コンパクト解説を遊ぼう」5(スペイン編)

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「旅の絵本」の5作目はスペイン編です。アメリカを旅立って20年ぶりに旅人が帰ってきました。イタリアに続いてカソリックの国ですが、イスラムの支配を経験した国でもあって、多様な文化を楽しむことができそうです。

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「表紙・裏表紙」「扉」シーン1海辺シーン2上陸
シーン3バルセロナシーン4フォルス・バスクシーン5牛追い祭りシーン6結婚式
シーン7風車シーン8アルハンブラ宮殿シーン9ヌエボ橋シーン10白い家
シーン11セビリアシーン12ロシオ巡礼シーン13闘牛場シーン14マヨール広場
シーン15城塞都市シーン16水道橋シーン17メルカード(市場)シーン18野外美術展
シーン19サンティアゴ「裏扉」


「表紙・裏表紙」

0)旅人は・・・といつもならなるのですが・・・現在の所どこにも旅人が見つかりません。これまでの旅で、旅人のいないシーンは無かったのですが???どこかに隠れているのかも知れません。旅人を探せ!!
 ともあれ、表紙の街はトレドToledoの街をタホ川の対岸から見た景色です。

1)右上のに見えている建物は?
四隅に塔が建つ建物はカルロス1世によって建てられたアルカサルです。中世につくられた城塞の上に、1537年に着工。スペイン内戦の時には、共和国軍に包囲され破壊されてしまいます。その後再建されて、今はスペイン内戦の博物館となっています。
2)表紙と裏表紙にまたがってあるのは、トレド大聖堂(Cathedral of Toledo)。13世紀に建造された、ゴシック様式の建物。スペイン・カトリックの総本山です。
3)右下 ホタ川に水鳥の親子が泳いでいます。「カモさんおとおり」からでしょうか?「みにくいアヒルの子」からでしょうか。
4)星形の壁があります。いったい何の施設でしょうか。デンマーク編では同じような施設が城の一部で描かれているのですが、写真でも実際にホタ川にあるようで、防衛施設としてはどのような意味があるのかわかりません。
5)サッカーをしているこどもたちがいます。スペイン編ではあちこちにサッカーが描かれています。サッカーの盛んな国ですから。
7)芝滑りをしている子どもたちがいます。昔は、私も段ボールや板を使って土手で芝滑りをしたものです。板は何度も使っていると、つるつるになって良く滑るようになったものです。
8)土手にはロバがいます。スペインの詩人でノーベル文学賞を受賞したフアン・ラモン・ヒメネス(Juan Ramon Jimenez)の「プラテーロとわたし(PLATERO Y YO)」のプラテーロではないかということです。
9)馬に乗った人と、そのお供のような人が道を聞いています。
10)何かほこらのようなものがあります。聖母マリアを祭ったほこらでしょうか。近くの女性は、祠に花を持ってきているのでしょうか。
13)題字の右 タンバリンを持ってフラメンコを踊る女性の傍には、ギターを弾く人、マラカスを振っている人がいます。お客さんも3人います。
14)黄色のテントはお店でしょうか。買い物客が訪れています。
15)路地に暴れ牛を放して、牛追い祭りをしています。棒を持って牛を追いかける人、壁に身を寄せて逃げる人、とにかく走っている人、驚いて手を挙げている女性と色々です。ただ、マドリッドの祭りだと思うのですが。
19)背表紙にかけて、馬を引いている男性がいます。青っぽい服を着ています。ひょっとすると、この人が旅人かも知れません。ただし、本編の中での旅人は、いつもの三角帽子をかぶっているのですが、この人は違います。
21)男性が一人、帽子をかぶって立っていますが、何かあるのかな?足が少し変ですが?
22)裏表紙右下 小屋があって近くで女性が何かしています。草取り?ツクシ採り?背後にも何か固まりがあります。向こう向きで何か採っているようです。やはりツクシ採りだ!でも、本当はなんでしょう。
24)槍を持って馬に乗っている人と、ロバに乗っている人がいますドン・キホーテとサンチョ・パンサです。
 これまでの旅の絵本でも何度も出てきました。今回は本場ですから、本編で何度も登場します。
26)女の人が、男性を見ています。その男性は、何か落とし物でも拾ったのか、追いかけるように坂を駆け上がっています。
27)赤い旗を掲げて坂を上ってゆく、巡礼の人たちが6人います。大聖堂を目指しているのでしょう。
30)赤い旗を持った人の後を4人ほどついて歩いています。この人達も大聖堂へ向かう巡礼の人たちでしょうか。女の人が、道案内をしているようです。
33)座っている二人の後ろの藪の中に、エルグレコの「受胎告知」の絵が隠されています。安野さんの見事な隠し絵です。

41)白いシャツを着て、ロバに乗っている人がいます。その前をまるで、馬を引くときの旅人に格好で歩いている人がいます。服も青いし旅人かも知れません。でも、いつもの帽子と違います。
44)階段の先にある、大きなドームを持っている建物は、トレドの写真にも写っているのですが、建物の名前がわかりません。トレドに詳しい方調べてみてください。
45)梯子を架けて窓を直している?人がいます。梯子の下には、工具箱?を足下に置いた人がいます。それを見ている女性も。
46)闘牛の練習をしている人たちがいます。
47)坂道をかけ下って逃げている犯人?を追いかける警官、警官と併走する女性、ずっと遅れてそれでも追いかけている女性。驚いて見ている女性がいます。一体何があったのでしょう。泥棒でしょうか?
48)井戸の所では、二人の女性がこれも驚いて追跡劇を見ています。この井戸、滑車はあるのですが、ロープがかかっていないようです。もう使っていないのでしょうか。
51)グレコの受胎告知の所の、塔には、コウノトリの夫婦が巣を作っています。
 コウノトリは、子宝の象徴ですから、受胎告知の近くに描かれているのですね。
53)黄色のパラソルの人は、花屋さんでしょうか?お客さんと話しています。
54)近くに3本の棒のようなものが立っています。頭がついているようにも見えます。子どもということでしょうか??謎です。

20年ぶりの旅の絵本は、安野さんも力が入ったのか、表紙絵からものすごい書き込みです。これまで、こんなにたくさんの建物が出た表紙やシーンは無かったと思います。登場人物の多さでも、パレードシーン以外では例がないです。とにかく一通り見るだけでも大変でした。グレコの受胎告知は、隠し絵になっていました。他にも隠し絵があるのかも知れません。それにしても、旅人はどこに隠れているのでしょう。安野さん忘れたのでしょうか。まさか。

「扉」

0)旅人は・・・馬を引いていつもの服装で馬を引いて歩いています。
  

1)自然の中に、教会が建っています。教会にはカリヨン(鐘)がついています。
扉の前に、背表紙は黄色とオレンジの縞模様になっています。これは、左のスペインの国旗からくる色合いでしょう。この色が、スペイン編全体を包み込んでいます。


シーン1海辺(p1〜2)
0)旅人は スペインの北東部カタルーニャ地方の漁村カダケスCadaquesにやってきました。小さな漁村ですが、夏は別荘地として人気で、多くの画家が愛したようです。
前作のアメリカ編のアメリカからコロンブスのやって来た道筋を逆にたどり大西洋を渡って、スペインにやってきたようです。
1)大きな教会があります。聖マリア教会です。
 教会には鐘(カリヨン)があります。
カリヨンといえば、岡山の牛窓の島にカリヨンハウスという施設があり、スペインのイメージです。
3)黄色い荷物を持って歩いているヒゲのおじいさんがいます。棒のようなものはイーゼルでしょう。ということで黄色いの荷物はキャンバスでしょう。この人は画家でしょう。安野さんかな?
9)折れ曲がった懐中時計が、屋根にかかっています。これは、シュルレアリスムの代表的な作家として知られるスペインのサルバドール・ダリ(Salvador Dali)記憶の固執(柔らかい時計)(Persistance de la memoire)に出てくる時計ですね。
ダリは、カダケスの近くの町フィゲラスに生まれたました。そして、カダケスの近くのポルト・リガットに住んでいました。
14)沖に、特徴的な島があります。このオムスビ型の島は、上の写真にも写っていますますが、カダケスの海に実際にある島です。

シーン2上陸(p3〜4)

0)旅人は スペインの漁村に上陸しました。
どこの海岸かわかりますせんが、前のシーンと続きでカダケスの海岸ではないかと思われます。

1)左上 十字架のマークの船はコロンブスが、アジアを目指したサンタマリア号が姿を見せています。アメリカ編に向けて出発するところでしょうか。
 初上陸の時に、十字架を掲げて上陸したように、船には十字架を掲げています。この広がりのある赤い十字架は、十字軍のためにつくられたテンプル騎士団が使っていたものです。テンプル騎士団の財産をねらうフランス国王に弾圧され、異端審問にかけられつぶされた時、スペインではキリスト教騎士団と名前を換えて残ることができました。

2)オレンジと赤の縦縞の旗を翻して、船体に2003と書いた船があります。
 2003はスペイン編が出版された年です。
 旗は、カタルーニャ州(Catalunya)の州旗が横縞ですが、そっくりです。紋章は、縦縞ですからそのままだと思います。
スペイン国旗のイメージもあるとは思いますが、安野さんは、カタルーニャに特別の思い入れがあるようです。
5)網を修理している二人を見ている女性がいます。
 イタリア編でも、指摘しましたが。網は教会を、漁師は使徒をはじめとして、キリスト教の信者を集める人を象徴しているように思います。
 そして、スペインの使徒となると、キリストの最初の弟子となった4人の内の一人、大ヤコブ(スペイン語名ではサンチャゴ)ではないかと思います。キリストの昇天後、使徒は布教のために世界中に散ってゆきます。聖ヤコブ担当は、当時の世界観では地の果てスペインだったのです。イベリア半島の北西端のガリシア(Galicia)地方に船で上陸し、ここを基点に6年間にわたって布教します。
 もう一人の漁師は、パウロではないかと思います。キリストの昇天後、回心してキリスト教徒になったパウロですが、異教徒への布教の中心人物になります。伝説では、スペインでも布教活動をしたことになっています。
8)面白い家があります。スペインのカタルーニャ出身の建築家アントニ・ガウディグエル公園Parc Guellの建物です。世界遺産に登録されている作品群の一つです。
資産家のグエル氏が、分譲住宅として15haもの土地を用意して、制限なしに庭園住宅の設計をガウディに依頼して建設されたそうですが・・・売れなかったみたいです。発注者の没後、市の公園として寄付されたそうです。

