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シーン8結婚式(p15〜16)
0)旅人は・・・すごい断崖に守られたお城(教会?)で結婚式を挙げているところにやってきました。
尼僧がいるなど教会風に描かれていますが、構造から見てお城と思われます。画面手前とお城の間には、深い谷が有って橋でつながれています。
このお城は一体何処にあるお城なんでしょうか・・・不明です。

 モデルは、サンマリノ共和国の砦と旧市街だと思われます。イタリア国内にある現存する世界最古の共和国。小ささでNo.5になります。
2008年に「サン・マリノ歴史地区とティターノ山
San Marino Historic Centre and Mount Titano」が、世界遺産に登録されました。イタリア編の発行が1978年ですから、30年後に世界遺産になったと言うことになります。


1)左上 HOTEL の庭では、トランプをする二人とそれをパイプをくわえて見ている老人がいます。何かの絵が有るのではないかと思いますが、不明です。

2)HOTEL名は、頭のN・・(以下不明)ですが、崖の上に建っていて、地階部分も見えるなど独特なので、モデルがありそうです。
サンマルコに頭にNのつくホテルを見つけることができませんでした。右の二枚の写真の内左のホテルは、窓の感じとかが旅の絵本とよく似ています。また、断崖に立つ建物の様子は右の写真が雰囲気が似ていると思います。合体したデザインかもしれません。

3)箒(?)とバケツを持って掃除(?)をしている女性がいます。
4)机に座ってパイプをくわえている人、この位置からトランプを見ているのか?
 この人も絵にありそうに思いますが。

5)引っ越しをしている人達がいます。荷物を持ち込んでいるこの家は、シーン5水道橋で、建築中だったものが、無事完成して、本日入居のようです。手伝いの人はたくさんいますが、入居者は何処へ?

6)2人の男が図面を持って話しています。この二人、シーン5の建築現場でも相談していました


7)引っ越しの荷物は2頭立ての馬車で運ばれてきました。
第1巻似も出てきたような・・・

8)運ばれてきた荷物は、ベッド2、鏡、タンス3、木箱、ビン(ワイン?)、水差し(?)、柱時計、テーブル、椅子3,絵。それに梯子も??

9)子どもが二人扉を開けて、興味深げに中を覗いています。
10)エプロンをした女性が二人話しています。「いまごろ二人はあのお城で・・・」とか「あのお城かっこいいわねえ」なんて話しているのかな??

11)椅子と腰に手をやって片足立ちの男は、図面を持った二人の話に興味が有るのでしょうか。

12)畑の脇を二人の子どもが、お城の方にかけていきます。記念写真を見たいのかな。前を走っている子どもは、シーン5でオオカミ少年の走っている場面と、重なります。

13)畑の作物は、小麦でしょうか。

14)まん中下 家の壁に筒状のものがあります。他の家には無いようです。
これは何でしょう?  樋でしょうか? 臭気抜きでしょうか??

15)門の前では新婚さんが記念撮影中です。確かな証拠は何もないのですが・・・シーン5)のラブレターから始まった恋のゴールと見たいです。そして、4)の新築の家もこの二人の新居という設定はどうでしょうか。

16)お城の手前には、お城を見るように銅像が立っています。あたかも新婚さんの二人の見物人の一人のように見えます。だまし絵ですね。

この銅像について・・・forest-doorさんは、

これはおそらく、イタリア・ピアチェンツァの元市庁舎前の広場に向かって立つ銅像だと思います。
この広場にはそれとは別に2人の騎馬像があり、そちらは分かったんですが、この後ろ向きの人が誰なのかまでは、?でした。
ご存知の方、教えてくださ〜い! 
後姿で描かれているこの銅像、前はどんなふうだか想像してみるに、うつむき加減だから本を読んでいるのかな、と思います
 ピアチェンツアのカヴァッリ広場_にある像は、本を読んでいませんでしたが・・・いずれにしても誰か不明。サン・フランチェスカ教会の前にあるので、あるいは聖フランチェスカ(フランシスコ)像かもしれません。

と、考えていたのですが
「旅の絵本の秘密」には、アレッツォの教会の前の像とあります。
アレッツォというのは、トスカーナ地方中部、フィレンツェの北東約70キロに位置する、人口約12万人の小都市です。小さいながら、歴史は古くPRADA本社があり経済的にも裕福な街のようです。
ここの、サン・フランチェスコ教会 (Basilica di San Francesco) は、世界美術史上最も魅力的な絵画の一つである、ピエロ・デッラ・フランチェスカ(1418年頃-1492年没)制作のフレスコ画「聖十字架伝説」が保存された教会としてその名が知られています。そして、教会の前にある聖像が、安野さんが参考にした像だったのです。
この像の足元には、ライオンを従えています。たぶん、聖フランチェスコ(サンフランシスコ)でしょう。
それにしても、違う街の同じ名前の教会に立っている像を間違えたとは・・・不思議なご縁です。

17)写真屋さんのカメラ、それらしいですね。懐かしいですね。
18)赤いカバンを持った女性に、オレンジの服の女性が新婚さんそっちのけで話しかけています。橋の下を指さして「怖いわねぇー、どれくらい深いのかしら」なんて、言っているのでしょうか。

19)花束を持って、伸び上がるように手を振っている女性がいます。花嫁の友人でしょうか。

20)右側には、最前列に陣取った男の子と、欄干に寄りかかった男の人がいます。
21)杖を持った人とその後ろに控えている女性がいます。男性の感慨深げな様子からして、花嫁の両親かな? そうだとすると、新郎の両親は?

22)スカーフをした二人の女性も花束を用意しています。話をしているようです、二人から距離を置いているのは何故?

