を遊ぼう」5(スペイン編)

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「旅の絵本」の5作目はスペイン編です。アメリカを旅立って20年ぶりに旅人が帰ってきました。イタリアに続いてカソリックの国ですが、イスラムの支配を経験した国でもあって、多様な文化を楽しむことができそうです。

」5

「表紙・裏表紙」「扉」シーン1海辺(p1〜2)シーン2上陸(p3〜4)
シーン3バルセロナ
(p5〜6)
シーン4フォルス・バスク
(p7〜8)
シーン5牛追い祭り
(p9〜10)
シーン6結婚式
(p11〜12)
シーン7風車
(p13〜14)
シーン8アルハンブラ宮殿
(p15〜16)
シーン9ヌエボ橋
(p17〜18)
シーン10白い家
(p19〜20)
シーン11セビリア
(p21〜22)
シーン12ロシオ巡礼
(p23〜24)
シーン13闘牛場
(p25〜26)
シーン14マヨール広場
(p27〜28)
シーン15城塞都市
(p29〜30)
シーン16水道橋
(p31〜32)
シーン17メルカード(市場)
(p33〜34)
シーン18野外美術展
(p35〜36)
シーン19サンティアゴ
(p37〜38)
シーン20コカ城
(p39〜40)
シーン21バヨナ港
(p41〜42)
「裏扉」


「表紙・裏表紙」



0)旅人は・・・といつもならなるのですが・・・現在の所どこにも旅人が見つかりません。これまでの旅で、旅人のいないシーンは無かったのですが???どこかに隠れているのかも知れません。旅人を探せ!!
 ともあれ、表紙の街はトレドToledoの街をタホ川の対岸から見た景色です。

1)右上のに見えている建物は?
四隅に塔が建つ建物はカルロス1世によって建てられたアルカサルです。中世につくられた城塞の上に、1537年に着工。スペイン内戦の時には、共和国軍に包囲され破壊されてしまいます。その後再建されて、今はスペイン内戦の博物館となっています。

2)表紙と裏表紙にまたがってあるのは、トレド大聖堂(Cathedral of Toledo)。13世紀に建造された、ゴシック様式の建物。スペイン・カトリックの総本山です。

3)右下 ホタ川に水鳥の親子が泳いでいます。「カモさんおとおり」からでしょうか?「みにくいアヒルの子」からでしょうか。

4)星形の壁があります。いったい何の施設でしょうか。デンマーク編では同じような施設が城の一部で描かれているのですが、写真でも実際にホタ川にあるようで、防衛施設としてはどのような意味があるのかわかりません。

5)サッカーをしているこどもたちがいます。スペイン編ではあちこちにサッカーが描かれています。サッカーの盛んな国ですから。

6)牛が2頭います。近くの男性が世話をしているのでしょうか
7)芝滑りをしている子どもたちがいます。昔は、私も段ボールや板を使って土手で芝滑りをしたものです。板は何度も使っていると、つるつるになって良く滑るようになったものです。

8)土手にはロバがいます。スペインの詩人でノーベル文学賞を受賞したフアン・ラモン・ヒメネス(Juan Ramon Jimenez)の「プラテーロとわたし(PLATERO Y YO)」のプラテーロではないかということです。

9)馬に乗った人と、そのお供のような人が道を聞いています。
10)何かほこらのようなものがあります。聖母マリアを祭ったほこらでしょうか。近くの女性は、祠に花を持ってきているのでしょうか。

11)大きな荷物を担いでいる男性がいます。荷物はいったいなんでしょう。
12)題字の下 杖をついて歩いている人がいます
13)題字の右 タンバリンを持ってフラメンコを踊る女性の傍には、ギターを弾く人、マラカスを振っている人がいます。お客さんも3人います。

14)黄色のテントはお店でしょうか。買い物客が訪れています。
15)路地に暴れ牛を放して、牛追い祭りをしています。棒を持って牛を追いかける人、壁に身を寄せて逃げる人、とにかく走っている人、驚いて手を挙げている女性と色々です。ただ、マドリッドの祭りだと思うのですが。

16)芝滑りのこどもたちの上 つるべ式の井戸があります。
17)階段を上がってゆく女性がいます。
18)洗濯物が干してあります。シャツにズボン、一番左はシーツかな
19)背表紙にかけて、馬を引いている男性がいます。青っぽい服を着ています。ひょっとすると、この人が旅人かも知れません。ただし、本編の中での旅人は、いつもの三角帽子をかぶっているのですが、この人は違います。

20)青いスカートと赤いスカートの女性が話しています。
21)男性が一人、帽子をかぶって立っていますが、何かあるのかな?足が少し変ですが?

