を遊ぼう」7(中国編)

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「旅の絵本」の7作目は中国編です。広大な中国ですが、河を下流から上流にさかのぼることでまとめてあります。安野さんが多大な影響を受けたという張擇端の「清明上河図」にインスピレーションを得ての作品でも有るようです。旅の絵本シリーズで初めて、左開きに製本されて旅人が右から左に進むのも、絹布に書かれた作品というのも中国編らしい趣を醸し出しています。

中国編は、これまでと違い、先行の研究が皆無です。隠しメッセージや物語、隠し絵といったことを見逃して先に進んでしまう可能性が大です。是非、皆さんのお知恵を拝借したいと思います。確信がなくてもお気づきの点を、どしどしご連絡いただけると大変嬉しいです。


」7
「表紙・裏表紙」「前扉」場面1湖水場面2船曳
場面3 蓮池場面4船の修理工場場面5水郷の街(柯橋)場面6露天市場1
場面7露天市場2場面8虹橋(開封)場面9京劇場面10小学校
場面11桂林場面12烏鎮場面13春節場面14結婚式
場面15兵馬俑場面16水庫(ダム)場面17嘉峪関(万里の長城)場面18敦煌莫高窟
場面19黄土高原・闘牛場面20黄土高原・ヤオトン場面21黄土高原・植林「裏扉」


「表紙・裏表紙」

        安野光雅美術館に、この表紙の原画が展示してあります。(2009年9月11日〜2010年3月10日)

0)旅人は  江南の水郷地帯の街に来ています。安野さんがモデルにしたのは、杭州・蘇州・烏鎮(うちん)・ 柯橋(かきょう)等だと書かれています。車より水運が発達しているし、用水路をまたぐ橋の風情など、東洋のヴェネツィアといったところです。ただし、歴史的には、ヴェネツィアよりも江南の水郷地帯の街の方が遙かに古いのですが。

1)左上  船着き場があります。水路の発達したこの街で、観光用の遊覧船の発着場です。
      船頭さんは、竿を遣っています。竿は櫂よりも年期がいるそうです。
(※左の写真は、昆山市の南にある錦渓鎮にある遊覧船の乗り場です。錦渓では船頭さんは全員女の人のようでした。漕ぎながら歌を歌ってくれました。地方の訛りがあるので、通訳さんも歌の内容がよくわからないといっていました)

2)遊覧船を岸でつなぎ止めようとしている人がいます。
3)ベンチに座った男性二人とオレンジの服を着た女性が遊覧船を見ています。

4)両手を広げているひとは、観光ガイドの人か、ツアーコンダクターなんでしょうね。
 色んなお客さんがいます。リュックを担いだ人や杖をついた人やカメラをもった人など、16人いるようです。

5)腰に手を当てて、観光客の一団を見ている男性がいます。
6)テーブルを出している女性は、チケット売りでしょうか?白くて丸いものが吊してありますが、これはなんでしょう?

7)表紙カバーで裏側に回り込んでいますが・・・船を修理している人たちがいます
8)赤い提灯を吊した、建物があります。モデルがあるのでしょうが、赤い提灯を吊した建物は、中国のあちこちで見たので、特定できません。(※写真は、蘇州の昆山のもの)

9)建て物の上に、一人あがっています。
 原画では、外階段があってそれを使ってあがることが出来るようになっています。

10)建物の右 ベンチに座った人が二人います。
11)何かを前に抱えて運んでいる人と、天秤棒で荷物を運んでいる人がいます。
12)屋根の向こうに 大きな箱を担いだ人と、案内するように前に立っている人がいます。
13)題名の下 大八車が有ります。懐かしいですね。
14)大八車の左側に、建物に添うように積み重ねられているのは?大八車で運ぶ荷物でしょうか?
15)橋の右には、リヤカーを自転車で曳いて、果物(?)を売っている人がいます。女性が二人お客さんでしょう。
(※写真はリアカーではありませんが・・・蘇州の街です)中国でも急速にこの手のものが減ってきています。車が増えて、自転車の多くが電動自転車に置き換わっています。どうも、電動自転車はナンバープレートはつけなければならないようですが、免許証は無しで運転できるようです。

16)テーブルの上にビンのような物を置いて、売っている(?)人がいます。ビンの中身は何でしょう。飲み物?最近はほとんどペットボトルに置き換わっています。
17)子どもの手を引く男性がいます。子どもの向きと男性の向きが違います。子どもが、大人(父親)の手を引いてこっちへ来てと言っているようです。
18)子どもが手を引っ張っている先には、色とりどりの風船を持っている人がいます。多分、風船売りということでしょう。安野さん、よく風船売りを登場させますね。ところで、今回の風船の中には、茶色で耳の着いたような風船が一個有ります。クマ型かな?