23)男性と女性が並んで見ています。この二人が新郎の両親でしょうか?でも母親がエプロンをしてここにいないかな。

24)一番後ろに花束を持った男性が。はて、どちらの友人なんでしょう。

25)橋の手前でトランクを運んでいる男性がいます。
26)新婚旅行用の馬車(空き缶は着けてないようですが・・)が用意されています。
 そばの人は御者でしょうが・・・どちらの人?荷物を持っている方でしょうか。御者ではない人が、花婿のお父さんかも。
by forest-doorさん

1巻で描かれたモチーフですが、とくに結婚式のシーンはどうしても描きたいと思われたのではないかと思います。
なぜなら、2巻のあとがきで、「日本人の君が、どうして古いヨーロッパのことがわかるのか」と尋ねられたとき、安野さんはいつもフュッセンの近くの教会で見た結婚式の話をする、と答えているからなのです。

後ろから見ていても花嫁と花嫁の両親、介添え人、友人など、どれが誰かということは良くわかる、と安野さんは書いています。そして、特に花嫁のお母さんは一番良く分かったと。なぜなら、しきりに涙をふいていたから。こんなふうに「別れるときに涙する人間の心には少しも違いはなかった」というのです。

そう、言葉や生活習慣がちがっても、心は同じなのだから、この旅の絵本で描かれた人々が、何を思い、何をしているのか、きっとわかってもらえると信じていますと、あとがきを結んでいます。

言葉がない絵本、それがかえって、人々の心を物語っているような気がします。そして、それを読み取ることは見る人にゆだねられているんです。人々がどんな気持ちなのかを考えるって他者を理解するうえでとても大事ですよね。最近の子どもたちには、それがかなり、失われているから、安易に犯罪となる行為に及んでしまうような気がします。そんな意味でも子どもたちにはこの絵本にはいろんな人がいて、いろんなことをしていることから、まず楽しむようにしていってほしいなと思います。そして、押し付けではなく、好きなようにストーリーを考えたり、どんなことを思って、どんなことをしゃべっているのか、想像していってほしいなと思うのです。

27)旅人の向うにウサギが寝ています。その向うにはカメが懸命にあるいています。イソップ寓話から「うさぎとかめ」ようですね。

28)旅人からウサギのところまでは簡単に行けそうに見えます。それは、勘違いです。間には深い谷があります。それだけではありません、ウサギのいるところは随分低いのです。
旅人と新婚さんは同じ高さのところにいるはずです。一方、ウサギと新婚さんの間にはかなり高低差があることが、建物を見ているとわかると思います。
安野さんは、橋の手前に塔の屋根や木の枝を持ってきて、馬車と橋の間を視覚的に遮っています。このことで、直感的にはつながっていないように感じさせているのだと思います。理性的にではなく直感だけで見ると、橋よりだいぶ下がったところにいるように見えます。そして、俯瞰の図であるだけに、向うが下がって距離があると、うまいぐあいに重なって見えるというわけです。巧妙なだまし絵です。

29)門の左上、城壁上の通路を歩いている神父さんがいます。
左の写真のようにサンマリノの城壁の所に通路があります。

30)城内の庭に尼さんが3人います。新婚さんがいる位置よりかなり高いようです。城内の地形はどうなっているのでしょうか?
第二砦の中には右の写真のように小さな礼拝堂があります。


旅の絵本2表


シーン9マグダラのマリア(p17〜18)
0)旅人は・・・小学校のあるところへやってきました。先程のお城とは隣接しているようです。ここでも、橋の手前と向側は深い谷で隔たっていて、向側はお城とつながっているようです。
サンマリノの旧市街がモデルのようです。写真のように3つの砦の下に中世の町並みが残っています。防衛上の必要のあった歴史から、山の上に作られた町ですから、街の中には階段やスロープが至る所にあります。小さな国ですから全国を巡るのも夢ではありませんが、それはそれで良い運動になりそうです。


1)聖書物語 左下 男の人の足下で女性が何かしています。男の人はイエス。女の人はマグダラのマリアです。とても高価な香油(マリアのそばにある壺がそうです)で、イエスの足を洗っているのです。彼女の精一杯の誠意なのです。
※この女性がマグダラのマリアかどうかは、実は異説があります。でも、安野さんはそのつもりで描かれているだろうと思います。
詳しくは以下のHPをご覧下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B0%E3%83%80%E3%83%A9%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2

2)谷の向側を杖をついて、サオのような物を担いで急坂を上っている人がいます。何かの絵を元にしているように思いますが。不明です
単に、スロープの多いサンマリノの町並みを表すためかもしれません。

3)竹馬をする男の子二人と、それを見ている女の子が二人います。ヨーロッパにも竹馬があるのでしょうか。
あります!!。ブリブリューゲルの「子供の遊戯」の中にも、竹馬をしている子がいます。


4)イエスのところの小屋に棒(板?)が立てかけられています。なににつかうのでしょうか?

5)旅人の手前の家の屋根には天窓があって、男の人が梯子を掛けて修理しています。
6)真ん中下 洗濯物が干してあります・・・が。この高さにどうやって干しているのでしょうか?不思議です。あるいは、切れて見えないところにすぐに地面があるというのでしょうか。
イタリアの町並みで、通りをまたいで干してある洗濯物は、滑車を使ってロープが往復していてロープを動かして洗濯物を移動するので、ここもそうだとおもいます。

7)新婚旅行の馬車が来ています。御者は袋の中の餌?を食べさせています。

8)宝石店のウインドウを覗いているのは、新婚の二人でしょうか。早速、首飾りを買って欲しいようです。男性は少し逃げ腰かな。

9)縄跳びをしている女の子と、それを見る子がいます。
10)橋のたもとのオープンカフェは、大繁盛のようです。
 サンマリノは観光業の盛んな街です。世界中から観光客が訪れています。

11)谷をまたぐ橋の上では、橋の下をおそるおそる覗いている女の人が二人います。
12)橋の向側にも小さなカフェ。男の人が3人昼間からビールを楽しんでいるようです。足下には大きなカバン。仕事でしょうか。
13)ハンドバックを看板にした、鞄屋さんがあります。この家、地階があって2階部分がせり出しています。見本がありそうです。この家にも天窓がありますが、この地方にはこのような家が多いのかな?

