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シーン17メルカード(市場)(p33〜34)

0)旅人は メルカード(mercado:市場)へやってきました。日本では、市場はスーパーなどの大型店舗に押されて、ほとんどの地域で衰退していますが、スペインでは、全国各地に残っていてにぎわっています。
その様子は
【お出かけ写真集:スペイン・メルカド編】
http://www.asianozakkayasan.com/spainmcd.htm

スペインフォトギャラリー「メルカード」編
http://www.h2.dion.ne.jp/~escoba/spainF/index.html

 どこのメルカードでしょう。パブロ・カザルスの像があるので、バルセロナに戻って来ているのかも知れません。また、首都マドリードが他のシーンでも出てきませんから、ここがマドリードのメルカードの可能性もあります。(それにしても国名不詳の第1巻は別として、首都が描かれないのは初めてです。マドリードには世界遺産をはじめいっぱいネタがあるはずですが)
 上部に描かれた建物がヒントかも分かりませんが・・・決め手に欠けます。、安野さん自身特定の市場ではなく市場を表現したかったのかも知れません。

1)左上 フラメンコのポスターが2枚貼ってある前を、男女が歩いています。
2)ベンチに座った4人が、周囲の人達を見ながら話しています。
3)おじいさんと少女が歩いています。
4)何の建物でしょう入り口の階段に6人の人が立ったり座ったりして、通る人を見ています。

)観光用の馬車が2台待機しています。やはりかなり大きな街のようです。

6)魔法使いのおばあさん(前のシーンでは掃除をしていました)が、空飛ぶ?箒を売っています
7)子どもが、お母さんに箒をねだっています。
8)広場の向こうでは、すでに買った子どもが箒にまたがって遊んでいます
 ひよっとして、本当に空を飛んでいたりして。

9)お巡りさんに地図を出して質問している人がいます。観光客でしょうか。これから、市場を見学するのに、どこへどういったらいいのか分からないようです。

10)肉のかたまりを吊した店があります。ハモン・セラーノ(スペイン語:Jamon Serrano)やハモン・イベリコと呼ばれる生ハムです。スペインでハム(ハモン)と言えば、生ハム「ハモン・セラーノ」を指すそうです。日本の生ハムに比べてじっくりと熟成されたハムで、噛むほどに肉の味が出てくるのだそうです。生ハムは煮たり焼いたりしてありません。
 骨付きの足をそっくりハムにして吊してあります。これを薄くスライスして食べるようです。
 ちなみに、ハモン・イベリコは、スペイン固有種で、ドングリを食べて育った「イベリコ豚(黒豚)」を使って、さらに長期間熟成させた高級品です。

11)生ハムが好きな人が多いようで、たくさんの人が店をのぞいています。子どもを二人連れたお母さんは、二人に買うようにせがまれているようです。
12)買い物に気をとられていたのか、女性がひったくりにあって、返しなさいと手を上げています。となりでは、男性が驚いていますが、追いかけようとしていません。

13)かばんを持って逃げているのは、どうも子どものようです。

14)大きな体重計に、とりわけ太目の女性が乗って量っています。

15)四角なビンに色とりどりのものがあって、小さなスコップのようなものですくうようになっています。台秤りがあるので、量り売りしているようです。何でしょうか?香辛料ではないかとの説があります。台秤の前でビンに手を置いて話しているのが店主でしょうか。

16)大きなトロ箱を5つも担いだ男性がいます。
17)女性も負けずに、4箱頭の上に担いでいます。
18)3人の女性が立ち話をしています
19)松葉杖をついた男性がいます。怪我をしても、メルカードにはやってきたいのでしょう。

20)隣は 果物を売る店のようです。パイナップル、メロン、ナシ、バナナ、・・・
21)果物屋さんは女性客が多いようです。杖をついた人もいます。なにか指差しながら話している人の相手をしているエプロンの女性が店主でしょうか。赤い丸いもの(姫りんご?)を見ている人。子どもも紫の粒粒の前にいます。これはブドウでしょうか。

22)丸い屋根の屋台は、コーンがあって、アイスクリーム屋さんでしょう。
23)アイスクリーム屋さんには、子ども客が多いです。お店の人の背後に寄り添うようにたっている男の子、反対側の女の子、お母さんに連れられた子どもたちがいます。

