を遊ぼう」7-2


トップページへ  を遊ぼうTOP

旅の絵本7表へ

前のシーンへ

場面5水郷の街(柯橋)

0)旅人は 紹興の近くに、1000年の伝統を誇る水郷・柯橋鎮(行政区画としては紹興市にふくまれます)にやって来ました。
 ここは、商業都市で繊維系の市場や問屋が多い街です。運河に沿って古い町並みが残っています。水郷において橋は重要な施設です。当然交通の要衝に建造されて、歩行者が利用するだけでなく運河の船も利用します。こうして、橋の袂には店が出来、宿屋や酒屋ができ、次第に橋の回りが町並みが出来ることになります。このようにしてできた街には、中心となった橋の名前で呼ばれるようになります。
 柯橋鎮の名前は、「柯橋」という橋に因んだものです。運河が十字に交差している地点に、明代再建の石造アーチ橋といわれている柯橋(新柯橋)と融光橋と永豊橋の3つの橋があります。
 左ページの上の方が新柯橋、中央下部が永豊橋のようです。
柯橋鎮の地図(google)

1)右上 運河沿いに植えられた木(柳?)につながれた馬がいます。

2)ビリヤードをしている男性(おじいさん?)が3人います。
 表紙にも出てきましたが、こんな風に野外でビリヤードをすることが本当にあるのだろうか?旅の絵本では、屋内の事でも野外に描かれる事が多いので、これもそうかとう思っていましたが、かつての日本も含めて屋外ビリヤードはあるようです。とりわけ、中国ではまだまだ盛んで、個人的なものだけでなく数十のビリヤード台の並ぶ屋外ビリヤード場もあります。ビリヤードの歴史をさかのぼると屋外のスポーツだったようです。しかし、屋外では、台のクロスが傷みます。そこで、いろいろな物でおおいをするようにしているようです。


3)魚をひらいて、干物にしています。(※左の写真は鯉の干もの)

4)子どもたちが、地面に丸い物を置いています。白いシャツの子は右手に持って投げつけようとしています。ビー玉のたぐいの遊びでしょうか?あるいは、けんかゴマでしょうか?大人が一人みています。
地面にある丸の感じや振り上げている子どもの体勢からすると、メンコではないかと思います。丸のメンコです。
中国にもメンコ遊びがあるようで、パジというのだそうです。

5)赤ちゃんをだっこしたお母さんの、脇で別の女性があやしています。
 このパターンは、第1巻(中欧編)でもありました。

6)運河の船を係留しようとしてか、ロープで引っ張っています。
7)船に乗っている人は、竿をさすでもなくのんびり座っています。
8)自転車が1台止められています。荷台の緑の箱は何でしょう?

9)洗濯物があって、女性が干しています。
10)二階の軒下には、黄色のもの(トウモロコシ?)と赤い物(唐辛子?)がつるしてあります。

11)白い物を小脇に抱えた、おなかの大きな男性が歩いています。

12)このあたり、2階部分が上に張り出していて、アーケード状になっています。日本でいえば、雪国の雁木通によく似ています。
ここでは、雪の心配はなさそうなので、雨よけと日よけのアーケードになります。そして、憩いの場ともなります。中国では廊棚というようです。
(※左の写真は、烏鎮のものですが・・・橋はともかく、左右の建物はこの雰囲気ではないかと思います。)

13)壁にたくさんの工具類が掛けてあります。
  ヤットコ、釘抜き?、・・・
14)イスに座っている人が店主だと思いますが、ここは工具売りの店?それとも修理店でしょうか。左奥には、ビンのような物も並んでいます。

15)運河をまたぐ橋があります。柯橋鎮の由来になった橋です。作り直されたのか、「新柯橋」と名付けられています。

16)大きな甕を8つ積んだ船が橋の所にあります。船頭さんは、竿をさしています。
17)橋の下を船がくぐっています。この船頭さんは、櫓をこいでいます。
18)橋の右下では、大きな荷物を担いだ男性が、降りています。
19)杖をついたおじいさんと、買い物かごを持った女性がわたっています。
20)橋の向こうの家の壁には、大きな魚が描かれています。旅の絵本第5巻(スペイン編)のシーン2の25)にも描かれていました。スペイン編では、キリスト教を暗示するために描かれたのではないかと想像しましたが・・・ここ中国では??
21)橋の左側の所に、柴?を担いだ男性がいます。
22)赤い服の人は、何をしているのでしょうか?
23)ビンをずらりと並べた店先に、イスを出して座っているのは店主でしょうか。売り物はなんでしょうか?お酒?
24)2階には、小魚を干している人がいます。つるしてあるのは、トウモロコシかな?
25)屋根の上に2羽の小鳥がいます・・・セキレイ??