14)牛の引く荷車が木を運んでいます。これはシーン5水道橋にいた荷車ではないでしょうか。木を束ねてないのが・・・少々違いますが。

15)左上は、前ページの城の続きだと思います。ここでも城壁の上の回廊を歩いている人がいます。
16)旅人の前には、ラッパを吹きながら足で太鼓を叩いている大道芸人がいます。

17)壁のポスターには「ANNOM」と書いてあります。安野M(光雅)ということでしょう。
と考えていましたが・・・・ここがサンマリノ(San Marino=聖Marino)であるとすると。
「4世紀 - イタリア半島の対岸ダルマツィア地方出身の石工マリヌス(聖マリノ)が、ローマ帝国皇帝ディオクレティアヌスによるキリスト教迫害を逃れるために、仲間と共にチタン山(現サンマリノ市のティターノ山)に潜伏。」というサンマリノの歴史からすると。Mは、聖MarinoのMである可能性が出てきます。すなわち、アンノ・マリノかも知れません。マリノの年を意味します。もちろん、これまでの安野Mと両方の意味を兼ねてることは充分あり得ることです。

17.1)芸人さんがくぐっているアーチ
 ここが、アレッツォであるとすると、ジョルジョ・ヴァザーリ通りがヒントかも知れません。(右の写真)

18)ポスターの下では犬がほえています。芸人が不審なのでしょう。
19)門があります。屋根の上の白いものはハトでしょうか
20)時計台があります。ただ今、午後3時・・・小学校は下校時間のようです。
この時計台は、プッブリコ宮殿で、現在は政庁舎として利用されています。
安野さんは、塔の先のデザインを微妙に変えておられます。塔のてっぺんがツバメの尾の形が縁取っています。これは、城壁の一部に使われているデザインです。それを、ここに取り込まれているというわけです。
と、考えていましたが。

前のシーンの聖像がアレッツォのものであるとすると、アレッツォの建物の可能性もあります。
グランデ広場にあるラッポリ塔を参考にされているのではないでしょうか。(右の写真)



21)杖をついたおじいさんの手を引いている女の子がいます。第1巻にも同じような女の子がいました。スカートの色も一緒です・・・同一人物でしょうか。

22)大きなカバンを持った女の人が、階段を下りています。
23)階段を椅子替わりにして絵を描いている絵描きさんがいます。安野さんでしょうか周りを学校帰りの子ども達が取り巻いて見ています。

24)校門のところに立っている子と、その子に話しかけている子、絵描きさんを見て駆けだしている子がいます。
 校舎のデザインは左の写真のhotel titanowをモデルにしているものと思われます。
 アレッツォだとすると、グランデ広場の回廊がモデルの可能性もあります。
 それにしても、街が違ってもそれらしいデザインの建物ってあるものですね。

25)胴長のイヌをつれて散歩するおじいさんがいます。
26)青い服の男の子と、オレンジ色の服の女の子は、仲良く手をつないでです。
27)学校の塀のところから絵描きさんを見ている子がいます。塀はあまり高くないようです。

28)スカートの女の子が一人背中を見せて立っています。何を見ているのでしょう。
29)跳馬をしている子がいます。今、跳んでいる子。順番を待っている子、ただ見ている子もいます。着地点には、ちゃんとマットが敷いてあります。
30)サッカーをしている子たちがいます。ちゃんと審判がいて、笛を吹いています。
31)棒の上で、落しっこしている子ども達がいます。ブリブリューゲルの「子供の遊戯」の中に、「ベンチから押し落とせ」というのがあります。

32)校舎の2階部分がせり出していて、1階部分が通路になっているようです。
33)校舎の2階の屋根には鐘が吊してあります。窓から手を伸ばしてならすのでしょうか。
34)窓の外にならべた鉢に水をやっている人がいます。
35)学校の向う(時計台の左斜め下)に、背中を向けて立っている男の人がいます。よく考えると不思議な位置にいます。左の家の壁は2階部分ですから、この位置に居ようとすると、空中に浮いていることになります。だまし絵でしょうか。

36)男の人と女の人が覗いているショウウインドウには、一体何が陳列してあるのでしょうか?入り口の中に見える白い影は何??

36)ひさしの下に、服を吊しているお店で、男女が買い物をしています。服を持っている男の人は店員さんかな。
 こんな店が、右上のホテルの近くの町並みのように、サンマリノには続いているんですね。

37)門の下に座っている男性は何を見て、何を考えているのでしょう。
38)門の向うに見える女性は、何を押しているのでしょうか。少し高い位置にいるようですが・・・門で隠れているところに急坂か階段でもあるのでしょうか。

39)左下にお盆で何か運んでいる女性がいます。38)の女性との間には、かなり高低差があるようです。

40)靴の看板を掲げた靴屋さんが有ります。どうも製造販売の店のようです。作っているのは木靴??

41)靴屋さんの仕事を見ている女の子がいます。手に何か持っているようですが不明?

42)女の子の後ろに、下へ降りる階段があります。建物の様子からして、オープンカフェのところまで続いているようです。かなりの高低差があることになります。
 とすると、テントの洋服屋さんのある広場もそれなりに高い位置に有ることになります。すると、ハトのとまっている門のところの右奥には、すぐに階段があって広場へ向かってかなり急な階段があることになります。すると、35)の男性も空中に浮いていないのかも知れません。もしそうだとしても、靴屋さんのある位置は屋根の高さから想像して、洋服屋さんの広場よりかなり高くないとつじつまが合いません。時計台の頭の部分に隠れて、階段があるようです。
 安野さん、見えないところにたくさん階段を隠していることにしたようです。サンマリノの町並みが立地している地理的条件を考えると納得です。

旅の絵本2表

シーン10トレビの泉(p19〜20)

0)旅人は・・・トレビの泉(Fontana di Trevi)のある街にやってきました。
 ローマに有る泉の中で最大です。バロック時代の泉。
トレヴィの泉は、ローマにある最も巨大なバロック時代の泉である。
ローマの建築家ニッコロ・サルヴィの設計で改造、彼の没後の1762年に完成。
中央に水を司るネプトゥヌス(ネプチューン)が立ち,二人のトリトン(半人半魚)が引く海馬を配した躍動感のあるデザインです。
左側には豊饒の女神デメテル(ケレス)、右に健康の女神ヒギエイア(ハイジア)が配置されています。