24)スカーフをした女の人が覗き込んでいるのは、食器屋さんでしょうか。ずん胴の鍋、大きな水差し、ポット、ビンでしょうか。
25)黄色の服の人は、手を後ろに組んで、通り過ぎながら商品を見ています。
 左の灰色っぽい服の男性と話しているのかも

26)手前の茶色の服の人と隣でエプロンの紐が背中でクロスしている女性が店主夫妻でしょうか。
27)隣は服屋さんですが・・・。中央にあるのは、下着でしょうか。それとも水着でしょうか。いろんな人が取り巻く中を、駆けている子どもがいます。迷子になったのでしょうか。

28)緑の縦じまの前に立って、女性の相手をしている白シャツの男性が店主でしょうか。
29)緑のスカートの女性は、大きな襟のついた服が気になっているようでう。
30)カバンやさんの店主は、ハンドバックを右手に持って進めている黒い帽子のひとでしょうか。ハンドバックや旅行カバン大小とりそろえています。小さいのは財布でしょう。そして、ギター(チェロ?)ケースもあります。
31)店主の後ろでは、二つのカバンを持ち比べている女性がいます。
32)カバン屋さんに声をかけられて、店の商品を見ながら話している人がいます。
33)カバン屋さんの右側の女性は、乳母車を押しているのでしょうか。その右の男性は、キャスターつきのカバンをひこづっています。その男性と話している麦藁帽の人は、自転車を押しているのでしょうか
34)フラメンコの衣装を売る店の前では、それはないだろうというくらい大きなパンツを売ろうとしています。確かに大柄の女性ではありますが。「これならいくら食べても大丈夫」とか言っているのかな。

35)ポシェットを肩から提げた男性がいます。
36)右下の人は、服というより大きな布(テーブルクロス)を売っているようです。
37)フリルのついたフラメンコドレスを選んでいる女性がいます。その人についている白い服の人も店員さんのようです。やたら、働いている人が多いですね。
38)隣のテントも、女性服の店のようです。服を見ている女性二人の後ろで、腰を落とすようにして話しかけているのが店の人でしょうか
39)オレンジのスカートの人と向こう向きに立っている女性。腕を組んでいる男性とオレンジの服の男性。それぞれ話し込んでいます。
40)量りの前に立って、両手に何か緑のものを持っているのは、八百屋さんの人でしょう。誰に話しかけているのかな?乳母車を押しているお母さんでしょうか。
41)野菜類は、カボチャ、大根、タマネギ、・・紫色のナス?の前で茶色のかたまり?を絵編んでいる女性も店の人??

42)トロ箱を抱えてこちらに向かって歩いている男性がいます。
43)八百屋さんの向こう側でも、話が弾んでいますが、何人かの人が気にしている見ている先には・・・例のシスターの二人ずれです。

44)色とりどりの商品も並べて、何を量り売りしようというのでしょうか。チョコレートやキャンディーではないでしょうか。

45)秤りのところで、女性のお客さんに話しかけているのが、店主でしょうが・・・服装が変わっています。旅人の色違いの服のようです。

46)隣の女性服の店で、白い服を売ろうとしているおじいさんが店主でしょうか。それにしても、この店はどういう品揃えなんでしょうか。右端に、キングサイズのレオタードがありますが。大きな体格の人にも、配慮?してあります。

47)チーズ屋さんがあります。切り分けたものや、丸のままのチーズもあります。
 こうしたチーズは大きさが決まっているようで、別のものの大きさを示すさいの尺度になるようです。ドン・キホーテの物語の中でも、チーズを尺度にする場面がありました。

48)並べられたビンには、蜂の絵が描かれているようです。蜂蜜のようです。これまで、ミツバチの巣箱が何度も出てきましたから、その関係もあるのでしょう。

49)蜂蜜のビンの下には,犬が寝転がっています。その相手をするように、子犬がいます。
50)オレンジの台にずらりと並んでいるのは、ワインのようです。ワイングラスもありますから、ここで飲めるのでしょう。この一帯は、男性客が多く取り囲んでいます。早速1本手を出している人もいます。
 スペインでワインといえば、ワイン袋を上に掲げて高いところから口をつけずに一気に流し込むパターンがあると思うのですが、そんな人はここにはいないようです。

51)隣の丸いテントの店は、店主がコックさんの帽子をかぶっています。食べ物を出しているようですが・・・フランクフルトソーセージでしょうか。大きいなあ!

