を遊ぼう」8−5(日本編)

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場面16 相撲

0)旅人は 大相撲の地方巡業が行われている所にやってきました。
屋根のない青天井で行われています。以前は、本場所でも青天井で晴天の日に開催ということだったようです。地方巡業では当然、青天井での開催は多かったのではないでしょうか。現在の地方巡業は、体育館の中等に土俵が築かれます。
写真は明治時代の大相撲です

大相撲は、本場所以外に、各地の勧進元に興行権を売って、地方巡業をしています。
お金が工面できれば勧進元になれるようです。
総勢250人の移動や宿代だけでも大変でえすが
以前の(安野さんの子どもの頃も)地方巡業は、部屋ごとだったり一門ごとだったようです。巡業の一行も少ない人数だったのでしょう。描かれているのは、人数も少ないからそんな時代の地方巡業なのでしょう。
ちなみに、現在の全力士が参加する地方巡業であっても、そこでの成績は番付には反映されません。そも分、真剣みが落ちるのだろうと思いますが。地方巡業だからこその、力士と観客の近い関係ができるようです。

日本相撲協会の地方巡業の勧進元募集のHP
http://www.sumo.or.jp/jungyo/kanjinmoto
地方巡業の勧進元を引きうけるにはどれくらい経費が明示してあります。
また、地方巡業のスケジュールも見ることができます。
今年(2013年)の広島での開催は10月26日だ。広島市東区スポーツセンター・・・行こうかな。

荒汐部屋のHP・・・相撲協会のHPよりくだけた内容です
http://arashio.net/heya1044.html


1)紅白の幕で仕切った会場で大相撲が行われています。
 右端には、力士の控え室も作ってあります。
ところで、この紅白の幕の仕切りの描き方が変です、控え室の所のつなぎが、不自然です。
絵の名人の安野さんの絵が不自然なときには何か仕掛けがあるはずなのですが・・・・この場面は見抜けていません。(汗)
どなたか、この場面のトリックの仕組みの解明をしてください。。

2)土俵では取り組みが行われています。かなりの大一番のようです。うっちゃれるか

3)土俵右側の下では、力士が倒れ込んできそうな状況で、みんな焦っています
4)少し離れた所の観客は、安全だから・・・大盛り上がりです。
5)そんな中、心配そうに指さしている人達もいます。
6)土俵の向こう側で座布団に座っている6人、とりわけ右側の3人は、特別に落ち着いています。
 着ている物も特別のようです・・・誰でしょう?右から二人目は袈裟をつけているような・・お坊さんでしょうか
7)後ろに控えている4人も別の意味でなんか特殊。
8)土俵の右上の隅と左下隅には、力水の水桶と塩が用意してあります。
※力水(ちからみず)とは、大相撲における儀式の一つで、力士が土俵に上がったときに他の力士から渡される清めの水で、神聖な土俵に上がる時に身を清めるために使われる。
水桶を白房下と赤房下の東西に1個ずつ配置し、水桶から柄杓(ひしゃく)で水を汲んで、これを力水とする。ちなみに飲まず、一口だけ口に含むのみ。

9)土俵の右上の所に控えの力士が2人出番を待っています。
10)土俵の右側で応援しているhと達も身を乗り出したり指さしたり腕を振り回したり盛り上がっています。
11)椅子に座って見ている人が4人います。
12)和服の女性が袋を持って歩いています。
13)場外の松の木に登って相撲を見ている子どもがいます。入場料がもらえなかったのかな。

14)土俵の手前にも砂かぶりで座布団に座っているひとが6人。後は皆立って見ています。
15)旅人が馬を連れて見ています。入場料を払ったのかな。それにしても、会場内に馬を入れることを認めてもらったようです。

16)女の子を大人が2人見ています。このバターン迷子ですね。
17)入口のあたり、男性3人組は別として2人連れが多いです。
 割烹着の女性と男性、赤い和服の女性と男性は腕を組んでいます、手をつないだ男女、黄色の服を着て右手を挙げている女性と男性、手をつないだ親子

18)入口の所では、会場の案内をしている人がいます。
19)紅白の屋根のチケット売り場があります。入場券はどれくらいなのだろう。

0)幟が5本立っています。幟が上がると雰囲気が出ます。
力士や部屋を応援しているのでしょうか・・・高砂は高砂部屋のことか?

