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シーン14ワシントン(p27〜28)

0)旅人は 首都ワシントンD.C.(Washington, D.C.)へやってきました。連邦内での首都の取り合いを解消するためにも、特別区として機能を果たすべく設計された人工都。政治的な中立性を保つため、合衆国の北部と南部の中間に首都が設けられ、メリーランド州とバージニア州の境にある。名称は、初代大統領に由来します。

1)両ページにまたがっているのは、アメリカ合衆国議会議事堂(United States Capitol)です。首都の中心とみなされ、ワシントンD.C.の住所の東西南北は議事堂を基準に定められている。正面右手(南側)が下院の棟で、左手(北側)上院の棟になっている。
内部の構造を見ることができます。

2)議事堂の前では、独立戦争時?の服装でセレモニーが行われています。旗は現在のものですね。衛兵?の数は、独立時の州の数に合わせてあるのか、13人です。

3)左上 乳母車を囲んで、黒服の男の人が話しています。
チャップリンの映画『キッド The Kid』からです。

4)クラッシックカーのパレードが行われています。
車に乗っているのは、男性二人、男女、男女ときて、最後は一人乗りの馬車です。これが、もっともクラッシックですね。
by forest-door さん

アメリカの初期の車といえば、フォードのT型車が思い出されます。画像は河口湖自動車博物館のサイトからcollectionのページでどうぞ。
T型車は初めて大衆向けに、安くて信頼性の高い車をめざして作られました。
1908年に売り出されてから、この車は売れに売れて19年間で1500万台も売れたそうで、
それまでステアリングが右側の車が多かったのに、フォードのT型車が左側にして、現在の主流となったということです。
4気筒エンジン、20馬力、5人乗りの幌付き自動車です。
いまや300馬力の車もあるという時代です。100年ほどでずいぶん技術開発が進んだんですね。
そしてこれから100年後には車はどんなふうになっているんでしょう。環境を考えた車がもっと進化しているかも…。

5)見物人は、左から子ども二人を連れた、白いドレスを着たお母さんは、手に帽子を持っています。
6)ピンクの日傘を持った女性の隣は、警察官でしょうか?
7)黒服の二人の隣には、青い日傘を持った女性がいます。
8)子どもが二人、その隣の男性は、クラッシックカーに感嘆しているのか、両手を広げています。
9)茶色の服の人、オーバーオールの人、手を振っている女性、並んで托女性と男の子。
10)ここにも乳母車。赤田yんも乗っています。脇の男女が両親でしょうか。子どもは、お兄さん?
11)青い服の隣は、赤いマントをかぶった人がいます。

12)もう一人マントの人がと思ったら、これは、議事堂のドームの上の像です。ドームの上の彫刻が、クラッシックカーのパレードを見ている人たちと重なるような、だまし絵にしてあります。
像は、議事堂のドームの上にも実際にあって、「Statue of Freedom」ですから「自由の女神」です。ちなみに、ニューヨークの自由の女神は、「Statue of Liberty」です。これ、細かい意味はどうちがうのでしょう。

11)像の横に男の人、そしてその隣の白とピンクの服の女性は何か話し合っています。やはりクラッシックカーのことなんでしょうね。
12)自転車を降りて、パレードを見ている男性がいます。
ここにある「車」の車輪は全て、スポークが使われています。乳母車の車輪、クラッシックカーの車輪、馬車の車輪です。

13)たばこを吸いながら見ている男性と、クリーム色のドレスを着た女性がいます。

14)走っている人がいます。やはり、ダイエットのためなんでしょう。
 セントラルパークを走っていた人と重なります。先頭を走っていた人は、やはり同じフォームで先頭を走っています。2番目を走っていた人も同じフォームで走っていますが、ダイエットに成功したようです。3番目に走っていた人は、挫折したようです。実は、太めの人は、ランニングは膝に良くないので、運動するなら自転車が良いのです。12)の男性は、セントラルパークで3番目を走っていた人だったりして。

15)星条旗をみんなで、たてようとしている人がいます。これは、第二次世界大戦の折り、硫黄島での壮絶な死闘の際のシーンです。そして、ワシントンDCにある、戦没者をまつるアーリントン墓地のにこの硫黄島モニュメントがあります。硫黄島決戦は、アメリカにとっても犠牲が大きく特別の意味、象徴的意味があるのでしょう。
by forest-door さん

これは第二次世界大戦の激戦地であった硫黄島戦において、星条旗が山頂に掲げられる様子を同行していた通信社の特派員であるJ・ローゼンタールが撮影した写真がもとになっています。
その写真はニューヨーク・タイムズのトップを飾り、ローゼンタールはピュリッツァー賞を受賞しています。そしてこの写真は今でもアメリカの小学校の教科書にも載っているほどだそうです。

「旅の絵本の秘密」には、「硫黄島の旗」(キャバの写真より)とあります。・・・多分安野さんの勘違いでしょう。
キャバは、ハンガリー生まれのアメリカの写真家の報道写真家、ロバート・キャパ(Robert Capa、1913年10月22日 - 1954年5月25日)の事であろうと思います。
彼は、スペイン内戦の時に頭部を撃ち抜かれ倒れる瞬間の人民戦線兵士を撮った「崩れ落ちる兵士」で一躍有名になり、その後も活躍した写真家です。しかしながら、キャバが硫黄島の写真を撮った記録はありません。
「硫黄との旗」は、アメリカの報道写真家ジョー・ローゼンタール(Joe Rosenthal、1911年10月9日 - 2006年8月20日)の作品です。
彼は、この作品によりピューリッツァー賞(ピューリッツァー賞 写真部門)を受賞しています。
さらに、上記のようにこの写真をもとに、アーリントン墓地にモニュメントが作られたのです。

16)旅人の前方には桜の花が咲いています。花は咲いてないですが、周りの木も桜っぽい樹形が多いですね。
ちなみに、桜は日本から日米友好を願ってもたらされたものです。

by forest-door さん

そして、国会議事堂の上に描かれているのはポトマック河畔の桜並木です。
桜の季節には桜祭りも開かれています。
この桜の木は1912年に日本から送られたものですが、その苗が兵庫県伊丹市のものだったということで、伊丹市のホームページにそのいきさつが紹介されていました。→こちら
タフト大統領夫人に直接手紙を書いて桜の植樹を願ったエリザ・「R・シドモアは兄が横浜領事館に勤めていたこともあって来日し、桜の美しさ、また桜を愛でる日本の文化に深く心を惹かれたようです。
今は横浜外人墓地に眠り、傍らにはアメリカから里帰りした桜の木が植えられているそうです。


