を遊ぼう」6-3

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シーン9テナーの街(p17〜18)


0)旅人は、ドイツ国境の街、テナー(Tonder) にやってきました。南ユトランド地方でもっとも古い町の一つで、古くからの町並みが良く残されています。

1)中央に鞭を持って像があります。
 これは、市の立つ広場(Market Square)にある、カーマンネン(Kagmanden)という木造彩色の像です。

1699〜1920年まで、公正と秩序の番人として設置されていました。現在の像はレプリカで、オリジナルは、博物館にあるそうです。
 犯罪者は、カーマンネン像の杭につながれて公開のむち打ち刑に処せられたそうです。像も、右手に鞭を持っています。

カーネマン像(大きな写真)
http://donwiss.com/pictures/Denmark-2005/h0069.htm

2)カーネマンを描いている画家がいます。これはもう、安野さん自身でしょう。

3)画家を見ている子どもたちがいます。安野さんがスケッチしていると、子どもたちや街の人がのぞきに来るというのはよくあるようです。

4)RESTAURANT(食堂)と書かれた建物は、上の写真のカーネマン像の右奥の建物の上部とそっくりです。
また、Den Gamle By(オールドタウン)野外博物館にある郵便局と似ているようにも思います。
・・・看板に描かれているのはなんでしょうか?

5)p17下 鞄を持った女性が二人、話しています。
6)時計を看板にしている建物は、時計屋さんと言うことでしょう。
 この木組みの建物、前のシーンで小クラウスがのぞきこんでいた農家とそっくりです。

7)女性が二人歩いています。

8)手回しオルガン(オルゴール)を回している音楽師がいます
以前にも触れましたが、『柳の下で』のクヌートは、ヨハンネが婚約者といるところを見て、故郷を目指します。そして、異国の地で故郷デンマークの曲を奏でる手回しオルガンひきにであい、ますます望郷の念にとらわれ、故郷への道をひたすらに進みます。

9)赤い木組みの家があります。時計の家と木組みの様子がよく似ています。木組みは少し違うのですが、Den Gamle By(オールドタウン)野外博物館にある建物に雰囲気の似ている建物がありました。

10)黄色の壁の家に面白い看板が掛かっています。何の看板でしょうか、不明です。

11)前のページに続いて大小のモミの木が運ばれてゆきます。やはり、大小のクリスマスツリー用と考えて良いのでしょう。と言うことで、これも『モミの木』関連です。

by forest-doorさん

P.16に続いてもみの木を馬車で運んでいます。大人が馬車で大きいもみの木を運び、そのあとを、大人と同じようにしてろばで小さなもみの木を運んでいる子供がいます。お手伝いなのか、ほほえましいですね。
デンマークでは、クリスマスシーズンになると街の広場でクリスマスツリーの露天商が出るそうです。多い時期には一日当たり150万本(!)のクリスマスツリーが売られ、またドイツやフランス、スイスにも輸入されているそうです。


12)旅人の左前方 カヤを刈っている人たちがいます。茅葺き屋根に使うのでしょう。
 
13)材木を運ぶ馬車が二台行きます。これも、『モミの木』でしょう。こちらは十分に大きくなって、コウノトリが見てきたように、船のマストに使われるのだとおもいます。

14)中庭で、石蹴りをして遊んでいるこどもたちがいます。
15)遊んでいるこどもたちを、赤ちゃんを抱いたお母さんが見守っています。
16)中庭から階段で2階に上がることができるようになっています。2階には、洗濯物が干してあります。縦に連なっているのは何でしょう?スペイン編ではニンニクだったのですが、デンマークでもニンニクを吊しておくのでしょうか?

17)広場に向かって、観光馬車が行きます。写真の馬車は、Den Gamle By(オールドタウン)野外博物館にある馬車です。

18)エプロンをしたおじさんと女の人が話しています。二人の背後には、壺の看板があります。おじさんは焼き物工房の人のようです。

19)左の小屋では、女性が壺を作っています。デンマークの焼き物としては、ロイヤルコペンハーゲン(Royal Copenhagen)が有名ですが、陶磁器メーカーとはいうものの、磁器が中心です。ここの窯は、粘土の色からして、陶器のようです。

20)男性が二人で、板に6個の壺をのせて運んでいます。
21)棚には、整形のできた壺が干してあります。
22)焼成用の釜があります。そのための薪が沢山積んであります。薪の木口のうち4つに顔が描いてあります。薪割り用の斧があります
 煙突が、上になるほど大きく描かれています。上から見ての、遠近法が採用されているようです。

23)ネズミとネコ?の後半部があります。前の前のシーンでイーダちゃんを見ていたネズミとそれを見ていたネコではないかと思います。
 ネコの向こうに、大きな壺が3つ並んでいます。この壺も、ここで焼かれたのでしょうか。

24)馬車の工房があります。看板は、車輪です。Den Gamle By(オールドタウン)野外博物館にも、同じような看板が掛かっていました。

25)子どもが二人がかりで、車輪を締め付けています。

26)回転形の砥石を使って、刃物を研いでいる男の人を、子どもが興味深そうに見ています。砥石は、足踏み式で回るようにしてあるようです。
 回転砥石は、アメリカ編では何度も出てきましたが、何に使うものか、見当が付きませんでした。スペイン編の最後で、斧の近くに置かれていて、砥石であるとことが想像できました。そして、ついに使っているところが描かれました。

27)色々な馬車があります。車輪は、手前の2台はスポークを張ったものです、一方向こう側の一台と修理中の車輪は木製車輪です。

28)テーブルでは木製の車軸を組み立てています。
29)塀の向こうの木材は、馬車を制作するためのもののようです。
30)建物の壁には、車輪や工具がかけてあります。
31)工具のかけてある建物は、テナーの旧修道院付属のパン工房の上部と似ているように思います。