21)菰樽が積み上げられています。菰樽に書かれた銘柄名が・・・幟と重なります!!
実は、幟に書かれているのは全て、津和野の銘酒です。
左から
「魁龍(かいりょう)」・・・橋本本店 (ヱビヤ)( 享保2年(1717年)に造り酒屋として創業した津和野最古の酒舗)の銘柄。
「しまね寶泉(しまねほうせん)」・・・下森酒造場(津和野の日原町にあります)の銘柄。
「初陣(ういじん)」・・・古橋酒造(株)(津和野の本通りにあります・・・場面9に描かれいてました)の銘柄。
「華泉(かせん)」・・・・華泉酒造(資)(享保15年創業の津和野の酒蔵)の銘柄。
「高砂(たかさご)」・・・財間酒造(津和野の郊外に酒蔵を持つ、裏表紙の酒蔵のモデルか)の銘柄。

22)幟の向こうには、チケット売り場へいそぐ人達がいます。
23)馬車か何か丸い物を落としていて、みんな騒いでいます。
 この丸い物は何?・・・・馬糞のようです。
牛の糞がべちゃっとしているのに比べて丸くて、咀嚼が荒いので藁の繊維が見えています。土壌改良材として優れているようです。

24)警察官が注意しています。馬を引いている人も大慌てです。結構がたいのいい人だから棒なんかなくても阻止できそうですが。

力士の控えのエリアでは・・・
25)入口の所には、関係者以外が立ち入らないようにガードしてます。大きな体なので力士あがりの親方かな。長い棒をもっています。
この長い棒はなんでしょう警護用でしょうが、槍のわけないし、ただの棒かな。

26)どっかりと椅子に座っているのは、出て行く準備のできた力士でしょうか。
27)何故か、紅白の幕の角に一カ所だけドアがつけられています。幕にドア??

28)まわしを2人が手伝ってしっかりと締めています
長さは自分のウエストの約7〜10倍の長さ、4.5m?9m程度と個人の体型によって異なるようです。
ゆるふんにするのは、ひんしゅくものです。その昔、本番中に回しがとけて中身がポロリという事件があったそうです。
ちなみに、原則として回しは洗濯しないのだそうです。

29)化粧まわしをつけて四股の練習をしている力士がいます。
化粧廻し(けしょうまわし):相撲で力士が土俵入の際着用する前垂(まえだれ)状のまわし。長さ8m、幅68cmの長い博多織の布の先端に豪華な刺繍と馬簾(ばれん)の付いたエプロンのような大きな前垂れを持つ高価な廻しである。西陣織,博多織が主で,刺繍(ししゅう)などの絵模様を施し,下端には房をつける。元禄のころ紀州藩がかかえの力士に華美なまわしを与えたのが起り。
ある時期は、化粧まわしをしたまま相撲をとっていたようですが、それでは相撲がとりにくかったので、かわりにつけているのがさがり

30)横綱を締めて、土俵入りの練習をしている力士がいます。両脇に椅子に座っているのは太刀持ちのイメージか?
横綱は横綱しか締めることが許されませんから、この一門には、横綱がいるんですね。
安野さんの子どもの頃と言えば、伝説の名横綱双葉山がいます。引退が1945年ですから、その時安野さんが19才です。全盛期の双葉山をリアルタイムで知っておられると思います。
地方巡業で、双葉山が津和野にも来たことがあるのかも。