19)自転車の右に リュックを背負った人や、ハンドバックを持った人、リヤカーに興味を持っている二人がいます。
20)家の前に2つの椅子と、自転車が出ています。
21)家の中では、小さなテーブルに、二人の女性が何か話し込んでいるようです。

22)杖をついた女性が立っています。背後のお店には、何が並んでいるのでしょうか。駄菓子屋さん?
23)軒下の角で二人の男性が話しています。
24)石橋を5人の人が渡っています。一人は、杖をついたおじいさんのようです。
25)橋のたもとでは、テーブルに何か並べて売っています。テーブルの右にあるのは、蒸し器のようですから、 饅頭(まんとう)でしょうか?
 饅頭(まんとう)は伝承によれば、3世紀の中国三国時代の蜀の宰相・諸葛亮が孟獲との南征の帰途、川の氾濫を沈めるために川の神へと人柱を立てて、人の首を川に沈めるという風習を改めさせようと小麦粉で練った皮に羊・豚の肉を詰めそれを人間の頭に見立てて川に投げ込んだところ川の氾濫が静まった故事からこの料理が始まったという説がある。・・・・その後、饅頭は川に投げ入れるのももったいないので祭壇で祭った後、食べられる様になったため、饅頭は当初は頭の形を模して大きかったものが、段々小さくなっていったと言われている。」(ウィキペディア)
 だそうですから、河の近くで売っているのは、ぴったしなのかな。

26)大きな葉の木の下で、赤い実のような物を、広げて干している人がいます。赤い実のような物は、なんでしょう?
27)自転車に乗っている子と、それを押す(追いかける)子どもが二組います。自転車の練習中?

28)リンタク(輪タク)が2台停まっています。側に立っているのは、運転手さんでしょう。足下の黒い物は何でしょうか?
 日本での自転車タクシーは、大正初期に人力車を自転車がひくことで「人働車」として誕生したようです。これを戦後の石油不足のときに再登場し、自転車(銀輪)を表す輪とタクシーを合成させた輪タク(リンタク)と呼んで営業していました。写真は江戸東京博物館に展示されているリンタク。中国だけでなく、世界中(特にアジア)にまだ残っていて、比較的安価な交通手段として使われていたり、ゆったりとした観光をするための交通手段として利用されています。(ウン十年前)新婚旅行でシンガポールへ行ったとき、リンタクに乗りました。
 一方、CO2を排出しない環境にやさしい乗り物として見直されてきていて、「ベロタクシー(Velotaxi)」となずけられた自転車タクシーが、ドイツで開発されていて、日本にも導入されています。そのデザインはとてもスマートなものです。

28)壁の赤い文字は何が書いてあるのでしょうか?
29)左下 本屋さんが店を出しているようです。今までなら、安野さんお「ABCの本」あたりが並べられていたのですが・・・今回は、書名までは分かりません。

30)長い煙突の工場が有ります。お酒の工場のようです。紹興酒工場として描かれているのかな?水郷にちなんで、烏鎮の地酒「三白酒」だということにしておきます。アルコール度数55度!の蒸留酒です。
 紹興酒にしろ三白酒にしろ写真のような壺で保存されています。 古酒(老酒)にするとよりおいしくなるようです。紹興酒を年代ものを飲み比べましたが、どんどんまろやかになっていました。

31)手押し車にお酒の壺を載せて運んでいる人がいます。
32)立って話している人たちは、商談でしょうか。

33)水路には、沢山の酒壺を載せた船があります。水郷では、水運を利用して、このような工場がたくさん出来たようです。

34)右下 窓から女の人がのぞいて籠で何か干しています。魚のようですが、手前の緑色の物は何でしょう

35)裏表紙に回って左下 軒下に自転車が4台くらい見えます。桶のような物があって、空気入れらしき物が立っています (パンク修理用だと思います)。オーバーオール(?)を着た人は、自転車屋さんということでしょうか
 30年あまり前初めて中国に行った時は、洪水のような自転車に驚かされました。ここ数年で、自動車の普及が急速な中国ですが、まだまだ自転車は、交通手段の主役です。

36)旅の絵本ではお馴染みの、引っ越し風景です。今回は、水郷らしく馬車ではなく船で引っ越しの荷物を運んでいます。
 荷物の内容は・・・椅子、テーブル、タンス(本棚?)、後はよく分かりません。一個だけの車輪は?一輪車でしょうか?それとも車椅子でしょうか?