26)鳥のいる屋根の向こう側の建物の描かれ方が不思議です。何かのだまし絵なのかも知れませんが、理解できずにいます。

27)店の入り口の両脇には、赤い紙に墨書されたものが掲げられています。
対聯(ついれん)です。対になった語句を、門柱などに書いたり、紙に書いた物を貼ったりするのです。左右の句が、掛け合いというか、響きあうようになっています。有名な句を引用したりするようです。春節(旧正月のお祝い)の時などに、赤い紙に書いて掲げられることが多いようです。春節の時のものを春聯というようです。
間口がとても小さいようです。ひょとして、奥はトイレかも知れません。

28)竈の上に蓋付きの大鍋がかけられています。火か燃えているようですが、いったい何を作っているのでしょうか?

29)木製の箱の荷物を積んだ船が止まっています。船頭さんは、竿をさして、手を振っています。
30)岸にも、木箱が積んであります。船から降ろして積み重ねたのか?これから船に乗せるのか?どちらでしょう。
31)手を挙げて歩いている男性がいます。船頭さんと手を振り合っているようです。

32)このあたりも、廊棚になっています。母子が歩いています。

33)壁に飾ってあるのは何でしょう?屋根に看板がありますが、読みとれません「○花○○」で、花の字があるようですから、花屋さんでしょうか?あるいは造花かも?
34)旅人は、オールを漕ぐ手を止めて、柯橋の町をのんびりとながめています。

35)左下 紹興酒の工場です。
 紹興酒は、餅米と麦麹を原料とする(醸造酒)を永く寝かせた老酒の一種です。紹興酒と呼ばれるためには、紹興で作られること、鑒湖(チェンフ)の清水を用いて醸造されること、一定レベル以上の認定された工場でつくられたものだけだそうです。できた酒は、甕に封じられて3年以上も貯蔵します。
 かつての紹興市では、女の子が生まれるとその娘のために紹興酒をつくる習慣があったそうです。生まれて満1ケ月経ったことを祝う儀式で、父親が自ら造った紹興酒の入った甕を地中に埋め、娘が嫁ぐ日に地中から掘り出して、祝い酒として皆に振る舞ったといいます。安野さんの解説では、お父さんが甕を買ってきてとあります。素人がお酒を醸造するのは、技術的にも法的にも難しいとすると安野さんが聞かれた方が妥当かともおもいます。
 以前は市内に、数百カ所物工場があったようですが、いまでは、数十カ所に限定されていて、旅の絵本に描かれているより随分規模の大きな工場になっているようです。

36)台車に載せて紹興酒の甕を運んでいます。
37)船に紹興酒の甕を載せています。
38)紹興酒工場の煙突が高く伸びています。煙突の先が、新柯橋の袂にまで伸びています。上の新柯橋の写真にあるように橋の袂に電柱が立っています。安野さんは、電柱の代わりにココに煙突の先を持ってこられたのだろうと思います

39)紹興酒の甕を積んで、運河に竿を差して運んでいる船があります。

40)手前の橋は、やはり新柯橋のこの場所にある永豊橋であろうと思います。橋に書かれている文字はよく見えませんが写真では「橋豊永」と書かれています。
ここには、もう一つ融光橋がありますが、そちらは描かれていません。

41)橋の下をくぐっている船の右側の岸で、女性が3人洗濯しています。この人達は、運河で直接洗わずに、洗濯桶を使っています。
42)壁に梯子が吊されています。梯子の左に二つある四角な物は・・・窓でしょうか。面白いデザインです。

43)肩にロープをかけている男性がいます。多分、船を曳いているのだと思います。

44)リュックを担いだ人たちが、橋を渡っています。観光客だと思います。

45)橋の右側の袂に船が係留されています。船頭さんが、右の方に歩いているようです。
46)腰の所に荷物を抱えた女性が歩いています。

47)トウモロコシが吊してあります。そして・・・白壁の所にココにも窓のような物があります。これまでの旅の絵本には、ひらがなで「あ」と書いて、安野光雅美術館のマークが描かれていました。今回は・・・・ココの窓の図案は、「安」の字に見えるのですがどうでしょうか?

48)屋根の上に棚が作ってあって、花を植えてある植木鉢がたくさん置いてあります。どうやって管理するのだろう?