30)飲み物をはこんでいます
1)床山さんに大銀杏を結ってもらっている力士がいます。
床山さんも大相撲という文化を支える大切な役割を担っています。

32)腕組みして立っているのは、床山さんが空くのを待っている力士か

33)机に向かっているのは、色紙造りをしているようです。3人の人が手伝っているようです。
相撲取りさんにとって、大切なたにまちに配る為でしょう。

34)五重塔があります。さて、どこの五重の塔がモデルでしょうか?
山口線つながりで、山口の瑠璃光寺(るりこうじ)の五重の塔ではないかと思われます。国宝です。
デザイン的に反り返りの具合とかが似ていると・・・

35)野外で囲碁の解説をしています。もちろん、こんな大きな盤で説明はできませんが・・・
テレビでやっている解説のようです。
安野さんが、この棋譜は福建省出身の呉清源が日本で試合をしたときの快心の物だったと書かれています。
呉清源さんはものすごい、天才棋士だったようです。
※呉清源(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%89%E6%B8%85%E6%BA%90

さて安野さんが描かれた棋譜では、下辺の白石と黒石どちらが抜かれているのか、こんな状態はあり得ないと思ったのですが・・・実際の棋譜は左図のようになっています。
実際の盤面にすると下辺の黒石8とその上の2子が抜かれていてその後に白石が8の位置に打たれていて一眼ある形になっています。(安野さんには、その状態で描いて欲しかった)
 そして、この局面で終わりではなくて、次は白番でaへの切り。結局この後数手で、白が黒の大石をとって黒の藤沢さんが投了したようです。そもそもこの棋譜で、白の1が、快心のうちこみだったようです。

第二次藤沢朋斎十番碁第7局
5局目まで2勝2敗1ジゴと拮抗していたが、6、7、8、9局と呉が連勝して一気に打込んだ。藤沢との対戦の中で呉はこの第7局が一番の傑作としている。

この天才棋士を描いた伝記映画があるようです。

『呉清源〜極みの棋譜〜』(ごせいげん きわみのきふ、原題:『呉清源』)
2006年公開。
“碁の神様”と呼ばれた中国・福建省出身の稀代の天才棋士、呉清源氏の知られざる半生を描いた伝記ドラマ。『春の惑い』のティエン・チュアンチュアンが監督を務め、14歳で来日して囲碁交流で日本と中国のかけ橋となった実在の棋士の偉業にスポットを当てる。『グリーン・デステニー』の俳優チャン・チェンが主演するほか、柄本明、伊藤歩ら日本人キャストも多数参加した。囲碁への愛と人生の真実に対する強い探究心を持った天才の生きざまに引き込まれる。

36)たくさんの人が、椅子に座って解説を聞いています。

さて安野さんはなぜこの場面にこの棋譜をもってきたのだろうか??
相撲と棋譜とお寺??
半ば妄想ですが・・・横綱双葉山関はある時期に璽宇(じう)という宗教団体に深く関わっていました。同じ頃に呉清源さんも璽宇に深く関わっていて、二人の存在は璽宇の広告塔の役目を果たしていたようです。(この時期安野さんは青年時代ですから記憶に残っていると思うのです)また、呉清源さんが、璽宇に関わるようになったのは、戦前の中華民国で赤十字社のような活動をしていた紅卍会への入信から・・・ということでここに仏塔である五重の塔が描かれているのだと・・・どうでしょうか??まんざらでもないと思うのですが、やはり妄想かなぁ

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場面17 秋祭り

0)旅人は 秋祭りをしているところにやってきました
 稲作を中心に回る農村地帯では、一年かかった米の収穫が終わることはとても大きな節目です。豊作の秋も不作の秋も、収穫に感謝をさ下げます。秋祭りは、そんな感謝の祭りです
※絵は、津和野の松林山天満宮の大祭を描いたものです(江戸時代)。