11)左の似顔絵は、アントニ・ガウディです。
12)右はサルバドール・ダリ(Salvador Dali)、スペインのカタルーニャ地方フィゲラスの出身の画家です。前のシーンでは作品が出てきましたが。天才的ながら、相当の奇人だったようです。、
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16)壁にANNO2003と書かれています。もう恒例になりました。ANNOは安野と西暦を兼ねていて、2003は、出版年です。
19)船を降りた旅人が、いつものように馬を購入しています。こどもが、珍しそうに見ています。
21)浜辺には、旅人の乗ってきた船が放置してあります。オールはどうしたのでしょう。

22)旗をかざしてゆく、5人の巡礼者がいます。旗には、ホタテ貝の絵が描かれています。
これは、聖ヤコブ(スペイン語名ではサンティアゴ)の墓があるあるサンティアゴを目指しているのです。前にもふれたように、大ヤコブはスペインでの6年間の布教の後、エルサレムに帰りますが、キリスト教の大弾圧の時代。斬首刑にされて、12使徒最初の殉教者となります。伝説では、その遺体をイベリア半島の北西端のガリシアGalicia地方に埋葬されます。
亡骸が船で運ばれたときに、たくさんの貝が船底に付着していたことから、帆立貝の貝殻は聖ヤコブを象徴しているのです。
 忘れられていた墓は800年後の813年に、星の輝きに導かれた2人の牧童が発見します。ここに、星の原campus stellaeというラテン語を結びつけて「サンティアゴ・デ・コンポステラ(星の野の聖ヤコブ)」と呼ばれるようになり、エルサレム、ローマと並ぶキリスト教の3大聖地となり、大聖堂を目指して歩くサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路が2004年に世界遺産に登録されています。日本の熊野古道と兄弟遺産ですね。
 カタルーニャからもサンティアゴに向かう巡礼路があります。ただしは、このルートは世界遺産には含まれていないようです。

23)岩場に男女二人が座っています。恋人かな。男性の方が指さしています。サンタマリア号を指さしているようです。古風な帆船が気になっているのでしょう

25)壁に大きな魚が描かれています。魚屋さんでも無いようですが・・・。
 これは、イタリア編でも指摘したように、「魚」は洗礼のイメージから神を信じる人=キリスト教徒を意味します。同時にキリスト教やキリストの象徴でもあるのです。それは、ギリシャ語の魚は「イクテュス ichthys」というのですが、これが〈イエス・キリスト、神の子・救い主〉を意味するギリシア語の五つの頭文字の組合せと一致しているからだと言うことです。
ちょっとうがちすぎかもしれませんが、このシーンの性格からすると、あり得ると思うのですが。
29)壁にサンタマリアと書いたBARがあります。また、サンタマリアです。

このシーンの舞台の漁村は、どこでしょう。船のつけている旗や、ガウディのグエル公園からして、スペインの北東部カタルーニャ地方の漁村でしょう。特に決め手はありませんが、前のシーンい続いてカダケスCadaquesではないかと思います。
 ちなみに、コロンブスが出航し帰ってきたのは、南部のアンダルシア地方のバロス港です。明らかに位置が違いますが、アメリカ編との繋がりで、どうしてもコロンブスを登場させたかったんでしょう。ただ、バルセロナには、サンタマリア号を復元したものが置かれています、次のシーンにもコロンブスが登場します。コロンブスが出発するとき、イザベル女王は、レコンキスタの最終教局面でグラナダ(南部のアンダルシア地方)にいましたが、コロンブスが帰ってきたときにはバルセロナに居城を移していたので、バルセロナに報告に行っているのです。すると、帰ってきたサンタマリア号かというと、サンタマリア号は、遠征先で座礁。船体を使って、植民地の建築資材にしたのです。僚船のニーナ号とピンタ号の2隻がスペインへ戻っています。すると、この船はニーナ号かピンタ号と考えても良いのですが・・・どちらも、操船能力優れるものの小型で、船の形が違うようなのです。

 このシーン、キリスト教がらみの内容が多かったように思います。そして、イタリア編につづいて、サンタマリアが意識されています。前のシーンの教会もサンタマリアでしたし、サンタマリア号、BARの名前がサンタマリアでした。やはり、カトリックの国ではサンタマリアなんですかね。
安野さんご自身が、マリアが好きという点もあるのでしょう。


シーン3バルセロナ(p5〜6)
0)旅人は  カタルーニャの州都バルセロナ(Barcelona)にやってきました。1992年夏季オリンピックが開催されました。カタルーニャは、スペインの中でも、とりわけ独立心の強い地域の一つです。

1)広場に高い塔が立っています。これは、平和の門広場に建つ、コロンブス記念塔(Monument a Colum)です。
新大陸発見を記念してつくられた塔(58m)です。1882年着工し、1888年の万博の時に竣工しました。塔のてっぺんには、コロンブスの像(7.5m)が、新大陸を指しています。塔内にはエレベーターが有って、展望台からは、バルセロナ市内を一望できるようになっているようです。
第1回目の新大陸発見のイザベル女王への報告はバルセロナで行われました。その様子が、台座の足下には刻まれています。中程には、翼を持った女神も。

2)コロンブスの像と背比べをするように、人間の塔が組みあがっています。
これは、バルセロナの守護聖母メルセ(La Merce)を祝うもので9月24日前後1週間をかけて行われる「メルセ祭り」で行われる「人間の塔(Castellers)」です。日本でも運動会で人間の塔をまねするけど、せいぜい4〜5段。この絵はなんと10段です。左の写真では、8段くらいのようです。とにかくすごい。
一番上の子どもが手を挙げています、この時が人間の塔の完成です。
 ところで、高さでコロンブスの像と、微妙な差で争っているようですが、実際には基礎の位置が全然違うので、錯覚ですね。安野さんらしいだまし絵です

5)巨大な人形が有ります。これも、メルセ祭りの名物の一つ巨大人形です。ヒガンテス(Gegants)というのだそうです。中には、人が入っているのだとか

7)塔の左では、輪になって踊っている人たちがいます。サルダーナSardanaと呼ばれるカタルーニャ地方独特のダンスです。
ギリシャに起源を持つ踊りで、シングルサークルで手を繋ぎ、その手を高く挙げて踊ります。
 人間の塔にしろ、このサルダーナにしろ、多くの人が参加しやり遂げ、作り上げる。こうして、民族の団結をつくることになるのでしょう。 

9)メガホンを持った人が、踊る人たちに声をかけていま。右から工事の馬が来ているので、注意をしているのでしょう。そして、この手を挙げているのが、人間の塔のトップやコロンブス像のまねをしているようにも見えます。

10)工事の馬を引いている人に、踊っている人がいるんだからお止めようとしている人がいます。その内の一人は、踊りを指さして懸命に止めています。この姿も、人間の当夜コロンブス像のまねにも見えます。
11)工事の馬の先頭は、コロンブスの塔に遮られて、とてつもなく胴長の馬になっています。だまし絵ですね。
12)馬のひっぱりを助けるように、クレーンの塔の分部に沿ってロープを引っ張っている人たちがいます。いくら何でも、これはできません。だまし絵です。
13)クレーンをつるのに引いているロープを滑車で、水平方向に変えていますが、このままだと、力がかかると留めてある滑車が抜けてしまいます。
14)クレーンでつった、教会の塔の先を今にも載せることができそうです。作業員の人たちも手を添えていますが、これも高さと位置関係を無視しただまし絵です。

15)頭だけ見えている巨大な教会はバルセロナのサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)聖堂(聖家族贖罪聖堂)です、
 フランシスコ・ビリャールが無償で設計を引き受け、 1882年着工したものの対立があったようで翌年には若干31歳のガウディに引き継がれます。ところが1926に未完のままなくなります。なんと、設計図がないそうで、模型をもとに建設していたのに、スペイン内戦で、その模型もなくなってしまったそうで、弟子の記憶に頼って建設を続行中です。完成予定は2026年だそうです。建設中ですが、この建物も世界遺産です。
16)巨大積み木遊びをしている子どもたちがいます。 ザグラダ・ファミリアの建設をまねしているのですかね。
それにしても、こんな巨大な積み木をどうやって積み上げたのでしょう。倒れそうな積み木を支えている女の子がいます。でも、この子のいる位置から考えると、実際には別の所にいます。だまし絵です。
18)チェロを弾いている像があります。深い精神性を感じさせる演奏において20世紀最大のチェリスト、パブロ・カザルス(Pau Casals)の像です。像の上には小鳥が舞っています。
安野さんの「カタロニア カザルスの海へ」にモンセラート修道院のそばにある銅像の写真と記述がされているそうです。
19)像の下には、くつろいでいる人たちがいます。積み木を眺めているようです。
20)幌馬車の所に、荷物を抱えた女性がいます。

21)像の下では、ペタンクを楽しんでいる人がいます。小さなタマは、ビュットと呼ばれる的になるものです。正式な競技場もありますが、このように町中でも簡単に楽しむことができて、十分に面白い遊びです。
日本ペタンク協会HP
23)町並みの向こう側では、自転車のロードレースが行われています。通常一団となって走っていますが、ゴール前ではスプリントをかけて、離れます。この位置で、これくらい差があると、ほぼ決まりですね。あるいは、2位の人が最期の最期で逆転するかも。
 スペインといえば、「ヴェルタ・ア・エスパーニャVuelta a Espana」が世界的に有名で、3週間もかけてスペイン中を走るレースです。ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリアとならんでグラン・ツールと呼ばれています。
 しかし、ここはバルセロナです。バルセロナのロードレースといえば・・・カタルーニャ一周(Volta Ciclista a Catalunya)でしょう。5月ごろ1週間かけて行われます。ジロ・デ・イタリアと日程が重なるのですが、厳しい山岳部もあり世界的に注目されるレースです。ゴールは、州都バルセロナです。