17)演説をしている人がいます。議事堂内の演説だと思われます。演説しているのは誰でしょう。大統領教書の演説でしょうか。それにしては、周囲の人たちののんびりした様子が変ですね。単なる、議会のまねでしょうか。
◇「旅の絵本の秘密」には、「人民の判決」(右中央)とあります。
どうも、この演説をしているように見える人達の事だろうと思います。
「」でくくられているので、このような題の絵画もしくは写真が存在するのだと思いますが、具体的な作品が不明です。どなたかご存じの方、情報提供をお願いします。

18)演説している演台に寄りかかって聞いている人がいます。
19)演壇の下に座り込んで聞いている人がいます。
20)最前列で座り込み、腕を振り上げてやじっている人がいます
21)3人ずつ立って話し合っている人たちが3組あります。一番右の一組には、右手を振り上げて話している人がいます。随分、熱が入っている模様です。

22)帽子を持って座り込んでいる人が、椅子に座った人と杖を持った人が両脇にいます。真ん中の人はちょんまげを結っているようです。 これは、1871年〜73年にかけて不平等条約の解消を目指して、欧米に派遣された岩倉使節団だと思います。まずは、アメリカに渡り、ワシントンDCを訪問しています。
写真は、左から帽子を持っても座っているのが木戸孝允(桂小五郎)副使、帽子を抱いているのが山口尚芳副使、どんと座ってちょんまげをしているのが岩倉具視特命全権大使、ステッキを持って立っているのが伊藤博文副使、右端で帽子をもってすわっているのが大久保利通副使です。ということで、安野さんの絵では、真ん中のちょんまげ姿が岩倉、ステッキを持っているのが伊藤、椅子に座っているのが木戸か大久保ということでしょうか。
 岩倉は、この時点では頑としてちょんまげを維持しているのですが、欧米の文化と接する中で、切ってしまいます。

23)右端で両手を揚げて話している人は、両手に何か持っています。コップ?右の人は腕を組み、左の人は杖をついて熱心に聞いています。
24)スイカを切っている人がロボットのように見えましたが、単に帽子をかぶっているだけでした。演説でのどの渇いた人たちに振る舞おうというのでしょう。それを樽に座って見ている人と、何か半円状になった杖のようなものを持って見ている人がいます。この半円状のものはなんでしょう。

25)議事堂の角のところで、話し込んでいる二人がいます。
26)議事堂の避雷針?掲揚台?のところで話している二人がいます。
27)頭にバンダナ?を巻いた人が、一輪車を押しています。何を運んでいるのでしょうか。杖をついた人が見守っています。
28)寝転がって演説を聴いている人がいます。
29)右腕を高く振り上げてここでも熱弁をふるう人がいますが、聞いているのは一人だけです。
30)立って二人で話している人がいます。こちらは、激高してはいないようです。

31)ブリキの木こりに、案山子に、ライオンに、女の子とくればライマン・フランク・ボーム(Lyman Frank Baum)の著した、児童文学小説、『オズの魔法使い』(The Wonderful Wizard of Oz)でしょう。女の子はドロシーです。1939年にミュージカル映画になっています。
by forest-door さん

ライマン・フランク・ボームの書いた物語がミュージカルとなり、1939年に映画化されました。
物語の最初は白黒の世界で始まります。ドロシーは「Over the rainbow」を歌い、虹のかなたを夢みています。
そしてたつまきに家ごと吹き飛ばされ、オズの国についたそのときから総天然色カラーへと変わり、世界が一変します。
配役がぴったりあった映画ですね。ジュディ・ガーランドはそのまんま愛らしい少女に見えますし、かかしや木こりのメーキャップもばっちりです。ライオンの衣装というか着ぐるみは40kgもあり大変だったそうですが。
DVDでは当時を振り返って出演者達の話や未公開シーンなどがおまけで見ることができ


32)山高帽にステッキにローラスケートの人が踊っています。チャップリンの映画『スケート(THE RINK)』からでしょうね。動画を見ることができます
あるいは、ローラースケートの技が使われている『モダン・タイムス(Modern Times)』からかも。
チャップリンの持っているおなじみの杖は、扱いやすいように軽くてしなやかなものと言うことで竹で作ってあって、日本製です。チャップリンは「あのスティックを思いついたのは私の最大の幸運だった」と自伝で述べていて、スペアも必要で、30本も日本から取り寄せていたそうです。

33)チャップリンを見て驚いている女性がいます。モダンタイムスのデパートでの冷や冷やするようなシーンの浮浪少女(ポーレット・ゴダード)ではないでしょうか。

34)ベンチに座って、チャップリンを興味深げに見ている老夫婦がいます。

35)赤毛のカーリーヘヤーの女のこが犬を連れて、男の人と話しています。ブロードウェイミュージカルの『アニー』(Annie) のアニーと犬のサンディー、男の人は億万長者のオリバー・ウォーバックスでしょう。ただ、アニーの舞台はニューヨークのはずだけど、何でここにアニーなの?

by forest-door さん

 男の人と向き合っている赤毛でカーリーヘアーの女の子と犬といえば、ミュージカル「アニー」ですね。もともとは新聞に連載された漫画でしたが、ラジオドラマや、ミュージカルとなり、映画まで作られるようになりました。明るく前向きな主人公アニーのうたう「Tomorrow」はつい一緒に口ずさんでしまいます。
日本でも毎年ミュージカルが行われています。サイトはこちら。無理にカーリーヘアのかつらをかぶらせなくっても…と思いますが、それだけアニーのイメージは出来上がってしまっているんでしょうね。


35)ネイティブアメリカンの酋長といったいでたちの人が子どもをつれています、女性が脇で荷物を持ち、案内役の男性が議事堂の説明をしています。
この人は「父は空 母は大地」のシアトル首長では無いかと想像します。シアトル首長は、ワシントンDCには来ていないのですが、ワシントンの大統領に当ててこのメッセージを書いたわけですから。そして、このメッセージは現代の我々が受け止めなければならない大切なものだと思うのです。安野さんは、そんな思いも込められたのでは無いかと想像するのです。