52)たくさん積まれたトロ箱を整理している人がいます。
53)魚屋さんがあります。ここはテントではなくてしっかりした屋根がついています。大きな魚を持って、元気よく売っています。相手は少しのけぞってます。

54)お母さんは魚に触って確かめているのかな
55)台車でトロ箱を押してゆく人もいます。
56)お客は女性が多いようですが、杖をつたおじいさんがいます。
57)手前の台は、脚が中央に1本だけで、シーソー状態です。品物を並べている人は前かがみで体重をかけていますが・・・がたっとなって、大騒ぎの展開とか。並べているのは、サザエのようなものでしょうか。

58)上からつるされている、赤いものは何でしょう。唐辛子のように見えますが・・・。魚屋で売ることもあるのでしょうか

59)首にかけた紐で板を前において何か白いものを持って歩いている人がいます。この人何なんでしょう。街頭署名を集めているのでしょうか。(カザルスの像の近くですから)戦争反対の署名とか

60)チェロのカザルスの銅像が建っています。バルセロナ出身ですしバルセロナのシーンにもありました。というわけで、ここは、バルセロナのメルカードかもしれません。

61)カザルスは国連で「鳥の歌」を演奏した後で、「私の生まれ故郷カタロニアの鳥は、ピース、ピース(平和)と鳴くのです」と話しています。隣の屋根にたくさんやってきている鳥たちもピース・ピースと鳴いているのでしょう。

62))カザルスの銅像の下に、板に工具のようなものを並べて売っている、オーバーオールの男性がいます。何を売っているのでしょうか。

63)銅像の台座の下がごみ置き場になってしまっています。台車に乗せてごみを持ってきている人もいます。

64)カザルス像の向こうは、生地屋さんでしょうか、店の前ではいろんな人が話していますが、どうも買う気はないようです。
65)緑の台の上は、靴屋さんのようです。ブーツが多いですね。短靴もあります。見ている人はいますが、店主がいなように思います。
66)本屋さんがあります。椅子に座っているのが店主でしょう。横で腰に手を当てて見回している人がいます。向かい側には、立ち読みしている人もいます。
67)右上 テントの下はカフェのようです。市場見学に疲れて一休みでしょうか
68)観光馬車の二人は、結婚式のシーンの二人?ちょっと年をとりすぎているか?

69)台車に荷物をたくさん積んで運んでいる人がいます。
70)こちら側にも、テントの下がカフェになっています。おきゃくさんはいるけど、ウエイターさんが、見えません。
71)路地の向こうから歩いてきている人がいます。脇に、大八車がおいてあります。スペインではなんと呼ぶのでしょう。

72)左下 路地を自転車を押している人がいます。後ろの荷台には、ラッパ(ホルン)のマークがついています。これは、郵便馬車のラッパで、ヨーロッパ各地で使われる郵便局のマークです。
ちなみにスペインの場合は王国ということで、左の写真のように、上に王冠が乗っかっています。ちなみに郵便のシンボルカラーは、赤ではなくて黄色です。
郵便屋さんは、牛追い祭りでの初登場以来、4度目の登場です。

73)屋根の上を、二匹の猫が歩いています。
74)屋根の上に草が生えています。手入れを怠るとこんなことが起こります。スペインでもあるようです。

75)腰に手を当てたおじいさんが歩いています。
76)二人ずれの女性が、旅人とすれ違ったばかりです。違和感を感じないのか、二人は気にも留めていません。
77)旅人の少し前の壁に、十字架が埋め込まれています。

78)手前の中庭風のところは畑になっています。男の人が耕しています。
 後ろには、鶏が遊び、のんびりした雰囲気です。(又ニワトリです)

79)犬を連れた女の人見ています。耕している男性に比べて、ずいぶん体格のいい女性です。スペインにはこんな、体格のいい女性が多いのでしょうか。
80)壁をはさんで、ここにも洗濯物が干してあります。
81)犬小屋があって、犬がいます。例のピカソの犬でしょう。