 私が若いときには、自転車レース(といっても草レースですが)をやっていました。普通の人から見ると、パワーもスピードも持久力もあったと思いますが・・・本格的にレースやっている人は、桁違いに強くて草レースでも圧倒されていました。ちなみに、上記3大レースに出場でできる日本人は、日本のレースでは優勝が当たり前のような人。それでも、市川 雅敏選手が1990年に、ジロ・デ・イタリアで総合50位に入ったのが日本人最高位です。それほど、ロードレースでの日本の力量はまだまだです。
 自転車のロードレースは個人戦ですが、実質的にはチーム戦です。スター選手の優勝のために他の選手はアシストにまわることになります。ですから、大きな大会は、それぞれのチームのスターでないと勝つことは不可能です。(個人レースのようですがチーム戦の面が強いので、スター選手を勝たせるために他のメンバーはサポートしますから、中心選手以外の勝利はまずないのです・・・・ただし、その日その日のステージ優勝はチャンスがあれば可能です)。
28)ゴールでは、机を出して待っている人たちがいます。ゴールの横断幕は、スペインの国旗ぽいですね。

29)建物の壁にANTONI TAPIESと書かれています。バルセロナ生まれの画家、アントニ・タピエス(Antoni Tapies)のことです。立てかけられている絵は「赤と黒」という作品です。「Tapies: The Complete Works : 1976-1981」という本の表紙でも使われています
 右側の大作は、作品名がわかりませんが、タピエスの絵には十字がよく書かれています。そして、背後の壁にも十字が書き込まれています。

30)絵の横を向こうに向いて歩いている男性がいます。
31)上にまどがありますが、この窓がタピエスの「群青のコンポジション」の絵となんだか雰囲気が似ていると思うのですが。
32)建物の奥に人影が見えます。黒い背景に足下だけ見えているのですが、このような描き方は安野さん・・・他ではしていませんよね。
ということは、何か特別な意味がありそうですね。こんな感じの作品があるとか???
36)人間の塔の左側に建っている家の、左の軒下に何かぶら下がっています。何でしょう??

シーン4フォルス・バスク(p7〜8)
0)旅人は  ペイン北部ピレネー山脈のふもとバスク地方にやってきました。バスク地方にやってきました。城はナバラ州、パンプローナの南東、ザビエル村にあります。フランシスコ・ザビエルFrancisco de Gassu y Javierの生まれた、ザビエル城(Castillo de Javier)です。ザビエルはこの城の末っ子として生まれました。ザビエルは、日本語がバスク語に似てると報告しているそうで、バスク人は日本人に親近感を持っているとか。

1)ザビエル城の屋上では、黒い衣装の人たちが、飲み物を飲んでいるようです。何をしているのでしょう。不明ですが、フランシスコ・ザビエル関係でしょうか
 テーブルが、オレンジと黄色の縞模様です。もう、カタルーニャ地方ではないので、スペイン国旗のイメージでしょう。ちなみに、右の写真はザビエル城内部です。この部屋の様子を、城の屋上に再現してあるように見えます。

2)力比べが行われています。バスク地方独特の力比べ競技、フォルス・バスク(Force basque)のようです。丸い石を抱いているのは石のリフティング、時間内に何度肩まで持ち上げられるかを競っているようです。
丸太切りとリフティングの様子の動画です

6)テントの下には、別の競技用の石が用意してあります。
この石を使うパターンの動画です

10)丸太を二人がかりで、2チームが切っています。アイスコラリ(aizkolari)という競技です。


12)丸太を斧で切り倒そうとしています。Aizkolariakという競技です。

13)綱引き(Soka tira)をしています。お城に掲げられている旗が、中間の印のように描かれています。実際に、城には旗か掲げらえているようです。
旗が真ん中とすると、右側の青のズボンのチームが優勢のようです。
綱引き(Soka tira)の動画映像です
http://euskaltube.com/play.php?vid=594
15)川の向こうでは、たくさんの人が見物・応援しています。なぜ、川の向こうなんでしょう。

30)少しもったりした雰囲気の馬が一頭草を食べています。バスク地方に産するポニーの品種ポトック(pottoka)でしょう。ポトックの名はバスク語で「小さい馬」を意味する語に由来しています。
32)洗濯物の右側の所に、何かが群がっています?何でしょう??ハチ???


旅人は、独立意識の強いカタルーニャ地方を出たと思ったら、これまた独立意識の強いバスク地方にやってきました。スペインはフランコの独裁時代に、地方の独立性を押さえ込む政策を採っていましたが、そのことが逆に、それぞれの地方の独立意識を強めたのかもしれません。
スペインも、広くて気候も人柄も言葉も多様なようです。

シーン5牛追い祭り(p9〜10)
0)旅人は 「牛追い祭り」をしている所にやってきました。この祭りは闘牛場の有るところで、それぞれの規模で行われているそうですからどこでしょう。表紙にもえがかれていましたが、トレドにも闘牛場が有るのでやっているのかも知れません。
スペイン三大祭りの一つとして世界的に有名なのは、ナバラ州の州都パンプローナ(Pamplona)のサン・フェルミン祭(Festa de San Fermin)りでの牛追い(エンシエロ)です。サン・フェルミン祭は、毎年パンプローナの守護聖人サン・フェルミンの記念日である7月7日を中心に7月6日の前夜祭に始まって14日の9日間の盛大なお祭りで、連日牛追い(エンシエロ)が行われるのです。
 元々は、闘牛の行われる日に、牛を闘牛場に「追い込む」ために行われていたのですが、スペインにも「勇気」を見せたい男がいて、それをかっこいいと思う女がいるのでしょう、追われる牛の前を走って勇気を示してやろうということになったようなのです。
 ですから、名前とは裏腹に、牛に追われています。でも、この命がけで逃げるスリルがたまらないらしいのでしょう。

San Fermin ( スペイン ・ 牛追い祭り ) のHPへ
1)黄色の花が広がっています。ひまわりの花だと思います。スペインのひまわり畑は延々と広がる美しさです。

2)黄色の絨毯のようですが、一輪だけしっかり書き込まれたひまわりがあります。旅人の背後のひまわり畑の右端の木の上あたりです。
6)屋根の下に、スズメバチの巣が作られていて、ハチが飛んでいます。前のシーンでもハチの群がいましたが。スペインとハチは何か関係が有るのでしょうか。
8)右端、女の人が両手を揚げて応援しているのかと思ったら、牛のいる通りに子どもがいます。よくわからずにのこのこ出てきてしまったようです。それにあわてているのです。男の人が2人が救出に駆けつけています。右側の人は白いシャツに赤いネッカチーフをしています。この服装が、牛追いでの正装です。
17)通りをはさんで左の屋根の上での観戦者が4人・・・赤いネッカチーフをした人がいますけれど、戦線離脱?
22)郵便屋さんが手紙を持って歩いています。安野さんは、良く郵便屋さんを書き込みますが、この状況でも配達続行とは・・・まあ、祭りの間は午前中毎日牛追いがあるのだから仕方ないのか。
スペイン編ではとりわけたくさん登場します。

23)噴水のようなところに十字架を載せた小さな塔が立っています。これは何でしょぅ?日本で言えば、道祖神のようなものではないかと思います。
パンプローナは、世界遺産にもなっているサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の通り道です。巡礼路の各地には、巡礼者の十字架Pilgrim crossが立っています。写真はパンプローナにある巡礼者の十字架です。
34)先頭を白シャツを着ていないものの、赤いネッカチーフをした3人が走っています。一緒に犬が走っています
36)救護所が有ります。医者や白衣の看護婦さんがいます。
まあ、けが人の発生は当たり前、死人すら珍しくない牛追い祭りですから。
38)本当にけがをして担架で運ばれている人がいます。
41)馬に乗った人が、白鳥と一緒に大慌てで逃げています。足下には、犬も走っています。一応、右の牛の突進から逃げている形にしては有ると思いますが、きっと何か元ネタがあると思われるのですが・・・不明です。ご存じの方、ご連絡ください。
44)4人で馬跳びをしているこどもたちがいます。ブリューゲルの『子供の遊戯』にも同じような遊びをしているこどもたちがいます。

46)左上 大きな牛のシルエットが見えます。そもそもは、OSBORNE社の看板だったのが、いつしか国を代表するシンボルの一つ「Osborneの雄牛」となったのです。

このシーンの牛追い祭りが、サン・フェルミン祭だとすると、アメリカの小説家アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ(Ernest Miller Hemingwayが、魅入られ毎年のようにやってきています。そして、その体験を基に書かれたのが『日はまた昇る』"The Sun Also Rises",です。イギリスでは ”Fiesta”(「祝祭」)という題で出版されたとか。祭りの描写が素晴らしい。
 そして、主人公のアメリカ人新聞記者ジェイクは、第一次世界大戦に従軍し負傷します。そして、看護婦をしていたブレッドに出会っています。安野さんはそのことを、救護所や看護婦さんで暗示したのではないかと思います。


シーン6結婚式(p11〜12)
0)旅人は 村の教会で行われている結婚式の場面にやってきた。結婚式を後に、次にシーンへ向かっています。
 こぢんまりとした村の風景になじんでいる教会です。スペインのどこかにこんな優しい教会が有るのでしょう。スペインに写真のような村を見つけました。
1)教会の前に並んで立つ新郎新婦、前には神父さんが立っています。
3)白のドレスの女性と黒の礼服の男性は、新郎の両親でしょうか。
4)隣は、親戚の人たち、赤の水玉の女性は、アメリカ編の結婚式にもいたようですが、親戚の娘かな?新婦の友人かな
5)反対側の、ヒゲの男性とエンジのドレスの女性が新婦の両親でしょうか
6)隣の男性の人たちは親戚の人たちでしょうか、友人でしょうか

7)新婚旅行用の馬車が待機しています。おきまりの、空き缶もしっかり取り付けられています。このあと、直ちに出発するのでしょうか?披露宴の準備ができているようなので、それがすんでからだとすると、だいぶ待たなければならないと思います
9)建物の陰で、泣いている女性とそれを慰めている女性がいます。新郎の事が好きで・・・失恋したのではないかと思います。
10)泣いている二人を、別の物陰から見ている子どもがいます。あからさまに見てはいけない雰囲気を感じているのでしょうね。
11)子どもの後ろに、3つの木箱が並んでいて虫が飛んでいます。ミツバチの巣箱でしょう。前にシーンにはスズメバチの巣が有りましたし、その前のシーンにも、奥の壁の所にハチのような物が飛んでいましたが。スペインとハチの関係はなにかあるのでしょうか??
12)2人の結婚を祝うためでしょう、ラッパを吹く男の後を竹馬にのった3人の男が続きます。大道芸人でしょうか
14)竹馬を無視するように、別の方向を指さしている子どもがいます
15)指さす先には、披露宴用のお酒を隠れて飲んでいる二人がいます。
ちょっとの間が待てないんですね。というか、隠れて飲むのが楽しいのかな。
16)ウエディングケーキが用意してあります。
19)竹馬の左の屋根の上には、コウノトリが巣を作っています。子宝に恵まれるようにとの願いから、このシーンに描かれたのでしょう。表紙でも、受胎告知の近くにコウノトリの巣が描かれていました。
ヨーロッパの街には、コウノトリがよくいるようです。