36)桜の木の下のベンチには酔っぱらって寝ている人が二人、警官に注意されています。アメリカでも、花見(もう葉桜ですが)で、こんなになってしまう人がいるんですね。

37)西アジアからやってきたような服装の女性が2人、男性に案内を受けています。やはりワシントンは世界中から観光客がやってくるんですね。

シーン15ボストン(p29〜30)

0)旅人は   マサチューセッツ州のボストンにやってきました。ハーバード大学をはじめとして、名門大学のひしめく街です。そして、ボストン茶会事件など、アメリカの独立に深く関わりのある街です。

1)港に帆船が停泊していて、海に浮かぶ荷物を引き上げようとしています。
イギリスの植民地であったアメリカには、主権がありません。1773年、イギリス本国は、植民地にはかることなく増税を押しつけ、お茶にまで税金をかけるというので、ボストン港に停泊していた船を襲撃し、茶箱を海に投げ込んだのです。犯行をごまかすために、「インディアン」の扮装をして行ったのだとか。

 「ボストン茶会事件(Boston Tea Party)」の、Partyは政党を意味するのだから、茶会事件は誤訳だとの説がありますが、正しい訳と言って良いと思われます。詳しくは「ボストン茶会事件」は誤訳か?を見てください。
http://www.geocities.co.jp/Outdoors/4129/boston_tea_party.html
「旅の絵本の秘密」には、ボストンティーパーティ事件(右上)とあります。
by forest-door さん

サミュエル・アダムスを中心に、インディアンの扮装をしてボストン港に停泊していた船を襲撃し、茶箱を海に投げ込んだのです。
ボストン港をティー・ポットに見立てて、お茶を投げ込み、ティーパーティを開こうとしたというわけでティーパーティ事件といわれているそうです。
この船を復元した博物館があるのですが現在改修中。でもサイトでは昔の事件のときの茶箱の写真が見ることができます。
世界史の苦手だった私でもこのティー・パーティ事件は名前がなんだか優雅だなぁと思って覚えていたぐらいで、当時の茶箱が残っていたことにびっくりでした。

2)船の様子を見ている男性がいます。イギリス関係者でしょうか。
3)「インディアン」の扮装をした人が3人走っています。サミュエル達が、責任を回避しようとしておこなった扮装をあらわしているのでしょう。

4)男性が3人立っています。
5)魚の詰まったとろ箱が、たくさん積み上げられています。
6)とろ箱を秤に積んで、います。青いエプロンの人が買い手で、とろ箱に手を置いているの人が売り手でしょうか。
7)テーブルで魚をさばいている女性が5人います。後方に、開いた魚が並べてあるようですから、なんだか干物にしているように見えます。ところで、アメリカでも乾物にする食文化があるのでしょうか。旅人はこの様子を見ているようです。

8)とろ箱に座った人二人とその間に立つ二人の4人は話し込んでいるようです。
9)立って事件を見ている人が二人います。
10)台の上にスーパーマン(Superman) が飛び立とうとしています。事件のあるところ、スーパーマンは現れますから、茶会事件に出動でしょうか、でもこの場合どちらに味方するのでしょうか?
『スーパーマン』は、コミック出身の架空のヒーロー。クリプトン星人のカル=エル。地球で成長して、大都会メトロポリスへ出て、新聞記者をしながら、クラーク・ジョセフ・ケントを名のっている。原作は、1938年にジェリー・シーゲル原画ジョー・シャスターで、アクション・コミックス誌第1号で初登場したそうです。何度も映画化された他テレビドラマ化もされて、日本でも放映されました。や映画化が何度も行われています。

10)子どもが、スパーマンを指さし、隣の男性に注意を呼びかけています。犬も興奮して、ほえています。
 こどもは、「空を見ろ、鳥だ、飛行機だわ、あっ、スーパーマン!」とさけんでいるのかな。

11)一輪車を持った男性二人が、スーパーマンを見ています。
12)女の子とお母さんが、やはりスーパーマンを見ています。
13)通りでは、昔の兵隊の扮装をした人たちが更新しています。
14)先頭に掲げられた旗は、ストライプにカントにユニオンジャックが組み込まれています。『大陸旗』です。後の星条旗の元になった旗です。
植民地時代のアメリカでは、政府の建物には当然のように英国旗(ユニオンジャック)が、掲げられていました。そして、各植民地はそれぞれの旗を持っていました。独立戦争の中で、共通の旗が必要と言うことで作られたのがこの旗です。『大陸旗』が作られたのです。ユニオンジャックを組み込んでいますから、必ずしもイギリスからの独立だけを考えていたわけではないようです。

15)もう一つ旗が掲げられています。白地に中央にユニオンジャックです。この旗は何でしょうか?

16)パレードの最後尾には、「1775」の旗を掲げています。1773年のボストン茶会事件をきっかけに、支配を強化してきたイギリス本国に対し、大陸会議を開いて「植民地の自治権」を求めて英国に対して反抗することになります。1775年4月19日ボストンの西北レキシントンにおいて、英国の駐屯兵と住民有志による民兵(現在のアメリカからすると愛国者)が衝突(レキシントン・コンコードの戦い)します。このことがきっかけで、アメリカの人々は、独立の道を進むために闘うのか、イギリスに従うのかの選択を迫られることになり、ボストン包囲戦からついにアメリカ独立戦争となったのです。
 現在では、マサチューセッツ州とメイン州ではでは4月の第3月曜日を「愛国者の日(Patriots' Day)」としていて、ボストンではマラソン大会が開かれたり、パレードが行われています。これは、そのパレードをあらわしているようです。

17)パレードの右側で見物している人たちがいます。女性が4人に男性一人です。
18)建物には、右端に「The Boston Grobe」と書かれています。1718年ボストンにに薬局として建てられて、現在では宝石店になっていますが、以前は「Old Corner Bookstore」といって、アメリカ文学者のたまり場になっていた本屋さんでした。