1)左上 キャベツ畑があります。
2)取り入れの終わった田んぼには、稲藁の山が残るばかり、藁山の上にはカラスがとまっています。
3)石垣を乗り越えて3人の子どもが走り回っています。
刈り取りの済んだ田んぼは子どもたちの遊び場になります。

4)茅葺きの農家の前には雄鶏と雌鶏がエサをついばんでいます。
 昔のニワトリはこんな風にちゃんと卵を産まない雄鶏を一緒に飼い、庭に出してミミズなどの虫や草の種などなどをついばませていたものです。ゲージに入れられてひたすら無精卵を生まさせられる今のニワトリとは随分違います。

5)乳牛を引いて行く人がいます。
6)桑畑があります。まだ秋なのに・・・ここでも桑の葉がありません?
 安野さん季節を間違われているのでしょうか

7)農家の庭では収穫したお米をに詰めています。
 今の農業だと、袋詰めです。いつのころから俵に詰めなくなったのでしょう。
 俵を作るのも、農家の人達、自給自足。そんな時代がありました。

8)俵に詰めた米は、人手で運び、大八車に乗せて運びます。
9)荷車が祭りへ近づくと、旗をもった御輿の交通整理の人がちょっと待ってくれと頼んでいます。
私の町の御輿でも、このような交通整理の係の人をつくっています。

10)瓦屋根の農家の軒下には、赤い物が吊してあります
  なんだろう??

11)軒下にはニワトリ小屋があり、ここでもニワトリたちが遊んでいます。
12)釣るべ式の井戸があって女性がバケツで水を運んでいます。井戸端にももう一つバケツが置いてあります。
13)隣の瓦葺きの農家の軒下には、万石通しがあります。(場面5の農家/西周の旧宅の軒下にもありました)

14)万石通しの隣に立てかけてあるのは2本ののようです。その下に置いてあるはでしょう

15)同じく入口の右にある丸い物は、大八車の車輪ではないかと思います。

16)板の上に布が貼り付けてあります
洗い張りだと思います。着物などをほどいてしまって洗濯したら、干すときにはこのように張り板に貼り付けて干していました。アイロンの必要はありません。
とんと見なくなりました。

7)右上 天満宮があります。天神様こと菅原道真を祭った神社です。
学問の神様ですが、元々はたたり神。怒りを解いてもらうために祭りました。全国各地に天満宮がありますから、どこか特定の天満宮がモデルではないのでしょうが・・・
津和野にも奴道中で有名な松林山天満宮があります。そして、秋祭りには御輿がでます。

18)鳥居の所に着物を着た人がたっています。脇にあるのはなんでしょう?
百度参りのための百度石ではないかと思います。百回を数えるためのそろばんのような物が置いてあることがあるので、そのタイプではないかと思います。
※百度参り・・・社寺の入口から拝殿・本堂まで行って参拝し、また社寺の入口まで戻るということを百度繰り返す。俗にこれを「お百度を踏む」という。このために、社寺の入口近くに、その目標となる「百度石」という石柱が立てられていることがある。

19)祭り袢纏をまとった人がいます。袢纏をまとうと、祭り気分が一気に盛り上がります。
20)おみくじを売っているのは社務所でしょう。
21)社務所の前の人達に混じって、馬を引いた旅人がいます。
おじいさんの杖はともかく、子どもが持っている棒は何に使うのでしょうか??

22)旅人の後ろには、赤く実った柿の実をとっている人達がいます。
 棒のような物は、竹で作った柿取り竿でしょう。「はみご」とも呼ばれる物です。
長い竹竿の先を二つに割って、小枝をねじ込んで開いて紐などで縛って固定し田茂のです。これで、柿の実のついた枝を挟んでねじると枝が折れて・・・枝ごと柿をとることができます。随分荒っぽいやり方のようですが、結果として弱った枝を剪定していることにもなります。
このやり方は、傷がついてしまう欠点があります。き干し柿にする渋柿ならまあ良いのですが。そのまま売る甘柿の場合問題在りです。だから、販売用に柿を生産している農家はちゃんと剪定して、高くなりすぎないようにします。