このシーンをテナーの街としましたが、カーマンネンの像以外は、この街と特定できるような建物が見あたりません。テナーというよりは、ユトランド半島(あるいはデンマーク)の古い街を描いてあると考える方が適切かも知れません。



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シーン10裸の王様(p19〜20)

0)旅人は 首都コペンハーゲンにやってきました。スペイン編では、一度も描かれなかった首都ですが、デンマーク編ではたっぷり描き込まれます。
 手前に描かれているのは、コペンハーゲン市庁舎(Town Hall )です。赤レンガ建築で、ところどころに金箔が使ってあります。

1)左手に見える塔は高さ106mで、鐘楼になっています。15分に一度、鐘の音を響かせます。登ることができるようです。
 岡山県の倉敷駅のすぐ北側に、コペンハーゲンのチボリ公園と提携した、「倉敷チボリ公園」があります。駅前には、この塔を模した塔が建っています。

2)屋根の中央には、市章が金色に輝き、左右には杖を持った像がずらりと並んでいます。何かいわれのある像だと思うのですが、不明です。衛兵のようなものでしょうか?

3)市庁舎の左にそびえる塔の上に立つのは、『ルアー笛吹きの像』です。バイキングの古楽器を吹いています。
安野さんは、ジーグフリート・ワーグナー作「古楽器の楽隊」の像だと解説に書いておられるのですが・・・ジーグフリート・ワーグナーは、ドイツの作曲作曲家だと思うのですが??
同名の、彫刻家がデンマークにいるのでしょうか??
by forest-doorさん

P.19の高い塔の上に立っているのは、ジーグフリート・ワーグナー作「古楽器の楽隊」の像、と解説にありました。ジーグフリート・ワーグナーといえば、「ニーベルングの指輪」などで有名なリヒャルト・ワーグナーの息子で父とおなじように作曲家。その作品に「古楽器の楽隊」というものがあって、こうしたモチーフになっていると思われますが、なぜそれがコペンハーゲンにあるのかなどは、わかりませんでした。


4)塔の下には、アンデルセン像があります。
 像は市庁舎の西側(右側)を通るH.C.アンデルセン通り(H.C. Andersens Boulevard )にあって、チボリ公園を見上げています。実際には市庁舎に向かって右側にあります

5)アンデルセン像の横では、像のまねをしている人がいます。この人、空気椅子状態です。この体勢を続けるのは、かなりつらいだろうと思います。

6)赤いスカートの女性は、感心してみているのか?それとも、いい加減にしなさいと止めようとしてるのか?どちらでしょう。

7)右中 噴水があります。コペンハーゲンにある北欧最大のストロイエのアマー広場にある「コウノトリの泉(噴水)」です。この噴水の所では、コウノトリにあやかって、卒業したばかりの助産師さんが、卒業を祝して踊るのだそうです。
 右の写真の左奥にある茶色の建物は、ストロイエにあるロイヤル・コペンハーゲン陶磁器工房」(The Royal Copenhagen Manufactory)の建物です。絵本では木組みの家として表されています。王室御用達で、日本の有田焼に影響を受けた焼き物を作っていましたが、名称を残すことを条件に民家企業になっています。そのマークはデンマークを囲む3つの海峡を現す3本の波形ラインの上に王室御用達を意味する王冠が輝きます。絵本では、
そしてデンマークの国旗が掲げられ、前を行く王様の行列の王冠が店の飾りのようになっています。

8)「裸の王様」のご一行のパレードがあります。
アンデルセン童話の『皇帝の新しい着物(裸の王様)The Emperor’s New Suit 』からです。

挿絵は、ペーダセン(Wilhelm Pedersenの描いた絵です。

バカには見ることができないと言われて、有りもしない衣装をみんな見えないと言い出せないままの、二重三重に恥ずかしいパレードです。
 日本では裸の王様の表現は、安野さんが描かれているように、王冠とパンツ一枚の姿に描かれることが多いように思います。原作の挿絵では、パンツ以外の下着もつけています。素肌の上に豪華な服を着るわけではないので、これが正解なんでしょうし、当時の読者にとっては、リアルだったと思います。ただ、これだと「王様は裸だ!」の衝撃が弱くなるからでしょう、欧米の挿絵でもパンツだけのものも結構あります。

9)右下では ペテン師の二人が、「世にも美しい服ですが、自分の地位にふさわしくない者や、手におえないばか者には見ることできないのです。当然、皆様にはしっかりとその美しさを見ることができるでしょうが・・・。」などと、言いくるめています。

10)左下には、お金を手に入れて、さっさと逃げ出している、ペテン師たちがいます。

11)行列の見学をしている人たちを見てみましょう。
 色んな人がいますが・・・噴水の右に5人立っています。背後を子どもが二人走っています。行列の中心部を見ようというわけでしょう。
7)噴水の左には、車椅子の女性を押す男性がいて、丁寧に帽子を脱いで敬意と歓迎の意を表しています。が・・・この人も、実は裸の王様が見えているわけですから、心中いかがなものでしょうか。

12)子どもと並んで帽子を振っている人は、その隣の女性とで家族でしょうが・・・帽子を振りながら、見ているのは王様ではなく、行進の先頭の方向です。やはり、裸の王様を直視するのは、耐えられないのでしょう。あるいは、私は自分の地位にふさわしくない者ということだろうか、これがばれたら大変だと動揺を隠そうとしているのか。