19)PRIN CETOと書かれた服を着た女の子がいます『あしながおじさん』の主人公ジュディです。

20)たくさんの本を抱えた男性がいます。本屋さんの近くですから
21)子どもの影が、長くのびて足長おじさんのシルエットになっています。
ジョン・グリア孤児院のジュディは、ある日院長室に呼び出される途中、西陽によって正視を妨げられながら、廊下に落ちた長い長い“人影”を見ることになる。まるでそれはガガンボのようなとても足の長い虫さながらであった。・・・・というわけで、ジュディを援助する人のあだ名が「足長おじさん」になります。
by forest-door さん

P.30の下部 プリンストン大学の旗をバスローブにしている女の子、壁にうつった足長の影の持ち主、そして右端の家の玄関に描かれたぽってりした評議員の絵、これらはみな「あしながおじさん」の挿絵からで、作者ジーン・ウェブスターが自ら描いた挿絵です。
書簡集の形式をとっていて、日ごとにジュディの学生生活が生き生きとつづられています。
ボストンは大学の街といわれるぐらいで、ハーバード大学やマサチュセッツ工科大学(MIT)、ボストン大学などがあります。その街を舞台にしたページにこの作品を登場させたのは大学生活を描いた作品だからでしょうか。
この「あしながおじさん」、子どものころ大好きだった本でした。この本で読書の楽しみを教えてもらったようなものです。
その手紙の内容もいろいろですが、結びの文もいろいろあって、「悲しみの衣をまとえるジュディ」とか「絶対にひるがえすことなく 永久にかわることなき、決意をいだく ジルーシャ・アボットより」とか 本当にジュディの素直な心情のままに手紙がつづられていて、私に届いた手紙のように楽しく読んだものです。最近は手軽にメールで連絡をとったりしていますが、たまには手紙を書きたいな、なんて思いますね。

作者のジーン・ウェブスターのお母さんはマーク・トウェインの姪 なんだそうです。ウェブスターの本名はアリス=ジェーン=チャンドラー=ウェブスターでジェーンというのはマーク・トウェインのお母さんのなを貰ったそうです。でもこの名前が古めかしくて嫌いで大学に入ったときからジーンと改名。ジュディに結びついていますね。


22)馬車のアイスクリーム屋さんがいて、子ども二人がお客さんです。ボストンにこんなアイスクリーム屋さんがあるのだと思うのですが・・・あるようですが、ICEと書いてある前のKE・・・の店名が読めません。
心当たりの、アイスクリーム屋さんをご存じの方情報をください。

23)道路では3人の子がビー玉遊びをしています。
24)子ども達の背後のドアには、雪だるまのような絵が描かれています。これも『あしながおじさん』の挿絵からです。

25)隣の建物との間に、たくさんの杭があるようですがこれはいったい何?

26)煙突の横に自転車にハシゴや掃除用のブラシを準備して立っている掃除夫がいます。軽く煙突のてっぺんを振り返って見ているように描かれていますが、これは高さを無視しただまし絵になっています。

27)ボールを蹴っている男の子とそれを受け止めようとしている女の子がいます。
28)パレードを見物している男性がいます。
29)鞄を持ってある手前に歩いてる男性がいます。27)の人に何か用事でもあるのかな

30)女の子がお母さんと何か話しています。2人の視線はスーパーマンの方を見ているようです。

31)杖をついた男性が隣の女性を見ています。

32)胸に大きく赤いAの文字をつけている女性がいます。アメリカの作家ナサニエル・ホーソーン(Nathaniel Hawthorne)の書いた『スカーレット・レター(緋文字)』の主人公へスター・プリンです。
 何年もの間音信不通の夫がいましたが、牧師との不倫をしてします。ピューリタンとして許すことのできない、というので罰として赤のAをつけさせられています。相手をかばい、一人生まれてきた子を育てる主人公の生き方は、毅然としています。 31)の見ている?話しかけている?男性は、あらわれた元主人でしょうか、生き方についてへスターに説教している人でしょうか。
舞台はボストン近郊のセイラムなので、ここに描かれたのでしょう。
ちなみに、ボストンも、1630年9月17日、イングランドからやってきた清教徒たちの手によって築かれた町です。

33)その他5人の男女がパレードを見ています。
34)観衆の後ろを帽子をかぶった男性が35)の議事堂に向かって歩いています。ボストン出身のベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)ではないかと思います。だとすると、建物に一番近い男の子は、雷実験につきあった子どもだったりして

35)中央の建物は、ボストンにある旧州会議事堂(Old State House)です。
1770年3月5日この近くで、ボストン虐殺事件(Boston Massacre)が起きています。イギリス軍が民間人5人を射殺した事件で、のちに独立戦争を引き起こすきっかけともなった事件の1つでもあります
また、1776年7月18日、2階のバルコニーで独立宣言が読み上げられています。今は、博物館になっています。



36)岸壁に、片足が義足の男が立っています。アメリカの作家ハーマン・メルヴィル(Herman Melville)が書いた『白鯨』(Moby-Dick)エイハブ船長でしょう。白きマッコウクジラMoby-Dickに片足をかみ切られ、復讐に燃えています。船長達は、同じマサチューセッツ州 にある捕鯨の町ニュー・ベッドフォードNew Bedfordから出発します。この町には、ジョン万次郎も暮らしていました。
by forest-door さん

 岸壁に立っている男はメルヴィルが書いた「白鯨」のエイハブ船長のようです。片足を白鯨モービィ・ディックに奪われ、復讐にもえています。何度か映画化されていますが、1956年の作品の「白鯨」ではグレゴリー・ぺックがエイハブ船長を演じています。なんかイメージが違うような…やっぱり、2枚目俳優は、正統派の2枚目の役ばかりではおもしろくないと思って、演技の幅を広げたくなるものなんでしょうか。
それから、豆知識をひとつ。「白鯨」の中にコーヒー好きの一等航海士スターバックが出てくるそうなんですが、彼の名前からコーヒーチェーン店のスターバックスの名前はつけられたそうです。知らなかった〜

<追記> 
安野さんの本「ニュー・イングランド 安野光雅のスケッチブック」によると、メルヴィルは若い頃水夫で、ニュー・ベッドフォード(ボストンから車で1時間くらいの街)から捕鯨船に乗って太平洋に出たそうです。また、「白鯨」の書き出しはこのニュー・ベッドフォードから食いつめた若者のイシュメイルが捕鯨船に乗るところから始まるそうです。だから、このボストンのページに描かれているんですね。