20)離れていますが・・・右上角 袋を抱えたコウノトリが飛んでいます。・・・ということは、「できちゃった婚??」だとでもいうのでしょうか。・・・にしては、新婦の体型はスマートですから、ハネムーンベビーということでしょう。
22)犬が幌馬車の人たちを見つめています。
左の絵は、ピカソの絵です。なんだか似ています。
23)幌馬車の人々は、ロマ人(通常ジプシーと呼ばれますが、これは蔑称とされています。また、スペインではヒターノと呼ばれています)のようです。移動することを常とするロマ人は、差別を受けてきた存在ですが、スペインの文化に大きな影響を与えている人々でも有ります。
 なお、彼らがスペインにやってきたのは15世紀中頃、レコンキスタの終盤であったようです。次の次のシーンでは、レコンキスタの最終盤が描かれているので、その少し前に描かれたのでしょうか。
26)バケツで水を運んでいる女性は、右の方を振り返るように見ています。マキを運んでいる人の隣の女性に話しかけているのでしょうか、柵ごしに見ている犬が気にかかるのでしょうか、竹馬の芸人達が気になるのでしょうか、執り行われている結婚式が気になるのでしょうか。
29)手前の木は、随分曲がりくねった枝振りです。隠し絵が有るようです。馬でしょうか?
30)ロバと犬と猫とニワトリが相談をしています。ブレーメンの音楽隊のメンバーです。
第1巻の中欧編のp36にも出てきました。といっても、ここはスペインです・・・。やっつける泥棒が見あたりませんが。ロマ人は、泥棒集団であるとの偏見があるので、そのことを暗示しているのでしょうか。すると、このあとで、ロマ人を脅すことになるのでしょうか・・・それだと、偏見にのっかっていて安野さんらしく有りませんが。

31)鍛冶屋さんがあります。なんだか、古風な扮装です。これは、ベラスケスの絵の「ウルカヌスの鍛冶場」からです。
http://www.salvastyle.com/menu_baroque/velazquez_fragua.html(解説です)

鍛冶屋の一番右側に描かれている人、安野さんは何をしているか描いていませんが、ベラスケスの絵では、甲冑を加工しています。
 甲冑が必要な人・スペインとくればドンキホーテが思い浮かびます。もっとも、ドン・キホーテの着用する甲冑は、曾おじいさんの甲冑を自分で磨いて使用しています。
とすると、この人はドン・キホーテのおじいさんを意味するのでしょうか。あるいは、騎士として旅に出る用意をしているドン・キホーテそのものなのかも知れません。騎士物語にのめり込んで、現実と物語の世界が区別がなくなってしまうドン・キホーテと、アポロンが現れてびっくりしているこの絵とは、相性が良いかも知れません。

鍛冶屋の煙突からは、煙が上がっています。
記憶が正しければ・・・これまでたくさんの煙突が描かれてきましたが、煙が上がっている煙突はこれが初めてのように思います。
それに、少々変わった形ですね。

さて、あらためてこのシーン全体を見てみると・・・

32)旅人の手前の畑の形が、わざとらしいですね。何となくスペインのあるイベリア半島の形に似ているようにも思えます。あるいは、西ヨーロッパの形の方が近いかも知れません。
33)幌馬車の向こう側の畑の形も、なんだかわざとらしいです。
アメリカ合衆国という説があります。アメリカ編の、セントラルパークでは、もっとはっきりと合衆国といえる形が有りましたから、考え過ぎかも。
 そこで、さらに考えてみると・・・レコンキスタの最中の右の地図を見ていると・・。イベリア半島のうち、グラナダ王国(イスラム国)の部分を隠すと、この畑の形に近いかも。とすると、キリスト教勢力の再征服状況をあらわしていることになります。

34)旅人の上の方に、とても小さな家があります。とても人が入れそうな大きさではありません。これはいったい何なんでしょう。30)のブレーメンのご一行のすみかになるとか・・・ あるいは、家畜用の小屋としてこのような小屋があるのかも。
35)小屋の裏の畑の形も、何か有りそうです。朝鮮半島の形
 これも、カスティリャ(地図の桃色で囲まれた部分)の地図かも知れません。
 あるいは、ポルトガル(地図の青で囲まれた部分)の地図でしょうか。

36)宴会を準備している人たちの手前の木組みの家の屋根の左側が、少々不自然に切り取られているように思います。
37)教会の向こうには、墓地が有ります。墓地の周りには糸杉があります。スペインでは糸杉はお墓に良くある木のようです。
ちなみに、墓石が傾いているように見えますが・・・?

シーン7風車(p13〜14)

0)旅人は 特徴的な風車が並ぶ所にやってきました。マドリードの南、ラ・マンチャ地方です。
ラ・マンチャといえば、ラ・マンチャの男です。スペインの作家であるミゲル・デ・セルバンテス (Miguel de Cervantes )の小説、『ドン・キホーテ(Don Quijote de la Mancha)』の主人公の出身地とされた地方です。イメージとしては、当時・・・とても田舎だったようですが。

 ちなみに、「ラ・マンチャ」とはアラビア語で「乾いた大地」と言う意味だそうです。その名の通り、雨が少なく赤茶けた大地で、乾燥に強いぶどうやオリーブが栽培されている平原です。

ミュージカル『ラ・マンチャの男』でサンチョ役を演じる佐 藤 輝さんのHP
「サンチョの『ドン・キホーテ』ガイド」がとても参考になります。現地ラ・マンチャの人々との交流や、しかりと視点を持った写真等を見ることができます。

1)風車はラ・マンチャにある風車群の一つです。カンポ・デ・クリプターナCampo de Criptanaという村の風車がモデルとされています。ドン・キホーテが書かれた当時は数十基の風車が有ったのですが、いまでは10基ほどが保存されているようです。
 風車の屋根になっている三角帽子の部分、風車と共に360度回転できる用になっているのだそうです。それなら風向きにかかわらず仕事ができますね。たぶん、風車の反対側にのびているつっかい棒のようなもので回転させるのでしょう。
2)風車に突撃しているのは、ドン・キホーテです。風車は幻術によって、巨人が姿を変えて見えていると信じて、手柄を立てるべく突撃を敢行します。またがるやせ馬は、名馬のつもりのロシナンテ。
 ちなみに、ドン・キホーテの本名はアロンソ・キハーナですが、そのままでは騎士らしくないと、自ら改名します。ドンは郷士より上位の貴族の名に付く敬称です。そして、キホーテは甲冑のまたあてだそうです。まあ、騎士らしくと気張って名前をつけたわけです。
3)従者ながら、常識を持つサンチョ・パンサが、あれは巨人なんかではないと懸命(賢明)に止めています。
ちなみにサンチョ・パンサのパンサpanzaとは「ふくらんだ腹、たいこ腹」の意味だそうです。なかなかわかりやすい命名法ですね。
サンチョの乗るロバもあきれて逃げ出しています。
 右の絵は、ギュスターブ・ドレによる挿絵です。 勇敢にも槍を突き刺したものの、回転する風車にロシナンテもろとも投げ飛ばされてしまいます。安野さんは、こうなる直前の様子を描かれています。

5)p13左上 女性がひざまずく男性の肩に剣を置いています。騎士になるための、帯甲式を行っているようです。当然、ドン・キホーテだと思われます。ただ、物語では、宿屋の主人を城主だと思いこみ、宿屋の主人はおもしろがって式を執り行います。
 安野さんの絵では女性が行っています。少し変えて、思い姫ドゥルシネーア・デル・トボーソへによる帯甲式にしたのではないでしょうか。

 城とかってに思いこんだ宿屋の所在地は、プエルト・ラピセ(Puerto Lapice)であるとされているようです。人口1,300人の小さな村だそうです。ドン・キホーテが騎士の称号を受ける儀式を行った旅籠屋がこの街にあるベンタ・デル・キホーテ(ドン・キホーテ亭)です。セルバンテスは、この旅籠に何度も泊まったことがある、と伝えられています
左の絵は、ギュスターブ・ドレによる挿絵(この絵では、肩ではなく頭に剣をかざしていますが、本文で肩でも頭でもとありますから・・・)

6)鍛冶屋があります。前のシーンからの続きで、やはりドン・キホーテのつける甲冑の暗示だと思います。
 やっとこの上で鉄をたたこうとしている人がいます。女性は何をしているのでしょう。
7)つるべ式の井戸があります。ドン・キホーテが帯甲の式を行った宿屋(旅籠)にも井戸がありました。現在、ドン・キホーテを売り物にしてレストランが経営されていますが、そこにもドン・キホーテの像とともに井戸が再現されています。そのことを意識しているのだと思います。
8)右端 風車の一つが、中の仕組みがが透けて見えるように描かれています。
 カンポ・デ・クリプターナに現存する10基ほどの風車の中で一つは、中の仕組みを見学できるそうです。
9)風車の外では、風車に使う歯車?を作っているひとと、風車に使う石臼を刻んでいる人がいます。石臼の溝は、車輪状ではなく、斜めに刻まれています。さすが物作りに詳しい安野さんです。几帳面です。
10)風車の周りで、風車(かざぐるま)を持って遊んでいる子どもたちがいます。向こうの2人は和風?の風ぐるです。手前の走っている2人は、形が日本のものと違うようですが、ブリューゲルの子どもの遊技にも出てくるタイプの風ぐるまです。女性の足下の黒いものは何でしょうか?
13)中央 乾燥地帯らしく、サボテンがあります。実際にこの地方にはサボテンが生えています。
 この地方は、マカロニウエスタンの撮影にも利用されたとか。