13)次の帽子を取って降っている人まで、7人はリアクションがありません。目の前の現実が受け入れられず固まっているのかも。背後にも二人行列を見ている人がいます。

14)緑の服の女性とシルクハットの男性は夫婦でしょうか。手もつないでいます。
15)子どもを連れた、赤と白の縦縞の女性は、大きな人です。

16)松葉杖を突いた男性に連れられた子どもが、王様を指さして、無邪気に何か叫んでいます。「だけど、なんにも着てやしないじゃないの!」
 その子の父親は「こりゃ驚いた、おまえさん、無邪気なものの言葉を聞いてやってくれ。」と言います。こうして、・・・とうとうしまいには「なんにも着ていらっしゃらない!」と皆叫び出すのです。

アンデルセンが参考にしたのは、フアン・マヌエル(1335)の『ルカノール伯爵』であると考えられています。同じく、この作品を参考にして、1902年に黒岩涙香が『霞の衣』という題の作品を書いています。これらの作品の比較を精密にしたHPがあります。
日・EUフレンドシップウィーク企画展示
アンデルセンと「裸の王様」
http://www.lib.hit-u.ac.jp/service/tenji/eu/andersen2005.html

17)王様の行列は、「裸だ!」と言われても、王様本人が分かってもやめるわけに行かず、続きます。

18)警察官が二人、警備に立っています。さて、この事態をどうしたものでしょうか。

19)国旗デザインの壁を持つ六(8?)角形の建物は、コペンハーゲンのニュートゥNytorvにあるキオスクです。19世紀からの建物のようです。
 国旗の左には、安野美術館のマークが描かれています。

20)行列が行くのを、白い荷物を背負った夫婦が、子どもを連れて見ています。
21)お母さんと一緒の女の子も、秘密の暴露をしているのでしょうか

22)背後の警官も、それを止めようとはしていないようです。
23)騒ぎを聞きつけて、駆けつけている子どもたちが6人います。
 この6人、3)の『ルアー笛吹きの像』を飛び越しているようにも見えます。もちろん、だまし絵です。

24)衣料品のお店があります。
大きなパンツを持った女性がいます。安野さんは、市場のシーンではよく大きなパンツを持った人を描きますが・・今回は、王様のパンツとの関連でしょう。着替えようとか・・・

25)色々な人が、衣料品を選んでいます。
26)姿見を見て、いる女性がいます。王様にも見てもらって、恥ずかしさ全開になってもらいたいものです。
27)黄色のテントの左端の所に立っている人は何をしているのでしょう?

28)橋の上で、袋の中に入ろうとしている人がいます。アンデルセン童話の『大クラウスと小クラウス』からです。いつもひどい目に遭ってきた小クラウスの「袋に入って橋から落ちれば、海牛が手に入る」という口車に乗せられて、袋に入っている大クラウスです。
 ここで「海牛」は、水の中に住んでいる牛の意味なので、小クラウスのでっち上げですが・・・「ウミウシ」は存在します。軟体動物で、いわば貝殻が消滅したり痕跡程度になった貝・・・まあ海にいる色目のいいナメクジのようなものです。漢字で「海牛(かいぎゅう)」の場合は、ジュゴンやマナティーなどの海棲のほ乳類になります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%9F%E3%82%A6%E3%82%B7
 左の挿絵は、Vilhelm Pedersen によるもので、本当に橋から大クラウスの入った袋を投げ捨てています。もう完全に、犯罪というか殺人ですが・・・。その前に、大クラウスは、小クラウスを入れたはず(おじいさんにすり替わっていました)の袋を投げ入れていますから、「目には目を」なんですが。やっぱり、犯罪です(^_^;)
 もちろん、物語では、誰も警察に通報なんかしませんが。


29)橋の手前にある縄を編んだような屋根の建物は、旧証券取引所です。
 スロッツホルメンにあります。建築王といわれたクリスチャン4世(Christian IV)の建設です。1619年に、貿易品の取引所として建設が始まり、21年かけて完成したといいます。そんなに時間をかけていたら、経済情勢が変わってしまうだろうと思うのは、現代社会に生きる者の視点でしょうか。
 縄を編んだような屋根は、神話に出てくる商業を守護する4匹の竜が尾を絡ませている姿を現しているのだそうです。建設当時は、証券取引といっても株式はありません、高価な宝石や焼き物が取り扱われていたそうで、その商品取引の証券のようです。現在は、商工会議所の事務局が入っているそうです。
by forest-door さん

旧証券取引所です。オランダ・ルネッサンス建築様式だそうです。この特徴的な屋根は神話の世界で商業を意味する4匹の竜が尾を巻いた形に作られているとのこと。
さてこの旧証券取引所や、ローゼンボー宮殿、ラウンドタワーなどを建てたのは建築王といわれるクリスチャン4世。
17Cに贅を凝らした様々な建築を建てた王だそうです。財政に響くほど、建築につぎ込んだとか…


30)手前のレンガ造りの建物は、所在がコペンハーゲンではないのですが、フレデリクスボー城だと思います。写真の中央部分が、取り入れられているのだと思います。
ルネッサンス様式の城で、貴族の館だったものを、1560年にフレデリック2世が手に入れ、息子の建築王クリスチャン4世が、60年かけて完成させたとか・・・。ということで、旧証券取引所とはクリスチャン4世つながりというわけです。

31)左 若い男女が手をつないでいます。デートでしょうか。
 アンデルセン童話の『柳の木の下で Under The Willow Tree 』のクヌートとヨハンネだと思います。
 ここは、コペンハーゲンですから、ヨハンネを追ってコペンハーゲンにやってきたクヌートが、幼なじみとして温かく迎えられた時の事かなと。ただ、恋心を打ち明けるクヌートに、ヨハンネは友達でいましょうと、やんわり拒絶して、フランスに旅立ちます。
 手をつないでいる事に注目すると・・・イタリアのミラノの大舞台に、さらに大成功しているヨハンネを発見します。ところが、舞台の後、彼女を追いかけてみると、婚約者と一緒にいるところを見ます。ショックを受け、子どもの頃共に遊んだ、故郷を目指すクヌートが、死の直前に見た幻のシーンということになります。砂糖菓子の新郎新婦に見習って、手を取り合ってキェーエの教会へ向かいます。現実ではありませんが、クヌートにとって一生のうちで一番楽しかった時でした。

