コンパクト解説を遊ぼう」5(スペイン編)2

コンパクト解説「を遊ぼう」5一覧へ
」コンパクト解説TOP 
 を遊ぼうTOP
前のシーンへ 

シーン13闘牛場(p25〜26)

0)旅人は 闘牛場の前にやってきました。どこの闘牛場でしょう。マドリッドの南東の街チンチョンChinchonだという説、ロンダの闘牛場との説、セビリアの闘牛場との説が有ります。関わっている物語からするとセルビアのマエストランサ闘牛場が適切です。ところが・・・
 そもそも、闘牛場はそれぞれの街の大広場に、仮設の柵をもうけて催されていました。しかし、それでは建物の角に牛が逃げ込んだり、開催ごとに仮設工事と取り片付けが必要です。そこで、18世紀になると円形の専用闘牛場の建設が始まります。ロンダもセビリアも常設の巨大な闘牛場です。これに対して、現在でも伝統的なマヨール広場(Plaza Mayor)を使って闘牛を行う所も有ります。その一つがチンチョンなのです。少なくとも、闘牛場の雰囲気や、周囲の様子は、チンチョンです。そして、最後の決め手、安野さんはあとがきで『80日世界一周』の映画(1956年:米国)に触れておられます。撮影に使われた闘牛場はチンチョンでした。
1)左上 映画『カルメン』の撮影中です。男の人がナイフを持ち、フラメンコドレスを着た女性を刺そうとしています。女はカルメン、男はカルメンのために兵舎を脱走し、密輸や山賊をする中に入り、カルメンの夫を決闘の末に殺してしまったホセです。
 カルメンは闘牛士とつきあっているのです、「なにもかも水に流すからと」いうホセに、彼女は「カルメンはどこまでも自由だ」といいきります。そして、ホセはカルメンを殺してしまいます。この場面合の撮影でしょう。

2)闘牛場の中では、ぎりぎりでスラリとかわすはずのマタドールが、逆に牛に倒されてしまったようです。他の闘牛士が駆け付けています。牛の気を引くためムレータ(赤い布に木の棒をついけたもの)を振っている人もいます。 
 『カルメン』に出てくる闘牛士の結末ではありません。
 ビセンテ・ブラスコ・イバニェスの小説『血と砂Blood and Sand』が有ります。この小説を原作として、1922年米国で映画化されています。『血と砂』の主人公ガリャルドは、最後に牛の角に脇腹を刺されて、闘牛場の黄色い土は血の色に染まります。主人公の妻の名はカルメンです。スペインでは、カルメンはよくある名のようです。ちなみにこちらのカルメンは、貞淑な妻です。逆にガリャルドの方が貴族の女と浮気をして、自堕落な生活をしたあげく、集中力を欠いた状態で闘牛に出て刺されます。苦しい息の中で、連れ添うカルメンに許しをこいながら息を引き取ります。

 1922の映画は、サイレントでした。1941年と1989年にリメイクされています。89年のものはスペインで映画化されています。絵本はこちらの映像からとられているようです。
 この映画の舞台になっている闘牛場はセビリアです。
3)闘牛場の柵のあちこちから、助けにゆこうと飛び出しかけている闘牛士がいます。
4)闘牛場は、普段はマヨール広場として使われている所です。バルコニー付きの建物が見物席となり、牛の突進を避けて闘牛の場所を区切るために見物席の前に板で仕切っています。チンチョンの闘牛場はこのように使われています。国旗柄に塗られています。
 
5)バルコニーを使った観客席の右端 二階席にカバとライオンがいます。・・・これはいったいなんの暗示でしょう?何か、絵本があるのでしょうか??
 あるいは、動物虐待であるとして非難されている闘牛ですから、動物代表で視察にきているのでしょうか。ちなみに、百獣の王ということになっているライオンですが、雑食で肉食もするカバはそれ以上に強いそうです。牛が負けたら、代わりに出るつもりでしょうか。
 写真はグラナダの闘牛場の上部の観客席です。円形の闘牛場ですが、絵本の様子とよく似ています。
6)2階のバルコニーには、ライオンから右に、4人は闘牛場に目がいっている男性。男性が3人、真ん中の女性は左手を頬にあてて手を組んでいます。「アッ」と手を口に持っていったのでしょうか。
7)男性5人が続いて、その隣は、家と家をつなぐようにアーチが作られている部分でしょう。
13)建物を移って、左端の人は、望遠鏡で見ています。

15)右下 家の間から闘牛場の中をのぞいている人達がいます。チンチョンの町にも、右の写真のようなところがあります。
16)槍を持って立っている人は、何をしているのでしょうか。番兵?通りの向かい側にも立っています。
17)プロテクターと目隠しを付けた馬が5頭います。闘牛の前半で、ピカドールが馬に乗って槍を刺すときに使われる馬です。馬が闘牛の攻撃で傷つかないように工夫されたものです。耳栓もしています。
18)下の路地で 椅子に座って籠を作っている人がいます。壁には籠が吊してあるので、販売中かも知れません。(※籠は、ロバに荷物を載せるための背籠であろうと思われます)
19)女の人が籠を持っています。
20)黄色の実の付いている樹は、オレンジでしょうか
22)壺をテーブルの上と下に並べています。バルコニーの下に吊しているのは看板代わりでしょうか。お客さんとお店の人がやりとりしています。壺は水差しのようです。
これは、壷を売っているのではなくてアグワ(水)を、売っているのだと思います。空気が乾燥しているので、壷から水が蒸発してゆきます。そのため、気温より5〜6度冷えた水になるようです。ちなみに、飲み方は、コップを使わずに壷を高く掲げて、口をつけずに一気にのどに流し込むのです。コップも用意されているようですが・・・こちらがスペインらしいのです。
テーブルの下の大きな壷は、水をためておいてある壷でしょう。
23)倒された牛が、馬に引かれています。ここがマドリードやセビリアの第1級や第2級の闘牛場なら、闘牛場に解体場もついていて直ちに解体するようです。チンチョンにはどうなんでしょう。別の所へ連れて行くのでしょう。もちろん、牛肉は食べられることになります。
23)壁には、2003年と書かれた闘牛のポスターが貼られています。
24)修道女が二人立っています。この人たち、ロシオのシーンでは別の修道士と3人で立っていました。
25)子どもが二人かけています。セビリアのシーンでも走っていました。
26)男が二人立って、右側の男が指さしています。修道女を指さすのは、礼儀に反することでしょうから、引きづられている牛のことを話しているのでしょう
27)女性が二人立っていて、台車を押している女性とバケツを持った女性が話しています。バケツには何が入っているのでしょう。
28)テーブルに飲み物が沢山並べられていて、男の人が椅子に座っています。お客さんでしょうか。隣の赤い水玉の女性が売っているのかな。
 チンチョン名物のアニス酒Anisではないかと思います。
 あるいは、チンチョンにはゴヤの「チンチョン伯爵夫人」の絵をラベルに使ったワインが売られているそうです。
29)鉢植えの花を売っています。シャコバランのように見えますが。ゼラニウムベゴニアが多いとも。
30)旅人の向こう側に、ほぼ同じ雰囲気で馬に乗っている人がいます。
31)水場が有ります。
32)ひったくり事件が発生しています。青いスカートの女性のハンドバックを、ひったくって走っている男がいます。併走している男は共犯者でしょうか?それとも逮捕しようとしているのか?、左端で待っている男は・・・待ちかまえてこの男をつかまえようとしているのか、それとも共犯者か? 旅人の後ろの白い服の女性と太鼓腹の男性は、驚くだけで何もできていません。
33)も走っています。この犬は、結婚式のシーン以来これで5回目か6回目のピカソの犬です。
34)フラメンコ衣装を壁に吊しています。売っているようですが?
 店の前にはベンチや椅子に座った男性がいて、入り口の所に立っているのも男性です。女性の服を売る雰囲気とは違うような。ただ、ベンチの所に立っている男性が声をかけているのはバックを持って歩いている女性です。
35)建物の入り口に、何か書かれていますが、読みとることができません。さらに、壁に1852と書かれています。1852年のことだと思われますが、このシーンとの関係がよく分かりません。これが1872年なら80日間世界一周の年ですが・・・スペインで1852年というと、建築家ガウディの生まれた年ですが・・・関係なさそうです。
 スペイン最大のワイン産地は、リオハだそうです。そこのワイン生産者マルケス・デ・ムリエタ(Marques de Murrieta)の、創業が1852年です。そして、会社の建物が、このシーンに使われている建物の雰囲気に似ているので、これが答えかも。すると、28)の飲み物はワインかも。
37)女の人の持った鏡に、雄鶏と雌鳥が映っています。
 これは、43)で紹介する、国王フェリペ4世と女王マリアーナを意味するのだと思います。
38)壁に付けた国旗柄のテントの下で、売っているのはチョリソと飲み物でしょうか。子どもを2人連れたお母さんが買っています。チョリソ屋さんは3シーン連続の登場ですが、今度は売っている人が女性です。
40)警官か軍隊のような服装の二人がいます。闘牛場の警備か?カルメンのホセの関係者か?王家の護衛できているのか?