37)白いテントの屋台が出ています。売り物は何でしょう?食べ物関係だとは思うのですが、売り手も買い手も女性のようです。

38)運河をまたぐ石橋を6人くらいの人が渡っています。階段分部の中心はスロープになっているようです。自転車や一輪車を通すためでしょうか

39)橋の右に椅子が一脚あります。ちょっと休憩用ということでしょう。
40) 天秤棒を担いでいる人がいます。
41)橋の向こう側の下に、自転車が止めてあります。後部座席に大きな籠が着けてあります。荷物の運搬用でしょうか?それとも、子どもを乗せるためかな?

42)壺を並べて売っている人がいます。これは、壺を売っているのか?壺の中身を売っているのか?

43)旅人の背後には、物売りの女性がいます。これも、屋台のマントウ売りでしょうか。
(※写真は蘇州の屋台です)

44)お店の背後の運河には、旅人の乗ってきた船が係留してあります。今回の旅は、河をさかのぼって行く旅なので、乗り捨てません。

45)運河の右側では、箱状の手押し車で白い物を運んでいる人がいます。荷物は何でしょう?

46)洗濯物のある軒下には、犬を連れている人がいて、それを見ている子どもがいます。

47)旅との船の運河をはさんで反対側 女性が二人すれ違っています。運河沿いに歩けるようになっているようです。
(※右の写真は安昌鎮)

48)運河を行く遊覧船が有ります。遊覧船の脇を歩いている男性がいます。
49)運河に架かる橋をこどもたちが話ながら渡っています。

50)天秤棒で箒を運んでいる人がいます。箒売りでしょうか?お掃除の人でしょうか?

51)38)の橋の左側に、大きな籠(?)に緑色のものが盛られています。これは何でしょうか?橋の上の女性もこれを橋から見ているようですし、椅子に座って足を組んだ4人もこの緑の物を見ているようなのですが・・・?

52)右足ギブスで松葉杖をついた男性と、それに付き添っている赤い服の女性がいます。安野さんは、毎作のように松葉杖の人を登場させますね。

53)屋根の上に、ザルを置いて何かを干しています。やはり魚でしょうか。
54)屋根の下には壺のような物が置いてあって、杖をついたおじいさんがのぞきこんでいます。骨董屋さんでしょうか?
55)軒下で将棋(?)をしている人と、それを腕組みして観戦している人がいます。
56)看板があがっている店はなんと書いてあるのでしょう?右から2文字目は「食」のようですから、食堂でしょうか
57)買い物籠を持った女性が歩いています。腰に手をあてた、ピンクのスカートの女性は店主でしょうか。

58)女の子を連れた男の人がいます。女の子は食堂の方に興味があるのかな。
59)食堂の隣の店は?アクセサリー屋さんでしょうか。
60)屋根付きの門があります。
(※写真は杭州市の静河坊に有る門です)

61)車椅子を押している人、杖をついている人等が、門をくぐって境内のような所へ入って行っています。

62)門の所には、椅子に座った人がいます。門番?チケット売り?

63)門の中には沢山の座席があって、観客が詰めかけています。
 観客の中には子連れの親子が立っていたり、よほど懐かしい人に出会ったのか観劇中にもかかわらず手を取り合って挨拶している人がいます。

64)舞台の部分には、バーコードが印刷してありますが、カバーをとってみると舞台が有ります。京劇の舞台です。旗を背負った役者がいます。将軍役ですから、激しい立ち回りが有っているようです。一人は、階段を下りながら演じています。演目は何でしょうか。孫悟空?

65)並木の向こうの運河にも遊覧船が着ています。船上から京劇も見ることができるとはラッキーですね。あるいは、そのようなツアーなんでしょうか。

6)運河の向こう岸、洗濯物の脇で3人が何かしています。足下に何かあります。コマ回しかな?

67)運河で洗濯してい人がいます。(※写真は烏鎮での様子です。)水は清水ではないのですが、1次洗いを川でして大まかな泥や埃を取っておいて、家でさらに洗うのだそうです。

68)バケツのような物を持って立っている女性がいます。桶でしょうか。
68)屋根の上ではやはり、干ものが干してあります。緑色の物は何でしょう??何か野菜でしょうか。
69)洗濯物が干してあります。

70)洗濯物の右側に車輪のような物が2つ有ります。その横で四角の箱を操作している男性と、それを見ている女性がいます。何をしているのでしょう?