14)乾燥に強いオリーブ畑が広がっています。実際ラ・マンチャには、見渡す限り山の上までオリーブ畑が広がっているのだそうです。オリーブの木は地中深く根を張っていて、2〜3ヶ月雨が降らなくても青々と茂ります。スペインは、イタリアを抜いて世界一のオリーブ生産国です。
15)p14の中央 オリーブの収穫する方法はいろいろです。ここでは、敷物を敷いておいて、棒でたたいて落としています。ちなみに、オリーブオイルをとるためには、充分に成熟させて緑色から黒っぽく色が変わったところで収穫するのだそうです。一帯のオリーブは全部収穫時期になっているようです。
20)p14下 棒状に立っている作物は何でしょうか?これも乾燥に強いブドウでしょうか
22)オリーブの木の下で4人の人がお昼寝中です。日差しの強いスペインでは、お昼寝は快適です。ビンやカメに入れた飲み物も用意してあります。スペインでは、酷暑の昼間に休みを取るシェスタの習慣があります。もっとも、都会ではこの習慣もなくなりつつあるそうですが。
 女性の足下に犬がいます。この犬、前のシーンのブレーメンの音楽隊の犬だと思います。ここスペインでは、人と一緒にのんびりできるようです。
23)牛が4頭います。闘牛用の牛を飼っているのでしょう。
25)p13の下 犬がいます。前のシーンでロマ人を見ていたピカソの犬のようです。
26)ベンチのようなものは、牛に水(餌)を与えるためのものでしょう
27)鶏が5羽遊んでいます。鶏小屋もちゃんとあります。このうちの1羽は、ブレーメンの音楽隊の鶏だと思います。こちらも、楽しくやっているようです。
30)放牧場は石垣で囲まれていますが、入り口のところが黒くなっていて7本棒が渡してあります。これはいったい何でしょうか??
 全くの想像ですが、穴を掘ってあって、そこに細い棒を渡してあるのではないかと・・・これだと扉がなくても牛は外へ出ることができず、人間は出入りできるようにしてあるのではないかと思うのですが。
31)赤い旗を持った人がいます。その周りの鞄を持ったりしている人は、団体の観光客というところでしょう。
33)ロバが一頭います。鞍ももつけていないし、紐のないようです。ブレーメンの音楽隊のロバでしょうか?あるいは「プラテーロとわたし」のプラテーロでしょうか。
36)路地の中を郵便配達をしている人がいます。2度目です。
38)石垣に囲まれた庭に、つながれるでもなくロバがいます。こちらがブレーメンの音楽隊のロバかも知れません。
39)高札のようなものがありますが、マリア像のようにも見えます。日本でいえば、お地蔵様風の存在でしょうか。
40)石垣の上をネコが歩いています。
 ブレーメンの音楽隊のネコのようです。ネコもここでは、のんびり生きてゆくことができるようです。
42)洗濯物の向こうの赤い木の実はなんでしょう??リンゴが育ちそうな環境ではないのですが。
43)隠し絵があります。16)のしゃがんでオリーブの実を集めている女性の右側のオリーブの木の中に、裸の女性がいます。ヴィーナス?オリーブだけにアテネとか?
44)女性のさらに右、とてもわかりにくいですが、狐の顔があります。本を逆さまに見たら見えてきます。
45)右から2頭目の牛の上のオリーブの木の中に、ウサギがいます。まるで、鳥獣戯画の中に描かれているようなウサギです。
 他にも、隠れているかも知れません。

このシーン全体に何頭ものロバが描かれています。サンチョのロバ、12)の2頭のロバ、19)のオリーブを載せているロバ、33)の観光客に囲まれたロバ、38)の石垣に囲まれた庭のロバ、以上6頭です。
 スペイン編全体で、あちこちにロバが出てきます。それは、表紙でも指摘した、ようにスペインには「プラテーロとわたし」があるからでしょうか。

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シーン8アルハンブラ宮殿(p15〜16)

0)旅人は スペインの最南端アンダルシア地方のグラナダにやってきました。かって北アフリカからイスラム教徒(ムーア人)がやってきて、イベリア半島はイスラム帝国が建国されます。スペインはイスラム文化の宝庫でもあります。その究極の形が、グラナダのアルハンブラ宮殿であると思います。
「アルハンブラの思い出」というギターの名曲のトレモロは、ヘネラリフェの水音を表現したものだそうです。

I)左中 馬に乗った人たちが向かい合っています。グラナダの無血開城の様子です。
 キリスト教徒は8世紀になってレコンキスタ(国土回復運動・再征服運動)を始めます。これは、1492年レコンキスタの最終局面、最後まで残ったグラナダ王国が、キリスト教軍に包囲されて、ついに降伏。左がムスリム側で、ムハンマド12世(ボアブディル王)が町の鍵を持っています。右側がイザベラ女王とフェルナンド王です。鍵を受け渡して無血開城となりったわけです。
 ちなみに、当時のスペインは連合王国です。1469年、アラゴン王太子フェルナンドとカスティリャ王女イサベルが結婚することで両国の絆を強めます。そして、1474年にイサベルが(異母兄の死を契機に)カスティーリャ女王に即位し1479年にフェルナンドが(父王の死にともない)アラゴン王に即位することで正式にスペイン王国の誕生となります。しかし、それぞれはそれぞれの国の女王であり王である事は続いているわけです。カトリック両王という表現をします。こうして、キリスト教徒側の対立を解消して、レコンキスタに邁進し1492年1月6日この日を迎えたわけです。
2)右下 アラブ風の一行がいます。グラナダ王国最後の王となったムハンマド12世は、陥落から2年後の1494年スペインを退去させられ、モロッコへ亡命しています。その様子でしょう。王はこのとき、アルハンブラ宮殿を見ながら涙したということです。
3)去ってゆく一行を木の上に隠れて見ている少年(?)がいます。何か物語がありそうですが・・・。これが何をあらわすのか分かりません。
4)谷にドン・キホーテとサンチョがいます。これは、「ラ・シェルラ・モレーナの山中で騎士が行った苦行の章」から・・・失恋によって狂人となったカルデーニオの魂を救おうとして、失恋の騎士ドン・ロルダンにならって、・・・やけくそで大暴れし、正気を失って立木を根こそぎにし、清い泉の水を濁し・・・に見習って同じようにしようとしているいるドン・キホーテ一行です。
ドン・キホーテの物語の中でこの場面の舞台は、ラマンチャとアンダルシアの境になる大山塊で、ラ・シェルラ・モレーナの山です。

5)根こそぎにされた、木を斧で処理している男たちがいます。
6)犬がいます。ロマ人を見つめ、闘牛を見つめていたピカソの犬ですが、今度は何を見つめているのでしょうか?

7)馬に横座りをして馬に乗っている女性が2人と荷物を担いだ男性が歩いています。
 服装からして、ムスリムの関係者ではなさそうです。すると、ドン・キホーテの関係でしょうか。狂人となって山で生活しているドン・キホーテを故郷へ連れ帰るべく、女装して山に向かっている和尚さんではないかと・・・。あるいはカルデーニオの恋人
8)宮殿の中の塔にハシゴをかけて棒を持っている人がいます。掃除でしょうか。
9)ハシゴの下の職人?さんは、立っているところがおかしいです。姿勢からして、ハシゴの上ではないと思いますが、ハシゴに乗っていないのなら・・・空中に浮いていることいなります。
10)塔の上に男女2人がいます。デートでしょうか。女の人はずいぶんくつろいだ雰囲気です。くつろいでいるのでなく、8)の人が空中に浮いている野を見てびっくりして腰を抜かしているのかも知れません。11)塔の下には、城外から続く坂道と、門があるようです。正門にしては小さいのですが、実際にアルハンブラ宮殿には、このような入り口があるのでしょうか。規模が違いますが・・裁きの門であろうと思われます。

13)宮殿の中には噴水があります。ライオンの中庭でしょう。ここに有る噴水には、ライオンの像が刻んであるのですが、随分とのっぺりとしたライオンです。

14)ドン・キホーテが越えようとしている谷の反対側の森の中にオオカミが2匹います。
これは隠し絵でしょうか?私が読んだドン・キホーテの中にはオオカミは出てきませんでしたが・・・・。本来ずいぶん長編の小説で、完訳本が私の手元にないので確認ができていません。



シーン9ヌエボ橋(p17〜18)

0)旅人は 断崖絶壁を橋で結んでいる、アンダルシア地方のロンダ市にやってきました。橋の名は、ヌエボ橋Puente Nuevo。
18世紀に煉瓦(石?)を積んで作られています。その高さ100m、橋の上から見ると圧倒的な高度感が楽しめるそうです。
 画面右側が南になって旧市街です。左側が北になって新市街です。橋がつないでいるのですが・・・200年以上も前にできた橋の名前がNuevo(新しい)というのが逆に歴史を感じます。
当然旧橋(Puente Viejo)が有ります。こちらは随分小さめな橋ですが、新市街と旧市街を繋ぐ橋です。そして、さらに古い橋があって、アラブ橋 (Puente Arabe)といいます。旧橋の隣りに寄り添うように架かっています。

円形の建物は、スペイン最古の闘牛場です。
 ちなみに、画面手前側は、田園地帯で夜は漆黒の闇に包まれる桃源郷だとか。

1)左上 中庭に古風な服を着た人たちがいます。
 安野さん左の絵をアレンジされたのだと思います。コロンブスが、サラマンカで王立委員会に彼の提案を述べているところです。左中央で、右手を挙げているのがコロンブスです。コロンブスの塔と同じで、新大陸を指さしているのでしょう。
右端で椅子に座っているのはイザベラ女王で、女王に説明しているときの情景ではないかとの説もあります。これはこれで魅力的です。コロンブスは1486年に西回りでインドを目指す航路発見のための援助を頼みますが、レコンキスタの最終版で、グラナダ王国との戦闘に本気で、取り合ってもらえません。ところが、1492年にグラナダが陥落(1月)すると、取り合ってもらえるようになります。航海前の最後の謁見はアルハンブラ宮殿の大使の間だったようです。前のシーンでグラナダが陥落しているので、この「中庭の左側は、アルハンブラに続いているよ」と、暗に示しているのではないかと思われます。
 このときの謁見の様子をあらわす像が、グラナダのカテドラル近くにあるイサベル・ラ・カトリカ広場にあります。