1)左上 旅人の後ろを神父さんが歩いています
2)バイオリンを看板にしている店は、楽器店でしょうか。
3)洋服が看板のお店は、パーティー用の服を売るところでしょうか。・・・舞踏会には、こんな感じの服を着てゆかないとね・・。

4)ウインドウの中は本のようで、窓の上には「books」と書いてあります。
5)本屋の壁には、本のポスターを貼っている人がいます。後ろの自転車もこの人のもののようです。
ポスターの内容は、安野さんのABCの本です

6)ポスターを貼っている人を、見ている人もいます。少し離れたところでも、横縞の服を着た人が見ています。
7)階段を上がると、泉があります。女の人が水をくんだり洗濯している女の人がいます。洗濯をするのは、一段下がったところでするようにしてあります。泉の上にはイルカと三叉の矛が飾ってあります。これは、ポセイドンの象徴でしょう。海の神であると同時に地下水の支配者でもあり、泉の守護神ともされる。
by forest-doorさん
本当にこのデザインの噴水があるのかどうかはわかりませんが、噴水の多い街、ローマにならありそうな感じがします。
噴水にはギリシャ神話の神々や海の生き物がよくモチーフとして使われますが、ここではイルカが三叉の鉾をくわえています。
ギリシャ神話では海の王ポセイドンは三叉の鉾をもっていて、この鉾を一振りすると大海が波立つといわれています。
そして、ポセイドンの息子、トリトンは上半身が人間で、下半身が魚、イルカのしっぽをもつといわれています。
(そういえば、手塚治のマンガ、海のトリトンでもトリトンはイルカを従え、三叉の鉾を持っていました!)
こういったことから、この噴水はポセイドン、あるいはトリトンをあらわしているようですね。
調べていたら、読んでみたくなった本があります。
「ローマの泉の物語」です。なんと、ローマには約2000の泉があるとか! こういった視点でローマの街を探索するのも面白そうです。


8)泉の奥の家の所には、下を網の籠で被った壺が2つあります。水入れでしょうか?

9)家の陰には、手押し車と餌を食べている猫?がいます。

10)時計台の時計は12時を指し、階段を駆け下りてくる駆け下りてくる女性がいます。あまり急ぎすぎて、階段にガラスの靴を落としてしまいました。階段下には御者付きの豪華な馬車が待っています。・・・「シンデレラ」ですね。
by forest-doorさん
このお話はもともとペロー童話で「ガラスの靴のサンドリヨン」というお話でした。灰かぶりという意味のサンドリヨンが英語ではシンデレラとなったのです。その後、グリム童話でも「灰かぶり」としてお話が採られています。でも、面白いのがカボチャの馬車とガラスの靴はペローに特有のもので、グリム童話の「灰かぶり」にはでてこないのです。ディズニーのアニメではペローの童話をベースとしているので、カボチャが馬車に変わり、靴はガラスとなっています。


 この階段は、ローマの「スペイン広場(Piazza di Spagna)」のトリニタ・デイ・モンティ階段(通称「スペイン階段」)であろうと思います。
 階段の上には、宮殿ではなく教会があります。絵本の時計台のデザインは、この教会の屋根からくるようです。 
 なぜ、ローマにスペイン広場と思っていましたが、近くにスペイン大使館があるからだそうです。

『ローマの休日』でオードリー・ヘップバーン扮する王女アンが、ジェラート(Gelatoアイスクリームのようなもの)を食べたシーンでもおなじみの場所です。

 馬車ですが、実際にスペイン広場の階段下には、観光用の馬車があるようです。

『ローマの休日』で、ここでのシーンでは無いのですがかなえられた願いが彫られている壁の前で、アン王女は「12時にはガラスの靴を履いてカボチャの馬車で急いで帰らなくちゃ」といいます。そしてその後、ジョーと一緒に馬車に乗り、船上パーティーに向かいます。船上パーティーではダンスもあります・・・。ということで、『ローマの休日』は、かなりシンデレラを意識したお話になっていたわけです。だから、安野さんはシンデレラをここに持ってきたのだと思います。

11)階段の上には絵描きさんが、絵を展示して売っています。その絵の一つは、ガラスの靴ですね。

12)馬車の所から下に向かう階段の所では、お母さんと子どもがいます。子どもは別れがつらいようです。お母さんは手を振りながら降りてゆきます。

3)パラソルがあります。白地に赤の放射状のデザインは何を表すのでしょうか。安野さんのことです、何か意味があるのだと思うのですが。パラソルの下は、お店でしょうか、男の人が座っています。
『ローマの休日』では、アン王女が、こんな丸いパラソルの下のジェラート屋さんでジェラートを買います。

14)夫婦ずれと、男?の人がすれ違っています。
15)パネルに絵はがきか写真を貼って売っている男の人がいます。熱心に見ている男の人がいます。

『ローマの休日』で、かなえられた願いが彫られた壁の雰囲気を再現してあるのかも知れません。

16)後ろの壁にある、赤い箱は・・・郵便ポストのようです。
17)荷物を持った女の子が、男の子と話しています
18)スパゲッティの大きな看板を掲げた家があります。

19)ジョッキの看板の下では、ビールで盛り上がっている人たちがいます。スパゲッティーがおつまみかな。

20)花を積んだ、手押し車を押しているおじさんがいます。
『ローマの休日』でスペイン広場のシーンの直前で、アン王女がジェラートを買った後、花屋のおじさんに呼び止められます。花束を買うように渡されますが、お金がないからと断ります。おじさんは、花束の中から一本だけ抜いて、彼女にプレゼントします。

21)トレビの泉にはたくさんの観光客が押し掛けています。
22)腰掛けているカップルがいます。
23)立っている夫婦。男の人は、泉の向こう側を指さしています。コインを投げ込んでいる人たちの話をしているのでしょう。
24)子連れの女の人もいます。
25)の上のカップルが、泉にコインを投げ込もうとしています。でも、ちょっと(いや全く)無理ですね。位置関係が遠すぎます。安野さんお得意のだまし絵です。

