台を移したレオナルド・ディカプリオ主演の「ロミオ&ジュリエット」では二人が出会うシーンが印象的でした。ディカプリオは今も若いけれど、このころの少年から一歩ふみだしたようなイノセントな感じのする時期が一番輝いていたように思います。
そして映画化で忘れてならないのがオリビア・ハッセーの「ロミオとジュリエット」。彼女のみずみずしい若さが役にぴったりでした。


10)前のシーンで建築中であった小屋の屋根までが完成しています。茅葺きのようです。川辺で刈っていたのはココに使うためだったようです。
 屋根の上では、ひと仕事終わってのんびりしています。

11)運河の脇にテールのある赤いコートを着て、シルクハットをかぶり、片めがねをつけヘシアン・ブーツを履き、ステッキを持った人がいます。スコッチウイスキーのジョニーウォーカーのラベルから抜け出てきたようです。
ジョニー・ウォーカーについて

12)ジョニーウォーカーと話をしているのは、ナローボートに乗ったオーバーオールの人です。

13)犬を連れた人がいます。この犬は・・・ブリアードという説があります。イギリス原産種だとするとボーダー・コリーかな?

14)閘門(ロック Lock)が閉じられています。イギリスの運河のロックは手動で開け閉めするようです。ボートに乗ってきた人が自分たちでやるのです。ちなみに船の向きからして、ロックを閉めて、水を入れているのでしょう。水位が上がって前方の湖と同じ水位になったら、前方のロックをあけて湖の中に入ってゆくことになるのでしょう。
運河とロックについて
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/2940/canal.html

15)ロックの中で、水位が上がるのを待っている船が2艘あります。
16)髭のおじいさんが船をみています。話しかけているのかな
17)二人連れの男が指さしながらはなしています。船のことかな?その向こうのロミオとジュリエットのことかな?

18)白いワンピースの女性が3人、クロッケーCroquetを楽しんでいます。クロッケーは18世紀後半(1853年)にイギリスで流行して広まったようです。第2回オリンピック(パリ)では公開競技になったようです。ちなみに19世紀当時はこんな服装で楽しんでいたようです。アリスもクロッケーをしていましたね。
ちなみに、日本のゲートボールは、このクロッケーにヒントを得て考案された遊びです。
日本クロッケー協会
http://www.croquet.jp/

19)ロックの右側に、犬をつれた女性がいます。つれている犬は、エアデール・テリアのようです。水に強い犬でカワウソ猟に使われていたそうですから、水辺にかかれているのはそれらしいですね。
http://www.dogfan.jp/zukan/terrier/Airedale/index.html

20)湖には、ヨットが3艘あります。そのうちの一艘は、1981年とこの本が出版された年が書き込まれています。また、帆をユニオンジャックにしている船もあります。ちなみに、ヨットといえば、イギリスの児童文学にアーサー・ランサムArthur Ransome『ツバメ号とアマゾン号』があります
とすると、ここはイギリス北部にある湖水地方ということでしょう。
しかし、運河やロックはロンドン近郊のものです。運河をとロックを通じて一気に北部へワープしたと考えれば良いのでは無いかと思います。
その先は、ネス湖。

21)旅人の向こうでは、ティーパーティが行われています。
カムデンロックの所には、建物のデザインは全く違いますが、上の写真のようにレストランがあります。オープンカフェのようになっています。安野さんはそのことを意識されてここで、ティーパーティを描き込まれたのだと思います。
by forest-doorさん
上流階級の方たちのお茶会が行われています。社交の場となっているアフタヌーン・ティーですね。19世紀中頃、イギリスの7代目ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが、夕食まで空腹に耐えかねて、紅茶と軽食をとったことがアフタヌーン・ティーのはじまりとされています。もともと、応接間あるいは庭先で行われていました。


22)テーブルの向こうでは給仕をする人がお盆を持って歩いています。
23)手前にはとても恰幅のいい男性と女性が話しています。
24)二人の横には、とても長いベンチが据えてあります。長さもですが、座面が広いですね。

25)テーブルの右側で2組の男女が話しています。
その脇に、自転車が立てかけてあります。チェーンもペタルもない自転車です。自転車の元祖とされているもので、1817年にドイツの発明家カール・フォン・ドライス男爵が発明しました。ドライジーネ(Draisine)と言います。ペタルが無いので、地面を蹴って走ります。自立できないはずの、2輪という発想がすごいなあと思います。もっとも、ガリレオ・ガリレイも2輪の自転車を考えていたようです。さすが天才です。

23)手前にボートを係留している人がいます。そのそばでは二人の男性が話していますが、手伝おうともしていないので・・・仲間じゃないのかな?