43)建物の隙間から10人ほどの人が闘牛をのぞいています。最後尾の男性は、とても足が長いですね。
入り口の所は、チンチョンの右の写真の家がモデルだと思います。
44)草原に画家や古風な風俗の女性たちがいます。
ディエゴ・ベラスケスの絵、「ラス・メニーナス(女官たち)」です。中央の少女が、王女マルガリータ、周囲の人は着付けをする女官や道化師たちやお付きの人や犬です。
絵筆を持っている画家は、ベラスケス本人です。画家が今描いているのは、国王フェリペ4世と女王マリアーナです。絵本では、テントの所に後ろ姿が見えている二人の人の所あたりにいたはずです。元の絵では、バックの鏡の中に写っています。基本的にこの絵は国王夫妻が見ている形で描かれているわけです。「ラス・メニーナス」は、国王の居間に飾ってあったようです。
 絵本には鏡が描かれていませんが・・・36)の鏡に写る雄鶏と雌鳥で暗示しているのでしょう。

 さて、フェリペ4世と先妻イザベル(フランス王の子)の末娘マリア・テレサ(Maria Teresa、フランス名:マリー・テレーズ)は、フランスのルイ14世(「朕は国家なり」の人です:テレサとは父方でも母方でも従兄になります)と結婚します。スペイン王家で、フェリペ4世の跡を継いだカルロス2世(テレサの異母弟、絵のマルガリータの弟)が死亡して跡継ぎがいなくなります。ルイ14世は、これを機にをスペイン王にしようとしますが、これがきっかけで「スペイン継承戦争」になります。いろいろ有りましたが、その孫がフェリペ5世としてスペイン国王になります。このときフランスからやってきて宣誓式を行ったのが、チンチョンなのです。というわけで、この家族とチンチョンの関係は深いわけです。
46)画家のアトリエの建物のはずが、引っ越し途中の家具のように描かれています。
47)荷物は、馬車に乗せています
51)映画撮影を気にしながら、手をつないで歩いている若い男女がいます。男の人は、彼女がカルメンのように離れていかないように手をつないでいるのかな。

54)ここの壁にも大きな闘牛のポスターが貼ってあります。
56)壁に、十字架が描かれています。
右の写真は、チンチョンでは有りませんがよく似ています。
スペインの闘牛は、動物虐待なのか守るべき伝統文化なのかで、意見の対立が有ります。先に紹介した加瀬さんのHPで、文化の面が分かりやすく解説されていますが、次のブログも闘牛がどういうものか理解するのに役立ちます。


シーン14マヨール広場(p27〜28)

0)旅人は マヨール広場のある町にやってきました。前のシーンに続いてチンチョンの町のようです。闘牛場もこのマヨール広場もそっくりそのままではありませんが、非常によく似ています。
 17世紀の事ですが、時のペルー総督チンチョン伯爵の妻が、マラリアに倒れます。このとき、先住民族の侍女が、キナ(quina・機那)の樹皮から抽出した秘薬を用いて助けます。夫人は、キナを集めてマラリアに備え人々を救ったという伝説があります。そして、この秘薬からマラリアの特効薬キニーネが発見されます。これに敬意を表したスウェーデンの博物学者リンネは、キナに「チンチョナChinchona」という学名を与えたのです。
2)羊の群れを見てドン・キホーテが突進しています。羊に見えるのは幻術のせいで、実際には衝突する軍隊であると思いこんでの突進です。サンチョはあれは、本物の羊だからと必死で止めています。
 この後、何頭もの羊を倒してしまいます。当然のことながら、羊飼いは怒り、旧約聖書に出てくるダビデのように、投石紐で反撃します。鎧をつけていますが、鎧の上からでも随分ダメージを受けてノックアウト。その上、歯がぼろぼろになってしまいます。ところで兜をかぶっていますが、どうもデザインが金だらいです。このときはまだ、金だらいを手に入れていなくて、顔の覆いのあるデザインのはずですが、安野さん間違えたのか、承知でこのデザインにしたのか?
3)樹皮をはいでいます。木はコルクガシです。コルクをとる目的の他に、防砂林のためにも植えられています。その上、ここに生息する小動物の生態系も守っています。はがした樹皮は9年くらいで再生するようです。環境に優しいですね。
 コルク(英:Cork)は「コルクガシ(Cork Oak)」のコルク組織からとれる物質。コルクガシの樹皮をはいで製造する。主な生産地はポルトガルであり、全世界の生産量の70%以上を占める。ほか、スペイン、イタリア、モロッコなどで生産される。」ということですから、スペインでこの風景が出てくるのは納得ですね。
4)樹皮をはがしている男の人が長い棒を持っています。樹皮をはがす道具のようです

5)樹皮を荷車に積んでいます
 荷車の馬と荷台に乗った人は闘牛場のシーンで荷物を運んでいた人たちの中に、似たようなポーズの馬と荷台の上の人が描かれていました。
6)作業の様子を見ている白ウサギがいます。隠し絵風です
7)樹皮をすっかりはがされた木があります。はがした年を書いておいて9年間は手を出さないわけです。樹皮の成長も形成層のところですから、表面はそのまま残るわけです。
8)左下 葬儀が行われています。今まさに棺が穴に入れています。このシーンは元になる絵があるような気がします。
人物が貴族であることなど設定が異なるのですが、エル・グレコの傑作『オルガス伯爵の埋葬 (Entierro del conde de Orgaz)』が、今まさに埋葬しようとする図柄です。神父の存在や十字架を持つ人、聖書を持つ人等、重なる部分も多いので、一部参考にされたのではないかと思います。
9)スコップがあります。前の男性2人のうち、一人は、白い物を持っています。弔辞でしょうか?
10)子どもを連れた女性が2人います。お母さんでしょうか。あるいは、例のシスター2人
15)墓石の細工をしている石工がいます。第1巻にも出てきましたが、クールベの『石割人夫』からのようです。

16)墓石やさんの前では、紙を広げて話をしている2人がいます。墓石の契約にこられてようです。今,葬儀中の人の墓石でしょうか。
17)雄鳥1羽と雌鳥が2羽います。
 前のシーンでは、鶏夫婦はフェリベ4世夫妻を暗示していました。すると、ここの鶏も・・・半ば妄想ですが。白い雌鳥は、チンチョン伯爵夫人マリア・テレサであろうと思います。右の絵は、ゴヤが描いた『チンチョン伯爵夫人』です。少女のような顔です。彼女は17歳の時に、政略結婚させられます。相手は、短期間に出世した宰相マヌエル・ゴドイ彼に箔を付けるための結婚でした。従って、ゴドイが雄鳥。そして、もう一羽の雌鳥は、だれか?ゴドイを宰相に押し上げた愛人がいまいした。ときのカルロス4世の王妃マリア・ルイサです!!。「王以外は知らぬものはない」愛人だったとか。そのほかにも、ペピタ・トゥドーなど強力な愛人がたくさんいたようで、大変なもて男。マリア・テレサも苦労したのでしょうが、彼女はとても誠実な人だったようで民衆から同情されていたようです。
後に、ゴドイがナポレオンとフェルナンド7世(カルロス4世の子)によって失脚したとき、彼女は追放されませんでした。
  ちなみに、ゴヤ自身もチンチョンに住んでいたこともあり、右の絵以外にも『聖母昇天』の絵が町の教会にあります。
18)小屋の前で椅子に座っている人は、背籠を作っているようです。
 前のシーンにもいました。
一度帯状に編んだものを螺旋状につなげて籠にしています。
19)カゴをかかえた女性がいます、購入したのでしょうか、あるいは売りに出ているのか?前のシーンにもいました。
20)荷物を積んだロバを2頭つれて歩いている女性がいます。積み荷は何でしょう。
21)手紙を持った郵便配達の人がいます。これで、4人目です。
22)車輪を直している人たちがいます。青い服の人が使っている道具は、何でしょう?壁には大きなコンパスのようなものなど、工具がセットされています。

23)ここら当たりの、建物はマヨール広場の建物と少し雰囲気が違いますが、チンチョンにこのような建物もあります。
 屋根だけでなく、煙突もそっくりです。
25)赤いコートに緑のマフラーのガイドさんの案内を聞いている、観光客の人たちがいます。チンチョンはマドリードから車で約1時間。静かな、スペインの田舎を体験したい人たちがやってくるようです。
観光客の一人は、松葉杖をついています。
26)観光客の後ろの、1階部分にたくさんの樽が積んであります。何でしょうか?
 チンチョンの名物の一つにアニス酒Anisがあります。アブサンに近いリキュールで、蒸留酒にアニス油を使って作るそうです。醸造所は、広場にはないのですが、それを暗示させているのではないでしょうか。
27)路地を子豚をつれて歩いている女性があります。これは、何を意味するのでしょう?不明です。
28)バルコニーの下のベンチに6人の男性が座っています。たぶん、のんびりとおしゃべりしているおじいさんたちでしょう。チンチョンの町も高齢化が進んで、こんな雰囲気だそうです。
30)杖をついた女性が歩いています。スカートの雰囲気が、チマチョゴリみたいですが?
34)十字架の掲げられた、水場があります。十字架はありませんが、同じような水場が、チンチョンのマヨール広場にあります。
 十字架は、巡礼者の十字架だと思います。チョンチンの町の別のところにあるのでしょうか。
38)煙突の上にコウノトリの巣が3つあります。コウノトリも6羽います。
39)左のコウノトリの巣の左の家の壁に、赤い棒のような物がぶら下がっています。ニンジン?トウモロコシ?そして、その隣に白くて丸い物が連なっています。こちらは、チンチョンの名物の一つニンニクであろうと思われます。
右の写真は、チンチョンでつるしてあるにんにくです。
41)洗濯物の下で、長い棒を持った子供が2人います。頭上には蜂の巣があります。形状からすれば、スズメバチのようです。冬場の空き巣ならともかく、ぶんぶん飛んでいます。とても危険な事です。よい子は絶対まねしないように。
 ところで、このスペイン編には、牛追い祭りのp10にも蜂の巣が描かれています。何故でしょう??
スペインに、特別蜂が多いわけではないと思いますが。
 たぶん、スペインのノーベル文学賞受賞作家カミロ・ホセ・セラCELA, CAMILO JOSEの『蜂の巣(La Colmena )』の暗示ではないかと思われます。 映画化された『蜂の巣』は、1982年のベルリン映画祭で金熊賞を獲っています。ただし、内容に蜂の巣が出てくるわけでは無いようです。