23)屋根に鳥(鳳凰)を飾った御輿を勇壮に担いでいます。
私も含めて、今時の人は肩が弱くて・・・すぐへたってしまいます。昔の人は、背が低くても、日常的に物を担いで運んでいたので、肩が格段に強かった。

24)提灯を持つ人、団扇で扇ぐ人それぞれに盛り上がっています。
提灯に描かれた紋は、またまた安野美術館のシンボルマークのようです。

24)神主さんのような服装をした人が前を走っています。
25)御輿を待ち構えているひと。杖をついている人、子どもを背負っているひと、女の子・・ワクワクするときです。

26)先触れの太鼓が行きます。
27)子どもを背負った人の足もとにあるのは・・・お米を天日干ししているようです。
今は、機械乾燥で乾かすのが主流ですが、昔は莚の上に籾を広げて、天日で干していたものです。省エネだし、おいしいお米になります。ただし、大変な労力です。

28)太鼓の向こうには牛を引いて、祭りを見ている人がいます。
29)牛の向こうにある、土塀に囲まれた豪壮な茅葺きの家。何かモデルがありそうです。(不詳)

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場面18 お餅つき
0)旅人は 年末の村にやってきました。木々は落葉し、正月の準備でしょうかお餅つきをしています。

1)左上 水車小屋があります。この水車は粉ひき用のようです。
この水車のモデルは長野県安曇野にある大王わさび農場の水車小屋だと思われます。
大王わさび農場は、黒澤明監督の映画『夢』のロケ地としても知られる所です。
この映画は、日米合作映画で、8話からなるオムニバス形式。黒澤明自身が見た夢を元にしていて、8話目が、「水車のある村」
旅先で、静かな川が流れる水車の村に着く。壊れた水車を直している老人に出会い、この村人たちが近代技術を拒み自然を大切にしていると説かれ、興味を惹かれる。老人の初恋の人であった老婆の葬式が行われた。村人は嘆き悲しむ代わりに、良い人生を最後まで送ったことを喜び祝い行進するのであった。
 ところで、6話「赤冨士」では原子力発電所の爆発、7話「鬼哭」では核汚染でこの世界は荒野となるなるというような設定です。安野さんは、そのようなこともふまえておられるのではないかと思います。

ところで、この水車の描かれ方に疑義があります。
水車の手前側に水が落ちているように描かれています。
このように水車の上部から下に水が流れ落ちるのは、右図の「上射式水車」すなわち高いところから水を掛けて水車を回す場合におこることです。しかし、描かれている水車は水車の下の部分で流れの力を受ける「下射式水車」です。回転によって、揚水するのならともかく、水を揚げていたら効率がおちてしまいます。下射式水車の図のように、そうならないように翼の角度が工夫してあるはずです。

2)粉にする物を、大八車で運んでくる人もいれば担いでくる人もいます。迎えている女性は、小屋の管理をしている人でしょうか?

3)左下 木の下に和牛が草を食んでいます。右端の牛には 子どもが草をあげています
4)牛のほへむかて歩いている女性が、右手に提げている物はなんでしょう。バケツ?牛乳缶?牛のうち2頭は牝牛のようですから、乳搾りをするのでしょう。

5)餅つきをしています。足踏み式の餅つき器です。これなら、そんなに力が無くても搗けそうです。

6)蒸籠(せいろ)で餅米を蒸しています。燃料は山から切り出した薪のようです。一人専門で火を焚いています。
7)赤いベストの人は何を運んでいるのでしょう?