71)小屋の壁には、木材が立てかけられて、梯子が吊してあります。
72)椅子に腰掛けたおじいさんが、走り回っているこどもたちを見守っています。
73)カバーの裏に回った部分に 頭の上に荷物を載せいた人がいます。
4)戸外でビリヤードを楽しむ2人がいます。近くには、椅子もあって、ここに座って休みながら楽しんでいるんでしょうね。

75)材木を担いだ人と、親子が石橋を渡っています。
76)橋の左側には、工事用の資材を積んだ船が横付けされていて、なにやら工事をしています。脇に積んである四角の物は、レンガでしょうか。
77)横木のような物は、工事現場を区切る物でしょうか。
78)杖をついたおじいさんが、京劇を見に行く人たちを見ています。
79)テーブルに「卦命」と書いて商売している人がいます。易者さんですね。 日本では、命卦とあらわすようです。命卦とは、人が生まれつき持っている性質のようなもので、生まれ年によって計算するようで、風水による占いの基本のようです。お客さんになりそうな人が2人います。

80)大きな葉の木がたくさんあります。何か黒い実が付いています。樹種はなんでしょう。桐?アオギリ?・・・・プラタナス(スズカケノキ)ではないでしょうか。(※写真は蘇州)

 夏の暑さを木陰でしのぎ、冬には落葉して陽ざしをふさがないという知恵なのでしょう、杭州や蘇州などには、プラタナスの街路樹が目立ちます。ちなみにプラタナスのことを鈴懸けの木といいます。実が、木に鈴を懸けたように見えるからです。

1942年に灰田勝彦が歌ってヒットした歌謡曲に、『鈴懸の径(すずかけのみち)』があります。私が生まれる前の歌ですが・・・、歌声喫茶で良く歌っていました。戦中の歌なのに、戦時色を感じさせないいい歌です。
「友と語らん 鈴懸の径  通い慣れたる学び舎の街
   やさしの小鈴 葉陰になれば  夢はかえるよ 鈴懸の径」

プラタナスの歌といえば・・・北山修作詞で、はしだのりひこ&シューベルツが歌って大ヒット(1968年)した『風』という曲が大好きでよく歌いました。
「プラタナスの枯葉舞う冬の道で プラタナスの散る音に振り返る
   帰っておいでよと 振り返っても そこにはただ風が  吹いているだけ
     人は誰も 恋をした切なさに 人は誰も 耐えきれず振り返る」


81)52)の松葉杖の左側 煙突の出た屋根の下で、作業している人がいます。何をしているのでしょうか?
82)一輪車で荷物を運んでいる人がいます。
83)天秤棒で荷物を運んでいる人がいます。(※写真は柯橋での様子です)

84)路地を歩いている人がいます。のぞきこんでいる人がいるようなので、ココにも店があるのでしょう。




清明上河図には、たくさんの人物や事物が描かれています。一体どれくらいだろうと数えてみました。700人弱かなと思いました。ただし、よく見ると赤ちゃんを抱いている図とかあって、もう少し多いのかと思います。資料をあたると、600人以上、700人以上、773人、などいろいろあります。中には、1643人という、たいそう大きな数字をあげている物もあります。いくらなんでも、私が、900人も数え落としたというのは、考えにくいので・・・台北の故宮博物館にある「清院本清明上河図」(清代作成)を数えたのではないかと思います。
 では、「旅の絵本」ではどうでしょう?数えてみることにしました。頭だけだったり、足だけだったりで数え逃したものもあると思います。各場面ごとに集計して累積してゆきますので、異なる数字になると思われた人は、どんどん連絡してください。

表紙(カバー)に描かれたのは・・・(数え間違いが予測されます、より正確な数字をご連絡ください)
 274人( 274人)
犬や猫 1匹( 1匹)
自転車  8台( 8台)牛や馬 1頭( 1頭)
自転車タクシー  2台( 2台)2羽( 2羽)
荷車 5台( 5台)車椅子 1台( 1台)
 10艘( 10艘)洗濯物干し4カ所( 4カ所)


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「前扉」

 この絵は北宗の時代、張擇端の「清明上河図」の一部です。本物は、北京の故宮博物館の中にあって、公開されていません。
模本の全体を見ることができます。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/86/Alongtheriver_QingMing.jpg
故宮博物館の本物を見たことのある人の解説を読むことが出来ます。
清明上河図について

安野さんは、これらの模本から、さらに模写されたようです。

0)旅人は 登場していません。
  模写なので、仕方ないですね。でも、どこか描き変えてある分部に、旅人が潜り込ませてあるのかも?