22)裏表紙右下 小屋があって近くで女性が何かしています。草取り?ツクシ採り?背後にも何か固まりがあります。向こう向きで何か採っているようです。やはりツクシ採りだ!でも、本当はなんでしょう。
23)教会のところで、男の人と女の人が話しています。近くの荷車は何をはこぶものでしょう。

24)槍を持って馬に乗っている人と、ロバに乗っている人がいますドン・キホーテとサンチョ・パンサです。
 これまでの旅の絵本でも何度も出てきました。今回は本場ですから、本編で何度も登場します。

25)ドン・キホーテ達を指さして話している人たちがいます。なんか変な人たちだなあといったところでしょうか。

26)女の人が、男性を見ています。その男性は、何か落とし物でも拾ったのか、追いかけるように坂を駆け上がっています。
27)赤い旗を掲げて坂を上ってゆく、巡礼の人たちが6人います。大聖堂を目指しているのでしょう。
28)壁に寄りかかっている人がいます。
29)荷物を背負って杖をついて歩いている人がいます。
30)赤い旗を持った人の後を4人ほどついて歩いています。この人達も大聖堂へ向かう巡礼の人たちでしょうか。女の人が、道案内をしているようです。

31)裏表紙左下 たっぷりの荷物を積んだ荷車を引く人と、荷車を押す子どもがいます。
32)荷車の二人を、座ってみている二人がいます。

33)座っている二人の後ろの藪の中に、エルグレコの「受胎告知」の絵が隠されています。安野さんの見事な隠し絵です。

by forest-doorさん

エル・グレコはギリシャ人ですが、このトレドに移り住み、亡くなるまでの40年間をトレドで過ごしました。トレドにはエル・グレコの家や、グレコの傑作として名高い「オルガス伯の埋葬」があるサント・トメ教会などがあります。
そしてグレコは自分が住んだこの街、トレドの景色も描いています。→こちら
何か起こりそうな空の色、冷たい石のような建物、とても明るいスペインの街、というにはほど遠いようなそんな景色が広がっています。彼はこの風景画で何を描きたかったんだろう…、孤独な環境にいたのかしら…などといろんな想像が浮かんできます。
このグレコの絵を見たあとでは特に、「旅の絵本」5巻の表紙で安野さんが描かれたトレドの絵のゆったりした古きよき街の茶系色の色合いがあたたかく、おちついた気分にさせてくれます

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/02/El_Greco_View_of_Toledo.jpg

34)畑を耕している人がいます。
35)洗濯物を干している女性の足下には犬がいます。
36)畑の上、壁にホフォークを立てかけて座っている人がいます。茶色のかたまりがいくつかあります、これも人でしょうか
37)噴水のある小さな広場に、杖をついたおじいさんや赤いスカートの女の人などが来ます。
38)十字架のある広場では、ペタンクをしている人たちがいます。
39)階段を昇っている人がいます。
40)立って話しているおじいさん?二人と座って話している人がいます。
41)赤いスカートはいた人と子どもが歩いています。

41)白いシャツを着て、ロバに乗っている人がいます。その前をまるで、馬を引くときの旅人に格好で歩いている人がいます。服も青いし旅人かも知れません。でも、いつもの帽子と違います。

42)子どもが二人(男女)が話しています。
43)階段を上がろうとしている女性と犬がいます。
44)階段の先にある、大きなドームを持っている建物は、トレドの写真にも写っているのですが、建物の名前がわかりません。トレドに詳しい方調べてみてください。

45)梯子を架けて窓を直している?人がいます。梯子の下には、工具箱?を足下に置いた人がいます。それを見ている女性も。

46)闘牛の練習をしている人たちがいます。

47)坂道をかけ下って逃げている犯人?を追いかける警官、警官と併走する女性、ずっと遅れてそれでも追いかけている女性。驚いて見ている女性がいます。一体何があったのでしょう。泥棒でしょうか?

48)井戸の所では、二人の女性がこれも驚いて追跡劇を見ています。この井戸、滑車はあるのですが、ロープが
かかっていないようです。もう使っていないのでしょうか。

49)泥棒が逃げてゆく先に反対から、何も気づかずに歩いてきている人がいます。気がついたら、逮捕に協力するのでしょうか。ただ驚いてみるのでしょうか。
50)壁の向こうに、階段の下に立っている人がいます。
51)グレコの受胎告知の所の、塔には、コウノトリの夫婦が巣を作っています。
 コウノトリは、子宝の象徴ですから、受胎告知の近くに描かれているのですね。

52)広場には、杖をついた人
53)黄色のパラソルの人は、花屋さんでしょうか?お客さんと話しています。
54)近くに3本の棒のようなものが立っています。頭がついているようにも見えます。子どもということでしょうか??謎です。
55)家の裏には墓地があります。
56)馬に飼い葉を与えている人がいます。

20年ぶりの旅の絵本は、安野さんも力が入ったのか、表紙絵からものすごい書き込みです。これまで、こんなにたくさんの建物が出た表紙やシーンは無かったと思います。登場人物の多さでも、パレードシーン以外では例がないです。とにかく一通り見るだけでも大変でした。グレコの受胎告知は、隠し絵になっていました。他にも隠し絵があるのかも知れません。それにしても、旅人はどこに隠れているのでしょう。安野さん忘れたのでしょうか。まさか。

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「扉」

0)旅人は・・・馬を引いていつもの服装で馬を引いて歩いています。
  

1)自然の中に、教会が建っています。教会にはカリヨン(鐘)がついています。
2)教会の前には羊飼いが犬を連れて羊の世話をしています。

扉の前に、背表紙は黄色とオレンジの縞模様になっています。これは、左のスペインの国旗からくる色合いでしょう。この色が、スペイン編全体を包み込んでいます。


シーン1海辺(p1〜2)
0)旅人は スペインの北東部カタルーニャ地方の漁村カダケスCadaquesにやってきました。小さな漁村ですが、夏は別荘地として人気で、多くの画家が愛したようです。
前作のアメリカ編のアメリカからコロンブスのやって来た道筋を逆にたどり大西洋を渡って、スペインにやってきたようです。

1)大きな教会があります。聖マリア教会です。
 教会には鐘(カリヨン)があります。
カリヨンといえば、岡山の牛窓の島にカリヨンハウスという施設があり、スペインのイメージです。

2)ロバの引く荷車があります。男の人が引き、女の人が押しています。荷物は何でしょう。
3)黄色い荷物を持って歩いているヒゲのおじいさんがいます。棒のようなものはイーゼルでしょう。ということで黄色いの荷物はキャンバスでしょう。この人は画家でしょう。安野さんかな?