8)テーブルの上では、餅を丸めています。丸餅だと思います。
小さな女の子が食べたそうに近くにいます。
つきたては、格別においしいですから。

9)黒い犬と茶色の子犬がおはなししています。

10)軒下には、干し柿がぶら下がっています。
11)軒下の農具は、唐箕、万石通し、そして足踏式脱穀機があります
 足踏み式脱穀機の出現で、千歯扱きは農具として使われなくなります。
さらに、動力をつけたものがでまわるようになって行きます。

12)つるべ式の井戸があります。
13)馬が一頭います。つながれていないようです。

14)中庭では、おままごとです。
  筵を敷いて座敷にしてご挨拶をしています。赤ちゃんを背負った子どもがその様子を見ています。こんな風にままごとをする子どもをトンと見なくなってしまいました。

15)瓦葺きの家の軒下に、梯子がつるしてあって、その下の円筒状の物はドラム缶でしょうか?
ところで、この農家ですが・・・松下村塾(しょうかそんじゅく)がモデルの可能性があるように思います。
萩と津和野は現在では県が違うものの、近しい関係です
吉田松陰が謹慎させられてたのは小さな建物ですから、デザイン的に決定的な特徴はないのですが、
この建物が近いのではないかと。
そう考えると、ままごとをしている子どもも、松蔭と弟子あるいは客人があいさつをしている所をまねていると見ることが出来ませんか。
※松下村塾ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%B8%8B%E6%9D%91%E5%A1%BE

16)木に棒を立てかけてあります。この棒何に使う棒なのでしょう?

17)畑の中で女性が二人、中腰で作業をしています。何の畑でしょうか。
18別棟の小さな小屋には煙突が立っています。お風呂だと思います。

19)跳ねつるべの井戸があります。
20 おだんごの暖簾が下がっている店があります。茶店のようです。お盆を持った女性は、旅人と話しています。
日本編には、何度も茶店が出てきました。場面2の上陸した海岸、場面4の花見、そしてここですから3度目です。
いずれの茶屋も、緋毛氈を敷いた長いす(台)が用意してありました。

21)旅人は馬から降りて馬の世話をしています。

22)青っぽい洗濯物が干されたところには、ねんねこ半てんを着て、赤ちゃんを背負ったた人がいます。
23)脇に細長いものを抱えた女性が茶店にやってきていますが、何を抱えているのでしょうか?

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場面19 舟屋

0)旅人は 京都府伊根町の舟屋の並ぶところにやってきました。
  舟屋は、船の収蔵庫であると共に住居の役割も持っています。そのために、海に向かった開口部があってそこに船が入ることができます。そして、屋根の棟(大棟)と直角な面である妻(つま)からの出入り(妻入り)になっています。漁村では全国で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けています。

1)右下 浮き桟橋でしょうか?防波堤なのでしょうか
 実際の伊根浦には、この位置には防波堤はないのですが・・・
 たくさんドラム缶が浮かんでいるのは何でしょう?ドラム缶ではなく浮きでしょうか。下に網でもつるしてあるのか ??
手前にロープが何本か伸びているのは?船の係留でしょうか

2)左側の防波堤では、3人釣りをしています。

3)2人連れが歩いています。
4)集魚灯をつけた漁船が一艘係留してあります。猟師さんが4人作業をしています。
5)波止場の上にある丸いものは何でしょう)?係留用のロープが入れてあるのでしょうか。
6)左上 舟屋の開口部から船を入れている人がいます。
7)洗濯物が干してあります。舟屋が単に船のガレージということではなく住居でもあることのあかしです。
8)杖をついて歩いている人がいます。
9)少し離れて船が1艘あります。
10)あちこちの家に洗濯物が見えます。
11)右上 ここにも船が一艘
12)旅人が馬から降りて、舟屋見物をしています。馬が2頭いますが・・・どちらが旅人の馬でしょう?
13)向こう側の馬は、別の人が世話をしているようです。

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場面20 漁港

0)旅人は 地方の漁港にやってきました。
 モデルの漁港は岩手県久慈市の小袖漁港ではないかとおもいます。
NHKの朝ドラ「あまちゃん」の舞台になって一躍有名になってしまいました。
確信はありませんが、岩手県の陸前高田から上陸した旅人が、同じ岩手の小袖から旅立って行くのはおもしろいと。
左の写真は小袖漁港