 上に書いたように、ここがどこのメルカードであるか、特定する情報がありません。ただ、他の国の文化を思う場合、国ごとに単一なものに感じてしまい勝ちですが、日本も北海道から沖縄まで気候風土が違い、食の文化も多様です。スペインもまた国内に多様な食文化を抱えていて、地方ごとに食材も違えば調理法も異なります。メルカードも地方ごとにその姿を変えるのでしょう。安野さんはあえて、ここではどこの地方と特定しにくいように描かれたのかもしれません。
 メルカードは、単に食材を手に入れる場所であるだけでなく、地域の人々の情報交換の場であり、社交の場でもあるのでしょう。このメルカードに描かれた人々も、いっぱいおしゃべりをしています。これが「正しい」メルカードの楽しみ方なのでしょう。

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シーン18野外美術展(p35〜36)

0)旅人は 馬の市と野外美術館の開かれているところにやってきました。中心の道は、サンチャゴを目指す巡礼路だと思います。
野外美術館は安野さんの創作ですから、馬の市と巡礼路がヒントになると思いますが・・・ スペインで馬の産地といえばアンダルシア地方のへレスで馬市といえば、同じアンダルシア地方のセビリアです。前後の関係から、アンダルシア地方の可能性は低いのですが・・・そうするとスペイン北西部のどこかでしょうか。
写真はLa Hermidaです。町並みの雰囲気はこんな感じですね。

1)馬市に沢山の馬が集まってきています。机について紙を広げている二人が記録を取るのでしょうか
2)テーブルの前、5人が固まって話しています。「今年の馬は・・・」等と話しているのでしょうか。
3)馬の周りに、2人・3人と固まって話しています。それぞれの馬に興味があるのでしょうか。
4)p35の上中 茶色の馬が一頭、毛の色が変わっています。どうしたのでしょう。

5)垣根の外では、馬を二頭引いてきている人がいます。

6)p36に右上 スペイン出身の画家パブロフ・ピカソの描いた『ゲルニカ』(Guernika)』です。
スペイン内戦の中で、1937年4月26日、スペインのバスク国の小都市・ゲルニカが、フランコ将軍を支援するナチスによって空爆を受けます。史上初の都市に対する無差別爆撃です。無差別爆撃は、日本軍による南京爆撃・重慶爆撃となり、さらにアメリカ軍による東京空襲や広島・長崎の原爆へと連なってゆきます。理由をどんなに付けても、非人道的で許されざる暴挙です。ピカソは、このことに強い抗議を込めて、この作品を描きます。縦3.5m、横7.8mの大作です。

7)絵の前には、絵筆を持ったパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)本人が描かれています。実際に半袖、半ズボンで制作に当たっていたようです。



by forest-doorさん

「ゲルニカ」はスペイン、バスク地方のゲルニカという町が爆撃されたニュースをピカソが聞いて、描かれた作品です。
私がスペインの絵で一番初めに思い出すのはこの絵です。
白と黒を基調とした大作で、この絵を目の前にしたときは、私たちのいる世界そのものが白と黒の世界になり、何もかも爆撃で失われてしまったかのような感覚が襲ってきたのを覚えています。
そして横長の画面の上では視線が右から左へと移っていきます。
左向きの顔、左に差し出されたランプをもった腕。馬もねじるように左をむいて、いなないています。そして牛も左を向いています。
左側に何があるというんでしょう?
爆撃のあと、泣き叫び、涙にくれる人や動物、色が失われてしまった世界。そんな世界の行き先、たどり着く先が絵の枠外の左側にあるような気がしました。
それは、この絵を見ている一人一人にかかっているのだ、とピカソが言っているような気がしてしょうがありません。
私にとっての「ゲルニカ」。
それは「行われてしまった愚かな行為。この惨劇を繰り返すのか? そして、その先は…?」こんな疑問の声が聞こえてくる絵なのです。


8)子連れのお母さんや、男の人がゲルニカを見ています。「平和が大事だね。」なんて話しているのでしょうか。ピカソ本人と話しているようにも見えます。

9)ゲルニカを模写しているこどもたちがいます。

10)左隣 荷車を引く人達と犬を描いた絵があります。この絵だけは、元になる絵が見つかりません。安野さんの創作の可能性大です。
 爆撃されたゲルニカから避難する人々のイメージではないでしょうか。
絵に描かれた階段状のものは何でしょう?