4)子どもが階段のところで遊んでいます。
5)杖をついて階段を登っている人がいます。教会へお参りにゆくのでしょうか。
6)梯子をかけて屋根を直しています。下の人は、梯子を押さえています。女の人が窓から見ています。
7)窓に紐をかけて、洗濯物が干してあります。
8)壁に付けたゴールで、バスケットボールをしているこどもたちがいます。
9)折れ曲がった懐中時計が、屋根にかかっています。これは、シュルレアリスムの代表的な作家として知られるスペインのサルバドール・ダリ(Salvador Dali)記憶の固執(柔らかい時計)(Persistance de la memoire)に出てくる時計ですね。
ダリは、カダケスの近くの町フィゲラスに生まれたました。そして、カダケスの近くのポルト・リガットに住んでいました。
by forest-doorさん

安野さんの絵本とよ〜く較べてみると時計の針はまったく同じ時間、6時55分を指していることがわかります。
でも、ダリの絵では時計の文字盤に7があって11がないのに、安野さんの絵本では11があって7がないようになっています。
それからダリの絵のほうには蝿がとまっていますが、絵本のほうにはいません。

蝿がとまるなんて、食べ物みたい…と思ったら、ダリのこの作品の時計の部分は夕食に出されたカマンベールチーズに誘発されて出来上がったものだということです。
カマンベールチーズのあのとろっとした柔らかさ。
それが、目に見えないはずの時を刻むことで、確固とした時の存在を感じさせてくれるものである時計と結びついています。時計にはそんなかっちりとしたイメージがあるのに、柔らかく折れ曲がった時計はイメージが逆転したかのようです。

でも、時そのものは柔らかいものであるかもしれません。楽しいときはどんどん飛ぶように去り、つらいときは、ねとっと粘り気をふくんだかのように重く感じられるのは、その変幻自在の柔らかさによるものではないか、と思われます。
また、記憶のなかの過去という時は、なんと甘く柔らかなイメージでつつまれているか…
それだからこそ、ダリは時計を折れ曲がって柔らかくしたうえ、蝿やアリが寄っているように描いたのでしょうね。


9)浜では、水揚げされた魚がとろ箱に入れられています。販売されるのでしょうか。
10)奥さん達が買い物籠を持って、売り出されるのを待っているようです。
11)黒い服の女性が手を腰に、海を見ています。何を考えているのでしょう。旦那さんが、まだ漁から帰っていないのでしょうか。あるいは、目の前に船の人が知り合いで、話しているのかな。

12)船が一艘、さらに小さな船が繋留されています
13)カモメが2羽飛んでいます。とろ箱の魚を虎視眈々とねらっているのでしょう。
14)沖に、特徴的な島があります。このオムスビ型の島は、上の写真にも写っていますますが、カダケスの海に実際にある島です。


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シーン2上陸(p3〜4)

0)旅人は スペインの漁村に上陸しました。
どこの海岸かわかりますせんが、前のシーンと続きでカダケスの海岸ではないかと思われます。

1)左上 十字架のマークの船はコロンブスが、アジアを目指したサンタマリア号が姿を見せています。アメリカ編に向けて出発するところでしょうか。
 初上陸の時に、十字架を掲げて上陸したように、船には十字架を掲げています。この広がりのある赤い十字架は、十字軍のためにつくられたテンプル騎士団が使っていたものです。テンプル騎士団の財産をねらうフランス国王に弾圧され、異端審問にかけられつぶされた時、スペインではキリスト教騎士団と名前を換えて残ることができました。

2)オレンジと赤の縦縞の旗を翻して、船体に2003と書いた船があります。
 2003はスペイン編が出版された年です。
 旗は、カタルーニャ州(Catalunya)の州旗が横縞ですが、そっくりです。紋章は、縦縞ですからそのままだと思います。
スペイン国旗のイメージもあるとは思いますが、安野さんは、カタルーニャに特別の思い入れがあるようです。


3)繋がれている小舟は、緊急用でしょう
4)もう一艘の、小舟には緑と白のものがぶら下がっています。集魚灯ではないかと思うのですが・・・

5)網を修理している二人を見ている女性がいます。
 イタリア編でも、指摘しましたが。網は教会を、漁師は使徒をはじめとして、キリスト教の信者を集める人を象徴しているように思います。
 そして、スペインの使徒となると、キリストの最初の弟子となった4人の内の一人、大ヤコブ(スペイン語名ではサンチャゴ)ではないかと思います。キリストの昇天後、使徒は布教のために世界中に散ってゆきます。聖ヤコブ担当は、当時の世界観では地の果てスペインだったのです。イベリア半島の北西端のガリシア(Galicia)地方に船で上陸し、ここを基点に6年間にわたって布教します。
 もう一人の漁師は、パウロではないかと思います。キリストの昇天後、回心してキリスト教徒になったパウロですが、異教徒への布教の中心人物になります。伝説では、スペインでも布教活動をしたことになっています。