1)浜では、旅人が馬を置いて、更なる旅に出るための船を調達しています。小船の中にはすでに、荷物が乗せてあります。
それにしても、いつものことながらこんな小船で外洋に出るなんて無謀だ。

2)旅人の乗ってきた馬に飼葉をあげている人がいます。この人がこれからこの馬の世話をすることになるのでしょうか
3)旅人の近くで小脇に長いものを抱えている人がいます。 
 これは、旅人が使うことになる帆布でしょう。

4)この港では、船を陸にあげるために斜面があります。小袖漁港にも同じように浜から漁船が揚げられるようになっています。
5)陸にあげられた漁船があります。修理をしているのでしょうか。たたんでありますが、大きな帆をつけています。
6)波打ち際に帆をたたんだ漁船が停まっています。
7)集魚灯をつけた漁船が停まってます。伊根の船屋のところにも集魚灯をつけた漁船がありました。
旅人は京都から岩手まで実は船できていたりして・・・

8)大漁旗を掲げた船があります。この船にももたたまれていますが帆を持っています。
 大漁旗の下は、おなじみ安野美術館のシンボルマークです。

9)船首の方には旗が3枚掲げられていますが・・・この旗の意味がわかりません
外国の国旗かと思いましたが・・・ギリシャ国旗とか似ている旗はあっても同じ物がありません。
海上において船舶間での通信に利用される世界共通の旗である、国際信号旗かとも考えましたが、該当する旗がありません。
謎です。

10)防波堤の向こうに岩があって、てっぺんに社があります。
この岩は、小袖漁港の夫婦岩の左側の岩がモデルではないかと思います。
夫婦岩の上にも小さな社があります

11)浜の近くに家があります。小舟が置いてあって、その脇には錨が置いてあります。
13)錨の横の大きな籠のような物はなんでしょう。

12)一輪車を押している人がいます。
13)棒を担いでいる人がいます。
14)大八車を引いている人がいます
15)大八車の横の家の屋根には何か置いてあります。何でしょう?
16)家の裏にも何か色々と置いてあるのですが、何か不明です。
17)女性が二人話しています。
18)レジ袋を持った買い物帰り?の女性がいます。
19)家の向こう側に煙突がついた物があります。これは何??
20)網が干してあります。
  場面1にも同じように網が干してありました。

21)防波堤を釣り竿をもって歩いている人が3人います。
22)防波堤の外にも船があります。船首でコートを着て遙か先を見つめている人がいます。
なにか、モデルがありそうです。
23)カモメが6羽飛んでいます。

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場面21 再び海へ

0)旅人は また新たな世界へ旅立ちます。
場所のモデルは、やはり小袖漁港の小袖防波堤灯台でしょう。
「あまちゃん」のオープニングで毎日出ている灯台です。

1)漁船が一艘停泊しています。
2)防波堤に座った2人が旅人に手をふっています。
3)旅人の友であった馬を引き取った人が馬を連れて旅人を見送っています
4)灯台の所では、6人と一匹が旅人に手を振り別れを惜しんでいます。
5)旅人は船に帆を張って帆走しながら、見送る人達に手を振って応えています