旅の絵本3表



シーン18ネス湖(p35〜36)

0)旅人は・・・スコットランドのネス湖にやってきました。ネス湖には「ネス湖の怪獣 (Loch Ness Monster、ロック・ネス・モンスター) 」と呼ばれる、未確認生物がいるとされていて、ネッシーとよばれています
恐竜時代からの生き残りがいるのだというのですが、この地方が1万年前まで氷河におおわれていた事を考えると無理が有りすぎると言えます。
 ちなみに、1934年4月。ロンドンの外科医によって撮影された有名な写真は、エイプリルフール(4月バカ)のつもりで発表したら世界的ニュースになり後に引けなくなったと関係者が告白しています。

1)釣りに来ていた子ども達がネッシーの影に驚いて逃げ出しています。でも、一人は逃げずに指さしながら見ていますね。やっぱりせっかくのチャンスですからしっかり見なければね。

2)林の中でバスケットを持ってキノコ取りをしている二人ずれがあります。女性の方は、前のシーンで風車の横の宴会の近くにもいました。

4)牧場には乳牛が2頭いて、女性が乳搾りをしています。このホルスタインの白黒模様。左側の牛には、イギリスとアイルランドを表しています(ヨーロッパ大陸も?)。右の牛には、日本列島があらわれています(中国付近も?)

5)犬を連れた少年が乳搾りを興味深げに見ています。犬は・・・・ウィペットではないかと
http://www.dogfan.jp/zukan/hound/whippet/index.html

6)木立の上を小鳥が数羽飛んでいます。
7)ジョニーウォーカーが歩いています。近くの馬車の樽は、ウイスキーの樽ということなんでしょうね。

8)メモをとっている老人の前の青いスーツの男性は、ジョニーウオーカーに手を挙げているようです。ジョニーウオーカーもメガネにてを当てながら、挨拶しているようにも見えます。

9)馬車に向けて、樽を二人がかりで押しています。
10)樽を使ってシーソーにしている子たちがいます。ブリューゲルの『子供の遊戯』では樽だけでシーソーをしてました。
ケイト・グリーナウェイの「BOOK OF GAMES」にもSEE.SAWの絵があります。
http://www.childrensbooksonline.org/Greenaway_Games/pages/13kgbgb.htm
左側の大きな子と、右側の二人を合わせたより重そうです。
ケイトの絵では、2人対3人で2人の方が下がっていますから、旅の絵本もこれが元でしょう。

11)煙突掃除をお願いするのに、女性の人はビン洗いのようなものを持って、これでもできるといっているように見えます。そんな短いものじゃ煙突掃除は無理。というか、そもそも距離のだまし絵で、その位置には煙突は有りません。

12)旅人の前を馬車が行きます。
13)馬車の先には鉄砲を持った人が待ち伏せしています。これは、何かもとになる話がありそうですが、不明です。

14)林の中にキノコが生えています。
15)右端の林の中にロバ頭の人が座り込んでいます。これは、シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢A Midsummer Night's Dream)』で、パックによってロバの頭に変えられた職人ボトムです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%8F%E3%81%AE%E5%A4%9C%E3%81%AE%E5%A4%A2
安野さん、ネッシーも夏の夢ということなのかな

16)右端の真ん中あたりに、ハリネズミが一匹顔を出しています。
 イギリス編では何度もハリネズミが出てきました。これはどういう意味があるのでしょうか?