11)荷車の絵も、二人の人が見ています。「何を運んでいるのだろう?」とか話しているのでしょうか。あるいは、この男性安野さん本人かも。

12)スペインのシュルレアリスムの画家サルバドール・ダリ(Salvador Dali)ダリの『茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)』です。
この絵は1936年に制作されています。ダリ本人が、この絵はスペイン内戦(1936〜39年)を予言したものだと称しています。自分の身を引き裂くかのような痛々しい表現の中に、内乱の予感をあらわしたのでしょう。

13)絵の前には、同じようなポーズを取っている人がいます。ダリ本人かも

14)スペインの画家ベラスケスの『皇太子バルタサール・カルロス騎馬像』の絵があります。
 皇太子は、スペイン王フェリペ4世と最初の妃イサベル・デ・ボルボーンの長男として、マドリードで生まれました。(皇太子でしたが、若死にをして王にはなっていません)『女官たち』のマルガリータは、異母妹になります。また、フランス王ルイ14世の王妃となったマリア・テレサは、同母妹です。

15)この絵も3人の人達が見ています。

16)スペインの画家フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ(Francisco Jose de Goya)『わら人形遊びThe Straw Manikin (El Pelele)』があります。
 絵から、わら人形が飛び出してしまっています。

17)飛び出したわら人形を指さして見上げている人がいます。その脇の二人の人も、わら人形を見ているようです。

18)絵の前では、女の人達が絵と同じ遊びをしています。
 飛びだした、わら人形を受け止めるのは、彼女たちかも知れません。
不十分なところは、秋山さんに期待します。

19)ドン・キホーテの話の中で、宿代を踏み倒した(本人としては、騎士は無料であるべき)ドン・キホーテに代わって、サンチョが、このわら人形のような目にあいます。
その挿絵です http://ebooks.adelaide.edu.au/c/cervantes/c41d/p1chap16.html


もう一つ(塀の外側の絵です)
http://ebooks.adelaide.edu.au/c/cervantes/c41d/images1/c16d.jpg
by forest-door さん

ゴヤは王室のタピスリー工場の下絵書きをしていました。この作品もタピスリーのための下絵ということです。
題名にあるようにわら人形を布で跳ね上げて遊んでいるところですが、絵本に描かれた絵ではわら人形が絵を抜け出して、さらに高く上がっています。
そして絵の前には布を広げている女の人たち。さて、このわら人形、どちらに落ちてくるんでしょうね?

今回初めて知ったのはこの絵にインスピレーションを受けて作られた曲があるということ。
スペインの作曲家であるエンリケ・グラナドスが作った「わら人形 ゴヤ風な情景」という曲です。
グラナドスは、「藁人形は所詮女達に弄ばれる男というものの宿命を象徴しているのだ」と言っていたのだとか。


20)隣の絵は、スペインの画家ジョアン・ミロ(Joan Miro)の作品のようです。色の雰囲気や形からミロだと思いますが、作品名は、特定できませんでした。

21)絵を見ている黒服の人は、ミロ本人ではないかとの説があります。

22)話し合っている4人は、「この絵の意味するところは何だろう」
などと、議論しているのではないでしょうか。







23)ゴヤの『裸のマハ(La Maja desnuda)』『着衣のマハ』です。
 ゴヤはこの絵の為に裁判にかけられています。実在の人物の全裸を描き、陰毛まで描かれたので、依頼主を尋問されたのです。ゴヤは最後まで口を割りませんでしたが、
ときのカルロス4世の王妃マリア・ルイサの寵愛を受けて、大出世した宰相ゴドイだったようです。
(ちなみに、このゴドイと政略結婚させられたのが、カルロス4世の姪でスペイン国枢機卿の妹であったチンチョン伯爵夫人マリア・テレサです)
モデルの女性も色々取りざたされています。宰相ゴドイの愛人にしてゴヤの愛人でもあったアルバ公爵夫人カイェテナ説、ゴドイの別の愛人ペピータ(1828年に妻マリア・テレサが亡くなった後で結婚しています)説などです。まあ、謎のままがいいでしょう。ちなみに、マハ(maja)は、人名ではなく、スペイン語で「小粋な女(伊達女)」という程の意味です。