1)牛車が行きます。どんな人が乗っているのでしょう?
 ちなみに、安野さんは解説で、4頭立ての牛車と言われていますが、元の絵も安野さんの絵も、3頭立ての牛車のようです。

2)前(右側)の牛車との間に、竿を担いで走っている人がいます。
 元の絵では、バトンのような物をもって走っていました。安野さん少し描き直されたようです。
 ということで、この人が、実は旅人が演じていると考えることができるかも。

3)傘の下には、物売りが店を出しています。元の絵で見ると、丸い物や、箒のようです。
4)ロバに乗ったヤギヒゲの人の後には、ロバの仔と荷物を担いだ人がついて行っています。
  この老人が・・・・旅人?

5)橋の欄干から、5人の人が運河の中をのぞきこんでいます。何があるんでしょう。

6)反対側の欄干からも、10人ほどの人たちが運河の中をのぞきこんでいます。
 中国の研究者によると、ここは、もう少し多い人数になります。赤ちゃんを抱いている人が二人はいるからです。その二人とは、たすきがけに荷物を持っている子どもを連れている男性と、小さな子どもが腰のあたりを引っ張っている男性です。よく観察してください。確かに布に包まれた物を抱きかかえています。やはり赤ちゃんでしょう
 さらに、この部分の解釈なのですが。たすきがけの子どもと赤ちゃんを抱えた男性は父子の乞食だというのです。子どもを連れ、赤ちゃんを抱いて物乞いをするという作戦はそれなりにあるだろうとおもいます。そして、左の男性は、いやいやながらも施しをしているというのです。一方、もう一人の赤ちゃんを抱いた男性ですが、この人と腰の所を引っ張っている子どもがセットで、別の乞食。そしてこちらは、前の人に話しかけているのですが、気づかないふりをして隣の人と話し続けていて、相手にしてもらえない。人の世の冷たさを現しているのだとあります。このように、張擇端の『清明上河図』は、くさい物に蓋をするのでなく、開封の街で起こっていた事をリアルに表現してあるということになります。

7)ロバが曳いている荷車は、一輪車になっています。前と後ろに人が着いて支えながら運んでいます。ロバはかなり力んでいるようで、頭を下げて首を伸ばしてひいています。ところで、荷物を覆っている布には、文字が書いてあるようですが、これは何?

8)天秤棒を担いでゆく人がいます。石炭を担いでいるとの説があります。

清明というのは、一年を24分割した春分とか立夏とか冬至などの24節気の一つです。24節季というのは、旧暦(太陽太陰暦)の、太陽暦の部分をになっています。
清明(せいめい)は、春分(3/21ごろ)の次の節で、4月5日ごろになります。または、この日から穀雨(4/20ごろ)までの期間をいいます。万物がすがすがしく明るく美しいころ。暦便覧には「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれるなり」と記されています。さまざまな花が咲き乱れ、お花見シーズンになります。
又、清明節の日は、中国では祖先の墓を参り、草むしりをして墓を掃除する日であり、「掃墓節」とも呼ばれたそうです。清明上河図にも、墓まりにの帰りと思われる一行が描かれていたり(前半部にあります)、墓に供える紙製の家を売る店が描かれていたりします。しかし、清明節当日としてはふさわしくない様子も描かれていますので、・・・清明節のその日の絵というより・・・清明の頃(半月あります)の事というのが自然だと思います。

 中国の研究者(戴 立強)によると、「清明」という言葉から、従来、清明節という季節、あるいは清明坊とう二通りの解釈がされてきたが、そこに描かれているのは清明節の状況ではないので季節でもなく、また地名ともできないので、「清明盛世」をさしている説があるということです。
 それらをふまえて、「清明」というのは掛詞で、「清明盛世」と同時に、時間的には清明節という意味も含まれていると解釈されていました。
 妥当な説なんだろうと思います。

戴立強氏(中国の研究者)の 「姑蘇繁華図」と「清明上河図」の講演記録
http://www.himoji.jp/jp/publication/pdf/symposium/No03/021-028.pdf