42)一本橋で、山羊が向かい合っています。旅の絵本の第二巻イタリア編の製材所のシーンのp12でも描かれていました。ラ・フォンテーヌの寓話のなかから「二匹の山羊」のようです。
この話は、マルティン・ルター(Martin Luther)(1483-1546)の『卓上語録』にすでに収録されています。ルターは、何を参考にしたのでしょうか。
 ネパールの教科書にこの話が紹介されているようです。「ヒツジとヤギ」という題です。
http://www.page.sannet.ne.jp/t-hata/roki/textbook/hituji.htm
キリスト教では、羊はキリスト教徒を象徴するようですから、どちらかというと山羊より羊を上におくように思いますが、ネパールでは山羊の方が上のようです。


45)山羊の中の一頭(白山羊)が、橋の中程で41)の2頭にやめておけと、話しかけているようです。
 橋を渡る山羊といえば、『三匹のやぎのがらがらどん』が思い出されます。北欧民話ですが・・・。子どもが大好きな絵本です。
 がらがらどんとくれば、橋の下にはトロルが待ちかまえていなければなりませんが?そちらの方はいないようです。あるいは、茶色の岩に見えるのがトロルか?

47)ネコがネズミを追いかけています。そして、ネズミの逃げる当たりにブルドックがいます。これは、アメリカのアニメですが『トムとジェリー』ですね。逃げるジェリーを追いかけるトム、この後、休んでいる犬のスパイクの足を踏んづけるかして、トムがのされてしまうパターンです。


シーン15城塞都市(p29〜30)
)旅人は 長大な城壁に囲まれた街にやってきました。マドリードの西北西に約87kmの位置にあるアビラ(Avila)です。
この街は、レコンキスタの進展期の11世紀末、キリスト教徒が奪還します。イスラム側の熾烈な反撃に対抗すべく城壁を築いたのです。城壁は茶色い花崗岩で作られ、高さ12m、厚さ3m、20m間隔で築かれた88もの堡塔(ほとう)がある強固なものです。
 「アビラ旧市街と市壁外の教会群」として、1985年に世界遺産に登録されています。

1)左上 城壁の中では、ダンスを楽しんでいる人たちがいます。フラメンコでしょうか。ギターを弾く人、マラカスを振る女性、手拍子を打つ女性人たち、それにしても中央で女性を手をとって踊っている男性の足の細いこと細いこと。
2)子どもたちも、大人をまねて踊っています。
3)樽を積んだ小屋があって、男性が何かしています。ワインの樽でしょうか。
4)隣の小屋には、何か四角の物が積んでありますが・・・何でしょう?
5)赤煉瓦を積んだ荷車があります。城壁の修理用でしょうか。だとすると、煉瓦でなく茶色の花崗岩ということになりますが・・それだとこんなに手に持てそうにありませんが。
6)ロバをつれた女性は、行商をしているのでしょうか。天秤を使って、何かを量り売りしています。
ロバが荷物を積むのに使っている背籠は、前のシーンで作っていた籠でしょうか。
7)サッカーを楽しんでいる子どもたちがいます。スペインはサッカーが盛んな国ですから、表紙・上陸のシーン・チンチョンの広場に続いて4度目です。
 青チームは怪我人が出たのに代わりがいなくて、10人で戦っています。それでも、ゴールが決まったようです。ところが、ラインズマンがフラッグを振っています。一番右側の青の選手がオフサイドラインを越えているようです。シュートの場合はオフサイドが適用されない事もありますが、その判定は主審が行います。でも・・・主審がいない!!
どうも、安野さんは間違い探し用か、色々とおかしな事にしています。
@主審がいない。
A2人のラインズマンがコートの中に入ってしまっている。
B赤チームの選手がキーパーを含めて12人なっている。
C応援席でラインズマンを同じ旗を振っている人がいます。
D青チームのキーパーのユニホームが他の選手と同じで区別がつかない
E乳母車を押しているお母さんがコートの中に入ってしまっている

8)向こう側のベンチに4人座っています。シュートの瞬間なのにわいていませんから赤チーム側の応援席のようです
9)手前のベンチの5人は大喜びしていますから、青チームでしょう。ただ、上にも書いているように、黄色の旗を振っているのは、ラインズマンと紛らわしいので、だめですね。
10)怪我をした青チームの選手はかなりひどいようです。担架にのせらて運ばれています。担架の行き先は・・・次のページへ向かっているようです。
 後から鞄を持って走っているのは、青チームのコーチで、その後ろは選手のお母さんでしょうか。
11)草の上に座って観戦している男女がいます。恋人でしょうか
12)青チームのキーパーが右手に何か赤い物を持っています。なんでしょぅ??野球のグローブを持っているとの説もあります。
13)ゴールの後ろに、鳥が2羽います。
16)p29下 路地を走っている2人の子どもがいます。この2人、セビリアと闘牛場でも同じフォームで走っていました。
17)子どもと一緒に走っている犬がいます。例のピカソの犬でしょうか?
18)走っている子どもの少し先の壁に、何か不思議な物があります。腕を組んだような格好をしていますが、これは何でしょう??
19)犬の奥の路地の壁にワシが翼を広げたような灰色のマークがあります。これはなんでしょう??
22)牛を2頭つれて歩いている人がいます。2頭の牛の目が気になります。
23)絵皿が飾られている店をのぞいている女性がいます。何の店でしょう?
26)旅人の向こうの路地に、何か丸い物をぶら下げている女性がいます。何をしているのでしょうか?糸つむぎ?それともヨーヨーでしょうか
27)壁のところで、椅子に座って編み物をしている女性がいます。椅子の背もたれが耳のある顔に見えて・・動物顔に見えてしまいます。
28)城壁の外にはたくさんの羊たちが草をはんでいます。杖をつき変わった服装で髪の長い人は羊飼いでしょうか。何か、曰くありげに見えます。

 アビラというと「アビラの聖テレサ」の出身地です。アビラの貴族の娘として生まれますが、47歳で「はだしのカルメ会」を創設。スペイン全土に16の女子修道院を創設し、自身も修道生活に打ち込んだ人です。カソリックで聖人に列せられています。標高が高く、冬は極寒になるアビラで素足にサンダルで過ごす実践をしていたそうです。
 28)の羊飼いのような人は、長髪ということもあり、聖テレサをあらわしているのではないだろうかという説があります。

シーン16水道橋(p31〜32)

0)旅人は 建設中の水道橋とアルカサル(城)のある所にやってきました。アビラ県の隣にあるセゴビア(Segovia)です。
 1985年、「セゴビア旧市街と水道橋」はユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。

 このページの絵は、長い間違和感を感じ続けてきました。絵を見ていると、とにかく居心地が悪いのです。安野さんは、出版前にこの違和感を感じなかったのだろうかと不審に思っていました。しかし、その違和感は、安野さん一流の仕掛け(トリック)によるものであることが判明しました。これまでのトリックはあり得ないことを違和感なく表現する物でしたが・・・このページのトリックは特殊です。基本的には、水平に係わるトリックです。まだその謎の総てを解いたとは言えませんが・・・。

1)水道橋は、ローマ時代に建造されています。2世初頭のトラヤヌス帝(あるいは1世紀末ネルヴァ帝)時代とされています。北方に18kmフリオ川から水を運ぶための物です。標高1002mの高さにあるセゴビアに運ぶためには、勾配が1%以下に保たなければなりません。水平を保てないと、水を送ることができません。導水路の大半は地中に埋められているいるのですが、谷間や平原では水道橋にります。
 修理しながら1906年まで利用していたという強度もさることながら、精度が命の建造物です。ところが、安野さんの絵はゆがみを感じます。印象として左側が短くなっているのです。左に向けてかなりの傾斜で傾いているように見えます。「安野さん下手!?」

 ところろが、実際に測ってみると、左側の方が幾分長くて、右側(建設中の方)が少しだけ短いのです。読者が受ける印象と、まるで逆なのです。これは、安野さんが巧みにしくんだだまし絵なのです。安野さん下手どころか、巧妙なのです。

 何故、こんな逆のイメージになってしまうのか、トリックを分析してみました。
◎基本的に、安野さんの絵は、近くのものも遠くのものも同じ大きさで描いてあります。遠近法が無視されているようにも思えます。ところが、これは鳥の目の視点で描いてあるわけですから、遙か上空斜めから望遠で見ているとすると、画面の中の遠近は相対化されて、大小の差が無くなってもOKになり。従って、このことには、違和感を感じないのです。