今回の旅人をふりかえって見ると、これまでの旅人とは随分行動パターンが変ったと思います。
 これまで、旅人は、ただ馬にのってそれぞれのシーンの出来事には関わらず、ただ通り過ぎて行くのが基本でした。もちろん、各編とも馬を手に入れるため交渉をしていますし、馬を下りてマラソン大会を見たり(中欧編)、泳いだり(中国編)、パレードを見たり、彼女が出来たり(イギリス編)と、その土地の人に関わるパターンがそれぞれの編で描かれてはいました。しかし、それらは、馬の交渉以外は全て、例外的な行動だったのです。基本、旅人は関わることなく通り過ぎて行くのです。
ところが日本編では、その比率が大幅に変わっています。
場面1船をこいでいる、場面2上陸して話している、場面3馬を手に入れるための交渉をしている、場面4馬上、場面5馬上、場面6馬上、場面7競馬の見学、場面8トイレにはいる、場面9馬上、場面10馬上、場面11馬上、場面12盆踊りを見ている、場面13提灯を持ってパレードを見ている、場面14町を歩いている、場面15農作業の手伝い、場面16相撲見学、場面17祭り見学、場面18お茶屋で休憩、場面19舟屋の見学、場面20船の交渉、場面21船上から手を振っての別れ。
全21場面の内、馬に乗って通り過ぎているのは6場面のみ。これに船をこいでいる場面1と、馬上かもわからない場面14を加えたとしても8場面。
その他の13場面(もしくは14場面)は、場面の中に関わっているのです。特に、場面15では完全に参加しています。現地に対する関わり方の比率が大逆転です。
これは、海外旅行と国内旅行の違いなのでしょうか、旅人(安野さん)の心境の変化でしょうか。


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裏扉

今回も、前扉の裏焼き(鏡像)です。
当然のことながら津和野です。

日本編は、ついに大都会が描かれませんでした。世界遺産も合掌造り集落だけでした。
その意味では、これまでで一番「地味」な作品になったと思います。
大震災と原発事故・・・電気を使わなければ成立しない都会の生活に対する強烈な反省が安野さんにこの選択をさせたのでしょう。

そして、津和野が繰り返し描かれました。
安野さんが解説で津和野であると明言されているのは、扉と場面9の商店街だけです。
しかし、その他の場面にも津和野関係の建造物や物が、そうとは明言されないものの、たくさん描かれています。
以下の通り少なくとも8つの場面に描かれていてさらに表紙と扉・・・その他にも確信がもてないものの可能性が高い場面が有ります、そして茅葺き農家などは津和野周辺の文化財かもしれません
「表紙・裏表紙」、  「前扉」 場面1海辺、 場面2上陸、場面3レンゲ畑、場面4花見場面5田起こし・田植え場面6花田植え、 場面7草競馬、 場面8駅前場面9商店街場面10二十四の瞳 、場面11牧場、 場面12盆踊り場面13パレード場面14花嫁行列、 場面15収穫の秋、 場面16相撲場面17秋祭り場面18お餅つき、 場面19舟屋、  場面20漁港、 場面21再び海へ、 「裏扉」

 ですから、全場面の半分以上に津和野が入り込んでいることになりそうです。
そんなわけで、日本編は、安野さんが故郷津和野に捧げるオマージュでもあるようです。
少年だった安野さんの感性を育てた故郷に対する、尊敬と感謝・・・そんなことを感じています。


旅人は次はどこへ向かうのでしょうか。
前作の中国編の最後では、一旦は日本も考えましたが馬で去っていったことを考慮に入れてインドなどを予想しましたが・・・・外れてしまいました。
そんなこともあり、今回は、予想が困難です。(船の後が船とは限らないのなら内陸国もありになったからです)
それよりなにより、今回の別れが最後になってしまうのが心配です。
デンマーク編の最後のシーンで、はじめて旅人が手を振ったので、デンマーク編が最後になるのではと心配もしましたが、その後中国編と日本編が出版されました。
旅の絵本を制作されるのに必要なエネルギー(膨大な調査取材と描き込み)を考えると、安野さんの体力が心配です。

期待とエールを込めて、次回作の予想をしておきます。
取材が大変だと思いますが、中国編の最後で予想したインド・・・インドの精神性や文化財は魅力的です。
アジアとヨーロッパをつなぐ国トルコ・・・・親日的な国柄や多様な遺跡群に文化が魅力的です
その他、ギリシャとか、思い切ってオーストラリア。あるいはイラク・・・取材が困難かな。


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