6)サッカーをしているこどもたちがいます。
 子どもの遊びのようですが、しっかり大人の審判がついています。女の子が二人見物しています。

7)おばさんが3人話をしているみたいです。
8)面白い家があります。スペインのカタルーニャ出身の建築家アントニ・ガウディグエル公園Parc Guellの建物です。世界遺産に登録されている作品群の一つです。
資産家のグエル氏が、分譲住宅として15haもの土地を用意して、制限なしに庭園住宅の設計をガウディに依頼して建設されたそうですが・・・売れなかったみたいです。発注者の没後、市の公園として寄付されたそうです。

9)杖をついて階段を登っているおばあさんがいます。それにしても、かなりしんどそうです。
10)似顔絵が二つ飾ってあって、子ども二人と男性が見ています。

11)左の似顔絵は、アントニ・ガウディです。
12)右はサルバドール・ダリ(Salvador Dali)、スペインのカタルーニャ地方フィゲラスの出身の画家です。前のシーンでは作品が出てきましたが。天才的ながら、相当の奇人だったようです。、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%AA


13)大八車?があります。スペインにもあるのかな。
14)魚を入れる網籠が干してあります。
15)編み物をしているおばあさんがいます。マフラーでしょうか。誰のために編んでいるのでしょう。
16)壁にANNO2003と書かれています。もう恒例になりました。ANNOは安野と西暦を兼ねていて、2003は、出版年です。

17)屋根にたくさんのカモメがとまっています。
18)大きな荷物を担いでいる男性がいます。堂々と歩いているので、泥棒じゃないですよね。
19)船を降りた旅人が、いつものように馬を購入しています。こどもが、珍しそうに見ています。
20)石垣に子どもが二人座っています。

21)浜辺には、旅人の乗ってきた船が放置してあります。オールはどうしたのでしょう。

22)旗をかざしてゆく、5人の巡礼者がいます。旗には、ホタテ貝の絵が描かれています。
これは、聖ヤコブ(スペイン語名ではサンティアゴ)の墓があるあるサンティアゴを目指しているのです。前にもふれたように、大ヤコブはスペインでの6年間の布教の後、エルサレムに帰りますが、キリスト教の大弾圧の時代。斬首刑にされて、12使徒最初の殉教者となります。伝説では、その遺体をイベリア半島の北西端のガリシアGalicia地方に埋葬されます。
亡骸が船で運ばれたときに、たくさんの貝が船底に付着していたことから、帆立貝の貝殻は聖ヤコブを象徴しているのです。
 忘れられていた墓は800年後の813年に、星の輝きに導かれた2人の牧童が発見します。ここに、星の原campus stellaeというラテン語を結びつけて「サンティアゴ・デ・コンポステラ(星の野の聖ヤコブ)」と呼ばれるようになり、エルサレム、ローマと並ぶキリスト教の3大聖地となり、大聖堂を目指して歩くサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路が2004年に世界遺産に登録されています。日本の熊野古道と兄弟遺産ですね。
 カタルーニャからもサンティアゴに向かう巡礼路があります。ただしは、このルートは世界遺産には含まれていないようです。

23)岩場に男女二人が座っています。恋人かな。男性の方が指さしています。サンタマリア号を指さしているようです。古風な帆船が気になっているのでしょう

24)船を修理?している人がいます。
25)壁に大きな魚が描かれています。魚屋さんでも無いようですが・・・。
 これは、イタリア編でも指摘したように、「魚」は洗礼のイメージから神を信じる人=キリスト教徒を意味します。同時にキリスト教やキリストの象徴でもあるのです。それは、ギリシャ語の魚は「イクテュス ichthys」というのですが、これが〈イエス・キリスト、神の子・救い主〉を意味するギリシア語の五つの頭文字の組合せと一致しているからだと言うことです。
ちょっとうがちすぎかもしれませんが、このシーンの性格からすると、あり得ると思うのですが。

26)浮き輪を持ったこどもたちと、お母さんがいます。海水浴ですね。避暑地ですから。
27)カニが並んでいます。売り物でしょうか。隣りに並んでいるのは何。
28)台に魚を並べて売っているようです。お客さんは、買い物籠を抱えたお母さんたち

29)壁にサンタマリアと書いたBARがあります。また、サンタマリアです。

30)右の3人は飲み物を飲んでいるようです。
31)左の緑の服の人は・・・何かテーブルに積み重ねてありますが?いったいなんでしょう。
32)防波堤には、犬を連れた釣り人
33)堤防の突端には、灯台があって二人の釣り人が吊りをしています。
34)カモメが舞っています、獲物ねらいでしょうか。

このシーンの舞台の漁村は、どこでしょう。船のつけている旗や、ガウディのグエル公園からして、スペインの北東部カタルーニャ地方の漁村でしょう。特に決め手はありませんが、前のシーンい続いてカダケスCadaquesではないかと思います。
 ちなみに、コロンブスが出航し帰ってきたのは、南部のアンダルシア地方のバロス港です。明らかに位置が違いますが、アメリカ編との繋がりで、どうしてもコロンブスを登場させたかったんでしょう。ただ、バルセロナには、サンタマリア号を復元したものが置かれています、次のシーンにもコロンブスが登場します。コロンブスが出発するとき、イザベル女王は、レコンキスタの最終教局面でグラナダ(南部のアンダルシア地方)にいましたが、コロンブスが帰ってきたときにはバルセロナに居城を移していたので、バルセロナに報告に行っているのです。すると、帰ってきたサンタマリア号かというと、サンタマリア号は、遠征先で座礁。船体を使って、植民地の建築資材にしたのです。僚船のニーナ号とピンタ号の2隻がスペインへ戻っています。すると、この船はニーナ号かピンタ号と考えても良いのですが・・・どちらも、操船能力優れるものの小型で、船の形が違うようなのです。