ところが、この水道橋の絵では、上部の水を流すところ(絵本では人が立っている所)は、遠近法を使って描かれています。左側が大きく右側が小さくなっています。厳密には向こう側の壁だけです。左側に2人立っている所と右側1人立っている所を確認してみてください。さらに、水道橋の奥行きの壁の左側だけが見えています。これらのことから、脳は左側が手前で大きく見える、右側が遠くで小さく見えているはずだと、無意識に判断します。すると、同じ長さで描かれた橋桁の長さを、脳が補整してしまいます。その結果、左側が短くなっている(右側が長くなっている)と認識してしまうのです。
 
 安野さんの絵がこのページで下手になったと思ったのは、見る者の勘違い、安野さんの技術とトリックに読者の脳がまんまとだまされてしまっていたのです。第2巻のイタリア編の水道橋のシーンにもトリックが施してありましたが、こちらの方が、はるかに高度です。トリックの存在にすら気づかせていなかったのです。

2)橋の上の左側の2人は足下近くまで見えるのに、右側の1人は腰の下あたりまでしか見えません。視点の高さが右と左で変わらないとすると、いささか変です。これは、向こう側の壁の見えている部分だけ遠近法を使ってあることに気づかれにくくするための、トリックの一部であろうと思います。
3)橋桁の足下には、何気なく材木が並べられています。
 左側に木口が見えています。これも、左側に視点があることを裏付けてしまいます。そして、この材木も遠近法が使われています。左側を大きく、右側を小さく描かれているのです。(このシーンの右側に並べられた木材は、平行に描かれていますから違いを見比べてみてください。)このスケール感で、遠くが小さくなるとすると、手前の柱は短くなっていると感じるのです。
 橋の上と下に遠近法を使っているので、破綻無く脳をだますことができるのです。
 ちなみに、材木の右と左で橋桁の下のラインがずれてしまっているように感じますが、これも定規を当ててみると、直線です。材木の遠近感のために、脳が混乱しているのです。

 ちなみに、建築中の部分は、橋桁の間に仮設で煉瓦が積んであります。その下のラインだけをつないで見ると・・材木の左側とラインがずれてしまいます。建造中の左端(右から4本目)の柱の足下の描き方が、微妙なのが影響しているようです。
4)橋の向こう側に、見え隠れしている旗はどうなっているのでしょうか。
 普通に考えれば、水道橋の向こう側に離れてポールが立っていて、そこから周囲に4本のロープが張られている。そのロープにはたくさんの旗がつけられている。それが、橋桁の隙間を通して見えている。ということになります。
 しかし、いささかおかしいのです。立っているはずのポールは、橋桁に隠されて見えないようですが、ポールの先端の位置からすると、まっすぐ立っていれば、橋桁の左側に見えてこなければなりません。ポールが少し傾いて立っていることになります。
 ポールの位置は橋桁からどれくらい向こうに離れているのでしょうか。本来ですと、ポールの足下が見えているので、そこから距離を類推できるのですが。見えていないので分かりません。俯瞰角度を考えると、ポールの先端は水道橋より低いと考えられますが、どれくらい低いのかも判然としません。ただ、橋桁の間でネクタイをした男性が、ポールの先端当たりを指さしているようですから、橋桁から男性の位置くらいまでは離れて立っていて、しかもそこそこ高い位置にポールの先端があることになります。
 これは、成り立たないように思われます。男性の位置よりいくらかでも向こうにポールがあるはずです(ロープの張り具合からするとどうしてもそうなります)。橋桁がないものとして、仮にポールを思い描いてみてください。すると、ロープの角度を出すためのポールの高さが出ないのです。
 それに、ロープが怪しいのです。ロープの下はどうやって固定されているのでしょうか。橋桁に隠された位置でしょうか?するとかなり向こう側に杭が打ってあることになります。もう、どうやってもポールを立てておくことができないように思います。
 安野さんは、橋桁の隙間からのぞいているという状況を使って、あり得ないことを、逆に違和感なく(少なく)描いて見せているようです。これもだまし絵ですね。

5)橋桁に遮られて犬が見えています。やたら胴長の犬になってしまいます。だまし絵です
6)木製のクレーンがあって、牛2頭で引かせて、材木を水道橋の上に上げています。
 しかし、これはクレーンの位置・高さからして、あり得ない事です。だまし絵です
 このだまし絵のパターンはよく使われていて、あり得ないのに違和感を感じさせないようになっています。
7)右下 セゴビアのアルカサル(Alcazar:城)が描かれています。この城は、ディズニー映画『白雪姫』の城のモデルになったものです。

 この城は、レコンキスタを完成させた、イサベルの居城でした。1469年王女の時にアラゴンの王太子と結婚していました。1474年12月カスティーリャ王であった異母兄の訃報をこの城でうけとり、直ちに戴冠式を行い女王となるのです。

 そんな、由緒あるアルカサルですが。どうも違和感が有ります。城から左側に飛び出している城壁の上部は、水平のはずです。城の屋根の最上部(これも水平)と平行になっていません。煉瓦のラインもずれています。飛び出した城壁部分だけと、建物部分を別々に見ているときは良いのですが、一体としてみると、城が傾いているように見えます。
 普通の感覚ですと、城の壁からのびている城壁はほぼ直角についていおり、手前で曲がっているところも直角と考えられます。手前の小さな三角のたくさんついた部分が城の壁とほぼ平行であるように見えます(水平の関係から)から、ますます感覚が受け入れません。しかし、実際には城壁の先(角)は、鋭角です。そうと分かって見ても、どうしても違和感が抜けません。こちらも、安野さんが脳を混乱させるためのトリックがあるのでしょうが、詳しくは解明できていません。 

上で触れたように、この城は映画『白雪姫("Snow White and the Seven Dwarfs")』のモデルになっています。その上で、『ルパン三世 カリオストロの城』のモデルにもなっているでもあると思います。こちらは公式的に認められている訳ではありませんが、建物の雰囲気が似ているのと、城をローマ水道橋が通っています。多分、世界中探してもそんな城は無いでしょうが・・・水道橋と城がセットになっている文化遺産とくれば、やはりセゴビアでしょう。

8)7人のこびとSeven Dwarfsがいます。
追い出された(殺されそうになった)白雪姫を、家事労働をすることを条件に、かくまいます。
 物語の秘めたメッセージとしては、保護されるだけの少女から、役割を果たす女性への成長を暗示しています。
9)赤い水玉の女性は、白雪姫でしょう。雪のように白い肌、血のように赤い唇、黒檀のように黒い髪を持つ美少女です。
10)城の上部には鏡を見ている人がいます。新しい王妃(白雪姫の継母)です。自分が一番美しくならなければならない女性です。鏡は、魔法の鏡で独自の審美眼を持っています。王妃の。「鏡よ、鏡、この世で一番美しいのは誰?」という問いかけに、王妃におもねることなく正直に「世界で一番美しいのは白雪姫」と答えています。これで、白雪姫が死んでいないことがばれてしまいます。それにしても、白雪姫がいなければ王妃が映るわけですから、王妃も相当の美女ということになります。あるいは、白雪姫がいなくなったとしても、鏡は別の人を映し出すのかも知れませんが。
11)現場を箒で掃除をしている女性がいます。これは、魔女に変身した王妃かも知れません。
12)水道橋用の石を加工している人がいます。チンチョンのシーンに引き続き、クールベの『石割人夫』からのようです。
14)丸太をコロにして3個の石材を運んでいる牛が2頭います。2頭で3個ですからかなり軽そうなのに、めいっぱい引っ張られても動いていないようです。人間3人に牛2頭で、これでは効率が悪すぎです。
15)ロバが一頭で、丸太を一本だけ引っ張っています。これも、効率悪いですね。そのうえ、引っ張られている。
17)牛が2頭で、8個の石材を運んでいます。こちらの牛は抵抗していません。14)の牛に比べると効率が、2.7倍です。その上、引っ張られていません。
18)牛が1頭で、4個の石材を運んでいます。1頭当たりの効率は17)と一緒ですね。ただし、こっちは引っ張られています。それと、コロの移動はだれがするのでしょう??
20)子どもたちが水道橋の模型を6人で作っています。
21)ものすごく大きな丸太を一人で担いでいる男性がいます。フォルス・バスクに余裕で出場できそうです。

23)大きな鍋で、料理を作っている人がいます。スパゲティーでしょうか? しゃもじを使っているので、パエリア(paella )ではないかと思います。
 専用のパエリア鍋(取っ手のある平底の浅くて丸いフライパン)で調理する米料理です。黄色はサフランを着色料としてつかいます。パエリアは、カタルーニャ語でフライパンを意味していましたが、調理器具の名前が料理の名前になったのです。
そして、元々はアラブの料理だったようです。スペインらしい料理ですね。
燃料は薪です。ちゃんと追加の薪を用意してあります。