2)馬車に、たすきをして手を挙げている人とメガホンを持って呼びかけている人がいます。
 選挙でしょうか? 1)のコロンブスのように手を挙げていることから、コロンブスが航海の資金を募っているのか、航海に参加する船乗りを募集しているのではないかとの魅力的な説があります。
 ちなみに、イザベラ女王は援助を約束したものの、戦争直後で資金的余裕がなく、個人資産を出した(宝石を提供した?)のだそうです。
5)国旗柄の馬車が止まって、トランクを積み込もうとしています。
 実際のこの位置にホテルがあるので、これはお客さんの荷物ということでしょう。
 スペイン各地には、歴史的な建造物を改装した国営の宿泊施設であるパラドールがあります。このホテルは、1761年に建造された旧市庁舎を改装したパラドールです。窓からは、100mの深さのあるタホ渓谷やヌエボ橋を間近に見ることができるとか。夜になるとヌエボ橋がライトアップされて、それは美しい眺めだとのことです。そして、反対側(西側になります)は、漆黒の闇。その対比が、またすごいのだそうです。
7)展望台には、5人の人が谷底をのぞき込んでいます。
お母さんは子どもを抱えて、手すりの上に立たせています。あまりにも危ないので、周囲の人もこの親子を見ています。
8)展望台からロープを垂らして、懸垂下降をしている人がいます。
ロープの摩擦で、下降スピードをコントロールできる下降器を使っているのだと思います。左手の操作でそれを行っています。この場合、左手から下のロープは上のロープと直線的にならないはずで、安野さんはしっかりずらしておられます。さすがです。
11)立ってみている人とのぞき込んでいる人がいます。緑色の服の人は、ちょっとのりだしすぎで、危ないですね。何か落としたのかな。

13)袖が紫色の女性は、乳母車を押しているようです。
14)男女2人をのせた馬車がゆきます。シーン6の結婚式の新郎新婦の新婚旅行でロダンにきたようです。
16)呼ばれている女の子と、キックボードの男の子が駆けつけています。
17)RESUTAURATと書かれた建物あたりは、旧市街となりますが、写真の様子とよく似ています。

18)去ってゆく旅人を、指さして子どもたちがいます。男の子は何か白い四角の物を持っています。旅人にサインをしてもらおうと色紙を用意して、呼びかけているのだとか・・・・
19)建物の向こう側 馬のお尻と男の人がいます。建物には大きな蹄鉄が飾ってあるので、馬関係の仕事なんでしょう。
この建物少々変です。まず、明らかに向こう側に傾いています。それに向こう側は断崖絶壁のはずです。空中に張り出して建っているのか・・・???安野さんあり得ない建て方にわざとしたようです。

20)崖の向こう 新市街ではフラメンコを踊っている人たちがいます。
 フラメンコは、アンダルシア地方の文化にロマ人(ジプシー)の文化が加わって発展、継承されてきた音楽と踊りです。15世紀レコンキスタの最終盤にイスラム文化の有るアンダルシヤにのロマ人が移住してきて、相互に影響を受けます。まず、まるで演歌のように魂に訴える趣の歌謡のカンテ・フラメンコcante f.が作り出されます。フラメンコは詩であり音楽なのです。そのリズムは、3拍子と拍子の組み合わさった12拍子という変則。騎馬民族の3拍子と農耕民族の2拍子のミックスです。この歌とリズムで舞踊のバイレ・フラメンコbaile f.がおどられるようになります。そして19世紀にギター・ソロのトケtoqueが.がついて、現在の形になったそうです。
 この演歌の様なセンスと2拍子が含まれるというのが、日本人にフラメンコが受け入れられる理由ではないかと・・・(なんとスペインに次ぐフラメンコ人口なんだそうです)
 歌(カンテ)も踊り(バイレ)も即興で演じられるとか。それぞれの思いがあふれてくるのです。
21)片手をあげたオレンジの服の女の人と対で踊っている男性が腰を下げて彼女を称えるようなポーズです。踊りはこの二人が主役のようです。
22)ビール腹の男の人は、踊りを楽しんでいるなあ。靴音(サパテアード)と、手拍子(パルマ)と、掛け声(ハレオ)で盛り上げているようです。隣の女の人は、両手を高く揚げて、カスタネットでリズムを刻んでいます。利き手には高音が出るもの、逆手には低音がでるものをつけるそうです。
23)スカート持ち上げて靴音(サパテアード)で盛り上げている女性もいます。
24)赤の水玉の女性と隣の白の女性は、歌(カンテ)担当でしょうか。手拍子しながら歌っているのかな。
25)伴奏は、もちろんフラメンコギター。ソロではなく4本のギターの合奏ですね。ギターはスペインの国楽器だそうです。間に立っているおじいさんが歌手かも。
26)右側の観客は、椅子に座って「行儀良く」聞いています。リズムが複雑で、下手にすると邪魔してしまうから、基本的には素人の観客は手拍子は打たない方が良いそうです。ただし、掛け声はOKのようです。
30)テントの向こう側には、紅白ならぬオレンジと黄色の国旗柄の幕が張り巡らしてあります。幕を引っ張るように下に吊してある、丸い物は何でしょう?単におもりでしょうか??上の写真のテントにも、なんだか丸い物がぶらさがっていますが・・・。
31)フラメンコの喧噪を離れて、路地にを崖の方にきている男性がいます。見ると、塀の無いところがあります。子どもが遊んでいたら、危ないように思いますが。

シーン10白い家(p19〜20)

0)旅人は アンダルシア地方に点在するカサ・デ・ブランカ、白い家の村が描かれています。
 スペイン語で、白はBlanca(ブランカ)家はCasa(カーサ)=カサ・ブランカという訳です。強い日差しを避けるために壁が白く塗られているのです。毎年塗り替えるのだとか。
赤いレンガ屋根に白い壁、カサレス、フリヒリアーナ、ミハスなどの村が代表的です。絵本に描かれているのは、カサレスcasaresであろうと思います。
1)p20の左下 ドン・キホーテ主従がいます。
2)ドン・キホーテを壁越しにのぞき込んで見ている子どもがいます。なんだか異様な感じがして、見つかってはいけないと思っているのでしょう。


5)シーン中央 棒を持った警備員に護送されている囚人がいます。
 ドン・キホーテは、「ゆきたくもないところへ引かれてゆく、不幸せなものども」と考えます。騎士としてそのようなものを、捨て置くことができません。あれは悪いことをした人達だからと止めるサンチョの換言を受け入れず、襲撃してヒネス・デ・パサモンテをはじめ囚人たちを解放します。ところが、恩知らずな彼らに襲われてしまいます。それでも、困った人を助けるのは騎士として当然と意見を変えないところが、ドン・キホーテの凄いところです。単なる滑稽物語でも、教訓物語でも無いところです。
6)囚人の後方の建物の屋上に緑があります。サボテンでしょうか。
13)ベランダの女性の左上 向こうへ向いて登ってゆく女性がいます。でも、その先が変です。空間がゆがんでいます。先に進めそうもありませんあから、ここで本を逆さまにしてみましょう。
 
 下の写真を見てください、カサレスの写真です。

同じ写真を並べ右側を上下反転しています。ごらんの通り、逆さまにしてもほとんど違和感が無いです。
14)逆さまにして左下 子連れのお母さんがいます。

15)馬に乗った銅像が有ります。フランシスコ・ピサロ(Francisco Pizarro)の像です。
スペインでは、新大陸から膨大な富をもたらした英雄というわけです。しかし、インカ文明の人達から見たら、トンデモない侵略者であり、文明の破壊者であり、大量虐殺者です。
 ちなみに、この像は、ピサロの出身地であるエストレマドゥーラ州(アンダルシアの北西に隣接)のトルヒーリョの街に有ります。
16)十字架があります。巡礼者の十字架Pilgrim crosであろうと思います。
アンダルシアからのルートは世界遺産ではありませんが、やはりサンチャゴに向かう巡礼路。。があるようですから。
ただし、巡礼路以外にも十字架があっても不思議ではないので、道祖神的な十字架の可能性もあります
18)逆さまにして右下 自転車を押している人がいます。郵便配達の人だと思います。これで、3人目です。



シーン11セビリア(p21〜22)

0)旅人は アンダルシアの州都セビリア(Sevilla)にやってきました。多くの小説や映画の舞台になった街です。街では、セマナ・サンタ(SEMANA SANTA/聖週間・復活祭)の最中のようです。

1)左上 建物の入り口の所に黄色の服を着て、左手をのばして挑戦的に立っている女性がいます。カルメンのようです。
 『カルメン(Carmen) 』は、フランスの作家プロスペル・メリメが1845年に発表した中編小説。そして、それをもとに、ジョルジュ・ビゼーがオペラにしました。
 舞台は、セルビアのタバコ工場前の広場です。ここで働いていた美しいジプシーの女工カルメンが喧嘩騒ぎを起こして捕まります。(※ジプシーはロマの人々に対する蔑称です。そして、作者のメリメは、当時としてはとても奔放な性格のカルメンを、ジプシーであることにしてスペインの人々の批判をかわそうとしたといいます。困ったものです)
 舞台になったタバコ工場は18世紀に建てられ、現在はセルビア大学法学部として使われています。写真がその正面です。カルメンの立っている位置がこの正面の雰囲気に似ているようです。それにしても、この造りで工場というのは、当時のタバコ工場は特別の存在だったようです。
2)屋上には、ギターでダンスパーティーを楽しいんでいる人たちがいます。フラメンコでしょうか?ギターと手拍子ながら歌っている人は男ですが、後は皆女性です。盛り上がっています。黄色の服を着て座っている人は、ラッパ飲みです。
3)屋上の左端で、飛び降りようとしている女の人と、それを何とか止めようとしている男性がいます。一体何があったのでしょうか?
4)階段の下には、駆けつけている人たちがいます。たばこ工場の前に、凄い美人がいるというので駆けつけているのでしょう。
5)エプロンをした女の人は、タバコ工場の女工さんたちということでしょう。みんなカルメンの方を気にしているのだから面白くないでしょうね。
16)屋根の上から望遠鏡と双眼鏡で見ている人がいます。
 工場前の騒ぎを見ているのでしょう。望遠鏡を持っている人の手の下にもう1本手があるように見えます。安野さんの消し忘れ?
17)旅人の右 軍服の8人がカルメンの方を見ています。ドン・ホセの所属する竜騎兵でしょう。一番右側で、カルメンに向いて一人立っているのが、ドン・ホセ伍長ではないかと思います。
この後事件を起こしたカルメンをの誘惑に負けて、逃がしてしまいます。オペラでは、子どもたちに囲まれてやってくるのですが・・・。23)で行進のまねをしている子どもたちがそうでしょうか。
18)広場の中央に銅像が立っています。Don Juanと書いてあります。ドン・ファンの像です。
 17世紀スペインの伝説上の放蕩児で、セビリアの尊者の広場(PLAZA DE LOS VENERABLES)で生まれたという噂があるそうです。オペラや映画に描かれています。とんでもない浮気者という見方から、愛を真剣に求める求道者のような人という評価までいろいろです。
23)子どもたちが、スペインの旗を先頭に6人、行進のまねをしています。
24)棒を持った男の子が女の子と走っています。男の子は右の方を見ながら走っていいますが、そこにも棒を持った子がいます。一体この棒はなに??22)の行進に加わるのに、銃の代わりでしょうか??
25)兵隊が6人銃を持って行進していいます。23)の子どもはこの行進のまねですね。
 17)の兵隊とは服装が違うようですが??
27)荷物を担いだ女性と2人で歩いている人がいます。家の壁に何か像があります。マリア像でしょうか。
29)屋根を直している人達が3人休んでいます。屋根の上にいるのは、猿のようです。なぜが?ヨーロッパに野生の猿はいないはずなのですが。
正確には、イギリス領になっているジブラルタルには猿がいます。ですので、ジブラルタルの猿をイメージして描かれている可能性があります。
32)男の子が2人、広場の方に駆けだしています。後ろからもう一人、ついてきています。
33)倉庫のような建物のに、大きく「」と書かれていて、それを屋根が覆っています。
 津和野にある、安野光雅美術館のシンボルマークです。当然、「」は、安野のです。
34)倉庫の裏に隠れるように、ドン・キホーテ主従が、隠れるようにいます。次なる、襲撃計画を持っています。信者に担がれたマリア像を、悪者に捕らえられた貴婦人だと思いこみ救い出そうというのです。例によって、サンチョは懸命(賢明)にとめるのですが・・・。
なにしろ、担いでいる人達が、KKKのように三角帽子で顔を隠しているのですから怪しいです。(もっとも、それがしきたりなんですけど。)