 ちなみに、同名の作品が多数有りますが、張擇端の影響を受けながら、庶民の生活を描くという意味では、それらの作品が、「旅の絵本」の先輩にあたる事になるとも言えます。
 後世の作品の中でも、清代に宮廷画家5名の合作で描かれた『清院本清明上河図』が特に有名で、宋代というより明清代の庶民の様子を描いて、台北の故宮博物館に所蔵されています。『清院本清明上河図』に描かれた庶民の様子も、旅の絵本(中国編)の参考にされているようです。

『清院本清明上河図』の全体を見ることができます。
http://www.npm.gov.tw/masterpiece/enlargement.jsp?pic=K2A001110


扉に描かれたのは・・・(トータル)  ※精確さに自信なし!?
 55人( 329人)
犬や猫 0匹( 1匹)
自転車  0台( 8台)牛や馬 7頭( 8頭)
自転車タクシー  0台( 2台)0羽( 2羽)
荷車 2台( 7台)車椅子 0台( 1台)
 0艘( 10艘)洗濯物干し0カ所( 4カ所)


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場面1湖水
0)旅人は 海に近い湖に船で現れました。

 
清明上河図も、上のように郊外の水辺から始まります。田舎から街へそして又田舎へ・・・安野さんの旅の絵本は、中国編に限らず清明上河図の表現方法に大いに影響を受けていることが分かります。

1)鵜飼いをしている人たちがいます。
 中国にも鵜飼いがあるようです。鵜飼いに関しては、日本の方が歴史が古いという説と、中国から伝わったとする説があります。中国では、カワウを使って(日本ではウミウ)鵜飼いをしています。なにより、完全に家畜化された鵜を使っていて、鵜を綱につながないのです。魚を捕らえた鵜は自主的に鵜匠の所に戻ってくるのだそうです。そして、アユだけでなく色んな魚を捕るんだそうです。旅の絵本でも鵜は綱でつながれていません。
(※写真は中国の鵜飼いです)

2)木が水の中に生えています。湖畔に木が生えていて、湖水面が上昇するとこうなるのでしょう。
 
3)船に乗って釣りをしている人たちがいます。
4)釣り船の近くに小さな水鳥がいます。水に潜って魚を捕るカイツブリではないかと思います。

場面1に描かれたのは・・・(トータル)  ※精確さに自信なし!?
 5人( 334人)
犬や猫 0匹( 1匹)
自転車  0台( 8台)牛や馬 0頭( 8頭)
自転車タクシー  0台( 2台)13羽( 15羽)
荷車 0台( 7台)車椅子 0台( 1台)
 4艘( 14艘)洗濯物干し0カ所( 4カ所)



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場面2船曳
0)旅人は 湖水を少し上流にあがってきたようです。上陸して、船を曳いています。
 

1)材木を積んだ船を4人の人が竿で操り、4人の人が陸上から曳いています。
安野さんによると、中国で写生をしていると、そこは船曳の人が使っている道で、どいてどいてと声をかけながらやって来た船曳の人に出会ったそうです。
 (※写真は、「清明上河図」からです。とても大きな船を曳いています)

2)シルエットで網がえがかれています。定置網だと思っていましたが、どうも養殖用の囲いのようです。江南のあちこちで養殖用のものを見ました。

3)35匹のアヒルを散歩(?)させています。
 安野さんによるとアヒルは、ピータン用の卵をとるために飼っているのだそうです。



場面2に描かれたのは・・・(トータル)  ※精確さに自信なし!?
10人( 344人)
犬や猫 0匹( 1匹)
自転車  0台( 8台)牛や馬 0頭( 8頭)
自転車タクシー  0台( 2台)36羽( 51羽)
荷車 0台( 7台)車椅子 0台( 1台)
3艘( 17艘)洗濯物干し0カ所( 4カ所)



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場面3 蓮池

0)旅人は 蓮の華の広がる所へ、やってきました。
 なんと、旅人は服を船に干して泳いでいます。旅人が泳ぐのも、服を脱いだのも、旅の絵本史上初のことです。
(※写真は杭州の西湖)

1)木に服を干して、泳いでいるこどもたちが4人います。
 浮き輪を使っている子どもは小さな子なんでしょう。とびこもうとしている子は、スクール水着みたいです、女の子なのかな。
 木の枝に衣を干して泳ぐといえば・・・羽衣伝説を連想するのですが。

2)蓮の左上の所の、小さな水路に柵がしてあります。これは何のため?
3)緑の草を刈っています。これは何でしょう?
 い草でしょうか(にしては長すぎるような気がします)?茅でしょうか?あるいは別の物?