26)泉をのぞき込む親子(家族)がいます。
27)後ろ向きにコインを投げ込んでいる女性がいます。あれ??一度に二個なげたのでしょうか。
 肩越しにコインを投げると願いが叶うとの言い伝えがあります。「1枚だと再びローマに来ることができ、2枚だと大切な人と永遠にいっしょにいることができ(結婚できる)、3枚だと・・・恋人や夫や妻と別れることができる」のだそうです。ということで、一緒に結婚したい人のようです。
映画「ローマの休日」にもこのトレビの泉が出てきました。ということは、この女性は王女アンということでしょうか。

※投げ込まれたコインの半分はカトリック系のチャリティ団体に寄付されるのだそうです。

トレビの泉のパノラマ写真を見ることができます。
http://www.italyguides.it/us/roma/trevi.htm

第6巻のデンマーク編でクローズアップされるアンデルセンの、『即興詩人』(1902年)の書き出しにもトレビの泉が出てきます。安野さんもこの時点では、デンマーク編の予定は無かったと思いますが。
映画「ローマの休日」にもこのトレビの泉が出てきました。アン王女がショートカットにするのは、トレビの泉の近くの美容院でした。48)の床屋さんが、その美容院をイメージしているのかも。

28)ポケットに手を突っ込んだ男の人が一人。
29)後ろ向きに投げ込む人と前向きに投げ込む人がいます。ここでは、一人一個づつのようです。
30)女の人がガイドブックを広げているカップルがいます。トレビの泉のいわれを研究中でしょうか

31)男の人が二人地図を広げて、女の人に説明してもらっています。
32)手前の手すりは広場の境のように見えますが、よく見ると手前の建物の屋根をとります手すりのようです。それにしても、屋根になぜ手すりがいるのか?飾りでしょうか?

33)男の人が3人座り込んで泉を見ています。
34)泉を指さしながら男の子と話している女の子がいます。シーン9の小学校の校庭で跳馬見ていた女の子のようです。相手の男の子も跳馬を見ていた子どもでしょうか。

35)腕を組んで泉から離れていく夫婦がいます。
36)杖をついて階段を上がってくるおばあさんの手を引いている男の子がいます。
37)壺や小物を売っているお店があります。鞄を持った男の人に売り込んでいるようです。売り物の中には「ピースマーク」もあるようです。

38)神父さんが杖をついて路地を歩くシーン・・・何かの映画で見たような気がするのですが。思い出せません。絵だったかもしれません。

39)通りを横切るように洗濯物が干してあります。イタリアの町ではよく見られる風景のようですが、あの高さでどうやって干すのでしょうか。
 分かりました!!
 向かいの建物との間にロープが二重に張ってあって、滑車がついているのです。干しながらもう片方のロープを引くと、路地の反対側の家に向かって干し物が動いてゆくというわけです。取り込むときも、ロープを引けばOKということになります。

40)旅人の手前の路地に壺が並べられています。その奥では、女の人が壺を作っています。

41)その下では、おじいさんが木で何かを作っています
イタリアの作家・カルロ・コッローディの児童文学作品『ピノッキオの冒険』(伊: Le Avventure di Pinocchio)で、ピノキオをつくっている、ジェッペットですね、

42)壁にハサミの絵を描いた家があります。何のしるしでしょうか?床屋ではなさそうですし・・・。

43)壺を頭に乗せて運んでいる女性がいます。
44)シルクハットに髭のおじさんの看板があります。これはいったい何??

45)柱時計(この時計も12時を指しています)を看板にしている家は、時計屋さんでしょうか。窓に人影が見えます。時計の修理をしているのでしょうか。

46)階段を杖をついて上ってゆくおばあさんがいます。この階段、上のお母さんと子どもの所に続くようです。

47)壁に×印を付けて回っているアラビア風の女の人がいます。
「アラビアン・ナイト」から「アリババと40人の盗賊」です。
40人の盗賊から宝物を奪ったまではよかったのですが。盗賊たちはアリババの家に×印をつけていきます。これに気づいたのがアリババの女召使モルジアーナ。印の意味に気づいた彼女は、近所の家にも印をつけて、どこかわからなくしています。もう、6軒目につけています。
「旅の絵本の秘密」には、×印をつけているアリババ(アラビアンナイトより・左下)とあります。
厳密には、上に書いたように×印をつけ回るのは、女召使いのモルジアーナです。旅の絵本でも女の人です。安野さんの勘違いだとおもいます。

48)赤と白と青のポールがあります。床屋さんを表すサインポールです。
昔、西洋では散髪と外科手術は同じところで行われていたらしく・・・
 床屋さんの店先で赤と青でくるくるまわっているものがおいてあります。
これ、サインポールというそうです。昔、ヨーロッパでは外科手術と散髪は同じ場所で行われており、赤は動脈、青は静脈、白は包帯を表す表すという説があります。
あるいは、しゃ血という血をぬく医療が行われていて、その血を抜くときに、患者が握った杖があり、血が滴るのを目立たなくさせるために赤く塗られていました。その杖に洗った包帯をくるくる巻いて外でかわかしていたのが、サインポールのもとだとか。
詳しくは、以下を参照ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB

http://www.osakasign.co.jp/


49)床屋さんの階段に座って、女の人が刺繍をしています。
 イタリアは刺繍が盛んなのでしょうか?
50)屋根の上に猫がいます。向かいの屋根の上にも猫が・・・友達かな。

旅の絵本2表

シーン11塔の街(p21〜22)

0)旅人は・・・「美しき塔の街」として知られている、サン・ジミニャーノにやってきました。

染め物の材料に使うサフランなどの商いで繁栄を極めました。町のシンボルになっている塔の多くは、最盛期には72棟を数えました。塔にあけられている穴は、塔から塔へ空中回廊をかけるときにものだとか。現在完全な形で残っているのは、14棟です。小さな村にこれだけの塔が密集しているのは、他に類がない町並みです。