32)ポンチョを着た、南米アンデス風のストリートミュージシャンがいます。デンマークとアンデスのつながりがよくわかりませんが、バイキングの古楽器との関連でしょうか。

33)一番左で演奏しているのは、牛の皮を張った太鼓「ボンボ」です。リズム担当です。横笛は、葦でできた「ピファーノ」です。続いて長短の葦を並べた「サンポーニャ」。弦楽器はギターから進化した「チャランゴ」あるいは「マンドリーナ」。そして一番右はタンバリンでしょうか。

34)足下の、器は投げ銭入れということでしょう。

35)沢山の人が取り囲んで、演奏を楽しんでいます。左側には、ベンチに座った人たちがいます。手前の人は随分リラックスして聞いています。ストリートですから、こんな聴衆もOKですね。
36)立っている人、足を投げ出している人、膝を組んでいる人、色々です。袋の荷物は、膝を組んでいる人の持ち物でしょうか。
39)箱のようなものに座っている人がいます。どこから持ってきたのでしょう。
40)自転車を止めて聞いている人が二人。黒いワンピース状の服に黒い帽子の人は?牧師さん?それとも、スカートの人と手をつないでいるようなので夫婦でしょうか。
41)小さな子が、演奏している人たちに近づこうとしています。お母さんが、止めようとしています。
42)赤ちゃんを肩の所に抱いている人から、赤のスカートの人が受け取ろうとしています。
43)黒いバックを持った女性は、お腹がふくらんでいますが、妊婦さんでしょうか。

44)市庁舎の右側の小さな尖塔の先にのっかって、バランスを取っている人がいます。だまし絵です。

45)新聞?を、小脇に抱えて歩いています。明日の新聞には、王様のパレードのことは、どんな風に報道されるのでしょうか。
46)パレードとは関係ないように、歩いている若いカップルがいます。
47)緑のシャツの女の子は、パレード見物に駆けつけているようです。

48)街を見渡してみると、家々のほとんどが、シンメトリー(左右対称)になっています。デンマークの人は、シンメトリーがことのほか好きなのでしょう。とりわけ、裸の王様の向こう側の、木組みの家は、木組みや国旗も含めて見事に左右対称になっています。

※左の絵は、北シェラン島にあるフレデリクスボー城に飾られている絵画だそうです。背景に旧証券取引所が建っていますから、コペンハーゲンです。そして前景には、王様の行列が描かれています。たくさんの人々が、見物に集まっています。ただし、王様とおぼしき人は、ちゃんと服を着ています。このような、光景が実際にあったのでしょう。アンデルセンもそのことをふまえて、お話を作り。挿絵画家も挿絵を描いたものと思われます。

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シーン11チボリ公園1入り口(p21〜22)
0)旅人は コペンハーゲンにあるチボリ公園(Tivoli)にやってきました。

 デンマーク王クリスチャン8世が、ゲオ・カーステンセンに命じて作らせたそうです。世界の遊園地を研究した、カーステンセンは、1843年に国王から約6haの土地を借り受けて、コペンハーゲンに作り上げました。コペンハーゲン駅前にあります。
 本家チボリ公園と提携してできた「倉敷チボリ公園」も、倉敷駅の北側にくっついて建設されていて、素敵な歩道橋で繋がっています。
 名前の由来は、ローマ郊外で貴族の保養地であったTivoli(ティヴォリ)にちなんだものだそうです。こちらには、温泉もあるようです。
 アンデルセンも、元祖チボリ公園によく訪れたようです。「ナイチンゲール」は、ここでの経験が、物語のヒントとなったようです。

チボリ公園公式サイト(英文)
http://www.tivoli.dk/composite-3351.htm

1)左下 犬が1匹います。何を(誰を)待っているのでしょう?

2)門の前には、沢山の人がやってきています。子どもはもちろんですが、若い恋人風、親子風、老夫婦風、夫婦風、車椅子の人を連れてきている人など、とても多様です。字債のチボリも、年齢層の広い利用者が訪れるようです。

3)門の所に、垂れ幕が下がっています。「TIVOLI 2005」とあります。2005年は、アンデルセン生誕200年の年です。

4)青いボックスのようなものは何でしょう?色は違いますが写真にもあります。チケットの受け取りをするところでしょうか。警備の人も立っています。
5)乳母車を押した夫婦が、出てこようとしています。
6)横断幕の向こうの、白い服の女性は、何をしているのでしょう。何か鞄のようなものを持っています。

7)座席がトランク形の観覧車?があります。ただ、観覧車だとすると、縦方向に回転していることになります。ところが、そうすると、上部と下部では、トランクがバーに当たってしまいます。かといって、水平方向の回転をしているのだとすると、動力との関係で成立しないようです。だまし絵です。
 トランクは、アンデルセン童話の『空飛ぶトランク』からです。
 チボリ公園には「The Flying Trunk」というアトラクションがあります。空飛ぶトランクに乗って、動く人形の中を移動してゆくもののようです。また、The Blue Sapphire(青色のサファイア)」という、トランク型のような座席を持った観覧車があります。

8)トランクの中には、一人乗っているのと、二人乗っている場合があります。(順番待ちをしている人がいるのに)誰も乗っていないトランクがあって、閉じられています。
9)順番待ちをしている人たちは、係員の前に、一列に並んで待っています。ただ、2番目の人は、随分大きそうですが、大丈夫かな。先頭の子どもと話しているようですが、まさか一緒に乗らないですよね。

