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シーン17運河(湖水地方)(p33〜34)
0)旅人は・・・小さな運河のあるところへやってきました。運河と言えば、スエズ運河とかパナマ運河が思い出され・・・。そのミニチア版が描かれているのかと思ったのですが。実は、イギリスには産業革命時代に、主に石炭を運ぶために運河網が張り巡らされたのです。ただし、大きな運河を建設するには多大な経費がかかります。そこで、小さな運河を造ることになります。
◇「旅の絵本の秘密」には、ロンドン郊外の運河とあります。
ロンドンにあるリージェンツ運河Regents Canalの、カムデン・ロックCamden Lockを主なモデルに描かれているようです。
そして、運河を運行するボートは、高い橋を造らなくてもいいように背を低くし、狭い運河を航行できるように幅は狭く縦に長いデザインにのものが作られました。「ナローボート」といいます。
ところが、鉄道や道路の発達に伴って、いったん運河は衰退します。その後、観光用に復活して現在でも運河網をナローボートが運航されています。
ナローボートについては
http://www.captainpook.com/
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/2940/
1)左上 ロバが麦を運んできています。これは、前のシーンで脱穀していたものでしょう。風車を使って今度は製粉です。
ただ、前のシーンでは馬に乗せていましたけれど。
さて、この風車ですが・・・・
風車と言えばオランダが有名です。スペイン編やデンマーク編でも出てきますが、いずれもこの風車とデザインが違います。
実は、伝統的な風車のデザインは地域によって異なります。特に、イギリスでは色々な工夫が凝らされていて多様なデザインの風車があるようです。
安野さんがモデルにしたのは、右に写真を載せた『Up in the Wind: Windmills (English Heritage Pocket Books)』や『The Windmills of England』の表紙を飾っている風車のようです。(風車の所在地は不明)
2)運んできたのはチョッキに髭のおじいさんでしょうか?そして、話している相手が風車の持ち主かな。
ところで、風車の階段のところに付いている風車は何のために付いているのでしょうか?
構造的には「Post mill(ポストミル/箱形風車)」に分類される形式のようです。
この風車の場合には、円錐状の屋根の上にmillの機械装置を収められた白い箱形の木製建屋が乗っています。建屋の中央には柱があってこの柱を中心に箱形建屋全体が風の方向を求めて回転できるようになっています。当初は風向きに合わせるのは人力で行っていたのですが、1745年にEdmond Leeによってfantailが考案されます。絵本の風車では建屋に上がる階段の所に後翼(fantail)が着けらています。横風になったら後翼が回転して、主翼(sail)が自動的に風に正対するように回転するようになっています。
風車の構造について興味のある人は
http://www.eureka.tu.chiba-u.ac.jp/forelectures/windmill/summary/01.html
画像なら イングランドの風車
http://www2u.biglobe.ne.jp/~windmill/index.htm
3)風車の右側の木の下では、ビールジョッキを片手に宴会中です。ビールも麦からの贈り物ですね。
4)テーブルに瓶ビールを運ぶ人がいます
5)鍋?を運んでいる人がいます。
6)バスケットに何か入れて話しかけている女性がいます。
7)テーブルには子ども達も混じっています。4)の瓶はジュースかもしれませんね。
8)テーブルの脇には犬がいます。この犬の種類は後ろ向きで特定できていません。何かな?