49)運河のところで、編み物をしている女性がいます。これまで、旅の絵本の各編で編み物をしている女性が描かれていましたが、運河と編み物といえば、イタリア編のヴェネツィアにも描かれていました。
編み物をする人の後ろに壺が2つあります。紹興酒の甕のようです。一般家庭では、こんな所において置くのでしょうか。

50)材木が屋根に立てかけてあります。
51)軒の下に吊してあるのは鳥籠だろうと思います。中国にはこんな風に、鳥籠で鳥を飼って、散歩にまで連れて行く人が沢山いるそうです。

52)鳥籠の下にあるタライには、何か入っているようですが?
53)壁に自転車を吊しているのは、自転車屋さんでしょう。表紙にも描かれていましたが、中国といえば自転車や自転車やさんははずせないですね。椅子の右にあるのは、空気入れのようです。

54)別に自転車が2台止められていて、自転車を押している人がいます。

55)さて、人々の取り巻く中にいる人は・・・猿回しでしょう。猿まわしはインドが発祥で、シルクロード・中国を経て日本へ伝わったと言われています。猿が立ち上がって何か棒のような物を持っています。 猿回しの人の足下には、四角な箱や棒があり、タンバリンのような物を持って盛り上げています。
※絵は、張擇端の「清明上河図」ではないのですが、台北の故宮博物館にある、「清院本清明上河図」からです。
(※左の写真は戦前の中国の物ですが、やはり四角い箱や棒を持っています。) 
 ところで、紐でつながれたもう一匹は・・・ブタでしょうか。猿と豚??こんな芸をさせる人が本当にいるのでしょうか?安野さんのお遊びかな。

56)猿と豚回しを見ている人たちを見てゆきましょう。
まずは、車椅子の男性。安野さんは、障害を持つ人たちが当然のように野外に出ていて嬉しいです。
57)杖をついているおじいさんの後ろに3人います。
58)赤ちゃんをだっこしたお母さんの左右は、お父さんと子どもでしょうか。
59)後ろの荷台に籠があって、子どもを乗せている人がいます。表紙にも出てきた、後ろの荷台は、やはり子どもを乗せるためだったようです。
60)腕を組んで芸を見ている人は、芸に納得していないのでしょうか。
61)お母さんのスカートにつかまって、猿を指さして、お母さんに何か訴えているようです。なんて言っているのでしょう。
62)4・5人置いて、白いシャツの親子がいます。子どもは、豚を指さしているようです。
63)野球帽の人は、上着のポケットに手を突っ込んでいます。
64)ハンドバックを持った女性の隣の人も、腕を組んでいます。
65)男女の兄弟?が並んで見ています。
66)2人の男性の後ろに、子どもを背負って見ている女性がいます。
67)柳の木の向こうにも、3人の男女がいます。

場面5に描かれたのは・・・(トータル)  ※精確さに自信なし!?
87人( 511人)
犬や猫などペット  2匹( 6匹)
自転車  6台( 14台)牛や馬 1頭( 17頭)
自転車タクシー  0台( 2台) 2羽( 59羽)
荷車 1台( 12台)車椅子 1台( 2台)
 9艘( 32艘)洗濯物干し 1カ所( 8カ所)


旅の絵本7表へ

場面6露天市場1

0)旅人は 建物を取り壊している所へやって来ました。
 中国の発展は急速です。古い町並みがどんどん取り壊されて、新しい建物が建てられてゆきます。近代化し、綺麗になるのでしょうが・・・なんだか勿体ないような気持ちもします。

1)右上 2階に沢山の洗濯物が干してあります。(ここまで、洗濯物登場は、表紙+3場面になります)
洗濯物の下の窓の横に、不思議な書き物が張ってあります。しんにょうが読み取れますが、何か人文字というのは無理があります。何か縁起物ではないかと思うのですが?不明です。
 どうも、開運の文字のようです。寶と進をあわせたもので、これで一文字になるようです。寶が入るというような意味のようです。「寶進(たからぶね)」と読ませているところもありました。

1)糖葫芦(タンフールー)売りが、メガホンを持って売っています。
糖葫芦と言うのは、竹串にサンザシの実を10個ほど刺して、周りをリンゴ飴のように煮溶かした砂糖でからめた菓子です。サンザシ飴といったらいいでしょうか。サンザシの酸味と固まったパリパリ感の飴の甘さがマッチして美味しいそうです。飴の溶けない冬の風物詩だそうです。 サンザシの他に多様な果物を砂糖にからめる物もあります。それらを総合して、中国では糖球と呼ばれるようです。

2)犬を連れた子どもが2人、糖葫芦(タンフールー)売りを見ています。欲しいのでしょうね。

3)天秤棒で、荷物を運んでいる人がいます。

4)「卦命」と書いたテーブルで占い師がお客さんに説明してます。
背後に「善観気色」と書いています。「気色」は、心の状態が外面にあらわれたようすです。また、占いをする人は、血色とは別に、気色を見ることでその人の状態が分かるそうですから、人相見と言うことでしょうか。
左の図は『清明上河図』からです。これは代書をしているという説もあるのですが・・・よく見ると中央に吊してある紙には、「看命」とあるように見えます。すると、これは占い師ではないかと思います。

5)野菜を手押し車に載せて運んでいます。
6)買い物籠を置いて店を見ている女性がいます。
7)何を作っている店ででしょう。小麦粉を練って伸ばしているので、麺のたぐいだと思うのですが・・・?右の方では、固まりを肩の所に掲げている人がいます。
 ひらひらしている、紙のような物は何でしょう?