37)子ども達が3人走っています。茶会事件に向かっているのか、スーパーマンを見に走っているのか。
38)3頭だての、時代物の車・・・どうも消防車が走っています。火事はどこでしょう?、これも茶会事件に駆けつけているのかな。
 この消防車の絵は、何かの絵本にあったようにも思います。ただ、この巻で安野さんがあちこちでCurrier & Ivesの版画を資料にされているようです。その中にThe Life of the Firemanのシリーズがあります。
その中でも、"The Life of the Fireman: The Metropolitan System." がこの消防車とよく似ています。
消防車を追いかけて走っている人達も描かれていますし。

39)左上に、楽器や荷物を持った一団が描かれています。この人達は何なんでしょう。イギリスからやってきたピューリタンの人たちでしょうか?1620年に清教徒たちがメイフラワー号でボストンの南プリマスに到着してから、わずかな間にボストンにも入植者たちは増え、清教徒社会をつくりあげたといわれています。
絵の雰囲気からすると、安野さんは何かの絵を参考に描かれていると思うのですが、不明です。
情報をお持ちの方連絡ください。

40)消防自動車の手前を、馬に乗って疾走している男性がいます。犬も興奮して一緒にかけています。これは、ポール・リビア(Paul Revere)
「真夜中の騎行」です。
 1775年4月18日の夜、イギリス軍が植民地の人たちが密かに集積したコンコードの武器庫を接収しようと出発したことに気づいた、愛国者は真夜中に伝令を出します。ボストンからレキシントンを経てコンコードに向かったリビアの情報によって、対応を準備します。そして運命の19日レキシントン・コンコードの戦いが始まり、独立戦争へとつながるのです。
 愛国者の日には、この疾走が再現されるそうです。ということは、こちらも再現中ですかね。右の絵もCurrier & Ivesの版画です。
 35)のボストン虐殺の絵を描いたのも、ポール・リビアです。

41)家の角に立つ男の人は、リビアの声を聞いています。すぐに、周囲にしらせ直ちに武装して集まることになります。「1分後」には、ミニッツマンとして。

42)ピアノを運んでいる二人組がいます。セントラルパークの似顔絵の中にもあったスタン・ローレルとオリヴァー・ハーディのコンビです。。
このコンビで喜劇映画が何作か作られていますが、『Laurel and Hardy in The Music Box』からです。

43)壁に寄っかかって座り込んでいる人がいます。酔っぱらっているのかな?
44)水玉のワンピースに帽子の女性が、ピアノを運ぶローレル&ハーディを見ている女性がいます。ポール・リビアを見ている可能性も高いです。

45)杖をついた男性とピンクの服の女性は夫婦でしょうか
46)馬車を引く男の子がいます。ソーセージのお店でしょうか?
47)ステッキを持った男性と縦縞のエプロンをした女性がいます。
48)黄色のテントは、服のお店ですね。灰色の服を着た夫婦が見ています。
49)ショーウインドウを見ている夫婦がいます。ネックレスが飾ってあるようです。

50)左端の家は、真夜中の疾走のポール・リビア(Paul Revere)の家です。1680年代のデザインで、ボストンで最も古い木造家屋として復元されています。

51)赤白のパラソルの屋台は何を売っているのでしょうか?ボールのようなものの中に何か入っていますが?これはなんでしょう??赤い縦縞のシャツの人は、箱の上に乗っていますが、子ども?でもなさそうですが??

52)水玉のワンピースに帽子の女性がいます。ポール・リビアの家を見ているようです。44)のローレルとハーディ(あるいはポール・リビア)を見ていた女性ととても似てますが?何か関係があるのでしょうか??

54)ワゴンに箒やバケツが入っています。売り物でしょうか?掃除のための車でしょうか?パレードの後を清掃すべく待機しているのかな。

55)樽に座っている人と、その隣の二人は視線がそろっているようです。ポール・リビアの家を見ているんですかね。今日は、愛国者の日ですから
56)黄色のテーブルのようなものを囲んで、帽子をかぶったおじいさんが3人何かやっています。座っている二人は前掛けのようなものをつけているように見えます。いったい何をしているのでしょうか?
57)ピンクの肩掛けをした女性が、乳母車を見ています。手に持っている大きな荷物はいったいなんでしょう??

58)乳母車を押している女性がいます。
何か特別な意味があるのかも知れません。

59)手を繋いで乳母車を見ている、男の子と女の子がいます。
60)黒いスカートの女の子と籠をもった女性が、向こうを歩いている黒服の男性に話しかけているように見えます。
61)パレードを見ている観客、一番手前には、着飾った女性が二人
62)黒い服と白い服を着た人が並んで立っています。黒服の方は、警察官にも見えるのですが、右手に傘?を持っています。あまり降りそうな感じはないのですが。
63)オーバーオールを着た男性とオレンジの服を着た女性、黒服の男性と白い服の女性はどちらも夫婦でしょう。カップルで見ている人たちの割合が多いですね
  あるいはオレンジの服女性と黒服の人、白いドレスの女性とオレンジのシャツにネクタイの男性が、カップルでしょうか?
 そのほか、男女が並んでいます。安野さんはどういうカップルの組み合わせを考えておられたのでしょう。色々なパターンが可能です。
64)黄色の服の女の子が、パレードの方へ飛び出そうとしていて、周囲の人が止めようとしています。こんなこと良くありますよね
65)杖をついたおじいさんの横に立つ、黒服にネクタイの男性ですが、ウエストサイドのシーンで、バスケットコートで踊るのを見ていた刑事さんに雰囲気が似ています。この人も、刑事さんでしょうか?愛国者の日に、何か警戒しているのでしょうか。

66)バナナや果物を売っているワゴンがあります。後ろの建物の所に積んである箱は、予備の品物でしょうか。水色の服を着た人が店主でしょうか、通りのネッカチーフの女性に声をかけています。
 手前の女性二人は、買おうと思っているのでしょうか
67)鞄を持ったオレンジの服の女性が、ドラム缶を見ています?何故??ひょっとして65)の刑事さんのことが気になっているのかな

ここは、ボストンという設定だと思いますが、『白鯨』のエイハブ船長がいますし、右上の魚の処理をしている人たちが、大都市のボストンにそぐわない気もします。
 ひょとすると、煙突掃除屋さんの向こう側の家も含めて、ニュー・ベッドフォードNew Bedfordの様子も合成されているのかも知れません。