10)観覧車?の動力は、2頭の牛です。牛が水平方向に作り出した、回転が装置によって、縦方向に変えられています。
 整備の人の足下には、大きな油差しが置いてあります。

11)バネの上にトランクや馬が据え付けられた、乗り物があります。
12)門の向こう側の横木に沿って、一列に並んでいる人たちは、どの乗り物に対して待っているのでしょう。係員の人は、待つように言っていますが。ジェットコースターだとして、どうやって乗り込むのでしょう。
13)ジェットコースターの先頭は、箒に乗った魔法使いのおばあさんです。
 その上、レールが切れて、そのまま空にあがってゆくようです。すごい!!まるで、『銀河鉄道の夜』のようです。
チボリ公園には、いくつかのジェットコースターがあります。(写真にも写っています)その他、1914年に建設されたという、世界最古の木造ジェットコースター「The Roller-Coaster」が現役稼働中です。

14)箒の所にも子どもが乗っかっています。ロープを持っているようですが・・この子どもが押さえているの?

15)先頭と2番目に乗っているのは、モグラとヒキガエル。『親指姫』に振られてしまったモグラとヒキガエルでしょうか。ここへ来て、失恋の痛手も忘れたようで、楽しんでいます。
 アンデルセンも、よく来たそうですが、彼もここで失恋の痛手をいやしていたのでしょうか。

16)続いては、子どもたちが乗っていますが、手を挙げていたり、立ち上がっています。シートベルトはしていないし、安全面で大変問題があります(^_^;)

17)次の台車ではもっと大変なことが起こっています。台車をつないでいるロープがほどけたようで、結び直しています。周りの子たちは落ちないように足を押さえていますが・・・あぶないなぁ。

18)その後ろの台車の子たちは、この事態に焦っていますが・・・その後ろのロープが今にも切れそうです。

19)次の台車の子たちは、ロープが切れそうなことに気づいたようです、何とかしようと身を乗り出しています。
20)小鳥が乗っている台車もあります。
21)トナカイの後には、サンタクロースが、プレゼントの袋と一緒に乗っています。

22)後ろには、子猫をくわえたネコ・・・クロネコヤマト?

23)カタツムリが、後ろの方にはウサギもいます。
 アンデルセン童話の『かけっこThe Racers 』からのようです。競争の結果が、1位ウサギで、2位カタツムリ!?という事態。その訳は・・・

『かけっこThe Racers 』を読むことができます。
「競争者」上田萬年(説話)近代デジタルライブラリー (国立国会図書館) 
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016138&VOL_NUM=00000&KOMA=264&ITYPE=0

24)ウサギの後ろにはカメ、この組み合わせは「ウサギとカメ」です。

25)車椅子がそのまま台車になっている部分もあります。

26)トナカイに乗っている男の子がいます。
 アンデルセン物語の『雪の女王 The Snow Queen』からです。悪魔の鏡が割れて、その破片が目に刺さったカイ少年は、雪の女王のもとにいます。幼なじみの少女ゲルダは、カイをさがして、山賊の小娘のトナカイを借りて、ラップランドに向かっています。
 この挿絵のシーンでは、乗っているのは女の子のゲルダですから、その点が違います。挿絵は有りませんが、カイと出会いその記憶を呼び戻すことができた後、雪の女王の所から帰るときに、カイとゲルダがそれぞれトナカイに乗るので、そのときのシーンと考えることもできます。

『雪の女王』を読むことができます
『雪の女王』七つのお話でできているおとぎ物語 楠山 正雄訳〔青空文庫〕
http://www.aozora.gr.jp/cards/000019/files/42387_20568.html
「雪の女王」上田萬年(説話)近代デジタルライブラリー (国立国会図書館)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016138&VOL_NUM=00000&KOMA=93&ITYPE=0

27)イノシシに乗った子どもがいます。
 こちらは、アンデルセン童話の『青銅のイノシシThe Metal Pig』からです。
 写真は、フィレンチェの青銅のイノシシです。さわると、幸せになれるのだそうで、鼻の色が変わっています。アンデルセンの時代から、色が変わっていたようです。アンデルセンは、このイノシシ像を見て、想像力を働かして、この物語を書いたわけです。
 フィレンチェのイノシシのコピーが、神戸にあるそうです。

28)滑り台があります。長い滑り台を滑り降りると、順番待ちの列に加わるようです。どうも、行列しているところは随分急な坂になっているようです。・・・安野さんそうですよね?

29)黄色の服を着た女の人が、調整しているようです。
30)制服の人は、何をしているのでしょう。
31)子どもが、何か指さしています。行列の中の子が喧嘩でもしているのでしょうか。
32)滑り台の降り口のところで、外に立っている子の位置はどうなっているのでしょうか。どうもあり得そうもありません。だまし絵です。

33)池があって、中国風の建物があります。本物のチボリ公園の景色です。

34)池のボートは「The Dragon Boats(ドラゴンボート)」という名があるようです。
船同士で、ぶつけあったりするのでしょうか?

35)中国風の建物の近くなのに、ベニス風の船があります。本当のチボリ公園にもあるのでしょうか?