8)隣の店は、3人のお客さんがのぞいています。こちらも食べ物屋のようですが・・・ぶら下がっている茶色の物は何でしょう?肉でしょうか?

9)運河では、野菜などの洗い物をしている人がいます。そんなに綺麗な水には思えないのですが、衛生的にどうなのでしょう?

10)自転車を押している人と話している人がいます。
11)箸を持って、タライのような物から何か売っている女性がいます。これも、食べ物だと思いますが・・・何でしょう??
12)縦縞の横幕を垂らした、門のような物があります。この向こうは、商店街のようになっているのでしょうか
13)11)の奥にも、何か売っている人がいて、それを見ながら歩いている人たちがいます。

14)自転車を駐めて、野外で散髪しています。移動散髪屋さんです。
  『清明上河図』にも、ひげそりをしている場面が描かれています。右図ですが、分かりますでしょうか。ほとんど野外で右の人が左の人のヒゲを当たっています。宋の時代の事です。
 日本にもかつては存在した露店の散髪屋さんです。中国だけでなく世界的に存在しているようですが、中国でも減ってきているようです。野外ですから、ただカットするだけです。シャンプー等は期待できないのですが、とても安価なようです。
 ハスチョロー監督による、『胡同の理髪師』という、北京の下町を舞台にした人情映画があります。北京市内の旧城壁内に点在する細い路地のことを、胡同(フートン)といいます。そこには古い町並みが残っています。映画は、そのような伝統的な古い家屋で一人暮らしをしている93歳の理髪師チン爺さんの物語です。彼の仕事は、昔なじみのお客さんたちの家を訪問して散髪することです。主演のチン・クイさんは、役者が本職ではなくて本当の理髪師さんだと言うことです。
 旅の絵本のこのシーンは、この映画を意識されているのだと思います。絵本の舞台は北京ではありませんが、古い町並みということですし、胡同もオリンピックを契機にその多くが取り壊されてしまったようですから。(一方で、胡同巡りが、北京観光の新しい目玉として注目されつつあるようです。)

15)書家が字を書いています。赤い紙に書いているのは、春節用の対聯のためのもののようです。
 左は『清明上河図』に描かれたもので、上で占い師として紹介しました。これを、文人の代書屋との分析もあります。宋の時代からこのような仕事があったのですね。

16)書家の仕事ぶりを、腕組みして見ている男性がいます。注文主でしょうか。
17)手押し車に、円筒状のものを載せて、販売しています。何を売っているのでしょう?点心のたぐいでしょうか。あるいは、アイスクリーム屋さんかも。

18)子どもを背負った女性が歩いています。前の場面で、子どもを抱いて猿回しを見ていた人かも知れません。服が同じようです。

19)自転車を押している人がいます。ここまで、自転車に乗っている人が一人もいません。何故でしょう??

20)天秤棒に野菜を積んで、置いている人がいます。

21)プラタナスの木に、「中国凧」が吊されています。凧屋さんのようです。椅子に座っているのが店主のようです。凧を見上げているお客さんが2人。

22)子犬がいます。

23)椅子をたくさん並べているのは、椅子屋さんということなのでしょう。
 椅子に座っている人が店主でしょうが、なんだか座り方が映画のエマニュエル夫人のようです。エマニュエル夫人は、イタリア編のシーン12大聖堂の場面に出てきました。

24)扇屋さんがあります。お客さんが2人、広げて試しています。
25)丸い緑の物が並んでいるのは・・・スイカ屋さんでしょうか。店主は、扇屋さんの方が気になるようです。
26)大きな網籠を天秤状にしたものを脇に置いて座っている男性がいます。これは何をする人でしょう??

27)時計やら壺やらを並べたテーブルがあります。古物商でしょうか。椅子に座ってみているのは店主?カップルに声をかけているのが店主だとすると、常連客かも知れません。
28)本を並べているのは、本屋さんでしょう、さて新本屋でしょうか、古本屋でしょうか。
29)洋服を吊した、お店があります。野外ブティック?お客さんが2人品定めをしています。

30)白いシーツをひいたテーブルに履き物を並べているのは靴屋さん

31)赤ちゃんを抱いたお母さんに横からあやしている女性がいます。
 前の場面の右上05)にいた、組み合わせと同じです。ただし、左右が入れ替わっています

32)一輪車を押している男性がいます。
33)地面にシートをひいて並べている男性は、八百屋さんでしょうか。
34)低めのテーブルに寸胴のような物と、コーヒーカップのような物を並べているのは、何でしょう?野外喫茶店??