1)左下 おじさんから逃げているピノキオがいます。シーン10の41)でおじいさんが作っていたのは、ピノキオだったようです。

2)大きな荷物を担いだ女性が、どこかへ急いでいます。
3)左 坂の下から杖をついたおじいさんと頭の上に荷物を載せた女性が話しながら上ってきます。シーン3イエス誕生で、荷物を載せて歩いていた女性でしょうか。

4)ギリシャのパルテノンの神殿のような建物があります。
アッシジのコムーネ広場にあるミネルヴァ神殿il Tempio di Minerva(紀元前1世紀)のようです。破風の中心の円形の模様は、この神殿には施されていないので、バチカンのサンピエトロ寺院 (Basilica di San Pietro)のデザインを加えてあるのかも知れません。
 2000年以上の歴史を誇る神殿ですが、1539年に正面の石柱をそのままに、内部に教会が作られています。さらに、17世紀にはバロック様式に改修。教会の名はサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会(ミネルヴァの上に建てられた聖マリア教会)

4.1)時計のある塔があります。
神殿との位置関係の左右が逆になっていますが、コムーネ広場にある、ポポロの塔la Torre del Popolo(1305年に完成)です。
ただいまの時刻は→13:15のようです。何か意味があるのでしょうか?これが13:05なら完成した年と符合するのですが。

5)柱の陰では3人の男がなにやら話しています。
6)扉の反対側では、男の人が座り込んでいます。足下のお椀のようなものは何でしょう?酒瓶?

7)井戸があります。これはサン・ジミニャーノにある、その名も、チステルナ(井戸)広場ある井戸です。この井戸は13世紀ごろからあるそうです。

8)井戸に座ってギターを弾く人がいます。両隣に座って聞く男女と、前に立って聞いている男の人がいます。ここは、井戸としてより、集いの場として役立っているようです。

9)井戸の反対側でも、鞄を持ってギター演奏を聴いている女性がいます。
10)行列を指さしている二人連れがいます

11)ポスター貼りの男の人が自転車を盗まれています。前のシーンで安野さんのABCの本のポスターを貼っていた人です。盗んだのはそばで見ていた横縞の服の人です。
自転車泥棒
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=10055
by forest-door さん
これは、イタリアの映画、「自転車泥棒」のシーンですね。
1948年の白黒映画です。失業していた人がやっとポスター貼りの仕事を見つけるのですが、初日に仕事で必要な自転車を盗まれてしまうんです。この自転車も家のシーツと取替えで質屋から出してきたところだというのに…また、買うお金なんてないのです。そして父子で自転車を探しだそうとするのですが…
白黒の情景から、戦後すぐのイタリアの下町の感じがすごくでています。父子ともにまったくの素人だとか。でもとても自然なのです。特に男の子のまなざしには父親に対する思いがひしひしと感じられます。イタリア映画の名作ですね。


12)ガラスの靴を掲げて、シンデレラを捜している行列があります。

13)早速、娘に靴を脱がせてチャレンジするように説得しているお母さんがいます。
14)ただ、眺めている女性や男性もいます。
15)行列を止めているお母さんがいます。シンデレラの継母?
16)箒を持って、ネッカチーフをして立っているのがシンデレラのようです。

17)その前の女性二人が、義理の姉たちのようです。
18)何事かと見とれている親子がいます。
19)アイスクリーム屋さん?が、開店前の屋台を押しています。どこへゆくのでしょうか
20)ポストへ郵便を入れている子どもがいます。このポスト、トレビの泉の近くにあったものと同じです。

21)家の扉の中から行列を見ている女性がいます。

22)シャボン玉をしている女の子がいます。
ブリブリューゲルの「子供の遊戯」の絵にもシャボン玉遊びをしている子が描かれています。

23)二つ並んだ塔があって、つながっています。「双子の塔」ではないかというのですが・・・?
24)塔の下を荷物を持った女性が歩いています。

25)塔に隠れるように犬がいます。とても胴長の犬のようです・・・だまし絵でしょう。あるいは、とても胴の長いダックスフンドかな。そうだとすると、世界一胴長のダックスフント「どうながのプレッツェル」からでしょうか?
http://www.fukuinkan.co.jp/bookdetail.php?goods_id=520
「旅の絵本の秘密」には、どうながのプレッチェルと明記してありました。

26)旅人の向側の茂みのところで、肩を抱いている恋人?がいます。
27)ショルダーバッグを持った女性と尼さんが話しています。
28)杖をついて階段を上るおじいさんがいます。
29)階段の下で、刺繍をしている女性が二人います。ここでも、刺繍が盛んなようです
30)家と家の間を歩いている、男女がいます。女性の方、うつむき気味ですどうしたのでしょうか。

31)右下 たくさんの壺に油を注いでいるのは、アリババの女召使モルジアーナです。
40人の盗賊も、これで一巻のおしまいです。
http://www.aii-t.org/j/maqha/magazine/30years/index.htm

32)窓の下に、シャツを干しています。
33)窓の外に鉢を並べてあります。
34)3人の男が話しています。一番右側の横縞の服を着ている人は、第1巻で脱獄していた人のようです。なんの相談でしょうか?