絵の解説
http://www.salvastyle.com/menu_romantic/goya_majaa.html

23)絵の右にスケッチブックを持って立っているのは絵描きさんのようです。ゴヤ本人ではないかとの説もあります。

24)二つのマハの前の観客の数に、明白な差があります。その上、着衣のマハの方の人は、絵に背を向けてしまっています。
 着衣のマハの方が後から描かれたそうですが、着衣のマハの方が雑に?描かれているという人もいます。トルコ風の衣服の表現が素晴らしいとも。
 ところで、背を向けている一人は、犬を抱いているようです。美術館に犬を連れ込んで良いのかな。
 隣の人は股間を押さえているようですが???

25)(例の)シスター二人が、美術館にも来ています。
 裸のマハの絵はに問題があると、審問にかけたのは当時のカトリック教会です。危うし、ゴヤ!?

26)黒いズボンに赤い服を着た人は、警察官でしょうか。シスターの出現を気にしているようです。

27)これは大変と、イチジクの葉を吊して、駆けつけている女性がいます。脇の男の人も、早く隠しなさいと指示しています。

28)椅子に座った女性と男性(右端)がいます。美術館には、こんな監視員がおられますよね。やっぱりここは美術館です。多くの絵が、マドリッドにあるプラド美術館に所蔵されているものなので、プラド美術館をイメージしているのではないかという説があります。

29)テントが張ってあります。休憩室ということなんでしょう。ロビー代わりかも。

30)巨大な冷蔵庫のようなものは、入場券売り場のようです。塀の外には順番待ちの行列ができています。
これだけの名画が集まっているのですから、観客が集まって当然ですね。

31)行列の脇で、空を指さしている子どもがいます。何を指さしているのでしょう?
かなり距離が離れていますが、わら人形でしょうか。

32)塀の外では、子ども美術展が行われています。
 ゲルニカに影響を受けた作品のようです。大人の観客も一人ですがいます。

33)街道の手前では、子どもがコマ回しをしています。コマも国旗柄になっています。

34)道の真ん中に十字架があります。これまでにも何度かでてきましたが、次のシーンは巡礼路の目的地サンティアゴですから、巡礼者の十字架( Pilgrim cross)でしょう。
スペインにある多くの十字架の中には、巡礼がらみとは別の十字架もあるのだと思いますが、巡礼路のあちこちに、大小の十字架があるようです。巡礼を成し遂げたり、中断したりしたときに、建立していったのでしょう。巡礼者の道しるべの役目をしているようです。

35)バケツで何か運んでいる女性がいます。

36)反対側の家の中は、壺がたくさんあります。焼いているのでしょうか?
 門のデザインには、何か意味があるのだと思うのですが、不明です。

37)旅人の向こう側の壁にも、十字架が埋め込まれています。これも、巡礼路の道しるべの一つでしょう。

38)真ん中下 ロバと子どもがいます。
 ミロは抽象画を描くだけと思っていたら、具象画もあります。その中の一つに、『The Vegetable Garden with Donkey(ロバのいる菜園)』という絵があります。このロバが、絵本のロバとよく似ています。周囲の家や塀もミロの絵の中のものと似ているように思います。
 子どもはミロの絵の中にはいませんが、寂しそうなロバと何か話しているようです。
ちなみに、ミロの絵の中には菜園がありますが、絵本にも建物をはさんで、畑が描かれています。

39)梯子が立てかけられている小屋の中には、袋のようなものが沢山積んであります。何でしょう
 風車のシーンで、オリーブの実を袋詰めにしたものがこんな感じでしたが・・・。

40)洗濯ものが干してあります
41)路地では、女性が木の棒を拾っています。猫が屋根の上にのっている小屋に、沢山積んであるようです。そんな様子を女の子が見ています。

42)町並みの左の庭に、ニワトリが3羽います。この巻には、よくニワトリがでてきます。向こう側の入り口は、ニワトリ小屋ということでしょうか。

サンチャゴ巡礼路のHP (フランスからサンティアゴまでの、巡礼の様子が膨大な写真で見ることができます)
http://www.santiago-compostela.net/frances/ja_cf01.html