24)黄色のスカートの女性は、腰に手を当てて食事の監督でしょうか
25)たくさんの皿を運ぶ人を、槍で刺しているいたずら坊主がいます。皿が割れたら、ごめんなさいでは、済まなくなりそうです
27)テーブルの脇には、旗のひるがえる下に、鐘が用意してあります。ひもを引っ張れば鳴るように鳴っています。
34)エプロンをした向こう向きの女性は、何か白い物を持っていますが、何でしょう?
35)手持ちの鐘を鳴らして、働いている人を食事に呼んでいます。
37)救護所が有ります。担架に運ばれてくる怪我人がいます。
 サッカーの怪我人もここへ向かっていたのでしょう。
39)シスターが花を持っています。頭の部分がテントに隠れているシスターもいます。例の2人連れのシスターでしょう。
41)水道橋の向こう側 旅人の向こうにいる人たちは、小さな旗を振っている人が案内人の観光客のようです。前にも指摘しましたが、指さしている人は、ポールの先を指さしているのか、あるいは・・・旗のロープを引っ張っているのかも知れません
44)上部では、アーチの部分の石を積み上げています。
 水道橋の石はそれ自体の重みで固定さていて、セメントや漆喰といった接着剤を使っていないのです。写真を見ればみる程、信じがたい思いがします。
45)ページの継ぎ目 テントがあって、机の上には図面が広げられています。現場事務所ということでしょう。
53)三脚にレベルを使って測量している人がいます。反対側には、赤と白の検測ポールを立てています。工事に測量はとても大切ですから。

54)間に長い棒を持った人がいます。これは、何をしているのでしょう??
棒の先がクレーンに届きそうです・・・・でも届きません。だまし絵です
55)森の中にオオカミがいます。アルハンブラ宮殿のシーンでも森の中にいました。スペインのオオカミは、一時期絶滅の危機にあったようですが、保護の結果かなり増えてきているようです。スペインオオカミという種類もいるようです。
56)右端  ブドウ棚がありますが・・・左側の方は草原がそのままブドウの木の上を覆うようになっています。だまし絵です



シーン17メルカード(市場)(p33〜34)

0)旅人は メルカード(mercado:市場)へやってきました。日本では、市場はスーパーなどの大型店舗に押されて、ほとんどの地域で衰退していますが、スペインでは、全国各地に残っていてにぎわっています。
 どこのメルカードでしょう。パブロ・カザルスの像があるので、バルセロナに戻って来ているのかも知れません。また、首都マドリードが他のシーンでも出てきませんから、ここがマドリードのメルカードの可能性もあります。(それにしても国名不詳の第1巻は別として、首都が描かれないのは初めてです。マドリードには世界遺産をはじめいっぱいネタがあるはずですが)
 上部に描かれた建物がヒントかも分かりませんが・・・決め手に欠けます。、安野さん自身特定の市場ではなく市場を表現したかったのかも知れません。
1)左上 フラメンコのポスターが2枚貼ってある前を、男女が歩いています。
)観光用の馬車が2台待機しています。やはりかなり大きな街のようです。
6)魔法使いのおばあさん(前のシーンでは掃除をしていました)が、空飛ぶ?箒を売っています
8)広場の向こうでは、すでに買った子どもが箒にまたがって遊んでいます
 ひよっとして、本当に空を飛んでいたりして。

9)お巡りさんに地図を出して質問している人がいます。観光客でしょうか。これから、市場を見学するのに、どこへどういったらいいのか分からないようです。

10)肉のかたまりを吊した店があります。ハモン・セラーノ(スペイン語:Jamon Serrano)やハモン・イベリコと呼ばれる生ハムです。スペインでハム(ハモン)と言えば、生ハム「ハモン・セラーノ」を指すそうです。日本の生ハムに比べてじっくりと熟成されたハムで、噛むほどに肉の味が出てくるのだそうです。生ハムは煮たり焼いたりしてありません。
 骨付きの足をそっくりハムにして吊してあります。これを薄くスライスして食べるようです。
 ちなみに、ハモン・イベリコは、スペイン固有種で、ドングリを食べて育った「イベリコ豚(黒豚)」を使って、さらに長期間熟成させた高級品です。
12)買い物に気をとられていたのか、女性がひったくりにあって、返しなさいと手を上げています。となりでは、男性が驚いていますが、追いかけようとしていません。
13)かばんを持って逃げているのは、どうも子どものようです。
14)大きな体重計に、とりわけ太目の女性が乗って量っています。
15)四角なビンに色とりどりのものがあって、小さなスコップのようなものですくうようになっています。台秤りがあるので、量り売りしているようです。何でしょうか?香辛料ではないかとの説があります。台秤の前でビンに手を置いて話しているのが店主でしょうか。
19)松葉杖をついた男性がいます。怪我をしても、メルカードにはやってきたいのでしょう。
20)隣は 果物を売る店のようです。パイナップル、メロン、ナシ、バナナ、・・・
22)丸い屋根の屋台は、コーンがあって、アイスクリーム屋さんでしょう。
24)スカーフをした女の人が覗き込んでいるのは、食器屋さんでしょうか。ずん胴の鍋、大きな水差し、ポット、ビンでしょうか。
26)手前の茶色の服の人と隣でエプロンの紐が背中でクロスしている女性が店主夫妻でしょうか。
27)隣は服屋さんですが・・・。中央にあるのは、下着でしょうか。それとも水着でしょうか。いろんな人が取り巻く中を、駆けている子どもがいます。迷子になったのでしょうか。
28)緑の縦じまの前に立って、女性の相手をしている白シャツの男性が店主でしょうか。
34)フラメンコの衣装を売る店の前では、それはないだろうというくらい大きなパンツを売ろうとしています。確かに大柄の女性ではありますが。「これならいくら食べても大丈夫」とか言っているのかな。
40)量りの前に立って、両手に何か緑のものを持っているのは、八百屋さんの人でしょう。誰に話しかけているのかな?乳母車を押しているお母さんでしょうか。
41)野菜類は、カボチャ、大根、タマネギ、・・紫色のナス?の前で茶色のかたまり?を絵編んでいる女性も店の人??
43)八百屋さんの向こう側でも、話が弾んでいますが、何人かの人が気にしている見ている先には・・・例のシスターの二人ずれです。

44)色とりどりの商品も並べて、何を量り売りしようというのでしょうか。チョコレートやキャンディーではないでしょうか。
45)秤りのところで、女性のお客さんに話しかけているのが、店主でしょうが・・・服装が変わっています。旅人の色違いの服のようです。
46)隣の女性服の店で、白い服を売ろうとしているおじいさんが店主でしょうか。それにしても、この店はどういう品揃えなんでしょうか。右端に、キングサイズのレオタードがありますが。大きな体格の人にも、配慮?してあります。
47)チーズ屋さんがあります。切り分けたものや、丸のままのチーズもあります。
 こうしたチーズは大きさが決まっているようで、別のものの大きさを示すさいの尺度になるようです。ドン・キホーテの物語の中でも、チーズを尺度にする場面がありました。
48)並べられたビンには、蜂の絵が描かれているようです。蜂蜜のようです。これまで、ミツバチの巣箱が何度も出てきましたから、その関係もあるのでしょう。
50)オレンジの台にずらりと並んでいるのは、ワインのようです。ワイングラスもありますから、ここで飲めるのでしょう。この一帯は、男性客が多く取り囲んでいます。早速1本手を出している人もいます。
 スペインでワインといえば、ワイン袋を上に掲げて高いところから口をつけずに一気に流し込むパターンがあると思うのですが、そんな人はここにはいないようです。
51)隣の丸いテントの店は、店主がコックさんの帽子をかぶっています。食べ物を出しているようですが・・・フランクフルトソーセージでしょうか。大きいなあ!
53)魚屋さんがあります。ここはテントではなくてしっかりした屋根がついています。大きな魚を持って、元気よく売っています。相手は少しのけぞってます。
57)手前の台は、脚が中央に1本だけで、シーソー状態です。品物を並べている人は前かがみで体重をかけていますが・・・がたっとなって、大騒ぎの展開とか。並べているのは、サザエのようなものでしょうか。
58)上からつるされている、赤いものは何でしょう。唐辛子のように見えますが・・・。魚屋で売ることもあるのでしょうか
59)首にかけた紐で板を前において何か白いものを持って歩いている人がいます。この人何なんでしょう。街頭署名を集めているのでしょうか。(カザルスの像の近くですから)戦争反対の署名とか
60)チェロのカザルスの銅像が建っています。バルセロナ出身ですしバルセロナのシーンにもありました。というわけで、ここは、バルセロナのメルカードかもしれません。
61)カザルスは国連で「鳥の歌」を演奏した後で、「私の生まれ故郷カタロニアの鳥は、ピース、ピース(平和)と鳴くのです」と話しています。隣の屋根にたくさんやってきている鳥たちもピース・ピースと鳴いているのでしょう。
62))カザルスの銅像の下に、板に工具のようなものを並べて売っている、オーバーオールの男性がいます。何を売っているのでしょうか。
64)カザルス像の向こうは、生地屋さんでしょうか、店の前ではいろんな人が話していますが、どうも買う気はないようです。
65)緑の台の上は、靴屋さんのようです。ブーツが多いですね。短靴もあります。見ている人はいますが、店主がいなように思います。
66)本屋さんがあります。椅子に座っているのが店主でしょう。横で腰に手を当てて見回している人がいます。向かい側には、立ち読みしている人もいます。
68)観光馬車の二人は、結婚式のシーンの二人?ちょっと年をとりすぎているか?