36)奥に、中国風の人が、鳥を見ています。アンデルセン童話の『ナイチンゲールThe Nightingale』からです。
 皇帝の森には、世にも美しい声でなくナイチンゲールがいましたが、宮廷の人たちはそのことを知りませんでした。本で、そのことを知った皇帝は、ことのほかこの鳥を愛します。ところが、日本からこしらえものの鳥がもたらされます。いつでも、何度でも鳴く機械仕掛けの鳥に心が奪われた皇帝を残して、本物は森に帰ってしまいます。そのあげく、作り物の鳥は壊れてしまいます。心を痛める、皇帝のもとに本物があらわれます。・・・・。
 『ぶた飼い王子』の話もそうですが、作り物に心を奪われることを、アンデルセンはよしとしなかったようです。1世紀半たって、美しい曲を奏でる機械が、ちまたにあふれ、心奪われるようになる私たちのことを見通していたのでしょうか。本物より、作り物に心が奪われるあり方を、反省したいものです。

37)親子3人が通る門の脇には、地球儀が飾ってあります。中国だけでなく、他の地域の文化も紹介してあるのでしょうか。

38)馬に乗った人が、次々と相棒を変えてゆきます。アンデルセン童話の『父さんのすることはいつもよし What the Old Man Does is Always Right』からです。
 この話は、まるで逆わらしべ長者のようです。市場へ馬を売りに出かけた父さんは、客観的には(金銭的には)より価値の低いものと交換してゆくのです。馬を牛に、牛を羊に、羊をアヒルに、アヒルをめんどりに、めんどりを腐ったリンゴ一袋、といった案配です。わらしべ長者の逆ですが、同じこともあります。世間的な欲で、交換を判断しているのではないと言うことです。ただ、結果が逆なのです。この話を聞いたイギリス人が2人、これでは、この男は家に帰ったら奥さんに怒られるだろう(ぶたれるだろう)と思います。ところが、父さんはそんなこと無いというのです。・・・・はて、その結果は。
 奥さんは「父さんのすることは、まちがいない」と抱きつくのだから、驚きです。イギリス人は、「こいつは気に入った!いつも下り坂ときているのに、いつもゆかいだ!」と沢山のお金を置いてゆきます。逆転ホームラン。あれ?結局お金持ちですか。

『爺さんの為る事』(父さんのすることはいつもよし)上田萬年(説話)近代デジタルライブラリー (国立国会図書館)で読むことができます。
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016138&VOL_NUM=00000&KOMA=31&ITYPE=0

39)左下 ここにもボートが、池のそばの柳の木の一本に、顔が隠されています
 この絵は、アンデルセン童話の『ソバ The Buckwheat 』からのようです。
 節くれ立った柳の古木です。幹の裂け目から草やキイチゴのつるなどが生えているのです。柳の木は、傲慢なソバ畑が雷に打たれるのを目にします。
右の挿絵は、Vilhelm Pedersen の描いたものです

40)蒸気機関車型のトロリーバスがあります。本物のチボリ公園にも、トロリーバス(The Trolley Bus)があります。また、蒸気機関車型のジェットコースター(The Odin Express)があります。

41)トロリーバスの最後尾には、猿と犬が乗っています。
by forest-door さん

機関車の乗り物が描かれていますが、最後に乗っているのは犬とサル。犬猿の仲なんて言いますが、仲良く乗っています。
このサルからはカイ・ボイセンがデザインし、長年デンマークで売られているというお猿さんの木製人形を思い出します。
この木のおサル、とってもかわいくて愛嬌ある感じです


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シーン12チボリ公園2お化け屋敷(p23〜24)

0)旅人は お化け屋敷?にやってきました。
 門にはTIVOLIと書いてあるので、チボリ公園のようですが・・・。本当のチボリ公園にもお化け屋敷があるのでしょうか?

1)ゲートの前では、子どもたちが指さしながら話しています。「怖そうだけど入ろうか」と話しています。
2)親に連れられた子どもが3組。怖いけど・・連れてってといったところでしょうか。
3)青い服を着ているのは、警備員さんでしょうか、子どもが話しかけています。
4)生きた樹がゲートになっています。そしてゲートには、緑の顔が着いています。目線が斜め上に向かっていますが。何を見ているのでしょうか
5)ゲートの上には、リスが隠れています。顔が見ているのは、このリスでは無いかと思います。リスに、幹をかじられているのかも。

6)枝に、時計がぶら下がっています。時計を目に見立てると・・怪物の顔があります。隠し絵です。
 時計の時刻は・・・2時・・・午前2時・・・丑三つ時です。

7)時計にぶら下がった枝は、微妙なラインで描かれています。時計の先で、うねっているところが鼻に見えます。やはり、時計を目に見立てて、横になった顔があるように思います。

8)門の右には人形劇の小屋がかかっています。テントの3本の支柱が見えていますが・・・なんだか変です。子どもたちの姿が見えるように一番手前の支柱を短く描いてあるのかも知れませんが、どうもだまし絵のようです。人形使いの人たちの立ち位置も不自然です。
 そして、この部分はアンデルセン童話の『人形つかい The Puppeteer 』からです。
人形つかいは、人形が人間になって自分の言う通りにしてくれるようになったらと願います。ところが、その願いが半分だけ叶ってしまいます。人間にはなったものの、文句たらたらで、思うように動いてくれないのです・・・。アンデルセンの周囲の人たちが、彼の思い通りに動いてくれないイライラでもあったのでしょうか。

9)イスに腰掛けて見ている子どもが3人。その前に立って見ている子どもたちが4人います。イスの子は見えるのでしょうか。

11)垣根の外に、アヒルを連れた人がいます。これは、何の話でしょう?