もう一つ
スペイン・サンチアゴ巡礼の道  (
http://geo-g.com/04essay/contents/europe/tada/index.htm

by forest-door さん

最後にP.36左上、レンガ色の三角屋根の塔がありますが、ロボットの顔みたいに見えませんか?光や空気を入れるための小さい穴(?)が目で、縦長の窓が鼻、仕切りの線が口。三角帽子をかぶったロボットくんに見えてしまいます。


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シーン19サンティアゴ(p37〜38)

0)旅人は  スペイン北西部ガリシア自治州の首都、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)にやってきました。世界遺産の街です。キリストの12使徒の1人である聖ヤコブ(スペインではサンティアゴと呼ぶ)の墓が、9世紀の初めに発見され、聖ヤコブの墓の上に、カテドラル(大聖堂)が建設されて、巡礼の目的地となり。以来1200年間巡礼が続いているのです。
 以来ローマ、エルサレムと並ぶ三大巡礼地となります。

 この大聖堂を目指す『サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路』そのものが世界遺産となっています。ちなみにコンポステーラは、「星の野」という意味です。813年、隠者ペラヨが森の中で星の光が反射して輝く石棺を発見したことによります。
 巡礼者は、巡礼者であることの証明に帆立貝の殻を付けていました。シーン2の旅人が上陸した海岸に、帆立貝のマークを付けた旗を持った巡礼者の一行がいました。

1)大聖堂(カテドラル)の前は、石畳になっている「オブラドイロ広場」です。ここで巡礼者たちは、到着を喜びあうのです。

by forest-doorさん

カテドラルは何回か改築を繰り返し、現在のものは11-13世紀につくられたものです。
はるか彼方から旅してきた巡礼者たちを迎える正面入り口の「オブラドイロのファサード」は荘厳に満ちています。
「オブラドイロ」とは「黄金に輝く傑作」の意味だそうです。巡礼の最後にこのカテドラルを見上げ、中で聖ヤコブ像に対面するときの巡礼者たちの感嘆や歓喜のため息が聞こえてきそうです。


2)広場を、マリア像が運ぶ列があります。背の高い十字架を掲げる人の前に、巨大な香炉が運ばれています。これは、カテドラルで行われる特別のミサで使われる世界最大の香炉ボタフメイロ(Botafumeiro)です。
 重さ80kgという巨大なものです。普段は大聖堂の図書館に保管されているます。重要なイベントの際に、聖堂の天井に吊り上げられ、専門家が振り子のように振り、宙を舞うのです。パイプオルガンの大音響がと共にその芳香が、聖堂全体を包むのです。そもそもは、800kmにも及ぶ巡礼を終えて、汗まみれになった巡礼者の悪臭を清める目的で、行われるようになったのだそうです。

3)マリア像の後を、青い服に赤い帽子の2人が続いています。どういう人なのでしょうか?前の人の顔が羊顔になっているという人もいます。単に、白ヒゲが描かれいてるだけだと思うのですが。

4)黒と赤の粋な服装の聖職者がずらりと並んで待ち受けています。多分、ミサの時の聖堂内の様子をあらわしているのでしょう。車椅子の人もいます。ちゃんと介護の人がついています。
 写真でミサの聖職者は、白い衣装のようですし、絵本の人は杖をついている人が多いので、あるいはこの人たちも巡礼者の一行でしょうか?

5)4頭立ての馬車があります。
 巡礼用?それともサンティアゴの市内観光用でしょうか?
馬車の上に6人座っていますが、どこからあがるのでしょう。下の方に、3人乗ろうとしています。

6)旗を先頭に、杖をついた2人がいます。巡礼の人達ですね

7)馬車を見ている子連れの二人がいます。大人の方(女性?男性?)の服装が、随分古風ですが・・どういう人なんでしょう??

8)男性の二人ずれが二組います。どちらも、片方が杖をついています。
9)階段を上がった、入り口の前で14人の人達が見ています。入り口の所が、十字架の形になっています。

10)階段の下に、黒い鉄柵のようなものがありますが・・・いったい何の為にあるのでしょう??