72)左下 路地を自転車を押している人がいます。後ろの荷台には、ラッパ(ホルン)のマークがついています。これは、郵便馬車のラッパで、ヨーロッパ各地で使われる郵便局のマークです。
ちなみにスペインの場合は王国ということで、左の写真のように、上に王冠が乗っかっています。ちなみに郵便のシンボルカラーは、赤ではなくて黄色です。
郵便屋さんは、牛追い祭りでの初登場以来、4度目の登場です。
73)屋根の上を、二匹の猫が歩いています。
77)旅人の少し前の壁に、十字架が埋め込まれています。
81)犬小屋があって、犬がいます。例のピカソの犬でしょう。

 上に書いたように、ここがどこのメルカードであるか、特定する情報がありません。ただ、他の国の文化を思う場合、国ごとに単一なものに感じてしまい勝ちですが、日本も北海道から沖縄まで気候風土が違い、食の文化も多様です。スペインもまた国内に多様な食文化を抱えていて、地方ごとに食材も違えば調理法も異なります。メルカードも地方ごとにその姿を変えるのでしょう。安野さんはあえて、ここではどこの地方と特定しにくいように描かれたのかもしれません。
 メルカードは、単に食材を手に入れる場所であるだけでなく、地域の人々の情報交換の場であり、社交の場でもあるのでしょう。このメルカードに描かれた人々も、いっぱいおしゃべりをしています。これが「正しい」メルカードの楽しみ方なのでしょう。

シーン18野外美術展(p35〜36)

0)旅人は 馬の市と野外美術館の開かれているところにやってきました。中心の道は、サンチャゴを目指す巡礼路だと思います。
野外美術館は安野さんの創作ですから、馬の市と巡礼路がヒントになると思いますが・・・ スペインで馬の産地といえばアンダルシア地方のへレスで馬市といえば、同じアンダルシア地方のセビリアです。前後の関係から、アンダルシア地方の可能性は低いのですが・・・そうするとスペイン北西部のどこかでしょうか。
写真はLa Hermidaです。町並みの雰囲気はこんな感じですね。

4)p35の上中 茶色の馬が一頭、毛の色が変わっています。どうしたのでしょう。
6)p36に右上 スペイン出身の画家パブロフ・ピカソの描いた『ゲルニカ』(Guernika)』です。
スペイン内戦の中で、1937年4月26日、スペインのバスク国の小都市・ゲルニカが、フランコ将軍を支援するナチスによって空爆を受けます。史上初の都市に対する無差別爆撃です。無差別爆撃は、日本軍による南京爆撃・重慶爆撃となり、さらにアメリカ軍による東京空襲や広島・長崎の原爆へと連なってゆきます。理由をどんなに付けても、非人道的で許されざる暴挙です。ピカソは、このことに強い抗議を込めて、この作品を描きます。縦3.5m、横7.8mの大作です。

7)絵の前には、絵筆を持ったパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)本人が描かれています。実際に半袖、半ズボンで制作に当たっていたようです。
9)ゲルニカを模写しているこどもたちがいます。

10)左隣 荷車を引く人達と犬を描いた絵があります。この絵だけは、元になる絵が見つかりません。安野さんの創作の可能性大です。
 爆撃されたゲルニカから避難する人々のイメージではないでしょうか。
絵に描かれた階段状のものは何でしょう?

11)荷車の絵も、二人の人が見ています。「何を運んでいるのだろう?」とか話しているのでしょうか。あるいは、この男性安野さん本人かも。
12)スペインのシュルレアリスムの画家サルバドール・ダリ(Salvador Dali)ダリの『茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)』です。
この絵は1936年に制作されています。ダリ本人が、この絵はスペイン内戦(1936〜39年)を予言したものだと称しています。自分の身を引き裂くかのような痛々しい表現の中に、内乱の予感をあらわしたのでしょう。
13)絵の前には、同じようなポーズを取っている人がいます。ダリ本人かも

14)スペインの画家ベラスケスの『皇太子バルタサール・カルロス騎馬像』の絵があります。
 皇太子は、スペイン王フェリペ4世と最初の妃イサベル・デ・ボルボーンの長男として、マドリードで生まれました。(皇太子でしたが、若死にをして王にはなっていません)『女官たち』のマルガリータは、異母妹になります。また、フランス王ルイ14世の王妃となったマリア・テレサは、同母妹です。。

16)スペインの画家フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ(Francisco Jose de Goya)『わら人形遊びThe Straw Manikin (El Pelele)』があります。
 絵から、わら人形が飛び出してしまっています。
17)飛び出したわら人形を指さして見上げている人がいます。その脇の二人の人も、わら人形を見ているようです。
18)絵の前では、女の人達が絵と同じ遊びをしています。
 飛びだした、わら人形を受け止めるのは、彼女たちかも知れません。
19)ドン・キホーテの話の中で、宿代を踏み倒した(物語の中の騎士はドン・キホーテに代わって、サンチョが、このわら人形のような目にあいます。

20)隣の絵は、スペインの画家ジョアン・ミロ(Joan Miro)の作品のようです。色の雰囲気や形からミロだと思いますが、作品名は、特定できませんでした。

21)絵を見ている黒服の人は、ミロ本人ではないかとの説があります。

23)ゴヤの『裸のマハ(La Maja desnuda)』『着衣のマハ』です。
 ゴヤはこの絵の為に裁判にかけられています。実在の人物の全裸を描き、陰毛まで描かれたので、依頼主を尋問されたのです。ゴヤは最後まで口を割りませんでしたが、
ときのカルロス4世の王妃マリア・ルイサの寵愛を受けて、大出世した宰相ゴドイだったようです。
(ちなみに、このゴドイと政略結婚させられたのが、カルロス4世の姪でスペイン国枢機卿の妹であったチンチョン伯爵夫人マリア・テレサです)
モデルの女性も色々取りざたされています。宰相ゴドイの愛人にしてゴヤの愛人でもあったアルバ公爵夫人カイェテナ説、ゴドイの別の愛人ペピータ(1828年に妻マリア・テレサが亡くなった後で結婚しています)説などです。まあ、謎のままがいいでしょう。ちなみに、マハ(maja)は、人名ではなく、スペイン語で「小粋な女(伊達女)」という程の意味です。


23)絵の右にスケッチブックを持って立っているのは絵描きさんのようです。ゴヤ本人ではないかとの説もあります。

24)二つのマハの前の観客の数に、明白な差があります。その上、着衣のマハの方の人は、絵に背を向けてしまっています。
 着衣のマハの方が後から描かれたそうですが、着衣のマハの方が雑に?描かれているという人もいます。トルコ風の衣服の表現が素晴らしいとも。
 ところで、背を向けている一人は、犬を抱いているようです。美術館に犬を連れ込んで良いのかな。
 隣の人は股間を押さえているようですが???

25)(例の)シスター二人が、美術館にも来ています。
 裸のマハの絵はに問題があると、審問にかけたのは当時のカトリック教会です。危うし、ゴヤ!?
26)黒いズボンに赤い服を着た人は、警察官でしょうか。シスターの出現を気にしているようです。
27)これは大変と、イチジクの葉を吊して、駆けつけている女性がいます。脇の男の人も、早く隠しなさいと指示しています。
28)椅子に座った女性と男性(右端)がいます。美術館には、こんな監視員がおられますよね。やっぱりここは美術館です。多くの絵が、マドリッドにあるプラド美術館に所蔵されているものなので、プラド美術館をイメージしているのではないかという説があります。
30)巨大な冷蔵庫のようなものは、入場券売り場のようです。塀の外には順番待ちの行列ができています。
これだけの名画が集まっているのですから、観客が集まって当然ですね。
31)行列の脇で、空を指さしている子どもがいます。何を指さしているのでしょう?
かなり距離が離れていますが、わら人形でしょうか。
32)塀の外では、子ども美術展が行われています。
 ゲルニカに影響を受けた作品のようです。大人の観客も一人ですがいます。
33)街道の手前では、子どもがコマ回しをしています。コマも国旗柄になっています。
34)道の真ん中に十字架があります。これまでにも何度かでてきましたが、次のシーンは巡礼路の目的地サンティアゴですから、巡礼者の十字架( Pilgrim cross)でしょう。
スペインにある多くの十字架の中には、巡礼がらみとは別の十字架もあるのだと思いますが、巡礼路のあちこちに、大小の十字架があるようです。巡礼を成し遂げたり、中断したりしたときに、建立していったのでしょう。巡礼者の道しるべの役目をしているようです。

36)反対側の家の中は、壺がたくさんあります。焼いているのでしょうか?
 門のデザインには、何か意味があるのだと思うのですが、不明です。

37)旅人の向こう側の壁にも、十字架が埋め込まれています。これも、巡礼路の道しるべの一つでしょう。

38)真ん中下 ロバと子どもがいます。
 ミロは抽象画を描くだけと思っていたら、具象画もあります。その中の一つに、『The Vegetable Garden with Donkey(ロバのいる菜園)』という絵があります。このロバが、絵本のロバとよく似ています。周囲の家や塀もミロの絵の中のものと似ているように思います。
 子どもはミロの絵の中にはいませんが、寂しそうなロバと何か話しているようです。
ちなみに、ミロの絵の中には菜園がありますが、絵本にも建物をはさんで、畑が描かれています。
39)梯子が立てかけられている小屋の中には、袋のようなものが沢山積んであります。何でしょう
 風車のシーンで、オリーブの実を袋詰めにしたものがこんな感じでしたが・・・。