12)中国風の建物の屋根の一部が見えます。前のページの門の続きでしょうか。

13)左上 コガネムシとカエルが話しています。アンデルセン童話の『コガネムシ The Beetle 』からです。他人に好都合なことも、自分に良いとはかぎらないようです・・・。まあ、人生そんなものです。

14)魔法使いのおばあさんに指示されて、兵隊さんが木に登っています。
 アンデルセン童話の『火打箱 The Tinder Box』からです。
 たくさんの銅貨・銀貨・金貨をもらう代わりに、巨大な犬の護る火打箱を取りに入った兵隊さんは、火打ち箱を魔法使いのおばあさんに渡さずに・・・・。
3人の兵隊さんは、木に登り、中に入り、大きな犬に向かい合うそれぞれのシーンで、同じ人物です。
巨大な犬が、木の枝であらわされています。見事な隠し絵です。

『火打ち箱』上田萬年(説話)近代デジタルライブラリー (国立国会図書館)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016138&VOL_NUM=00000&KOMA=64&ITYPE=0

左の挿絵は、Vilhelm Pedersen によるものです。

15)赤い服の女の子が水たまりの上にパンを置いて、踏み台にしようとしています。
 アンデルセン童話の『パンを踏んだ娘 The Girl Who Trod on the Loaf』からです。

物語を読むことができます
「麺麭を踏みし娘」(パンを踏んだ娘)上田萬年(説話)近代デジタルライブラリー (国立国会図書館)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016138&VOL_NUM=00000&KOMA=296&ITYPE=0

by forest-doorさん
沼地を渡るのに、両親へのお土産にと渡されたパンを踏み石にしたとき、娘は沼の下からひっぱられ、沈んでしまったのです。そこは沼のおばさんの酒づくりの場所でした。
虚栄心が強くて思いあがった娘に最後には償いと救いが与えられることを課題にしてアンデルセンはこのお話を書いたそうです。娘のために誰かが流してくれた涙が救いのきっかけになっています。誰かが自分のことを思い、悲しんでくれる、そう感じると人間は自分の行いを悔い改めることができる、そんなふうにアンデルセンは言いたかったのでしょうか。

16)娘が引き吊り込まれた所には、「沼のばあさん」が酒造りをしています。沼のばあさんが出てくる話がもう一つあります。アンデルセン童話の『鬼火が町にと沼のばあさんがそう言ったThe Will-O-The Will-o'-the-Wisps Are in Town 』です。
 飛び出した鬼火たちは、町で人間の姿になって大騒ぎをしているというのですが、それはどれでしょう。

17)丘で、女性が手をつないで踊っています。
アンデルセン童話の『妖精の丘 The Elf Mound 」からです。
 霧と月の光とで織った長いショールを着た妖精の娘たちがダンスを踊っているのです。お年寄りの妖精の王様は、偉い人を招いています。 幽霊鳥が招待に回ります。人魚の娘さんや墓場の豚や地獄の馬がやってきています。そこへ、鬼火がふたつ、お客様の到着を告げます・・・・。

19)王冠をかぶっているのが、お年寄りの妖精の王様です
 隣にいるのは、お着きの人でしょう。
 えらいお客さん(ノルウェーのドウレ山の小人の主とその息子)はまだ到着していないようです。

20)頭が燃えているように表されているのが鬼火ということでしょう。
 ちなみに、鬼火は、「誰もいないはずの場所で空中に浮かび上がる正体不明の火」の事です。言い換えると「火の玉」ということになります。死体から出た燐が発光しているのだとか、プラズマ発光だとか色々と説が有ります。ともあれ、西洋にも有ると言うことですね。ただ、アンデルセン童話を読んでいると、西洋では鬼火そのものに人格というか意志があるようになっています。

21)くちばしのようなとがった口をしているのが、幽霊鳥ということでしょう

22)足の長い化け物は、地獄の馬ということでしょう。

23)もう一匹が墓場の豚ということでしょか

24)人魚の娘さんもきています。物語では、水を離れるのが難しい、人魚のためには、水を用意してあったようですが、安野さんは省略されたようです。
 
25)ピアノを弾いているおじいさんと、それを見ている子どもがいます。
 アンデルセン童話の『Det gamle Hus古い家 The Old House』の、愛する妻を亡くし、一人静かに古くなった家に住む老人です。向かいに住んでいる少年は、古家を訪れ話し相手になります。

26)中央に階段の有る家があります。
『古い家』があらわされているのだと思います。 

27)階段の脇に、鎧兜があります。『古い家』には甲冑は出てこなかったと思いますが、少年が持ち込み、後に古い家の跡地に見つけることになる、錫の兵隊を意味するのかも知れません。

28)茅葺き屋根の家中に子どもが寝ています。これはなんでしょう?
@古い家の向かいに住んでいた少年・・・これではこちらの家の方がもっと古い。
 A アンデルセン童話の『 Historien om en Moder ある母親の物語 The Story of a Mother 』に出てくる、坊や
 Bアンデルセン童話の『Barnet i Graven 墓の中の子供 The Child in the Grave 』の坊や
 Cアンデルセン童話の『 Lille Tuk ツック坊や Little Tuck』のツック坊や

「ある母の物語」を読むことができます。
 「母親の噺」(ある母親の物語)上田萬年(説話)近代デジタルライブラリー (国立国会図書館)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016138&VOL_NUM=00000&KOMA=217&ITYPE=0

29)白衣の2人と、黒衣の1人 (死に神)がいます。この存在を考えると、28)で寝ている少年は、AかBの幼くして死んでしまう坊やではないかと思います。

by forest-doorさん

以前、聞きにいった講座でアンデルセンが作詞し、シューマンが曲をつけた歌曲のCDを聞かせていただいたのですが、これはその詩の世界を表しているように思います。
ささっとメモ書きしたのですが、アンデルセンの詩はこんなふうでした。

「母親の夢」
母親は心をこめて祈り、うっとりと眺めている、
まどろんでいるわが子を。
子供はゆりかごの中でおだやかに眠っている。
母親には子供は天使と見まがうばかり
母親は口付けしたり、抱いたりせずにはいられない。
この世のあらゆる苦しみを忘れて 子供の将来に夢をはせる、
どんな母親も見るような夢を。
だが外ではカラスが仲間と一緒に
窓に向かってこんな歌をカーカー歌っている。
あんたの子供は、あんたの子供はおれたちのもの、
いずれは縛り首になっておれたちのえさになるのさ