 このシーン、キリスト教がらみの内容が多かったように思います。そして、イタリア編につづいて、サンタマリアが意識されています。前のシーンの教会もサンタマリアでしたし、サンタマリア号、BARの名前がサンタマリアでした。やはり、カトリックの国ではサンタマリアなんですかね。
安野さんご自身が、マリアが好きという点もあるのでしょう。


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シーン3バルセロナ(p5〜6)


0)旅人は  カタルーニャの州都バルセロナ(Barcelona)にやってきました。1992年夏季オリンピックが開催されました。カタルーニャは、スペインの中でも、とりわけ独立心の強い地域の一つです。

1)広場に高い塔が立っています。これは、平和の門広場に建つ、コロンブス記念塔(Monument a Colum)です。
新大陸発見を記念してつくられた塔(58m)です。1882年着工し、1888年の万博の時に竣工しました。塔のてっぺんには、コロンブスの像(7.5m)が、新大陸を指しています。塔内にはエレベーターが有って、展望台からは、バルセロナ市内を一望できるようになっているようです。
第1回目の新大陸発見のイザベル女王への報告はバルセロナで行われました。その様子が、台座の足下には刻まれています。中程には、翼を持った女神も。
http://nobuyasu.blog72.fc2.com/blog-entry-54.html

2)コロンブスの像と背比べをするように、人間の塔が組みあがっています。
これは、バルセロナの守護聖母メルセ(La Merce)を祝うもので9月24日前後1週間をかけて行われる「メルセ祭り」で行われる「人間の塔(Castellers)」です。日本でも運動会で人間の塔をまねするけど、せいぜい4〜5段。この絵はなんと10段です。左の写真では、8段くらいのようです。とにかくすごい。
一番上の子どもが手を挙げています、この時が人間の塔の完成です。
 ところで、高さでコロンブスの像と、微妙な差で争っているようですが、実際には基礎の位置が全然違うので、錯覚ですね。安野さんらしいだまし絵です

3)たくさんの人が、万歳して応援しています。実際の応援では、塔が崩れないように集中しているのだそうで、塔ができてさらに慎重に降りてから一気に盛り上がるのだそうです。

4)カタルーニャの州旗のデザインの太鼓をたたき、ラッパを鳴らして応援しています。にぎやかですね。集中できるのかな。

by forest-doorさん

安野さんの本「「カタロニア カザルスの海へ」ではこの人間ピラミッドを見たときのことが綴られています。

パレードが行くと、人間ピラミッドがはじまった。これはカタロニアの伝統的な曲技で、仲間が心を一つにしなければとてもできない。
人間が固まって基盤をつくり、その上に四人が肩を組んで立つ、その上に二人、またその上に二人上がり、最後には小さい子がよじのぼって、片手で天を指すと、素早くそのピラミッドは解体していく、二段目ができたあたりから、オーボエに似たグラリーヤという民族楽器が鳴り出す。底辺にいる人たちは、この音楽によって、ピラミッドがいま頃どの程度までできているかを知るらしい。

絵本でもピラミッドの左には太鼓やグラリーヤらしき楽器を持った人々が描かれていました。

5)巨大な人形が有ります。これも、メルセ祭りの名物の一つ巨大人形です。ヒガンテス(Gegants)というのだそうです。中には、人が入っているのだとか

6)こちらの見物人も手を挙げて応援しています。ただ、、塔の方を応援しているのかも。
見物人の中には、風船を持った人がいます。そして、人形がすぐ脇にあるのに、工事の方を見ている人たちがいます。
見物人の一番右端の子どもにいたっては、工事現場の方を見て指さしています。

7)塔の左では、輪になって踊っている人たちがいます。サルダーナSardanaと呼ばれるカタルーニャ地方独特のダンスです。
ギリシャに起源を持つ踊りで、シングルサークルで手を繋ぎ、その手を高く挙げて踊ります。
 人間の塔にしろ、このサルダーナにしろ、多くの人が参加しやり遂げ、作り上げる。こうして、民族の団結をつくることになるのでしょう。 
by forest-doorさん

バルセロナの中心地ゴシック地区では毎週日曜日の昼に、大聖堂前広場でこのサルダーナが行われています。安野さんもモンセラートの街で、その輪に取り込まれ、見知らぬ人に手をとられて驚いたことがあったそうです。
絵本のサルダーナの輪のなかで、右端のほうにちょっと腰がひけている茶色の服の男の人が描かれていますが、これは安野さん自身かもしれませんね。


8)大きな輪の周りでは、二人だけで踊っている人たちがいます。ほとんど両手を繋いで輪にしていますが、一組だけは内側の手を繋ぐだけで踊っています。一人で踊っている人もいます。中央の輪に飛び入り参加も自由にできると思うのですが。二人で踊っている子どももいます。踊る姿を見物している人たちもいます。
実際にも、踊る人よりたくさんの見物人がいるそうです。そして、見物の観光客も飛び込んでゆくとか。