4)河の向こうに四つ手網がセットされています。
 四ツ手網漁というのは、一辺が5〜6mの正方形の網の四隅を十文字に組んだ竹の腕木にとめて、引き綱で水中に釣り下げて、網の中央の垂れた部分に集まった魚をとる漁法です。日本では、シラウオ漁でよく使われているようです。
※写真は、日本でのもの

5)農家が見えます。庭では、穀類(なんでしょう?)を筵の上に干しています。
箕をつかって、筵の上に撒いている人、整えている人、ならしている人がいます。日本では、籾均し(もみならし)とか干浚え(ほしざらえ)と呼ばれる農具を使って、均一に乾くように干すとき筵に平均的に広げるています。

6)庭には、ニワトリとガチョウが遊んでいます。
7)椅子に座っているおじいさんに、おばあさんが飲み物(お茶かな?)を持ってきています。

8)洗濯物が干してあります。旅の絵本では、洗濯物が出てくること多いと思いますが、中国編ではひときわ良く出てくるようです。


場面3に描かれたのは・・・(トータル)  ※精確さに自信なし!?
12人( 356人)
犬や猫 0匹( 1匹)
自転車  0台( 8台)牛や馬 0頭( 8頭)
自転車タクシー  0台( 2台)10羽( 57羽)
荷車 0台( 7台)車椅子 0台( 1台)
 2艘( 19艘)洗濯物干し3カ所( 7カ所)


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場面4ジャンク船の修理工場

                                    
0)旅人は ジャンク船の修理工場にやって来ました。
   船を降りて、繋留しています。旅人の船にも不具合が生じたのでしょうか。

1)馬車があって、荷物を載せています。
『清明上河図』にも、ジャンク船の近くに荷物を運ぶ一輪の馬車(青の四角)が描かれています。
 安野さんは、この場面を、馬で来て船に積み替える南船北馬の接点として描かれているようです。

2)馬を一頭引いている男性がいます。これまでの旅の絵本では、ここらで馬を手に入れて、馬の旅に切り換えるのですが、今回はまだまだ船の旅が続きます。旅人にとっては接点ではなかったようです。

3)倉庫があります。船や馬で運んできた荷物をしまっておくためです。
4)スケッチブックのような物を持った人が、話ながら歩いています。打ち合わせでしょう。
 『清明上河図』でも、左図の右上のところで打ち合わせをしている人がいます赤丸

5)手押し車で荷物を運んでいる人がいます。からの車を押している人も
6)倉庫の横で、荷物を積んでいます。『清明上河図』のも、担いで荷物を運ぶ人(黄色の楕円)が描かれています。

7)荷物を運んできた(運んでゆく?)ジャンク船が繋留されています。
 (※右の写真は、『清明上河図』を参考に作られた公園に復元されているジャンク船です。)

8)船の上では、帆を上げる(下げる?)作業をしている人がいます。
9)籠を持って歩いている人がいます。
10)縁台に座って、向かいあっているのは、将棋をしているようです。将棋はシャンチー(中国将棋)なのでしょう。
11)赤いスカートの女性が立っている店は・・・(壷に茶と書いてあるようなので)お茶屋さんのようです

12)軒の下でも、縁台に座って中国将棋をしている二人がいます。

13)旅人の左 左足にギブスをして松葉杖の男性と寄り添っている男性がいます。仕事中の事故でしょうか。労災などのシステムはあるのでしょうか。
 表紙にも、ギブスと松葉杖の人がいました。

14)犬を2引き連れた人と、男性が話しています。修理中の船のことか?けが人のことか?


15)修理中のジャンク船があります。『清明上河図』の上に描かれたジャンク船と重なるように思います。
  建造中の船かと思っていたら、作者の安野さんが修理中だというのですから、修理中なのだと思います。ただし、安野さんにも、故障箇所が分からないそうです。

16)中で火を焚いている三角帽子のようなものは、鍛冶仕事用です。右にたくさんの石炭(たぶんコークス)がつんであります。炉の前の四角なものは、箱鞴(ふいご)ではないかと思います。右はしで、引っ張っている人が、フイゴを操作して空気をおくりこんでいるのではないかと思います。

