forest-doorさんから 大きな駅が描かれています。 ヨーロッパではこうした屋根が高い駅舎が多いですね。堂々としていて、旅情気分を高めてくれます。 バカンスに行く人や、恋人や家族との別れを惜しむ人、出迎えにきた人、いろんな人のざわめきや足音、かばんを転がす音なんかが満ちあふれています。 この描かれた駅が実在の駅かどうかは分かりませんが、アーチ状の天井と窓を見ていると、駅舎を改修したパリ・オルセー美術館を思い出します。 吹き抜けで明るい光の、とても贅沢な空間の中、すばらしい作品に次から次へとお目にかかれる美術館です。 |
forest-doorさんから P.35-36にかけてページの中ほどに描かれている門はドイツ・ローテンブルクにあるレーダー門のようです。レーダー門は14世紀末に建てられていて、門の左右には税関と見張り小屋がありました。 ローテンブルクは城壁に囲まれた街で他にもクリンゲン門、ガルゲン門、シュピータル門、コボルツェラー門、ブルク門などがあります。これらの門をくぐって街に入るとそこには中世そのままの街が広がっています。 |
美術愛好家のブリュイヤスが召使いを連れて、右の人物、クールベを出迎えているところを描いた絵です。 安野さんはクールベがお好きなんでしょうか…1巻だけで、何作品も登場してます。 by forest-door |
forest-doorさんから あとがきから、著者の安野さんのことばを紹介したいと思います。 「道はどこまでもつづいておりました。丘を越え、川を渡り、果てもない緑の牧草地に添っておりました。いたるところに森や泉がありました。森には鹿が棲み、流れにはマスが泳いでおりました。 … そのような市から市、国から国へ、迷いながら、はるばる旅をしました。 …私は見聞をひろめるためではなく、迷うために旅に出たのでした。そして、私はこの絵本のような、一つの世界を見つけました。 それは、公害や、自然破壊など、誤った文明に侵されることなく、どこまでも緑のつづく、つつましくも美しい世界だったのです。」 「旅の絵本」 1巻には全頁にわたって緑が描かれています。街中であっても、木がゆったりと葉をひろげています。この絵本を見ていて、時間がゆったりながれているような、木々をゆする風の音が聞こえてきそうな気がするのは、そんな緑のおかげだったのかなと思います。 そして「つつましくも美しい世界」の言葉に、はっとさせられます。「つつましさ」ということが最近、忘れさられているような気がしてしょうがありません。物質的に豊かになるために、人は自然に対してのみならず、同じ人に対しても傲慢になってしまっているかのように思えます。 「つつましくも美しい世界」、そんな世界はこの絵本の中だけなんでしょうか… いや、きっとまったくなくなってしまったわけではないと私は信じています。 そうですよね、安野さん… |