35)運河の船に馬が2頭乗っています。船頭さんは竿を差して移動しようとしていますが、こんな感じで竿を使うと上手く進めないように思うのですが。
 馬は、唐三彩などで表現される馬とよく似ているように思います。ひょっとして、これも大きな置物だったりして。

36)材木を積んだ船を3人がかりで漕いでいます。
 右の図は、『清明上河図』の部分です。安野さんこのシーンを参考にされたのではないかと思います。清明上河図では6人がかりで漕いでいますが、船が小さくなっている分、人数も減らしています。
 『清明上河図』に描かれた船をよく見ると、前にも後ろにもろが付いています。そして、両方漕いでいるように見えます。この手の船はいったいどのように操船するのでしょうか。

37)右下 太極拳をしている人たちがいます。中国のあちこちの公園・広場で太極拳を楽しんでいる人たちを見ます。
太極拳は健康に良いのですが、難しくてなかなか一般の人には難しいようです。そこで、中国政府が1956年に制定拳として発表したのが、「簡化太極拳」です。楊式太極拳の主要な二十四の動作から構成されており、そのため「二十四式太極拳」とも呼ばれるそうです。簡略形なので、不十分の点もあるらしく、さらに改良形が作られていて、「八十八式太極拳」とか「四十八式太極拳」とか「 総合太極拳(四十二式太極拳) 」などが制定されているようです。はっきりしませんが、ここで行われているのは二十四式太極拳なんだと思います。
公園で行われているのは、太極拳だけではありません、ダンスを踊っている人たち、歌を歌っている人たち、楽器を演奏している人たち、京劇の練習をしている人たち、拳法をしている人たち、そして中国ゴマ(空竹/ ディアボロ)など、多様なレクリエーションが行われています。日本の公園の様子とは随分様子が違います。
空竹

38)中国ゴマの空竹(コンジュー)で遊んでいるこどもたちがいます。公園では子どもや老人が中国ゴマを楽しむ姿を見ます。

空竹は、日本の鼓のような形をした独楽です。多くは竹を切って蓋をした物で、側面に細長い穴が空いているので、回転したときに風を切る音がします。回転を速くして、独楽は紐の上で安定して回り続けるようになる。左側の子は回転をつけています。右側の子は、投げ上げという技を行っています。
(※左の写真は、空竹をしています。この独楽は、鼓のようになっていません、このタイプの場合、糸を離れて地上や手の上で回すことができます。右は、ユーチューブの映像です。シーガイヤでの演技のようです。)
 空竹は、趣味の世界で楽しんでいるだけでなく、修練が進んでくると、演技として見せることができるようになります。公園で行っている人の中にも人の目をひくような人も出てきます。そして、中国雑伎団の演目にも加えられています。また、体育の授業にも取り入れられているようです。日本人でもやる人がいて、大道芸ワールドカ ップで矢部亮 さんが、この技で世界チャンピオンになったそうです。4つの独楽を同時に操って、頭上十数mに飛ばしています。台湾のテレビに出演して、現地の人の大喝采を浴びていました。

39)杖をついたおじいさんがいます。
40)竹とんぼをしているこどもたちがいます。

41)ミシンで縫い物をしている人がいます。どうも、男性のようです。
 街頭での、こんなお仕事があるようです。

42)何か、小さなコマが着いた物を押している人がいますが、これは何でしょう。

43)足にギブスをはめたひとが、松葉杖を脇に置いて座っています。ここでも、付き添いの人がいます。表紙と船の修理工場の所に続いて3度目ですが、今回の人は・・・右足にギブスをしてます。
44)大八車があります。

45)入口に赤い対聯が飾ってあります。その右の壁に四角を斜めに張っているのは「倒福(とうふく)」だろうと思います。
倒福(とうふく)とは春節の際に家々に貼られる「福」の字を書いた赤色の紙。一般に上下逆さまに貼ることから「倒」(逆さにする)「福」と称される。これは、「到着、来る」という意味をする「到」も、「逆様」という意味をする「倒」も、同じ発音をしているので、「福が来る」という意味を込めているのだそうです。
 ついでに、紅福と幸福も発音が近いのではないかなと思うのですが・・。中国語は四声があるので、違うかも知れませんが。