17)右下 ニワトリをくわえたキツネがいます。これは絵本「チャンティクリアときつね」からです。
おだてに乗るとろくな事が無いという教訓にあふれたお話です。
ユーチューブで読み聞かせを見ることができます。
by forest-doorさん
バーバラ・クーニーの絵がついたこの絵本はジェーフリー・チョーサーの「カンタベリー物語」の中にある「修道女につきそう司祭の話」が原作となっています。
クーニーはこの絵本を描くにあたって友人からにわとりを借りたそうで、チャンティクリアというにわとりのいきいきした絵が描かれており、1958年にはコルデコット賞を受賞しています。
14世紀のイギリスの農家を舞台にした動物物語で、きつねに食べられる前にうまくだまして危険をのがれたおんどりのお話ですが、このようなきつねと家禽の知恵比べ、逃げる狐に対する大追跡といった例はマザーグースにもあるそうです。
そのマザーグースは何だろうと思い、調べてみたところ、日本語訳はちょっとわからなかったのですが、
A fox jumped up one winter's nightではじまる詩のなかに
こんな一節を見つけました。

He took the gray goose by the neck,
And swung him right across his back;
The gray goose cried out, Quack, quack, quack.

詩はまだ続くのですが私のつたない英語力で読んでみたところ、がちょうがいなくなったことに気づいた人が丘の上から大きく甲高い口笛をふくものの、このがちょうはきつねからにげだせず、巣のこぎつねたちのごちそうとなったようです。

「旅の絵本の秘密」には、きつねとにわとり(右下マザーグースより)とあります。

旅の絵本3表


シーン19ハイランドゲーム(p37〜38)

0)旅人は・・・ハイランドゲームの行われている所にやってきました。

1)弓を射ている人がいます。ロビンフットであろうと思います。弓の名手で、ノッティンガムのシャーウッドの森に住むアウトロー集団の首領とされる。吟遊詩人により一編の物語として編集されて、有名になります。それなりに、いくつかの実在人物がモデルになっているようですが、歴史上の特定の人物ではないようです。
 「当初の伝承は、ノルマン・コンクエスト後に、ノルマン人に抵抗する、所領を奪われたサクソン人貴族であり、その後、エドワード1世時代の設定になり、義賊、マリアンとのロマンス、あるいは十字軍帰りなどの設定が加わった。16世紀以降、リチャード1世(獅子心王)時代の人物となり、リチャード1世が十字軍遠征に赴いている間にジョン王の暴政に反抗した人物として描かれるようになった。」(『ウィキペディア(Wikipedia)』)

2)ロビンフットの射た矢は、反対側のページ随分遠くの的のど真ん中に当たっています。近くのキツネがビックリしています。

3)取り巻いている仲間が4人。一人は弓を持ち、一人は杖を持ち、一人は腰に手をしています。
そしてもう一人は・・・何か背中に背負っていますが、弦楽器でしょうか。あるいは盾とかでしょうか?

4)林の中にオオカミの親子がいます。これも、矢を様子を見ているのでしょうか。
5)オオカミの右側の林の中に、何か動物が伏せています。何でしょう。イタチという説もありますが・・・大きすぎる気もします。ロビンフットの様子を見ている動物たちの一つくらいで良いのかな。

6)キルトスカートをはいた人たち(男の人たちです)が、ハイランドゲームを楽しんでいます。
 ハイランドゲームは、スコットランド北部(ハイランド地方)でおこなわれてきたいわば「野外運動会」。14世紀、村の力自慢が楽しさと仲間意識を強めるために、定期的に集まって強さを競い合ったことに由来するそうです。
 競技は大きく分けると5種目有るそうです。1.重量戦(Heavy Events)、2.綱引き(Tug of War)、3.バグパイプ(Piping)、4.ハイランドダンス(Highland Dancing)、5.徒競走やマラソンです。
重量戦は、とにかく力自慢です。具体的には、ブレマーストーン投げ(助走なしで石を投げます)、ハンマー投げ(重さは約7.26キロまたは約9.9キロのハンマーを投げます)、鉄魂の距離投げ(長さ47.5cmで重さ12.7kg、19kgまたは25.4kgの鉄塊を片手で投げます)、鉄魂の高さ投げ(重さは19kgと25.4kgのとってのついた鉄塊を片手で高く投げます)そして、ここに描かれているケイバー投げ(Caber Tossing)です。長くて重い丸太を抱え上げて投げ飛ばそうというとんでもない競技です。・・・ぎっくり腰になりそうです。(元々は川に丸太橋を架けるのにやっていたことを競技にしたものですから、距離ではなく方向や回転を競うのだそうです。)