シーン19サンティアゴ(p37〜38)

0)旅人は  スペイン北西部ガリシア自治州の首都、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)にやってきました。世界遺産の街です。キリストの12使徒の1人である聖ヤコブ(スペインではサンティアゴと呼ぶ)の墓が、9世紀の初めに発見され、聖ヤコブの墓の上に、カテドラル(大聖堂)が建設されて、巡礼の目的地となり。以来1200年間巡礼が続いているのです。
 以来ローマ、エルサレムと並ぶ三大巡礼地となります。
1)大聖堂(カテドラル)の前は、石畳になっている「オブラドイロ広場」です。ここで巡礼者たちは、到着を喜びあうのです。


2)広場を、マリア像が運ぶ列があります。背の高い十字架を掲げる人の前に、巨大な香炉が運ばれています。これは、カテドラルで行われる特別のミサで使われる世界最大の香炉ボタフメイロ(Botafumeiro)です。
 重さ80kgという巨大なものです。普段は大聖堂の図書館に保管されているます。重要なイベントの際に、聖堂の天井に吊り上げられ、専門家が振り子のように振り、宙を舞うのです。パイプオルガンの大音響がと共にその芳香が、聖堂全体を包むのです。そもそもは、800kmにも及ぶ巡礼を終えて、汗まみれになった巡礼者の悪臭を清める目的で、行われるようになったのだそうです。
3)マリア像の後を、青い服に赤い帽子の2人が続いています。どういう人なのでしょうか?前の人の顔が羊顔になっているという人もいます。単に、白ヒゲが描かれいてるだけだと思うのですが。
4)黒と赤の粋な服装の聖職者がずらりと並んで待ち受けています。多分、ミサの時の聖堂内の様子をあらわしているのでしょう。車椅子の人もいます。ちゃんと介護の人がついています。
 写真でミサの聖職者は、白い衣装のようですし、絵本の人は杖をついている人が多いので、あるいはこの人たちも巡礼者の一行でしょうか?
5)4頭立ての馬車があります。
 巡礼用?それともサンティアゴの市内観光用でしょうか?
馬車の上に6人座っていますが、どこからあがるのでしょう。下の方に、3人乗ろうとしています。
6)旗を先頭に、杖をついた2人がいます。巡礼の人達ですね
7)馬車を見ている子連れの二人がいます。大人の方(女性?男性?)の服装が、随分古風ですが・・どういう人なんでしょう??
10)階段の下に、黒い鉄柵のようなものがありますが・・・いったい何の為にあるのでしょう??
12)3)の赤い帽子の向こう側 緑の服を着た巡礼者の一団がいます。黒服の人達は、どういう関係でしょうか。
15)また、二人ずれのシスターがいます。ここまでで、彼女たちの出番は・・ロシオ、闘牛場、(チンチョンの葬儀?)、セゴビア、市場、野外美術館、そしてここサンティアゴということで、6あるいは7回・・・過去こんなに繰り返し登場した人はいなかったように思います。さすがカトリックの国ですね。
19)赤い旗を持って、つばの広い帽子をかぶった3人は巡礼者でしょう。
23)赤い服の女性から男女6人がいます。緑の縦縞のスカートの人は黄色の前掛けをして目立っています。どういう人なんでしょう
25)左方向に7人の男女がいますが、一番左の少女は、馬車を見上げています。
 この馬車は、何か特別の意味があるのかも知れません。
26)p37左 カテドラルの奥、荷車があって樽がたくさんあります。運ぶのでしょうか。
27)花を売っています。お客さんが3人。鞄を持った女性は、今まさに買おうとしているようです。隣の男性徒は夫婦でしょうか。

30)p38の中央 カテドラルとは別?の、塔が立っています。写真の右に移っている塔です。何か名前があると思いますが、不明です。
31)塔の左に男性が二人立っています。右側の人は警官のようですが。
32)塔の右 荷車を引いている人達がいます。前のシーンで、ゲルニカの絵の隣りにあった図柄と同じです。絵の中の手前に描かれていた階段状のものは、カテドラル屋根の一部だったようです。
36)ページつなぎ目の上の所に描かれているのは、カテドラルからかなり離れた別の教会のようです。
0)の写真の奥に、かすかに写っています。

 813年になって、星の光に導かれて聖ヤコブの遺骸を発見したというサンティアゴの伝説は、興味深いものではありますが本当なのでしょうか。
 考古学的には、カテドラルの地下には実際にローマ時代の霊廟と思われる石室が発見されています。ラテン語で墓地をcompostelaといいますからそれが呼び名の由来とも考えられます。墓地の主が、本当に聖ヤコブであったかどうかはともかく、この地に古の墓地があったことは本当のようです。それを、レコンキスタへ向けてキリスト教徒の力を結集するために、聖ヤコブの墓地としてキリスト教の聖地に仕立てたのではないでしょうか。当時のキリスト教勢力の、プロパガンダの一つであったと考えて良さそうです。
このように分析してしまうのは、無粋なことなのかも知れませんが。そのようなことも含めて、発見以来1200年の歴史の重さは色あせないと思います。 

旅の絵本5表へ  前のシーンへ

シーン20コカ城(p39〜40)

0)旅人は コカ城(Castillo de Coca)にやってきました。
 実のとろ、長い間この城のモデルがどこにあるのか謎でした。前のシーンも次のシーンもガリシア自治州なので、当然ガリシア地方のことと思っていましたが、どうもカスティーリャ地方に戻って、セゴビア県のようです。セゴビアから47kmほどの小村コカ(人口わずか2000人)に建つ城です。いつものことですが、そのまま描くのではなく、随所に安野さんの創作が組み合わされているのでわかりにくかったのです。まず、間違いないと思います。少なくとも、重要なモデルの一つです。
 1400年頃に立てられますが、城郭設計者から技術者に至るまで、キリスト教側に取り込まれたムーア人でした。このため、ムデハル様式の城郭として、レンガが織り成す模様がとても美しい城になっています。
 19世紀にナポレオン軍により破壊されますが、20世紀になって国の予算を導入して、修復されました。
現在は、カスティーリャ・イ・レオン州立農林学校として使われています。

4)左下 豚が相撲を取っています。
 出典に心当たりが全くありません。明らかに土俵で相撲を取っているので、ヨーロッパ系の話ではないだろうと思いますが・・・日本にも、豚の相撲の話は無いし。これが、ネズミの相撲なら昔話にあるし、カエルとウサギの相撲なら鳥獣戯画というところでしょうが。
 日本の話を、豚に置き換えてできたのでしょうか。
5)相撲の周りにある箱は、ミツバチの巣箱だと思います。ただ、ここではハチが群れていません。いずれにしても、なぜここに?
7)この家のあたりは、コカの町並みをあらわしているのでしょう。人口2000人の、いい雰囲気の村のようです。
安野さんは、田舎町が好きですね。でも、この町も高齢化が進んでいるようです。
城が農林学校として使われているそうなので、若い人もやってくるのでしょうが。
10)子どもがケンカをしているのを、周りの大人たちが止めています。我を忘れているのか、抱きかかえられているのに3人とも暴れています。近くの女の子は心配しながら見ています。
 この三つ巴の争いは、なにかコカ城の歴史の中であった争いを暗示しているのかも知れません。不明です。

 コカ城を離れて、もう少し大きな視点で見ることができるのかも知れません。
カスティーリャというのは「お城の地方」という意味だそうです。レコンキスタの関係もあって、この地方には膨大な城が築かれているからです。しかし、戦いは何もムーア人(イスラム教徒)相手だけではないわけです。キリスト教国同士でも、戦争を繰り返しています。レコンキスタの視点でみると、まあ兄弟喧嘩なり仲間割れ状態です。ということで、この3人の喧嘩がそれを暗示しているとも考えられます。たとえば、レコンキスタの初期スペイン北部に割拠していたナバラ、レオン、カスティーリャの各王国とか。
 
 この視点で、豚の相撲も考えることができるかも知れません。
 イスラム教徒は、豚肉は宗教的タブーです。それに対して、スペインの重要な食品であるハモン・セラーノは豚肉のハムです。従って、豚を楽しむもの(=キリスト教徒)同士の争いをあらわしているのかも知れません。
 もっとも、鳥獣戯画のカエルやウサギは楽しんでいますし、絵本の豚の表情も楽しんでいますから、争いをあらわしたのではなくて・・・。
「遊びをせんとや生まれけむ戯れせんとや生まれけむ」の精神かも知れません。
12)変わった形の倉庫があります。ガリシア地方でよく見られる高床式穀物倉庫「オレオ(horreo)」です。雨の少ないカスティーリャ地方に比べて、湿気の多い地方(年間雨量が2000mmを記録するところも)ですから、湿気対策で高床式に作るわけです。
弥生時代の高床式倉庫のようなデザインで、ネズミ返しもついています。木造のものの他に、絵本のように石造りのものがあります。そして、屋根には十字架が飾られることが多いようです。
13)草原に敷物を敷いて、食事をしています。なんだか楽しそうです。スペイン編は他の場所でもピクニック風の描写がありました。
この様子は、何か元になる絵があるように思いますが、不明です。
 お皿が置かれていますが、その中で白地に青い模様のお皿は、ガリシア磁器のブランド「サルガデロス」(SARGADELOS)のものではないかとの説があります。
ガリシア地方には、磁器の材料となるカオリナイト(kaolinite、カオリン石)が産するのです。
14)p40上 羊飼いが犬を連れています。どうも女性のようです。ミレーの絵には、羊飼いの女性がよく描かれていましたが・・・スペインの画家の作品であるのではないかと思います。