35)ドン・キホーテ一行の背後で、子どもたちが二人のまねをしています。

36)セビリア大聖堂(カテドラル)の一部が描かれています。
 スペイン最大のカテドラルです(ただし、トレドも最大を主張しているそうです)世界では、ローマとロンドンのものに次ぐ世界第3位になるそうです。
 もともとここにはイスラムの巨大なモスクが建てられていたのですが、レコンキスタのあと、その一部を壊し増改築して現在の姿になったようです。モスクの名残があちこちにあるようです。

37)高い塔は、ヒラルダの塔(Torre de la Giralda)です。この塔もモスクの尖塔を改築したものです。高さ98mもあり、セビリアのシンボル的存在です。
 ヒラルダはGiralda(風見鶏)です。これは、塔の先端には青銅の女性像があり、この像は風で向きを変えるようになっているからです。
中に展望台があり、かつては馬で登ったそうで、階段ではなく傾斜のついた螺旋通路になっています。
下の写真は、塔からの写真です。

39)神父さんの向こうに、しっぽが見えているのは、犬でしょうか

40)カテドラルの前を、マリア像を担いだ行列がいきます。セマナ・サンタ(SEMANA SANTA/聖週間・復活祭)です。イエスが、エルサレムに入った日曜日から、受難の日を経て復活の日(日曜日)までの一週間を記念する、重要な祭りです。(3月の中旬)
 選ばれた屈強な信者がパソと呼ばれる山車を担ぎます。担ぐので御輿といった方が良いでしょう。ただ、キリスト像またはマリア像を載せて荘厳に飾り付けていてその重量は1.5tといいますから尋常ではありません。これを、すり足で、時速600mでしずしずと運ぶのです。パソを迎え見送る信者も正装して静かにしているのだそうです。日本の祭りの御輿とは随分趣が違うようです。

41)絵本では担ぎ手は、かぶり物をしていませんが、写真のように、三角の帽子のようなもので顔を覆います。アメリカのKKKのような異様な雰囲気ですが、きっと宗教的には深い意味があるのでしょう。
 ドン・キホーテでは、この異様さに貴婦人がさらわれていると考えてしまったんですね。
42)通りの向こう側の観衆。一番右の人は・・・お坊さん?
43)隣の2人は、帽子を脱いで手に持って敬意を表しています。
44)隣は夫婦?後ろにも男性2人、緑の服の2人は警備の警察官でしょうか??
47)背後の 12角形の塔は、黄金の塔(Torre de Oro)です。1220年に建てられた川の防衛のため、ムスリムによって作られた見張り塔です。
当時黄金の陶器で飾られていたそうです。対岸に同様の銀の塔があって鎖で結んで、船舶の通行を規制していたようです。
現在は船舶博物館になっています。
49)ヒラルダの塔の左に行列が続きます。4人の女性が歩いています。後方の黄色の服の女性は何か長いものを持っています。ロウソクでしょうか。
51)観衆の中には、手を挙げて指さして話している人もいます。もう、行列がすぎたから話しても(静寂を破っても)良いということなんでしょうか。
53)椅子に座っている人がいます。なんと、「オオカミ顔」です。
 しかし、よく見ると背もたれのある椅子に座っている女性が、パレードの方を見ているようです。それが、背もたれも含めてオオカミの顔のように見えるのです。これは、安野さんの意図なんでしょうか。偶然なんでしょうか。
54)壁にたくさんの皿が飾ってあって、指さしながら見ているカップルがいます。
 皿屋さんというわけではなくて、飾りのようです。飾り皿や陶板や壺を壁に飾るようです。

56)女の人が、川向こうの荷揚げ作業を見ていますが・・・
58)コックさんが車付きの台で何か販売して言います。スペインが発祥の豚肉のソーセージであるチョリソ (Chorizo) のようです。
60)を連れた男性もカルメンを見ているようです。尻尾が隠れて見えませんが、39)の尻尾と対なのかも。
 この犬は・・・結婚式のシーンでロマ人を見、風車のシーンで牛を見、アルハンブラ宮殿のシーンで木を切るのを見ていたピカソの犬でしょうか。今度は、カルメンですか。
61)棒を持った少年が走っています。24)の子どもと示し合わせているようにも思われます。
62)サインポールのまわる床屋の前で、お客さんやら理容師が出てきて、カルメンの方を指さして話しています。この、白い布をかけたお客さんは、第1巻の中欧編のマラソンのシーンでも描かれていました。気になることがあると、散髪途中でもでてみたくなる人のようです。
 セビリアで理髪師といえば『セビリアの理髪師(伊: Il Barbiere di Siviglia)』です。フランスのカロン・ド・ボーマルシェの書いた風刺的な戯曲で、イタリアのジョアキーノ・ロッシーニがオペラにして一躍有名になっています。主役は、アルマヴィーヴァ伯爵のはずですが・・・理髪師が題名になっています。
 好評につき書かれた続編が喜劇『フィガロの結婚』。伯爵の恋を助けた理髪師のフィガロは、功績が認められて伯爵の家臣になります。そして、小間使いのスザンナと結婚というところで、浮気者の伯爵が初夜権を復活させて・・・。こちらは、モーツアルトが作曲してオペラになっています。どちらも、舞台はセビリアです。
65)橋を二人の兵隊が走っていいます。川の向こうで何か起こっているようです。
66)橋を渡ったところに7人の人がいますが、そのうちの一人が右方向を指さしていて、黄色のスカートの人がそちらに向かおうとしています。
67)橋の左にいる2人の女性は話しながら、右方向を指しています。
70)船から荷物を上げて、馬車に積み込んでいる人たちがいます。ひょっとして密輸品??なら、68)の荷車はわざとおいてある??
 ホセは、カルメンの要求で、盗賊団にはいりますが、密輸もしています。
71)荷馬車の下の所、煉瓦造りで何か窓のようにしてあります。倉庫?下水道の入り口??
72)建物のかげでは、何かただならぬ雰囲気です。決闘のように思います。駆けつけている人たちは、この決闘を止めようと駆けつけているのだと思います。
 向こう側の女性がカルメンで、手前の女性がホセの許嫁ミカエラではないかとおもいます。
決闘しているのは・・・ドン・ホセとホセの上官のスニガかな。向こうの白髪の老人が立会人?

このセルビアのシーンには、オペラになっているネタが多く有りました。『カルメン』『ドンファン』『ドン・キホーテ』『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』です。この作品の群の中に、それぞれの愛の形があって面白いともいます。
カルメンの愛は、奔放な愛です。浮気で男を迷わす愛ですが、ホセにナイフを持って迫られても、命をかけて自由さを求める愛です。
ドン・ファンの愛は、よりいっそう見境の無い愛です。単なる「オス」のむき出しの征服欲のように思えます。ただ、彼も、地獄の恐怖を突きつけられても、自分の愛のあり方をやめません。
ドン・キホーテの愛は、誤解と思いこみによるとはいえ、苦しむ人・女性・弱き者を見捨てておけない愛でしょう。
この3者にカルメンのホセも加えても良いかも知れませんが、それぞれに愛に対するひたむきさがあります。

ドン・キホーテのこの話は、セルビアとの関わりは薄いので、次のロシオで持ってきても良かったと思われるのに、安野さんがこのシーンに加えられたのは、こうしたひたむきな愛の関係であったのではと推測しています。

セビリアの理髪師でのアルマヴィーヴァ伯爵は、高い身分を隠しても真実の愛を求めて結婚に至ります。(フィガロの結婚では、浮気者になってしまいますが)
フィガロも、知恵と工夫で愛する人との結婚を手に入れます。
後者二つは、喜劇なのでひたむきさよりも、面白さにウエイトがあるのかも知れません。そして、どちらもハッピーエンドです。


シーン12ロシオ巡礼(p23〜24)

0)旅人は ロシオ(Roci'o)村にやってきました。村はスペインの最後の秘境といわれているのドニャーナ国立自然公園の中心にあるアルモンテ(Almonte)市の小さな村です。大変な田舎ですが、大きなロシオ聖母教会(Santuario de la Virgen del Rocio)があり、聖母マリア信仰の中心地です。
 スペインでは4世紀ごろから聖母マリア信仰が盛んになりますが、イスラムの支配を受けることになります。それでも、人々は聖母信仰を密かに続けます。そして、13世紀レコンキスタのなかで、聖母像(ロシオ)が発見されたロシオ村は、奇跡の村となるのです。
 復活祭から50日目のペンテコステス(聖霊降臨祭)には、アンダルシアはもとより、スペイン中から巡礼団が押し寄せてきます。ロシオ巡礼Romeria del Rocioです。その数は、100万人を超えるといいます。その多くが、幌馬車を連ね歩いてくるのだから驚異的です。近いセビリアからでも片道70kmを3日間以上も歩くわけです。
(※ロシオ巡礼の参加者は、いろいろな資料があります。いわく、1万人を超す、10数万人、100万人くらい、100万人を超す・・・あまりにも、数字が違うので、スペインの観光局に確認しました。「2006年度の資料があるが、例年より多く120万人位であった」との回答でした。)