7)お城の塔が見えます。どこの城かはっきりしませんが、各地で行われるハイランドゲームのうち、王室が観戦に来るというので有名になったブレーマー村、そのときの滞在する城が、バルモラルBalmoral城 なので・・・その一部を描いてあるのかもしれません。(塔の先だけ描けばこうなるのかなと?)
http://www.balmoralcastle.com/index.html

8)牛に山羊にくつろぐ人たちが描かれています。ひっくるめて、18世紀のイギリスの画家トマス・ゲインズバラ(Thomas Gainsboroughの「The Watering Place(水場にて)」からです。
 安野さんは、林の様子も本の絵からしっかり取り込んでますね。
 ゲインズバラは、故郷サフォークの風景や自然をこよなく愛していて、彼が真に描きたかったのは風景であり、「肖像画は金のために、風景画は楽しみのために描く」と言っていたそうです。穏やかな時間の流れを感じます。


9)林の中をよく見ると・・くつろいで話している二人の上方に・・・クマが2匹が隠れるように描かれています。これも隠し絵でしょうか。
右側のクマは「くまのプーさん」でしょう。そして、左側のクマは、「せきたんやのくまさん」にでてくるクマさんのようです。

by forest-doorさん
「せきたんやのくまさん」はフィービとセルビ・ウォージントンの絵本。ほかにも「ゆうびんやのくまさん」、「パンやのくまさん」があり、フィービとジョーン・ウォージントンの絵本として、「うえきやのくまさん」、「ぼくじょうのくまさん」もでているのです。
このシリーズの絵本がすごくすきです。それぞれのお仕事をするくまさんの1日が描かれているのですが、読み終わるころにはくまさんと同じように1日の充足感みたいなものを感じ、ほっとします。


旅の絵本3表

シーン20漁村(p37〜38)

0)旅人は・・・漁村にやってきました。どこにある漁村でしょうか?前後の関係からスコットランドのどこか・・・岩の様子から、スコットランド東北部にあるストンヘヴンstonehavenあたりでは無いかと思うのですが??

1)おじさんがアヒルに豚に犬に鳥を引き連れて歩いています。ドリトル先生ご一行です。
アヒルは、ダブダブ。ドリトル家の家政婦役で、細かいことに良く気づき、愚痴と世話焼きが大好きなアヒル。
豚は、ガブガブ。食欲旺盛で、ドリトル家のコメディリリーフ的な役回りのブタ。トリュフを掘り当てるのが得意。
犬は、ジップ。尻尾に箒をくくり付けて掃除を担当。ドリトル邸の番犬。同胞愛が強く、雑種であることを誇りにしていて、人間の血統種尊重を馬鹿にしている。
飛んでいる鳥は、アフリカ生まれで180歳を超えるオウムのポリネシア。あらゆる言語に堪能で、ドリトル先生の語学の師です。洗濯担当。
一行は、深刻な伝染病に苦しめられているアフリカの猿達を救いに旅立っているところかと・・・。
「旅の絵本の秘密」には、「ドリトル先生アフリカへ行く」(左端)とありました。
by forest-doorさん
左下に歩いている一行はドリトル先生の一行です。ドリトル先生、アヒルのダブダブ、食いしん坊のブタのガブガブ、オウムのポリネシア、犬のジップ。シリーズは13冊もありますが、第1作めは「ドリトル先生アフリカ行き」です。(番外編として「ガブガブの本」もあります) 
作者はヒュー・ロフティング、イラストも自身で手がけています。
ドリトル先生はオウムのポリネシアから動物語を習い、動物たちと話せるのです。
そして世界中の動物たちの求めに応じて先生たち一行は出かけていきます。

英語で物語を読むことが出来ます。
http://www.gutenberg.org/files/501/501-h/501-h.htm

2)石垣を積んでいるおじさんがいます。脇にはセメントをこねる桶も置いてあります。ドリトル先生と何か関係があるのでしょうか?