9)メガホンを持った人が、踊る人たちに声をかけていま。右から工事の馬が来ているので、注意をしているのでしょう。そして、この手を挙げているのが、人間の塔のトップやコロンブス像のまねをしているようにも見えます。

10)工事の馬を引いている人に、踊っている人がいるんだからお止めようとしている人がいます。その内の一人は、踊りを指さして懸命に止めています。この姿も、人間の当夜コロンブス像のまねにも見えます。

11)工事の馬の先頭は、コロンブスの塔に遮られて、とてつもなく胴長の馬になっています。だまし絵ですね。

12)馬のひっぱりを助けるように、クレーンの塔の分部に沿ってロープを引っ張っている人たちがいます。いくら何でも、これはできません。だまし絵です。

13)クレーンをつるのに引いているロープを滑車で、水平方向に変えていますが、このままだと、力がかかると留めてある滑車が抜けてしまいます。

14)クレーンでつった、教会の塔の先を今にも載せることができそうです。作業員の人たちも手を添えていますが、これも高さと位置関係を無視しただまし絵です。

15)頭だけ見えている巨大な教会はバルセロナのサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)聖堂(聖家族贖罪聖堂)です、
 フランシスコ・ビリャールが無償で設計を引き受け、 1882年着工したものの対立があったようで翌年には若干31歳のガウディに引き継がれます。ところが1926に未完のままなくなります。なんと、設計図がないそうで、模型をもとに建設していたのに、スペイン内戦で、その模型もなくなってしまったそうで、弟子の記憶に頼って建設を続行中です。完成予定は2026年だそうです。建設中ですが、この建物も世界遺産です。

16)巨大積み木遊びをしている子どもたちがいます。 ザグラダ・ファミリアの建設をまねしているのですかね。
それにしても、こんな巨大な積み木をどうやって積み上げたのでしょう。倒れそうな積み木を支えている女の子がいます。でも、この子のいる位置から考えると、実際には別の所にいます。だまし絵です。

17)赤い積み木を二人で提げている人、黄色の積み木を一人で抱いている人、頑張っています。
18)チェロを弾いている像があります。深い精神性を感じさせる演奏において20世紀最大のチェリスト、パブロ・カザルス(Pau Casals)の像です。像の上には小鳥が舞っています。
安野さんの「カタロニア カザルスの海へ」にモンセラート修道院のそばにある銅像の写真と記述がされているそうです。
by forest-doorさん

カザルスはフランコ政権に反対し、亡命して、以降、フランコ政権に賛成する国では一切演奏をしなかったといいます。
そして、1971年、カザルスが94歳の時にニューヨーク国連本部において「私の生まれた故郷カタロニアでは鳥はピース、ピース(Peace 平和)といって鳴くのです」といって「鳥の歌」を演奏したエピソードは有名です。なので、絵本ではカザルスの銅像の上に鳥が舞っているところが描かれているんでしょうね。
きっとこの鳥は「ピース」「ピース」といって鳴いているところなんでしょう…

また、カザルスといえば、バッハの無伴奏チェロ組曲が有名ですが、バルセロナの古楽器店でこの曲の楽譜を発見したときはわずか13歳だったといいます。そして12年もかかってその曲を解釈し、カザルス自身のバッハの音を作り上げたのです。私はこのバッハの無伴奏チェロ組曲を聴くと、押し寄せる音の深みに立っていられなくなるほど、くらくらします。
昔から弦楽器の音、特にチェロの音が好きでした。たぶん、子供のときに「セロ弾きのゴーシュ」を読んでいたのも影響しているかもしれません。でもそれだけではなく、このバッハの無伴奏チェロ組曲には他のチェロの曲にはないほどの強い揺さぶりがあるのです。聴いていると、深く深く森の奥や、海の底、そして天上の雲の世界へと魂が導かれるような気がします。

上に挙げた「カタロニア カザルスの海へ」で安野さんはこう結んでいます。

わたしは冥黙し、カザルスとバッハと「無伴奏チェロ組曲」を思う。
それは、チェロを弾くカザルスの足元から音楽の泉となって生まれ、それはあふれて流れ出す、流れは谷川となり、瀬となり、淵をつくるなどして、次第に川幅も広くなる。
音楽の流れは、時の流れであり、それはいかにも人生に似ている。
わたしも、やがて海に出て行くが、そのときは、バッハの「無伴奏チェロ組曲」を聴きながら悠々と出て行こうと思っている。


伊勢英子さんの本「カザルスの旅」(中公文庫)を読んでいると、あとがきで澤地久枝さんが「生きるって不思議」という文章を寄せていらして、そこには思いがけなく安野さんのお名前が! 
こんな文章でした。

…画家の安野光雅さんとカザルスについての会話をかわすようになるのは、さらに年へてからのこと。
わやしたちは、フランコ独裁に抗議し、母国スペインへ帰らずに亡くなったカザルスの人間性を語りあい、さらに、十二枚組LPを安野さんが買いそこなったとわかって、しばらく安野さん方へ養子にやるというような進展にもなった。…

澤地さんから借りられたカザルスの十二枚組のLPで、安野さんはたっぷりカザルスのチェロの音に浸られたんでしょうね。
深い深いチェロの音。カザルスの歩んだ人生を考えながら、私もLPで聞いてみたくなりました。