1)飾り付けた幌馬車をつらね、粋な服を着込んだ馬上の男女がいます。ロシオ巡礼の一行です。
 ロシオ巡礼の服装は、もとは普段着でひたすらロシオを目指す巡礼だったようです。ところが、粋なアンダルシアの人たちは、1920年代に大きく変化したようです。男性は基本の服装は乗馬服(丈の短い上着と帽子)で、女性はフェリア・デ・アブリル(春祭り)で使うフラメンコの衣装を使うようになります。ただし、歩いたり馬に乗ったりするのに、フラメンコの衣装そのままでは難しいので、フリルなどを押さえた巡礼の用のバタ・ロシエラという巡礼用のものを別に用意して、ロシエに着くとフラメンコ・ドレスを使うのだそうです。でも、それはお金持ちの場合。なかなか、皆がそんな格好で歩いているわけではなさそうです。 絵本では多くの人が馬に乗っていますが、数十万の信者が参加するロシエ祭りで馬が6500頭ぐらい使われるそうですから、ほとんどの人は歩いている(疲れたら幌馬車に乗るものありのようですが)ようです。

2)牛2頭で引いている幌馬車には、この信徒団体のロシオ像(聖母マリア像を)運んでいます。本家本元のロシオの聖母像と出会い、そのパワーをもらうためです。信徒団体は95団体有るそうです。
8)後ろから別に4台の幌馬車が続いています。衣装や食糧さらには寝具を積んであります。移動キャンプです。
 祭りの当日ロシオへの車の乗り入れは規制されますから、基本的に信者以外の参加は難しいようです。
12)ダンスを踊っている人たちがいます。ロシオ巡礼の中での踊りではないかと思います。ロシオに向かう人たちは、行進を止めてテーブルを出し陽気に飲食をします。そして、踊るのです。踊るのは「セビジャーナス」です。フラメンコの衣装で踊りますが、即興ありの芸術的なフラメンコとは違い、セビリア(セビージャ)のだれでも踊れる大衆的な踊りです。フラメンコの入門としても、踊られるようです。3拍子(6拍子)で、曲が変わっても、同じ踊りで踊れるのだそうです。日本でいえば、盆踊りのイメージのようです。
 ロシオ巡礼の間、人々は歩き・食べ・踊り・少しだけ寝て・・・旅を続けるようです。相当の、体力をようするようですが、彼らは、疲れるといいつつ、ひたすら楽しみ続けるのだそうです。いやあ、スペインだ。アンダルシアだ。

 セビリアの春祭りを画かれているのではないかとの説があります。セマナ・サンタ(聖週間)は、ひたすら厳かな宗教行事です。セマナ・サンタの2週間後に行われるのが春祭り(FERIA DE ABRIL )です。こちらは、純粋に庶民の楽しみの祭りです。元は、130年ほど前からセビリアで大々的に開催されていた牧畜市で、関係者が家族ともども寝泊まりして、踊ったりゲームをしたりして過ごしていたもの。それに、屋台がでて娯楽の方が主になって、どんどん派手になっていって、牧畜市の方がつけたしのようになってしまっているようです。スペインの三大祭りといば、バレンシアの「サン・ホセの火祭り」、パンプローナの「サン・フェルミン祭(牛追い祭)」と、このセビリアの「春祭り」です。
14)杖をついているおじいさんがいます。腰がすこしまがっているようですが、こんな状態で、歩いてきたのでしょうか
15)輪の左端の人は、フラメンコの衣装を着ています。
16)旅人の後ろの川に、お椀のお船に乗った一寸法師が描かれいてます。
 「何とも場違いな」と思いましたが・・・考えてみれば、一寸法師も旅をしているのです。それも、相当な願いと志を持ち、相応の覚悟をしての旅です。そう考えると、ロシオ巡礼のこのシーンに出てくるのはふさわしいですね
18)犬が歩いています。ピカソの犬かな?
19)ロシオの聖母像の御輿が群衆に取り囲まれています。
復活祭後50日目の日曜日は、ペンテコステス(聖霊降臨祭)。深夜、全国から集まった信徒集団を代表する形で、アルモンテの信徒団体の人たちが、ロシオの教会に入り盗み出してくるのです。そして、アルモンテの街を練り歩くのです。
 ロシオのマリア像に触れると一生健やかに暮らせると言われ、人々は像に触れようと周りに集まります。ですから、セマナ・サンタ(聖週間)の時と違い、もうめちゃくちゃな喧噪に包まれ続けるようです。実際にさわることができるのは、担いでいる人たちがさわることを許す人たちだけのようです。それは、特別に深い願い(病気の平癒など)を持っている人や子どもだそうです。
 絵本では、まだ、信徒団体がロシオを目指している状態で、聖母像を担いでいますが、上記の様に聖母像が担ぎ出されるときには、全ての人々がアルモンテについています。
20)子どもを抱え上げて、ロシオ像にさわらせようとしています。
 日本の御輿の感覚に近いなあと思います。私の町の御輿は「けんか御輿」でして、御輿同士をぶつけ合うという大変危険な祭りですが、御輿の屋根に上ったりします。さわるのはだれでも可能ですが、上がることが許されるのは、祭りにかなりに貢献している人と赤ちゃんです。写真のもみくちゃ状態も、規模は違いますがよく似ています。
21)群衆の中で、手を伸ばしている人が多いのは、聖母像にさわりたいという気持ちを表しているのでしょう。
22)テレビの取材カメラが入っています。音声さんも別についています。実際にはとてもこんなにに近づけないと思いますが。
23)子どもたちが、ミニチュアの聖母像を担いでいます。先頭の子は十字架を掲げ、他の子は、国旗柄の旗を持って前後を固めています。
セマナ・サンタでは、大がかりなミニチュアを子どもたちが担いでいるようですが、ロシオ祭りではどうなんでしょう。
 私の町の祭りでは、「子ども御輿」と称して、こぶりの御輿を担いでいます。私が子どもの頃は、そんなしゃれたものは無くて、自分たちで小さな御輿を作って担いで遊んでいました。やっぱり大人が楽しそうにやっていることは、自分たちでやってみたくなるものです。
24)群衆の周囲にも色んな人がいます。
 小さな旗のようなものを持った人が2人。
25)赤いドレスの女性と太鼓腹の男性が何か話しています。それにしても大きなお腹だ。
26)国旗柄の旗を持った女性が2人と何か玉のようなものが先に着いた棒を持っている男性がいます
28)大きなビンのワインをラッパ飲みにしている人がいます。脇の人は、もうの見過ぎだからやめておけと注意しているのか、俺にも飲ませろと催促しているのか。
30)小さな子をあやしている男の人がいます。ひょっとして、迷子でしょうか
32)男性が2人喧嘩をしているようです。右の人が相手の胸ぐらをつかんで、聖母像の方を指さして何か言っています。ここに集まっている人は皆、あついマリア信仰を持つ人のはずですが。
35)車いすに乗った女性を押している男性がいます。馬車の車輪と車いすの車輪が紛れるように描かれています。
37)青い水玉のフラメンコドレスの女性の前で、籠の中の物を落として拾っている男の子と女の子がいます。この丸い物は何でしょう。籠がなければ、ビー玉遊びかと思うところですが。
40)テーブルの上下に、茶色のカメのような物を並べているところへ、男性が2人近づいてきています。これは、ワインでしょうか。あるいはワインより貴重な水の入ったカメでしょうか
41)このあたりの建物は、教会にしては小ぶりなので、信徒団体がロシオに持っている宿舎ではないかと思います。このような自前の宿舎を持たない人は、ロシエの住人に祭りの期間家を空けてもらって泊まるようです。あるいは、巡礼途中と同じように幌馬車の中やキャンプでという人もあるそうです。何しろ普段ロシエの人口はとても少ないので、祭りの時以外はゴーストタウンのようだといいます。
 ホテルは小さなものが2つしかないので、信者団体に入っていない人は、泊まるところがなく、野宿か離れたところから通うそうです。すると、深夜の宗教行事には参加できないことになります。
 そんなわけで、ロシオの祭りは、規模が大きいのに比して、観客は極めて少ないのです。ほとんど総て、参加者というわけです。
42)黄色の服を着て、左手を壁にあてている女性がいます。前のシーンのカルメンです。何をしているのでしょうか。ホセを待っているのかな??
 カルメンはロマ(ジプシー)という設定ですが、ロマの人も色々な形で、巡礼に加わっています。また、幌馬車を使って移動してゆくというのもロマの人達の文化ともいえます。安野さんは、そんなことも、暗示しているのでしょうか。

44)ソーセージを売っています、チョリソでしょう。前のセビリアのシーンにいた人かな。顔が見えないけれど。
48)ベールをかぶったシスター(修道女)が2人、隣のベールをかぶっていない人は修道士でしょうか。大きな旗のような物を掲げています。何でしょう。信者団体の印でしょうか。実際に、ロシエ祭りに参加している人たちも掲げています。
50)茶色っぽい服を着た女性は、何か持っています。手の下には棒のようなあるので、一脚ではないかと・・・すると・・ビデオカメラかカメラでしょうか。
59)服を肩に、帽子を取って振りながら挨拶しているおじいさんがいます。フラメンコ衣装の馬上の女性が振り返っているようです。

60)左上 ここの一団は、完全に進行方向が逆のようです。祭りが終わって帰ってゆく姿でしょうか??

61)3頭の馬がいます。右端の馬には、フラメンコ衣装の女性が相乗りです。
 セビリアの春祭りでよく見られる姿のようです。春祭りかも知れません。ただし、ロシオ巡礼でもこんな姿が有るようです。
63)子どもを肩に乗せた男性や、子どもの手を引いたお母さんは、お父さん?とも手を繋いでいます。親子3人仲良くって雰囲気でしょうか。こうしてみると、ロシオからにしろ春祭りからにしろ、満足して帰路についている雰囲気ですね。

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