3)女性が手桶を持って歩いています
4)おじいさんがベンチに座っています
5)猫を抱いた白いドレスの女の子が男の子と話しています。何をはなしているのでしょう。勝手な想像ですが、猫の調子が悪いのだけど、よくわからなくて相談している。そこへドリトル先生が現れて・・・という展開はどうでしょうか。あるいは、別の話があるのでしょうか。

6)お花畑に水をやっている女性がいます。脇にある椅子は、丹誠込めた畑の観賞用でしょうか。
 イギリス編では、イギリスに起源のあるスポーツや趣味がたくさん紹介されました。ペットを大切にするイギリスらしくたくさんの犬種、バードウオッチング、そしてガーデニングもイギリス生まれでした。
 人が関わって豊かになる自然もある。庭もそうだと思います。安野さんは「イギリスの村(AA BOOK OF BRITISH VILLAGES)」(Drive Publicationsから1980年出版)を見て、この本に導かれるように村々を巡ったといいます。「村の人たちは高い誇りを持っていた。村が市になることを『発展』とは思っていなかった。緑の国土をいとおしみ、せいいっぱい村をきれいにして住んでいた。イギリスは世界で一番村の美しい国だと思った」とあります。ここに描かれた女性も、そんな美しい村を作っている人の1人なんだと思います。

7)クマがミツバチの巣をつついて、怒ったミツバチに子ども達やウサギが逃げ出しています。くまのプーさんでしょうか。前のシーンでは9)で林の中に隠し絵のように描かれていて、「せきたんやのくまさん」と話していました。ドリトル先生ここにも現れるのかな、ハチにこの子達は違うよと解決しちゃうという設定かな。
「旅の絵本の秘密」には、くまのプーさん(右下)とありました。
by forest-doorさん
くまのプーさんではないかと思ったのですがどうでしょう。プーさんにはクリストファー・ロビンしか子供が出てこないはずですが、子供が2人逃げているところが違うかな?くまの出てくる別のお話かもしれませんね。
旅の絵本 3巻 イギリス編ではたくさんの絵本や童話の主人公たちが描かれていました。思い返してみると、その大半が動物が多く出てくるものでした。ピーター・ラビットやくまのプーさんなど…
子どものころ、何回も繰り返し本を読むなかで、絵本の動物たちは心の友だちになっていました。ドリトル先生のように動物語が話せるわけではなくても、彼らと一緒にお話の中で遊びました。大人になった今、書き手の思いはどうだったんだろうと大人の立場で見てしまうこともあるのですが、そういったことも忘れてただ単純にまた本を楽しみたいなと記事を書いていてふと思いました。


8)浜にあげられた漁船の周りには、網やとろ箱がおいてあります。船には集魚灯が付いています。夜、漁に出て帰ってきて、一段落しているところでしょう。

9)海岸では、とってきた魚を早速売っているようです。横縞の服を着た人が魚を持って売り込んでいます。店をのぞき込んでいる女性もいます。
10)両天秤で桶を運んでいる人がいます。
11)桶を持って運んでいる女性がいます。
12)家の向こうにたくさんの丸太が積んでありますが何につかうのでしょう?ひょっとしてハイランドゲーム用??

13)石垣の船着き場の小屋の近くには網が干してあり、樽とロープがおいてあります。ロープの隣にある籠のようなものは何でしょう?

14)もう2艘の船が繋留してあります。
15)砂浜で4人の男が網で漁をしています。少し不自然です。何か元になる絵があるのでしょうか?不明ですが・・・。イタリア編の最後にも漁師がでてきましたが・・。これも、聖書物語として表されたのかもしれません。むしろ、この絵の方がキリスト最初の弟子に出会ったときとか復活の後ととかのシーンに近いのかなと思います。イタリア編と違って、そんなにキリスト教にこだわっていないと言えますが、イギリス編も「迷える子羊」の話で始まっているのですから、そう考えてもいいのかな。妄想かもしれませんが。

16)漁師の頭上に何か描かれています
水鳥でしょうか?