17)3人がかりでカナドコの上で、何かを鍛えています。船関係の何かだとは思いますが、詳細不明です。細い棒を持って、右手前に控えている人は、何をする人なのでしょう。
 鍛冶仕事といえば、イタリア編のシーン6で同じような姿が見られました。イタリア篇のときは、スペインを代表する画家ゴヤの作品「鍛冶場(The Forge)」を元にしたものでしたが、今回も少し似ているように思います。

18)屋根の向こうで鍛冶仕事を見物している二人・・・ちょんまげを結った、江戸時代の庶民に見えてしまうのですが。まさか、日本人という設定ではないですよね。

19)長い棒を持った人がいます。

20)木を削っている人がいます。
日本の大工道具でゆえば、釿(ちょうな)が近いように思います。あるいは「よき」かもしれません。釿は、柱、梁などを荒削りし平らにするための日本独特な伝統的木工道具です。中国や西洋の物は、日本の物よりもっと大きな物が使われているようです。又、デザインもすこし異なります。日本の物は、曲がった木を柄に使っていますが、中国や西洋の物は、柄のカーブがほとんどないようです。旅の絵本の道具は、柄のカーブがないので、中国の物のようです。
 柄に対して、刃がこのようにつくのは、他に余り考えられないと思っていましたが、よく考えると登山で使うピッケルの刃も同じような方向でついています。そして、雪面を同じようにはつって足場を作ったりする事に使います。

21)赤色の水差しのようなものを下げた男の人があるいています。何につかうのでしょうか?

22)色々なものがおいてあります。船の備品といった所でしょうか。
 動滑車、ロープ、ランタン、錨、曲げわっぱ、手桶、衣装櫃といったところでしょう。あと二つあります。
曲げわっぱの手前にあるバネのような物は何でしょう?
先の曲がった長い物は何でしょう?

23)材木を一人で担ぐ人
24)天秤棒を担ぐ人、籠の中身は?食べ物か?食器類?
25)大きな材木を3人で担ぐ人は、肩に当て物をしているようです。真ん中の人は、杖までついています。
26)杖をついている人を見上げている犬がいます。
27)2人で担いでいる人たちもいます。
28)食事の世話をしている女性がいます。テーブルの上には、色んな種類の食べ物が載っていますが・・・何でしょう?
 ・てっぺんに赤い物が乗っかっているのは点心のだろうと思います・・・中華饅?
 ・飲み物の入ったビン
 ・ヤカン
 ・鐘・・・食事の合図に鳴らすのかな
 ・積み上げられた四角の物は何でしょう?

29)三輪の荷車で大量のビン類を運んでいる人がいます。これは、何?
  単に、沢山の飲み物ということでしょうか。
(※左の写真は、食器類を売っている人のようです。でも、この場面には余りそぐわない気もします)

30)パッチワーク状に布をつなぎ合わせています。これは、帆布ということでしょうか。

31)右の角のところで、向こう向きで直している人・・・ズボンにツギがあたっています!
32)青い服の人が、何か指さしています。何か言っているようですが?
33)茶色の服で、両膝を曲げてしゃがんでいる人は、足下に何か細々した物がありますが・・・何をしているのでしょう?
34)赤シャツの人と白シャツの人と、向かい合って何をしているのでしょう?
35)赤い服の人の後ろにいる人は、肩越しに何かしています。なんでしょう?
36)帆布の端のところで、設計図のような物を持った3人が話しています。一人は、船の方を指さしていますから、技師さんと言うことでしょうか。

37)木製のウインチ(巻き上げ機)があります。
38)4頭の牛がいます。巻き上げ機に使われるのでしょう。
39)細い棒を持った男女がいます。牛をあつかう人ということでしょうか。
40)大きな壺のような物に、手を突っ込んでいる人がいます。何をしているのでしょう?牛のエサ?
41)木製の錨を、立てています。二人は、錨の状態を確認しているのでしょうか・
42)腕組みをして立っている人は、錨を見ているのか、壺の人を見ているのか、牛を見ているのか、単に考え事をしているのか?
43)ボートの船底を朱色に塗っている男性が3人います。
44)長い巻物状のものは、帆を丸めた物でしょうか。


場面4に描かれたのは・・・(トータル)  ※精確さに自信なし!?
68人( 424人)
犬や猫 3匹( 4匹)
自転車  0台( 8台)牛や馬 8頭( 16頭)
自転車タクシー  0台( 2台) 0羽( 57羽)
荷車 4台( 11台)車椅子 0台( 1台)
 4艘( 23艘)洗濯物干し 0カ所( 7カ所)


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