46)運河に架かる石橋を渡っている母子がいます。この橋の位置は、前の場面の永豊橋の位置と重なるように思います。

47)左の一角古い町並みを壊しています。今、中国の街では急速に古い町並みを壊して、新しいビルが建てられています。ここにも、新しいビルが建設される予定なのでしょうか。壊す家の瓦を降ろしています。

48)降ろした瓦は、運河に泊めた船に載せています。
49)梯子の下には、リヤカーに載せた廃土があります。
50)筒を連ねて、2階の物を落としています。下では3人の人が処理しています。

51)2階の部屋壁に、掛け時計が残っています。以前の住人が残していったのでしょうか。

52)3階の以前は屋根裏部屋であったと思われるところで、屋根材を壊しています。
53)屋根の上に上がって、指揮するように立っている人がいます。
54)壊している家の、もとの門でしょう、対聯が残っています。かつての住人の思いを感じます。

55)門の前には、タンスが出されています。もう捨ててしまうのでしょうか。
56)階段があります。・・・でも、この階段少し変です。一体どのように設置されて、使われていたのでしょうか?不思議です。

57)家の向こうの垣根から、工事現場を見ている人がいます。後ろの自転車は、この人が乗ってきたものでしょうか。
58)自転車の前輪の所に、植木鉢があります。何の花でしょう?

59)屋根の上に植木鉢が置いてあります。ほんと、どうやって世話しているのでしょう?
60)ここにも、洗濯物が干してあります。中国編ではこれまで以上に洗濯物が良く登場します。
61)洗濯物の下には、編み物(何でしょう?)をしている人がいます。

62)対聯を飾った門の前で、腰に手を当てて解体現場を見ている人がいます。彼の家もいずれ解体されるうんめいでしょうか。そうであれば、色んな意味で感慨無量の事と思います。
63)門の左側、壺があります。紹興酒の壺かな?あるいは、水瓶かな?

64)門の右側の鉢のような物から、ツルが巻き上がっています。朝顔かな?
65)ここにも、自転車を押している人がいます。乗っていません。
66)犬がいます。
67)夫婦が垣根のところで、解体現場を見ています。解体されている家の関係者でしょうか、もとの住人でしょうか、親戚でしょうか、友人でしょうか?
68)廃土の所から、板?や机を引き出しています。再利用するのでしょうか?

場面6に描かれたのは・・・(トータル)  ※精確さに自信なし!?
100人( 611人)
犬や猫などペット  3匹( 9匹)
自転車   4台(18台)牛や馬 2頭( 19頭)
自転車タクシー  0台( 2台) 0羽( 59羽)
荷車 6台( 18台)車椅子 0台( 2台)
  4艘( 36艘)洗濯物干し 2カ所( 10カ所)


旅の絵本7表へ


場面7露天市場2
0)旅人は 露天市場が続く町並みで、綱渡りをしているところにやって来ました。うだつの目立つ建物があります。日本のうだつとは、デザインが異なるようですが、中国でも類焼防止と建物のデザインのようです。(※写真は京杭大運河の途中にある西塘の街のものです。)

1)右上 対聯があります。左側の紅い物は、「倒福」でしょうか?門の反対側に甕があります。やはり、水瓶でしょうか?

2)太めのおじさんが売っているのは、綿菓子のようです。前に立つている子は、欲しいのかな。

3)テーブルで売っているのは、前の場面と同じ、糖葫芦(タンフールー)売りだと思います。サンザシ飴は、このような売り方もあるようです。
ちなみに、 糖葫芦の作り方というと・・・まず、サンザシを洗います。大きさは姫リンゴくらい。そして、水で溶いた砂糖を高温で溶かします。そこに串刺しにしたサンザシをその中に差し込んでからめます。冬の寒空に出すと砂糖が固まります。砂糖がくっかないように、台にさして立てておきます。乾いた後も、一本一本は離しておきます、くっついてしまわないようにです。

4)テーブルを囲む人たちがいて、給仕をする人たちがいます。皿に何がのっているのか不明ですが、点心を食べているのでしょう

5)蒸籠がありますから、マントウか何かでしょう。女の人が前にしている寸胴のような物は何でしょう?

6)綿菓子を食べながら歩いている子どもが2人います。
7)天秤棒で運んでいる籠の中は、野菜でしょうか子どもが手を出していますが、どうしたのかな?

8)輪転がしをしている子ども達とそれを追いかける犬がいます。
  旅の絵本で、輪転がしは定番ですね。

9)長いすに座っている人たちは、休みながら近くの点心などを食べているのでしょうか。

10)テーブルの上に赤い物を載せて売っているのは何の店でしょうか?
 はっきりしませんが、栗売りではないかと思います。

11)壁に何か張り物がしてあります。何でしょう?
12)天秤棒の前後に何か吊して歩いていく人がいます。何でしょう?見当がつきません。

13)生地を売っている店があります。縞模様や水玉など色とりどりの布が並んでいます。
14)後ろ手のお客さんが、生地を見ています。

15)鳥をたくさん吊しているのは、鳥売りでしょうか。中国では、鳥籠に入れて鳥を飼う趣味の人が多いようです。椅子に座っているのが店主でしょうか?あるいは、公園に自分の飼っている鳥を持ち寄って見せ合う風習があるようですので、趣味人ということかな?