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シーン16ウィリアムバーグ(p31〜32)

0)旅人は ボストンが政治経済の中心になる前、1699年から1780年まで、イギリスの植民地政府の首都であったウィリアムバーグにやってきました。
 その後、次第に忘れられた街になっていったようですが、大富豪のロックフェラー家の資金援助を得て、歴史地区として18世紀当時のその町並みと生活を再現しています。歴史地区では高い建物を建てたり、車の乗り入れを制限したりと、町並みそのものをオープンミュージアム(生きた博物館)「コロニアル・ウィリアムズバーグ(Colonial Williamsburg)」としています。町並み保存の先行事例として、世界中から注目されています。

1)シーンの中央にまたがってあるのが、総督公邸(The Governor's Palace)です。

2)門の前には大砲が2門置かれています。植民地時代当時のものでしょう。ウィリアムズバーグに実際に残してあるそうですが、写真を見る限りこの位置には設置してありません。今日だけ、特別かも知れません。

3)門の前では、当時の扮装で射撃や音楽が演奏されています。イギリス軍でしょうか?大陸軍でしょうか?
ここのHPでその様子が紹介してあります。(再現のためにとことんやっています)
http://www.hm17thregiment.org/utr2004.htm
http://www.hm17thregiment.org/utr2005.htm

3)左上 天秤で水?を運ぶ女性がいます。それを見ている、男性はポケットに手を突っ込んでいます、手伝う気は全くないようです。女性の方は、手伝う気があるのか、話しかけています。

4)星条旗を先頭に太鼓とラッパを持って行進する子どもたちがいます。独立戦争の時の大陸軍のまねをしているんでしょうね。
右の絵は、Currier & Ivesの『76-heroes』という絵です。

4)左下 本の看板を掲げた家があります。作りはあまり本屋さんらしくありませんが、コロニアル・ウィリアムズバーグ内にある建物でしょう。
グロスター公爵通りDuke of Gloucester Streetにあります。
http://travel.webshots.com/photo/1023255714027813012UsUdzujnmD

5)見物の人たち木のところから 赤い服を着た少女、白い服の女性、黄色の服の女性と隣の男性は夫婦でしょうか、前には子供達が二人います。ここでも子どもは飛び出しそうですね。
6)男性一人をおいて、隣の男性と帽子の女性は夫婦でしょう、オレンジの服の女性と子どもと隣の男性は家族なんでしょうね。
7)白い服の女性と後ろの男性と子ども3人は家族でしょうか
8)帽子をかぶった女性をおいて、ハンチング帽をかぶった男の人の隣りの車いすの女性はお母さん、そして世話をしている女性が奥さんでしょうか。
9)兵隊のかっこうをした人がいます。なぜ、ここに立っているのでしょう?
10)犬を連れた女性と、犬を連れた親子がいます。
11)通りの反対側手前から、白い服の2人、青い服の女の子とお父さん?、オレンジの服の少女、ここまでの人たちは皆、身を乗り出すようにして見ています。
12)隣の黒服の二人は、話し込んでいるようです。
13)ステッキをついている男性の向こうには、女性が3人並んでいます。友だちでしょうか?
14)茶色の服の男性とオレンジの縦縞の女性は夫婦?
15)水色の少女と黒服の男性とオレンジ色の水玉の女性は家族のようです。お母さんは、後ろの刑の方が気になって娘に話しかけています。

16)後ろに子どもが二人さらし台に首と手を固定されています。お母さんがそれを見ています。これは、ウィリアムズ・バーグの刑務所にあったもののようです。現在でも観光客に公開されています。当時も、この絵のように広場でさらしていたのでしょうか。
 左の写真はグロスター公爵通りDuke of Gloucester Streetのものです。大きな写真は
http://inlinethumb31.webshots.com/30686/1023258173027813012S600x600Q85.jpg

17)真ん中下の建物は グロスター公爵通りDuke of Gloucester Streetにある建物のようです。
大きな写真です
http://inlinethumb25.webshots.com/30744/1023256838027813012S600x600Q85.jpg

18)右上 白い家の所に馬車が着いています。
この馬車、シーン12ウエストサイド物語(p23〜24)で、結婚式を挙げていた所にいた馬車のようです。ということは、ここが二人の新居でしょうか。
そうすると、白の服の人が新婦さん。隣の反り返っている人が新郎でしょうか?鞄を持って握手している人はお客さんでしょうか??
左側にいる黒い服の人が御者?そして、赤い服の女性は、結婚式の時には、花を買っていましたが・・・付いてきたのでしょうか??

19)土管で遊ぶ犬がいます。Gene Zion 作 Margaret Bloy Graham 画 の『どろんこハリーHarry the Dirty Dog』の絵本からです。読み聞かせをしていますが、こどもたちに大人気の本の一つです。
ちなみに、英語の書名で検索していたら、・・・ダーティーハリーも出てきました。ああなるほどと。


by forest-door さん

黒いぶちのある白い犬のハリーはおふろが大嫌いで、ブラシをかくして外に逃げ出しておもいっきり遊びまわります。
どろんこになったハリーは体中まっくろでところどころに白い部分がみえていて、いつもとは正反対。家の人たちにハリーだとわかってもらえません。
お風呂嫌いで遊びまわってまっくろのハリーに子供たちは共感するんでしょうね。このハリーのシリーズは「うみべのハリー」や「ハリーのセーター」と続き、ぬいぐるみも出るほど人気者です。
文はジーン・ジオン、絵はマーガレット・ブロイ・グレアム。二人はご夫婦で、マサチューセッツ州在住だそうです。


20)屋根の上に鳥のとまった家があります。Chowning’s Tavernのようです。tavernとは居酒屋や宿屋を意味しています。街の中にはたくさんのtavernがあるようです。
大きな写真は
http://inlinethumb13.webshots.com/31052/1023255746027813012S600x600Q85.jpg

21)馬車が通っています。「コロニアル・ウィリアムズバーグ」には、基本的に車の乗り入れが禁止されていて、送迎バスを使い、園内では乗合馬車が利用されています。
大きな写真は以下をどうぞ
http://inlinethumb56.webshots.com/29815/1023258402027813012S600x600Q85.jpg

