by forest-doorさん そして今までの巻同様、前扉を鏡で写した風景が後扉となっています。 この鏡で写したというところが意味深だなあと思います。 というのも、「鏡の国のアリス」「不思議の国のアリス」との連想から、この前後の扉で挟まれた本文頁の旅人の長い旅はアリスのように異世界を旅していて、そのことを扉であらわしているのではないかと、ふと思ったわけです。勝手な勘ぐりですが… 本当のデンマークではなく、確かに現実に存在している建物や風景はあるけれども、そこはアンデルセンの童話の主人公たちが出てくる不思議な世界。過去も現在も、すべての時がいりまじっていて、そこで暮らす人々の暮らしや働く様子も様々。そんな世界の旅の絵本。そういった世界への分岐点みたいな感じで扉の絵は存在しているのではないかな、なんて思ったりして… 何せ、安野さんの絵本ですから、どうしても何か意味があるのでは、と考えてしまうというわけです(^^; |
by forest-doorさん 「『ちがいがあります』」の中には、美しい花だと皆から言われ、得意になったリンゴの花と、悪魔のミルクおけという名前をつけられているたんぽぽの花がでてきます。子供たちがたんぽぽの綿毛をぷうっとふきとばそうとするところが描かれていますね。 「空気のようなふわふわした羊毛の花は、細い羽か、わたくずか、うぶ毛でできてでもいるように、小さい小さい美術品です。」 こんなふうにアンデルセンは書いています。なんてうまく言いあらわすんでしょうね。 |
by forest-doorさん アンデルセンは自分をコマに、まりを初恋の人リボアにたとえているそうです。上品ぶっているまりはコマの婚約の申し出を断りますが、最後には5年間も雨どいの中にころがってみずぶくれした姿となっています。 お話はあんまりな結末ですが、初恋の人への思いは特別だったようです。 アンデルセンは死ぬ間際、小さな皮袋を首にぶら下げていたそうですが、その中にはリボアからの別れの手紙が入っていたそうです。 |
by forest-door さん そしてサーカスといえば、ピーター・スピアーの絵本「サーカス!」が思い出されます。 安野さんにも「ふしぎなさーかす」という絵本がありました。 サーカスってひとときの夢を見させてくれる場所であって、アーティストたちを刺激する何かがあるんでしょうね。 |
by forest-doorさん 島にはいくつかこの円形教会があるのですが、有名なのがエスターラース円形教会です。 円形教会は、戦争の際に住民が隠れたり、食料を貯蔵する場所があったり、窓が銃眼となったりと、軍事的な要塞としての建物となっていたようです。 絵本ではこの円形教会で結婚式が行われています。過去の戦争時を思わせるものではなく、平和で愛し合う人々を描いたところに、安野さんの願いがあるような気がしますね。 |
by forest-doorさん ガラスは砂から作られるのですが、ボーンホルム島にはとても細かい白砂の砂浜があるということで、この島にはガラス工場が造られています。 |
by forest-doorさん 「コガネムシ」のお話はチャールズ・ディケンズが、アラビアの格言や言い回しの中にある「皇帝の馬が金の蹄鉄をもらったとき、コガネムシも足をだした」という句について、「アンデルセンがこれについてお話を書くように勧める」と雑誌で書いたことから端を発しています。 そのときすぐにはお話はできなかったのですが、9年後、再びディケンズのその言葉を再読したときに突然にこのお話ができあがったそうです。 お話ってそういうふうに出来上がるときのタイミングというものがあるんでしょうね。ディケンズはこのアンデルセンのお話を読んだんでしょうか? 9年も後だったら忘れてそうですね(^^; |
by forest-doorさん 小さなもみの木は大きくなりたいと願います。船の立派な帆柱になって海を渡っていきたいと願い、次にはクリスマスにかがやかしく飾られたいと願います。森で育つ今このときをちっとも楽しく感じずにいます。 お日様の光が「おまえの中に、若い命のあるのを楽しみなさい」といっているというのに… このお日様の言葉が印象的でした。 この作品は解説によると、はなやかな世界に出たい、人気を博したいと絶えず願ってやまなかったアンデルセンの気持ちを反映しているということです。「もみの木」は結末が悲しく、アンデルセンは自戒の意味を込めて書いたのだろうとされています。 読んでいてあっ!と思ったのは、もみの木がクリスマスツリーとして飾られるシーンです。 「色紙を切り抜いた小さいあみのかごを、えだにつるしました。 どのかごにも、おかしがつまっていました。」というシーン。 この「色紙をきりぬいたあみのかご」に覚えがあったのです。 もう何年も前に、北欧のクリスマスについての本を図書館で借りたとき、 この飾りならつくれそう、と思ってコピーしていたのがこの「あみのかご」だった…というわけ。 2枚の紙をかごをあむように互い違いに編んでいって、ハートのかご状にするものです。 コピーをひっぱりだしてきて見てみると、 こんなふうに説明書きがありました。 「ハートはデンマークのクリスマスシンボルの一つです。初めてハートの飾りを作ったのはアンデルセンで、彼の博物館には今でもその当時のものが展示されています。 その後、人々は2枚の紙の組合せでいろいろな模様を考え出し、デンマークのクリスマスツリーに、なくてはならないオーナメントになりました。」 コピーしてとっておいたときは、こんな風にアンデルセンや旅の絵本につながるなんて意識してませんでしたが、何でもとっておくものですね〜 そして家を建てているそばに置かれているのは、「むすめ」とよばれる、敷石をどしんどしんと固める道具。これは「ふたりのむすめ」から。こんな道具を童話の素材にするなんて、目のつけどころが違うなぁという感じですね。 |
by forest-doorさん なぜ、こんなに手押しポンプや井戸が登場するかというと… デンマークというのは飲料水をすべて地下水でまかなっている国なのです。 なので、昔は手押しポンプや井戸で地下水をくみ上げていたんでしょうね。 デンマークは平地の国で、山がありません。よって山の湧き水から、というわけにはいかず、飲料水は全て地下水からとなります。 そのため、非常に地下水の汚染防止に神経を使っているそうです。農薬の使用もできるだけ抑えるようにしているとか。 絵本のポンプや井戸はそんなデンマークの水事情を教えてくれるものだったんですね。 |