16)一番手前の鳥は、オウムかインコのようです。
17)オウム?の所で、2人の男が議論?をしています。なんだか盛り上がっています。綱渡りの事でしょうか。あるいは、鳥が趣味の二人が、鳥の事で議論しているのかも。

18)布屋さんの前の男女2人が、この議論を興味深げに見ています。いや、やっぱり綱渡りを見ているのかな。

19)三輪の自転車の荷台を売り場にして、商売している点心屋さんがいます。丸い物は何でしょう。お客さんには、袋に入れて渡しています。

20)運河をまたいでロープを張って、綱渡りをしています。肩車して、綱渡りはなかなか大変でしょう。
ところで、野外それも町中での綱渡りなんて本当にあるのでしょうか?
 あります。実に古くから、中国だけでなく、朝鮮や日本にいわば大道芸としておこなわれていたようです。
 ただし、宋代の民衆の生活を見事に現した『清明上河図』の中には、描かれていません。しかし、徐揚という人の大作で、清代の蘇州の人々の様子を現し史料価値の高い『姑蘇繁華図』には、虹橋(開封の物とは別の橋ですが、途中の橋桁が無いので同じようによばれています)の横に町中で綱を張って演じている様子が描かれています。この作品以後、都市の様子を描く図には、決まり物のように描かれていることが多くなるようです。
そして、このような技が雑技として、中国のサーカス団である雑技団につながるのだろうと思います。

余談ですが、韓国でも同じような大道芸があり、千数百年前からおこなわれているそうで、古い絵の中にも描かれています。「チュルタギ」というのだそうです。

21)この妙技を、色んな人が驚いて見上げています。指さしてみている人のけぞるように見ている人、犬も驚いてほえながら見ています。
22)缶を持って、投げ銭を要求して回っている人がいます。

23)運河に泊まった船は、建物解体の残土を積んでいるようです。
24)船の舳先には、犬がいます。
25)舳先の先に立っている赤い服の人は何をしているのでしょう。
26)椅子に座った男性は何をしているのでしょう
27)船に、提灯が飾ってあるのは、どういう意味でしょう。

28)船の屋根の上にある甕や籠のような物は、何につかうのでしょう。
29)洗濯物があります。又洗濯物です。

30)船の上では、頭上の綱渡りを無視するように、親子と男性が話しています。どんなことを話しているのでしょう。

31)プラタナスの木の下では、練炭作りが行われています。石炭の粉を突き固めています。輸送や貯蔵に便利な穴あき練炭(通称「蜂巣練炭」)です。
 私が子どもの頃は、日本でも普通に練炭が使われていました。特に冬場には、店の奥で店番をしている人の足下には練炭火鉢があり、一日中ヤカンがかけてあるというのは、見慣れた風景でした。日本から練炭が消えたのは、中毒事故の多発と、なんといってもエネルギー革命の進展で、液体燃料の石油や気体燃料のLPガスの便利さが日本の生活に位置付いたことによるのでしょう。中国でも、近代化に伴い、練炭の利用は少なくなりつつあるようです。

32)できた練炭を大八車に乗せています。
33)テーブルの上には、ここにも洗濯物です。
34椅子に座ったおじいさんは、のんびりしています。あるいは、綱渡りを見ているのかな。
35)椅子に座って編み物をしている、側にいるのはお孫さんかな
36)右下 前の場面から続く、取り壊し工事が行われています。
37)取り壊した家の壁の上を、ネコが歩いています。
38)スコップを持った人が、片付けをしています。
39)右下隅には、取り壊したレンガが積み上げられています。
40)取り壊した壁の所にいる人は、レンガを取り除いているのでしょうか?

41)ここにもミシン仕事をしている人がいます。壁にかかった服は、縫い上げたものでしょうか。ミシンはもちろん、電動ではなく昔ながらの足踏み式のもののようです。
 近頃の日本の子どもは、家庭科で習うのは電動式ミシンだから、足踏み式のミシンがあっても使えないのです。中国では、各地で現役で働いている明日踏み式のミシンを見ます。

42)仕事を見ている赤い服の人はお客さんでしょう。

43)もう一台、使われていないミシンがあります。赤い服の人が持ち主で、隣の人と仕事の話をしているのかもしれません。


44)地面に座り込んで、中央に白いものを積んで、何かやっています。一見、4人でしていて、1人が立って見ているのかと思いましたが、左端の人は近くを歩いているだけのようです。ということで、マージャンではなさそうです。何をしているのでしょうか、謎です・・・??