22)樽が積んであるところに看板が立っています。何か意味があるのでしょうが・・・不明です。

23)置いてある大砲をのぞき込んでいる男の子と、それを見ている女の子が二人います。さらにそれを見ている水玉のドレスの女性はお母さんでしょうか?この人、前のシーンでピアノを運ぶローレル&ハーディ(あるいポール・リビア)はを見ていた女性、ポール・リビアの家を見ていた女性と同じようです。独立関係のものが好きな人なんでしょうかね。日本風に言えば歴女か。

24)旅人の前で カモに餌をやっているお巡りさんがいます
ロバート・マックロスキーRobert McCloskey (著)の『かもさんおとおりMake Way for Ducklings 』からです。
この物語は、ボストンが舞台なんですけれど?
英語版 の『ウィキペディア(Wikipedia)』にも紹介されています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Make_Way_for_Ducklings

by forest-door さん

かものマラードさんと奥さんはボストンの街のあちこちを探して子供たちを育てるのによさそうな場所に巣をつくります。
公園ではマイケルというおまわりさんとも親しくなり、子供たちを引き連れて歩き出した奥さんたちのために交通整理もしてくれるのです。この交通整理の場面が次のP.34で描かれています。


アメリカ旅行にとても詳しいHPがあります。その中に
「アメリカ人のふるさとウィリアムズバーグ」という部分があります。とても参考になりました。
http://www.plans.jp/shashinshu/nanbu/004.html

旅の絵本4表へ

シーン17ハロウィーン(p33〜34)

0)旅人は カボチャをたくさん用意してハロウィーンの用意の進む村にやってきました。
特に、どこの村と言うことではないように思います。
「旅の絵本の秘密」には、ペンシルバニア州ほかとありました。

元々、ハロウィーン (Halloween)は、ケルト人の祭りが起源のようです。ケルトでは1年の終りは10月31日で、この夜は死者の霊が家族を訪ねたり、精霊や魔女が出てくると信じられていた。これらから身を守る為に仮面を被り、魔除けの焚き火を焚くというわけです。そして、墓でロウソクを炊くのだそうです。これに因み、31日の夜、蕪をくりぬいた中に蝋燭を立てて「ジャック・オー・ランタン」(お化け蕪)を作り、魔女やお化けに仮装した子供達が「トリック・オア・トリート(Trick or treat. お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ)」と唱えて近くの家を1軒ずつ訪ねるのだそうです。元々はカブですが、アメリカでは加工しやすいカボチャでランタンを作るようになりました。

1)左下 白と黒のウサギがいます。
 これはガース・ウィリアムズの絵本『しろいうさぎとくろいうさぎ』です。白いウサギと黒いウサギの愛のお話が、美しい絵で描かれています。ガースは、シーン3に引用されている『大きな森の小さな家』の挿絵も描いています。
by forest-doorさん 

ガース・ウィリアムズの描くうさぎはなんてかわいいんでしょう。一本一本の毛まで描き込まれていてほわほわした感じがよくでています。
くろいうさぎのしっぽ、白いですね。うさぎのしっぽは表側と裏側で色が違うこともあるんですが、必ず、裏側は白いそうなんです。なぜなら警戒している時にピンとしっぽを立たせて、仲間に危険を知らせるため、目立つ白になっているそうです。


2)玄関付近の壁だけが白く塗られた家があります。なんでこんな色分けにしているのでしょう不思議な家です??あるいは・・・白い壁と黒い屋根で、しろいうさぎとくろいうさぎのイメージを重ねているのかな。

3)家の前では、鞄を持た男性と花柄?の女性が握手をしています。この花柄?の女性は、シーン12の結婚式の前で花束を買っていて、前のシーンで新居に着いた馬車の所に立っていました。そして男性は、同じ前のシーンで青い服を着て白いドレスの女性と握手をしていた男性のようです。
 ということで妄想ですが・・・この男性は、不動産やさんではないかと。新婚さんやこの女性に家を紹介して、契約のために来ていた。そしてこの女性は、新婦の友人で近くの別の街にすむことになって、この家を紹介している。この女性は愛を求めているので、隣の男性が愛する人・・・そして、この家はしろいうさぎとくろいうさぎの愛のメッセージを込めた家に住むことになるのかな・・・やっぱり妄想か。

4)トランポリンをしている人が居ます。男女9人がかりで、今まさに落ちてきた男性を受け止めようとしているところのようです。さてこの後は・・・どうなるの
by forest-doorさん 

このトランポリン、もともとは中世のフランスで空中ブランコの下のネットからヒントを得て作ったのが始まりだとか。
それを、1930年代にアイオワ州出身のジョージ・ニッセンという人がアメリカにもちこんで、のちにスポーツとして楽しまれるようになったのだそうです。オリンピック競技にも2000年シドニーから認められています。


5)隣では子どもが、一緒にやっているつもりでしょう・・腕を下げて落ちてきた男性を柔らかく受け止めている気持ち充分です。

6)ロープを張って旗をつけたポールをたてている男性たちがいます。何かの祭りが始まるようです。一番右でロープを引っ張っている人は、時代がかった服装をしています。
この姿って、「硫黄の星条旗」のシーンを再現しているようにも見えます。

「旅の絵本の秘密」には、メイポール(左中央)とあります。
メイポールは、五月にヨーロッパのフォークロアの祭りの一環として建てられる背の高い木製の棒のことです。地域によって違うのかも知れませんが、4月30日から5月1日かけて立てるようです。
イギリス編のシーン6にもメイポールが出てきましたが、その時はメイポールダンスをしていました。
アメリカ編のメイポールは、柱を立てているだけのようですから・・・・ダンスはやらないのでしょうか。
ちなみに、五月は聖母マリアの季節とされていて、メイポールが立てられる場所はマ リアに関係した場所で、マリア教会の前やマリア広場だというのですが、ここもそんな場所なのでしょうか。
英語ですが、Maypoulの解説です
http://en.wikipedia.org/wiki/Maypole