前半だけ見ていると子供をいとおしむ母親をうたったものですが、詩の最後は子供の死、それも残酷な死を予感させるものとなっています。曲もそれにあわせて、不協和音を取り入れた沈鬱な感じの曲でした。童話だけではとらえきれなかったアンデルセンのネガティブな面に触れたような気がしますね。



30)死に神の所にある木には、ドクロや怖げな顔が3つ隠れています。隠し絵です
 さらに、死に神の右の木の幹に、横顔が隠れています。

31)井戸の所にカエルがいます。
 アンデルセン童話の『ヒキガエル』からです。
 井の中のヒキガエルが、外に出ます。外の世界は広く。さらにさらに広い世界を目指しますが・・・・。

物語を読むことができます
「蝦蟇」( ヒキガエル)上田萬年(説話)近代デジタルライブラリー (国立国会図書館)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016138&VOL_NUM=00000&KOMA=206&ITYPE=0

32)ピアノの所から天使の所まで、車椅子を押す子どもなどたくさんの子どもが描かれています。
 この子たちは、お化け屋敷で遊んでいるということでしょうか?
 裸の王様のシーンでも同じように、弧を描いて子どもたちが描かれていました。大きくジャンプしている子どもの分解写真のようにも見えますが・・・。
この天使ですが・・・
アンデルセン童話の『 雪の女王 The Snow Queen』からではないかと思います。(左の挿絵が雪の女王)
その場合は、天使ではなく、雪の女王ということになります。
 美しいけれども、カイの記憶を奪い愛玩動物のように取り込んでしまった女王です。すると、かけてゆく子どもはカイということになるのでしょうか。
 ちなみにこのような雪の女王のありようは、グレートマザー(太母)的だといえます。グレートマザーは、育て・支える肯定的な面と誘い込み・呑み込み・とりこむ否定的な面、別の表現にすると生と死の両面をもつ母性の象徴です。
 絵本では、両手を広げ子どもを待ち受けています。それは護るためか、取り込むためか。


33)恐竜の骸骨があります。デンマークに、左の写真のようにハクジラの骨があるようです、このイメージから描かれているのではないかと思います。
骨格の背中のラインと隣り合う木の枝のラインが連続しているようです。何か意味があるのかと考えてみましたが、今のところ不明です。

34)墓地があり、墓石がたくさんあります。
 アンデルセン童話の『古い墓石 The Old Tombstone 』からです。
 誰のものか分からなくなった古い墓石は、尊敬された夫婦の墓。秘められた物語です。

35)墓場に子どもを抱いた女性がいます。
 アンデルセン童話の『墓の中の子供 The Child in the Grave 』からです。
 亡くなった子どもをあきらめることのできない母親は、死に神と共に墓の底に降りてゆきます。そこで、坊やを抱き、坊やと話し。神様から生きる力を頂いてくるのです。

物語を読むことができます
「墓中の幼児」上田萬年(説話)近代デジタルライブラリー (国立国会図書館)
http://kindai.ndl.go.jp/BIImgFrame.php?JP_NUM=41016138&VOL_NUM=00000&KOMA=186&ITYPE=0

35)駆けつけてくるこどもたちを待ちかまえている天使がいます。
 
36)天使の上の木の枝にアシナガバチの巣があります。
37)子どもが二人、木のお化けに食べられそうです。
 鋭い歯や、ぎょろりとした目なかなか怖いですが・・・口の中に入っているはずの子どもは、別の場所にいます。だまし絵ですね。

38)海賊船があります。チボリ公園に実際にあります。絵本ではどくろマークが翻っています。船には船長さんが一人だけ立っています。
 倉敷チボリ公園にある姉妹船は、17世紀にデンマーク女王陛下のフリゲート艦として活躍した船を再現したものということで、海賊船ではないようです。チボリ公園の船にもデンマーク国旗は翻っていてもどくろマークは無いようです。
 船尾に2005と記されています。アンデルセン生誕200年の年です。

39)船を見上げている人魚姫がいます。アンデルセン童話の『人魚姫』からです。

40)海賊たちが大暴れをしています。船に乗って斧を振り回して女性を追いかける二人。
41)ロープにぶら下がって船から上陸しようとしている海賊がいます・・・・。でも、よく考えると、陸からは随分離れていて、ただ空中でぶらぶらしているだけです。だまし絵です。
 この、海賊たちが、町に飛び出した鬼火だという説もあります。

42)海賊たちの向こう側に、暴れている様子を、見ている子どもがいます。
43)走って逃げる女性と男性がいます。男の方は、木の上を飛んで逃げているように見えます。これもだまし絵ですね。

44)逃げている女性の足の先に、何か虫のようなものが描かれているのですが・・・これは何でしょう?
45)池でボートをこいでいる男性がいます。
46)望遠鏡で、海賊が暴れる様子を見ている夫婦がいます。

47)夫婦の脇に立っている木には、カラスがとまっています。茅葺き屋根の中の子どもを見ているようです。不吉です。
48)右の枝に、フクロウが隠れています。そして、幹にも坊やを見ているように顔が隠れています。隠し絵です。

49)塀の外では、白い布をかぶり大鎌を持ったお化け役が3人、子ども3人を追い込んでいます。
50)人魚の外の木の幹に、大きく口を開けた顔が隠れています。隠し絵です

51)茅葺きの家の外の木2本に、幹の中に顔があります。坊やを見るような、下がり眉のお祖父さんのような顔左を見ている横顔です。隠し絵です
52)大鎌を持った骸骨が二人、入場口の人たちを木の陰から見ています。
53)右側の骸骨が右手を置いている木の枝の中に、葉が目になっていて、細い眉もある女性の横顔があります。隠し絵です。


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