35)車いすを押している男性がいます。この人、前のシーンでは花を積んだ手押し車を押していました。

36)果物屋さんがあります。お店の人と買い物のおばさんが話し込んでいます。
37)お店の前に座っている男の人は何をしているのでしょうか。犬とお話でしょうか。
38)男の子と女の子が話しています。トレビの泉のところ17)で、話していた男の子と女の子のようです。

39)テントの下のお店は、雑多なものを売っています。カップルが指さしている先には、弓矢?があるようです。
40)エプロンのおばさんは、バケツ選びでしょうか?大きなバケツです。
41)エプロンの店主と話している二人連れは鍋の品定めでしょうか

42)えらい胸を張って歩いている女性がいます。近くにいる6人もの男の人たちは、とても気にしています。
 ずっと気になっていたこのシーンですが、どうもイタリア映画(アメリカとの合作)『マレーナ』(Malena)からではないかと思いました。シチリア島の田舎町で美貌の女性マレーナを彼女に恋心をよせる少年レナートの視点で描いた、おかしくも哀しくそしてさわやかな一遍です。美貌で色香の匂い立つ彼女が通りを闊歩すると、町の男たちは露骨に熱い視線を送り、女たちは顔をしかめるというシーンが繰り返されます。そんな中をマレーナは胸を反らして歩くわけです。
 舞台の町は違うものの、これしかないと思ったのですが・・・映画の公開年が2000年。イタリア編の出版が1978年ですから、いくら博学な安野さんでもこの映画をヒントにするのは無理かな。ただ、ルチアーノ・ヴィンセンツォ一二の短編小説が原作ということですから、安野さんが原作を読んでおられた可能性はまだ残っていると思います。
 さらに、聖書物語が規定に流れるイタリア編としても、マレーナはマッダレーナの通称でマグダラのマリア(Maria Maddalena)」と同じ名前になるというのですから。もう偶然とは思えません。
単に、イタリア男たちが、いい女に対して示す「礼儀」としての視線を表しているだけかもしれませんが・・・・・。

43)下 男の人と女の人が話しています。
上の女性が、マレーナなら、他の女に目をやるなと注文している奥さんか、恋人といったところでしょうか。
 マレーナを熱い目で見守る少年レナートはどこに??38)の男の子がそうだったりして。

旅の絵本2表


シーン12大聖堂(ドゥオーモ)(p23〜24)
0)旅人は・・・大聖堂(ドゥオーモ)のそびえる街にやってきました。

 大聖堂をイタリア語でドゥオーモといいますが、絵の大聖堂は、フィレンツェにあるサンタ・マリア・デル・フィオーレ(Santa Maria del Fiore=花の聖母)大聖堂です。
 フィレンツェは、イタリア中部の古都。ルネサンスの発祥の地として知られる街です。メディチ家の経済力が大聖堂をはじめとして多くの文化財を残すことになり、世界遺産の宝庫です。
 大聖堂の巨大な円蓋(クーポラ・えんがい)は、八角形を成していて、直径42m、高さ100mを超えるという巨大さです。そのため足場を作ることが不可能で、建設が中断しましたが、建築家ブルネッレスキの発案で、大円蓋を二重構造にする工法を採用してできあがりました。ちなみに大聖堂は、1296年に着工して完成までに600年!!もの年月を要しました。

円蓋は展望台にもなっていて、そこから、ジョットの鐘楼を見るとこうなるようです。


1)p23下 神父さんが後ろ手に組んで、歩いています。大聖堂の関係者でしょうか。
2)絵描きさんが女の人の似顔絵を描いています。
3)立てかけられた絵をのぞき込んでいる男の人がいます。
 その絵は、大聖堂とジョットの鐘楼が、このページの構図のように俯瞰で、描かれているようです。

4)もう一人の絵描きさんがスケッチブックを持って立っているようです。後ろに立てかけている絵は、自画像でしょうか?

5)絵の裏側の柱の影に二人の人影があります。女性二人?
6)少し離れて、やはり柱の影に男女がいます。結婚式を挙げていた新婚さんではないかと・・・・・・。
7)客待ちの観光馬車と御者がいます。どうも、先ほどの二人を待っているようです。新婚旅行の馬車。?
8)男女のカップルを乗せた観光馬車も行きます。少し寒いのか、膝掛けをかけてもらっています。女性は、大聖堂(ジョットの鐘楼かも)を指さしています。歓声を上げているのでしょうか。

9)手をつないだ男女のカップルが歩いています。何故か、男性の方はちょっとうつむき気味・・・どうしたのでしょう。近づいてくる警察官がこわいのか??

10)緑の襷?をしている警察官?がいます。イタリアの警察官の制服は紺色のようなのですが??襷のようなものは、銃などをつるすためのものでしょうか?

11)荷物を持った男の人と、コートを着て帽子をかぶった男性が歩いています。(神父さん?)

12)高い塔が立っています。フィレンツェにある「ジョットの鐘楼」です。実際に大聖堂と隣接して建てられています。
 この鐘楼はルネッサンスの先駆けを成した画家ジョットの設計によるものです。
1334年に着工されましたが、途中でジョットはなくなってしまいました。1359年に弟子が完成しました。
by forest-doorさん
高さが84mもあり、階段で上ることができます。ここに上ると、目の前がドゥオモなので、格別の景色が味わえるのです。
先日、行った「フィレンツェ展」ではこのジョットの鐘楼の下側壁面を飾っていた六角形のレリーフを見ることができました。画家、彫刻家、建築家、金工家、機織り、医者といった職業が浮き彫りになったもので、当時のフィレンツェという街の、さまざまな技術があつまった様子を想像して楽しみました。


13)ジョットの鐘楼の右に塔が描かれています。塔の上には、ポールが二本立っていて、片方には、ライオンの紋章があります。
ちなみに、フィレンツェの紋章もライオン・・・
実際にはこの位置に別の塔は無いと思っていましたが、上記の写真のように少し離れて(400mくらい?)はいますが、バルジェッロ国立美術館(Museo del Bargello)の塔が有ります。色々な写真を確認しましたが、多くの写真では、獅子の像が有りませんでしたが、上記写真には獅子が見えますから、旗のように取り外しができるのかもしれません。
建物は、1255年建造されています(大聖堂より古いですね)。その後、館は市の執政官の官邸となっていました。ちなみに、塔にはモンタニナと呼ばれる鐘があります。戦争などの緊急時には、フィレンツェの人々を呼び寄せる為にならされたといいます。美術館は、ルネッサンスを代表する芸術家ミケランジェロの初期の作品を多く所蔵しているそうです。
ちなみに、隣のとがった塔(上の写真では改修中)は、修道士協会Associazione Monasticaの塔のようです。〔詳しい情報が分かりません)