メイポールを建てている人達の姿が、「硫黄島の旗」の人達と重なるようにも思いますが、いかがでしょう。

7)ポールをたてる人たちを仰ぎ見る女の人と手をあげて喜ぶ女の子がいます。

8)旗を先頭に行進しているこどもたちが居ます。前のシーンでもほぼ同じ場所で行進していました。持っているものが少しずつ違っています。

9)垣根の向こうの風景が季節感も含めて違うようです。ペンシルヴァニア州チャッズ・フォード出身のアメリカン・リアリズムの代表的画家であり、アメリカの国民的画家アンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth)の「The Mill(粉ひき小屋)」からです。
鳥が飛んでいますが、ワイエスの絵ではカモのようです。
http://www.swoyersart.com/andrew_wyeth/mill.htm

10)小屋の右側に毛皮の帽子をかぶった少年が座っています。おなじくワイエスの「Faraway(夢見るような/遥か彼方に)」からです。
http://www.swoyersart.com/andrew_wyeth/faraway.htm

by forest-doorさん 

これはアンドリュー・ワイエスの絵ですね。ワイエスについて書かれた本「Andrew Wyeth (First Impressions)」の表紙にも使われています。
この本は翻訳されて、「はじめて読む芸術家シリーズ4 アンドリュー・ワイエス」として出版されており、図書館で読んだのですが、ワイエスと彼の父についての関係がかなり詳しく書かれています。
そしてこの本の中で、読んでいてはっとしたのは、「ワイエスがとりわけ好んで描いたテーマは、純粋なもののなかに見える恐怖の暗示だった」という文章でした。ワイエスの絵を見ると何か落ち着かない気分になる、と思っていたので、そうか、そうだったのかと思い当たりました。お父さんの事故死が、かなり彼の絵に影響しているということで、彼の絵には、逃れられない死や向き合わねばならない人生に対する思いなどが感じられるように思いました。

11)カボチャがたくさん並んでいます。ハロウィーン用でしょう。そして。ワイエスが「カボチャのお化け」「しまりすジョージの住み家」という作品などでかぼちゃを描いているそうです。

12)垣根に寄りかかっているのは、カボチャで作った人形のようです。

13)牛を引っ張っている少年がいます。第1巻でも、子牛を引っ張る少年が出てきましたが、出展不明です。どなたかご存じの方いませんか?

14)自転車を押す男性と話している女性がいます。

15)椅子があり机の上にはジュースやジャム類?、机の下には果物やビン、そしてヤギがいます。

16)家の前に二匹の犬を連れた女性が立っています。犬はコーギーのようです。ということで、この女性は絵本作家、ターシャ・テューダー(Tasha Tudor)ですね。なので、家はターシャの家(コーギー・コテージ)でしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC
ちなみに、コーギーはもともと牧牛用の犬で、牛にしっぽを踏まれるといけないので、しっぽは短いか、長いものは子犬の時に断尾してしまうのだそうです。ターシャが描くコーギーもしっぽが描かれていません。安野さんは、ターシャの家を訪れて泊まってもいるそうですから、そのことを承知しているはずです。ところが、このコーギーにはしっかりしっぽが描かれています。安野さんのミスとの説もあります。
 ただ、実際には牧牛に使っていないコーギーの尻尾を断つことは、動物虐待であるとの考え方もあるそうで、あえて断尾しないこともあるそうです。安野さんの配慮といえるかも知れません。そして、ターシャの描くコーギーに尻尾のあるものもありました。
ターシャ・テューダーの世界
http://www.anzaiazami.com/review/tudor.html

そして、この女性がターシャだとすると14)で自転車を押した男性と話している女性もターシャだろうと思います。その根拠は、背後の椅子は、とてもシンプルなデザインで、ターシャ好みであること。テーブルの周りの品々は、ターシャの庭で行われていたパーティ(NHKでほうそうしていました)にそっくりです。さらに、ターシャの家にはヤギの放牧場があります。ということできっと、こちらもターシャです。

17)子どもが二人、足下にはハロウィーン用に加工されたカボチャがあります。

18)馬が2頭と馬に乗った人がいます。どうも、時代がかったカッコウですし、雰囲気が絵のようです。ただし、出展不明です。心当たりの人はいませんか?
19)柵の所に多様な家畜がいます。授乳する豚の親子、黒牛、ガンジー牛?、子豚たち、羊の親子・・・そして狐??
 そして、ジャージー牛2頭の顔が並んでなっています。その結果、角が重なってしまっています。どうもこれは意図的なようです。だまし絵の一種でしょうか。

20)柵の扉に手をかけて、バケツのようなものを持った男性と子どもに本を読んであげているお母さんがいます。この二人、服装がかなり古そうです。

21)2頭の牛に鋤を引かせて畑を耕している男性がいます。
18)〜21)はいずれも、参考にした絵がありそうな雰囲気です。いずれも出展不明です。
あるいは、次のシーンに続くようにアーミッシュの人たちの生活が描かれているのかも知れません

22)バラ窓のたくさん付いた建物があります。モデル不明
23)庭に4人の女性が座って何かしています。
 これは、アメリカの小説家ルイーザ・メイ・オルコット(Louisa May Alcott)が書いた小説『若草物語(Little Women)』からです。
舞台は南北戦争当時のニューイングランド、それぞれに個性を持った4姉妹(信仰深くおだやかな長女メグ、活発で作家志望の次女ジョー、はにかみやで音楽ずきな三女ベス、おしゃまで絵が上手なエーミー)が家庭に起こる楽しい出来事や悩み、事件、そして大きな試練を経て、少女から「Little Women(小さいながらもりっぱな婦人たち)」へと成長してゆく物語です。
作者の自伝的小説で、次女のジョーのモデルです。女性読者は、それぞれに自分を重ねて読むのだそうです。
愛読者の一人であったターシャ・テューダーが、後に挿絵を描いています。(ターシャは自分を誰に重ねていたのでしょうか?長女のメグ?それとも三女のエーミー?)
安野さんは、この表紙絵から4人を描いています。


24)馬車の通行を遮って、カモの行進を守っているお巡りさんがいます。これは、前のシーンの「かもさんおとおり」の続きです。絵本で止めているのは馬車ではなく車ですが。
 
25)ポストがあります
26)男の子を連れたお母さんがいます

27)白塗りの2階建ての家があります。この家はJ・F・ケネディの生家です
実際の家はどうも白塗りではないようです。大金持ちの家だから豪邸だろうと思っていましたが、それほどでもないですね。家の前にはケネディー大統領のレリーフ像が掲げられています。(下の写真の玄関右の植え込みの中に見えています)



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