19)像の下には、くつろいでいる人たちがいます。積み木を眺めているようです。
20)幌馬車の所に、荷物を抱えた女性がいます。

21)像の下では、ペタンクを楽しんでいる人がいます。小さなタマは、ビュットと呼ばれる的になるものです。正式な競技場もありますが、このように町中でも簡単に楽しむことができて、十分に面白い遊びです。
日本ペタンク協会HP

22)オープンカフェで楽しんでいる人々がいます。ウエイトレスの人だけが女の人で、お客は全員男の人です。

23)町並みの向こう側では、自転車のロードレースが行われています。通常一団となって走っていますが、ゴール前ではスプリントをかけて、離れます。この位置で、これくらい差があると、ほぼ決まりですね。あるいは、2位の人が最期の最期で逆転するかも。
 スペインといえば、「ヴェルタ・ア・エスパーニャVuelta a Espana」が世界的に有名で、3週間もかけてスペイン中を走るレースです。ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリアとならんでグラン・ツールと呼ばれています。
 しかし、ここはバルセロナです。バルセロナのロードレースといえば・・・カタルーニャ一周(Volta Ciclista a Catalunya)でしょう。5月ごろ1週間かけて行われます。ジロ・デ・イタリアと日程が重なるのですが、厳しい山岳部もあり世界的に注目されるレースです。ゴールは、州都バルセロナです。

 私が若いときには、自転車レース(といっても草レースですが)をやっていました。普通の人から見ると、パワーもスピードも持久力もあったと思いますが・・・本格的にレースやっている人は、桁違いに強くて草レースでも圧倒されていました。ちなみに、上記3大レースに出場でできる日本人は、日本のレースでは優勝が当たり前のような人。それでも、市川 雅敏選手が1990年に、ジロ・デ・イタリアで総合50位に入ったのが日本人最高位です。それほど、ロードレースでの日本の力量はまだまだです。
 自転車のロードレースは個人戦ですが、実質的にはチーム戦です。スター選手の優勝のために他の選手はアシストにまわることになります。ですから、大きな大会は、それぞれのチームのスターでないと勝つことは不可能です。(個人レースのようですがチーム戦の面が強いので、スター選手を勝たせるために他のメンバーはサポートしますから、中心選手以外の勝利はまずないのです・・・・ただし、その日その日のステージ優勝はチャンスがあれば可能です)。


24)応援する人たちの中には、旗や帽子を振っている人もいます。
25)ビデオカメラで採っている人がいます。
26)選手を指さしている人もいます。
27)オートバイを持っている人もいます。取材用でしょうか。
28)ゴールでは、机を出して待っている人たちがいます。ゴールの横断幕は、スペインの国旗ぽいですね。

29)建物の壁にANTONI TAPIESと書かれています。バルセロナ生まれの画家、アントニ・タピエス(Antoni Tapies)のことです。立てかけられている絵は「赤と黒」という作品です。「Tapies: The Complete Works : 1976-1981」という本の表紙でも使われています
 右側の大作は、作品名がわかりませんが、タピエスの絵には十字がよく書かれています。そして、背後の壁にも十字が書き込まれています。
by forest-doorさん

タピエスは砂や着色セメントなどをつかって画面をもりあげたり、ひっかいたりした跡を残したりします。またよく数字やアルファベットなどを画面に用いています。「赤と黒」でも赤と黒という二つの空間の間にO(オー)の文字が閉じ込められている、と画集で説明されていました。私はずっとこれを目だと思っていて、強い意志を持って何かを見つめる目といったイメージを抱いていました。Oと分かってもやはり、そのイメージは消せないものですね。
安野さんはタピエスについて、この絵本のあとがきで、機会を得てタピエスに会うことが
そしてタピエスの画集を見ていて、気になったのが下の絵、「カタルーニャ魂」でした。
モチーフになっているのはカタルーニャの旗です。
カタルーニャの旗は黄色い地に赤で四本線が入ったもの。(カタルーニャのサッカーチームのキャプテンはこのカタルーニャの州旗のデザインのキャプテンマークをつけます。→こちら)
この旗は、昔独立国であったカタルーニャの王が戦いで負傷し、自らの血を指につけ、黄色い盾に線を引いたことが由来となっています。
タピエスの絵にも画面のあちこちに指で描いたかのような赤い線があります。
そして引っかき傷のようにして画面中に文字が入れられ、中央にはCATALUNYAとあります。
この絵を見ていると痛い傷のようにひりひりとカタルーニャへの思いがキャンパスに刻み込まれているように思います。そして、このような思いはタピエスだけでなく、このバルセロナを中心としたカタルーニャ地方の人々には、カタルーニャという自分たちの地方に対して強い思い入れがあるようなのです。

そんなカタルーニャではフランコ政権時代、カタルーニャで話されていたカタルーニャ語が禁止されていたといいます。
しかしフランコが倒れてからはカタルーニャ地方ではスペイン語とともに公用語となっています。安野さんの本「スペインの土」にはこんなふうに書かれています。
禁 じられていたカタロニア語が解禁となったその翌日にはカタロニア語の書物が、どっと書店に並んだという。
彼らが「カタロニア」というときは目が光り頬が紅潮する。(...)
それを「独立精神」と呼べばいいだろうか。ここではスペインという国名よりもカタロニアの方が優先するらしいのである。

また、他の本では取材先の人から「カタロニアの本を書いてくれ」と言われたと安野さんは書いていました。スペインではなくカタロニアの本をと。
この旅の絵本のP.5-6では赤と黄の縞もようがいろんなところに見られます。テントや巨大人形、太鼓、自転車レースのゴール、そして旗など…。絵本の見返しも赤(といってもほとんどオレンジですね)と黄の縞です。スペインの国旗がやはり赤と黄なので、そうされたのでしょうが…
でもこのページは確かにカタルーニャ地方の人々の思いを汲み取って描かれたんだなと思います。
できたことは、一生の思い出と書かれています。


30)絵の横を向こうに向いて歩いている男性がいます。
31)上にまどがありますが、この窓がタピエスの「群青のコンポジション」の絵となんだか雰囲気が似ていると思うのですが。

32)建物の奥に人影が見えます。黒い背景に足下だけ見えているのですが、このような描き方は安野さん・・・他ではしていませんよね。
ということは、何か特別な意味がありそうですね。こんな感じの作品があるとか???