 ちなみに、コカ城の写真の中には、羊飼いが写っているものがあるので、コカ城と羊飼いは納得です。
 ドン・キホーテの物語にも、女性の羊飼いがでてきます。
ドン・キホーテ挿絵(女羊飼い) 右図
15)コカ城の城壁の所に子どもの羊飼いがいます。
17世紀のスペインの画家バルトロメ・エステバン・ムリーリョ(Bartolome Esteban Murillo)の『Christ the Good Shepherd(善き牧者としての幼児キリスト)』です。迷える1匹の子羊をみつけて喜ぶ羊飼いに、神の愛をとくキリスト。それが神の子としてのイメージからか幼子イエスとして描かれているわけです。

ムリーリョは6人の子どもがいましたが、5人をペストで亡くし、6人目の娘も耳が聞こえなかったそうです。こどもたちへの思いを重ねて、愛らしい幼児を描いたのでしょうか。
16)旅人の後ろで、農作業をしている人達がいます。 クルリ棒(唐竿:回転脱穀棒棒)を使って、脱穀してるようです。
 多分このような農作業をしている絵があるのではないかと思いますが、不明です。

17)樹皮をはがれたコルクガシがあります。コカ城の付近はコルクガシの北限をすぎていますから・・・別の地方のものでしょう。ガリシア地方なら南のあたりに行けばコルクガシがあるようです。
18)羊の毛刈りをしています。まだ毛が生えていてまるまるとしている羊と、刈り取られてしまってやたらスマートになった羊がいます。毛を刈るために足を縛られた羊もいます。
これは17世紀のスペインの画家フランシスコ・デ・スルバラン(Francisco de Zurbaranが描いた「神の仔羊Agnus Dei(Lamb of God)」です。
縛られた羊は十字架にかけられたキリストを意味します。生け贄の羊とキリストを重ねているわけです。ヨハネの福音書にはキリストのことを「世の罪をのぞく神の子羊」とあるそうです。
 また、カトリック教会における羊は、「境遇への従順、無垢で純粋な命、犠牲の喜び」を表現するものだといいます。
 キリストは、迷える子羊を救い出す存在であり、自ら生け贄になって救う存在でもあるわけです。
この絵は全く同じ構図で、角のあるものと無いものがあります。これは、アメリカのサンディエゴ美術館にあるものです。角のある方はプラド美術館にあります。絵本には角がないようですが、プラド美術館の方が正解かな

 ここは、どこなのか?
 上でも書いたように、左側3/4がカスティーリャ地方のコカ、右側1/4がガリシア地方ということで良いのだろうと思います。そして、最終ページのガリシア地方に旅人は向かいます。


シーン21バヨナ港(p41〜42)

0)旅人は ガリシア地方のバヨナ(bayona:バイオーナBaiona)港にやってきました。
手前が浜で、すぐ向こうも海です。ここはリアス式海岸ですから、岬が海に飛び出しているようになっているのでしょうか。バヨナには写真のように天橋立風の所があるので、そのイメージでしょう。
ちなみに、リアス式海岸というのは、このイベリア半島の大西洋岸が本家です。
1)牛追い祭りのシーンでもでてきた「Osborneの雄牛」があります。
2)樹皮をはがされたコルクガシがあります。バヨナのあたりは、コルクガシの北限になります。
 大西洋側はメキシコ湾流の影響か、気温が高めなのでしょう。北限が内陸部に比べて北に寄っています。

4)白い犬を必死に止めようとしている少年がいます。何で、犬はこんなにひっぱっているのでしょうか?
6)そばの丸いものは、アメリカ編では何度もでてきましたが。多分回転式の砥石だと思います。
8)茂みの中に猫の隠し絵があります。(上下逆になっています)
9)海岸で指さしている人がいます。帰ってきたピンタ号を指さしているのか?去って行く旅人を指さしているのか?
10)オレンジの木が実をつけています。

11)小さな教会があります。写真はバヨナにある教会です。この教会がモデルではないかと思います。
12)旅の友であった馬が残されています。旅人はデンマークに向かっています。

13) 帆船があります。ピンタ号(La Pinta)です。
 コロンブスは、1492年8月3日,約90名の乗組員を乗せたサンタ・マリア号,ピンタ号とニーニャ号の三隻の船でパロス港を出帆しました。旗艦であったサンタ・マリア号は座礁したため放棄。ニーニャ号とピンタ号で、帰路に向かいます。ところが、嵐にあってコロンブスの乗るニーニャ号はリスボンにたどり着きます。そのころ、ピンタ号が一足早く(1493年3月1日)バヨナに着いていたのです。従って最初に大西洋を往復し、その知らせをスペインにもたらしたのは船はピンタ号ということになります。
 バヨナには、ピンタ号の復元模型があります。
14)お墓があります。スペインのお墓には、糸杉がつきものとか。ここにも、糸杉があります。
16)女の人が、何か持って歩いています。なんでしょう。
17)ブドウ棚があります。
18)異様に小さな小屋があります。結婚式のシーンでも小さな小さな小屋がありましたが??
19)小さな小屋の右側の茂みの中に、オオカミの隠し絵があります。(これも天地逆さまです)
  スペイン編で、3度かオオカミがでてくるのは、実際にスペインにオオカミが生息しているので、そのことをあらわしているのだと思いますが、他に何か意味があるのでしょうか。
20)ブドウ畑の脇にサボテンが生えています。ここは、降雨量の多い地域のはずですが??
21)ブドウを籠に一杯摘んだ女の人たちが休憩しています。
22)子どもが3人遊んでいます。前のシーンで大喧嘩をしていた3人ではないでしょうか。まあ、子どもの喧嘩はそんなものです。
 前のシーンで想像したように、レコンキスタの時のキリスト教徒同士を象徴するとすると、協力してイスラム勢力に当たっている姿を、暗示しているのでしょう。
 ところで、一人は長い棒を持っています。釣り竿でしょうか。すると、「浦島太郎」で亀をいじめている子どもたちにも見えます。
 もしそうなら、亀はイスラム勢力(ムーア人)ということでしょうか。浦島太郎は現れないようです。
23)荷車に何か積んであります。ジャガイモでしょうか?
25)ここにもオレオが立っています。右側のオレオには十字架が掲げられていません。あるなしには何か訳があるのでしょうか。
26)洗濯物が干されています。
スペイン編では、とりわけ多く洗濯物が描かれていました。ここには、カタルーニャ旗のような洗濯物があります??
27)向こう向きに座った女性がいます。何か作業をしているようなのですが?不明です。
30)オレオのネズミ返しに阻止されているネズミがいます。

旅人のスペインでの旅は終わりました。
コロンブスの新大陸発見の影が、第4巻のアメリカ編から続いて、最後まで貫かれました。
バヨナは小さな漁港ですが、ピンタ号が訪れたことで歴史に名をとどめています。
コロンブス自身は訪れていないのに、コロンブスの銅像があったりします。
バルセロナにも(こちらはコロンブスが訪れていますが)、行かなかったはずのサンタ・マリア号の復元模型がありました。
スペインの人にとって、コロンブスの栄光は忘れがたいのでしょう。

さて、旅人が次に向かうのは、デンマークですが、スペインとデンマークの関係は何があるのでしょうか、それに対する答えは、デンマーク編で見つかるでしょう。

「裏扉」
 例によって、扉の絵の鏡像です。
 描かれた教会は、特定できませんでしたが、スペインの旅を終えて改めて見てみると。この教会は、サンティアゴへの巡礼路の途中にある教会の一つではないかと思います。特定の教会というより、沢山の小さな教会のイメージを凝縮しているのかも。


スペインの旅を終えてみて、マドリードの不在が気になります。国を特定していない1巻をのぞくと、イタリア編のローマ、イギリス編のロンドン、アメリカ編のワシントンといずれも首都は、明確に描かれていました。

 ところが、このスペイン編では、首都のマドリードは意識させるものの、ついに明確には描かれていません。
 一方で、スペインの中にある独自の文化を持つカタルーニャやバスク地方、アンダルシア地方、ガリシア地方の並んで、カスティーリャ地方も描かれてはいます。トレドもチンチョンもアビラもセゴビアもコカも丁寧に描かれています。ところが直前まで来て、マドリードだけ飛び越されるのです。ただ、市場はマドリードの市場だったかも知れないし、野外美術館はマドリードのプラド美術館所蔵の作品が多くでてきました。とにかく、十分にマドリードは意識させられるのです。マドリードには世界遺産の王立エル・エスコリアル聖ロレンソ修道院など描く対象がいくらでもあると思うのですが・・・。きっと、安野さんには、なにか明確な意図があってのことだと思うのですが、探り切れませんでした。

コンパクト解説「を遊ぼう」5一覧へ
」コンパクト解説TOP 
 を遊ぼうTOP