9)隣の家では、窓から顔を出している女性に、下から歌いかけて?いる男性がいます。昼間ではありますが、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』からでしょう。
右の写真はイタリアのベローナにあるロミオとジュリエットのバルコニーです。安野さんはちゃんとこのデザインにしていますね。
by forest-doorさん 何回も映画化されている作品ですが、現代に舞台を移したレオナルド・ディカプリオ主演の「ロミオ&ジュリエット」では二人が出会うシーンが印象的でした。ディカプリオは今も若いけれど、このころの少年から一歩ふみだしたようなイノセントな感じのする時期が一番輝いていたように思います。 そして映画化で忘れてならないのがオリビア・ハッセーの「ロミオとジュリエット」。彼女のみずみずしい若さが役にぴったりでした。 |
by forest-doorさん 上流階級の方たちのお茶会が行われています。社交の場となっているアフタヌーン・ティーですね。19世紀中頃、イギリスの7代目ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが、夕食まで空腹に耐えかねて、紅茶と軽食をとったことがアフタヌーン・ティーのはじまりとされています。もともと、応接間あるいは庭先で行われていました。 |
by forest-doorさん バーバラ・クーニーの絵がついたこの絵本はジェーフリー・チョーサーの「カンタベリー物語」の中にある「修道女につきそう司祭の話」が原作となっています。 クーニーはこの絵本を描くにあたって友人からにわとりを借りたそうで、チャンティクリアというにわとりのいきいきした絵が描かれており、1958年にはコルデコット賞を受賞しています。 14世紀のイギリスの農家を舞台にした動物物語で、きつねに食べられる前にうまくだまして危険をのがれたおんどりのお話ですが、このようなきつねと家禽の知恵比べ、逃げる狐に対する大追跡といった例はマザーグースにもあるそうです。 そのマザーグースは何だろうと思い、調べてみたところ、日本語訳はちょっとわからなかったのですが、 A fox jumped up one winter's nightではじまる詩のなかに こんな一節を見つけました。 He took the gray goose by the neck, And swung him right across his back; The gray goose cried out, Quack, quack, quack. 詩はまだ続くのですが私のつたない英語力で読んでみたところ、がちょうがいなくなったことに気づいた人が丘の上から大きく甲高い口笛をふくものの、このがちょうはきつねからにげだせず、巣のこぎつねたちのごちそうとなったようです。 |
by forest-doorさん 「せきたんやのくまさん」はフィービとセルビ・ウォージントンの絵本。ほかにも「ゆうびんやのくまさん」、「パンやのくまさん」があり、フィービとジョーン・ウォージントンの絵本として、「うえきやのくまさん」、「ぼくじょうのくまさん」もでているのです。 このシリーズの絵本がすごくすきです。それぞれのお仕事をするくまさんの1日が描かれているのですが、読み終わるころにはくまさんと同じように1日の充足感みたいなものを感じ、ほっとします。 |
by forest-doorさん 左下に歩いている一行はドリトル先生の一行です。ドリトル先生、アヒルのダブダブ、食いしん坊のブタのガブガブ、オウムのポリネシア、犬のジップ。シリーズは13冊もありますが、第1作めは「ドリトル先生アフリカ行き」です。(番外編として「ガブガブの本」もあります) 作者はヒュー・ロフティング、イラストも自身で手がけています。 ドリトル先生はオウムのポリネシアから動物語を習い、動物たちと話せるのです。 そして世界中の動物たちの求めに応じて先生たち一行は出かけていきます。 |
by forest-doorさん くまのプーさんではないかと思ったのですがどうでしょう。プーさんにはクリストファー・ロビンしか子供が出てこないはずですが、子供が2人逃げているところが違うかな?くまの出てくる別のお話かもしれませんね。 旅の絵本 3巻 イギリス編ではたくさんの絵本や童話の主人公たちが描かれていました。思い返してみると、その大半が動物が多く出てくるものでした。ピーター・ラビットやくまのプーさんなど… 子どものころ、何回も繰り返し本を読むなかで、絵本の動物たちは心の友だちになっていました。ドリトル先生のように動物語が話せるわけではなくても、彼らと一緒にお話の中で遊びました。大人になった今、書き手の思いはどうだったんだろうと大人の立場で見てしまうこともあるのですが、そういったことも忘れてただ単純にまた本を楽しみたいなと記事を書いていてふと思いました。 |
by forest-doorさん 寂寥とした風景のなか、旅人は去っていきます。2巻では馬だけが見送っていましたが、今回は少年も一緒に見送ってくれています。 少年はどんどん遠くに離れ小さくなっていく旅人を見つめて何を思うんでしょう? まだ見ぬはるかな世界が海の向こうに広がっていて、いつか、きっとぼくも遠くに旅していくんだ…なんて思っているのかもしれませんね。 |
by forest-doorさん あとがきで安野さんはこんな風に書いてらっしゃいます。 ロンドンで「イギリスの村」という本を見つけた。… 普通の地図とちがって 村の名が目立ち、大きい都会は目じるし程度に記されているだけであった。… 私はこの本に誘われるようにして、村から村へ旅をした。… 村人たちは高い誇りを持っていた。村が市になることを「発展」とは思っていなかった。 緑の国土をいとおしみ、せいいいっぱい村をきれいにして住んでいた。 イギリスは世界で一番村の美しい国だと思った。 3巻では、旅人は都会であるロンドンももちろん訪れてはいますが、ほとんどが緑あふれる小さな村を旅していきます。 この絵本が描かれたのは1981年で、もう四半世紀近くも歳月は流れました。 でも、イギリスはナショナルトラスト運動もあってまだまだ緑は残っているようです。この絵本をみていたら、そんなイギリスを確かめに行きたくなりますね。 安野さんは朝日新聞社より、「イギリスの村」という画文集を出されています。ロンドンで見つけたという本と一緒のタイトルをつけられたんですね。 この本を見るとこの「旅の絵本 3巻」で描かれたところを訪れた際のことなどを書かれています。どうぞ、興味のある方はぜひ… |