33)絵には、観客がたくさんいます。杖をついたおじいさんや手を繋いだカップルもいます。気に入ったのか、友だちを呼び寄せている女の子もいます。

34)カタルーニャ州旗風のパラソルのしたでは飲みながら指さしています。人間の塔のまねでしょうか、ロードレースで盛り上がっているのでしょうか。ウエーターが盆で運んでいるのは、ビール瓶でしょうか。

35)足の長い男性が、望遠レンズをつけたカメラで、人間の塔を撮っている人がいます。

36)人間の塔の左側に建っている家の、左の軒下に何かぶら下がっています。何でしょう??

37)女の人が向こう向きで、荷物を持っている女性がいます。
38)屋根の下で何か売っています。犬を連れた客もいますが、売り物は何でしょう。

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シーン4フォルス・バスク(p7〜8)
0)旅人は  ペイン北部ピレネー山脈のふもとバスク地方にやってきました。バスク地方にやってきました。城はナバラ州、パンプローナの南東、ザビエル村にあります。フランシスコ・ザビエルFrancisco de Gassu y Javierの生まれた、ザビエル城(Castillo de Javier)です。ザビエルはこの城の末っ子として生まれました。ザビエルは、日本語がバスク語に似てると報告しているそうで、バスク人は日本人に親近感を持っているとか。

1)ザビエル城の屋上では、黒い衣装の人たちが、飲み物を飲んでいるようです。何をしているのでしょう。不明ですが、フランシスコ・ザビエル関係でしょうか
 テーブルが、オレンジと黄色の縞模様です。もう、カタルーニャ地方ではないので、スペイン国旗のイメージでしょう。ちなみに、右の写真はザビエル城内部です。この部屋の様子を、城の屋上に再現してあるように見えます。


2)力比べが行われています。バスク地方独特の力比べ競技、フォルス・バスク(Force basque)のようです。丸い石を抱いているのは石のリフティング、時間内に何度肩まで持ち上げられるかを競っているようです。


3)丸太のベンチに座っている人は、次の競技者でしょう
4)机に座っている人は、時計が有るので、計時がかりのようです。
5)ノートを持っている人は、審判でしょうか

6)テントの下には、別の競技用の石が用意してあります。


7)体重計が有ります。体重別の競技なんでしょうか
8)テーブルに並んでいるビンは、紫色ですが・・・何でしょう???
9)立てた丸太に旗をつけてあります。

10)丸太を二人がかりで、2チームが切っています。アイスコラリ(aizkolari)という競技です。

11)丸太切りの審判がしっかり見ています。

12)丸太を斧で切り倒そうとしています。Aizkolariakという競技です。
絵本では立てた丸太を切っていますが、横にした丸太を切るパターンもあります。その動画があります。

13)綱引き(Soka tira)をしています。お城に掲げられている旗が、中間の印のように描かれています。実際に、城には旗か掲げらえているようです。
旗が真ん中とすると、右側の青のズボンのチームが優勢のようです。
綱引き(Soka tira)を含めて色々な競技で祭りの様子がよく分かる動画映像です
http://youtu.be/EmxBbd3NVGM

14)とんがり帽子をかぶった派手な衣装の人たちが、太鼓をたたいたり、ラッパを吹いたりして応援をしています。

15)川の向こうでは、たくさんの人が見物・応援しています。なぜ、川の向こうなんでしょう。
  左端に腕組みした女性と男の人が立っています。
16)丸太のベンチの上に10人。そのうち2人の男の人が腕を組んでいます。
17)ベンチの右に2人立っています。右側の人が腕を組んでいます。
なんだか腕を組んでいる人が多いように思います。力技を見ていると、腕を組みたくなるのでしょうか。
18)右のベンチには4人座っています。内一人は子どもですね。
19)後ろの柵に寄りかかって見ている人が7人です。
20)旗を振って応援している人が大人一人子ども4人です。
 全部で、見物人が30人。実際には、黒山の人だかりのようです。

30)少しもったりした雰囲気の馬が一頭草を食べています。バスク地方に産するポニーの品種ポトック(pottoka)でしょう。ポトックの名はバスク語で「小さい馬」を意味する語に由来しています。

31)農家には、いつものように洗濯物が干してあります。

32)洗濯物の右側の所に、何かが群がっています?何でしょう??ハチ???


旅人は、独立意識の強いカタルーニャ地方を出たと思ったら、これまた独立意識の強いバスク地方にやってきました。スペインはフランコの独裁時代に、地方の独立性を押さえ込む政策を採っていましたが、そのことが逆に、それぞれの地方の独立意識を強めたのかもしれません。
スペインも、広くて気候も人柄も言葉も多様なようです。


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