45)ここにも甕がおいてあります。やはり水瓶でしょう。脇においてあるのは、バケツ?かな。その上に、軒から下がっているものは何でしょう?

46)縁台に座って、将棋をしています。脇から子どもと大人が勝負を見守っています。こんな風に、縁台で将棋をするというのは、日本でも当たり前の風景でしたが、最近は縁台そのものをあまり見なくなってしまいました。日本人全体がある種の引きこもり現象になってしまったのかなあと感じます。
将棋は、日本の将棋とはいささかルールの異なる中国将棋(シャンチー)でしょう。

中国将棋シャンチー(象棋、xiangqi)については、日本シャンチー協会(略称:JXA)の HPが詳しいです。
http://www8.ocn.ne.jp/~jxa/

47)運河を観光船が行きます。当然、動力は当然人力。船頭さんがこいでいます。

48)運河にかかった、橋を自転車を押した人と、ハンドバックを持った女性がわたっています。場面5・6・7と連続してほぼ同じ場所に橋が描かれています。そして、場面5では、観光客風の4人が右から左に渡っています。場面6では、親子連れが左から右にわたっています。最後この場面7では、右と左からやってきた人が橋の中央で出会っています。
ところ、観光船と運河の橋といえば、思い出すシーンがあります。
陳凱歌(チェン・カイコー)監督による中国映画『北京ヴァイオリン/原題:和?在一起[意味: あなたと一緒に])』があります。映画は、2002年サン・セバスティアン国際映画祭で、監督賞(陳凱歌〔チェン・カイコー〕)と 主演男優賞(劉佩奇〔リウ・ペイチー〕)を受賞しています。
長編のTVドラマにも作り直されていて、NHKの海外ドラマ枠で放映されました。
主人公の劉成(リウ)は田舎で、男手ひとつで義理の1人息子の小春(シャオチュン)を育てています。小春のすばらしい才能は、北京で大成させたいと北京にやってきます。無骨でも義理の息子に対する愛情のひたむきさと、小春の反骨と純粋さに、父子の深い絆にある時はあきれながら、強く引き寄せられる作品でした。田舎でのお父さんは、こんな観光船の船頭さんと料理人をしていました。田舎でのシーンで、観光船の船頭をしている姿と、それを石橋の上から見ている小春の姿が印象的でした。

49)小さな子どもを囲んで3人の大人がしゃがみ込んで、話しています。どうしたのでしょう。迷子かな?それとも家族?お父さんとお母さんとお祖母ちゃんで何か言い聞かせているのかな。
50)ハンドバックの女性は、船頭さんと話しているようです。
51)馬乗りをしているこどもたちがいます。子どもの頃には良くやりました。走っていって、馬に飛び乗ったら、ゆさゆさとゆすったりしたものです。安野さんは、事故防止のために、最近の学校では禁止されているところが多いのだと嘆いておられます。

52)ひょろっと伸びた木があります。添え木がしてあるので、最近植栽されたんでしょう。

53)うだつの上がった、白壁の建物群は蔵だと思います。何かモデルがあるのだと思いますが、不明です。

54)柳の木があります。
55)塀の向こうを3人の人が歩いています。

56)綱渡りのロープを縛ってある木について、手前の方の木は、家と家の間から枝を伸ばしなかなか大変な育ち方をしています。そして、樹形もなかなか面白い物になっています。特に、ロープが縛ってある上の方は、不思議な曲線を描いています。何か生き物のような感じもしますし、唐草模様のような感じでもあります。
安野さんのことなので、何か意味がありそうです。あるいは隠し絵か?

場面7に描かれたのは・・・(トータル)  ※精確さに自信なし!?
99人( 710人)
犬や猫などペット  5匹( 14匹)
自転車   2台(20台)牛や馬 0頭( 19頭)
自転車タクシー  0台( 2台) 9羽( 68羽)
荷車 2台( 20台)車椅子 0台( 2台)
   3艘( 39艘)洗濯物干し 2カ所( 12カ所)


次のシーンへ

旅の絵本7表へ


   を遊ぼうTOP



 新着情報  マップ  ネイチャーゲーム  自然のおもしろクイズ  モヤさんの人と自然の出会い旅 コーネルさんの瞑想 ヨセミテの人と自然  旅の絵本を遊ぼう 行事案内  掲示板  フォールドポエム  わたしの暦  自然と遊びのリンク  お世話になった施設紹介  絵手紙展 対談ML入会  もやの世界