17)この海岸岩が多いですね、そしてこの砂浜。なんだかわざとらしくて、何かの隠し絵かと思いましたが、ストンヘヴstonehavenンの近くの海岸に写真のようなところがあるのです。そして、このような海岸の向こうに、次のシーンのような場所があるのです。



旅の絵本3表


シーン21廃城(p41〜42)

0)旅人は・・・廃城にやってきました。ストーンヘヴンから南2マイルにある海に突き出た岩山に建っているダンノッター城Dunnottar Castleであろうと思います。 9世紀に最初の建設が始まり、幾多の歴史を経た後、放置された期間が長かったようです。
http://www.marie-stuart.co.uk/Castles/Dunnottar.htm
 この城跡では、キム・ギブソンが主演した「ハムレット」の映画が撮られました。安野さんもそのことを知ってここを選ばれたのかと思ったのですが、この映画が発表されたのが1990年、安野さんがイギリス編を出版したのが1981年ですから・・・その可能性はなさそうです。

1)旅の友であった馬は、子どもに託して廃城に残したようです。
2)旅人はまた、新たな旅に出ています。次の目的地は・・・アメリカです。

イギリスからの移民によって築かれた新興国アメリカへ大西洋を越えてゆくことになります。

by forest-doorさん
寂寥とした風景のなか、旅人は去っていきます。2巻では馬だけが見送っていましたが、今回は少年も一緒に見送ってくれています。
少年はどんどん遠くに離れ小さくなっていく旅人を見つめて何を思うんでしょう?
まだ見ぬはるかな世界が海の向こうに広がっていて、いつか、きっとぼくも遠くに旅していくんだ…なんて思っているのかもしれませんね。


旅の絵本3表

裏扉・あとがき

0)旅人は・・・婚礼の祝賀パレードを見守っています。扉の近衛兵はパレードの守護だったわけです。この雰囲気は、やはりチャールズ王子とダイアナ妃の結婚パレードですね。
1981年7月29日のことですから、まさにこの年にイギリス編は発行されています。間違いないでしょう。こんなに晴れやかなパレードの先に、悲劇が待っていようとは・・・人生はわかりません。

1)パレードの見物客はまず、帽子を振っている男の子とそのお父さん。お母さんとその娘。4人で家族なんだと思います。

2)隣にはなんと、旅人と女性が手をつないで旗を振っています。えっ!彼女?
 旅の恋ですかね。旅人は、この後も1人で旅を続けているようですが・・・。いいのかな。手紙は出しているのかな?

3)おじいさんとおばあさん夫婦ですね。二人もカップル。
4)男の人と女の人が並んで旗を振っています。この二人もカップルですよね。

安野さん、このページカップルにこだわったようです。


あとがき
by forest-doorさん
あとがきで安野さんはこんな風に書いてらっしゃいます。

 ロンドンで「イギリスの村」という本を見つけた。… 普通の地図とちがって
 村の名が目立ち、大きい都会は目じるし程度に記されているだけであった。…
 私はこの本に誘われるようにして、村から村へ旅をした。…
 村人たちは高い誇りを持っていた。村が市になることを「発展」とは思っていなかった。
 緑の国土をいとおしみ、せいいいっぱい村をきれいにして住んでいた。
 イギリスは世界で一番村の美しい国だと思った。

3巻では、旅人は都会であるロンドンももちろん訪れてはいますが、ほとんどが緑あふれる小さな村を旅していきます。
この絵本が描かれたのは1981年で、もう四半世紀近くも歳月は流れました。
でも、イギリスはナショナルトラスト運動もあってまだまだ緑は残っているようです。この絵本をみていたら、そんなイギリスを確かめに行きたくなりますね。

安野さんは朝日新聞社より、「イギリスの村」という画文集を出されています。ロンドンで見つけたという本と一緒のタイトルをつけられたんですね。
この本を見るとこの「旅の絵本 3巻」で描かれたところを訪れた際のことなどを書かれています。どうぞ、興味のある方はぜひ…

旅の絵本3表

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