11)鉄柵の所に、左に一人、右に二人の観客がいます。

12)3)の赤い帽子の向こう側 緑の服を着た巡礼者の一団がいます。黒服の人達は、どういう関係でしょうか。

13)大人の男性が3人、男の子を一人連れて立っています。どういう関係でしょう?

14)マリア像の行列を、見送っている男女がいます。

15)また、二人ずれのシスターがいます。ここまでで、彼女たちの出番は・・ロシオ、闘牛場、(チンチョンの葬儀?)、セゴビア、市場、野外美術館、そしてここサンティアゴということで、6あるいは7回・・・過去こんなに繰り返し登場した人はいなかったように思います。さすがカトリックの国ですね。

16)手前(下)の観衆を見てみましょう。
 シスターの後の方に、8人の人が歩いています。いずれも、マリア像を追いかける方向に歩いているようです。付いていこうと言うのでしょうか。

17)お母さんと手をつないだ女の子は、なんだか踊っているみたいです。それとも、何かおねだりでもしているのでしょうか
 
18)男性が4人なんだかたむろしている雰囲気です。マリア像が通っているというのに。

19)赤い旗を持って、つばの広い帽子をかぶった3人は巡礼者でしょう。

20)13人の人がマリア像を見ています。真ん中あたりの一人の男性は、マリア像の動きと逆の方に歩いています。隣の人に話しかけているようにも見えます。

21)ページのつなぎ目あたり 4人の女性が立っています。ボタフメイロを見ているようです。

22)男性が4人立っている内、手前の二人は、長いコートのようなものを来ています。どういう人達でしょう。やはり、巡礼者でしょうか。

23)赤い服の女性から男女6人がいます。緑の縦縞のスカートの人は黄色の前掛けをして目立っています。どういう人なんでしょう

24)茶色のスカートに赤い服の女性の手前に立っている二人は、夫婦でしょうか。右の男性の方は、ザックを背負っています。左の女性の方は、赤ちゃんを抱いているように見えます。

25)左方向に7人の男女がいますが、一番左の少女は、馬車を見上げています。
 この馬車は、何か特別の意味があるのかも知れません。


26)p37左 カテドラルの奥、荷車があって樽がたくさんあります。運ぶのでしょうか。
27)花を売っています。お客さんが3人。鞄を持った女性は、今まさに買おうとしているようです。隣の男性徒は夫婦でしょうか。

28)男性が二人、話しながら歩いています。
29)路地の向こうから、犬を連れた女性が歩いてきます。

30)p38の中央 カテドラルとは別?の、塔が立っています。写真の右に移っている塔です。何か名前があると思いますが、不明です。

31)塔の左に男性が二人立っています。右側の人は警官のようですが。

32)塔の右 荷車を引いている人達がいます。前のシーンで、ゲルニカの絵の隣りにあった図柄と同じです。絵の中の手前に描かれていた階段状のものは、カテドラル屋根の一部だったようです。

33)女の子が、荷車の人達の方へ、お母さんをひっぱっています。
34)二人(男女?)歩いています。右の男性が、小脇に抱えているのはパンでしょうか。

35)緑の服で杖をついている人は、警官でしょうか?

36)ページつなぎ目の上の所に描かれているのは、カテドラルからかなり離れた別の教会のようです。
0)の写真の奥に、かすかに写っています。


 813年になって、星の光に導かれて聖ヤコブの遺骸を発見したというサンティアゴの伝説は、興味深いものではありますが本当なのでしょうか。
 考古学的には、カテドラルの地下には実際にローマ時代の霊廟と思われる石室が発見されています。ラテン語で墓地をcompostelaといいますからそれが呼び名の由来とも考えられます。墓地の主が、本当に聖ヤコブであったかどうかはともかく、この地に古の墓地があったことは本当のようです。それを、レコンキスタへ向けてキリスト教徒の力を結集するために、聖ヤコブの墓地としてキリスト教の聖地に仕立てたのではないでしょうか。当時のキリスト教勢力の、プロパガンダの一つであったと考えて良さそうです。
このように分析してしまうのは、無粋なことなのかも知れませんが。そのようなことも含めて、発見以来1200年の歴史の重さは色あせないと思います。 


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