バルジェッロ国立美術館
http://www.atspcom.jp/italia/museo/bargello/bargello.html(日本語)
http://www.museumsinflorence.com/musei/museum_of_bargello.html(英語)

描かれている位置は、シーン10トレビの泉25)のと重なっています。

by forest-door さん

 クーポラの手前に描かれている塔は同じフィレンツェにあるヴェロニョーナの塔だと思われます。この塔は1250年に建てられ、バルジェッロ国立美術館に隣接しています。バルジェッロ国立美術館はミケランジェロ、ドナテッロなどの作品を所蔵している彫刻美術館として知られています。


14)強い風が吹いています。向かい風に負けないように前傾姿勢で歩いているカップルがいます。スカートははためき、髪も乱れています。男の人は帽子を押さえています

15)風で飛ばされた帽子を追いかけている男の人がいます。
16)風で吹き上げられたスカートを押さえている女性がいます。
 映画「7年目の浮気」のマリリン・モンローです。

17)建物の壁に、狼の乳を飲む二人の子どもの像があります。ローマ建国の始祖ロムルスとレムスを育てた雌狼、「カピトリーノの雌狼」の彫像です。

ローマ建国の伝説によれば・・王の息子アムリウスは兄ヌミトルから王位を簒奪する。ヌミトルの男子は殺され、娘は処女が義務付けられた巫女とされる。ところが、ローマ神マルスが降りてきて彼女と交わり、双子を産み落とします。怒った叔父の王は双子を川に流してしまいます。双子の赤ちゃんを雌狼が拾って、乳を与えて育てたというのです。その後羊飼いに育てられ、ロムルスとレムスと名づけられた。成長し出生の秘密を知った兄弟は協力して大叔父を討ち、追放されていた祖父ヌミトル王の復位に協力する。兄弟は自らが育った丘に戻り、新たな都市を築こうとする。しかし兄弟の間でいさかいが起こり、レムスは殺される。この丘に築かれた都市がローマであったというのです。
 ただ、何故、フィレンツェにローマ建国の像が???
by forest-doorさん

ローマにまつわるこの像が、なぜ、フィレンツェを舞台にしたページに描かれているのか分かりませんでしたが、
「カピトリーノの雌狼」は、狼の像自体は紀元前5世紀はじめの作品で、ロムルスとレムスの像は15世紀末にアントニオ・デル・ポッライオーロによって付け加えられたものなのです。


18)大聖堂の屋根の向こう側に老夫婦?の姿が見えます
19)5人の男女が輪になって話しています。一番左の男性は腕を組んでいるようです。何か面倒なことでも起こったのでしょうか?それとも単にナンパかな?

20)お母さんと子どもが手を振り合っています。
 あるいは、近くの屋台で買って欲しいとねだる子どもを振り切っているお母さんかも知れません。

21)傘を広げ、風船をつけてお店を開いている車があります。この車、前のシーンで傘を閉じて、押していた車と重なります。(お店の様子は少し違いますが・・・)

22)泉があります。泉の真ん中にすえられているのは、ペルセウスの像です。
フィレンッチェのヴェッキオ宮殿前のシニョーリア広場の開廊にある、ベンヴェヌート・チェッリーニ作の「メドゥーサの首 を持つペルセウスの像」からだと思われます。


by forest-doorさん

 髪が蛇で、その視線を浴びれば石になってしまうというメドゥーサを退治し、切り落とした首を高々と上げているペルセウス。ペルセウスの小道具、誰からも見えなくなるという「隠れ冑」と大空を自由に駆ける「空飛ぶサンダル」もつけています。
 このペルセウス像のひな型が「フィレンツェ展」に出品されていましたが、ペルセウス本体よりも、切られたメドゥーサの首と胴体から噴出している血の表現の方に見入ってしまいました。何でも、この像は依頼主のコジモ1世の政敵に向けて、この像のように退治してやるぞ、との意味合いも含まれていたようです。生々しい表現で、その効果はさらに増しているように思いました。


23)泉には腰掛けている男性が二人
24)ペルセウスの像を見上げる子ども二人と、犬を連れている男の人
25)丸い背もたれの椅子に大胆に足を組んで座っている女性がいます。これは、映画「エマニュエル夫人」のシルビア・クリステルです。

26)旅人の後方、乳母車を押している男性がいます。
27)旅人の前で3人の男女が何か話しています。旅人には気づいてない様子です。
28)壁の所に、カバンを持って一人立っている女性がいます。誰を待っているのでしょうか。
29)エマニュエル夫人の隣のテーブルでは話し込んでいるカップルがいます。夫人のことは気にしていないようです。
30)隣のテーブルにはウエーターが来ています。女性がカップ?を持って何か言っているようです。
31)柱の影を、杖を持った男性が歩いています。
32)3人でテーブルを囲んでいる人たちの一番右の男性はペルセウスの像を見ています。
33)その向こうに歩いている女性や、テーブルに座っている人たちの足が見えます。
34)鳩に餌をやっている女の子がいます。鳩は、大聖堂の屋根の周りを飛んでいます。
35)円蓋の右側 男性が一人います
36)マフラー?をした男性とその前をハンドバック持って歩く女性がいます。
37)ウインドウの方を見ている女性の隣の青い服の人は・・・女性?帽子の様子からすると男性?・・神父さん???

38)ビンの飾ってあるお店はなにでしょうか?熱心にのぞき込む女性がいるので、香水とか化粧品とかでしょうか。いずれにしても、隣の男性は興味なさそうです。

39)スタンド式の小さなお店があります。色々とポスターのようなものが張ってありますが、商品は何?宝くじ?あるいは、キオスクのようなものでしょうか。

40)お母さんが子どもの手を引いています。
41)買い物篭を持った男性がいます。
42)ネクタイをした男性と、大聖堂の円蓋を双眼鏡で見ている女性がいます。
  女性のハンドバックを盗ろうとしてしている、泥棒がいます。観光地では、気をつけないとね。

43)足場を組んで、梯子をかけてバケツを持って上がって、円蓋を修理中です。
44)現場監督は、神父さんと図面を広げて協議中です。

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